ドレスのかわりにメイドなエプロン?

マスター:紺堂 カヤ

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/06/20 15:00
完成日
2016/06/26 18:11

みんなの思い出

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オープニング

「は~~~~~~」
 宝石商・モンド氏の一人娘、ダイヤは、広間に飾られた絵を見て大きなため息をついた。
 それは、とある少女の肖像画である。
 とある、も何も、まさしく、ダイヤを描いた肖像画である。
「は~~~~~~」
 ダイヤは再び、ため息をついた。
 確かに、絵は素晴らしい出来栄えだ。画家の腕は確かである。
 だが、どんなに素晴らしい絵であろうと、いや、素晴らしい絵であるからこそ、ダイヤは落ち着かない気持ちになるのである。
 朝・昼・晩とこの広間で食事をする方の身にもなってほしい。つねに自分の絵に見守られながらの食事。修行かなんかか。
 ダイヤにとっては苦行でしかないが、この肖像画を発注したダイヤの父・モンド氏はいたくお気に入りで、三度の食事を前以上に楽しみにするようになっている。
 まあいい。
 父が喜んでいることを無下に否定するほどダイヤも親不孝ではない。
 だからまあ、日々のことはいいとしよう。
 しかし、だ。
「この絵を飾ったまま、この広間で誕生日パーティーをするのは本当に勘弁してほしい!!!」
 来週はダイヤの誕生日。
 それに合わせてモンド氏はパーティーを開くという。身内だけでやってくれたらいいものを、と思うのだが、もうお前も元気に人前へ出れるようになったのだから、というわけでたくさんのお客様を招くらしい。
(どうせ、お父様のお仕事関係の方ばかりなんでしょうけど……)
 小さいころは体が弱くて出歩けなかったダイヤは、家族や使用人以外との交流経験が少ない。体は丈夫になったけれど、だからといって初対面の人とフレンドリーに喋れる技能までが急に身に着くわけでもない。モンド氏の仕事関係の方、つまりはだいぶ年上の人々が相手となれば、それはなおのことと思われた。
(憂鬱だなあ)
 ダイヤがはーっ、と深いため息をつくと。
「どうしたんですか、お嬢様。ご自分の肖像画を見ながらため息なんて。そんなに自分の顔がお好きだったとは知りませんでした」
 後ろから、そんな言葉が投げかけられた。使用人のクロスだ。本日も切れ味抜群の舌鋒である。
「違うわよっ!!!」
「違うんですか? 私はお嬢様のお顔……」
「えっ」
「面白いと思いますけどね」
「おいこら」
(ちょっとドキッとしちゃったでしょ、バカ!!)
 ダイヤは舌打ちをなんとかこらえた。うっかりそんなものをしようものなら、正座で嫌味と皮肉の三時間コース間違いなしだ。
「ねえ、クロスー! 来週の誕生日パーティ、なんとかやめさせられないかしら?」
「無理ですね」
「そんなにきっぱり言う!? もうちょっと何とかしてあげようっていう姿勢を見せてもいいんじゃないの?」
「嫌ですよ面倒くさい」
「面倒くさい!?」
 相変わらずであるとはいえ、まったくもって使用人らしからぬセリフである。
「お嬢様は祝われる側なんですから、よろしいじゃありませんか」
「だって……。ちっとも楽しめる気がしないんだもの」
 ダイヤはそう言ってうつむいた。うつむいて。そして、ふと、思いついた。
「そうだわ。ねえ、私の誕生日パーティーなんだから、私のお友だちを呼んだっていいはずよね?」
「それはまあ、そうですけど……、お嬢様にはお友だち、おられないじゃないですか」
「失礼ね! そ、そりゃ、最近まではそうだったけど! 今は違うわ! きっと来てくれる子がいるはずだし、それに、パーティーを機会に新しいお友だちを作ったって問題ないでしょう?」
 ダイヤは前のめりになってクロスに力説した。クロスはそんなダイヤを胡乱げに見やる。
「……お嬢様、なにかたくらんでおられます?」
「私はただ楽しいお誕生日パーティを過ごしたいだけよ。だって私の誕生日なのに……」
 再びうつむいたダイヤを見て、さすがのクロスも不憫に思ったらしい。ふう、とひとつ息を吐いて、頷いた。
「よろしいでしょう。私が招待の手筈を整えますよ」
「ありがとうクロス!」



 満面の笑みで自室へ戻ってきたダイヤは、ドアに鍵をかけると、ベッドの下に隠していたメイド服を取り出した。先日、結婚して辞めて行ったメイドから、こっそりもらっておいたのである。
「これを着る時が、やってきたわ!」
 そう。
 お嬢様はしっかり、なにかたくらんでおられたのである。

リプレイ本文

 モンド家の一人娘・ダイヤの誕生日パーティには多くの人が招かれていた。豪奢な邸宅へ次々と入ってゆく身なりの良い紳士淑女を目にして、ダイヤに招かれた年若いハンターたちの中には少々気後れしているらしい者もいた。
「うーん、いつもの恰好で来てしまいましたが、ちょっとまずかったですかねぇ……」
 卯月 瑞花(ka6019)が苦笑すると、エルバッハ・リオン(ka2434)も自分の姿を見下ろして呟いた。
「ダイヤさんの誕生日パーティということなので、それらしい服装を選んだつもりですが」
 そんなことを話しつつ、広間ではなくまずダイヤの部屋へと通されたハンターたちが目にしたのは、メイド服を着た栗色の髪の少女であった。彼女こそが、パーティの主役ダイヤ・モンド嬢である。すでに彼女と顔見知りである瑞花とディーナ・フェルミ(ka5843)、大伴 鈴太郎(ka6016)が驚きの声を上げた。
「ダイヤ!? なんだよそのカッコ!」
「お誕生日おめでとうなの。……メイド?」
「ダイヤちゃんお誕生日おめでとうですっ! で、その恰好は……もしやお転婆が過ぎてお嬢様から使用人に転職なのです?」
「えっと、そういうわけじゃなく……」
 ダイヤは苦笑してから、あのね、と自分の計画について話し始めた。
「なるほど、変則かくれんぼってわけか。可愛らしい企みだな」
 ザレム・アズール(ka0878)が微笑ましげに言うと、すぐ隣で無邪気にはしゃぐ声がした。
「みんなでわいわいっ。かくれんぼ~♪ あたし、ルーシー。はじめましてなの」
 アルス・テオ・ルシフィール(ka6245)だ。満面の笑みで挨拶すると、それを皮切りに自己紹介が始まった。人懐っこい笑顔を向けるのは七夜・真夕(ka3977)だ。
「はじめまして。あたしは七夜・真夕。よろしくね」
「初めまして、エルバッハ・リオンです。よろしければ、エルと呼んでください。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします、真夕さん、エルさん」
 ダイヤは嬉しそうにはにかんだ。彼女にとって友だちが増えるということはなによりも嬉しいことなのだ。そのダイヤの目の前に飛び出して、小宮・千秋(ka6272)が元気よく挙手をした。
「私、小宮・千秋ですー! あのー、ダイヤさんに変装する役目なんですけどぉ、私がやってもいいですかー?」
「もちろん! お願いします」
 ダイヤが輝いた笑顔で頷いて、役割がさらりと決まった。
「問題は、クロスだよなあ」
 鈴太郎が呻く。ダイヤの側仕えの青年クロスはなかなかの切れ者なのである。
「クロスの対策はこっちで考えよう。そっち見ないようにしとくからさ、その間に千秋は着替え済ませたらいいよ」
 ザレムが気遣って千秋に背を向けた。すると、千秋はきょとんとした顔であっさりこう言ったのだ。
「あ、お気遣いなくですよー。こんな格好ですが、性別は男の子ですからー」
 ダイヤを含め、まったく気が付いていなかった面々が、叫んだ。
「ええええええーーーーー!?」



 パーティが、始まろうとしていた。広間の最奥には、モンド氏ご自慢の肖像画。描かれているのはダイヤ嬢だ。
「気持ちはわかる。確かにこれは落ち着かないわ」
 絵を見上げて、真夕がしみじみと呟く。
 広間には客人として、真夕、ディーナ、鈴太郎、ルーシー、ザレム、エルがいた。ほどなくして、メイド姿の瑞花が現れた。隣には、同じくメイド姿のダイヤ。メイドとしての仕事をするためのサポートにつくことにしたのである。
「もうすぐ、ダイヤちゃん……、の変装をした千秋ちゃんが出てきますっ」
 まもなく肖像画の前に姿を現すはずの千秋を、固唾を飲んで見守っていると。
「ああ、そこの栗毛の君。乾杯のグラスが足らないんだが」
 シルクハットをかぶったヒゲの紳士が、メイド姿のダイヤに声をかけた。
「ひゃあ!」
 ダイヤが思わず声を上げると、紳士が怪訝な顔をした。
「どうした?」
「ああ、メイドさん、俺の分のグラスも頼むよ」
 すかさず口を挟んだのは、ザレムだった。ダイヤに注文をしながら、そっと耳打ちする。
「今の君はメイドさんなんだ。立場を変えて場を見なければダメだよ」
 はっとしてダイヤが頷くと、瑞花がダイヤの代わりにさっと答えた。
「グラスですね、すぐにお持ちいたします!」
 瑞花はダイヤを伴って自然な動きでその場を離れた。ダイヤと瑞花がグラスを持って戻ってきたところで、どこからともなくアナウンスが響く。
「皆様お待たせいたしました! 本日の主役、ダイヤお嬢様の登場です!!」
 盛大な拍手の中を、ブルーのドレスに身を包んだダイヤ……の変装をした千秋がやってきた。肌の色や身長などは、化粧品やヒールの靴を使用しての大がかりなごまかしがなされている。女性メンバーは(一部を除いて)普段から身なりを整えることに慣れており、その技術の賜物だった。
 振る舞いも変装をおおいに助けていた。うつむいて登場したため、栗色の髪のウィッグに隠れて顔はよくわからない。だが、ダイヤは元来恥ずかしがり屋で、その仕草は特に奇妙でもなかった。モンド氏が簡単な挨拶を述べて、華やかな音頭で乾杯のグラスが打ち鳴らされるまで一切の滞りはなく、無事にパーティが幕を開けた。
「すげーじゃん、チアキ、ちゃんとダイヤに見えるぜ」
「ちあきちゃん可愛いの~」
 鈴太郎が感心し、ルーシーがはしゃぐ。
「油断はできないの。たぶん、クロス君はもう気が付いているの」
 ディーナが、広間の端に視線を走らせ、厳しい顔をしたクロスをそっと見やる。ザレムも苦笑してそれに頷いた。鈴太郎が顔をこわばらせる。
「げ。じゃあオレはさっさとチアキ……じゃなかった、ダイヤのとこに行くな。ヤバくなったら、ダイヤに渡してあるトランシーバーに連絡すっからな!」
「私はダイヤさんのご両親に挨拶して参ります。時間稼ぎにもなるでしょうし」
 鈴太郎が立ち去ったあと、エルはモンド夫妻の方へ動き出した。その直後、真夕も行動を開始する。
「じゃあ、私はテーブルを巡って料理を食べるふりをしながらドアの方へ向かうね。いざとなったらさっとダイヤちゃん……ああ、本物の方ね……を逃がせるように」
 真夕は早速オードブルが並ぶテーブルに近付きながら、周囲の紳士淑女にそつなく上品な挨拶をしている。
「じゃあ、私は、メイドの仕事をしながら、危なくなったら真夕さんが立っている扉へ向かえばいいのね。そしてメイドの控室へ行く、と」
 ダイヤが状況を正しく把握して確認すると、ザレムが笑って頷いた。
「そういうこと。ダイヤ、しっかりいたずらを楽しんでるみたいだな」
「折角やるんだもの、楽しまなくちゃいけないでしょ。そして、皆にも楽しんでもらわなくちゃ」
 ダイヤが微笑むと、ディーナも微笑んだ。
「誰かに楽しんでもらおうと思うことは素晴らしい気持ちなの」
「ありがとう。……クロスは絶対楽しくないでしょうけど」
 ダイヤが悪戯っぽく笑って、そっとクロスの方を伺うと、クロスは、ダイヤの恰好をした千秋に近付くべく歩き出しているところだった。
「早速ピンチですっ」
 瑞花が少々慌てた、そのとき。
「このお料理美味しいにゃ。ねえねえ、メイドさん、このお料理にぴったりな飲み物が欲しいの。何かもらえたら嬉しいにゃ」
 ルーシーが料理のテーブルでそう言った。メイドさん、と呼びかけた相手は、瑞花でもダイヤでもなく、本物のモンド家のメイドだ。かくれんぼの事情を知っているメイドは、にっこりしてルーシーに言った。
「わかりました、ご用意しましょう。そういうのは、クロスくんが得意なんです。クロスくーん、ちょっといいかしら?」
 呼び止められたクロスは、応じないわけにはいかない。ルーシーの希望を事細かに聞いて、ドリンクを作りに厨房へと下がっていった。
「大成功!」
 ルーシーがピースサインをしてみせた。
「なんとか乗り切れましたけど、それを続けるわけにも、って、あれ? ダイヤちゃんは?」
 瑞花が気付くと、ダイヤはバーカウンターの近くで、あるご婦人にカクテルを差し出していた。その不慣れな手つきに全員でひやひやしつつも見守ると、なんとか仕事を果たしたダイヤがふらふらと戻ってきた。
「どうだ? メイドさんのお仕事は」
 ザレムに問われて、疲れたように笑う。
「とっても大変ね。私なんてほとんど何もしてないも同然のはずなのに。お金の話ばかり耳に入ってきて苦しいし。……でも、仕方ないのよね。きっと、お父さまも普段はそうなんだわ」
「それがわかれば上出来だよ」
 そんな会話をしているうちに、クロスは特製ドリンクをルーシーに手渡し、再び千秋の方へ近付いていた。もう同じような手は使えない。鈴太郎をフォローすべく、瑞花がメイド服から平服へ着替えに走って行ったが、おそらく間に合わないだろう。
「よ、よ、よう、クロスじゃねーか、久しぶりだな!」
 クロスが鈴太郎と千秋の目の前までやってくると、鈴太郎は動揺が隠しきれていないどころか、まるっきり動揺しきっている態度と口調になった。それでもダイヤの姿の千秋をしっかり背後にかばうところは、気合と根性がものをいっている。
「お久しぶりです、大伴さま。お元気そうで何よりです。申し訳ないのですが、そちらにおられますダイヤお嬢様と少々お話させていただきたいのですが」
「え、あ、なんだよ、パーティなのに急用ってわけでもねえだろ? チア──じゃなくて、ダイヤにはオレが付いてっからさ。クロスも今日くらいパーティ楽しめよ。な? な?」
「お気遣いありがとうございます。しかし、パーティはわたくしどもにとっては仕事ですので」
「そ、そっか、大変だな、お屋敷の使用人っていうのもな! そ、そんなコトより……」
「大伴さま」
 ビシッ、と効果音がしそうなほどの鋭さで、クロスが鈴太郎の言葉を遮った。
(これは、もう、ヤバいぜ)
 鈴太郎はトランシーバーでダイヤに知らせることもできずに固まった。
「先ほどから、一体何を隠しておいでなのでしょう? 教えていただけないのならば、こちらから当てて差し上げましょうか」
「かかかかか隠してなんか」
「そうですね。隠しているという表現は不適切ですね。全然、隠せていませんからね。……そちらにおいでの方は、ダイヤお嬢様ではございませんね?」
 クロスの声は、思いのほか周囲に響いたようだった。すぐ近くにいた数人の人々がぎょっとして鈴太郎と千秋を見つめ、それがまるで波のように広がり、注目度がみるみる上がっていく。
 その様子をしっかりと見ていた真夕の行動は早かった。メイド姿のダイヤにエレメンタルコールを使用して「ドアの方へ」と知らせる。扉近くで手招きし、さっと扉を開けてダイヤを広間の外へ出した。素早く閉じて、素知らぬ顔。見事なものだった。
「そそそそんなわけないだろ!?」
 鈴太郎はなおも頑張っていたが、無理がありすぎる。潔く観念したのは、むしろ千秋の方だった。
「バレちゃいましたー。お察しの通り、私はダイヤさんではありませんー。ごめんなさいー!」
 ざわざわと、広間に動揺が走った。
 ダイヤの両親と歓談していたエルが、フォローのためのセリフを発しようとしたとき。まさにそのダイヤの両親が弾かれたように笑い出した。
「わはは、いやあ、愉快愉快! やられたなあ!」
「本当に! ダイヤったら!」
 ふたりの笑い方に、一同は驚いたようだが、エルはなるほど、と頷いて、言おうとしていたセリフを結局そのまま口にした。
「ダイヤさんも意外とお茶目なところがありますね。いわゆる『変則かくれんぼパーティ』というやつですね」
 エルの言葉を聞いて、パーティの参加者は皆、自然と笑顔に戻った。お茶目な余興なのだとわかって、皆、きょろきょろとダイヤの姿を探している。
クロスは深々とため息をついた。広間の中央に向かって歩き出す。本物のダイヤがどこにいるのか探るためだろう、ザレムに声をかけてきた。
「きっと皆さんで協力したのでしょうけれど……、それで、お嬢様はどちらに?」
「あれ? クロスくんも知っていると思ったんだけどな。かくれんぼだなんて、いつも仲がいいな、と思ってたんですよ」
 ザレムがしれっとそう言って笑うと、クロスはため息とともに苦笑した。そしてその視界に、料理を楽しむ瑞花の姿を捉えて、はっとした表情になる。
「変だとは思ったのです……、見覚えのないメイドがふたりほどいるな、と……。あれは卯月さまだったのですね。では、もうひとりが……」
 クロスは、忙しそうにしながらもメイドの動向には気をつかっていたというわけだ。さすが優秀な使用人と言われるだけのことはあった。
 そこまでわかれば、ダイヤが今どこにいるのかを探すのは難しくはない。クロスが広間の出口へ向かおうとするのを、ディーナがそっと呼び止めた。
「タイが曲がってるの」
 そう言ってクロスのネクタイをなおしながら、静かに諭す。
「ダイヤさんはみんなに楽しんで貰おうと頑張ってるの、おおらかに見守ってもらえるとうれしいの」
「……わかっております」
 クロスは、意外にも穏やかに微笑んだ。
「ですが、かくれんぼですから誰かがみつけなくては余興は終わりませんでしょう。私も余興の参加者のひとりとして、お嬢様をみつけに参ります」



 十分後。
 クロスが、メイド姿のダイヤを伴って広間に入って来た。
 かくれんぼは終わったのだといち早く察したルーシーと、ダイヤのドレスを脱いでいつもの姿に戻った千秋が大きく手を振る。
「ダイヤちゃーん!!」
 緊張気味の面持ちだったダイヤは、その声を聞いてふっと頬を緩ませた。
「た、楽しんでいただけましたでしょうか……、私が、ダイヤ・モンドです」
 たどたどしくはあったが、きちんと挨拶もできた。
 皆が驚いて注目しているダイヤのところへ、ディーナが大きな花束を持って現れた。実はモンド邸へ来た時から用意していたものなのだが、プレゼントにふさわしいタイミングで渡してくれるようだった。
「お誕生日、おめでとうなの」
 季節の花でいっぱいの花束を渡され、ダイヤは満面の笑みでお礼を言った。
「俺からも、これ」
 ザレムが小狐のぬいぐるみを渡すと、それにも歓声を上げる。
「ありがとう!!」
 パーティが始まった時よりも、大きな拍手が、ダイヤを包んだ。
「ありがとうございます! 皆さん、ありがとうございます!」
 ダイヤは、パーティに来てくれたすべての人に、きちんと頭を下げた。それをクロスが呆れをにじませつつも穏やかな目で、見守っている。そして、ダイヤに協力してくれたハンターたちに向かってお辞儀をした。
「皆さん、まだご馳走を充分召し上がっていないでしょうから、どうぞ、ご存分に」
「「「やったー!!!!!」」」
 誰とは言わないが、食いしん坊たちのガッツポーズが、会場にさらなる笑顔を呼んだ。

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MVP一覧

  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズールka0878
  • 一肌脱ぐわんこ
    小宮・千秋ka6272

重体一覧

参加者一覧

  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 轟雷の巫女
    七夜・真夕(ka3977
    人間(蒼)|17才|女性|魔術師
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • 友よいつまでも
    大伴 鈴太郎(ka6016
    人間(蒼)|22才|女性|格闘士
  • 乙女ニンジャ―
    卯月 瑞花(ka6019
    人間(紅)|15才|女性|疾影士
  • 魅惑のぷにぷにほっぺ
    アルス・テオ・ルシフィール(ka6245
    エルフ|10才|女性|霊闘士
  • 一肌脱ぐわんこ
    小宮・千秋(ka6272
    ドワーフ|6才|男性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/06/20 10:46:33
アイコン 相談卓
大伴 鈴太郎(ka6016
人間(リアルブルー)|22才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/06/20 14:30:24