• 春郷祭1016

【春郷祭】忘れてないよ、面倒だっただけ

マスター:龍河流

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/05/10 19:00
完成日
2016/05/21 05:12

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 同盟領内に存在する農耕推進地域ジェオルジ。
 この地では初夏と晩秋の頃に、各地の村長が統治者一族の土地に集まって報告を行う寄り合いが行われる。その後、労をねぎらうべくささやかなお祭りが催され、郷祭と呼ばれていた。
 この春と秋の郷祭は、二年ほど前から近隣の住 同盟領内に存在する農耕推進地域ジェオルジ。
 この地では初夏と晩秋の頃に、各地の村長が統治者一族の土地に集まって報告を行う寄り合いが行われる。その後、労をねぎらうべくささやかなお祭りが催され、郷祭と呼ばれていた。
 この春と秋の郷祭は、二年ほど前から近隣の住人のみならず同盟内の商人達も商機を当て込んで集まる、大規模な祭りとなっている。
 今年も、その春郷祭の季節が廻って来た。
 ジェオルジ各地の村長達の会議は今にも始まりそうで、そこではいつもはない議題が取り上げられる。
 サルヴァト―レ・ロッソからジェオルジ各地に移り住んだ新住人達からの幾つかの要望と、彼らに新たな地での商業を試みる機会を与えるといった内容だ。
 しかし。
 それらとはまた別に、春郷祭はすでに様々な意味で賑やかに始まっていた。

 ジェオルジのあるところに、実験農場と呼ばれる場所がある。
 主に植物の品種改良を手掛けるその農場は、ジェオルジの領主一族にして先代領主のルーベン・ジェオルジが建てたものだ。
 つまり、農業研究に一身を捧げたいからと領主を息子に押し付けた駄目父の趣味爆発の場と、大抵の人には認識されている。
 ついでに、ここで働いている助手達も、ルーベンに負けず劣らずの研究熱心……つまり研究以外のことをあんまり気にしない人々だった。
 よって、今更のように、こんな問題が起きる。

 おおよそ半年前、この農場では新種の食用花を開発した。
 色合いも味も香りも一級品だったはずの食用花は、残念なことにあるミスで『瑞々しさは長持ちするが、激渋で色落ち激しい、食べ物とは思えないお花』に変化する。
 この失敗に落ち込んだルーベンを尻目に、助手達は『研究資金が途切れたら嫌』という自己中心的な理由から、失敗作を商品化する手伝いという名の丸投げ依頼をハンターオフィスに出した。
 そして、激渋味と色を抜いて、最初には及ばないが白くて甘い花にする方法を見出してもらい、他の加工方法なども試して、幾つかはすでに出荷にこぎつけている。

「まず、白いジャムでしょー、それから白い花の砂糖漬けでしょー、アルコール抽出で香水原料でしょー、あとなんだっけ?」
「花酒が、漬けたままだよね。それから、透明の花渋ってのが採れたけど、どうするのかよく分かんない」
「今のところ、採算が取れているのはジャムと砂糖漬けです。香料や花渋の安定生産のための増産に入るべく、我々は資金を必要としていますが、伝手を頼っての販売のみの現状では心もとない状態なのです」

 今度もハンターオフィスにやってきた助手達は、色々と言うのだが、具体的にどうしてほしいのかがよく分からない。
 で、ズバリと係員が求めることを尋ねてみたところ。

「名前が欲しいでしょー」
「そう、名前だよね」
「この改良種の食用花ですが、残念ながらまだ名前がありません。前回の依頼の際に名付けてもらうのを期待しましたが、そこまで至らず、現在までそのままです。各種商品の販路拡大を狙うにも、商品名がないのではどうにもなりませんし、花の名前と共に商品名も名付けてもらい、ついでに新商品開発のお知恵も拝借したい」

 これからの春郷祭で売り込みを図りたいよねと言う呑気な助手達に、もちろん係員は尋ねてみた。
 なぜ、植物の名前一つ、今まで決めずに来たのかと。それがあれば、ジャムと砂糖漬けくらいは、なんとかジャムとかで売り出せたはずである。
 すると、彼らはこうのたまうた。

「なんかー、忘れてたというかー」
「忘れてはないよ、手間だなと思ってただけで」
「残念ながら、我々には名付け親をするに足る直感や閃きというものが足りていなかったといいますか、手間賃とここまで依頼に来る時間がもったいなかったというのもありまして」

 係員の叫びに、誰一人異論はないらしい。

「つまり、面倒がって今になったんですか!」

 半年放置の新種名付け親と、その新たな商品アイデア出し係と、色々駄目な助手達に社会性を叩きこむ鬼教師を求む。

リプレイ本文

 春から初夏の風に変わりかけた、素晴らしい朝だった。
 ハンター達が実験農園にやってきて、今日で三日目。
「決めたことは、きちんと守りなさーい!」
 そんな爽やかな早朝の空気をつんざくのは、残月(ka6290)が助手達を叱る声だった。
 別に彼女が特別怒りっぽい性質であるとか、助手達を苛めて楽しんでいる訳ではない。
 ただ、ひたすらに、
「マイペースにも、限度がありますぅ。朝は打ち合わせから、そう決めたのは昨日ですよぅ」
「そうよぉ。あんた達、研究三昧で暮らしたいんでしょ? 今の調子じゃ、破産が先よ」
 助手達が、その研究心の赴くままと言えば聞こえがいいが、毎日場当たり的に仕事をしていたのを矯正中だからだ。
 社会人なら必要なはずの協調性やら何やらの筆頭鬼教師は、種族的にも鬼の残月が担当。実際の当人は、修業は好きでも人に厳しくする嗜好はないけれど、ここは心を込めて教育に当たっている。
 その残月に、商品開発を検討しつつ協力するのが、星野 ハナ(ka5852)とアルバート・P・グリーヴ(ka1310)の二人だ。どちらも普段はあまり厳しくは聞こえない口調だが、流石に昨日の今日で決まりごとが守れないとなれば、表情は険しい。
 三人掛かりで怒られて、見たところ彼女達や彼より年上もいる助手達だが、一列に並んで項垂れていた。
 そう。彼らは初日にアルバートからこってり絞られていたのだ。
『お酒の味見は適当、商品作りは偏りが大きい。こんなことで、研究費用が稼げるはずないでしょ! 世の中、好きなことだけして生きていけるほど甘くないのよっ!』
 アルバートは、以前にもこの農場から依頼を受け、今回売り込み先や方法を検討する商品群の開発に携わった。その時から助手達がどう発展させたかと思いきや、全然変わっていなくて驚くより先に叱らざるを得なかったのだ。
 彼の従妹で、今回は一緒に依頼を受けたソアレ・M・グリーヴ(ka2984)が、後でハナと残月に『あんなに怒る姿なんて、何年ぶりに見たかしら』と零したくらい。
 困ったことに、農場の助手達は全員が『好きなことだけしていたい』性質だった。まあ、責任者のルーベンからして、四人が依頼を受けたと聞いて『全権委任、よろしく』の二言でどこかに逃げたろくでなしである。
 ここはどうやら、ルーベンの同類、自分のしたい事最優先の連中が集まっているのだと理解した四人は、普段の彼や彼女達よりちょっとだけ厳しかった。残月は、五割増しくらい厳しめかもしれない。
 なにはともあれ。
「では、皆さま。朝一番には、全員の今日の予定の確認を。その後、朝一番の作業を済ませたら、朝食ですの」
 そのまま研究に没頭して、うっかり熱射病になったりしないようにと、この中では幾らか優し気に告げるソアレだが……早朝打ち合わせの司会をしてとの懇願の視線は無視した。そういうところから、自分達でやることを習慣づけないと、本当にこの農場は破産しそうなのである。
 研究三昧して、経費のことは考えなかったら、そうなるのは当たり前。全員で、日々の行動の組み立て方を修正してもらわねばならない。
「新しい食材で、試作品作れる~って思ったけど、ちょっと大変そうですぅ」
 ハナが二日目に漏らした感想は、まだ全然甘かった。
「そこっ、ちゃんと座って話を聞く!」
 残月が、全員で会議なんて一昨日までろくろくしたことがないという十数人を、まるで学校の先生か、大家族のお姉さんのようにしつけている。

 時間を遡って、依頼初日。
「えぇと……まずは、在庫の一覧作りに、倉庫の整理も必要ですわね。皆さまのお仕事の分担表などは、え、それもない?」
 食用花の名前も決めていなかったのかと、アルバートにひとしきりお説教を食らった助手のうち、二人ばかりを連れて状況確認に勤しむソアレは、本日何度目かのめまいに襲われていた。
 この農場、畑や温室の植物は見るからに素晴らしいのだが、その道具の管理や必要物品の仕入れ、助手達の仕事の割り振りなどがものすごくいい加減だった。よくもまあ、これで今までやって来たものだといっそ感心してしまいたくなる。
 しかし。
「なんですか、この台所はぁっ。こんなとこでお料理したら、病気になっちゃいますぅ」
 せっかくのお花で、色々とお菓子の試作をと期待していたハナは、悲鳴を上げている。
 畑や温室が忙しいからと、共用の台所も食堂も荒れ放題。仕事以前の生活の根本から手直しが必要だと、こちらも三人ほどをこき使って、掃除をし始めていた。
 こんなところから始める予定ではなかったと、ハンターの誰もが思うのだが……
「温室だけお世話していたいなんて、いけないよ。クレートさん、もし自分が病気になったらって、考えてみて?」
 ちゃんと元気に生活していないと、何かの世話をするなんて無理だと至極当たり前のことを、残月がやりたくない仕事を割り振られた助手に言い聞かせている。クレートと呼ばれる助手は、彼女より十も年上だろう。
 それが面倒がったら駄目とか、何か使ったら元の位置に戻すとか、子供のように諭されている姿は不思議と可愛い……訳がない。
「個人の持ち物と共有物と、ごっちゃにしたら余計に混乱するわよ。って、ジーノにニーノ、あんた達に言ってるの!」
 助手達全体はやりたいことだけする性質だが、細かいところで違いがある。残月が連れて回り、あちらこちらに放置されている農作業器具をまとめて歩く一団は丁寧に諭すと聞き入る人々。怒鳴ると逃げるので、丁寧さが大事である。
 対して、アルバートが連れているのは、ガツンと言ってやらないと聞き流す連中だ。ついでに、面倒なことはしたくない、一日中自分ペースで植物と戯れていたい人達。
 最初の説教で各自の性質を見て、似たような人物をまとめて、それぞれの集団ごとに仕事を割り振る。これはアルバートの発案だが、残月がルーベンから全権委任を取り付けているから、助手達は逆らえない。
 更に、ハナやソアレが色々な商品開発案を持っているので、それに縋りたい彼らは今のところはおおむね素直に職場の根本改善に取り組んでいた。
「今の作業が終わらないと、お昼ご飯に出来ないですからーっ!」
 台所整理担当のハナの一声が、現在一番効いている。

 そんなこんなで、彼らがやっと落ち着いて話し合いを持ったのはなんと二日目。
 場所は食堂。昨日一日がかりで、台所と一緒に掃除と片付けを済ませた場所である。まだ部屋の隅に色々積み上げてあるが、相談すべきことも山積みだ。
 まず、食用花の名前を決める。どう助手達をつついても、本人達がハンターオフィスで言った通りに、彼らには閃きが足りていなかった。
 ただし。
「プレシャスホワイトとか、エウカリスチヤとか、高級っぽい名前がいいと思いますぅ」
 ハナの意見は、腹芸が出来ない助手達が本当に『高級っぽい名前にしました』と口走りそうで、今ひとつ。彼女が言う通りに、お貴族様や教会が好きそうな名前は悪くないが、高級っぽいと言うだけでは推しが弱い。
 それと、販路拡大の方法も相談せねばならない。なにしろ出納帳簿が出て来なくて、ソアレが事務室を整理しつつ発掘した程度に、誰も経理を気にしていなかった。
「これは誰か担当を決めて、それも複数人で帳簿管理するようにしましょう。嫌な顔をしない。これも修行です。きちんと収入と支出が管理されれば、お給料が出て、他の好きな植物が買えますよ?」
 残月がため息交じりに皆を説得しているが、どうも助手達は給与遅配にも気付かない研究莫迦だ。だが、残月の『好きな植物が買える』には、反応した。
 給料から支払うなら、自費。つまりは誰の許可も必要なく、買い放題。
 夢見る表情になった助手一同に、鬼教師は現実をきちんと教えることをいとわなかった。
「好きなものが買えますが、それをどこで育てるのかは、ちゃんと他の方と相談しないといけません」
 肩を落とす一同に、今度はアルバートが溜息を吐いた。なんでその程度が判らないのかと言いたげだが、なんとか我慢しているらしい。
 この助手達に社会性を叩き込みつつ、名付けと販路拡大に加えて新商品開発とは難行でしかないが、幸いにしてハンター達には妙案があった。
「リアルブルーには、六月に結婚する花嫁は幸せになるという言い伝えがあるそうなのよ」
「花嫁だけですか? 花婿はどうなっているのでしょう?」
「そういう突込みは、今はいらないから!」
 アルバートが切り出したところに、この中で最も理屈っぽいトレークが口を挟む。が、あっさり跳ねつけられた。今はリアルブルーの言い伝えの話である。
「花嫁と言えば白。この花の色よ。ほら、売れる気がしてきたでしょ?」
「花嫁に限定してしまうと商品も限られますから、幸せを運ぶ花として季節を問わない贈り物になるように考えていくのはいかがですこと」
 従兄に続いてソアレも畳みかけ、こちらは石鹸や化粧水、芳香漬けしたお茶といった新商品も挙げていく。あれもこれも作れそうと笑顔が弾けるソアレに釣り込まれたのか、助手達も『なんだか売れそう』と思ってきたようだ。
 結婚式や贈答品関連を目指すなら、売り込む先もある程度絞られてくる。そこはルーベンの人脈に頼っても良かろう。正確には、そのくらいはルーベンにもしてもらわねば困る。
 そもそもの依頼も丸投げ傾向の助手一同は、この提案にあっさりと頷いた。相手選ばず売り込みをしろと言われるよりは、結婚式や贈答品での商品を狙って商売相手を探せと言われたことが、納得もしやすかったのだろう。
「でしたら、すぐに売り出せるジャムやお酒、花渋用の容器を手配するべきですわね。関連商品には共通のリボンを付けたりすると、統一感も出て可愛らしいと思いますの」
「それ、素敵ですぅ」
 経理も商業にも疎そうな助手達に、製品化の道筋をつけるべく指導を開始したソアレは、決定事項などを事細かに手元に記録している。
 そういうことはしていないハナは、身振り手振りを交えて、皆と容器の形や大きさ、リボンを付けるならどうするかと相談しつつ、不意にこう言った。
「売る時は、元々そういう路線を目指して作ったお花ですって言って、堂々とするのがいいと思いますぅ。失敗作だなんて言ったら、誰も買ってくれませんよぅ」
 そのためにも、それらしい研究論文なり説明文を誰かが書くのだと言い募る。作業が増えたとわたわたし始めた助手達に、今度は残月が一言。
「商品の取り扱いや飲食方法の解説は必要だから、皆で書かないと。あと」
 話し合いの記録は、きちんと取ること。議事録は、植物の観察日誌をつけるのと同じくらい重要だから頑張らねば。
 結局、一言では終わっていない。
「皆で頑張って、うんと儲けたら、代わりに商品の加工や販売を担当してくれる人を雇えるかもしれないわね。そうしたら、貴方達は研究三昧しても大丈夫よ」
 まあ、そんなことになるのはうまく行っても何年か先よねと思いながらも、アルバートは助手達の鼻先に人参をぶら下げてみる。
 花も残月もソアレも、アルバート同様に『それはかなり遠い目標』と思ったのだけれど、賢明な彼女達も黙っていた。良い取引先が見付けられれば、少なくとも卸した先の販売はお任せ出来るはずだ。まずはそこまで頑張ってもらわねば。
 他にも一日の予定をきちんと決めたり、手配が必要な物品の発注をしたりして、二日目もあっさりと終ってしまったのだった。

 よって、主に助手達の鬼教師役を引き受けた残月以外が、これと考えていた行動を実際に始めたのは三日目から。
「ウェディングケーキは難しいので、チョコレートケーキですぅ。間にジャムを挟んでみましたよぅ。これから、上に砂糖漬けの花を飾りますからぁ」
 お浸しは、試作したらあんまり美味しくなかったので、デザートを攻めますと宣言したハナが、台所にこもってケーキを焼き続けている。見た目はほとんど同じチョコケートケーキだが、中身に挟むジャムの量を変えたり、飾りを酒漬けにしていた花を使ったりと、様々に試作を重ねているようだ。
 全員でのお茶に供するには一つ二つでは足りないと、作れるだけ作ってしまおうと意欲的である。畑だ温室だと飛び回る助手達は、見掛けより大食漢でもあった。
「味見役は必要ありませんか」
「売込み用の論文を仕上げたのですぅ? まだなら、ハリィハリィ! お茶の時間に間に合わせないとぉ、ケーキはありませんよぅ」
 甘い匂いに誘われた者は、ハンターも助手も関係なく追い立てられている。
「はい、説明書の清書するから、早く来てー。それが終わったら、ポプリの袋詰めだから」
 追い立てられると、残月に見付かって、色々な作業に連れて行かれる。本来の農場仕事に加えて、商品を売り出す準備があるから一人たりとも遊ばせておく暇などない。
 よって、残月も一緒になって、水汲みからポプリ作りまで忙しく働いている。
 中には、
「あぁ、僕のクレアチフ、君はポプリになってしまうんだね。君は特にいい香りだったから、きっとどこに行っても気に入ってもらえるさ」
「……レヴェールさんは、いつもああいう方ですの?」
「うちで一番の詩人~」
 花弁を集める度に、一々花に語り掛ける青年などもいて、ソアレが彼女には珍しく思わず凝視してしまったが……何時ものことらしく、助手達は誰も気にしない。
 確かにクレアチフはいい香りだったので、ポプリになるのが最適だったろう。ポプリの布袋は彩り華やかに何種類もあったが、結ばれたリボンは全てお揃いだ。
 他に、花弁から精油より芳香蒸留水を取るのを目的に加工したフローラルウォーター、花弁を漬けたマッサージ用のオイルなど、新たな試作品も少数だが用意された。前者は精油を取るよりも多くの量が確保出来るので、化粧水に加工が出来れば売り上げが見込めそうである。後者は石鹸にも転用が可能だろう。
 問題は、助手達がきちんと継続してこれらの作業を軌道に乗るまで続けられるかだが……
「六月は近過ぎるけど、これからは虫除けも必要な季節だし、ちゃんとお金が入ってくるって分かれば頑張れる……筈よね」
 ポプリとは別に、虫除け成分の強い香草などと合わせた匂い袋を手に、アルバートは実験農場の先行きを案じていた。
「みなさーん、お茶の時間ですよぅ」
「あっ、道具はきちんと元の位置に片付けてから!」
「せっかくですから、この新しいブレンドのお茶も飲んでみませんこと?」
 楽しい時間を知らせる声に、わいわいと移動をし始めた一同から呼ばれて、アルバートも立ち上がった。匂い袋は紙箱に収めて、見本品を入れる木箱に入れる。
 箱には、丁寧な字でこう書かれていた。

『ギリビッツォ農場産  食用花『ルージュオブラン』加工品
 恋する乙女の色から花嫁の色へ  結婚式用飲食品、引き出物多数あります』

依頼結果

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 全てを見渡す翠眼
    アルバート・P・グリーヴ(ka1310
    人間(紅)|25才|男性|魔術師
  • 思い出は胸の奥に煌く星
    ソアレ・M・グリーヴ(ka2984
    人間(紅)|21才|女性|聖導士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師

  • 残月(ka6290
    鬼|19才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/10 02:05:20
アイコン 相談・名づけアイデア社会性?
星野 ハナ(ka5852
人間(リアルブルー)|24才|女性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/05/10 10:39:31