いままさに、ぼくはひょーちゃくしたのです

マスター:龍河流

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
4日
締切
2016/07/18 19:00
完成日
2016/07/30 05:17

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 今日は、とっても晴れ晴れとした日です。

 お空には、雲一つありません。
 ちょっと、いえすごく暑いです。
 帽子がないと、頭のてっぺんがじりじりします。

 風はそよそよ吹いています。
 たまに。ものすごーくたまに。
 もっと吹いてもいいのよって、心の底から思います。

 周りは白い砂浜です。
 きらきらしていて、とても綺麗です。
 お日様の光を反射して、めちゃくちゃ眩しいとも言います。
 なんと言っても、熱いのなんの、はだしでなんか歩けません。

 目の前には、広い海。
 ばっしゃんばっしゃん、波が寄せてきます。
 時々、どばーんって襲ってきます。
 ちょっと? いえいえ、とっても危ない感じ。

 お空はあんなに蒼いのに、
 海もこんなに青いのに、
 どういう訳か、波だけ御機嫌斜めです。


 さて。
 ここでおさらいをしてみましょう。
 どうして、皆さんはここにいるの?

 まず、依頼を受けました。
 海に出る歪虚を、退治する依頼です。
 借りたお船に乗っかって、歪虚をきれーさっぱり退治しました。
 あとは陸に戻って、美味しいものでも食べるはずだったのです。

 そう!
 戻るはず、でした!!!
 それなのに……


「なんで、こんなところにいるのーーーーっ!」

リプレイ本文

●みなさん、どうしました?
 次に依頼に行く時には、
「防水のシガレットケースでも作るか……」
 濡れ鼠さんなミカ・コバライネン(ka0340)さんは、決心していました。

 右手にはお鍋、左手にはポートレイト、服装は虎柄ビキニ。
「ええと……何をしていたんでしたっけ?」
 アシェ-ル(ka2983)さんは考えていますが、思い出しても実はとっても大変です。

 白い砂浜に、青い空。これがもしも、
「準備万端なご褒美旅行だったら、どんなに良かったか」
 エステル・クレティエ(ka3783)さんは、思わずずっと向こうのお空を眺めています。

 起き上がって髪をかき上げたら、砂だらけでした。
「二年間の休暇って洒落るには、ちょっとあんまりな始まり方よね」
 ばっさばっさと砂を落としながら、マリィア・バルデス(ka5848)は元気です。

 一番大事なロザリオは、ちゃんと持っていました。
「……空がきれいだなー」
 濡れた砂浜に転がっている那月 蛍人(ka1083)さん、ただいまげんじつとーひちゅー。

 依頼がすんなり終わったので、港についてからは楽しい酒盛りとなりました。
「うーん、この酒、なんかしょっぱい」
 岩場にはまってるラティナ・スランザール(ka3839)さんは、頭が海にダイブしています。

 ドレスを着ていたら溺れそうなので、海の中で脱ぎました。
「いきなり海に投げ出されるようなことにならなければ……」
 いつものビキニアーマー姿で気が付いたエルバッハ・リオン(ka2434)さんは、一人反省会中です。

 きっとここは無人島です。そうに違いありません。
「船長もそう言ってたしなぁ。ま、生きていればなんとかなるさ」
 とても前向きなラジェンドラ(ka6353)さんは、まず服を乾かすことにしました。


●合流しよう! そうしよう?
 どこかから、ぷおーっと角笛の音がします。
「あれはきっと、私のフライディね」
 人っ子一人見えない砂浜で、マリィアさんは大きな枝で流れ着いた板切れを引っ張っていました。使えるかもしれないので、波に持って行かれないようにしているのです。
 何か変なことを言っていますが、マリィアさんは文学少女だったことがあるのかもしれません。そのうちに、潜水艦のお話をしてくれるかも?

 ちなみに角笛のフライディさんは、ラティナさんでした。
「あーっ、まだ喉ががらがらする」
 さっきまで、夢の世界でしょっぱいお酒を飲んでいたラティナさんは、なんとか溺れずに岩場を脱出しました。とにかく誰かと合流して、力を合わせるべきなのです。
 だって、せっかく軍用ツールボックスがあったと思ったら、中身が半分しか残っていなかったのですから。自分がこれでは、他の人も苦労しているに違いないとラティナさんは心配しているのでした。
 まあ、細かいことを気にしてはいけません。マリィアさんのツールボックスなんて、中身が二つくらいしかなかったのです。
 とにかく、ラティナさんは角笛を吹きます。誰かが来てくれるかもしれませんし、怖い動物がいても、いきなりこんにちははしないで済むでしょう。
 ぷおーっ。
 角笛を吹いていたら、向こうから誰かがやって来たようです。
 あれ、逃げてるかもしれません?

 角笛の音がしない砂浜では、ミカさんとラジェンドラさんが暑すぎるからか、服を脱いで座っています。ほんとは、濡れ鼠さんだったので服を干しているのです。
 お日様がじりじり照るので、服で作った日陰にいたりはしますけれども。多分、もうすぐまだら日焼けになります。
「あ~、煙草ぉ」
「その辺の草でも巻いて吸ってみたらどうだ?」
 しかし、ミカさんにとってはまだら日焼けなんか問題ではありません。島流しになっているのも、まあなんとかなると思っています。
 大問題は、煙草がないこと。これ以上に大変なことなどありません。
 たまたま最初に合流したラジェンドラさんには、ものすっごくどうでもいいことでしたが。だって、煙草がなくてもラジェンドラさんは平気で生きていけますし。
 だから、ミカさんがほんとにその辺の草を巻き始めた時には、もちろんラジェンドラさんは止めました。うっかり頭をどついてしまいましたが、別に悪気はないのです。
 反省は、どちらもあんまりしていません。

「大丈夫、落ち着いて。自分が出来ることをですね」
 とある砂浜と岩場の境目では、エステルさんが膝を抱えて唸っていました。すぐそばにLEDライトが置いてありますが、残念、これは点きません。水に濡れた時に、調子が悪くなってしまったようです。
 別にエステルさんは、それだけで落ち込んでいるわけではありません。
「ひ、日焼けが……」
 ちょっとヒリヒリします。お水で冷やせば楽になりますが、目の前にあるのは海水ばかり。この塩水では、お肌を痛めてしまいます。
 お水を作る気になれば簡単ですが、なにしろ水を汲む器がありません。何かいい方法はないかと、エステルさんはまだ唸っていました。
 すると。
「エステルさんじゃありませんか。お一人ですの?」
「ひゃっ」
 いつの間にやら近付いて来たエルさんが、いきなり声をかけてきました。エステルさんがびっくりしていても、あまり気にならないようです。
 でも、水着姿に外套を羽織っただけのエルさんのお姿に、エステルさんは二度びっくりしていますが……エルさんは、服装にこだわりがないらしくて、これまた気にしません。
 そんなことより、エルさんが思うのは、
「他の方達は、どうしているでしょう。まさか全員が波にのまれたなんてことは……」
 割と怖い事でした。
「多分、ないと思いますけれど」
 言い方が、怖いだけでした。
「そうですね。他の方を探しましょう。あと、水の器になりそうなものがあれば」
「清水が湧いているところがあると良いのですが」
 エステルさんも元気を出して、エルさんと島の探検に乗り出しました。
 ところで。
「お水は、ピュアウォーターでなんとかなると思います、器があれば」
 エステルさん、大きな木の葉っぱでもあれば、なんとかお水が汲めるのではないかなと思っています。
 それで、エルさんが海の方向、エステルさんが島の中側の方を見ながら、歩き出したのでした。

 その頃。
「おーい、アシェ-ルさーん」
 那月さんは、砂浜で発見した『逃げ惑う亜種アシェールさん』なる新種の生き物を呼んでいました。
「私は亜種です! アシェ-ルではありません!!」
 水着に、頭にお鍋を被って、那月さんがいる方に向けた背中に肖像画を背負ったアシェ-ルさんは、ものすごいパニックになっているのでしょう。どうしてもアシェ-ルさんとは呼ばれたくないようです。
 頭のてっぺんからつま先まで、アシェ-ルさん以外の人には見えませんから、那月さんは大弱りでした。
 追いかけると逃げるので、まずは止まってみます。するとアシェ-ルさんも止まったので、そっと声を掛けます。名前を呼ぶと逃げてしまうので、言わないように気を付けねばいけません。
「あのですね、薄着だと日焼けが心配なので、俺の上着で良ければ羽織りませんか?」
 那月さんは依頼の後の服装のままなので、着ている枚数がちょっと多め。一枚貸してあげても、背中が全部日に焼けたりはしないでしょう。
 と言うわけで、ぎゅうぎゅう絞った上着をよいしょと砂浜に置きます。気分はすっかり野生動物に手当てをしようとする人のよう。
「うぅ……お借りするのです」
 那月さんの上着を羽織って、アシェ-ルさんはだいたい海水浴に来た人のようになりました。一つ違うのは、まだお鍋を被っていることです。
 でも、それを言うとまた逃げ出したらいけないので、まずは他の人を探します。
「さっき、向こうの方で角笛の音が聞こえました」
 なぜかそこで違う方向に走って来て、転がって現実逃避していた那月さんに砂を掛けたアシェ-ルさんは、今度は肖像画を前に抱えています。それはもう、がっちりと。
 砂浜で水着だと思えば、そんなにおかしいことはないのにと那月さんは思いましたが、言ってもアシェ-ルさんが慌てる気がして黙っています。きっとこういうのを、賢明な判断と呼ぶのでしょう。水着はおかしくありませんが、頭にお鍋を被っているのは、多分斬新すぎるお洒落です。
 それはさておき、角笛の音がしているようです?


●助けを待つのだ!
 一緒に船から海にぽいされたハンターさん達が全員集合したのは、お昼過ぎのことでした。
「マリィアさん、一人で怖くありませんでしたか?」
「いいえ、それより軍に感謝してたわ。こういう時の対処法も、みっちり仕込んでもらってたから」
 以前からのお友達のアシェ-ルさんが『すっごーい』と目をきらきらさせて質問したのに、マリィアさんはいつもと同じ様子でした。
 他の皆さんのうち、ミカさんは毎回これです。
「煙草は……吸ってなかったよなぁ」
「そもそも、喫煙者はミカさんだけでしたよ」
 どうしても煙草を吸いたいミカさんは、会う人全部に同じことを訊いています。那月さんに再会してからは、同じ傭兵団さんの仲良しなので、毎回『あるわけないでしょ』と言われています。
「この機会に禁煙されてはいかがです?」
 お友達のエステルさんにも、『手に入らないのだから、スパッと止めてみる』提案をされているのに、聞こえないふり。それほどに煙草とは素敵なものなのでしょうか。
 残念なことに、誰一人としてミカさんと一緒に『そうだよね』と言ってくれる人はいませんが。それよりなにより、今は大事なことが他にいっぱいありました。
 マリィアさんは、砂浜に流れて来た色々なものを、とにかくため込んでいました。そのまますぐに燃やせそうな木切れや、なんだか分からないけどさびた鉄の塊などがあります。
 エステルさんは、歩きながら見付けたハーブや薬草を抱えています。零れたらいけないからと、エルさんが貸してくれた外套に包みましたが、おかげでエルさんはビキニアーマーだけ。
 水着より面積がちっちゃい鎧のエルさんは、ラティナさんの角笛やラジェンドラさんのロープ、エステルさんのライトにミカさんのなんだか分からない箱などを預かっていました。なぜなら、男の人達はやっぱり流れ着いた色々なものを拾ったり、葉っぱの大きい木の枝を切って運んだりで忙しいからです。
 那月さんだけは、双眼鏡片手にマリィアさんを探して木や土手に登ったりしてたから、荷物はほとんど持っていません。
 アシェ-ルさんは、皆さんと一緒に途中の岩場で拾った貝を、肖像画の額縁の裏をお盆代わりに運んでいました。お料理が結構得意なラジェンドラさんが、後で何か作ってくれるはずです。
「魚も、潮だまりでもあれば、釣り竿がなくても幾らかは採れるだろう」
 槍を手放さなかったラジェンドラさん、銛の代わりに使ってもいいよと思っていましたが、エルさんが魔法を打ち込んだらお魚が気絶して浮いて来るかもと言い出したので、ちょっと見てみたい気もしてきました。焚き火を起こすなら、ラジェンドラさんは着火の指輪を持っていますし、エステルさんの魔法も頼りになります。
 となれば、全員で助けが来てくれるまで生活するキャンプを作るべきでしょう。と言った人は、何人もいました。夜になってから準備をしても、間に合わないと皆さん知っていたのです。
 でも、もう一つ大事なことがありました。
「まずはちょっとでも腹にものを入れないと。途中でへばったら、そのまま寝込むなんてことになりかねませんよ」
 那月さんの言う通り、貝を食べてから頑張りましょう。焚き火で炙って、なかなかおいしいものです。
 間違っても。
「少し食べたら、余計に腹が減らねぇ?」
 そんなことを言ってはいけません。本当のことでも、黙っていた方がいい時があるのです。
「ふむ、魚の次は肉を探しましょう。森もあるのですから、鳥はいますよ」
 エルさんは、それに大きく頷いています。今にも、鳥の巣に卵がないか探しに行きたそう。
 でもだけど、最初にお仕事の分担とやらを決めるのが、ハンターさんらしい行動です。
「俺は斧もあるし、屋根を作るよ。そういうのは得意だ」
「夜はきっと、虫除けがいりますよね。見繕っておきます」
 ラティナさんとエステルさんは、あっさりキャンプ作りに決まりました。
「まだ島全体は調べてないが、どうする? 無人島でも、漁船が水汲みに立ち寄ることもあるかもしれないぞ」
「それはそうだけど、先に敵性動物の有無を確かめたいわ。夜に地面に寝て大丈夫か、目星は付けたいし」
 ミカさんとマリィアさんは、偵察に行くことになりました。
「魚を捕りに行ってみますか」
「この際、食べられるならなんでもよいだろう。鳥ならウィンドスラッシュもある」
 どかんと魚が取れそうなエルさんと、食材に詳しいラジェンドラさんは食べ物集めに集中です。
「じゃ、俺は近場で燃料集めと、煮炊きと食事が出来るように必要なものを準備しておきます。器が上手く作れればいいけれど」
「あ、私、ピュアウォーターでお水を作れますから」
 那月さんは薪拾いや日用品の準備、アシェ-ルさんは海水から真水を作る係になります。
 そして。
「お水を汲むの、このお鍋を使えばいいですよね」
 いきなり、アシェ-ルさんの斬新なお洒落は終わりを告げました。お鍋がその役割を取り戻したのです。
 これで、煮炊きはばっちり!


●だんだん慣れてきました
 どこかの船が通るかもしれないので、夜の間は高いところに大きな焚き火をすることにしました。寝る場所は、熱くないように少し離れています。朝になったら、うんと煙が出るようにして、狼煙をあげます。
 小屋はラティナさんが上手に骨組みをしてくれて、そこに皆さんで木の枝や葉っぱを被せ、地面には柔らかめの草を敷きました。毎日増やして、今はふかふかです。
 今日の夕飯は焼き魚と、ハーブとなんとか鳥のスープになりました。魔法でお魚と鳥さんが獲れたエルさんは、ご機嫌です。ラジェンドラさんも、すっかり無人島料理に慣れてきました。
 島は毎日調べても無人島で、人の気配は全然ありませんが、兎はいるようです。明日には食べられるといいなと思います。
 お水は、アシェ-ルさんとエステルさんが魔法で海水を変えてくれるので、しばらくは困りません。
 でも、マリィアさんはご本で読んだお水の作り方を試していました。今やらなきゃ、いつやるべきなのか。実行の時です。
 ところで、お食事の器は那月さんが海岸に落ちていたのを探し当てた椰子の実を、ラティナさんにちょっと細工してもらいました。中身は食べられなくて、とても残念。
 そして、残念と言えば。
「禁煙三日目か……」
 ミカさんは、相変わらずです。
 ご飯が美味しい他の皆さんは、聞こえないふりをしました。
 なんだか、無人島生活も煙草を吸わない人には楽しいかもしれません?

依頼結果

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧


  • ミカ・コバライネン(ka0340
    人間(蒼)|31才|男性|機導師
  • ガーディアン
    那月 蛍人(ka1083
    人間(蒼)|25才|男性|聖導士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 東方帝の正室
    アシェ-ル(ka2983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 星の音を奏でる者
    エステル・クレティエ(ka3783
    人間(紅)|17才|女性|魔術師
  • 光森の絆
    ラティナ・スランザール(ka3839
    ドワーフ|19才|男性|闘狩人
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • “我らに勝利を”
    ラジェンドラ(ka6353
    人間(蒼)|26才|男性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ミカ・コバライネン(ka0340
人間(リアルブルー)|31才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/07/18 15:06:30
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/07/18 02:05:22