• 春郷祭1016

【春郷祭】パペットダンス

マスター:風亜智疾

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/05/22 07:30
完成日
2016/06/04 22:30

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 同盟領内に存在する農耕推進地域ジェオルジ。
 この地では初夏と晩秋の頃に、各地の村長が統治者一族の土地に集まって報告を行う寄り合いが行われる。その後、労をねぎらうべくささやかなお祭りが催され、郷祭と呼ばれていた。
 この春と秋の郷祭は、二年ほど前から近隣の住人のみならず同盟内の商人達も商機を当て込んで集まる、大規模な祭りとなっている。
 今年も、その春郷祭の季節が廻って来た。
 ジェオルジ各地の村長達の会議は今にも始まりそうで、そこではいつもはない議題が取り上げられる。
 サルヴァト―レ・ロッソからジェオルジ各地に移り住んだ新住人達からの幾つかの要望と、彼らに新たな地での商業を試みる機会を与えるといった内容だ。
 しかし。
 それらとはまた別に、春郷祭はすでに様々な意味で賑やかに始まっていた。


「人形劇、かぁ」
 持ち込まれた話に、ヴェロニカ・フェッロは頭を悩ませていた。
 事の始まりはジェオルジで開催される春郷祭。その一角に小さなスペースを借りた雑貨店が、1日だけ参加出来なくなってしまった。以前、ヴェロニカの絵本を展示したその雑貨店の店主から、その1日だけスペースで人形劇をやってくれないか、と頼まれてしまったのだ。
「うーん……とはいっても、私ひとりじゃ絶対に無理だものね。お祭りに行けば、どうにかなるかしら」
 今から周りに声をかけても、おそらく都合がつかないだろう。
 折角のお祭りだ。どうせなら、その場の雰囲気も楽しみたい。そしてお祭りという事は、時間を持て余した(という言い方は若干語弊があるかもしれないが)人もいるはず。
「……よし」
 雑貨店スペースの休みは明日。善は急げ。
 お祭りを楽しむのも半分。いや、三分の一。いや、四分の一はあるかもしれないけれど。
 折角やるなら成功させてみせよう。その為の人手を探すのだ。
 ゆっくりと椅子から立ち上がって、ヴェロニカはぐっと拳を握るのだった。

■人形劇 草案(動物は変更可能) 作:ヴェロニカ・フェッロ
――昔々のお話です。影の国に、一匹の悪いオオカミが住んでいました。
 オオカミは昔から、光の国にある、世にも珍しいたった一輪の光の花がほしくてたまりませんでした。
 その花は、光の国に優しさと温かさをもたらすという、奇跡の花です。
 影の国に住むオオカミは、ずっとずっと寒かったので、温かさをくれる花を独り占めしてしまいたいと思っていたのです。
 ある日の事。オオカミはついに光の国から、光の花を盗み出しました。
 花を失った光の国は、あっという間に光を失い、とても冷たく寂しい国になってしまいました。
 悲しみに暮れる動物たちを見ていた賢者ワシは、一人の勇敢な少年クマに剣を授け、影の国に逃げ帰ったオオカミを退治して光の花を取り戻すように言いました。
 少年クマと賢者ワシ。そして、そんな二匹に協力する動物たちは、沢山の困難を協力して乗り越え、ついに光の花を独り占めしていたオオカミを見つけました。


「…………」
 ペンを止めて、絵本作家は首を横に振った。
 迎えるべきエンディングを2つ用意してはみたものの、一体どちらがいいのか選べなかったのだ。
「これも、選んでもらおうかな」
 戦いの渦中にあるこの世界に住む人には、一体どちらが好まれるのだろう?

リプレイ本文


 一人のトルパドゥールが、片手に獅子を、片手に狼を携えて広場に現れた。
「光の国がどうなろうが気にするものか!!」
 低く暗い声音と言葉に、祭りに来ていた観衆が足を止めた。掴みは上々だ。
「光届かぬ影の国。隣国から光の花を奪った一匹のオオカミがおりました」
 謳うように朗々と。次々と声音を使い分けてルピナス(ka0179)は周囲を惹き込んでいく。
 次々と足を止める群衆に小さく笑みを浮かべ、彼は宣伝劇を続けるのだった。

 他方、開幕の準備も佳境。
「周りの露店が協力的で助かりました。椅子は必要数調達出来そうですよ」
 背景画を描いていた浅緋 零(ka4710)とヴェロニカ、そして人形たちへと装飾を加えていた虹心・アンクリッチ(ka4948)とちとせ(ka4855)は、顔を上げると目を丸くする。
「一体それはどうしたのじゃ?」
 いち早く復活したのは好奇心の塊、虹心だ。目を輝かせる彼女へと雨を告げる鳥(ka6258)が携えた物のうちひとつを手渡し、神代 誠一(ka2086)は笑いつつその疑問へと答えていく。
「椅子の交渉に行ったんですが、お土産を貰ってしまって」
「私は驚いた。神代誠一は実に交渉事に向いている」
 渡されたこの地方でよく食されるというお菓子をみんなで分けつつ、ちとせはふわりと笑う。
「とても、楽しみじゃのぅ……」
「わしも楽しみじゃ!」
 そんなちとせの後ろから、人形を手に顔を出した虹心も同じく楽しそうに笑っていた。

 アルナイル(ka0001)とシリウス(ka0043)は手分けして、劇の最後にふさわしい曲を尋ね歩いていた。
 どうせならみんなが歌えるような曲がいい。そうメンバーで決めた為に確認を取っていたのだ。
「楽しいお祭りにしたいね、アル」
「うん☆ 絶対に素敵な劇にしようね、シリィ」
 最後に相応しい曲を選んだあとは、劇の最中に演奏する曲も考えなければいけない。
「どんな曲がいいだろう。台本を読む限りでは最初は暗く悲しい感じかな」
「でも、どんどん明るくなっていくんじゃない?」
 軽く旋律を爪弾けば、幼馴染の少女は楽し気に口ずさむ。

 日を跨ぎ。
 皆で作り上げた脚本と背景、人形。
 一生懸命練習する役者。
 背の高いメンバーが率先して貼ったポスター。
 トルパドゥールと着ぐるみの猫の宣伝。
 年長者を中心に手配した客席。
 そして、音楽が得意なメンバーによる曲。
 舞台は整った。
 大きく深呼吸して、さあ。

◆序章
 ―三角帽を被ったツバメが語り始める。
 ―小さく響くリュートの音が、開幕を告げた。

「これは、渡り鳥であるツバメの私が、ある国に行ったときのお話」

 影の国に、帽子を被ったオオカミが住んでいました。
 帽子オオカミは昔から、光の国にある光の花がほしくてたまりませんでした。
 その花は、光の国に優しさと温かさをもたらすという奇跡の花です。
 帽子オオカミは、ずっと寒かったので、温かさをくれる花を独り占めしてしまいたいと思っていました。

 ある日の事。帽子オオカミはついに光の花を盗みました。

「誰が苦しんだって、構うものか!」

 ゴロゴロと、まるで唸るような声が響きます。
 寒いのもお腹が空くのもずっと我慢して過ごしてきた帽子オオカミは、我慢の限界でした。
 だって隣の国には、自分が手に入れられなかった全てがあるのです。
 光の花さえ手に入れれば、温かくなるしご飯だっていっぱい食べられます。
 けれど、光の花を手に走る帽子オオカミを恐れて、みんな逃げて行きます。
 帽子オオカミはとても悲しくなりました。

◆光の章
 ―悲し気なリュートと、細い歌声。
 ―三角帽のツバメは空を飛ぶ。

「変わってこちらは光の国」

 花を失った光の国は、冷たく寂しい国になってしまいました。

「これは困ったな」
「先生、どうしたら光がもどるのでしょう」

 黒縁眼鏡をかけた賢者ワシが大きな木の枝にとまって考えます。
 そのそばで、花飾りをつけた見習い子ネコが両手を組んで賢者ワシを見上げていました。
 このままでは、光の国はずっと真っ暗です。

「賢者よ!」

 そんな時。
 賢者ワシのもとにやって来たのは、心優しく勇敢な、花と翼のリボンをつけた勇者ライオンでした。

「おや」

 ばさり、翼を鳴らして賢者ワシは降り立ちました。
 見習い子ネコが不思議そうに首を傾げています。
 勇者ライオンは髪飾りを揺らしながら、ぐっと拳を握って言いました。

「影の国のオオカミが、光の花を盗んでいったのじゃろう? わしがオオカミを退治して、取り返してくるのじゃ!」

 勇敢な勇者ライオンに、賢者ワシは一つ頷きます。

「そうか。では、この二つを持って行くといい」

 賢者ワシが差し出したのは、立派な剣と暖かそうなマントでした。
 賢者ワシは語りかけます。

「どちらを使うかは、君たちが決めなさい。きっと道中、沢山の人と出会いがあるだろう」

 今まで見えなかったものが、きっと見えてくる。賢者ワシはそれを知っていたのです。
 二匹を見て、見習い子ネコは手をあげました。

「勇者さま、一人たびはさびしいのです」

 見習い子ネコは知っています。ひとりはとても寂しくて、どんなに強い心も挫けてしまうかもしれません。

「先生、いっしょに行ってもいいですか?」

 見習い子ネコの言葉に、賢者ワシは頷いて優しい声で語りかけました。

「ああ行っておいで。世界は美しい。手助けをしながら、お前もそれを知るべきだ」

 優しい賢者ワシに背を押されて、勇者ライオンと見習い子ネコは旅立ちます。
 そんな二匹の上を、三角帽のツバメが飛んでいきました。

◆影の章
 ―希望の乗せた力強いリュートを背に、三角帽のツバメは空を飛ぶ。

 「ライオンと子ネコは旅をする。それは、長く大変な旅だった」

 二匹は分かれ道に辿り着きました。

「困ったのじゃ。道が二つに分かれておる」
「勇者さま、どちらに進みましょう」

 どちらに進めば影の国なのか、分かりません。
 そんなときでした。

「……ふたりとも、どうしたのじゃ……?」
「おぉ! ヒツジではないか!」

 一匹のヒツジが現れました。
 実はヒツジは勇者ライオンの友達で、影の国から光の国へとやって来た変わり者です。
 勇者ライオンは、帽子オオカミが光の花を盗んでいったことを伝えました。

「だから、こんなにくらいのじゃな……」
「そうなのじゃ。故にわしらは、オオカミを退治しに行くのじゃが、この先の道が分からんで、困っておる」
「……それならば、ヒツジがあないしようかのぅ……」
「本当ですか」

 勇者ライオンと見習い子ネコは手を取って喜びます。
 けれど、案内ヒツジはどこか浮かない表情です。

「けれど……オオカミがそんなことをした理由が、あるはずじゃ……」

 案内ヒツジの言葉に、二匹は首を傾げました。
 光の国に住む人にとって、花を盗んだ帽子オオカミは悪者なのです。
 ですが案内ヒツジは闇の国から来たヒツジです。
 だからなのか、帽子オオカミの気持ちが、少しだけ分かるような気がしました。

「きっと……花を独り占めした理由は……そのきもちは『さみしい』では、ないのかのぅ……?」

 案内ヒツジの言葉に、勇者ライオンと見習い子ネコは考えます。
 真っ暗で寒い中一人きりだった帽子オオカミは、一体どんな気持ちだったのでしょう?
 それは、とても悲しいことのような気がします。

 ―三角帽のツバメが、すいと空を飛び三匹を追い抜いた。

◆闇の章
 ―三角帽のツバメの下で、双子のウサギが飛び跳ねて喜んでいる。
 ―明るく温かいリュートの音が、跳ねるように響く。

 「ここは闇の国。かつて闇に閉ざされていたこの国も、オオカミの奪った光の花のおかげで、光が宿った」

 片方は、星飾りをつけた黒ウサギ。もう片方は木の葉飾りをつけた黒ウサギ。
 二匹は生まれてからずっと手を繋いできました。

「ごらんよ、離れても、そこにいるのがわかる!」
「お互いの姿がちゃんと見えるのよ。ぼんやりじゃなくてこんなにハッキリと。それにとても暖かいの」

 ずっと暗闇の中でお互いの姿が見えなかった双子の黒ウサギにとって、それはまるで勇者が光を宿してくれたよう。
 突然光と暖かさを与えてくれた帽子オオカミは、二匹にとっての勇者なのです。

「ねぇ、出来るならオオカミさんにお礼を言いたいの」
「そうだね、オオカミに会いに行こう」
「ぼんやり見える大きなお口がこわくて近づけなかったことも謝らなくちゃ」

 二匹は手を取り合って、帽子オオカミの元へと向かいます。

◆心の章
 ―三角帽のツバメは、小さな小屋の上に留まる。
 ―リュートの音色は何処か不安定。低く重く、強く。

 双子の黒ウサギが帽子オオカミの元へ向かっていると、光の国からやって来た勇者ライオン達と出会いました。

「おんしらはどこへ行くのじゃ?」
「わたしたちは、光をくれたオオカミさんのところへ行くのよ」
「暖かさをくれてありがとうって、言いにね」

 嬉しそうに笑う双子の黒ウサギの言葉に、勇者ライオン達は顔を見合わせます。
 勇者ライオン達にとってオオカミは、光を盗んだ悪者です。
 けれど、案内ヒツジの言葉や、双子の黒ウサギの言葉を聞いていると、そうではない気がしてきます。

「なにか理由があるのかもしれません」

 見習い子ネコの言葉に、勇者ライオンは頷きました。
 みんな一度、帽子オオカミの話をきちんと聞いてみたいと思ったのです。

 そして動物たちは、帽子オオカミの元へとたどり着きました。
 帽子オオカミは、みんなを睨んでこう言います。

「俺はこんなにも飢えてきた。こんなにも寒い世界で、互いの顔も知らない世界で」

 誰も理解などしてくれませんでした。
 だからと、帽子オオカミは吠えるのです。

「ならば俺が、貴様らを理解する道理もない!」

 帽子オオカミのその声はどこか、泣いているようにも聞こえました。
 勇者ライオンの手には立派な剣が携えられています。
 それを見て、帽子オオカミは笑いました。

「さあ、その剣で殺すがいい。俺は花を返す気はない」

 その時です。小さな影が二つ飛び出しました。

「まって! オオカミさんを殺さないで!」
「お願いだ、僕らの話を聞いて」

 飛び出したのは双子の黒ウサギです。
 双子の黒ウサギは、帽子オオカミの手をぎゅっと握ると話しかけます。

「オオカミさんのおかげで、今まで見えなかったものがきれいにみえるのよ」
「寒さに震えることもなくなったんだ」
「だからオオカミさん、ありがとう」

 双子の黒ウサギの言葉に、帽子オオカミは驚きました。
 だって、自分は光の国から花を盗んできたのです。
 罰せられて当然のはずです。

「違う。皆の為とか、そういうつもりじゃなくて」

 寒かったのです。お腹が空いていたのです。
 でもそれは、帽子オオカミだけではなく、闇の国のみんなが同じでした。
 そんなみんなに、暖かさや明るさをくれたのは、他の誰でもない。
 帽子オオカミだったのです。

 その時です。
 ゆっくりと帽子オオカミの元へと歩み寄った勇者ライオンは、剣を置いてマントを広げました。
 どこか怯える帽子オオカミへと笑いかけて、そっと暖かいマントをかけてあげたのです。

「おんしは、確かに悪いことをしたのかもしれん。じゃが、わしはおんしを倒すことはせぬ」

 心配そうに見守っていた双子の黒ウサギが、嬉しそうに飛び跳ねます。

「全ては、闇の国に光が差さぬのが原因じゃ。ならばそれを、どうにかするのが勇者の務めじゃ!」

 勇者ライオンの言葉に、そっと案内ヒツジが声をあげます。

「花が……もう一輪あれば、よいのじゃがのぅ……」
「それならば、先生に相談してみましょう」

 見習い子ネコが提案します。
 きっと賢者ワシならば、いい考えが浮かぶに違いありません。

「のぅ、オオカミよ。わしらと共に、光の国の賢者ワシの元へ行こう!」
「そうすれば、闇の国もずっと明るくてあたたかいままよね」
「きっと先生が、手をかしてくれます」
「僕らも一緒に行こう」

 双子の黒ウサギに手をひかれつつ、帽子オオカミは小さく頷きます。
 みんなといると、とても暖かくて幸せな気持ちになるので、断る理由がないのです。
 動物たちは手を取り合って、光の国へと向かう事にしました。

 ―希望のリュートと共に、三角帽のツバメが樹に留まる。

「そうして一同は、賢者の元へと集った」

「おねがい賢者さま。僕らの国は、とても寒くて悲しいんだ」
「大好きな人の顔も見えないの」

 双子の黒ウサギが、闇の国にとってどれだけ光が必要かを語ります。
 静かに目を閉じて聞いていた賢者ワシへと、勇者ライオン達も話します。

「確かにオオカミは悪い事をした。じゃが、罰するだけがすべてとは思えぬのじゃ」
「ヒツジからも……たのみたいのじゃ……」

 みんなの話を聞きながら、見習い子ネコは賢者ワシへと近づきます。

「先生、花を二つにできませんか?」

 見習い子ネコの言葉に、賢者ワシは目を開いて言いました。

「二つにすると光の力が弱くなる。片方が咲いているときは、片方が閉じてしまうだろう」

 光の国が明るくなれば、闇の国が暗くなり。闇の国が明るくなれば、光の国が暗くなる。
 賢者ワシはそう言うのです。
 暗くなるという事は寒くなるという事。
 けれど、勇者ライオンは笑いました。

「構わぬ! 寒ければ皆で集まって暖まればいいのじゃ!」
「見えぬなら……てをつなげばよいのじゃ……」
「明るくなるって分かってれば、怖くなんかないのよ」

 次々上がる声に、賢者ワシはゆったりと笑いました。

「分かった。それでは花を二つに、其々の国に一輪ずつとしよう」

 賢者ワシが羽を振った次の瞬間。
 明るくキラキラした光が飛び散って、一つだった花が二つに分かれました。

「今日この時から、どちらの国にも平等に光と闇が来る。もう、光の国と闇の国ではない」

 どちらにも両方やって来るのだから、もう二つの国は同じです。
 動物たちは、手を取り合って喜ぶのでした。


 劇は大歓声の元、無事閉幕となった。
 劇の最後を思い出しながら、ちとせは小さく微笑む。
 みんなで持ち寄ったお菓子や飲み物を広げつつ歓談しているその様子を見ていると、思い出すのだ。
 演じていた自分たちだけではなく、誠一やレインの誘導によって観客全員が声をあげて歌った事。
 シリウスのリュートが、みんなの声に寄り添うように響いていた事。
 そして今。
 誠一が見守る中、零が差し出したフォークをヴェロニカが恥ずかし気に口に運び。
 ルピナスとシリウスの奏でる音に、アルナイルが歌い。
 音楽に合わせて、虹心がレインの手を取り踊る。
「のぅ、ヴェロニカ」
 小さく絵本作家の服の裾をひいて、ちとせは話しかける。
 今日、喝采を浴びたこの劇を、もっと多くの人に知ってもらうために。
「……絵本に、して貰えないかのぅ……?」
 少女の願いに、絵本作家は満面の笑みで頷くのだった。


END

依頼結果

依頼成功度大成功
面白かった! 12
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 幸せ歌う双兎
    アルナイル(ka0001
    エルフ|13才|女性|聖導士
  • 世界爪弾く双兎
    シリウス(ka0043
    エルフ|13才|男性|魔術師
  • その心演ずLupus
    ルピナス(ka0179
    人間(紅)|21才|男性|疾影士
  • その力は未来ある誰かの為
    神代 誠一(ka2086
    人間(蒼)|32才|男性|疾影士
  • やさしき作り手
    浅緋 零(ka4710
    人間(蒼)|15才|女性|猟撃士
  • 夢と眠りに背きし一歩を
    ちとせ(ka4855
    人間(紅)|12才|女性|魔術師
  • その心育てるLeo
    虹心・アンクリッチ(ka4948
    人間(蒼)|14才|女性|霊闘士
  • 雨呼の蒼花
    雨を告げる鳥(ka6258
    エルフ|14才|女性|魔術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 楽しい人形劇を
ちとせ(ka4855
人間(クリムゾンウェスト)|12才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2016/05/22 03:22:09
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/18 16:46:26
アイコン 質問等にどうぞ
ヴェロニカ・フェッロ(kz0147
人間(クリムゾンウェスト)|25才|女性|一般人
最終発言
2016/05/22 00:18:54