【紅空】Material fuel

マスター:蒼かなた

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/03/23 12:00
完成日
2016/03/29 23:27

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●交渉と商談と雑談と
「正直に言って、現状のままでは我らが希望の改良は難しい」
 地球連合が飛行機開発掛ける予算は正直言ってない。加えて資源不足な所為でまともな資材すら揃わない。
 試作機である『アース・ホープ』を数機作っただけで資金は殆ど底を尽きた。維持費だけでも火の車な状態だ。
 そんな状況を打破すべく、トーマス・W・ヴィンチがやってきたのは商業管理事務所『ゴルドゲイル』のオフィスだ。
「それで私の助けが必要と。そう仰るのですね?」
 アンティークな品々に囲まれた応接室で、トーマスの正面に腰かけている物腰柔らかなスーツ姿の男。彼こそが辺境の商人ギルドのトップ座に着いているノールド・セッテントリオーネだ。
「一応形にはしてみせたしね。期待は裏切らなかっただろう?」
「ええ、まさかあの鉄鳥の亡骸からあのように空を飛ぶ鳥が生まれるとは。非常に驚かされました」
 全ての始まりは半年程前、ノールドが倉庫で眠っていた鉄鳥の亡骸――飛行機の残骸をトーマスへと届けたことから始まった。2人にとっては記憶に新しい出来事だ。
「開発資金に関しては多少融通はできますよ。しかし、それだけならばヴィンチ様が直接いらっしゃるはずがありませんね」
「それくらいなら手紙で済ませるからね。今回はお金じゃ手に入らないものが欲しくて来たんだよ」
「ほう。しかし、金銭で取引できないものなど我が事務所では扱っておりませんよ? 何せ、私は商人なのですから」
 にこりを笑ったままノールドはそう返した。トーマスもそれに合わせるように笑みを浮かべたまま、数秒の間2人の視線が交わり続ける。
「ところでヴィンチ様、ご存知ですか? この世界には燃えない油があるのです」
「おや、それは不思議な油があったものだね。どんなものなんだい?」
 突然話を変えたノールドに、トーマスはそのまま話を合わせて続きを促す。
「その油は七色に輝いているそうなんだが、何でも長い年月を経て作りだされた貴重なものらしい」
「へえ、七色とは。それはまた綺麗なんだろうね」
 それで? と言わんばかりの表情をしながらトーマスは頷いてみせる。
「ええ、ヴィンチ様にもお見せしたいと思っていたのですが。生憎と今は手元にないんです」
「それは残念だな。ぜひ見てみたかったんだけど。その油はどこかの特産品なのかな?」
「ええ、ここから北東のほうにある山で採れるのですが、如何せん距離がありまして」
 仕入れが大変なのですとノールドは肩を竦めた。と、そこでノールドは懐から懐中時計を取り出して時間を確認する。
「申し訳ありません。そろそろ次の予定が差し迫っておりまして。ヴィンチ様、資金の件は追って連絡いたします」
「ああ、よろしく頼むよ」
 立ち上がったノールドとトーマスは互いに握手をすると、互いに別の扉から応接室の外へと出た。
 トーマスはそのまま廊下を進み、すぐ近くにあった客間の扉を開く。そこには紅茶の香りが立ち込め、部屋の真ん中には優雅にカップを傾ける白衣の女性の姿があった。
「あっ、おかえりなさい。それで、結局なんの話をしてきたの?」
「んー、強いて言うならば……世間話かな」
「こんなところまで来て?」
 懐疑的な女性の視線に、トーマスは意味ありげに笑みを浮かべる。
「さあ、帰るぞ助手2号。ああ、その前に寄る場所が1つある」
「寄るって、どこに?」
 女性の質問にトーマスは指を1つ立ててそれに答えた。
「部族会議」

●互いの利益の為に
 開拓地『ホープ』に戻ってきたトーマスは、部族会議において上役を務める人物の元を訪ねた。
「自分が何を言っているのか分かっているのかい?」
「これでも頭は良いほうだと自負しています」
 へらりと笑うトーマスに上役の老人は眉を潜めた。
 トーマスが老人に話したことを短くまとめると話はこういうことだ。辺境の領土内にある鉱山を確保したい、と。
「辺境部族の1人でもない者に、ましてや商人の為に辺境の恵みを好き勝手させるはずがないだろう」
 老人はそう答えた。それも当然の事であろう。今でこそ辺境も外部に対して友好的になったが、過去の仕打ちを忘れたわけではない。
 特に商人など、甘い言葉で巧みに誘い無知をいいことに搾取してきた張本人だ。警戒するなというほうが無理なことだ。
「そちらの都合は承知の上ですよ。だからこそ、その関係を修復する一助としての提案なんです」
「何れにしても、部族でもない者に辺境の土地を明け渡すなどありえん」
「ええ、当然でしょう。だから土地そのものの権利はいりません。そこから採れるものも全て」
 トーマスの言葉に老人は再び眉を潜めた。先ほどは坑道を確保したいと言い、今度はそれをいらないと言う。
「一体何が目的だい」
「率直に言うと、市場を潤わせて欲しいんですよ」
 需要と供給という言葉がある。簡単に説明すれば、需要は欲しがってる人の声、供給は売りたがってる人の声だ。
 そして今、クリムゾンウェストという世界では圧倒的に需要が大きく、完全に供給が足りてない。そのことは当事者であるトーマスも良く分かっていた。
「つまり、こっちにその供給を賄って欲しいというわけかい」
「ご名答。そうすれば辺境にお金が落ちて、商人も儲けがでて、私達も資源が手に入って助かるというわけです」
 全員が得をする。これまでの話を聞くだけならば素晴らしい話を言えよう。そこで老人の鋭い眼差しがトーマスの瞳を射抜く。
「この辺境でカネの価値がどの程度かなんて、お前さんなら知ってるだろう」
「ええ、勿論。あって困るものではないけど無くても問題ない、って感じですね」
 辺境の部族間では貨幣など使わず、物々交換が行われることのほうが多い。お金を使うのはそれこそ別の国からやってきた行商人などを相手にする時くらいかもしれない。
「物価も高いですしね。輸送費と危険手当も込みですから」
「それだけじゃないだろう。どこかのハンターの言葉を借りるなら、ぼったくりと言うらしいね」
「そんな言葉をよくご存じで」
 そしてトーマスもその言葉を否定しない。全てがそうであったとは言わないが、それがあったのは確実だろう。
「まあ、その辺りも含めてのお話です。もしこの話に少しでも興味を持ってくれたなら、あちらさんと一席設けますよ」
「お前さんはその為の仲介人っていうわけかい。いつからそんな仕事を始めたんだい?」
「転職何てしてませんよ。私は相変わらずの科学者です。その科学者のお仕事の為に、こーゆーことも必要なだけです」
 トーマスはそう言って肩を竦めた。
「……すぐには決められんね」
「それじゃあ、決まったらご連絡を。私はいつもの場所にいるので」
 こうしてトーマスと上役の老人の話は終了した。
 トーマスはテントを出たところで、ぐっと伸びをする。
「さて、どうなるかな?」
 トーマスの元に部族会議の使者が訪れたのは、それから1週間ほどしてからのことだった。

リプレイ本文

●前哨戦
 辺境の北西部。山の麓にある朽ち果てた廃村には、家が建っていたのであろう瓦礫の山がところどころに見受けられる。
 その寒々しい景色に合わせるかのように、この地には冷たい風が吹いている。
 しかし、その寒さを気にも留めない存在が廃村内に蔓延っていた。
「――ギギッ」
「――グギゴッ」
 骨を擦らせたかのような声でゴブリンスケルトン達が会話をしている。いや、実際に会話をしているかは定かではない。
 ゴブリンスケルトン達は先ほどから廃村内を歩き回るだけで、仲間と顔を合わせると2~3言交わしてまた歩き出すのだ。
 これまでどれだけの時間をそうやって歩き回っていたのだろうか。しかし、今日この時を持ってエンドレスしていた単調作業に変化が起きた。
「――ギィ?」
 1匹のゴブリンスケルトンがそれに気づいた。いつもはそこになかった何かがそこにあり、そして動いている。空っぽな頭でもそれが敵襲だと気づくのに時間はかからなかった。
「流石に気づかれたか。でも、遅いよ」
 草むらから立ち上がったロベリア・李(ka4206)は手にした魔導拳銃をゴブリンスケルトンへと向けた。視界に映る敵影は4匹。射程内は3匹。そのうち狙っていた弓持ちが2匹。
 それを認識している間に魔導拳銃の銃身にマテリアルを充填し終える。そして、ロベリアは躊躇いなくトリガーを引いた。
 吐き出されたマテリアルはロベリアの目の前で3つの光点を形成し、その1つ1つから放たれた光線がゴブリンスケルトンを直撃し骨で出来た体を焼く。
「あやねも続くの!」
 ロベリアと同じく伏せていた佐藤 絢音(ka0552)が立ち上がった。その時に身の丈を越える魔導槍を払うように横に振るい、用意していたマテリアルを開放する。形成されるのは3つの、いや複数の文字と記号が折り重なった3組の多重魔法陣だ。そこから放たれた光が再びゴブリンスケルトン達を襲い、今度こそその体を砕いた。
「攻撃開始だ。先行する」
 開戦と同時に伊藤 毅(ka0110)はカービンライフルを手に真っ先に廃村の入り口へと走る。姿が見えているのは残り1匹のみ。
 その1匹は剣を振るいながらこちらに駆けてくるので、毅は迷うことなくそのゴブリンスケルトンに向けてトリガーを引く。
 放たれた弾丸はゴブリンスケルトンの左肩に命中。するとその左肩の骨を砕くと同時に、左腕の骨がバラバラになって地面に散らばる。
 しかし、それをものともせずにゴブリンスケルトンは剣を掲げて走ってくる。部位欠損など気にも留めず、そもそも痛みすらないので怯みもしない。それがアンデッド系歪虚の恐ろしいところだ。
「はーい。ちょっと邪魔だからどいてねー」
 だが、そんなアンデッドであろうが怯みもせずに戦うのがハンターというものだ。
 ウーナ(ka1439)は両手に持つ二丁拳銃、その片方をゴブリンスケルトンの額に向けて1トリガー。発射された弾丸は狙い通りにゴブリンスケルトンの眉間を砕き、勢いをそのままに後頭部の骨を貫いた。
 負のマテリアルを失ったゴブリンスケルトンの骨は、バラバラになりながらその場で地面に転がった。そんな様を一瞥して、ハンター達は廃村内へと突入する。
「皆さん、流石であります。自分が銃の引き金を引く前に終わってしまったのであります」
 流れるような連携で瞬く間に4匹のゴブリンスケルトンを倒した手並みに、クラヴィ・グレイディ(ka4687)は仲間達をそう称賛した。
「依頼参加者のクラスが偏ったので少し不安でしたが、これならば大丈夫そうですね」
 カリン(ka5456)もそれに賛同の意を示す。そう、今回のハンター達の編成は大分偏っていた。より詳しく言うなら、前衛が全くいない編成なのだ。
 ハンターの仕事では顔も知らぬ相手と組むことも珍しくないものだが、ここまでクラスが偏ってしまうのはそこそこ珍しいことである。
 とは言え、珍しいだけで在り得ないわけではない。そして勿論そうなった時の戦い方というものもハンター達はしっかり知っていた。
 自分達の実力が確かなことと、連携もしっかりとれていることを再確認できたところで、先頭を走っていた毅が廃屋の下へと辿り着いた。
「さっき偵察した時は右に3匹、左に1匹、中央に2匹だったが……」
 戦いを仕掛ける前に他の仲間と共に見た限りでは、ゴブリンスケルトン達の配置は毅が口にした通りだった。しかし、ここに走り込んでくるまでの僅かな時間と、戦闘が始まったことで配置が換わっている可能性はある。
 それを確かめるべく毅は廃屋の影から覗き込む。すると、風を切る音と共に毅が顔を覗かせたすぐ横の壁に、軽い音と共に矢が突き立った。
 毅はすぐに頭を引っ込めて仲間達に視線を送る。
「危ない危ない。完全に待ち構えられてるな。とりあえず、右に4匹見えた」
「了解だ。それならまずは数の多い右を片付けるか」
 シャーリーン・クリオール(ka0184)は帽子のつばを掴んで軽く位置を調整すると、右手にあるもう1つの廃屋に視線を向ける。
「あたしとあと何人かであそこも押さえよう」
「では、私が共に行こう。あと1人欲しいが……クラヴィ、頼めるか?」
「はい。了解であります!」
 シャーリーンの提案にサーシャ・V・クリューコファ(ka0723)が乗り、サーシャに誘われたクラヴィは二つ返事でそれを了承した。
 3人は廃屋の影から飛び出すと一気に右手にある廃屋へと駆ける。そこに数本の矢が飛来するが、狙いが甘かったのか3人には掠りもしなかった。
「隙ありですっ!」
 更に、姿を見せた3人に釣られるようにして駆け込んできた剣持ちのゴブリンスケルトンに向けて、カリンがカービンライフルのトリガーを引いた。
 こちらを見てもいなかったゴブリンスケルトンは右足を撃たれてその部分の骨が砕けて散らばる。片足を失ったゴブリンスケルトンは地面に倒れたが、それでも前に進むことを諦めず今度は手を使って這い始めた。
「こう見ると、アンデッドの動きはどことなく機械的よね。機械と違ってどうしても気持ち悪さが先に立つけど」
 這うゴブリンスケルトンを見てロベリアはそう呟き、自分から射程内に入ってきたその標的に向けて弾丸を撃ちこむ。
「ここならよく見える。シャーリーン、1匹この建物に張り付かれた。右から回り込んでくる」
 無事廃屋に辿り着いたところでサーシャは屋根に登った。そこで廃村内を俯瞰的に観測し、そして撃つのが間に合わなかった1匹が仲間の下へ向かうことを知らせる。
 それだけ告げるとサーシャは瞳に映った動く影を改めて捕捉する。奥の廃屋、その屋内の窓の部分に弓の上部が見え隠れしていた。
 サーシャはカービンライフルを構え、窓枠のやや上に狙いを置く。後は待つのみ。無謀にも突っ込んできた剣持ちのゴブリンスケルトンが仲間達の攻撃でバラバラに砕かれたようだが、それを意識の外に置きながら待つ。
 そして、矢を番えたゴブリンスケルトンの頭が窓枠の中に納まった時、サーシャは置いてあった指を軽く曲げてトリガーを引いた。
 視界の先ではゴブリンスケルトンの頭蓋骨が砕け、その手で引いていた矢は攻撃を受けた拍子に明後日の方向に飛んで行っていた。
 それから10数分語、廃村内の掃討は無事に完了した。

●制圧戦
「いい加減に、倒れるのっ!」
 オーガスケルトンの頭上高くまで飛び上がった絢音は、構築した3組の魔法陣から12条の光を放つ。雨のように降り注ぐ光線がオーガスケルトンの骨を削り、その場で膝を突かせた。
「そこ、貰った!」
 シャーリーンの放った冷気を籠めた弾丸が、オーガスケルトンの膝と地面を凍りつけることによって繋ぎ止める。
「鬼さんこちらってね。捕まる気はないけどっ」
 更にウーナは動きを止めたオーガスケルトンの側面に走り込みながら、手にした2丁拳銃をトリガーを引き続ける。
 放たれる弾丸がオーガスケルトンの骨を削っていくが、流石の巨体だけあってそれだけでは致命的なダメージを負わせることは難しそうだ。
 しかし、如何に巨人と言えど所詮は1匹だけ。8人のハンターに囲まれた時点で、その勝負の結果は火を見るよりも明らかであった。
 苦し紛れに骨棍棒を振るうが、その射程内へと近寄ろうとするハンターは誰一人おらずただひたすらに距離を取りながら各々の武器のトリガーを引く。
「よし、頭を狙って集中攻撃だ!」
「頭蓋骨にも罅が入っている様子。ここで倒し切るのであります!」
 毅とクラヴィ、その他のハンター達も一斉にオーガスケルトンの頭を狙い攻撃を加える。
 十数を数える弾丸と光線を浴び、オーガスケルトンの頭蓋骨はついに耐久力の限界を超えて木っ端微塵に砕け散った。
「やっと片付いたわね。いえ、まだ終わってはいないのだけれど……」
 額に浮かんだ汗を拭いながらロベリアは、今しがた倒したオーガスケルトンが守る様にして立ち塞がっていた坑道への入り口へと視線を向ける。
「とはいえ、あと一息だ。このまま一気に片付けてしまおう」
 サーシャはそう言いながら、用意していたランタンに火をつけた。坑道内は当然真っ暗だ。その対策として他のハンター達も各々照明器具の準備を整える。
「それじゃあ虹色の油を見つけに、突撃ぃ!」
 ウーナの掛け声の下、ハンター達は洞窟内へと足を進めた。

 坑道内に明かりが灯る。坑道は横に人が2人並ぶのがやっとといった狭さだ。
「ここは、銃を撃っても平気でしょうか?」
「臭いもしないしガスが溜まっててドカン、ってことはなさそうだけど。派手にやりすぎたら落盤の危険はありそうね」
 カリンの言葉にロベリアは目の前に見える木製の柱を見てそう答えた。100年単位で放置されていただけあって柱や梁に使われている坑木の劣化は激しく、下手すれば軽くぶつかっただけでへし折れてしまいそうに見える。
 柱や梁が壊れたからとすぐに落盤を起きるわけではないが、安全の為にも無茶はしないほうがいいだろう。
 そうこうしている間に、先頭を進んでいた絢音の視界に揺れる影が現れた。全員が一度立ち止まり様子を窺うと、暗闇の中からそれは現れた。
 ぼろぼろになった毛皮の帽子を被り、穴だらけになって役に立ちそうもない革製の鎧を身に纏っている。ただ、その中身は人ではなく、人であったはずの骸骨のみ。当たりの闇と同じくその眼窩に光はなく、だがしかしその目はしっかりとハンター達を捉えたようだった。
「――カタ、カタカタ!」
 人型のスケルトンは歯を噛み鳴らし、手にした斧を振りかぶってハンター達に向かって襲い掛かってくる。
 ハンター達はすぐに武器を構える。絢音は手にしていた松明を前に放ると、スケルトンはそれを攻撃だと思ったのか斧を振るい打ち払った。
 その隙に銃火が放たれるが、ハンター達の数に対してその数は明らかに少なかった。
「これは不味いね。射線が通らない」
 サーシャがそう言いながら眉を潜める。前に1人いる程度ならその人物と動きを合わせて何とかなるが、それより後ろのハンター達は流石にどうしようもない。現状では誤射の危険性が高すぎるのだ。
「ならば、まずは足を止めてしまうのであります!」
 クラヴィの放った弾丸がスケルトンの足元で弾ける。その衝撃で怯んだスケルトンは思わずつんのめりバランスを崩した。
「こうなれば出し惜しみは無しね。ガンガンいっちゃうよ!」
 前に一歩出たウーナは両手の銃のトリガーを交互に引く。薬莢が跳ね、マズルフラッシュが瞬く度にスケルトンの骨が次々に砕けていく。
 だが、それでも飛び込んできたスケルトンは、手にした斧を自分の腕がバラバラになりながらも振るった。その一撃を避けられないと悟ったウーナは銃をクロスに合わせそれを受け止めようとする。
 だが、その斧が直撃するかと思った瞬間に光の薄壁がその間に割り込んだ。斧が当たった瞬間に薄壁はガラスのように割れて消えたが、おかげで威力が減衰しウーナは難なくその一撃を防ぎ切った。
「これだけ近ければ外さないの」
 そして既にぼろぼろだったスケルトンは、絢音の一撃で頭を砕かれてそのまま崩れる落ちるようにしてただの骨となり地面へと散らばった。
 何とかこの場を乗り切ったハンター達は坑道の奥へと進んでいく。幾つかの枝道を発見し、そこでさらにもう1体スケルトンを倒したところで、今度は少し開けた場所に出た。
「ここは採掘場か、集積場かな?」
 坑道を進んできた距離的にも、シャーリーンの予測通りであろう。周囲を明かりで照らしてみれば、鉱石を詰めるのに使っていたらしい木箱の破片も転がっていた。
「おあつらえ向きの場所だな。あちらさんもそう思ってるらしいぞ」
 毅はそう言いながらライトでこの開けた空間の奥を照らす。そこにはゆらりと揺れながら立ち上がる3体のスケルトンの姿があった。
「どうやらここが最奥のようですね。ならば、ここは全力で殲滅しましょう!」
「さっきも言ったけど、はりきりすぎて落盤させないようにお願いね」
 カリンとロベリア、そして絢音とサーシャが一斉に武器を構える。4組12条の光が次々に放たれて、スケルトン達の身に纏っていた襤褸防具を悉く剥がし、体の一部を吹き飛ばす。
 更に続く銃弾の雨がその身を文字通り削っていくが、スケルトン達は前に進むことを止めない。ただその手にした武器を構え、一心不乱にハンター達に向かって走り寄る。
 その一撃はハンター達へと確かに届いた。だが、届いたのはその一撃限りとなった。
「おやすみなさい、良い夢を……であります」
 その一撃を受け、しかし倒れることはなく――クラヴィは伸ばした腕でスケルトンの額に銃口を突き付け、そのトリガーを引いた。

●開拓地『ホープ』 格納庫にて
「ハンターの皆は良い働きをしてくれたようだね」
 紙束を片手に熱く苦いコーヒーを口にしながら、トーマスはそう一言呟いた。
 つい先ほど届いた報告書を一通り読み終えたトーマスは、最後のページの添書きとして書かれているハンター達からのコメントにも目を通す。
 色んな言葉が並んでいるが、まとめると『空を飛びたい』その一言に尽きるだろう。
 それに満足げに笑みを浮かべたトーマスは、報告書の束をテーブルの上に置いた。視線を格納庫の正面入り口へと向ければ、そこには何台かの魔導トラックが行き交い、作業員達が積まれた荷物を降ろしているのが見える。
「出資者からの支援の品も届いたようだし……さて――」
 トーマスは椅子から立ち上がり、うるさいほどに賑わう格納庫の入り口へと足を向けた。

依頼結果

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重体一覧

参加者一覧


  • 伊藤 毅(ka0110
    人間(蒼)|29才|男性|猟撃士
  • 幸せの青き羽音
    シャーリーン・クリオール(ka0184
    人間(蒼)|22才|女性|猟撃士

  • 佐藤 絢音(ka0552
    人間(蒼)|10才|女性|機導師
  • まないた(ほろり)
    サーシャ・V・クリューコファ(ka0723
    人間(蒼)|15才|女性|機導師
  • 青竜紅刃流師範
    ウーナ(ka1439
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 軌跡を辿った今に笑む
    ロベリア・李(ka4206
    人間(蒼)|38才|女性|機導師
  • Earth Hope
    クラヴィ・グレイディ(ka4687
    人間(蒼)|15才|女性|猟撃士
  • 鈴蘭の妖精
    カリン(ka5456
    エルフ|17才|女性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
サーシャ・V・クリューコファ(ka0723
人間(リアルブルー)|15才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/03/23 01:08:42
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/03/21 01:19:10