• 幻魂

【幻魂】魂の嚮後

マスター:鷹羽柊架

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/04/22 12:00
完成日
2016/04/26 21:59

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ――大幻獣『フェンリル』の死。
 突如訪れた別離は、スコール族のファリフ・スコール(kz0009)に大きな変化を与えていた。
 試練を乗り越え、霊闘士の新たなる力が覚醒。
 フェンリルを祖霊としたファリフは、幻獣の森へ侵攻せんとする歪虚を前に立ち塞がる。
 一方、歪虚の青木燕太郎(kz0166)はある目的の前に――暗躍を開始する。

 様々な思惑が入り交じる中、連合軍と歪虚は再び刃を交えようとしていた。


 結界からそう離れていないところにアクベンスが歩いていた。
 その手にはフェンリルの心臓が握られており、ちぎられた血管がどす黒くなっている。
 紫の瞳が見つめるのは彼が探していた人物。
 アクベンスはにこりと笑みを作り、声をかけた。
「ご機嫌麗しゅう、青木閣下」
 腕を振り、頭を垂れて挨拶をするアクベンスの髪の異変と持っているものに気付いた青木燕太郎は黒曜の双眸を細める。
「狼狩りは終わったようだな」
「恙無く。ファリフ姫は閣下の仰るとおりの人物でした。辺境の戦士としての才覚をお持ちでいらっしゃる」
 ファリフの事を思い出してうっとりと言葉を紡ぐアクベンスの様子を黙って聞いていた。
「まだまだ成長途中ではありますが、この私が咲かせることが出来るのであれば、この上もない楽しみです」
 思い出すと、居ても立ってもいられないのか、アクベンスは踊るように身をくねらせ、最後にはくるりとターンをしている。
 ファリフへの感想を終えたアクベンスはきらりとした視線を青木へと向けた。
「随分と髪の艶がいいようですね」
「今後、使い物にはなるまい」
 青木が迷いもなく言い捨てると、「然様で」とアクベンスが返す。
「結界の綻びがでておりますね」
「徹底的に叩くぞ」
「御意」
 歩き出した青木にアクベンスはどこか愉しげに応えた。
 手に持っていたフェンリルの心臓はもう食べる気にもなれず、地に落として踏み潰した。

 一方、ファリフは落ち着いた様子で歪虚達を待ち構えていた。
 花冷えの冷たい風が吹いて肌に刺す寒さにもファリフは気にせずにいる。
 ナーランギたちより話を聞いたところ、先日の戦いで結界に綻びが出来たとの話。
 自分が歪虚の立場になって、この戦いを指揮するのであれば、間を置かずにこの場所を襲いに行くだろうとファリフは思う。
 少しでも身体を休め、集中力を戻さないとならない。
「トリシュヴァーナ、歪居の動きって、感じ取れそう?」
「まだ、急く時ではない」
 ファリフより少し離れた所で座っているトリシュヴァーナが目を閉じながらファリフをたしなめる。
「歪虚の群れが来たとて、全て討てばよい……覚悟は出来ておるか」
 閉じられていたトリシュヴァーナのまぶたがゆっくり開き、新緑の瞳がファリフを見つめる。
「この姿になるだけじゃ、奥義は発動できないのは分かってるよ……それ以上に、この森を守るためなら……ボクは躊躇わない」
 まっすぐなファリフの瞳にトリシュヴァーナはフフ……と笑みを向ける。
「己が良かれと思ったことを迷わず行えばよい」
 どこか、楽しげに微笑むトリシュヴァーナにファリフは言葉をかみ締めて頷いた。

 アクベンスはトロル達を連れて再び幻獣の森の西側の結界へと向かっている。
 トロル肩を借りて進むアクベンスが思うのは、大事なパートナーであるフェンリルを奪われたファリフの事。
 凹んでいるのは想像にできないが、できるのであれば、自身が望む姿が望ましい。
 そうでなければ、動く理由などないのだから。
 

リプレイ本文

 前回の防衛線で大幻獣フェンリルが歪虚であるアクベンスにマテリアルを吸収され、命を落とした。
 ハンター達の善戦もあって、その場所の結界は守られた。

 再び同じ地を踏んだ八島 陽(ka1442)は眉根にシワを寄せて奥歯をかみ締める。
 アクベンスの動きを読みきれず、人事を尽くせなかった自身への憤り。
 己に課された事を成した上で祖霊となる天命を得たフェンリルへの羨望。
 二度、同じ轍は踏むつもりはない。
 過去を越え、人事を尽くす事を陽は決意する。

 Holmes(ka3813)は敵が来る方向を見つめていた。地に立つ足がかすかな振動を感じ取っている。
「そろそろ来るようだね」
 Holmesの言葉にシン(ka4968)が頷く。
「シン様、Holmes様、この度は戦いに駆けつけてくださり、ありがとうございます」
「女の子が困っているからね」
 畏まったカオンの挨拶にシンが少しおどけて返す。
「気にすることはない。ボク達は依頼に応じたから」
 ドライなHolmesの言葉であるが、カオンはその意味を理解し、「はい」と返事を返す。
 歪虚達が近づく音を聞いていたアカーシャ・ヘルメース(ka0473)がゆっくりと息を吐いた。
「アカーシャ様」
 スコール族長補佐のカオンに呼ばれたアカーシャは気持ちを切り替えてカオンの方を向く。
「背中はお任せます」
「信じてくれて、おおきに」
 カオンの言葉にアカーシャはトロルの肩に乗っているだろうアクベンスの帽子を視界に入れた。
 蹄を地に食い込ませて蹴り上げて幻獣の森へ駆けつけてくるのは鹿型歪虚だ。
「先鋒はこちらが引き受けます」
 歪虚の影を捉えたシンが言えば、アカーシャとカオンがそれに倣う。
 シンが引き抜いたサーベルは蒼緑色で幅広かつ、長大な刀身だ。カオンは神秘的な色に目を瞬かせる。
 海を知らぬ者にその刀身は神秘的に思えてしまう。
 くるりと両手を軸にするようにアカーシャが槍を回して穂先を敵の方へと向ける。
「ウチは今、虫の居所が悪いんや」
 明るい声音は消えたアカーシャが鹿の方へと視線を向け、間合いを計り、駆けだした。
 彼女より竜を象ったオーラが鹿の方へ向けられ、鹿は竜をも突き破るべく、歪で尖った角を向ける。
「暴れさせてもらうで!」
 オーラの竜は鹿の動きを鈍らせ、突きの形をとったアカーシャが突進して鹿の頭を目がけて飛び込んできた。
 槍は鼻から首を引き裂き割いたが、尚も鹿は突進してくる。
 アカーシャが横に飛ぶと、鹿の足の付け根へサーベルが斬り込まれる。
 シンが繰り出す流れるような剣の捌きは次に駆け込んでくる鹿の片目を斬り上げた。
 無駄な動作のない円舞が鹿達を斬り裂くと、止めを刺すためにアカーシャとカオンがそれぞれを斬り倒す。

 トロルの肩に乗っているアクベンスは覚醒姿のファリフへ笑顔を向ける。
 傍にいたオウガ(ka2124)とルスティロ・イストワール(ka0252)がファリフを庇うように立つ。
「御機嫌よう、ファリフ姫」
 ハンター全員の殺気を受けるアクベンスは気に留めていない。
 鈍色だった髪はフェンリルのマテリアルを吸収したせいか、蒼みを帯びた美しい銀色へと変わっており、前回同様に兎耳の帽子を被っていた。
「キミと似たような兎を見たことがある」
 そう言い放ったのはHolmesだ。身の丈以上あるペストマスクを模した三連刃の大鎌の先をアクベンスへと向ける。
「わが同胞を殺した罪は貴様の身をもって贖いをしてもらおう」
 前足で地を突いたトリシュヴァーナは臨戦態勢となっており、その傍らには陽がMURASAMEを抜き放っていた。
「では、ファリフ姫を頂いてからにしましょうか」
「ファリフは渡さない!」
 愉しそうに嘲笑うアクベンスに陽が叫ぶ。
「忍び込んで勝手に食べようとするところまで似ているな」
 呆れた調子のHolmesはマテリアルが満たされた身体をトロルへと向け、込を発動する。
 大きく振りかぶって大鎌をアクベンスが乗っているトロルの太腿へ斬りつけた。重い衝撃にトロルから飛び降りたアクベンスは迷うことなく熊型歪虚と戦うファリフの方へと駆けて行く。
 その手には紐がついたナイフを持っている。
 ジェットブーツで瞬発力を上げてアクベンスの前へ回り込んだ陽がエレクトリックショックを纏わせた盾をアクベンスへ向けて突進する。
 アクベンスは縄ごとナイフを盾に当てて、一度放電させた。
 隙を縫ってアクベンスは陽の足を狙ってスライディングし、反射的に跳躍した陽がアクベンスの進撃を許したのは仲間の気配を感じたから。
「てめえは許さねぇ!」
 陽とアクベンスのタイミングを計らい、陽の足元から現れたアクベンスの腹を目がけてナックルで覆われた拳をしずめた。
 オウガ渾身の一撃を受けたアクベンスは衝撃に目を見開いたが、すぐに足を大きく振ってオウガを蹴り飛ばす。
「ぐ……っ!」
 横から入る衝撃にオウガは声を漏らしつつも痛みを耐えて体勢を整える。
「ファリフ、思いっきりやれ!」
「わかった!」
 オウガの言葉に応えるようにファリフが対応に追われていた熊の虚を突いて思い切り大斧を振りかぶって熊へ斧を打ち付けてアクベンスの方へ倒す。
「……!!」
 アクベンスが反射的に熊の胴を切断すると、その合間からファリフが斧を水平にしてアクベンスへと向けられる。
 反射的にアクベンスはファリフのこめかみに裏拳を喰らわせてしまうが、アクベンス当人は溜息をつくばかり。
「姫……お転婆なのは存じてますが……おいたは、いけませんよ!」
 更にアクベンスがファリフの腹に蹴りを入れて吹き飛ばす。
 鹿型歪虚と交戦していたアカーシャは一瞬の隙を気付かれて鹿の角に吹き飛ばされる。
 自身の持ち場を離れるわけには行かず、アカーシャが対峙する鹿型歪虚へと意識を向けると、鹿がアカーシャではない攻撃を受けてよろめいた。
「アカーシャ様、ファリフの方へ向かってくださいませ!」
 叫んだのはカオンの声。アカーシャを守るようにカオンとシンが歪虚へと立ち向かう。先ほどの攻撃は二人のものだろう。
「本懐を遂げてください」
 更にアカーシャの背を押すようなシンの言葉にアカーシャはしっかりと頷く。
「おおきに……!」
 二人の思いを受け止めたアカーシャがアクベンスへと走っていった。

 アクベンス達の戦況を視野に入れつつ、トロルと交戦している陽はトリシュヴァーナの力に目を見張るばかり。
 先ほど、トロルの一撃をくらい、地に伏せた陽を更に追撃するべく屈みこんで殴ろうとするトロルへトリシュヴァーナが前足で蹴り上げ、間髪いれずにトロルに追いついては鋭い爪で首を刎ねて頭を潰した。
 機転を利かせたHolmesが大鎌をトロルの背に深く刃を突き刺して振り下ろして一度後退する。
 入れ替わりにトリシュヴァーナがトロルを地にたたき付けては背の肉へ爪を入れて背骨を折り、骨を掴んで力任せに胴体をちぎる。
「我が祝福が認めしものよ、続け」
 一声かけるなり、トリシュヴァーナは跳躍して次のトロルへと向かう。
「負けてられないね」
 Holmesの言葉に陽が頷く。

 最後の熊歪虚を倒したルスティロは荒くなってしまってる呼吸のまま、アクベンスと戦っているファリフ達へと加勢に走った。
 視界に入った光景はアクベンスがオウガの首を掴んでいるところ。オウガは抵抗を試みており、アクベンスは面倒くさそうにオウガを放り投げる。
 ファリフとアカーシャも負傷しており、蹲っている。
 アクベンスへレイピアを突きつけたルスティロの剣とアクベンスのナイフが交差した。
 ルスティロが先に剣を引き、そのまま付の構えでアクベンスの頭を狙う。アクベンスが避けた際に後ろ髪が宙に舞い、レイピアの切っ先がアクベンスの頬に筋を作り、髪を数本切り落としてしまう。
 攻撃の隙を縫ったアクベンスは避けた反動で地を蹴り、ルスティロの懐に飛び込んでナイフを薙いで腹を斬る。
「う……っ」
 流れ出る血が服を濡らし、ルスティロはもう一度剣を振り、アクベンスとの距離を空けた。
「赤き大地を継ぐ者にこの力を託す」
 アクベンスの言葉に数人のハンターが動きを止めた。
「遺言でしょうか。蛇の戦士の」
 ファリフ達の様子を見て、アクベンスはにまりと唇を笑みの形へと左右に引いた。
「蛇は死にました。いえ、ハンターに殺されただけ」
 アクベンスの視線はオウガへと向けられ、オウガはあの死合いを言っているのだろうと確信する。
 何故、分かったのか。
「人の力など、我々の足元には及ぶことはできません。大幻獣ですら、この私の策に葬られた。姫のナイトと息巻いていたのに」
 楽しそうに笑うアクベンスはファリフの方へと向く。
「姫、私と参りませんか? 私と共にいるとなれば、貴女の楽しい記憶をずっと共有してあげましょう。貴女が息絶えるその時まで」
 ぴくりと、ファリフが肩を震わせる。
「まさか、記憶を見たのか!」
 陽の声にアクベンスは肯定するように笑う。
「……ふざけるな……ボク達の思い出はボク達と仲間のものだ……お前なんかのものにするな!」
 呼吸することすら苦しくてもファリフが立ち上がる。
 ファリフを湧きあがらせるのは共に継ごうと誓った仲間の声。
 負けてなるものか。
 この身が死に面しても、アクベンスを倒したい!
 克ってみせる!
「赤き大地の戦士が再び歪虚に負けることはない!」

 オウガもまた動こうとしていた。
 アクベンスを睨みつけ、奴への怒りは記憶を覗かれたことよりも、蛇の戦士シバが託そうした力とその死を侮辱された事が許せなかった。
 心の中でシバへ語りかけて、どれだけ自分がシバという存在に憧れていたか。
 死んだ者はそれまでだが、死して尚受け取れるものが在る。
 オウガやファリフ達にそれは受け継がれているのだ。
 自分もまた託したい。継がせたい。
 だから活きたい。
「死んでも俺は生きる!」

 悔しい。
 アカーシャの中に渦巻く怒りは悔しさで彼女の胸を苦しめている。
 甘く見積もってしまったものはフェンリルの死に直面させてしまった。
 ファリフは自身を見失うことなく、覚醒したが、奥義はまだ発動されてない。
 自分は制約を課してハンターより商人であることをとっていた。
 商人は守るのが仕事。
 品物、金、客、店……全て守らないとならない。
 守ろうとしたものが手のひらから零れている。
 二度と零すわけにも、踏みにじられるのも御免だ。
「死んだからアカン。せやけど、死んでも守ったる! 生きて戻ったる!」

 この世界は歪みに侵され、悲しみがどこかしこにも存在していた。
 特にこの辺境の地は長い時の中、歪虚の恐怖に晒されていている。
 幸せな物語を楽しめる世界が欲しいが故にルスティロはハンターへとなった。
 書き換えたいのだ。
 この命……魂に賭けても、この地の幸せな物語を紡ぐために。
「僕の命をあげるから、君の姿を僕にくれ!」
 彼と結んでいる精霊へ叫んだ瞬間、眩い大量のマテリアルが溢れだす。

 それは他の三人も同様に姿を変えていた。
 自身の中で何かが溢れてくる。
 魂が知っているのだろう。
「……は……っ」
 肺の中で詰まっていたかのような息を大きく吐く。
「ファリフ、フェンリル! 行くぜ!」
「うん!」
 まるで産声を上げるかのようにオウガとファリフが声を上げて駆けだす。
「……あれが霊闘士の奥義……」
 ぽつりとシンが呟いた。
「赤き大地の技が戻りました。早く、駆けつけましょう」
 戦闘中、黙々と戦っていたカオンがようやく嬉しそうな顔を見せた。
「余計な乱入がないように露払いに励もう」
 まだ残っている鹿型歪虚を見据え、シンがラージブレードを構えて地を蹴る。
 鹿の懐に飛び込んで剣を横に薙いで視覚を奪い、その場に留まらずに側面に流れて首から足の付け根へと剣を振り下ろす。
 シンは間髪入れずに鹿の傷口にねじりを入れて剣を差込み、剣を薙ぐ形で一気に肉を斬り裂いた。

 竜の姿へと変えたアカーシャは膨大なマテリアルで風を起こした。
 取り囲む先はアクベンスだ。風の中に飛び込んだのはオウガとファリフ。
 オウガがワイルドラッシュで連撃を繰り出した。
 アクベンスは受けの姿勢をとると、オウガはアクベンスに飛び掛り、背後を取って羽交い絞めにしてアクベンスの首を仰け反らせる。
 紅のオーラを纏わせたルスティロがアクベンスへレイピアを振り下ろす。鋭い爪のような一撃がアクベンスの身体に大きな傷を遺す。
 ダメージに苦悶の表情を見せたアクベンスは地を蹴って、身を捻って自身の腕に絡まるオウガの腕を引き、身体ごと引き上げてファリフの方へと飛ばした。
「わっ」
 加勢に加わったシンと陽がオウガを受け止める。
 ファリフが駆け出し、獣の咆哮をあげてイェジド……否、フェンリルを彷彿とする姿でアクベンスのナイフごと腕を爪で引き裂いた。
 距離を開けたアクベンスだが、風の異変にようやく気づく。
 瞬間、ハンター達は『風』の外へと走り出した。
 風は勢いを増して嵐へと姿を変え、アクベンスを包囲した。巻き上がる嵐の中には石や戦闘で折れた枝も倒された敵も巻き込まれている。
 アクベンスが術者に気づき、アカーシャの方を向く。
「あなたは私を怒らせました」
 底冷えする声は言葉は激しい怒りからくるもの。
 もはや、彼女の攻撃を止めるものはいない。
「この世界から退場してもらいます」
 アクベンスが激しい嵐が収束され、飲み込まれた。

 ふと、一枚の葉が空を舞う。
 嵐は消え、周囲に飛散物が落ちている。

 しかし、大幻獣のマテリアルを吸収したアクベンスは項垂れた状態でまだ立っていた。

「流石は大幻獣だけ……ありますね」
 トリシュヴァーナの方を向き、アクベンスは荒い息を吐く。
「しょうのない兎だね。切り刻まれたいのかい?」
 トリシュヴァーナを守るようにHolmesが大鎌を構えた。
 Holmesの様子にアクベンスは両手を背に隠し、即座に前に出すと、複数のナイフが彼の指に挟まれており、瞬時にハンター達へと投げ込まれる。
 しかし、アクベンスの攻撃どころか、彼自体消えた。

「トリシュヴァーナ!」
 陽が心配の声を上げると、トリシュヴァーナはアクベンスへの興味を失せたようだった。
「いいのかい?」
 Holmesが尋ねると、彼は「いずれ八つ裂きにしよう」とだけ告げた。
 久々にぞっとするほどの低い声。
「その時はその時に」
 肩を竦めたHolmesはファリフの方を向く。
 奥義を使って体力をなくしてくたくたになっている四人。
「ファリフさん、君を物語に書いていいかい?」
 ルスティロの頼みにファリフは目を瞬くと「いいよ」と笑顔で返した。
「御伽噺は幸せな終わりにしないといけないよね。ボク、頑張るよ」
 ねっ! と、ハンター達へと声をかけると、皆が頷く。

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MVP一覧

  • 星の慧守
    アカーシャ・ヘルメースka0473
  • 援励の竜
    オウガka2124

重体一覧

  • 英雄を語り継ぐもの
    ルスティロ・イストワールka0252
  • 星の慧守
    アカーシャ・ヘルメースka0473
  • 援励の竜
    オウガka2124

参加者一覧

  • 英雄を語り継ぐもの
    ルスティロ・イストワール(ka0252
    エルフ|20才|男性|霊闘士
  • 星の慧守
    アカーシャ・ヘルメース(ka0473
    人間(紅)|16才|女性|霊闘士
  • 真実を見通す瞳
    八島 陽(ka1442
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 援励の竜
    オウガ(ka2124
    人間(紅)|14才|男性|霊闘士
  • 唯一つ、その名を
    Holmes(ka3813
    ドワーフ|8才|女性|霊闘士
  • 王女の私室に入った
    シン(ka4968
    人間(蒼)|16才|男性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
アカーシャ・ヘルメース(ka0473
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2016/04/22 09:25:56
アイコン 質問卓
ルスティロ・イストワール(ka0252
エルフ|20才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2016/04/18 20:00:39
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/04/17 22:08:07