ワルサー的、初夏のお茶会

マスター:御影堂

シナリオ形態
イベント
難易度
易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
少なめ
相談期間
7日
締切
2016/05/17 15:00
完成日
2016/05/28 21:25

このシナリオは3日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


「お茶会……ですか」
 サチコ・W・ルサスールは、目の前に置かれた紅茶に口をつけ、ふと呟く。
 彼女は今、王国某所の商館に招かれていた。
「えぇ、そうですの。私の商会では、毎年素晴らしいお茶会を行っていますのよ」
「すごいですわね」
 サチコの目の前では、でっぷりした唇を大きく震わせながら、一人の貴婦人が話していた。サチコの噂を聞いて一目会いたかったというが、小一時間ほど話しっぱなしなのは貴婦人の方だった。
 相槌を打ちながら、絶え間なくメイドが入れる紅茶を飲んでいた。その間、調子よく回っていた貴婦人の語りが、不意に詰まった。
「それでね、御茶会は毎回コンセプトを変えるのですけれど……」
「どうかされたのですか」
「いえねぇ、今年のお茶会は東方風というべきなのかしら。リアルブルーの奥ゆかしきお茶会を真似ようという話が出ているのですわ」
「それは、面白そうですわね」
 言葉を選びながら、サチコは笑顔を作る。
 サチコの笑顔に貴婦人は「えぇ、もちろん」と答えつつも表情は曇ったままだ。
「けれど、問題がございますの」
「問題ですか……」
 嫌な予感がサチコの頭をよぎる。このパターンは、いつものダメなパターンだとサチコの記憶が警鐘を鳴らす。だが、相手は商会のお偉方の奥方である。弁説にかけては、向こうのほうが上だ。
 下手に機嫌を損ねることもできない。
「えぇ、実は商会の中に東方やリアルブルーの奥ゆかしきお茶会について、知識のある者がおりませんでしたの」
「えーと、でしたら、コンセプトを変えれば……」
「困ったことに、うちの者が勝手に招待状を送った後で気づいたのですわ」
「……それは、大変ですねぇ」
 他人事だ、と心に決めてサチコは告げた。
「ところで、サチコ様」
「は、はい。何でしょうか」
 逃げるように貴婦人から視線を外し、紅茶の水面を見る。
「サチコ様は、その……リアルブルーについて造詣が深いとお伺いしましたわ。お父様が喜々としてお話していらしたの」
 飲みかけた紅茶を吹き出しそうになり、サチコは何とか踏みとどまった。
「お父様が?」
「それはもう、嬉しそうにリアルブルーの行事を積極的に行おうとしたり、知識を得ようと努力していらっしゃるとか。そこで、お願いがあるのですけれど……」
「……はい」
「私達のお茶会を、助けて下さいません?」
「あの、私も、その、旅の途中で……」
「サチコ様は、お優しい方だと、聞いていますわ」
 ここまでで一番の笑みを浮かべ、貴婦人はサチコをまっすぐに見た。紅茶から上げた視線が、貴婦人の瞳とぶつかる。有無を言わせない笑顔を前に、サチコは言葉をなくした。
「厚かましいのはわかっていますわ。ぜひ、お願いできますかしら」
「私に、任せて下さい。何とか、してみますわ……」
 貴婦人の笑顔とは対照的に、サチコは自分の笑みは苦しいのだろうなと思いながら、紅茶を飲み干すのだった。
「ありがとう、サチコ様。そうそう、お茶会に必要な物は何でも言ってくださいまし。サチコ様のご友人やお手伝いに来てくださる方もお茶会に参加してもらいますわね」
 貴婦人の声を聞きながら、サチコの思考ははるか遠くに逃げていくのであった。


 宿へ戻ったサチコはことの経緯を従者のタロとジロに話した。
 厄介事を抱え込む声質を持つサチコに、二人は苦笑を浮かべる。サチコの機嫌を損ねないよう、即座に『リアルブルー大全』を取り出した。
 サチコの愛読書だ。
「えー、リアルブルーの奥ゆかしきお茶会ですが、これですかね」
「NODATE?」
「野点というようですね。屋外で行われるお茶会らしいです」
 タロから書物を奪って、サチコは勝手に読み始める。
「マッチャなる粉挽きのお茶を使うようですね。……茹で小豆を主体としたお菓子を食べると」
 服装はいつか来たことのある和服がスタンダードらしい。
 そのあたりも用意できるなら用意したいなと思い始めるサチコである。
「必要なのは、次のとおりですね」
 話を聞いていたジロが手近なメモに記入していく。

1)抹茶の準備
2)和菓子の準備
3)着物を用意する
4)会場の飾り付けをする
5)商会の人間に作法を教える

「……た、大変そうですわ」
「受けてしまったものは仕方ありません。ヘルプを頼みつつ、乗り切りましょう」
 もはや諦めをつけたタロが告げる。
 サチコは、ため息を吐きながら「やってみせますわ」と肩をすくめるのだった。

リプレイ本文


 サチコは商館のロビーで、ハンターたちの到着を待っていた。質のいいソファに身を沈めながら、サチコはせわしなくつま先を動かしていた。
 扉の外で複数の人の気配を感じ、サチコは立ち上がる。
「やっほー、サチコ」
「こんにちは」
 声を揃えて真っ先に入ってきたのは、天竜寺 舞(ka0377)と天竜寺 詩(ka0396)の姉妹だ。よろしくお願いしますと頭を下げたサチコに、舞は困ったような笑みを浮かべた。
「野点ねぇ。懐かしいけど茶席って苦手なんだよね」
 そういいながら、頭を掻いて隣の詩に目配せする。
 詩は姉の言葉にうなずきつつ、
「実家にいた時たまに行かされたけど、お姉ちゃん何時も逃げ出そうとしてたね」
と思い出話を語る。
 作法を知っているらしい二人に、サチコは心強さを感じる。詩が和菓子作り、舞が着物の用意をすると聞いて、また後でと二人の前を去るのだった。

 一通り挨拶を終えると、最上 風(ka0891)がサチコの手をガシっと握った。
 その視線は、サチコを越えて人知れず後ろにいた従者のタロとジロに注がれている。
「タロさん&ジロさん、手伝って下さい。と言うか、動くのメンドイので、代わりに働いて下さいよー」
 視線をちらりとサチコにも移しつつ、風はしれっと告げる。やや唐突な提案に、サチコは手を引こうとしたがしっかりと握られていた。
「サチコさんも、理解してくれますよね。会場設営は力仕事も必要ですし、男手がいるのですよー」
「えと、そちらにはヴァイス(ka0364)さんが……」
 名前の出されたヴァイスは、「どうした?」とのんきな顔で近づいてくる。
 すかさず、風はヴァイスにも話題を振った。
「男手は多いほうがいいですよねー?」
「そりゃあ、そうだろう」
 話半分に聞いていたヴァイスが同意を示したため、サチコは見事に丸め込まれた。
 振り向いたサチコは、にわかに嫌そうな顔を見せる二人へ、にこやかに告げる。
「では、タロ、ジロ。風さんたちを手伝って下さいますか?」
「サチコ様がおっしゃるのならば……」
 すかさず了解したタロとジロの手を掴み、風が歩き出す。
「ほら、行きましょう。そうですねー、噴水とかあれば雅でいいのですがー」
 フェードアウトしていく風たちを見送り、ヴァイスは肩をすくめる。
「さて、俺も行くとしよう」
「ヴァイスさんも頑張ってくださいませ」
「俺は雑務全般をやる感じだからな、指示に従うだけさ」
 着々と準備を始めようとする面々を見やり、ヴァイスはいう。
「それにしても、抹茶を使ったお茶会か……。話にだけは聞いたことはあるが、どんなものか楽しみだ」
「私もですわ」
 サチコの期待に満ちた目で見つめられ、ヴァイスは「楽しもうな」と告げる。そして、風たちを追いかけようとして、サチコたちは呼び止められた。

 呼ばれた先にあったのは、いくつにも積まれた粉袋と木箱であった。
 その前に立っていたのは、ザレム・アズール(ka0878)とヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)だ。そこへ、詩もとてとてと合流する。
「和菓子作りの材料だ。念のため、確認をして欲しくてね」
 ザレムに促され、サチコは材料のリストを眺める。和菓子作りには欠かせないと言われる小豆から、砂糖や小麦粉などの粉類……果ては山芋や苺まであった。
「……苺?」と小首を傾げたサチコは、苺が入っているらしい木箱を開ける。
 やや季節は外れるものの、よい形をした苺が詰まっていた。
「作るのは、リアルブルーのお菓子ですわよね。ケーキではなく」
 振り返るサチコに、拳を突き上げてヴォーイが宣言する。
「俺はっイチゴ大福をっ食いたいんだぁっ」
「イチゴダイフク……?」
 聞き慣れない名前にサチコは想像をふくらませる。
 考えこむサチコから、ザレムはリストを返してもらう。
「山芋も材料に使うんだ。楽しみにしてくれ」
「和菓子も奥が深いからね」
 垂れそうなつばを飲み込み、サチコは頷く。
「それとヴァイスさんに、これを抹茶組に届けて欲しくて」
 詩が袋の山から取り出したのは、煎った大豆が入った袋だった。ヴァイスは心得たとばかりに袋を受け取ると、去っていった。
「あれは、何ですの?」
「あとのお楽しみだよ、サチコさん」
 すべてがあとの楽しみに回され、サチコはうぅと唸る。
「待つのが辛いですわ」
 そこへ、ボルディア・コンフラムス(ka0796)が通りかかった。
「サチコー、着物班が呼んでるぜ?」
 石臼を抱えたボルディアに、今行きますわ、と伝えてサチコも和菓子組をあとにする。
 山々に積まれた材料を見上げ、ザレムは腕まくりをしてポツリと呟く。
「作りがいが、ありそうだ」


 着物を用意した部屋では、舞とアシェ-ル(ka2983)が荷物を紐解いていた。
「サチコ様とのお茶会~。これは、いっぱい楽しむしかありません!」
「本当に楽しそうだね」
「私の役目は、サチコ様にトウホウ風の衣装のあれこれを着て貰う事です!」
 力強く宣言するアシェールに、舞は小さくつぶやく。
「一応、推奨はあるんだけどね」
 だが、隣にいるアシェールのハリキリぶりに口をつむぐことにした。今はアシェールの好きなようにさせてあげようと思いながら、いくつかの衣装を取り出していく。
 そこへサチコが姿を現す。アシェールの表情が一段と明るくなり、
「お待ちしていました!」と駆け寄ってきた。
 サチコと挨拶を交わし、早速アシェールは着物を探っていく。
「色々と用意したつもりですが……」
 最初に取り出されたのは、大胆に染め抜きのされた「遊女」と呼ばれる浴衣であった。遊芸や踊りで映えるという着物をサチコにあてがい、アシェールはふむふむと頷く。
「やはりお似合いですね。さすがはサチコ様です」
「そ、そうですか?」
 自分ではわからないサチコがドギマギしながら聞き返す。
「うん。確かに似合っているよ」
「やはり、サチコ様には、この大人の色気溢れる浴衣「遊女」 ですが。他にも色々と……」
 続いてアシェールが取り出したのは、白絹の着物であった。赤い梅の花があしらわれており、サチコの銀髪と合わせるとより上品に見える。
「雪梅花も綺麗ですね~。さすがお似合いです!」
「肌触りもいいんだね」
「そうなんですの?」といいながら、サチコも白い生地に触れる。
 滑らかな感触を三人で楽しむこと数分。
 最初に我に返ったのは、舞だった。
「えと、アシェール。他にも持ってきてるんだよね?」
「え、あ、はい! そうです。まだまだあります!」
 アシェールとサチコは、ほんのりと頬を赤らめ、やや名残惜しそうに手を離す。綺麗にたたんだところで、アシェールは元気よく声を上げた。
「……もう、全部試着しちゃいましょう! お手伝いしますから!」
「お、お手柔らかにお願いします」
 三枚重ねの着物や、少し季節外れな桜の模様……いくつかの着物を試している間に時間が過ぎていた。
「そろそろ、会場の方にも顔を見せませんと……」
「え、もう行かれるのですか!?」
 サチコは名残惜しそうなアシェールに、着替えるときに戻ってきますと言い残して退出した。残ったアシェールは、難しい顔で「結局、どうすればいいのでしょう」とうなり始める。
 その様子に、舞は「そうだねぇ」といった後、
「じゃあ、お茶会の着物について調べてみようか」と続けるのだった。
 着物組の勉強会が始まる中、サチコは商館の中庭にたどり着く。


「サチコさん、この度はよろしくお願いします。リアルブルーや東方のお茶会の知識は、少し仕入れてきましたので、準備もお任せください」
 中庭でサチコを出迎えたのは、エルバッハ・リオン(ka2434)だった。
 その傍らでは、ナナセ・ウルヴァナ(ka5497)がニシシと笑う。
「またまた面白い事になってますね」
 ナナセは、何枚も赤い布を持っていた。曰く、ベンチに布をかけて待合の席を作るのだという。
「作法とかも覚えないとですね。サチコは完璧なんでしょう?」
「え」
「え?」
 一瞬の間を置いて、サチコは「そ、それはもちろん!」と虚勢を張る。
「じゃあ、準備が終わったらサチコにレクチャーしてもらわなくちゃ」
「え」
「え?」
「あ、先生役は別の方にお任せしてますから! 残念ですけれど、その方から教わっていただきますわ」
 そう、と少し残念そうなナナセにサチコは、
「私もまだまだですから。一緒に覚え直しです」と付け加えた。
 ナナセはぐっと拳を突き出して、
「それじゃあ、一緒に頑張りましょう!」と応じる。
 そんな中、サチコはエルが準備している道具の数々に目をやった。事前にエルが得た知識を基にして、商会に仕入れてもらった品々だ。
「こちらが茶碗、それと茶筅です。東方の商人とここの商会にツテがあって助かりました。道具が手にはいらないのであれば、準備は一段と難しくなりますからね」
 サチコが尋ねるより先に、エルは一通り説明をしてくれる。茶筅は抹茶をたてるときにつかう道具らしい。これがなければ、竹等で作るつもりだったらしい。茶釜を運んだ先には、風たちが飾り付けに勤しんでいた。
「いやー、タロさんとジロさんがいてくれて助かりましたー。あ、それはあっちに運んでくださいねー」
 否、風が指示を飛ばしてタロ、ジロ、ヴァイスがきりきりと働いていた。
「風、こいつはどこに運べばいい?」
「あ、それは入り口あたりにどーんと掲げておいてください~」
 ヴァイスが運んでいたのは、それなりに大きさのある鯉のぼりだった。曰く、時節にちなんで風がタロやジロとともに作ったのだという。
「その木は向こう側へ運んでくださいー。あ、そこらの草はそのままでおねがいしますねー」
「指示出しご苦労さまですわ」
 タロとジロの手伝いもあってか、動かなくて済んだ風はゆったりとしていた。
「こっちのほうが性に合ってますから」と言いながら、次の指示を放つ。
「ススキは合いそうにないですね」
 あたりを見渡しながら、ナナセはぽつりと零す。新緑を基調とした中にススキは合いそうにないと、判断したのだ。
「うん。はやく席づくりをしなければなりませんね!」
 気持ちを切り替えて、ナナセもベンチへの布がけに勤しむ。次第に彩られていく和の趣に、サチコは気持ちがはやる。
「楽しみですわ」
 そのとき――会場から少し離れた場所で、叫びが上がった。
「っしゃぁああ!」
 戦いの気合のような言葉に、サチコは急いでそこに向かうのだった。


 声の主は、ボルディアだった。
 彼女は気合の声とともに、石臼をごりごりと回している。石臼の出口からは緑色の粉がこぼれ落ちていく。ある程度回したところで、ボルディアは手を止めた。
 布で汗を拭いながら、ふと呟く。
「……アレか? こうやって汗を流した方が美味ぇ茶が飲めるってか?」
「そうですよ。なので、気合を入れて挽いてくださいね」
 ボルディアの傍らでは、花が涼炉の準備をしていた。炉に不備があってはいけないと、手配してくれたのだ。
「お茶以外も挽いた気がするのは、気のせいか?」
 ボルディアの視線の先には、粉袋がいくつか積まれていた。大きくはないものの、この量を挽くのは大変そうだとサチコは思う。
 今は抹茶づくりに精を出すボルディアは、粉挽きの疲れをおくびもみせずに石臼を回していた。
「で、あれも美味ぇ茶のために必要なものなのか?」
「美味しい和菓子のために必要なものですよ」
 花はそう告げると、袋のいくつかを持ってくる。
「というわけで、これらを和菓子づくりの方々に持って行っていただきたいのですが」
「わかりましたわ」
 サチコは即答である。美味しい和菓子が食べられると聞いては手伝わざるを得ないのだ。袋を預かるサチコに花は、続けていう。
「ここは良い場所ですから、摘み草遊びもできますし」
「摘み草?」
「えぇ、楽しみにしてください」
 摘み草遊びなるものがどんなものか、想像を膨らませながらサチコは粉袋を運ぶのだった。


 和菓子班のいる部屋にたどり着いたサチコは、粉運びで疲れ果てていた。詩が水を手渡しながら、声をかける。
「ありがとう、サチコさん。えと、大丈夫?」
「だ、大丈夫ですわ」
 どさっと粉袋を置き、サチコは水を受け取る。いけると思ったが、微妙にきつかったぐらいの疲労感があった。
「この袋の中身は何ですの。甘くて香ばしいような……」
「これが黒豆で作ったきな粉か」
 匂いにつられて、ザレムが袋の中身を覗き込む。出てきたのは色の濃い黄色の粉であった。香ばしさと甘さがちょうどよく、ひとさじ食べれば後を引く美味しさだ。
「いいねぇ。アレンジが効きそうだ」
 気がつけば、ヴォーイもきな粉の見物に来ていた。サチコの息が落ち着いたところで、ヴォーイは聞く。
「サチコさまも手伝っていくかい?」
 つまみ食いもできるぜ、とのお誘いにサチコは乗った。用意されていたのは、あんこと求肥、それからイチゴであった。
「まず求肥にこんな具合であんこをのせるだろ。そしてイチゴを一粒真ん中に乗せて……」
 包むとまんまるとした大福が出来上がる。
「ほら、サチコさま。やってみてください」
「むむむ」
 真剣な面持ちでヴォーイに習ったとおり、サチコは包むのを試みる。不器用ではないが、初めての経験を前にしてサチコは苦戦していた。
「サチコはあんこを摂り過ぎているよ。もう少し、少なめ……そう、それぐらいがいい」
「お、今度は綺麗に包めたみたいだな」
 見かねたザレムが助言を飛ばし、ヴォーイも笑みをこぼすほど綺麗な大福ができあがった。いちごを入れるのだから、その分あんこを調整しなければならない。包むコツは……とザレムはヴォーイを含めて二人にレクチャーを始める。
 真剣な言葉を二人は黙って聞き入れていた。
「さて、自分の作業に戻ろう」
 蒸し上げる時間を使ってアドバイスをしに来たらしいザレムは、自分の持ち場へと戻っていく。できあがったのは楕円形の薯蕷饅頭だった。
 口出しのできない鬼気迫るオーラを放ちながら、ザレムは作業を続ける。あとから詩に聞いた話では、温度、湿度、捏ね具合を含めてケーキより細かいキメを創りだそうとしていたのだという。
 むしろ、こちらが本職ではと思える真剣さでザレムは仕上げに取り掛かる。
 焼串で目と耳を描けば、ウサギの姿が出来上がった。
「かわいいですわ」
 思わず声が漏れた。
 ザレムは淡い桃色のウサギに塩漬けの桜花をのせる。
「この子は女の子さ。甘塩の桜と餡がきっと抹茶を引き立ててくれるだろう」
「白兎は何も乗せないのですか?」
「じゃあ、薄切りの抹茶入り塩羊羹を帽子に見立てよう」
 言うやいなやサクッと作れてしまうザレムに、サチコは目を見張る。手並みが鮮やかすぎて言葉もでない。
 余りそうなイチゴを口に運びながら、サチコはザレムの手つきを見ているのだった。

 そして、時間が迫ってきた――。


「えーとですね、サチコさま。野点という茶会では、かしこまり過ぎる必要はないのですが、主張が強すぎるのもダメなのです」
 サチコに藍色の着物を合わせながら、アシェールが辿々しく説明をする。舞からの受け売りで、サチコに着せながら説明するように頼まれたのだ。
 一方の舞は、他の参加者への着付けに大慌てだ。無地、もしくは江戸小紋の着物を手にあちらこちらと動き回っていた。
「サチコ、髪はまとめておいてね!」
 その傍ら、サチコたちにもきっちり指示を飛ばす。
「アクセサリーも茶器を傷つけないようはずさなきゃダメだよ」
 説明を終えると、再び参加者の列へ飛び込んでいく。商会の方々、ハンターの中にも着付けを頼むものがいるのだ。
 舞の忙しい様子から目を離し、アシェールはサチコに尋ねる。
「それで、サチコさまに似合う色を選んだのですが……いかがですか?」
「素敵ですわ」
「よかったです!」
 サチコの感想にアシェールは満足そうに破顔した。
 落ち着きのある簪で髪をまとめ、清楚な着物姿にサチコは変じる。そして、アシェールもまた薄桃色の着物を纏っていた。
「サチコさま! 参りましょう」
 いよいよ、お茶会の始まる時間がきた。


「あぁ! 足元が危ないです!」
 が、お茶を飲む前にサチコたちは余興を楽しむ。足元にアシェールが気をつけるよう注意を促しながら、サチコは中庭を歩いていた。
「大丈夫、ですわ」と足元の石を避けつつ、サチコは傍らに咲く野草近くで屈みこむ。
「それは食べられる草なのですか?」とアシェールも屈みこんで野草を見つめる。たぶんハーブの一種だと思うとサチコは述べて摘み取る。
「いい匂いですし、持って行ってみましょう!」

「これは、ローズマリーだね。料理の味付けに使われるハーブだ」
 サチコの持ってきたハーブをザレムが確認し、何に使えるのかを書き留めてもらった。他の参加者も商会付きのコックや「摘み草」を提案した花に野草や山菜を見せて、包んでもらっていた。
「あ、花さん。ハーブを摘んでみましたわ」
「サチコ君も楽しんでくれているようだね。参加者同士の交流にもつながっているようで、なによりだ」
「えぇ、面白い趣向だと商会の方もおっしゃっていましたわ」
 その言葉に花は満足そうに笑みを浮かべる。
「ハーブや山菜が取れる中庭でよかった。食べられると知られていないものもあったからね。天ぷらやおひたしのレシピを添えると、皆、喜んでくれる」
「私も旅のために、教えてもらいたいですわ」
「いずれ機会があれば」という花の答えに、
「では、そのときに」
 サチコはそう返して、参席の待機所へ移動する。ナナセが用意した赤布がかかったベンチに腰を掛けて順番を待つ。

「ふぅ。落ち着きましたわ」
「サチコさま。ちょうどよいところに!」
 そこへヴォーイがいちご大福の乗ったお皿を持って、近寄ってきた。
「茶席だと、一つしか食べられないらしいからな。ここで食べてもらおうと思って持ってきた」
「これ、私が作った大福ですね」
 サチコは皿を受け取ると、アシェールと1つずつ手に取る。
「ほのかな塩味とイチゴの甘酸っぱさがたまんねーぞぉ」
 弾むような声でヴォーイに進められ、サチコは一思いに口へと運ぶ。もちっとした食感の中から、あんこの甘さが飛び出してくる。そして、到達したイチゴが甘酸っぱい果汁を放つのだ。
 あんこの甘さとイチゴのマリアージュは、ケーキとは違った相乗効果を生み出す。飲み込んだ後、口の中にはさわやかな風味が残るのだ。
「これは……美味しいですわね!」
「サチコさまにそういってもらえると、嬉しいぜ」
「それになんとなくひやっとしてますね」
 アシェールの言葉にヴォーイはぐっと親指を立てて、説明を入れる。
「中庭にあった湧き水をつかって、ひんやり冷やしておいた。陽光が暖かだからな。より、おいしく感じるってわけだ」
 ヴォーイのいちご大福愛を聞いている間に、順番が回ってくる。サチコたちは少し前に出て、茶席の様子を伺った。


 詩とレクチャーを受けた商会の職員が、茶席を取り仕切る。今は、ボルディアとナナセたちの番だった。ボルディアは借り受けた和装を窮屈そうに纏い、ナナセは白を基調とした浴衣を着ていた。
 ただし、ナナセの髪飾りは中華風。耳飾りは茄子を模しており、ちぐはぐさがある。気にしていないナナセは、案内されるままボルディアにつづいて茶席に上がる。
 即座に難題が突きつけられた。
「え、正座? あぐらじゃダメなのか?」
「正座……あまり得意ではないですが」
 ボルディアとナナセは、正座を前にいきなり難しそうな顔を見せる。詩は苦手な方は簡易な椅子を使っても構わないと説明するが、ナナセはきっぱりと断った。
「私は大丈夫です。やってみます」と作法に乗っ取ろうと決めてかかる。
 居住まいが落ち着いたところで、早速お菓子が運ばれてきた。詩お手製のおはぎである。もち米であんこを包み込み、特製きなこがふんだんにまぶされていた。
 曰く、あんこには少し塩が入っているらしい。甘さを引き立たせるコツだという。
 回ってきたお皿からそのまま手づかみでいこうとしたボルディアに詩が注意を入れる。
「まずは私が一礼するので、ボルディアさんも一礼を返してください」
 そこから、いくつもの手順を説明されるにつけ、ボルディアの目がぐるりと廻った。
「菓子くらい好きに食わせろよォ!」
「一応、覚えてもらうのも会の目的だから……ね?」
 困った表情を見せる詩を前に、ボルディアもゆっくりと従う。それでも早く食べたくてうずうずしているのが、遠目にもわかった。
「これ、俺が挽いた粉だな」
 懐紙に載せたおはぎから漂う甘香ばしい匂いに、ボルディアは呟く。
「おいしく仕上がっているといいんだけど……」
「おう。えーと、お先に」
 辿々しく礼をしながら、ボルディアは匙で切りもって食べる。ほろほろと口の中できな粉が解け、もっちりとした中身と絡みあう。隣ではナナセも辿々しく作法に則りながら、おはぎを食べていた。
「おいしいです!」
「へぇ。あの粉がこんなお菓子になるんだな」
 感心しながらおはぎを食べきる間に、主賓が濃茶を立て終わる。前の人を真似すればいいからとボルディアとナナセは、じっと見守る。
 そして、自分の番が回ってくるのだがボルディアはそのまま持って行こうとして止められた。回す意味がいまいちわからなかったのだ。
「器を回す? どっから飲んだって一緒じゃねぇか!」
「器を見て、ボルディアさん」
「おう」とボルディアは言われるがままに器を見る。あやめの絵があしらわれた器だ。これがどうしたのかと顔を上げたボルディアに、詩が説明する。
「絵が描かれた正面を避ける意味をもって、器を回すのよ」
 理由をきちんと説明され、ボルディアは納得したように「なるほどなぁ」と声を漏らす。
「何事にも理由があるのですね」とナナセも感心したように、頷いていた。
 苦味を感じながら、ボルディアたちは濃茶を飲む。最初に説明されたように、全員で一つの器を回すため、飲める量は少ないのだ。
「……なるほど、こんな味になるのか」
 自分で挽いたお茶の味に、ボルディアは感慨深さを覚えるのだった。
 が、いささか足りなかったらしく砂糖を加えたグリーンティーを振る舞うところへ移動するのだった。どうやら、二人とも日々の鍛錬の成果か、足はしびれなかったらしい。


「サチコさま、椅子を使われますか?」
「きっと、大丈夫ですわ」
 ヴォーイが椅子を勧めたのをサチコはやんわりと断る。心配そうに見つめられつつ、サチコは茶席に上がる。右にはアシェール、正客となる左には舞が座っていた。
「見たとおりに……」
「ちょっとぐらい間違っても大丈夫だから」
 薄桃色の着物を纏い、舞がまずはお手本を見せる。作法を思い出しながら、お菓子をまずは受け取る。今度配られたのは、ザレムが作った紅白兎の薯蕷饅頭だった。
 一つずつ取っていき、懐紙に載せる。
「……かわいい」
「やっぱり、かわいいですわ」
「えぇ、かわいいですね、サチコさま!」
 遠くで聞いていたザレムは、心のなかでありがとうと呟く。食べなければならないのが残念だったと他の参加者からも言われ、
「製作者冥利に尽きます」と返していた。
 そんな一幕を知ってか知らずか、少し逡巡をしてから三人は薯蕷饅頭を割って食べる。山芋を用いてしっとりほっこりと作られた生地は、ケーキのスポンジと間違えるほどにきめ細やかな食感であった。
 あんこも上品かつ滑らかで、舌の上を滑り落ちる。アクセントに乗せられた桜の塩漬けと抹茶羊羹が、本体の甘さを引き立てるのだ。
「ほふぅ」とサチコたちは思わずため息を漏らしてしまう。
「私も後でいただかないとね」
 三人の様子に、詩は改めて心に決める。
「さて、濃茶だね」
 続いて回ってきた濃茶を飲み、舞は「やっぱり、苦いなぁ」と漏らす。
 苦い、と聞いて濃茶をじっと見つめていたサチコだったが、一思いに口をつけた。苦味の中にほんのりと、まろやかな甘みを感じた。
「おいしいですわ」と素直に感想を述べる。
 ここで舞はサチコの足元に目をやった。親指のあたりが落ち着きなく動いているのがわかる。しびれかけているのだ。その仕草を見た瞬間、舞の中にむくむくととある感情が……。
「お姉ちゃん?」
「……え、あ、サチコ。立てる?」
 突こうと伸ばした手を広げて、サチコの介助をする。案の定、転けそうになるサチコを通りかかったヴァイスが支えた。
「とりあえず、椅子のあるところまで行こうかい?」
「え、えぇ、よろしくおねがいしますわ」
 なお、サチコがヴァイスに頼む間にアシェールも立ち上がるのに一苦労を見せているのだった。


 数分もすれば足のしびれが取れ、サチコは立てるようになった。
 そこを見計らって、ヴァイスは
「ところで、サチコは今の姿を残しておきたいとは思わないか?」
とキノを通して記録を取ることを提案する。またとない着物を着る機会なのだから、と念を押されてサチコは「そうですわね」と同意する。
「せっかくだから、親父さんにも見せようと思うんだ」
「うっ……お父様が戻ってくるように言い出さなければいいのですけれど」
「あー、それは持って行く時にうまくやっておこう」
 安易に予想できる姿に、ヴァイスも苦笑いを浮かべる。こうしてサチコの同意のもと、いくつかの写真を撮る。
「アシェールも入っていいぞ」
 傍で控えていたアシェールにも声をかける。この会場にはサチコやアシェールを始め、目の保養になる姿が多くあった。途中、茶席の休憩時間に詩もやってきてサチコにおはぎの感想を尋ねたりした。
「ほれ、グリーンティー」とヴァイスは気を利かせて飲み物を取ってくる。
 形式張らないものも用意したいというヴァイスの意向から、用意されたものだ。気軽に抹茶を楽しめる何か、という要望に知識を総動員したのだ。
「さて、もう少し記録しておくかな」
 かしましい姿をとっていると、ぬっと近づいてくる姿が見えた。紫の江戸小紋をまとった風である。風は、気取られないようサチコの背中に近づくと、不敵な笑みを浮かべた。
「サチコさん。リアルブルー伝統の、着物の帯を引っ張り回す、よいではないか、よいではないかゴッコをご存じですか?」
「え、風さん。それは」
 いち早く気づいた詩が止めるのも間に合わず、風は帯を掴む。
 解きかけたその時、アシェールが瞬間に割り込んだ。
「あぁ! お召しものが! させませんよ!」
「冗談ですよ―」と目を逸らしながら、風は言う。
「サチコさんのお父さんに向けたサービスショットも必要かと、思ったのですがー」
「必要ありませんわ!」とサチコは乱れかけた着物を整えつつ叫ぶ。
「サチコさん、ここは私が食い止めます」とアシェール。
「なんだか、そういわれると風が悪者みたいじゃないですかー。タロさん、ジロさん、やってしまいましょー」
 いつのまにやらタロとジロを巻き込んで、風はアシェールと対峙する。
 渦中のサチコは、ヴァイスに「見ておくから、他のところ行ってきな」といわれてその場を去るのだった。


 一人になったサチコは、誰もいないベンチに座っていた。そこへ、ナナセが「隣いいですか」と姿を現す。
「初詣以来、調子はどうですか?」
「えぇ、そうですわね」
 ナナセは初詣以降サチコが行ってきた戦いや事件を聞き、サチコはナナセから北方で起こっている戦いについて聞いた。お互いの話に相槌を打ちながら、時折、ナナセが連れる妖精が茶々を入れたりする。
 楽しく談笑をしながら、ナナセはふと尋ねる。
「旅は、楽しいですか?」
「えぇ、充実していますわ」
 サチコの迷いない言葉に、ナナセは「よかったです」と笑顔を返すのだった。

 ナナセと別れ、続いてやってきたのはエルだった。
「サチコさん。せっかくの機会です。苦労した分、ここで人脈を構築しておきましょう」
「え、いきなりですわね」
「人脈を構築するテクニックについては調べてきましたから、任せてください」
 とはいっても、サチコも貴族の娘。社交界の作法は詳しいだろうと、エルは踏んでいた。そこで今回のお茶会で話題に上がっていることや、旅中では入りにくい流行のネタを仕入れておいたのだ。
「それとなく、話に混ざってサチコさんの能力をアピールするのです。相手にとってお付き合いしたい人間であることを伝えるがいいでしょう」
「でも、今回は私、何もしてないですわ」
 みなさんのおかがです、というサチコにエルは首をふる。
「サチコさんが呼びかけて、私たちは御茶会の準備に募ったのです。そのことは、立派な才能です」
 ザレムやヴォーイ、詩の作った和菓子。
 アシェールや舞が用意した着物。
 風が用意した飾り付けに、ナナセやヴァイス、エルの会場準備。
 ボルディアや花によって挽かれた抹茶やきな粉。
「私達がお茶会の準備をしたのであれば、サチコさんは私達を準備してくれました。そういうことですよ」
「……そういうものですか」
 えぇ、とエルは重ねてうなずきサチコの背中を押す。
「人脈を作って、新しい舞台を待っています」
「はい、ですわ」
 押されるままに、商人や貴族の輪に入っていくサチコを見届ける。
 お茶会の成功は、サチコを中心としたハンターによるものだと商会を含めて噂が流れた。このことが、とある出来事を引き寄せるかどうかは……神のみぞ知るのであった。

依頼結果

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MVP一覧

  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩ka0396
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズールka0878
  • 東方帝の正室
    アシェ-ルka2983
  • 仕事が丁寧
    ka6246

重体一覧

参加者一覧

  • もふもふ もふもふ!
    ロジー・ビィ(ka0296
    エルフ|25才|女性|闘狩人
  • お茶会の魔法使い
    ロラン・ラコート(ka0363
    人間(紅)|23才|男性|闘狩人

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師

  • 最上 風(ka0891
    人間(蒼)|10才|女性|聖導士

  • ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613
    人間(紅)|27才|男性|霊闘士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 東方帝の正室
    アシェ-ル(ka2983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • Sagittarius
    ナナセ・ウルヴァナ(ka5497
    人間(紅)|22才|女性|猟撃士
  • 艶やかに妖しく
    紫吹(ka5868
    人間(紅)|26才|女性|符術師
  • 仕事が丁寧
    花(ka6246
    鬼|42才|男性|疾影士

サポート一覧

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/16 18:13:01
アイコン 相談卓
最上 風(ka0891
人間(リアルブルー)|10才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/05/17 12:37:00