【壊神】破壊の光、シヴァの宣戦布告

マスター:草なぎ

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/03/17 09:00
完成日
2016/03/25 02:52

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

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オープニング

 グラズヘイム王国西方リベルタース。旧伯爵領城下町、ラマヤナ。すでに伯爵はこの危険な地域を破棄している。しかし、いまだ城下町には千人の人々が歪虚の攻撃に晒されながらも暮らしていた。リベルタース地方の騎士たちが数十人詰めていて、町を守っていた。そんなある晴れた日……。

 少年はふと空を見上げた。光が降ってくる。
「お母さん」
 年端もいかない少年は、母の袖を引いた。
「お星様が降ってくるよ」
「お星様?」
 母親は空を見上げた。
 町のあちこちで、人々は空を見上げていた。
 そして――。

 閃光がラマヤナの町に降り注いだ。光と爆発が町を貫き、全てを焼き払った。一瞬のことだった。ラマヤナの町は灰塵と化した。
 閃光の先、はるか上空、歪虚が浮遊していた。黄金の外衣を纏い、金の長い髪を伸ばした眉目秀麗な男性の姿をして角を生やしている。額に、第三の目が開いている。閃光を放った張本人、上級歪虚。名をシヴァと言った。
「力は十分だな。宣戦布告としても十分だろう」
 シヴァはそれだけ呟くと、身を翻した。イスルダ島に帰還する。

 帰還したシヴァを、金髪の女性歪虚が待っていた。
「シヴァ。吉報よ」
「パールバティ。本当に良い知らせか」
「魔槍トリシューラが見つかったわ」
「それは良い知らせだな。先の大戦で失ってから、随分と探したからな。で、どこにあった」
「リベルタース沿岸。海の中よ。雑魔が発生していたけれど、人間たちもそれくらいじゃ気付かなかったみたいね」
「そうか。先の大戦で私の腕を撃ち抜いたあの騎士。殺してやったが、こうもトリシューラを探すことになるとはな」
「トリシューラの回収には私が行くわ。誰か……人間の目を欺く陽動に動いてもらわないと」
「では、カーラネミに行かせよう」
「そう。ではそのように」
 パールバティはシヴァの前を辞した。

 黒髪の黒衣の戦士がいた。シヴァ麾下の女戦士、カーラネミである。パールバティから事の次第を確認すると、カーラネミは笑った。
「そうか。シヴァ様が動かれたか。トリシューラも見つかるとは重畳極まりない」
「私は魔槍の回収に向かうわ。あなたには派手に暴れて来て欲しい」
「任せておけパールバティ。久しぶりの戦場……腕が鈍っていたところだ」
「頼んだわよ。兵隊は適当に連れて行って」
「承知した」

 ハルトフォート砦。物見台から、ラマヤナの街を焼き払った「破壊の光」を確認していた司令官のラーズスヴァンは悪態をついた。
「あの野郎! シヴァか!」
 シヴァは六年前の大戦でも、「破壊の光」によって幾つものリベルタースの町や村を焼き尽くした。その暴虐な残虐性から王国からは「破壊神」とあだ名された。
「くそが! また忙しくなりそうだな!」
 ラーズスヴァンは物見台から降りて行くと、士官や実戦部隊の傭兵隊長や騎士隊長を集めた。
「シヴァの野郎、またおっぱじめやがった」
「先ほどの……あれですか」
 すでにラマヤナに救援部隊が向かったが、生存者がどれだけいることか……。
「なぜ奴がハルトフォートを直接狙ってこないか分かるか。王国上層部にとって、軍事拠点一つ攻撃されることなど大したことではないが、町一つ消滅したとなると話は別だ。人心に与える影響いかほどか。イルダーナのトップニュースになるぞ。シヴァの野郎、そこまで読んでやがる」
 指揮官たちが重々しく吐息する。
 そこへ兵士が駆けこんで来る。
「イスルダ島からの攻撃です! 上空、次々と歪虚が飛んでいきます!」
「敵もどうして動きが早い!」
 ラーズスヴァンは指令室から飛び出して行った。
 再び物見台に上る。
 黒い巨大な怪鳥型歪虚に乗った歪虚戦士達がハルトフォートの上空を飛んでいく。
 カーラネミは笑声を発してラーズスヴァンの上空を旋回した。
「砦の上はもぬけの殻だな! 遠慮なく背後の町に行かせてもらうぞ! はっはっは!」
 カーラネミは飛び去った。
「くそったれ」
 ラーズスヴァンは指令室に戻った。
 すぐさま傭兵と騎士たちを手配する。

 ……その頃。ハルトフォートの外では、軍務省のアリアが兵器部門から引き抜いてきた大砲オタクの若者ベルトハイムと、魔導砲関連分室担当ユゼリウスが、完成した魔導砲ゼロ号機を設置していた。上空を行く歪虚を何事かと見やる一同。
「物騒なところだなあ……」
 ベルトハイムはおっかなびっくりで空を見ていた。
 後装式十二ポンド魔導砲ゼロ号機。リアルブルーの十九世紀のものと酷似している。
 ユゼリウスは「とにかく始めよう」と言って、ベルトハイムを促した。
「僕の設計にミスは無い」
 ベルトハイムは言いきった。
 アリアは面白そうにその様子を見ていた。
 砲兵が魔導砲を操作する。
「ファイア!」
 ドカン! 榴弾が飛び出した。直後、魔導砲は暴発した。砲兵達は吹っ飛んだ。
「おかしいなあ……」
 ベルトハイムはせき込みながら、魔導砲の残骸に歩み寄った。こちらは前途は多難である。

 しかし、今、リベルタースはそれどころではない。緊急事態に見舞われていた。ラマヤナの町の消失。破壊の光。それは破壊神シヴァの宣戦布告であった。
 カーラネミがリベルタースの町に襲い掛かる。
 ハンターオフィスにも依頼が飛ぶ。ハンターたちは急ぎリベルタースへと飛ぶことになるのであった。

リプレイ本文

 ハルトフォートは喧騒に包まれていた。兵士達は殺気だっていた。民間人は意外に冷静だったが。
「あんた」
 市場の娘から声を掛けられたラン・ヴィンダールヴ(ka0109)は、手にしていたリンゴを戻すと娘に視線を向けた。
「傭兵かい? 歪虚が攻めて来て……どうなるのかね」
 ランは娘の視線に思考を巡らせ、そして口を開いて彼女に言った。

 数時間前――。

 戦場に到達するなりナンパを始めた男がいる。ランである。レベッカ・アマデーオ(ka1963)に言い寄る。
「いいだろレベッカちゃん? 仕事が終わったらご飯でもいこうよ」
「ご飯くらいなら付き合ってやってもいいが……」
「ほんとに~?」
 それからレイレリア・リナークシス(ka3872)に声を掛けるラン。
「レイレリアちゃんもどう? 一緒に行かない?」
「え? 私ですか? そうですね……皆さんと一緒なら楽しそうですが……」
 シャキーン! と、サーベルがランの喉に突きつけられた。マッシュ・アクラシス(ka0771)であった。
「ちょっとサーベルの切れ具合を試しておこうかと思いましてね。手が滑りました」
「またまた……」
「そのお食事会とやら、僕も行って良いですか?」
 言ったのはライガ・ミナト(ka2153)。
「何だよラン。言ってくれればオレも参加するんだぜ。鬼族代表としてな」
 万歳丸(ka5665)はにかっと笑った。
「そうですねえ。万歳丸君が参加するなら僕も行って良いかな」
 テノール(ka5676)が言うと、天道 遮那(ka6113)も口を開いた。
「ではせっかくの機会ですし、僕も行きましょうかね」
「海賊をナンパするなんざ勇気のある奴だ……」
 バン、と言ってレベッカはランを撃つ真似をした。

 リベルタース軍とハンターは合流した。隊長達がハンターに歩み寄ってくる。
「一人とんでもない奴がいる」
「歪虚ですか?」
 遮那の問いに、隊長は頷いた。歪虚の名をカーラネミと言うらしい。凄腕らしく死人が出ていた。
「カーラネミ……?」
 遮那の心はざわめく。
「シヴァにカーラネミ……。リアルブルーでは破壊神や魔物として有名だけど、僕の信仰している仏教だと大黒天や大自在天、羅刹天に当たる。その名を語った以上、彼らは僕にとって不倶戴天の宿敵……仏敵だ。仏教を信仰する身として、密教僧として調伏するまで」
 万歳丸は隊長に言った。
「オレらハンターはそのやばそうなカーラネミに対応しよう。騎士隊には地上歪虚兵士、傭兵隊は空の怪鳥の対応を頼むぜ。あとは、一部不足部分、掃討作戦などあればオレらも向かう」
「よし、では頼むぞハンター」
「ちょっといいかな」
 テノールが進み出た。
「少し案がある」
「何だ。言ってくれ」
「まあ、多数戦の基本的なことだ。敵一体に対して数人で、その瞬間瞬間の局所的に敵より多い場面を作り敵の数を減らすこと。それから、遠距離を積極的に仕掛けて敵の足並みを乱すこと。伝えたいのはこの二点だね。 敵の数が多い以上、闇雲に突っ込んだら数で負けるからね」
 具体的には、とテノールは続けた。
「ソウルトーチが使える人や頑丈な人を狙いやすいような状況に見せかけて敵を誘い、集まって突っ込んできたヤツらを、それ以上の人数で迎え撃ったり範囲系の攻撃でまとめて攻撃とか、かな。突っ込んだらやられると思わせたら、動きも鈍くなり数の有利不利も少しはマシになるはず」
「ソウルトーチは使えそうだな。やってみよう」
 隊長は頷き、戦場に向かって行った。ハンターたちも町に入る。

「雑魚に用は無いんだけどね」
 ランは舞い降りてきた怪鳥を串刺しにして投げ捨てた。
「また大層引き連れて……結構な事ですね。一体斬ってお代は如何ほどですか。最低でも、カーラネミさんとやらはこの辺で始末したいところです。後まで残すと面倒そうなもので……」
 マッシュは歪虚兵を切り捨てた。そして、屋根の上を駆け抜けるレベッカをちらりと見やる。海賊のアルケミストはカーラネミを探して屋根から屋根へ飛び移っていた。
「おろ、インド神話の連中を模した敵か、インド武術とか研究した時に序でにその辺のも調べたことあったけど、すげーチート集団だったよな。そのチート連中みたいな能力持ってないだろうなこいつも……。カーラネミねえ……。やり合う分には面白そうな相手だが、どうにも俺じゃ敵いそうにないんだよな。短期決戦で決めるにしてもフォロー役は要るわけだ……となると、やはり雑兵相手が一番確実か」
 ライガはオートマチックを連射して、歪虚兵を撃ち抜いて行く。
「出し惜しみをしている場合ではありませんね。殲滅させて頂きます」
 レイレリアは、住民がいないことを確認してからファイアーボールを投げつけた。火球は炸裂して歪虚兵を薙ぎ払う。マギステルの破壊魔法が炎となって吹き荒れる。
「覇亜亜亜亜亜ッ!」
 万歳丸の気勢が解き放たれる。その拳の一撃を受けて吹っ飛ぶ歪虚兵。だっ、と駆け出し、ジャンプした万歳丸は、そのまま上方から地面の歪虚兵に拳を叩き込んだ。貫通。歪虚兵は闇に還元して消失する。
「破壊神シヴァ。リアルブルーの宗教に出てくる名前だっけ? 向こうの人が名付けたのか向こうの人が歪虚になったのか、少し気になることではあるな」
 テノールは言いつつ、拳を歪虚兵に叩き込む。舞い降りてきた怪鳥に手刀を撃ち込み、前進する。
 遮那は仲間たちの後ろから進んで行く。回復役がやられてしまったら元も子もない。とは言え歪虚が敵を選ぶわけでも無く、怪鳥が舞い降りて襲い掛かってくる。遮那は降魔刀で切り捨てた。
「見つけたよ!」
 レベッカは、その歪虚を見つけた。一回り大きい歪虚戦士。女……であろうか。漆黒の甲冑を身に付けている。二刀を抜いて、歩いていた。今まさに、倒れ伏した老人に刀を振り上げていた。レベッカは大弓「吼天」を引き絞ると、矢を放った。
「そっちが喧嘩売ってきたんだ。ケツまくって逃げようとしたって許さないよ」
 放物線を描いて飛んだ矢は、カーラネミの背中に突き刺さった。上級歪虚は腕を下ろすと、矢を引き抜いて、ゆっくりとレベッカの方角を見た。
「みんな! カーラネミを見つけた!」
 ハンターたちは駆けだした。
 遮那はライガに不空成就如来護法呪と阿しゅく如来退魔呪を掛けておく。
「カーラネミと戦い始めると、多分そっちへのサポートは無理だ。すまないけど、この二つで当座を凌いで!」
「助かる」

 ライガは殿を務める。迫りくる歪虚兵に立ち向かう。
 異形の顔で咆哮しながら剣を持ち上げ、接近してくる。その数三体。
「三体か……数は多い分囲まれると厄介なんだよな、こういうのは」
 歪虚兵が突進してくる。ライガは腰を落とした。最初に飛びかかって来た歪虚兵の打撃をさばいて後退する。続いて突撃してくる歪虚兵の突きを弾き返した。三つ目の側面からの攻撃に、ライガは鎧で受け止めた。
「ちい……!」
 ライガは虎徹を振り下ろし歪虚兵を殴り倒すと、横に逃げた。突きを止められた歪虚が加速する。ライガはその一撃を止める。続いて襲いくる最初の歪虚の打撃も籠手で受け止める。ライガは踏込から強打で歪虚兵を薙ぎ倒すと、後退した。残る一体がライガに迫りくる。ライガは転がるようにかわした。そのままさらに後ろに逃げるライガ。追いすがる歪虚兵。敵はチャージしてくる。直撃を受けるライガ。
「にい……!」
 渾身撃を振り下ろした。歪虚兵が崩れ落ちた。
 残る二体が突進してくる。連撃を弾き返したライガは前に突進した。歪虚兵は虚を突かれ態勢を崩す。反転したライガは片方に渾身撃を撃ち込んだ。歪虚を両断する。
 残る一体と睨み合うライガ。歪虚兵はうなり声を上げ、ソニックブームを放ってきた。ライガは直撃を受けたが、加速して踏み込んだ。強打を撃ち込む。歪虚兵の腕を切り落とす。歪虚兵は体当たりして来た。ライガは歪虚兵の腕を掴んで地面に倒れた。噛みつこうとする歪虚の首を片手で押し返しながら、ライガは虎徹を突き出した。歪虚の頭部を貫く。歪虚兵は闇に還元していく。
 さらに歪虚兵がやってくる。仲間たちの方を見やる。
「……こっちもいつまで持つか」

「んー、女の子と戦うのは、嫌なんだよねー?」
 ランはカーラネミに言った。
「ねぇ、カーラネミちゃん、ハンター側に来る気とか、ないー?」
 美しい上級歪虚の顔が緩む。
「面白い奴だな。シヴァ様麾下の私に、人間に下れと? 笑えるジョークだな」
「そっかー……じゃあ、やっぱり戦うしかないんだねー……?」
 ランは心底残念そうであった。マッシュは僚友の節操のなさにめまいを覚えつつ、吐息した。
「よくあれに食指が動きますねランさん……」
 マッシュは言いつつ、すでにカーラネミの動きに注視していた。
 レベッカは銃口を屋根の上から向けながら、カーラネミに言葉をぶつけた。
「街ひとつ消し飛ばしたらしいじゃん。随分派手にやらかしてくれるね。リアルブルーの神様だかなんだか知らないけどさ……神だからって何やってもいいとかお門違いもいいトコなんだよ!! お前もそうだ狐野郎。ご主人様の威があるからデケェ態度してられんだろ。何が神だ。何が上級だ。テメェ等みたいな外道にあたしらが負ける道理はねぇ」
 カーラネミは笑っていた。
「お前たちはゾフィルシアとバルマングルドを倒したそうだな。さすが……と言いたいものだが……」
 レベッカの知らない名だ。どこかの報告書に出ていただろうか……。
 レイレリアは八卦鏡「止水」に手をかざしてスリープクラウドを解放した。青白い雲がカーラネミの周辺を包み込む。しかしカーラネミは不思議そうにガスを見やり、軽く眉をしかめた。普通完全な歪虚にスリープクラウドは効かない。レイレリアは再度試してみたが、効果は全く無かった。
「王国の仇敵、ねェ。礼儀のなってねェ踏み散らかし――嫌いなンだよ。てめェみたいなのは」
 万歳丸は拳と掌を打ち合わせた。
「おい妖怪女ァ! 俺ァ怪力無双、万歳丸だ! 大将首と見た! いっちょ派手に打ち合おうじゃねェか!」
 カーラネミは手を持ち上げると、指をくっと曲げて見せた。
「来るがいい、人間。闘争心は嫌いではない」
 テノールは万歳丸の側で構える。遮那は後方で待機していた。
 カーラネミは二刀を持ち上げた。刀を交差させると、そこからゆっくりと二刀を構えた。ぼうっと、黒いオーラが立ち上る。
「では、屈服せよ人間たち」
 そのカーラミネの一言が、ハンターたちの心を蜃気楼のような言霊となって強烈に揺さぶった。しかし、ハンターたちは「それ」を跳ね返した。
 そして、カーラネミは「消えた」。そして――。気がついた時にはハンターたちはなぎ倒されていた。無事だったのは後方にいた遮那とレイレリア、屋根上のレベッカ。
「何……だ!?」
 万歳丸は血を地面に吐き捨てると、立ち上がった。
「今のは……」
 テノールは思考した。ランもマッシュも切り裂かれて出血していた。
 そしてまた、衝撃が来た。前衛の四人が再びなぎ倒される。
 テノールが辿りついた結論。この歪虚は時間を操っている。かなりの上級スキルと見た。そのことを手短に仲間たちに告げる。
「そこ!」
 レベッカが銃弾をカーラネミの顔面に叩き込んだ。
「オン・アボキャ・シツデイ・アク!」
 遮那の真言で万歳丸とテノールの防御が上昇する。続いて、印を結ぶ。
「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ!」
 仲間たちの大ダメージを回復していく。
 ランは加速した。
「みんな、下がってー? ちょっとの間、頑張って押さえてみるから、早く回復してもらってねー? あ、マッシュ君はできれば一緒に戦ってもらえるとうれしいなー。あはは」
「やれやれ……」
 マッシュも突進する。
 レベッカが支援銃撃。レイレリアは印を結ぶと、青薔薇の焔矢を撃ち放つ。青く燃える炎の矢が一閃。カーラネミを貫通し、炎が薔薇の形に広がり炎の花びらが舞う。
「動くなああ!」
 レベッカは連射した。レイレリアも焔矢の連弾。
「からくりが分かりゃおとなしくしてねえ!」
 万歳丸とテノールは縮地で爆ぜた。ランとマッシュを追い抜いて行く。
 カーラネミはタイムストップではなく正面から受けた。
「羅羅羅羅羅ァ! 万歳丸様はお怒りだ!」
 カーラネミのダブルアタックを受け流して投極《天地開闢》。
「呵呵ッ! てめェの天地は俺が決める! 吹ッ飛びなァ!」
「にっ!?」
 カーラネミの視界が反転する。地面に叩き付けられた。そこへテノールが襲いかかった。老龍固。がっちりと関節を極めた。
 ランとマッシュはそこへワイルドラッシュと渾身撃を撃ち込む。
 テノールの老龍固が「完全に」入っている。
「――『因果報応』、アンタの結びだ。有難く頂戴しなァ!!」
 万歳丸はハンマーに持ち替え、黄金撃≪螺旋≫を叩き込む。螺旋の気功がハンマーから爆ぜると、カーラネミを貫いた。
 不意にカーラネミの姿が変容していく。美しい光り輝く少女の姿に。
「私を殺すの!?」
 カーラネミは涙を流していた。
 テノールの力が微かに緩んだ。不覚。
 カーラネミが消えた。全員とにかく飛び退った。
 いた!
 レイレリアが青薔薇を撃ち込んだ。レベッカも銃撃開始。
「オン・アキシュビヤ・ウン!」
 遮那は来たる心理攻撃に備えて真言を解放。
 少女に変容した光り輝くカーラネミ。
「殺すっていうのこの私を!?」
 強制の心理的揺さぶりが来る。
「その通りだカーラネミ!」
 万歳丸は縮地から再びカーラネミを投げ飛ばした。テノールが再び老龍固。今度は離さない。
「悪いね」
「めんどくさいですね」
 ランとマッシュが連打を浴びせる。・
 カーラネミは女戦士に戻った。
「畜生! 離せ! 人間どもが!」
「どちらが真実の姿かは問題ではありません……。歪虚なのですから」
 レイレリアは青薔薇を撃った。
 全方位から連撃を浴びるカーラネミ。遂に崩壊する。咆哮して、闇に還元していく。

 カーラネミの咆哮は町に響き渡った。ライガに切りつけていた歪虚の手が止まる。歪虚兵は咆哮すると怪鳥を呼び寄せ次々と逃げ出した。

 レイレリアは手近で見ていた老人に歩み寄った。
「大丈夫ですか?」
 手を差し伸べるレイレリア。
「終わりましたよ」
 老人は立ち上がった。
「ありがとうございます……。寿命が縮まりましたわい」
 レイレリアは微笑んだ。
「行きましょう」
 かくして戦いは終わった。

 ハンターたちはハルトフォートに帰還した。ランは市場を物色していて、野菜売り場の娘から声を掛けられていた。ランは心配する娘に言った。
「戦いはさっき無事に終わったところだよ。僕はハンター。良かったら、食事にでも行かない?」
 娘はやや驚いた様子で、そして微笑んだ。
「そのリンゴ、サービスするわ」
「ありがとう」
「また来て。夕方にでも」
「分かった」
 ランはリンゴを手に取ると、踵を返した。

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重体一覧

参加者一覧

  • 皇帝を口説いた男
    ラン・ヴィンダールヴ(ka0109
    人間(紅)|20才|男性|霊闘士
  • 無明に咲きし熾火
    マッシュ・アクラシス(ka0771
    人間(紅)|26才|男性|闘狩人
  • 嵐影海光
    レベッカ・アマデーオ(ka1963
    人間(紅)|20才|女性|機導師
  • 激しき闘争心
    ライガ・ミナト(ka2153
    人間(蒼)|17才|男性|闘狩人
  • 六水晶の魔術師
    レイレリア・リナークシス(ka3872
    人間(紅)|20才|女性|魔術師
  • パティの相棒
    万歳丸(ka5665
    鬼|17才|男性|格闘士
  • ―絶対零度―
    テノール(ka5676
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
  • 仏道を歩む者
    天道 遮那(ka6113
    人間(蒼)|18才|男性|聖導士

サポート一覧

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/03/16 20:32:27
アイコン 宣戦布告返し!
万歳丸(ka5665
鬼|17才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/03/15 22:48:39