ゲスト
(ka0000)
聖地に戻ってきたならば…?
マスター:四月朔日さくら
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~10人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/05/21 12:00
- 完成日
- 2016/05/30 22:04
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
辺境での戦いは、いまは小康状態になっている。
それまで身を潜めていた辺境の民も、少しずつ自分たちのあるべき場所へ戻っていった。
それは聖地の巫女も例外ではない。
歪虚王の侵攻を受けて一時は幻獣の森やリゼリオへ避難していたのだが、歪虚王の撤退を受けて巫女達も徐々に聖地へ戻ってきた。幸い、歪虚達はノアーラ・クンタウへ真っ直ぐ侵攻した為、聖地が占拠される事はなかったのだが――
●
「きゅー!」
「きゅー!」
――大霊堂に戻ってきた巫女たちは、驚くべき光景を目にしていた。
それは、あの自称幻獣王・チューダによく似た、しかし一回りほど小さな個体の幻獣達が、大霊堂をおろおろと彷徨っている姿である。
もともとチューダという存在は、キューソという種の幻獣から大幻獣になったという話は聞いていた。しかし、そのキューソという種にお目にかかることはついぞなかったことなのだ。
「ははっ、こりゃあたまげたね。チューダがいなくなって、あたしらもいなくなって、不安で表に出てきちまったんだろうね」
大霊堂でもっとも発言力を持つ大巫女が、愉快そうに笑ってみせる。大巫女の話によれば、キューソという種は元もとこの聖地の隅のほうに群れを作っていたのだという。その中で強大なマテリアルを手に入れ、大幻獣となったのがあのチューダである。
つまりチューダという存在はたしかにキューソという種の間においては紛れもない王であったのだ。
「もっとも、キューソ自体は随分数も減っちまったし、この聖地の片隅で何とかやりくりしていたって話だがね」
そしてその幻獣王チューダは今、北の地にいる。
きっとこの聖地の要たる巫女と、自分たちのリーダーとも言えるチューダの存在が一時的にもいなくなってしまったことによって、不安に駆られたキューソ達が表に出てきてしまったのだろう。
「あたしらは聖地の片付けをしなきゃなんないけれど、このキューソの世話までは流石に難しいねぇ。ここはやっぱり、ハンターにも頼むかねぇ」
大巫女はそう言うと、にかっと笑った。
「リムネラの話も聞きたいもんだ。最近あの子も元気にしているかねぇ……」
その眼差しは、優しい母を思わせた。
辺境での戦いは、いまは小康状態になっている。
それまで身を潜めていた辺境の民も、少しずつ自分たちのあるべき場所へ戻っていった。
それは聖地の巫女も例外ではない。
歪虚王の侵攻を受けて一時は幻獣の森やリゼリオへ避難していたのだが、歪虚王の撤退を受けて巫女達も徐々に聖地へ戻ってきた。幸い、歪虚達はノアーラ・クンタウへ真っ直ぐ侵攻した為、聖地が占拠される事はなかったのだが――
●
「きゅー!」
「きゅー!」
――大霊堂に戻ってきた巫女たちは、驚くべき光景を目にしていた。
それは、あの自称幻獣王・チューダによく似た、しかし一回りほど小さな個体の幻獣達が、大霊堂をおろおろと彷徨っている姿である。
もともとチューダという存在は、キューソという種の幻獣から大幻獣になったという話は聞いていた。しかし、そのキューソという種にお目にかかることはついぞなかったことなのだ。
「ははっ、こりゃあたまげたね。チューダがいなくなって、あたしらもいなくなって、不安で表に出てきちまったんだろうね」
大霊堂でもっとも発言力を持つ大巫女が、愉快そうに笑ってみせる。大巫女の話によれば、キューソという種は元もとこの聖地の隅のほうに群れを作っていたのだという。その中で強大なマテリアルを手に入れ、大幻獣となったのがあのチューダである。
つまりチューダという存在はたしかにキューソという種の間においては紛れもない王であったのだ。
「もっとも、キューソ自体は随分数も減っちまったし、この聖地の片隅で何とかやりくりしていたって話だがね」
そしてその幻獣王チューダは今、北の地にいる。
きっとこの聖地の要たる巫女と、自分たちのリーダーとも言えるチューダの存在が一時的にもいなくなってしまったことによって、不安に駆られたキューソ達が表に出てきてしまったのだろう。
「あたしらは聖地の片付けをしなきゃなんないけれど、このキューソの世話までは流石に難しいねぇ。ここはやっぱり、ハンターにも頼むかねぇ」
大巫女はそう言うと、にかっと笑った。
「リムネラの話も聞きたいもんだ。最近あの子も元気にしているかねぇ……」
その眼差しは、優しい母を思わせた。
リプレイ本文
●
聖地、大霊堂――。
先だってからの戦いで巻き込まれることを懸念し、巫女たちは聖地から避難していたのだが、この聖地は結局戦渦に巻き込まれることなく、巫女も大巫女をはじめ無事に帰ることが出来ることができた。
……のだが、何しろその隙になぜだか顔を出していたのが、チューダと種を同じくする幻獣・キューソたちである。
それを聞いたハンターたちはいろいろな思いを胸に秘め、聖地に赴くことになった。
何しろ相手は幻獣キューソ。
一回り小さいと聞いてはいるが、あのチューダと同じというだけあって、ジャンガリアンハムスターを彷彿とさせる姿をしているのもほぼ同じ。ただし大幻獣であるチューダと違い、人語を解することができないのが最大の特徴だろうか。
つまり――下手をするとチューダよりも可愛いと思える要素が多いのである。皮肉な話かも知れないが。
そんなこともあって、胸を高鳴らせているハンターは多かった。
(大変な話ですわね~……でも、あのもふっぷりは素晴らしいのです! キューソさんたちに囲まれて思う存分もふもふしながら、そのふわふわの中で眠れたらきっと最高ですわ!)
こんなことを考えながら犬猫を連れているのはロジー・ビィ(ka0296)。嬉しそうに頬を緩めているあたり、確実にもふもふ好きだ。
と言うか、今回参加しているハンターたちはどうにもこういう面々が多い。リアルブルーからの転移者であるソフィ・アナセン(ka0556)も、もともとが動物好きと言うこともあり幻獣王チューダには随分とご執心と言うべき人物のひとりである。
「とにかく、まずは大巫女様の仰るとおり、一箇所に集めないと大変そうですね」
そう言って顔はきりりとさせているが、内心
(嗚呼、こんな……こんなにも可愛くていたいけな子たちを不安がらせていただなんて……なんてこと……! これは一刻も早く大丈夫だと伝えないと……)
そんな感じで随分とキューソびいきなのである。まあ、今回の依頼でキューソびいきではない方がむしろ少ない、と言うかいないのかも知れないが。
「にしてもミニサイズのチューダ様達なんて可愛すぎるだろ。何匹くらいいるかな……親子とかいるのかな、巣はどこかな……」
妄想逞しくしているのは帝国生まれの青年ザレム・アズール(ka0878)。男だからって可愛い物が好きだっていいじゃない、という感じである。今回は依頼の性質的に女性の参加者だけなのでは……と思いきや、見事な黒一点。まあ、ザレムは全体的に真面目で、なおかつ思いのほか可愛い物が好きと言う人なので、今回の依頼でも頼りにされることだろう。
そして、彼以外は全員女性である。ある程度予想できた事態ではあるが。
「それにしてももふもふして良いというのはありがたいな。この機会に癒やされるとしよう」
とくに最近は、立て続けに大きな戦闘や事件が多かったからな……と、そう思いながらくすりと微笑むのはドワーフの少女――といってもあくまで見た目だけだが――イレーヌ(ka1372)。
確かに最近は随分とつらい戦闘が多かった。
「でも、人間と同様にこの子達をもふもふ……いや、癒やせばいいのね。信頼できる王がいないんじゃ、不安にもなろうってもんじゃない。心を込めてもふもふ……お世話してあげないとね」
本心があちこちぽろぽろとこぼれているが、そんなことをしっかりと宣言して見せたのは、エルフのケイ(ka4032)。耳が短いから一見すると人間のように見えるが、年齢も経歴も不詳という彼女である。
「ですね……チューダさんもいまはちょっとお出かけしているだけでそのうち帰ってくるって、励まして上げませんとね。他の方々も少し忙しくしているだけですから……ね」
そう頬に手を当てて微笑むのは、明王院 雫(ka5738)。メリハリのきいた肢体ながらも清楚でお淑やかな雰囲気を備えた彼女は、たとえて言えば慈母の如き笑みと言えばいいのだろうか、柔らかな微笑みがとても印象的だ。
「とりあえず、キューソさんたちが安らかに過ごせる空間作りも大事ですね」
確かにそれはそうだろう。そして、符術師である夜桜 奏音(ka5754)も、いつもより何処か楽しそうな声色で提案する。
「聖地の中で散らばっているだろうキューソを見つけるのなら、占術を使えばある程度のあたりをつけられると思うんです」
なるほど、それは一理ある。
と言うことで、奏音がさっそく術を施す。
するとキューソたちは書庫や食料保存庫あたりをうろうろしているものが多そうだ――と言うことまでは分かった。ある程度予想の範囲内ではあるが、とりあえず見つけるのが第一だろう。
「もし見つけにくいところにいても、ある程度の対策は出来るぞ?」
そう言いながらザレムが取り出したのは、チュロス。チューダのお菓子好きと食い意地はハンターにとっては既に周知の事実と化している現在、その眷属とも言うべきキューソも恐らく食欲はすさまじかろうというのは容易に想像がついた。
「……でもチューダが大精霊……これは抜かったの、勉強不足だったの。ただのおもしろ幻獣かと思ってたの……!」
大まじめにそんなことを呟くのはディーナ・フェルミ(ka5843)、これまた自他共に認める幻獣好きな少女だ。……ただ、チューダは大『幻獣』であって、精霊ではないのだが。
ちなみに、彼女もまたお菓子やら何やらを大量に持ち込んでいる。と言うか、菓子を持ち込んでいない参加者のほうが、少ない。
「こういう困ったときはお腹いっぱいになると、八割くらいは解決している気がするの」
にっこりと笑うディーナの言葉に、他の仲間たちも確かにそう言うものかも、と頷く。
「確かにキューソたちをなだめる為には、彼らと仲良くなる必要があるかも知れないですからね。安易ではあるかも知れませんが、食べものを与えるのは作戦として悪くはないでしょうし」
エルバッハ・リオン(ka2434)も同じようなことを考えていたようで、そんなことを呟いてから自分で納得したらしく、こくこく、と頷いてみせる。
「……でも確かに、激動の日々がここのところ続いて疲れ切ってしまっているのも事実ですし、わたしたちも癒やされましょうね」
長い長い青い髪がひどく印象的な少女――メトロノーム・ソングライト(ka1267)も、微笑んで頷いた。
――さあ、作戦開始だ。
●
奏音があらかじめ占ってみた場所の近くに、菓子の類を配置する。
幸いなことに、参加者のほとんどが「チューダが菓子好きだから、きっと」と思ったこともあってか、菓子や食料の類は山のようにある。たちまちのうちに、とはいかないだろうが、見つけるのは容易いだろう。
「ユグディラは猫っぽい物が好きだったの。それならキューソならネズミっぽい物が好きかなぁって思ったの。衣食住足りれば、ちょっとは落ち着けるかもって」
ディーナはあの猫に似た大幻獣を思い出しながら、そんなことを言ってみせる。ネズミというかハムスターに近い姿なのだが、まあ言っていること自体は確かに筋が通っている。
実際、菓子をおいてからしばらくすると――
「きゅー!」
「きゅー!」
……面白いくらいに、ハムスターの姿をしたもふもふが集まってくるのがわかった。チューダほど肥えて……もとい、貫禄のある姿をしているわけでもないし、人語を話すことも出来ないが、それでも愛らしい仕草や短い前足をちょこまかと動かして何かを訴えようとする姿は、非常に可愛らしい。
ちなみにエルバッハは、もし苦手な食べものがあれば――と言う小さな危惧もしていたが、案外、と言うか、予想通り、とも言うか、キューソたちは好き嫌いなく食べものに手を伸ばそうとする。その図は、見ていて微笑ましいものだった。
聖地の巫女たちもキューソを集める作業には好意的だった。
キューソは聖地に住んでいる、言ってみれば聖地のマスコット的存在な部分もある幻獣だ。とはいえ、キューソたちはもともとが大人しい性質であるからして、チューダ以外は滅多に表に出てくることはなかったのだが。
そして、少しばかり厄介ではあるが、キューソはハムスター、と言うか、齧歯類に近い性質をやはり持っている。ストレスもあったのだろうが、書庫の所蔵物が若干ダメージを受けていたのはこの場を留守にしている間にやらかした、彼らの影響もあるだろう。
それでもやはり腐っても幻獣。キューソ達の愛らしさといったら、筆舌に尽くしがたいというのが現実だ。
また、前述の通りだが、キューソたちは大幻獣ではない為人間の言葉を話すことは出来ない。しかし、人間の考えや思いは、理解することが出来る。
「それなら、チューダさんのお名前を借りれば、あるいは警戒心や不安感を取り除いて差し上げることも出来るかも知れませんわ」
ロジーの言葉に、反対する声はない。実際、チューダが彼らのリーダー的存在であったであろうことは想像に難くないのだから。
そして見つけたら一つところに集めるのがいいだろう、と、巫女たちにソフィが聞き込んで大霊堂のすみの方の一部屋にキューソ達の為のスペースを作ってやる。そこにはふかふかのクッションや遊び道具にもなり得そうな籠、簡単に作ることの出来るハンモックのようなものなどを用意する。安心して眠ることの出来るスペースは、人間ならずとも大事な安心要素だからだ。
付け加えると、ケイの提案で、キチンとトイレのスペースも作ってある。衣食住、もっともキューソに服装は基本存在しないが、これが満たされていればどんな生物だって安心して生活することが出来るというものだ。ミネラルウォーターもエルバッハが用意していたし、万全を期している。
万が一はぐれキューソがいた場合も、巫女たちに教えて貰えるように伝言を頼む。とりあえず二十ほどは集まったが、実際の数はそれよりも多いだろうからだ。ネズミ算、なんて言葉は「ネズミのように増えていくから」という意味を込めてあるのは周知のことだろう。……もっとも、ネズミとキューソが同じように増えるかというと、その限りではないかも知れないが。
それでも、巫女の情報を集めていくと、最終的な数としてはやはり最初に見つけた倍くらいはいた。だいたいそれで四十匹弱、と言うところだろうか。幻獣という性格を考えると、決して少ない数字ではない。これも今まで聖地という、諍いや争いとは隔絶された環境で過ごしてきたことに一因があるだろう。
そして――キューソたちを見つけたハンターたちは、当然のことながら舞い上がっていた。
「キューソさんが、いっぱいですね!」
奏音はそう言って嬉しそうにキューソのお腹をもふもふする。
そう、あるものはそのふかふかのお腹に触れて顔を緩めているし、別のあるものは思いっきりもふもふとなで回していた。
「キューソのみんなも、もう心配はいりません。巫女の皆さんも少しずつお戻りになられるようですし、北の方が落ち着けば、チューダ様もきっとお帰りになられると思いますよ」
ソフィの言葉も、キューソたちにはだいたい理解できたのだろう。それを聞いたキューソ達が、前足をいっぱいに天に伸ばし、
「きゅー!」
「きゅきゅ、きゅー!」
と嬉しそうに鳴いている。
「うん、お前達の王様もきっとすぐ帰ってくる。だから、そんなに心配するな」
イレーヌもやさしい声でそう言い、そっとキューソたちを撫でてやった。
更に気持ちを和ませるには音楽がいいだろう、と考えたロジーやメトロノームらが準備していたオルゴールやら竪琴やらの心地よい音が、キューソ達の楽しそうな鳴き声に混じって聞こえてくる。
それを微かに耳にした大巫女は、わずかに目を細めて微笑んだ。
「……そう言えば、リムネラも歌の得意な子だったねぇ。あの子も元気にしているといいんだけれど」
大巫女は一時避難の際もリゼリオまでは赴いていない。大巫女曰く、巫女には巫女のあるべき場所があるから、と、もとより辺境地域から足を伸ばすことはまずないのだ。
そう言う意味ではリゼリオで活動を続けているリムネラのほうが巫女としてはイレギュラーな部分を備えている。
(あの子はまだ若い。きっとまだまだ、困難があるだろうけれど……あの子なら乗り越えていけるだろうさ)
大巫女はそう思いながら、そっと目を伏せた。
●
そういえばチューダはフルーツ好きだから、とザレムが用意してきたのはフルーツや、それらをふんだんに使ったスイーツ。季節感よりも彩りや食べ比べ要素を重視して、苺のプディングやリンゴのパイ、ミカンのゼリーに桃のケーキなど、カバンから出てくるさまざまなスイーツ達にキューソのみならずハンターたちも喉をゴクリと鳴らしてしまう。
そんな甘いものをハンターたちがキューソに手ずから渡してやると、キューソは小さい口でそれをかりかりもぐもぐと食べ始めた。やがて頬袋がぱんぱんになっていたが、キューソ達は余り気にしていないというか、もっともっと、とねだるような視線をハンターたちに投げかける。
ふかふかのクッションがたっぷりある空間で、大好きなお菓子もたっぷり食べさせて貰えて、キューソたちも嬉しそうに身振り手振りで感謝するように訴えてくる。言葉は話せないが、チューダに比べると礼儀もちゃんとわきまえているようだ。……いや、チューダが礼儀を知らないというわけではないのだが。
やがてお腹ぱんぱんにもなったキューソたちは、安堵したと言うこともあるのだろう、少しずつ夢の中へと突入していく。小さな欠伸が聞こえてくれば、それなら、とメトロノームが澄んだ声で子守唄を歌ってやる。
キューソたちも満足したのだろう、ふかふかのクッションに身体を寄せるようにして、あるいはキューソ同士で身体を寄せ合い、小さく丸まってすやすやと眠りだした。寝姿もまた保存できるものならしたいと言うくらいの愛らしさで、見ているハンターたちもつい笑顔がこぼれてしまう。
「これぞもふもふタイム、ですわね……ッ」
ロジーが嬉しそうに声を上げる。
そしてそんな姿を眺めながら、ハンター達はまだ手のついていないおやつやらなんやらを食べ始めた。
「あとで目が覚めたら毛繕いもしてあげましょうね」
ブラシも持ってきているのは雫だ。ふかふかの毛並みにブラシを通したら、なおのことふかふかのふわふわになるのだろうな、と誰もがほっこりとした笑顔になる。
「それに、出来たてのご飯もあげたいですね」
更に材料まで持ち込んでいるあたり、雫はなかなかの策士だ。おっとりとした風貌の内側からにじみ出てくる母性というものが感じられる。確かに甘いものばかりではキューソの栄養も偏ってしまうだろうし、それもいいアイデアだろう。
更に、キューソが運動不足で欲求不満にならないように、と、ケイはキューソの為の運動スペースまでこしらえてある。
更に付け加えれば、奏音のこしらえた、キューソにどことなく似せるようにした式符もその中で動いている。キューソにとってはいい遊び相手になり得るだろう。
実際、まだ眠っていないキューソの何匹かはそれを追いかけたりして遊んでいる。式符を巧みに操り、キューソは彼女の狙い通り、膝の上へ。それをきゅっと抱き、嬉しそうに微笑む奏音。
「へぇ、そういうことも出来るんですね」
ソフィが感心したかのように言うと、嬉しそうにふふっと微笑む。
「そういえば怪我をしたりしているキューソはいないといいの……」
ディーナがあちこちキューソの身体をチェックする。幸い、跡の残りそうな大きな怪我を負っている個体はいなかった。擦り傷程度は見かけたが、まあ許容範囲内だろう。
「……ここは本当に天国のようですね……小さいチューダ様が一杯なんて……」
ぽつり、と呟いたソフィの言葉に、
「同感!」
誰もがそう言ってにっこりと笑って見せた。
そしてもふもふ天国でキューソたちをもふもふしたのは、言うまでもない。
メトロノームも、うとうとと一緒に眠っていた。
●
キューソたちは自分達の居場所を作ってもらうことで、安堵感を取り戻したらしい。すっかりだらしない寝姿をハンター達に晒している。
ザレムはその部屋の中央に、思い付いてなにやら木を削った彫像を作って置いた。
「これはチューダの像だよ。チューダがいない間の寂しさも、少しは紛れるだろうかなと思ってさ」
愛嬌と暖かみの溢れた木像に、キューソたちも大喜び。
「きゅ!」「きゅー!」
誰もが思わず一匹連れて帰りたいと思ってしまう愛らしさ。
「ハンターの皆さんもありがとうよ。連れて帰りたいだろうけど、流石にそれはまずいからねぇ」
見に来たらしい大巫女が苦笑しながら頷く。そして深々と頭を下げた。
「そのうちチューダも帰ってくるだろうしね。またチューダが厄介なことをいうかも知れないけど、そのときはそのときさ。これからも、よろしく頼むよ」
幻獣という存在は、やはり稀少なものだ。それを可愛がってくれるハンターたちには、感謝の言葉を言っても言い足りないのだろう。
「いいえ、わたしたちも癒やされました」
メトロノームが微笑めば、ロジーも満足そうに頷いてみせた。
ハンターにとっても、キューソにとっても、平穏な時間。
それは幸せな、とても幸せな時間に間違いなかった。
聖地、大霊堂――。
先だってからの戦いで巻き込まれることを懸念し、巫女たちは聖地から避難していたのだが、この聖地は結局戦渦に巻き込まれることなく、巫女も大巫女をはじめ無事に帰ることが出来ることができた。
……のだが、何しろその隙になぜだか顔を出していたのが、チューダと種を同じくする幻獣・キューソたちである。
それを聞いたハンターたちはいろいろな思いを胸に秘め、聖地に赴くことになった。
何しろ相手は幻獣キューソ。
一回り小さいと聞いてはいるが、あのチューダと同じというだけあって、ジャンガリアンハムスターを彷彿とさせる姿をしているのもほぼ同じ。ただし大幻獣であるチューダと違い、人語を解することができないのが最大の特徴だろうか。
つまり――下手をするとチューダよりも可愛いと思える要素が多いのである。皮肉な話かも知れないが。
そんなこともあって、胸を高鳴らせているハンターは多かった。
(大変な話ですわね~……でも、あのもふっぷりは素晴らしいのです! キューソさんたちに囲まれて思う存分もふもふしながら、そのふわふわの中で眠れたらきっと最高ですわ!)
こんなことを考えながら犬猫を連れているのはロジー・ビィ(ka0296)。嬉しそうに頬を緩めているあたり、確実にもふもふ好きだ。
と言うか、今回参加しているハンターたちはどうにもこういう面々が多い。リアルブルーからの転移者であるソフィ・アナセン(ka0556)も、もともとが動物好きと言うこともあり幻獣王チューダには随分とご執心と言うべき人物のひとりである。
「とにかく、まずは大巫女様の仰るとおり、一箇所に集めないと大変そうですね」
そう言って顔はきりりとさせているが、内心
(嗚呼、こんな……こんなにも可愛くていたいけな子たちを不安がらせていただなんて……なんてこと……! これは一刻も早く大丈夫だと伝えないと……)
そんな感じで随分とキューソびいきなのである。まあ、今回の依頼でキューソびいきではない方がむしろ少ない、と言うかいないのかも知れないが。
「にしてもミニサイズのチューダ様達なんて可愛すぎるだろ。何匹くらいいるかな……親子とかいるのかな、巣はどこかな……」
妄想逞しくしているのは帝国生まれの青年ザレム・アズール(ka0878)。男だからって可愛い物が好きだっていいじゃない、という感じである。今回は依頼の性質的に女性の参加者だけなのでは……と思いきや、見事な黒一点。まあ、ザレムは全体的に真面目で、なおかつ思いのほか可愛い物が好きと言う人なので、今回の依頼でも頼りにされることだろう。
そして、彼以外は全員女性である。ある程度予想できた事態ではあるが。
「それにしてももふもふして良いというのはありがたいな。この機会に癒やされるとしよう」
とくに最近は、立て続けに大きな戦闘や事件が多かったからな……と、そう思いながらくすりと微笑むのはドワーフの少女――といってもあくまで見た目だけだが――イレーヌ(ka1372)。
確かに最近は随分とつらい戦闘が多かった。
「でも、人間と同様にこの子達をもふもふ……いや、癒やせばいいのね。信頼できる王がいないんじゃ、不安にもなろうってもんじゃない。心を込めてもふもふ……お世話してあげないとね」
本心があちこちぽろぽろとこぼれているが、そんなことをしっかりと宣言して見せたのは、エルフのケイ(ka4032)。耳が短いから一見すると人間のように見えるが、年齢も経歴も不詳という彼女である。
「ですね……チューダさんもいまはちょっとお出かけしているだけでそのうち帰ってくるって、励まして上げませんとね。他の方々も少し忙しくしているだけですから……ね」
そう頬に手を当てて微笑むのは、明王院 雫(ka5738)。メリハリのきいた肢体ながらも清楚でお淑やかな雰囲気を備えた彼女は、たとえて言えば慈母の如き笑みと言えばいいのだろうか、柔らかな微笑みがとても印象的だ。
「とりあえず、キューソさんたちが安らかに過ごせる空間作りも大事ですね」
確かにそれはそうだろう。そして、符術師である夜桜 奏音(ka5754)も、いつもより何処か楽しそうな声色で提案する。
「聖地の中で散らばっているだろうキューソを見つけるのなら、占術を使えばある程度のあたりをつけられると思うんです」
なるほど、それは一理ある。
と言うことで、奏音がさっそく術を施す。
するとキューソたちは書庫や食料保存庫あたりをうろうろしているものが多そうだ――と言うことまでは分かった。ある程度予想の範囲内ではあるが、とりあえず見つけるのが第一だろう。
「もし見つけにくいところにいても、ある程度の対策は出来るぞ?」
そう言いながらザレムが取り出したのは、チュロス。チューダのお菓子好きと食い意地はハンターにとっては既に周知の事実と化している現在、その眷属とも言うべきキューソも恐らく食欲はすさまじかろうというのは容易に想像がついた。
「……でもチューダが大精霊……これは抜かったの、勉強不足だったの。ただのおもしろ幻獣かと思ってたの……!」
大まじめにそんなことを呟くのはディーナ・フェルミ(ka5843)、これまた自他共に認める幻獣好きな少女だ。……ただ、チューダは大『幻獣』であって、精霊ではないのだが。
ちなみに、彼女もまたお菓子やら何やらを大量に持ち込んでいる。と言うか、菓子を持ち込んでいない参加者のほうが、少ない。
「こういう困ったときはお腹いっぱいになると、八割くらいは解決している気がするの」
にっこりと笑うディーナの言葉に、他の仲間たちも確かにそう言うものかも、と頷く。
「確かにキューソたちをなだめる為には、彼らと仲良くなる必要があるかも知れないですからね。安易ではあるかも知れませんが、食べものを与えるのは作戦として悪くはないでしょうし」
エルバッハ・リオン(ka2434)も同じようなことを考えていたようで、そんなことを呟いてから自分で納得したらしく、こくこく、と頷いてみせる。
「……でも確かに、激動の日々がここのところ続いて疲れ切ってしまっているのも事実ですし、わたしたちも癒やされましょうね」
長い長い青い髪がひどく印象的な少女――メトロノーム・ソングライト(ka1267)も、微笑んで頷いた。
――さあ、作戦開始だ。
●
奏音があらかじめ占ってみた場所の近くに、菓子の類を配置する。
幸いなことに、参加者のほとんどが「チューダが菓子好きだから、きっと」と思ったこともあってか、菓子や食料の類は山のようにある。たちまちのうちに、とはいかないだろうが、見つけるのは容易いだろう。
「ユグディラは猫っぽい物が好きだったの。それならキューソならネズミっぽい物が好きかなぁって思ったの。衣食住足りれば、ちょっとは落ち着けるかもって」
ディーナはあの猫に似た大幻獣を思い出しながら、そんなことを言ってみせる。ネズミというかハムスターに近い姿なのだが、まあ言っていること自体は確かに筋が通っている。
実際、菓子をおいてからしばらくすると――
「きゅー!」
「きゅー!」
……面白いくらいに、ハムスターの姿をしたもふもふが集まってくるのがわかった。チューダほど肥えて……もとい、貫禄のある姿をしているわけでもないし、人語を話すことも出来ないが、それでも愛らしい仕草や短い前足をちょこまかと動かして何かを訴えようとする姿は、非常に可愛らしい。
ちなみにエルバッハは、もし苦手な食べものがあれば――と言う小さな危惧もしていたが、案外、と言うか、予想通り、とも言うか、キューソたちは好き嫌いなく食べものに手を伸ばそうとする。その図は、見ていて微笑ましいものだった。
聖地の巫女たちもキューソを集める作業には好意的だった。
キューソは聖地に住んでいる、言ってみれば聖地のマスコット的存在な部分もある幻獣だ。とはいえ、キューソたちはもともとが大人しい性質であるからして、チューダ以外は滅多に表に出てくることはなかったのだが。
そして、少しばかり厄介ではあるが、キューソはハムスター、と言うか、齧歯類に近い性質をやはり持っている。ストレスもあったのだろうが、書庫の所蔵物が若干ダメージを受けていたのはこの場を留守にしている間にやらかした、彼らの影響もあるだろう。
それでもやはり腐っても幻獣。キューソ達の愛らしさといったら、筆舌に尽くしがたいというのが現実だ。
また、前述の通りだが、キューソたちは大幻獣ではない為人間の言葉を話すことは出来ない。しかし、人間の考えや思いは、理解することが出来る。
「それなら、チューダさんのお名前を借りれば、あるいは警戒心や不安感を取り除いて差し上げることも出来るかも知れませんわ」
ロジーの言葉に、反対する声はない。実際、チューダが彼らのリーダー的存在であったであろうことは想像に難くないのだから。
そして見つけたら一つところに集めるのがいいだろう、と、巫女たちにソフィが聞き込んで大霊堂のすみの方の一部屋にキューソ達の為のスペースを作ってやる。そこにはふかふかのクッションや遊び道具にもなり得そうな籠、簡単に作ることの出来るハンモックのようなものなどを用意する。安心して眠ることの出来るスペースは、人間ならずとも大事な安心要素だからだ。
付け加えると、ケイの提案で、キチンとトイレのスペースも作ってある。衣食住、もっともキューソに服装は基本存在しないが、これが満たされていればどんな生物だって安心して生活することが出来るというものだ。ミネラルウォーターもエルバッハが用意していたし、万全を期している。
万が一はぐれキューソがいた場合も、巫女たちに教えて貰えるように伝言を頼む。とりあえず二十ほどは集まったが、実際の数はそれよりも多いだろうからだ。ネズミ算、なんて言葉は「ネズミのように増えていくから」という意味を込めてあるのは周知のことだろう。……もっとも、ネズミとキューソが同じように増えるかというと、その限りではないかも知れないが。
それでも、巫女の情報を集めていくと、最終的な数としてはやはり最初に見つけた倍くらいはいた。だいたいそれで四十匹弱、と言うところだろうか。幻獣という性格を考えると、決して少ない数字ではない。これも今まで聖地という、諍いや争いとは隔絶された環境で過ごしてきたことに一因があるだろう。
そして――キューソたちを見つけたハンターたちは、当然のことながら舞い上がっていた。
「キューソさんが、いっぱいですね!」
奏音はそう言って嬉しそうにキューソのお腹をもふもふする。
そう、あるものはそのふかふかのお腹に触れて顔を緩めているし、別のあるものは思いっきりもふもふとなで回していた。
「キューソのみんなも、もう心配はいりません。巫女の皆さんも少しずつお戻りになられるようですし、北の方が落ち着けば、チューダ様もきっとお帰りになられると思いますよ」
ソフィの言葉も、キューソたちにはだいたい理解できたのだろう。それを聞いたキューソ達が、前足をいっぱいに天に伸ばし、
「きゅー!」
「きゅきゅ、きゅー!」
と嬉しそうに鳴いている。
「うん、お前達の王様もきっとすぐ帰ってくる。だから、そんなに心配するな」
イレーヌもやさしい声でそう言い、そっとキューソたちを撫でてやった。
更に気持ちを和ませるには音楽がいいだろう、と考えたロジーやメトロノームらが準備していたオルゴールやら竪琴やらの心地よい音が、キューソ達の楽しそうな鳴き声に混じって聞こえてくる。
それを微かに耳にした大巫女は、わずかに目を細めて微笑んだ。
「……そう言えば、リムネラも歌の得意な子だったねぇ。あの子も元気にしているといいんだけれど」
大巫女は一時避難の際もリゼリオまでは赴いていない。大巫女曰く、巫女には巫女のあるべき場所があるから、と、もとより辺境地域から足を伸ばすことはまずないのだ。
そう言う意味ではリゼリオで活動を続けているリムネラのほうが巫女としてはイレギュラーな部分を備えている。
(あの子はまだ若い。きっとまだまだ、困難があるだろうけれど……あの子なら乗り越えていけるだろうさ)
大巫女はそう思いながら、そっと目を伏せた。
●
そういえばチューダはフルーツ好きだから、とザレムが用意してきたのはフルーツや、それらをふんだんに使ったスイーツ。季節感よりも彩りや食べ比べ要素を重視して、苺のプディングやリンゴのパイ、ミカンのゼリーに桃のケーキなど、カバンから出てくるさまざまなスイーツ達にキューソのみならずハンターたちも喉をゴクリと鳴らしてしまう。
そんな甘いものをハンターたちがキューソに手ずから渡してやると、キューソは小さい口でそれをかりかりもぐもぐと食べ始めた。やがて頬袋がぱんぱんになっていたが、キューソ達は余り気にしていないというか、もっともっと、とねだるような視線をハンターたちに投げかける。
ふかふかのクッションがたっぷりある空間で、大好きなお菓子もたっぷり食べさせて貰えて、キューソたちも嬉しそうに身振り手振りで感謝するように訴えてくる。言葉は話せないが、チューダに比べると礼儀もちゃんとわきまえているようだ。……いや、チューダが礼儀を知らないというわけではないのだが。
やがてお腹ぱんぱんにもなったキューソたちは、安堵したと言うこともあるのだろう、少しずつ夢の中へと突入していく。小さな欠伸が聞こえてくれば、それなら、とメトロノームが澄んだ声で子守唄を歌ってやる。
キューソたちも満足したのだろう、ふかふかのクッションに身体を寄せるようにして、あるいはキューソ同士で身体を寄せ合い、小さく丸まってすやすやと眠りだした。寝姿もまた保存できるものならしたいと言うくらいの愛らしさで、見ているハンターたちもつい笑顔がこぼれてしまう。
「これぞもふもふタイム、ですわね……ッ」
ロジーが嬉しそうに声を上げる。
そしてそんな姿を眺めながら、ハンター達はまだ手のついていないおやつやらなんやらを食べ始めた。
「あとで目が覚めたら毛繕いもしてあげましょうね」
ブラシも持ってきているのは雫だ。ふかふかの毛並みにブラシを通したら、なおのことふかふかのふわふわになるのだろうな、と誰もがほっこりとした笑顔になる。
「それに、出来たてのご飯もあげたいですね」
更に材料まで持ち込んでいるあたり、雫はなかなかの策士だ。おっとりとした風貌の内側からにじみ出てくる母性というものが感じられる。確かに甘いものばかりではキューソの栄養も偏ってしまうだろうし、それもいいアイデアだろう。
更に、キューソが運動不足で欲求不満にならないように、と、ケイはキューソの為の運動スペースまでこしらえてある。
更に付け加えれば、奏音のこしらえた、キューソにどことなく似せるようにした式符もその中で動いている。キューソにとってはいい遊び相手になり得るだろう。
実際、まだ眠っていないキューソの何匹かはそれを追いかけたりして遊んでいる。式符を巧みに操り、キューソは彼女の狙い通り、膝の上へ。それをきゅっと抱き、嬉しそうに微笑む奏音。
「へぇ、そういうことも出来るんですね」
ソフィが感心したかのように言うと、嬉しそうにふふっと微笑む。
「そういえば怪我をしたりしているキューソはいないといいの……」
ディーナがあちこちキューソの身体をチェックする。幸い、跡の残りそうな大きな怪我を負っている個体はいなかった。擦り傷程度は見かけたが、まあ許容範囲内だろう。
「……ここは本当に天国のようですね……小さいチューダ様が一杯なんて……」
ぽつり、と呟いたソフィの言葉に、
「同感!」
誰もがそう言ってにっこりと笑って見せた。
そしてもふもふ天国でキューソたちをもふもふしたのは、言うまでもない。
メトロノームも、うとうとと一緒に眠っていた。
●
キューソたちは自分達の居場所を作ってもらうことで、安堵感を取り戻したらしい。すっかりだらしない寝姿をハンター達に晒している。
ザレムはその部屋の中央に、思い付いてなにやら木を削った彫像を作って置いた。
「これはチューダの像だよ。チューダがいない間の寂しさも、少しは紛れるだろうかなと思ってさ」
愛嬌と暖かみの溢れた木像に、キューソたちも大喜び。
「きゅ!」「きゅー!」
誰もが思わず一匹連れて帰りたいと思ってしまう愛らしさ。
「ハンターの皆さんもありがとうよ。連れて帰りたいだろうけど、流石にそれはまずいからねぇ」
見に来たらしい大巫女が苦笑しながら頷く。そして深々と頭を下げた。
「そのうちチューダも帰ってくるだろうしね。またチューダが厄介なことをいうかも知れないけど、そのときはそのときさ。これからも、よろしく頼むよ」
幻獣という存在は、やはり稀少なものだ。それを可愛がってくれるハンターたちには、感謝の言葉を言っても言い足りないのだろう。
「いいえ、わたしたちも癒やされました」
メトロノームが微笑めば、ロジーも満足そうに頷いてみせた。
ハンターにとっても、キューソにとっても、平穏な時間。
それは幸せな、とても幸せな時間に間違いなかった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/20 21:58:17 |