• 審判

【審判】王都近郊迎撃、戦士達突撃の時

マスター:草なぎ

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/04/01 22:00
完成日
2016/04/14 23:59

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 一〇一六年三月末、王都イルダーナ近郊。
 
 王都めがけて歪虚の大軍が押し寄せていた。

「さあ……みなさん。目指すは聖ヴェレニウス大聖堂ですよ。王都の民は私たちを歓迎して下さるでしょう。我々がもたらす死を……彼らは受け入れるしかないのですからね。もし邪魔をするというなら、仕方ありませんが……。何れにしても、私たちはあの方の道を切り開かなければなりません」
 歪虚軍のあちこちで、白い後光を放つ天使のような美しい歪虚が歌うように魔の軍勢を導いていた。
 美しき異形……聖獣のような姿をとった歪虚の大軍は、巡礼路を通りながら天使の言葉に酔いしれているように歌うように鳴いていた。
「参りましょうか……。最も歴史ある千年王国の終わりの時ですよ。そしてそれは、あの方の手によって実現されるのです。この国は滅び……そしてそれは、人の世の終わりの始まりでもありましょう。今こそ私たちの手でそれを実現する時」
 「天使」の姿をした歪虚は、手を持ち上げ、「巡礼」と称した行軍を以って王都へ接近していた。

「地獄絵図だな……魔物が神の軍隊を気取りおって」
「まさに」
 騎士隊長の声を受けて、もう一人の隊長が頷いた。
 巡礼路を通過して迫りくる美しき歪虚の大軍を前に、今この方面に出ることのできる騎士たちが集結していた。彼らは、歪虚の戦列の側面に回り込んでいた。
 グラズヘイム王国騎士団、ハンター、そして傭兵たちが隊列を組んで合図を待っていた。
 騎士団長エリオット・ヴァレンタインは故あって戦場に出ることは叶わない。今は、彼らがここで歪虚を足止めする必要があった。そしてそれは、歪虚軍の背後から迫り来る嵐に立ち向かうエリオットらの助けになるはずである。
 騎士隊長の一人が剣を抜いた。
「戦士たちよ! 王国の危機である! もしやすれば、我らが国は闇の帳に飲まれ、滅びるやもしれん! 人の剣は折れ砕け、聖なる盾は打ち砕かれるやもしれぬ! 我らがグラハム王家もろとも、王国は消えるやもしれぬ!」
 隊長は手綱を操りながら、鞍上から叫んだ。
「だが戦士たちよ! 今は立ち上がる時だ! 魔を祓い、打ち破らねば我らの明日はない! 今日、この日、今この時は、剣ある限り、我らは戦う! 戦うべき時ぞ! 戦士たちよ! 剣を持て! 魔を祓う力を解き放て! グラズヘイム王国の剣となれ!」
 隊長は剣を大きく振るった。
 戦の角笛が高らかに鳴り響く。
「王国騎士団は中央を固める! 傭兵部隊、右翼を固めろ! ハンター部隊、左翼に付いて先陣を突け!」
 そして号令が下る。
「全軍……突撃! 我に続け!」
「行くぞ! 突撃いいいいいい!」
「おおおおおおおお!」
「行けええええええ!」
 王国軍は加速し始めた。そして、歪虚の戦列の側面に向かって突撃していく。

「……?」
 歪虚の「天使」は王国軍の突進に顔を歪めた。
「何……ですか?」
 天使は王国軍の方を見やる。
 そしてざわめく下級歪虚達。高らかに鳴り響く角笛と、王国軍突進の咆哮に、聖獣歪虚の戦列がざわめく。歪虚に恐怖があるのかどうかは分からないが、この時、明らかに歪虚達は動揺していた。戦列を崩して逃げ出そうとする歪虚の首を、天使が冷徹に無造作に剣で刎ねた。
「うろたえることはありません。たかだか王国軍の招かれざる客人ではありませんか。数で圧倒致しましょう。死を以って、彼らにも安らぎと安寧を。イルダーナへ入る前に丁度良い余興ではありませんか」
 天使への恐怖に、下級歪虚達が戦列を立て直す。
 これ以上の王都の接近を阻止するべく、激戦が始まる。

リプレイ本文

「何……ですか? あれは……」
 天使の姿をした歪虚は、王国軍の突撃に顔をしかめた。
「ここへ来て抵抗ですか……? 無駄なことを……!」
 天使は手をかざした。光が掌から輝く。
 周囲の聖獣型歪虚らは、力強く咆哮すると、王国軍の突撃に備えた。

 人馬の波濤が駆け抜ける。王国軍は一斉突撃した。イーディス・ノースハイド(ka2106)は左翼のハンター部隊の先陣におり、騎馬を加速させていた。彼女は仲間のハンターたちと騎兵部隊を形成し、その隊長になっていた。
「やああああああああああああ!」
 イーディスは気合を発してこの歪虚の大軍に突進していく。仲間たちも、王国軍全軍が気合を発している。人類の雄叫びは、天を貫く怒号となっていた。
 ミオレスカ(ka3496)、鞍馬 真(ka5819)、ディーナ・フェルミ(ka5843)、神奈 碧(ka5994)、玉兎 小夜(ka6009)らもハンター部隊の中に入って突撃していく。
 ドドドドッ! ドドドドッ! ドドドドッ!
 馬蹄の響きが地を揺るがす。
 あああああああああああ――!
 王国軍は「ただ」突撃した。

 そして――。

 激突!

 左翼のハンター部隊が一撃目の衝撃となって最初に歪虚軍の戦列を突き破った。聖獣歪虚は全く蹂躙された。獣の群れにこれだけの騎兵突撃を受け止める力は無い。人馬の怒濤が歪虚の群れを引き裂いて行く。
「我に続け! 我、王国の剣なり!」
 イーディスはフォルティスを一閃した。歪虚の首を切り飛ばして加速を止めない。
「行けええええええ!」
 ミオレスカも高揚していた。愛騎に鞭を入れ、突撃する。
「こいつは入れ食いだな!」
 鞍馬は笑っていた。テンションがおかしくなって笑えてくる。面白過ぎるくらいに血が湧きたつ。
「ごめん……! ごめんね……! でも……今はディーナも頑張るから!」
 自身の愛騎に鞭を入れ、突撃するディーナ。愛馬は周囲の味方の中にいて、果敢に戦っていた。
「神の盾! 御加護を! ディヴァインウィル!」
「行くぞおおおおおお!」
 神奈も咆哮して駆け抜ける。今の神奈は王国軍の剣。障害物に過ぎない歪虚を騎兵突撃で薙ぎ倒して行く。
「やああああああああ!」
 玉兎も歩兵となって斬魔刀「祢々切丸」を振り回して騎兵の後から歪虚軍の戦列に突撃する。
「さあ天使はどこなの? 出て来てよ~。羽むしってあげるからね!」
 玉兎は右に左に祢々切丸を振り回し、歪虚を切りまくっていた。
「馬鹿……な!」
 天使は狼狽した。人間たちの圧倒的な突撃が、やすやすと戦列を突き破るのを見て天使は恐怖した。
「我らの死の巡礼を……! 偉大なるベリト様へ捧げる巡礼を! 邪魔しないで頂きましょうか人間たち!」
 天使たちは輝きを増して行く。恐慌状態陥っている歪虚たちを何とか立て直そうと躍起になった。
 しかし――。

 続いて襲い来るのが王国軍中央の第二撃である。王国騎士団「白」の隊の一撃が、次なる衝撃となって歪虚軍に叩きつけられた。
 これで、歪虚の戦列は粉々になった。
 そして、右翼の傭兵部隊が最後に突入し、歪虚の戦列は完全に崩壊した。

 イーディスらはいったん歪虚の戦列を突き抜けると、態勢を整えた。
「ハンター部隊! 再度突入する! 戦列を整えろ!」
 イーディスら、隊長クラスのハンターは檄を飛ばした。
 おおおおおおおおおおおおおおお……!
 ハンターたちは勝利を確信していた。だが、最後まで手綱は緩めることは出来ない。
 行くぞおおおおおおおおおおおお……!
「全軍突撃!」
「我に続け!」
 ハンター部隊は再突入した。
 ドドド! ドドド! ドドド! 人馬の怒濤が矢弾となって歪虚軍に襲い掛かる。
 今度はハンターたちは「面」に広がると、歪虚軍を勢い飲み込み始めた。
 イーディスはチャージアタックでそのまま突撃した。二倍以上の大きさの歪虚に激突する。歪虚は金色のキメラのような姿をしていた。衝撃を受けてキメラは闇へと還元していく。さらに突進する。散り散りとなっている歪虚の群れを狩っていく。
「王国に仇なす邪悪の者ども! 我が剣の露となるがいい!」
 イーディスはトゥルムで歪虚を押し返し、フォルティスで叩き切った。そのまま敵軍の中へ押し進んで行く。迫りくる聖獣歪虚をフォルティスで葬り去っていく。
「おのれ王国騎士!」
 天使の一人が剣を振り回して襲い掛かってくる。
 ギャリン! とイーディスはその一撃を跳ね返した。
「死を……死の旅路を邪魔するか!」
「テスカ教団の巡礼は邪教の進軍。王女殿下のおわす王都にみすみす君らを入れるわけにはいかないのさ!」
 イーディスはフォルティスを振り下ろして天使の頭を砕いた。天使は崩れ落ちて闇へと還元していく。
「王国に……死を……」
 死の寸前、天使は変容していき、黒い魔物になって消えて行った。
「中身は悪魔……か……?」
 イーディスは前進した。
「悪魔……」
 ミオレスカが愛騎を寄せてくる。
「そのようだね」
「では……ベリトの正体は……?」
「天使はかりそめの姿……かもね」
「そう……ですね!」
 ミオレスカは接近してくる歪虚の群れに魔導拳銃とオートマチックで制圧射撃を行った。連続で制圧射撃を行い、スキルは使い果たした。
「ミオレスカ殿、援護を頼めるかい」
「了解しました」
 ミオレスカは弓に持ち替えた。
「イーディスさーん! 良かった! 無事だったんですね!」
 ディーナがメイスで歪虚を殴りながらやって来た。
「凄い数ですねー! 私もめまいがしそうでしたけど……」
「大丈夫かい」
「はい! みんなと戦うのが心強いって……歪虚になんか負けません! えい!」
 ディーナはセイクリッドフラッシュを叩き込んだ。周囲の歪虚が消失する。
 さらに神奈も合流してくる。
「イーディス、気がかりなのは天使たちだ」
「神奈君」
「俺も天使を倒したが、最後に悪魔のようなものに姿を変えて行った……。連中は……テスカ教団が邪教なのは分かったが、何が起ころうとしているのだろうな」
「それを知るのは、エリオット団長とヴィオラ様だけでしょうが……」
「この千年王国に秘密があるらしいことは分かってきたようだが。ベリトの奴……何を企んでる?」
「どうやら、エリオット様とヴィオラ様には秘策があるようですから」
「それは……俺も聞かされたが。うすうす気づいてはいるがな。しかし……ベリトがどこまで大物かは知らんが……これだけの歪虚を動員できるとは……ベリアル級だな」
 すると、戦いの中から鞍馬が姿を見せた。
「よ、みんな生きてたかい?」
「おかげさまで」
「王国騎士団も傭兵部隊も突撃したようだ。どうやら勝ったな。歪虚の戦列はそこかしこで崩壊している」
「ええ。これで各地のベリトの企みが阻止されれば、良いのですが」
「そうだよな。今は……みんなの尽力を願うしかない……か」
 この時まだハンターたちには知らされていないが、エリオットとヴィオラの働きで秘匿されていた法術陣の全容は、全て解明されたわけではないが、今、まさに王国全土を覆うベリトの大軍を打ち破るための一撃が放たれようとしていた。
「ねえちょっと。天使に羽が生えて無いんだけど。どういうことなの?」
 玉兎は祢々切丸をかついで現れた。
「私は天使の羽をもぎに来たのに~。う~!」
「まあ、そのうち現れるだろう……。負けはしたが、このまま連中も引きさがるかな? ベリトの軍勢ならば……」
「みなさん!」
 ミオレスカが警戒の声を上げた。
 上空から翼を生やした四体の天使が舞い降りてきた。イーディスらを取り囲むように舞い降りると、天使たちは笑みを浮かべた。
「やってくれましたね……みなさん……我々の巡礼を打ち砕いて下さるとは……この罪は大きいですよ」
「何だって~」
 玉兎は祢々切丸を構えた。
「私たちはここで死ぬかもしれない……ですが、我々は死など恐れません……偉大なるあの方のもとへと旅立てるなら……死など怖くはありません」
「ベリトがそんなに偉大かな」
「ベリト様が呼び起こそうとしているもの……それは……王国に死をもたらすもの……。死の安寧を約束するものです……。我々は神とあがめる偉大なる存在ですよ……私たちはここで死ぬかもしれませんが……それはベリト様への供物となりましょう」
 そういうが、天使たちは剣を抜いた。
「ベリト様万歳! 死への旅たちをお助け下さい!」
 天使たちは殺到して来た。
「狂ってるな」
 イーディスは愛騎を反転させると、この天使と神奈とともに相対した。
 天使の輝きが増す。天使たちは限界突破していた。イーディスの一撃を受け止めると、素早く連撃を撃ち込んで来た。イーディスは受け止め、盾で殴った。神奈も旋棍「疾風迅雷」での螺旋突を叩き込んだ。
「死への旅立ちを!」
「やかましい」
 神奈は旋棍で天使を下から突き上げるように殴った。天使が軽く宙を舞う。イーディスはチャージを掛け、そのまま串刺しにした。天使は悪魔のようなものに姿を変え、消滅していった。
 鞍馬はディーナと相対していた。
「そんなに死にたいのか天使よ」
「生きる以上に辛いことはないんですよ! 何が偉大なる存在ですか! ベリトなんて……神でも何でもない!」
 二人の文言を天使は笑って聞いていた。
「分からないのですか? この世界を覆うのは死です。人の世にも夜があるでしょう。光あれば闇あり。今、闇の時代が訪れようとしているのですよ。故に死こそが安寧となるのです」
「ふざけないで下さい! 人間は夜だって生きています!」
「ならば死になさい人間! 死ねば分かりますよ!」
 天使は一気に加速した。
 鞍馬は前に出ると、それを受け止めた。
「死ねば終わりだ歪虚。お前たちの戯言に付き合ってやるほど酔狂じゃないんでね」
 鞍馬はムラマサと魔導拳銃剣の二刀攻撃で天使の腕を切り飛ばした。
「光あれ!」
 ディーナはセイクリッドフラッシュを叩き込んだ。
「偉大なる死よ……我に力を……!」
 天使は輝きを増して閃光を放った。鞍馬は焼かれたが、突進して刺突一閃で天使を貫いた。
「死よ……」
 天使は悪魔に変容して消失した。
「鞍馬さん、怪我を治しますね」
 ディーナはヒールを掛けた。
「ありがとう」
 玉兎はこれを待っていたとばかり天使に突撃した。宵――抜刀術からの疾風剣で天使に切りつけた。天使は切り裂かれて笑っていた。
「あなたにも死の抱擁を授けてあげましょう……」
 天使は手をかざし光を放った。玉兎は焼かれたが、構わず祢々切丸を撃ち込んだ。天使は受け止め、素早く連撃を放ってきた。玉兎は切られたが、天使を蹴って距離を保った。もう一度「宵」の構えをとると、静かに腰を下ろした。
「さあおいで。翼の折れた天使さん」
「安らかな死を……これ以上の幸福がありましょうか」
 天使は剣を胸の上で立てると、祈りの言葉を発して走りだした。
 玉兎は「宵」を繰り出した。天使は切り裂かれた。
「……!」
 何が起こったか分かっていない。今度は動けなくなったのだ。玉兎は祢々切丸をかつぐと、不敵に笑った。
「じゃあ……さよなら」
 玉兎は天使の首を刎ねた。倒れた天使は悪魔の姿に変わっていった。玉兎は顔をしかめた。
「羽おいていってっ 天……使……? ……んー。天使……じゃなくてもいいから羽はやしてっ」
 闇に還元していく天使を、玉兎は踏みつけた。何かの欠片が砕けた。ディーナがやってきて回復してくれる。
「すまない」
「もう大丈夫」
 ミオレスカはもう一度銃に持ち替えて天使を足止めしていた。
「お嬢さん……死を恐れることはありません……。死は……安らぎと安寧……生物の幸福です……」
「私にはまだやりたいことがあるんです!」
 ミオレスカは銃を連射した。
「死ぬことは恐ろしい……でも! あなたの言う死は、狂ってる! そもそもテスカ教団は歪虚でしょ! 邪教の教えになんか耳を貸すもんですか!」
 ミオレスカは力強く天使を睨みつけた。
「所詮……生ある者に、我々の崇高な使命など理解できますまい」
 天使は歌うように言っていたが、そうこうする間にハンターたちが集まって来た。
 イーディスが正面に立ちはだかる。
 と、玉兎は天使の背後に回り込み、その翼を祢々切丸でむしり取った。
「獲ったどおおおおおおおおおお!」
 しかし、「羽」は、闇となって消滅していった。
「痛いですねえ……」
 天使は反転した。玉兎は笑っていた。
「あれ、天使さんが怖い顔しちゃ駄目だよ」
 しかし、そうこうするうちに、天使は三方向から串刺しにされ、闇へと還元していった。

 戦いは続く――。

 大混戦の末に、王国軍は天使のベリト軍に壊滅的な打撃を与えることに成功した。
 もはや、歪虚は軍と呼べるものではなくなっていた。戦列を乱し、聖獣歪虚らは右往左往して、王国軍のなすがままに狩られていった。天使たちも全てが撃破された。玉兎は散々に天使の羽をむしり取ってうっぷんを晴らした。
 イーディスは戦場を駆け抜け、王国軍であった日々を思い出していた。
 鞍馬はもはや心を平静に、淡々と依頼をこなして行った。神奈はディーナやミオレスカらとともに、戦場を回り、歪虚の残党を狩って行った。
 覚醒時間にも限界がある。が、この戦いは無事に終息を迎えて行った。
 歪虚軍は粉々に打ち砕かれ、全くの大敗北を喫した。
 これがベリトにどう影響するかは想像もつかなかった。ベリトは黒大公級の歪虚である。これで終わるほどに、ただでは済むまい。恐らくは……最後に暴風が待ち受けている……。王国を飲み込む暴風が……。
 その時だった。それは起こった。

 誰もが異変に気づいた。
「何だ……?」
 それは、もしこの時空から王国を見ていた者は特にその変化を見せつけられただろう。
 巡礼路が光を放っていた。地平線の向こうまで続く巡礼路、目に見える全てがだ。
 最初は明るく感じる程度の淡い光だったが、脈動しながら光量は増していく。
 やがて膨張した何かが器を壊し溢れるように、
 目が潰れるほどの眩い光が地表の至るところより噴出し、視界を白一色に塗りつぶした。
 何秒、何十秒、あるいは一瞬。光の奔流は街という街、道という道を飲み込んだ。
 光が弱まり視界が戻った時、立ち昇る光にのまれた歪虚は跡かたもなく消え去っていた。

 ハンターたちも、光の中にいた。
「……!?」
「うわあああああ! 何だこれは!」
 詳しいことを全く聞かされていない戦場の戦士たちはさすがに混乱した。
 
 そして――。

 光が収まって、瞼を開けると、歪虚が完全に消失していた。
「法術陣とやらが……発動したのか? いや……何が……」
 だがもし、このまま歪虚達が王都へ流れ込んでいたら、全てはどうなっていただろう。
 これは、王国の、そしてこの戦いに加わった者、全員の勝利であったのだ。
 戦士たちは勝ち鬨を上げた。
 束の間の勝利の余韻が、彼らを癒した。
 間もなく、巨大な「闇」が、やってくる。

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重体一覧

参加者一覧

  • 鍛鉄の盾
    イーディス・ノースハイド(ka2106
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士

  • 神奈 碧(ka5994
    人間(蒼)|16才|男性|格闘士
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 質問卓
鞍馬 真(ka5819
人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2016/03/29 09:09:57
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/03/29 20:52:26
アイコン 作戦相談卓
玉兎 小夜(ka6009
人間(リアルブルー)|17才|女性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2016/04/01 02:01:28