リベルタース攻防、アイテルカイト撃破戦

マスター:草なぎ

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/03/01 19:00
完成日
2016/03/05 20:23

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 グラズヘイム王国西方リベルタース。ハルトフォート砦の総司令官、ドワーフのラーズスヴァンは、ひとまず先日の戦闘を終えて帰還していた。砦の中は平時には傭兵や騎士たちの喧騒で満たされており、士官たちが前線からの報告を受けていた。
 ラーズスヴァンはここ数日執務室の中に閉じこもっていて、デスクに向き合っていた。要塞砲のデザイン画を書き起こしていたのである。
「失礼します」
 軍務省の官僚であり、現在ハルトフォートに着任した女性アリアがドアを開けて入って来た。
「おう、アリアか。お前さんが欲しがっていたのもの。見せてやろうか」
「と言いますと?」
「まあいいからこれを見てくれ」
 ラーズスヴァンは言って、デザイン画をアリアに見せた。アリアは感心した様子で、そのデザイン画を見やる。新式の要塞砲のデザインを見て、アリアは思案顔。
「凄いですね。どこかで学ばれたのですか?」
「わしがハルトフォートの司令官をやっておる理由が少しは分かるだろう」
 ラーズスヴァンが描いていたのは、リアルブルーで言うところのアームストロング砲に近いものであり、それをクリムゾンウェストテイストに精霊の装飾を施してアレンジしたものであった。そのようなデザイン画がすでに何枚も書き起こされていた。
「設計図はまだですか?」
「お前さん、誰の下で働いておる?」
「軍務省のトップに近しい方です。私は補佐官的な役割をしておりますが」
「ううむ……」
 ラーズスヴァンは思案顔でアリアを見上げた。
「何か」
「わしの忠誠心はすべからくシスティーナ王女殿下にある」
「もちろんです」
「王女が議長的立場におられる円卓会議の意向は当然無視できん。そう焦るでないわ。ほれ、デザイン画を何枚かくれてやる。ちいと軍務省へ行ってくれんか?」
「どうなさるおつもりですか?」
「せっかくここへ来たのだ。もう少し手伝えい。野砲を改良した魔導砲は遠くない将来にも出来るだろうが、そのためには機導師も必要になってくるし、軍務省からちいとばかり優秀な奴を引っ張って来てくれんかね。兵器部門の銃砲担当部局に俺が知ってる若いのがおる。大砲オタクってやつよ。名はベルトハイム。そのデザイン画を持って行って、人事に掛け合って奴を寄こしてくれねえか? その辺の調整はお前さん得意そうだからな」
 ラーズスヴァンの言葉に、アリアは苦笑した。
「食えないお方ですね」
「出来るかね」
「勿論です」
「ようし頼んだ」
「承知しました」
 アリアはデザイン画を持って、退室した。
「さて、と……」
 ラーズスヴァンは立ち上がった。

 ドワーフの司令官はハルトフォートの中を歩きながら、兵士たちに挨拶して回っていた。騎士や傭兵、兵士達は、軍服姿のラーズスヴァンに敬礼して道を開ける。ラーズスヴァンは馴染みのバーに入っていった。そこは上級騎士や士官たちなどが利用する赤熊亭というバーで、シュベルタスという引退兵のバーテンダーが経営していて、ホステスではないのだがレミアンという若い娘が働いていた。
「いらっしゃい」
「あら司令官」
 シュベルタスが頬笑みを浮かべると、真っ赤なドレスを身に付けたレミアンはドワーフのもとへ歩み寄って来た。他に数人の騎士たちがいる。
「エールをくれ」
「ここでエールを注文するお客さんて、司令官くらいよ。ま、司令官のお店も同然だけどね」
「構わんだろう。エールはわしの血だ」
 ラーズスヴァンは笑った。
 レミアンがエールの入ったジョッキとパイプを持ってきた。ラーズスヴァンはパイプに火を付けると、一服してエールをあおった。
「司令官」
 騎士が歩み寄ってくる。
「先日のアイテルカイトの鋼塊弾ですが、あれは何かの兆しでしょうか……?」
「知らん。奴らもイスルダ島で何を企んでいるのやら。こっちから手の出しようは無いしな。想像もつかんが。ただの試験攻撃だったのかも知れんが、警戒は必要だな」
「やあねえ。軍人さんたら、戦の話ばっかり」
 レミアンがラーズスヴァンの髭を撫でるように触れると、ドワーフは笑っていた。
「シュベルタス、相変わらずこの娘は怖いもの知らずだな!」
「誰に似たのやら」
「お前の隠し子かと思っておったが、違うのか」
「人聞きの悪いことを言わんで下さい」
「いやだ司令官。私はマスターの友達。それ以上でも以下でもないんだから」
「がっはっは!」
 それからややあって、士官が一人、知らせを持って赤熊亭に入って来た。ハルトフォートの近郊で歪虚が攻撃を開始したとの知らせであった。すでに騎士と傭兵が戦闘に入ったが、アイテルカイト兵の猛攻凄まじく、近隣に被害が及びそうであるとのことだった。
「ジャックス」
「はい司令官」
 ラーズスヴァンの呼び掛けに、その場にいたジャックス騎士隊長が答えた。
「どうも形勢が不利のようだ。行って方を付けて来い。それから、リゼリオに連絡。至急ハンターたちを呼べ。ハンターを待てよ。無茶はするな」
「承知いたしました」
 ジャックス隊長は敬礼して出て行った。

 リゼリオ、ハンターたちの冒険都市。ハンターズソサエティのスタッフ、ソフィア・メイデルン(kz0177)は、リベルタースからの依頼を受けて、ハンターたちに状況を説明していた。
「ハルトフォート近郊でアイテルカイトの攻撃が始まったみたいです」
 ソフィアは、コンソールを叩いてモニターに依頼内容を映し出して行く。
「敵には指揮官がいるみたいですね。近くには町や村もあるみたいです。まだ地元の傭兵や騎士たちが食い止めてるみたい。急がないといけませんね! みなさん、宜しくお願いしますね!」
 ハンターたちは、事前情報を確認すると、リベルタースへ飛ぶのだった。

リプレイ本文

 岩井崎 旭(ka0234)が森の中を行く。
 今踏ん張ってる連中が崩れる前にさっさと片をつけねーと! ま、ぶつかり合っててそーゆータイミングなら、横とか後とか突っつきまわすには好都合だぜッ! ちらりと、後ろの黒耀 (ka5677)を見やる。
 ふむ…傲慢の方々、随分と活発になっているようで。まったく迷惑きわまりない。黒耀は周囲を見渡す。
 やがて――。
「こちら旭。黒耀とともに配置に着いた」
「了解旭」
「息詰まる攻防先てのは、嫌いじぇねえな」
「私も嫌いではありませんよ」
「しかしまあ……敵さんは、と……」
「旭はわくわくするのか?」
「ははっ、まあ、戦うのが嫌いじゃないってところだな」
「ふふ……デュエリストにとっての宿命を感じるな……」
「そうかい」

 熟練の傭兵エヴァンス・カルヴィ(ka0639)は柊 真司(ka0705)とソフィア・フォーサイス(ka5463)らと、戦場の東から侵入していた。
 銃撃戦の音が森の中から聞こえる。
 俺達が来るまで無茶をしないってのはいい判断だったな。この手の相手……特に集団戦とくりゃ傭兵の俺には慣れたもんだ。厄介な敵に変わりはねぇが、パパッと終わらせて酒場の美味い酒でも飲み交わしたいもんだぜ。エヴァンスは不敵に笑う。
「何か面白いことを考えているのかエヴァンス」
「お前はどうなんだよ柊」
「傲慢の眷属どもが、相変わらず派手な見た目しやがって。これ以上町に近づかれる前にぶっ飛ばしてやる。ふん、楽しくて仕方がない」
「そんなところだと思ったよ。ソフィア?」
 エヴァンスが金髪碧眼の娘を見やる。ソードダンサーのソフィア。
「大丈夫ですよ」
「ああ、ほら」
 エヴァンスが手を差し伸べる。
「ありがとうございます」
 ソフィアはエヴァンスの手を取ると、坂道をぐっと乗り越えた。
「柊。東班、位置に着く」
「了解柊」

 ハンター登録の為に国を離れたとは言え、我が忠誠を捧げる方はシスティーナ殿下ただ一人。故に王国の民ひいては王女殿下の庇護する民に仇なす輩に遠慮はしないよ。元王国騎士団の従騎士イーディス・ノースハイド(ka2106)。碧眼がアイスブルーの雷光を帯びる。
「にしても、このトランシーバーって奴は……この手の機械は苦手なんだ。もう少しボタンが減らないものかな……」
 イーディスは困った顔でトランシーバーと格闘する。
「それにしても……また傲慢の騎士モドキどもか、どうも縁があるようだのう」
 言ったのは狂戦士バルバロス(ka2119)。
「しかし、こう何度も何度もまみえるというのも 某かの縁でもあるのかのう? 最期まで面倒をみるとするか……あの騎士気取りの歪虚やその上司とやらも 楽しめそうな相手だろうしな」
「何だい? バルバロス君」
「いやな……先日も相見えてな。最近ここらでアイテルカイトが頻発しておる。何かの兆しなのかのう、とも思えてな」
「そうなんだ。アイテルカイトか……ベリアルを後退させたけど、イスルダ島で何かあるかな」
「ふむ……。バルバロスだ。位置に着いた」

 ステラ・レッドキャップ(ka5434)は南側から戦場に入り、前線に合流した。
「よお、どんなもんだい」
 ジャックス隊長に声を掛ける。
「一進一退。敵さんもなかなかやる」
「はんっ。調子に乗りやがって」
 ステラはオートマチック「イレイザー」とスナイパーライフル「バベル13」を持ちだした。
「ライフルや弓を持った猟撃士の傭兵五名はオレと動きを合わせてくれると助かる」
「分かった。ちょっと待て」
 隊長の指示で、イェーガーの傭兵たちが集まってくる。
 ステラは頷いた。
「よおし、まずは索敵が最優先だ。オレが先行するぜ。連携頼む」
「分かった」
「例え他の味方が敵の指揮官を倒せても、少数の敵が町に入る事になればコッチの負けだ。派手さの無い地味な仕事だが、それでも俺達が居る事で、前で戦う味方の安心に繋がるんだ。気を引き締めろよ」
「ラジャー」
「ラジャーかよ」
 ステラは笑った。
「ステラ。位置に着いた。支援銃撃は任せとけ」

「攻撃開始」

「しゃあ! 行くぜ!」
 エヴァンスがゴースロンを加速させる。森の地形を強引に踏破していく。
 柊も魔導バイクを加速させた。マウンテンバイクのようにでこぼこ地形を加速する。
「とりあえず一番派手そうなのが指揮官連中かな?」
 ソフィアも戦場を駆け抜ける。柴犬がソフィアの前を行き、主の危険を嗅覚で嗅ぎわける。
 エヴァンスのテンペストが風を纏う。
「おおおおおらああああああ!」
 最初に遭遇した歪虚兵の首を刎ね飛ばす。
「シャラップ! 俺はこっちだ! 歪虚どもが!」
 加速するエヴァンス。背後を突かれた歪虚に混乱が走る。
 歪虚の銃撃が来る。エヴァンスは直撃を受けるが、果て無き闘争への欲求で回復して構わず加速する。
 柊は全弾かわしながら突進した。
「それじゃまおっぱじめるか。行くぜ! ファイアスローワー!」
 ディファレンスエンジン「アンティキティラ」の歯車が回転する。紅蓮の炎が放射され、歪虚を焼き払う。
 ソフィアも柴犬と連携して森の中を進む。
「よーしよしいい子」
 歪虚を発見し、ソフィアは木陰から切り掛かった。電光石火の一撃。
「どこ見てるの! こっちだよ! ってこっち向かなくていいよ! そのまま倒されてて!!!」
 ザン! と歪虚は切り裂かれて倒れた。
「てい!」
 ソフィアは止めを刺した。

 ダダダダダン! と、旭を直撃する銃弾。
「構うこたあねえ。リジェネで回復! 黒耀! 援護頼むぜ!」
「承知」
 突撃する旭。
「デュエルカード、五色光符陣!」
 五枚の符が舞い、光が炸裂する。五色結界が歪虚を焼き払う。
「そらそらそらそらあああ!」
 旭が加速し吼え猛る爆突風。ハルバードで突進し、歪虚兵を薙ぎ払う。
「お前、空は好きか? 鳥になりたいと思ったことは? はっはあ!」
 歪虚兵は吹っ飛び無に帰した。
 そのまま加速する二人。

 バルバロスも銃撃を受けても構わず突進していく。
「ぶるううああああああ!」
 ギガースアックスを振り下ろし、歪虚を打ち砕く。
「細かい戦術など無用だ。本気を出すまでよ!」
「それでは私も行くとしようか!」
 イーディスはゴースロンに鞭を入れた。愛騎が突進し、ランスチャージ。歪虚兵に激突。そのまま刺し貫いた。ぶん! と歪虚兵を投げ捨てる。
「バルバロス殿!」
「参るぞ! イーディス!」

「始まったな」
 ステラも銃撃を開始する。射程最大でスナイパーライフルを叩き込む。照準の先に捕える歪虚。
「良い子にしてな。苦しまずにあの世へ送ってやるぜ。歪虚にあの世があるならな」
 ドウ! 放たれた弾丸は木々の間を抜けて、歪虚兵を貫通した。倒れる歪虚兵。
「味方も踏ん張ってくれよ。さて……次……!」
 照準を合わせる。
「カモンベイビー」
 ドウ!

「人間か……!?」
 歪虚コマンダーが驚いた様子で振り返る。
 エヴァンスが猛然と突進してくる。薙ぎ払いで歪虚兵の首を刎ね飛ばしながら、突進してくる。
「おのれ……! 撃て!」
「やってきましたよエヴァンス様がなあ! ほら! こっちだ歪虚! そしてさようなら!」
 エヴァンスは歪虚コマンダーに突撃した。コマンダーは抜刀した。ガキイイイイン! テンペストと激突する大剣。
「やるなあ! 気に入ったあ!」
 コマンダーと十合にわたって打ち合い、ここぞとばかりにカウンターを決める。ドス! とテンペストがコマンダーを貫通する。
「お遊びはこれまでだ! ぬん!」
 薙ぎ払いを一閃。コマンダーの胴体を両断した。
「とりあえず一番派手そうなのが指揮官連中かな?」
 柊もコマンダーに狙いを定める。コマンダーはライフルらしきもので応射してくる。漆黒の飛翔体が柊をかすめる。
「当たるものかよ」
 柊はバイクを操り、ファイアスローワーを叩き込む。コマンダーは苛立たしげにライフルを連射する。柊は胴体部に銃弾を浴びた。
「ちっ!」
 そのまま突進。コマンダーは抜刀した。
「切り捨ててくれるわ!」
「しゃらくさい」
 柊は攻性防壁を展開してコマンダーを弾き飛ばした。光の障壁で吹っ飛ぶコマンダー。
「うん? 上手く麻痺ってくれたか。これでもくらいな。とびっきりの炎だ。その傲慢な顔、真っ赤に燃やしてやるよ」
 威力重視のファイアスローワーで焼き払った。コマンダーは灰と化した。
「お二人とも強いですね……!」
 ソフィアは戦場を駆け抜ける。
「私は奇襲攻撃で行きますよ!」
 注意がそれた歪虚兵に切り掛かっていく。
「そのままぼーっとしてなさい!」
 電光石火で歪虚兵の足を切り裂く。歪虚は咆哮して崩れる。反撃の一打を受け止めるソフィア。
「ぐぬぬぬぬ……えい!」
 鬼神大王で押し返し、歪虚兵を蹴飛ばす。
「電光石火あ!」
 駆け抜け、太刀を突きだす。ザン! と刀身が歪虚を貫く。
「ふう……。まだまだ……!」
「ソフィア!」
「柊さん!」
「敵は背後を突かれて大混乱だ。このまま行くぜ」
「はい! 押しつぶしましょう」
「よっしゃ。ここのボスは片付けたが……」
「柊さん、怪我は無いですか?」
「ああ。あんがとな」

 旭はシーザーを駆り、右に左にハルバードを振るい、歪虚兵を沈めて行く。
 黒耀も風雷陣で援護射撃。
「カードスロット! 風雷陣!」
 符が稲妻と化し、歪虚兵を貫通する。森の中を見渡せば、黒衣の影がまだ点在している。銃撃が聞こえる。
「まだまだのようですが……旭さん!」
「行くぜ黒耀!」
 そこへ、上空からコマンダーが木の上から切り掛かって来た。
「黒耀!」
 旭がハルバードで受け止めた。
「てめえは!」
「好き勝手にはさせんぞ人間どもが!」
「ボスキャラか!? 良い根性してんなあ! 相手にとって不足なしだぜ! シーザー!」
 旭は突進した。
 黒耀は距離を保つと、
「カードスロット! 五色光符陣!」
 すぐさま結界を展開した。光の結界がコマンダーを束縛する。
「ぐあああああ……!」
「てめえ空は好きか!」
 ドゴオオオオオ! 爆突風がコマンダーを吹っ飛ばす。
「おのれ……!」
 よろめき立ち上がるコマンダー。
「容赦なく撃ちまくる。カード、風雷陣!」
 稲妻が歪虚を貫通する。
 続いて、旭のワイルドラッシュ。
「侵略すること火の如くってなあ!」
 連撃を浴びせる旭。コマンダーは旭に切りつけた。切り裂かれた旭をリジェネが回復する。
「効かねえなあ! その程度じゃな!」
「しぶとい……さらに五色光!」
 黒耀が更に一撃。
「そしてえ! ワイルドラッシュ! だりゃあ!」
 旭のハルバードがコマンダーの首を刎ねた。
「お見事」
「よし! 行くぜ黒耀! こちら旭! 戦況を確認!」

「ぶるううううああああ!」
 加速するバルバロス。全力全壊で歪虚を粉砕していく。
 一方で愛騎とともにランスチャージで次々と歪虚兵を沈めて行くイーディス。
 その行く手に立ち塞がる歪虚コマンダー。豪奢な戦闘服と、巨大な鉄車を持っている。
「ぐぬぬぬぬ……手強い……」
「君がここのボスか。私はイーディス・ノースハイド。未熟なれど騎士のはしくれ。いざ……勝負だ! 行くぞ!」
 イーディスはランスチャージを仕掛けた。
 歪虚コマンダーは鉄車から黒い飛翔体をばらまいた。イーディスは直撃を受けるが、マテリアルヒーリングで回復していく。
 バルバロスがコマンダーの側面に回り込んでいく。
「ああああああああ!」
 イーディスは咆哮して加速した。激突。ディバインランスがコマンダーを貫通する。
「ご……!」
「ぬん!」
 イーディスはそのままランスを押しこんだ。
「ぶるうううあああああ!」
 バルバロスが野獣のように飛びかかる。全力全壊。コマンダーは剣を振り回したが、その腕を吹っ飛ばす。
 イーディスはさらにそのままランスチャージ。槍に突き刺したまま、大木に歪虚を叩きつけた。ドゴオオオオ! と大木に磔にされる歪虚コマンダー。イーディスはランスを引き抜いた。
 膝を突く歪虚コマンダー。
「ふん!」
 バルバロスが全力全壊でその頭部を撃砕した。

 戦況をトランシーバーで確認していたステラは、そのまま匍匐前進する。
「こっちも進める必要があるな」
 ステラは傭兵たちに合図を送り、前進していく。
 神経を研ぎ澄まし、照準の先に現れる敵兵を一匹、また一匹とスナイパーライフルで沈めて行く。
 まだばらばらと歪虚兵が蠢いている。
「敵さんはまだやる気だな」
「こちら……エヴァンス……! 敵の背後……を……突破した……!」
「了解エヴァンス。こっちも前進する」
 歪虚兵を沈めながら、ゆっくりと進むステラ達。そうする間にも歪虚兵を沈めて行く。
「ん?」
 違和感を覚えたステラ。オートマチック「イレイザー」を抜いた。
 歪虚兵が視界に飛び出してきた。バン! とイレイザーを叩き込む。ダダダダダン! と味方の集中放火で歪虚は沈んだ。
「さあて……と」
 スナイパーライフルに持ち替えたステラ。照準からぴたりと歪虚兵を狙う。すっと、歪虚兵がこちらに銃口を向けてくる。その瞬間、トリガーを引いた。ドウ! 弾丸が歪虚兵を貫通。カウンタースナイプ。
「猟撃士に銃を向けるなんて、百年早いぜ?」

 リベルタース軍は反転攻勢に転じた。掃討作戦である。ハンターたちの活躍で、歪虚兵らは壊滅的な打撃を受けていた。それにハンターも加わり、歪虚は全滅した。

 ……戦闘終結後、報告のためにハルトフォートに立ち寄ったハンターたちは、赤熊亭でラーズスヴァンと会う。
「がっはっは! そうかそうか! 大勝利か! そいつはめでたい!」
「ハンターのみなさん、お疲れ様」
 レミアンがグラスにアルコールやジュースを入れて運んでくる。未成年者にアルコールを出すわけにはいかないので、ワイングラスを手に取ったのは黒耀、バルバロス、柊、エヴァンスらである。旭とイーディス、ソフィアにステラはジュースで祝杯。
「中々良い戦いだったな。ノーダメージで終わったか」
「完勝ってやつだな」
 ピアニストが演奏を開始する。ピアノの音が、ハンターたちの心を癒す。ハンターたちはしばし音色に聞き入り、静かに飲んだ。
「おっさん良い趣味してんな」
 旭がラーズスヴァンに言うと、司令官は笑った。
「ふ……懐かしいのう。こういうことも、あったか無かったか……わが友よ」
 バルバロスはワイングラスをあおった。
「大砲作ってるんだって?」
 エヴァンスが問うと、ラーズスヴァンは肩をすくめた。
「王国上層部に変人扱いされておるからの」
「まあ……何だ。刻令術の報告書で……何か面白いやつが上がっていたよな」
「あれか……。進んではいるがな」
「レミアンさんて、どこから来たんですか?」
 ソフィアが問うと、レミアンは笑った。
「どこか。遠いところ。あなたは?」
「私はリアルブルー。日本と言う国からやってきて~……」
 そうして時間は過ぎていく。
 戦いは終わった。ハンターたちはリゼリオに帰還する。完全勝利であった。

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭(ka0234
    人間(蒼)|20才|男性|霊闘士
  • 赤髪の勇士
    エヴァンス・カルヴィ(ka0639
    人間(紅)|29才|男性|闘狩人
  • オールラウンドプレイヤー
    柊 真司(ka0705
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 鍛鉄の盾
    イーディス・ノースハイド(ka2106
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • 狂戦士
    バルバロス(ka2119
    ドワーフ|75才|男性|霊闘士
  • Rot Jaeger
    ステラ・レッドキャップ(ka5434
    人間(紅)|14才|男性|猟撃士
  • 無垢なる黒焔
    ソフィア・フォーサイス(ka5463
    人間(蒼)|15才|女性|舞刀士
  • 千の符を散らして
    黒耀 (ka5677
    鬼|25才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
イーディス・ノースハイド(ka2106
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2016/03/01 17:59:49
アイコン 質問卓
ステラ・レッドキャップ(ka5434
人間(クリムゾンウェスト)|14才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/02/29 15:54:47
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/28 23:25:38