ゲスト
(ka0000)
【詩天】知追う者、清流にて四苦八苦
マスター:狐野径
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/07/26 09:00
- 完成日
- 2016/08/01 17:02
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●陰陽寮
エトファリカ連邦国天ノ都の陰陽寮において、大江 紅葉(kz0163)は上司であり先輩である男と話をしていた。その内容で紅葉は眉を寄せる。
「でも、例えばですよ? 立花院様が気にしたら別ルートが動きますし、スメラギ様が気になさっているなら、別の人派遣するでしょう? だって、私、まともに働いていませんもん」
立花院 紫草(kz0126)やスメラギ(kz0158)の名前をあげて国政を担う人物と家のことでいっぱいの自分を比べさせる。
「……自分でいうな! とはいえ、書類の山片づけるのは一番早いだろう」
「師匠に褒められた!」
「……いや、喜ぶな、符術師が!」
上司は頭を抱えた。
「お前の里の話を聞いてはいる。詩天見てくれば何か糸口見つかるかもしれないだろう?」
「……うーん、上いないので」
「お前が頑張って上になればいい!」
「……うーん」
相当やる気はないようだ。
この上司の目から見ても、大江家は天ノ都で安定した生活を送っているのは確かだ。もし、里に残っていた書物が無事なら、問答無用で帰還に向けた動きがあったのだろうが、いかんせん書物は風雨に弱かった。
「ま、お前のことはいいや。で、詩天行って一応若峰まで行って、報告書」
「でも、三条さんと会うわけではないですよね」
「お前、親しかったか?」
「いえ。あの子可愛いなぁ、うちでご飯でもとは思いましたけど結局出会いはなく」
紅葉は当時を思い出す。相手がピリピリしていたのと、紅葉自身が厄介ごとに巻き込まれていたということもあった。
「会えたら、お友達になりたいですね。詩天に行って、もし……というか、グラズヘイムから来ている子を預かっているんですが!」
「連れてけばいいんじゃないか?」
「怪我させたら大変ですよ」
「詩天なら、最近、人も行き来激しくなってきたし、ハンター護衛につけるから大丈夫だ」
「……え、手配済み!?」
紅葉は帰宅してホームステイ中のリシャール・べリンガーとルゥルに尋ねたところ、2つ返事で行きたいといわれたのだった。
●詩天
若峰まではまだ距離はあり、次泊まる里まであと一息というところで一行は休息をとる。
冷たい水が流れるきれいな川だ。
紅葉は日陰に入って座り込む。
リシャールとルゥルはそわそわしている。
「入ってみてもいいでしょうか?」
「そうですね。妖怪の話も聞きませんでしたから、足だけ手だけなら問題でしょう」
ハンターも紅葉の言葉に異論は出ない。用心は必要だが、何もかもダメだと楽しい旅ではない。
リシャールとルゥルは水辺に行く。
靴を脱いで足を突っ込んだ。
「みぎゃあああ」
「冷たいっ!」
2人は楽しそうで、紅葉は微笑みながら見ている。
「そうだ、フレオ入るです?」
フェレットのフレオはエトファリカに来てからぐったりしている日々だった。暑さと湿度に弱かった。
ルゥルはむんずとフレオをつかむと、川に落とした。
「ちょ、ルゥルさん!」
リシャールが慌ててフレオを拾おうと川に一歩踏み出した。
ツルン……バシャ……。
「……あ、あああ」
リシャールは悲しそうに紅葉を見つめた。
苦笑しながら紅葉は立ち上がる。河原からフレオを助けようと近寄る。
この間にフレオは浮かび、泳ごうと必死になっていた。そして、力尽き流される。
「みぎゃあああ」
ルゥルは一歩踏み出し、リシャールと同じ運命をたどった。頭に乗っていたパルムのポルムが流された。
「ああ」
慌ててリシャールがポルムを捕まえ、河原にあげた。
「きゅうううう」
そこはひなたで熱せられていたため、ポルムは水に飛び込み流される。
ハンターも慌てる。
流される2匹。
水辺を走る紅葉。
何とか岩場に張り付いたポルムとフレオ。
あとは紅葉かハンターが回収しに行けば終わりだ。
「……何か流れてきました?」
巨大な桃だ。
「……えと……フレオさんとポルムさん、動いちゃだめですよ!」
助けに行こうとする紅葉をハンターは止める。たぶん、護衛対象が行ってはいけない。
「う、なんか飛んできました! 見たことない鳥と犬と猿?」
リシャールが素っ頓狂な声をあげた。
「……2人とも早く上がってください! 迎撃です!」
ハンターに紅葉は声をかけた。言われなくともハンターは動く。
桃はふわりと浮かびルゥルのペットたちを狙っている。フレオが水に飛び込みそうで、ポルムが慌てていてる。
さあ、戦端は開かれている。
エトファリカ連邦国天ノ都の陰陽寮において、大江 紅葉(kz0163)は上司であり先輩である男と話をしていた。その内容で紅葉は眉を寄せる。
「でも、例えばですよ? 立花院様が気にしたら別ルートが動きますし、スメラギ様が気になさっているなら、別の人派遣するでしょう? だって、私、まともに働いていませんもん」
立花院 紫草(kz0126)やスメラギ(kz0158)の名前をあげて国政を担う人物と家のことでいっぱいの自分を比べさせる。
「……自分でいうな! とはいえ、書類の山片づけるのは一番早いだろう」
「師匠に褒められた!」
「……いや、喜ぶな、符術師が!」
上司は頭を抱えた。
「お前の里の話を聞いてはいる。詩天見てくれば何か糸口見つかるかもしれないだろう?」
「……うーん、上いないので」
「お前が頑張って上になればいい!」
「……うーん」
相当やる気はないようだ。
この上司の目から見ても、大江家は天ノ都で安定した生活を送っているのは確かだ。もし、里に残っていた書物が無事なら、問答無用で帰還に向けた動きがあったのだろうが、いかんせん書物は風雨に弱かった。
「ま、お前のことはいいや。で、詩天行って一応若峰まで行って、報告書」
「でも、三条さんと会うわけではないですよね」
「お前、親しかったか?」
「いえ。あの子可愛いなぁ、うちでご飯でもとは思いましたけど結局出会いはなく」
紅葉は当時を思い出す。相手がピリピリしていたのと、紅葉自身が厄介ごとに巻き込まれていたということもあった。
「会えたら、お友達になりたいですね。詩天に行って、もし……というか、グラズヘイムから来ている子を預かっているんですが!」
「連れてけばいいんじゃないか?」
「怪我させたら大変ですよ」
「詩天なら、最近、人も行き来激しくなってきたし、ハンター護衛につけるから大丈夫だ」
「……え、手配済み!?」
紅葉は帰宅してホームステイ中のリシャール・べリンガーとルゥルに尋ねたところ、2つ返事で行きたいといわれたのだった。
●詩天
若峰まではまだ距離はあり、次泊まる里まであと一息というところで一行は休息をとる。
冷たい水が流れるきれいな川だ。
紅葉は日陰に入って座り込む。
リシャールとルゥルはそわそわしている。
「入ってみてもいいでしょうか?」
「そうですね。妖怪の話も聞きませんでしたから、足だけ手だけなら問題でしょう」
ハンターも紅葉の言葉に異論は出ない。用心は必要だが、何もかもダメだと楽しい旅ではない。
リシャールとルゥルは水辺に行く。
靴を脱いで足を突っ込んだ。
「みぎゃあああ」
「冷たいっ!」
2人は楽しそうで、紅葉は微笑みながら見ている。
「そうだ、フレオ入るです?」
フェレットのフレオはエトファリカに来てからぐったりしている日々だった。暑さと湿度に弱かった。
ルゥルはむんずとフレオをつかむと、川に落とした。
「ちょ、ルゥルさん!」
リシャールが慌ててフレオを拾おうと川に一歩踏み出した。
ツルン……バシャ……。
「……あ、あああ」
リシャールは悲しそうに紅葉を見つめた。
苦笑しながら紅葉は立ち上がる。河原からフレオを助けようと近寄る。
この間にフレオは浮かび、泳ごうと必死になっていた。そして、力尽き流される。
「みぎゃあああ」
ルゥルは一歩踏み出し、リシャールと同じ運命をたどった。頭に乗っていたパルムのポルムが流された。
「ああ」
慌ててリシャールがポルムを捕まえ、河原にあげた。
「きゅうううう」
そこはひなたで熱せられていたため、ポルムは水に飛び込み流される。
ハンターも慌てる。
流される2匹。
水辺を走る紅葉。
何とか岩場に張り付いたポルムとフレオ。
あとは紅葉かハンターが回収しに行けば終わりだ。
「……何か流れてきました?」
巨大な桃だ。
「……えと……フレオさんとポルムさん、動いちゃだめですよ!」
助けに行こうとする紅葉をハンターは止める。たぶん、護衛対象が行ってはいけない。
「う、なんか飛んできました! 見たことない鳥と犬と猿?」
リシャールが素っ頓狂な声をあげた。
「……2人とも早く上がってください! 迎撃です!」
ハンターに紅葉は声をかけた。言われなくともハンターは動く。
桃はふわりと浮かびルゥルのペットたちを狙っている。フレオが水に飛び込みそうで、ポルムが慌てていてる。
さあ、戦端は開かれている。
リプレイ本文
●どんぶらこ
最初はのどかだった。ザレム・アズール(ka0878)が「お姉さんは岸で一休み、子供たちは川に命の洗濯に」などと冗談を考えて眺められるほどに。
「どんぶらこと桃……雑魔が!」
ザレムは慌てて近寄ると岸に上がりかけのルゥルを引っ張り、次にリシャール・べリンガーに手を貸そうとする。
「せっかくの休息にタイミングで襲撃ですか? なかなか厄介な旅路のようですね。まあ、言っても詮無きことですが」
転んだリシャールとルゥルを助けるために来ていた天央 観智(ka0896)は目を走らせる。リシャールに魔法【ウォーターウォーク】をかけるべくマテリアルを開放する。
「何か来たな……大丈夫か?」
咲月 春夜(ka6377)は荷物番から、流されたペットが気になり川辺に寄ったときに雑魔に気づいた。なお春夜は名乗らず、覚醒状態Herrschaft=Archivesの姿を模した衣装に身を包んだヘルシャフトで通している。
「猿、なんか嫌な思い出がっ!」
大江 紅葉は嫌そうな顔しつつ、ルゥルのペットたちを回収しようとそわそわしている。
「用心して『マギステルグローブ』を外していなかったのは不幸中の幸いでした。紅葉さんはここにいるか、荷物の方に行くか決めてください」
エルバッハ・リオン(ka2434)はつぶやきながら、そのあとは紅葉に呼びかける。勝手に動く紅葉が一番怖い。
(護衛という依頼を真に受けていたら川遊びにだなんて! ううっ、つまらないと思っていたら雑魔です! これは、川遊び用の着替えを持ってきていないわたしの悔しさに雑魔が反応して……なんてことはないですよねー)
アシェ-ル(ka2983)は荷物のそばで涼みつつ、雑魔を見て変なことを考えたが意識を切り替えて武器を構える。
「もーもたろさん、桃太郎さん! 話に聞いたことのある桃太郎のような敵ですねー。桃太郎と言えば黍団子ですよね? マルチーズさんと黒猫さんには本日も頑張っていただきましょう」
歌を歌って小宮・千秋(ka6272)は黍団子らしいものをペットにあげていた。これを雑魔にあげて撤退してくれるのか試したいが、相手はやる気満々だ。
「おやまぁ。妖怪が出おったのう。護衛の仕事の開始じゃな」
ゆったりとふんわりと、たゆたゆと御酒部 千鳥(ka6405)はこぶしを構えた。ただし、酒が残っているのか、飲んでいたのか、マテリアルがうまくかみ合わない。
(このまま終わったらただの護衛、ただの川遊びだったとはいえ……)
龍崎・カズマ(ka0178)は荷物のそばでおやつ代わりになる温かいスープを作っていたところであった。体が冷えている場合ちょうどいいはずだが、料理と荷物を守るべく武器を構えた。
●雑魔と戯れる
「リシャールさんに【ウォーターウォーク】」
観智が魔法を使うと、リシャールはふわりと水の上に浮かぶ。リシャールは慌てるが、何とかバランスをとっているがゆっくり下流に動く。
「避難が先だ」
ザレムが差し伸べた手に向かってリシャールは走り出す。鳥の雑魔が攻撃してくるが、間一髪でリシャールは避けた。
「リシャールさん、よかったです」
ルゥルが半泣きでリシャールにしがみついた。
「ペットの回収は……紅葉! 入っちゃダメ」
ザレムはペットがいる方向を見たとき、紅葉が袴を引き上げ、縛っている姿があったのだった。
「ほいほーい! 桃のお相手をしたいのですが」
黍団子どころではないため、千秋は前向きに行動をとる。連れのマルチーズはやる気みなぎるが、黒猫はどこか不安そうだ。
「今、【ウォーターウォーク】をかけますね」
エルバッハは千秋のそばに進み、魔法を使う。
「これでいいですよ」
「じゃ行きますよ! ああ、ちょっと不利ですね足元も不安定、ふわふわ飛ばれると」
千秋は飛びあがるように桃に攻撃したが、回避された。一方、桃体当たりされ回避できなかったため、どんと衝撃を受ける。
「瑞鳥符」
千秋は紅葉の声で衝撃が大したことのなかった理由を知った。
荷物近くにいるカズマとアシェ-ル。
「紅葉さん、今行きますねー」
アシェールは紅葉に声をかけてからマテリアルを開放する。
「ついでに行く前に目の前の物をどうにかしてくれるか?」
「そりゃそうですよ! せっかくの犬さんでも、もふもふできないのが残念です!」
「雑魔だしなぁ」
犬の雑魔はなかなか凶悪そうにうなり声をあげてとびかかってくる。
「【炎槍】」
アシェ-ルが放った槍は雑魔を貫いた。
前に立つカズマは犬の様子を観察し、かみついてきたのを回避した。魔術師であるアシェ-ルに対して攻撃が行かないように、武器を構えて見据えた。
「はい、私こそそっちにいきますね、の前に、イタチとキノコを回収しないとなりません!」
アシェ-ルに答える紅葉。ルゥルのペットは岩にへばりついている、まだ。
「……いや、あの2匹を信じて、ここで待つか下がれ」
ヘルシャフトは猿雑魔に機導砲を放つ。雑魔は見越したようによけ「キキキ」と笑ったように見えた。
「なんじゃ、猿、妾の酒が狙いかえ?」
千鳥が構え、目の前にいる雑魔に対し攻撃を仕掛けた。技が使えずとも拳は有効だ。
猿の雑魔はひょいと避けてしまう。そして反撃とばかりに胴に向かって爪を伸ばすが、千鳥はふわりとよけた。
ペットを回収しに行こうとも考えるザレムに観智が【ウォーターウォーク】掛ける。
鳥雑魔に向かってザレムとエルバッハがそれぞれ魔法で攻撃をした。なかなかすばしっこく当たらないが、相手の攻撃も当たらない。
リシャールはルゥルをかばいつつ、荷物のほうにじりじりとむかう。
2人も目的地では、アシェ-ルとカズマが犬の雑魔と戦う。犬は攻撃を回避した後、炎を吐き散らした。カズマは予想はしていたため、かするだけで済んだ。
桃雑魔に向かう千秋に悲劇が起こった。攻撃は当たったのだが、水が嫌かもと黒猫はとびかかるのを拒否し、マルチーズは着地後、魔法の効果が薄れたのか流されたのだった。
幸い下流にいる紅葉がマルチーズを保護し、河原にあげた。
猿雑魔に対してはヘルシャフトと千鳥が一進一退の攻防を繰り広げる。
千鳥命名「助平猿」は豊満な千鳥の攻撃は食らったが、それが攻撃したのはヘルシャフトだった。これが意味することは、特にないだろう。
敵は強くないが当たらないと意味がないと少しじれるころ、動きがある。紅葉がペット回収のために川にはいってしまったのだった。
「雑魔が行かなければ問題ないのかもしれませんね」
エルバッハはあきらめの境地で魔法を放つ。
「いやいや! 紅葉! おとなしく陸地にいてくれ、俺が行くから!」
ザレムは飛び込んできた鳥雑魔をよけつつ、抜刀した大剣でたたき切ろうとするがするりと抜けられる。
「はいはい、君たちは下がるんですよ……じゃ、僕が雑魔と相手したほうがいいですね」
観智は子供たちを誘導していたが、ちょうど犬雑魔が倒れるのが見えた。
リシャールとルゥルは走り出した、荷物に向かって。
犬雑魔は素早く動きアシェ-ルをかみつこうとしたが、ひらりと避けられた。
そこにアシェ-ルの魔法とカズマの刀が叩き込まれ、無に還る。
「俺も猿のほうに行くか」
「1匹ずつ確実なのがいいかもしれません」
桃のところも気になるが、千秋も善戦しているようなので一つずつ落とすことを考えた。
リシャールが荷物から刀を、ルゥルが杖を取り出したのを見た瞬間、カズマとアシェールは走った。
桃雑魔は魔法を放ち、千秋に当たるが再び助けはあったようだ。
「ありがとうございますー」
「援護はしますから! 陸地で迎え撃つでもいいかもしれません」
千秋は紅葉の声にホッとしつつ、まだ問題ないと踏ん張り、桃をたたきを落とした。
ヘルシャフトは再び猿雑魔の攻撃を食らったが、鎧のおかげで問題なかった。
「しつこい!」
猿雑魔に機導砲を放つが動揺気味で外す。
「ふふっ! オスのほうが好みかえ?」
猿の頬を千鳥のこぶしがとらえた。冗談を言えるだけ、余裕はあるのだった。
ザレムがポルムとフレオを救出すべく移動した後、氷と風の魔法がそれぞれ叩き込まれ、鳥雑魔は無に還った。
桃雑魔には千秋の攻撃にザレムも加わり、無に還した。
猿の雑魔もヘルシャフトと千鳥の攻撃にカズマとアシェ-ルが加わる。すばしっこくとも避けられず、ここにいたすべての雑魔が倒されたのだった。
●水との戯れ
ポルムとフレオはザレムの上に乗った。同行しているザレムのパルムと何か話をしており、震えているのもわかった。
近くに立往生している紅葉にはエルバッハがウォーターウォークをかける。
「こ、これはっ!」
「紅葉さん、戻ってきてくださいね!」
紅葉がぱああと顔を楽しそうにしたために、エルバッハは語気を強めに手招きをしたのだった。しぶしぶと紅葉が戻っていく、とはいっても2歩程度だが。
それから荷物のところにいるハンターたちは集まった。
「フレオ、ポルム」
ルゥルがザレムから受け取ろうとしたとき、横からエルバッハが止める。
「……みぎゃ」
恐る恐る見たルゥルの前には、怒りをにじみ出した温和そうなエルバッハがいる。
「ルゥル、あなたに飼う資格があると思いますか?」
「みぎゃーーーー」
「あんなおろし方をしたら、フレオがおぼれ死んでいたかもしれませんよ!」
「みぎゃあああ、ごめんなさい! ルゥル、フレオのこと大好きです。だって、フレオ、暑そうだし、可哀想だと思ったのですぅ。泳げるから大丈夫かなって、でも、リシャールさんも流されちゃうくらい大変だって……みぎゃー」
「今後はあんなことしてはいけません」
「みぎゃああ、ごめんなさい、ごめんなさい」
エルバッハは泣きじゃくるルゥルに2匹を渡した。2匹はルゥルを慰めているように見えるので、エルバッハは微笑む。
「厄介ごとに好かれているな。大切なモノは手放さないようにしろ。後悔してからでは遅いぞ」
奇抜な恰好であるヘルシャフトがペットを撫でる手が優しそうで、しんみりとして聞こえる言葉に、リシャールとルゥルはうなずいた。
「旅するならポチを連れてくれば良かったかもしれません」
「犬か?」
「いえ、ゴースロンです。でも、さすがに飼葉持ってこられませんし」
「……なぜ、ポチ」
「え、リアルブルーのある地域での由緒正しいペットの名前と聞きました」
リシャールの回答にヘルシャフトは首を傾げ、リアルブルー出身者を見る。
「リシャールさん、なかなか渋い選択ですね。ポチ……確かに一般的に『犬と言えばポチ』ですけれど、私が最後に聞いたころには様々な名前がありましたよ。犬はココアやモコ、チェリーとかいろいろありましたよ、馬は奇抜なのもありますね」
「……え?」
観智の話を聞いた直後リシャールは微妙な表情になる。
「……それより、なんであのような雑魔が出たんでしょうね? 桃に猿に、鳥に犬……まるで……どのような経緯で雑魔化して、チームだったのかたまたまだったのか!」
観智は雑魔の状況を考えた。バラバラな出自の雑魔たちが集団で現れ、物語性まで感じさせるとは好奇心がそそられる。
「リアルブルーの知人に聞いた話だが、昔話にまさにこのような輩が出るのがあると聞いたぞ。桃が流れてきて中から男の赤子が出て……ただし、正義の味方で」
ザレムが告げると観智がうなずく。
「だからこそ、不思議なんですよ」
「確かに……」
観智とザレムがあれこれ考え始める。
「上流に見に行きますか?」
紅葉の一言で全員が我に返る。詩天に何をしに来たのか。
「聞いてください! 動いたから汗まみれなのです」
アシェ-ルが訴えた。
「はっ! そうです。せっかくなので水着に着替えて、水鉄砲で遊び、バーベキューなんていいですよね!」
千秋が楽しそうに言うと、マルチーズがその周りをまわって吠える。黒猫は「日陰で寝る」と言いたげに鳴いた。
「そうじゃのう。足を浸して少しやすみたいのう。そして、酒を飲む、いいのう」
千鳥がのほほんと告げた。酒が大好きな千鳥は懐から新しい瓶を取り出してニコニコ顔だ。
「こうなったら……もう、みんなで水浴びをするしかありません!」
アシェ-ルが力説をして川に走っていった。それに千秋が続きかけ、荷物から水遊びの道具を引っ張り出してから追いかけた。
「あーちょっと待て上流に確認行くのは却下だが……雑魔以上のものが出たらどうするんだ! この護衛体制の問題を……って、俺が口に出すのが遅かったのか……」
カズマは川に入りに行く仲間を見て頭を抱えた。悠長に主張を聞いている場合ではなかった。
「あの、龍崎さん、非常に言い出しにくいんですが……スープだった物になっています」
紅葉が鍋を指さした。
「ま、水足せばこれならまだ戻る……焦げてねぇから。バーベキュー? この場で?」
先ほど千秋が口にしたことを思い出したカズマ。
「まあ、私は遊ぶって年でもないですからここで見張ってますよ、荷物や周囲」
「少しだけ汗は流したいかもしれないな……」
「行ってらっしゃい」
ザレムは観智に手を振られて見送られた。
「お前たちは行かないのか?」
ヘルシャフトの近くでリシャールとルゥルは困った顔をしていた。遊びたいけれど遊ぶと先ほどのことがある。
「……お兄さんも遊ばないのですか?」
ルゥルは尋ねる。
「俺は……そういう年でもないからな」
「そうですか? 暑そうですので気になりました」
「いや……いい」
ヘルシャフトは礼を言うべきかそれともどうふるまうか少し悩んだ。
「ルゥルちゃん、私はここにいますから、ポルムとフレオを預かっておきますよ」
ルゥルは2匹を紅葉に渡すと仕方がないような顔をしたリシャールを連れて川に向かって走った。
「ウォーターウォークで歩いてみますか?」
エルバッハがルゥルとリシャールに声をかけた。せっかくなら遊べばいいのだ、見張りもいるのだし。
「はっ! 私も頑張れば使えるようになるんですね」
ルゥルが気づいた、自分が魔術師だということに。攻撃魔法以外の遊べそうな魔法があるということに。
「そうですよ。では、かけますね」
「せいっ」
エルバッハの顔面に、アシェ-ルから水が飛ばされた。魔法を使おうとしたいエルバッハはもろに食らう。
見ているルゥルとリシャールがどっと冷や汗を流した。そこに千秋の水鉄砲から攻撃が来る。慌てる2人。
「……アシェ-ルさん」
「……エルさんもひんやりしましょう!」
水をかけられたエルバッハが反撃に出るのは、ルゥルに魔法をかけて、己にかけた後だった。
千鳥が水辺で眺めて笑っているが、水は飛んできており、結果、ずぶ濡れになるのは避けられない現実だった。
最初はのどかだった。ザレム・アズール(ka0878)が「お姉さんは岸で一休み、子供たちは川に命の洗濯に」などと冗談を考えて眺められるほどに。
「どんぶらこと桃……雑魔が!」
ザレムは慌てて近寄ると岸に上がりかけのルゥルを引っ張り、次にリシャール・べリンガーに手を貸そうとする。
「せっかくの休息にタイミングで襲撃ですか? なかなか厄介な旅路のようですね。まあ、言っても詮無きことですが」
転んだリシャールとルゥルを助けるために来ていた天央 観智(ka0896)は目を走らせる。リシャールに魔法【ウォーターウォーク】をかけるべくマテリアルを開放する。
「何か来たな……大丈夫か?」
咲月 春夜(ka6377)は荷物番から、流されたペットが気になり川辺に寄ったときに雑魔に気づいた。なお春夜は名乗らず、覚醒状態Herrschaft=Archivesの姿を模した衣装に身を包んだヘルシャフトで通している。
「猿、なんか嫌な思い出がっ!」
大江 紅葉は嫌そうな顔しつつ、ルゥルのペットたちを回収しようとそわそわしている。
「用心して『マギステルグローブ』を外していなかったのは不幸中の幸いでした。紅葉さんはここにいるか、荷物の方に行くか決めてください」
エルバッハ・リオン(ka2434)はつぶやきながら、そのあとは紅葉に呼びかける。勝手に動く紅葉が一番怖い。
(護衛という依頼を真に受けていたら川遊びにだなんて! ううっ、つまらないと思っていたら雑魔です! これは、川遊び用の着替えを持ってきていないわたしの悔しさに雑魔が反応して……なんてことはないですよねー)
アシェ-ル(ka2983)は荷物のそばで涼みつつ、雑魔を見て変なことを考えたが意識を切り替えて武器を構える。
「もーもたろさん、桃太郎さん! 話に聞いたことのある桃太郎のような敵ですねー。桃太郎と言えば黍団子ですよね? マルチーズさんと黒猫さんには本日も頑張っていただきましょう」
歌を歌って小宮・千秋(ka6272)は黍団子らしいものをペットにあげていた。これを雑魔にあげて撤退してくれるのか試したいが、相手はやる気満々だ。
「おやまぁ。妖怪が出おったのう。護衛の仕事の開始じゃな」
ゆったりとふんわりと、たゆたゆと御酒部 千鳥(ka6405)はこぶしを構えた。ただし、酒が残っているのか、飲んでいたのか、マテリアルがうまくかみ合わない。
(このまま終わったらただの護衛、ただの川遊びだったとはいえ……)
龍崎・カズマ(ka0178)は荷物のそばでおやつ代わりになる温かいスープを作っていたところであった。体が冷えている場合ちょうどいいはずだが、料理と荷物を守るべく武器を構えた。
●雑魔と戯れる
「リシャールさんに【ウォーターウォーク】」
観智が魔法を使うと、リシャールはふわりと水の上に浮かぶ。リシャールは慌てるが、何とかバランスをとっているがゆっくり下流に動く。
「避難が先だ」
ザレムが差し伸べた手に向かってリシャールは走り出す。鳥の雑魔が攻撃してくるが、間一髪でリシャールは避けた。
「リシャールさん、よかったです」
ルゥルが半泣きでリシャールにしがみついた。
「ペットの回収は……紅葉! 入っちゃダメ」
ザレムはペットがいる方向を見たとき、紅葉が袴を引き上げ、縛っている姿があったのだった。
「ほいほーい! 桃のお相手をしたいのですが」
黍団子どころではないため、千秋は前向きに行動をとる。連れのマルチーズはやる気みなぎるが、黒猫はどこか不安そうだ。
「今、【ウォーターウォーク】をかけますね」
エルバッハは千秋のそばに進み、魔法を使う。
「これでいいですよ」
「じゃ行きますよ! ああ、ちょっと不利ですね足元も不安定、ふわふわ飛ばれると」
千秋は飛びあがるように桃に攻撃したが、回避された。一方、桃体当たりされ回避できなかったため、どんと衝撃を受ける。
「瑞鳥符」
千秋は紅葉の声で衝撃が大したことのなかった理由を知った。
荷物近くにいるカズマとアシェ-ル。
「紅葉さん、今行きますねー」
アシェールは紅葉に声をかけてからマテリアルを開放する。
「ついでに行く前に目の前の物をどうにかしてくれるか?」
「そりゃそうですよ! せっかくの犬さんでも、もふもふできないのが残念です!」
「雑魔だしなぁ」
犬の雑魔はなかなか凶悪そうにうなり声をあげてとびかかってくる。
「【炎槍】」
アシェ-ルが放った槍は雑魔を貫いた。
前に立つカズマは犬の様子を観察し、かみついてきたのを回避した。魔術師であるアシェ-ルに対して攻撃が行かないように、武器を構えて見据えた。
「はい、私こそそっちにいきますね、の前に、イタチとキノコを回収しないとなりません!」
アシェ-ルに答える紅葉。ルゥルのペットは岩にへばりついている、まだ。
「……いや、あの2匹を信じて、ここで待つか下がれ」
ヘルシャフトは猿雑魔に機導砲を放つ。雑魔は見越したようによけ「キキキ」と笑ったように見えた。
「なんじゃ、猿、妾の酒が狙いかえ?」
千鳥が構え、目の前にいる雑魔に対し攻撃を仕掛けた。技が使えずとも拳は有効だ。
猿の雑魔はひょいと避けてしまう。そして反撃とばかりに胴に向かって爪を伸ばすが、千鳥はふわりとよけた。
ペットを回収しに行こうとも考えるザレムに観智が【ウォーターウォーク】掛ける。
鳥雑魔に向かってザレムとエルバッハがそれぞれ魔法で攻撃をした。なかなかすばしっこく当たらないが、相手の攻撃も当たらない。
リシャールはルゥルをかばいつつ、荷物のほうにじりじりとむかう。
2人も目的地では、アシェ-ルとカズマが犬の雑魔と戦う。犬は攻撃を回避した後、炎を吐き散らした。カズマは予想はしていたため、かするだけで済んだ。
桃雑魔に向かう千秋に悲劇が起こった。攻撃は当たったのだが、水が嫌かもと黒猫はとびかかるのを拒否し、マルチーズは着地後、魔法の効果が薄れたのか流されたのだった。
幸い下流にいる紅葉がマルチーズを保護し、河原にあげた。
猿雑魔に対してはヘルシャフトと千鳥が一進一退の攻防を繰り広げる。
千鳥命名「助平猿」は豊満な千鳥の攻撃は食らったが、それが攻撃したのはヘルシャフトだった。これが意味することは、特にないだろう。
敵は強くないが当たらないと意味がないと少しじれるころ、動きがある。紅葉がペット回収のために川にはいってしまったのだった。
「雑魔が行かなければ問題ないのかもしれませんね」
エルバッハはあきらめの境地で魔法を放つ。
「いやいや! 紅葉! おとなしく陸地にいてくれ、俺が行くから!」
ザレムは飛び込んできた鳥雑魔をよけつつ、抜刀した大剣でたたき切ろうとするがするりと抜けられる。
「はいはい、君たちは下がるんですよ……じゃ、僕が雑魔と相手したほうがいいですね」
観智は子供たちを誘導していたが、ちょうど犬雑魔が倒れるのが見えた。
リシャールとルゥルは走り出した、荷物に向かって。
犬雑魔は素早く動きアシェ-ルをかみつこうとしたが、ひらりと避けられた。
そこにアシェ-ルの魔法とカズマの刀が叩き込まれ、無に還る。
「俺も猿のほうに行くか」
「1匹ずつ確実なのがいいかもしれません」
桃のところも気になるが、千秋も善戦しているようなので一つずつ落とすことを考えた。
リシャールが荷物から刀を、ルゥルが杖を取り出したのを見た瞬間、カズマとアシェールは走った。
桃雑魔は魔法を放ち、千秋に当たるが再び助けはあったようだ。
「ありがとうございますー」
「援護はしますから! 陸地で迎え撃つでもいいかもしれません」
千秋は紅葉の声にホッとしつつ、まだ問題ないと踏ん張り、桃をたたきを落とした。
ヘルシャフトは再び猿雑魔の攻撃を食らったが、鎧のおかげで問題なかった。
「しつこい!」
猿雑魔に機導砲を放つが動揺気味で外す。
「ふふっ! オスのほうが好みかえ?」
猿の頬を千鳥のこぶしがとらえた。冗談を言えるだけ、余裕はあるのだった。
ザレムがポルムとフレオを救出すべく移動した後、氷と風の魔法がそれぞれ叩き込まれ、鳥雑魔は無に還った。
桃雑魔には千秋の攻撃にザレムも加わり、無に還した。
猿の雑魔もヘルシャフトと千鳥の攻撃にカズマとアシェ-ルが加わる。すばしっこくとも避けられず、ここにいたすべての雑魔が倒されたのだった。
●水との戯れ
ポルムとフレオはザレムの上に乗った。同行しているザレムのパルムと何か話をしており、震えているのもわかった。
近くに立往生している紅葉にはエルバッハがウォーターウォークをかける。
「こ、これはっ!」
「紅葉さん、戻ってきてくださいね!」
紅葉がぱああと顔を楽しそうにしたために、エルバッハは語気を強めに手招きをしたのだった。しぶしぶと紅葉が戻っていく、とはいっても2歩程度だが。
それから荷物のところにいるハンターたちは集まった。
「フレオ、ポルム」
ルゥルがザレムから受け取ろうとしたとき、横からエルバッハが止める。
「……みぎゃ」
恐る恐る見たルゥルの前には、怒りをにじみ出した温和そうなエルバッハがいる。
「ルゥル、あなたに飼う資格があると思いますか?」
「みぎゃーーーー」
「あんなおろし方をしたら、フレオがおぼれ死んでいたかもしれませんよ!」
「みぎゃあああ、ごめんなさい! ルゥル、フレオのこと大好きです。だって、フレオ、暑そうだし、可哀想だと思ったのですぅ。泳げるから大丈夫かなって、でも、リシャールさんも流されちゃうくらい大変だって……みぎゃー」
「今後はあんなことしてはいけません」
「みぎゃああ、ごめんなさい、ごめんなさい」
エルバッハは泣きじゃくるルゥルに2匹を渡した。2匹はルゥルを慰めているように見えるので、エルバッハは微笑む。
「厄介ごとに好かれているな。大切なモノは手放さないようにしろ。後悔してからでは遅いぞ」
奇抜な恰好であるヘルシャフトがペットを撫でる手が優しそうで、しんみりとして聞こえる言葉に、リシャールとルゥルはうなずいた。
「旅するならポチを連れてくれば良かったかもしれません」
「犬か?」
「いえ、ゴースロンです。でも、さすがに飼葉持ってこられませんし」
「……なぜ、ポチ」
「え、リアルブルーのある地域での由緒正しいペットの名前と聞きました」
リシャールの回答にヘルシャフトは首を傾げ、リアルブルー出身者を見る。
「リシャールさん、なかなか渋い選択ですね。ポチ……確かに一般的に『犬と言えばポチ』ですけれど、私が最後に聞いたころには様々な名前がありましたよ。犬はココアやモコ、チェリーとかいろいろありましたよ、馬は奇抜なのもありますね」
「……え?」
観智の話を聞いた直後リシャールは微妙な表情になる。
「……それより、なんであのような雑魔が出たんでしょうね? 桃に猿に、鳥に犬……まるで……どのような経緯で雑魔化して、チームだったのかたまたまだったのか!」
観智は雑魔の状況を考えた。バラバラな出自の雑魔たちが集団で現れ、物語性まで感じさせるとは好奇心がそそられる。
「リアルブルーの知人に聞いた話だが、昔話にまさにこのような輩が出るのがあると聞いたぞ。桃が流れてきて中から男の赤子が出て……ただし、正義の味方で」
ザレムが告げると観智がうなずく。
「だからこそ、不思議なんですよ」
「確かに……」
観智とザレムがあれこれ考え始める。
「上流に見に行きますか?」
紅葉の一言で全員が我に返る。詩天に何をしに来たのか。
「聞いてください! 動いたから汗まみれなのです」
アシェ-ルが訴えた。
「はっ! そうです。せっかくなので水着に着替えて、水鉄砲で遊び、バーベキューなんていいですよね!」
千秋が楽しそうに言うと、マルチーズがその周りをまわって吠える。黒猫は「日陰で寝る」と言いたげに鳴いた。
「そうじゃのう。足を浸して少しやすみたいのう。そして、酒を飲む、いいのう」
千鳥がのほほんと告げた。酒が大好きな千鳥は懐から新しい瓶を取り出してニコニコ顔だ。
「こうなったら……もう、みんなで水浴びをするしかありません!」
アシェ-ルが力説をして川に走っていった。それに千秋が続きかけ、荷物から水遊びの道具を引っ張り出してから追いかけた。
「あーちょっと待て上流に確認行くのは却下だが……雑魔以上のものが出たらどうするんだ! この護衛体制の問題を……って、俺が口に出すのが遅かったのか……」
カズマは川に入りに行く仲間を見て頭を抱えた。悠長に主張を聞いている場合ではなかった。
「あの、龍崎さん、非常に言い出しにくいんですが……スープだった物になっています」
紅葉が鍋を指さした。
「ま、水足せばこれならまだ戻る……焦げてねぇから。バーベキュー? この場で?」
先ほど千秋が口にしたことを思い出したカズマ。
「まあ、私は遊ぶって年でもないですからここで見張ってますよ、荷物や周囲」
「少しだけ汗は流したいかもしれないな……」
「行ってらっしゃい」
ザレムは観智に手を振られて見送られた。
「お前たちは行かないのか?」
ヘルシャフトの近くでリシャールとルゥルは困った顔をしていた。遊びたいけれど遊ぶと先ほどのことがある。
「……お兄さんも遊ばないのですか?」
ルゥルは尋ねる。
「俺は……そういう年でもないからな」
「そうですか? 暑そうですので気になりました」
「いや……いい」
ヘルシャフトは礼を言うべきかそれともどうふるまうか少し悩んだ。
「ルゥルちゃん、私はここにいますから、ポルムとフレオを預かっておきますよ」
ルゥルは2匹を紅葉に渡すと仕方がないような顔をしたリシャールを連れて川に向かって走った。
「ウォーターウォークで歩いてみますか?」
エルバッハがルゥルとリシャールに声をかけた。せっかくなら遊べばいいのだ、見張りもいるのだし。
「はっ! 私も頑張れば使えるようになるんですね」
ルゥルが気づいた、自分が魔術師だということに。攻撃魔法以外の遊べそうな魔法があるということに。
「そうですよ。では、かけますね」
「せいっ」
エルバッハの顔面に、アシェ-ルから水が飛ばされた。魔法を使おうとしたいエルバッハはもろに食らう。
見ているルゥルとリシャールがどっと冷や汗を流した。そこに千秋の水鉄砲から攻撃が来る。慌てる2人。
「……アシェ-ルさん」
「……エルさんもひんやりしましょう!」
水をかけられたエルバッハが反撃に出るのは、ルゥルに魔法をかけて、己にかけた後だった。
千鳥が水辺で眺めて笑っているが、水は飛んできており、結果、ずぶ濡れになるのは避けられない現実だった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談スレッド 天央 観智(ka0896) 人間(リアルブルー)|25才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/07/26 05:08:25 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/07/25 17:48:58 |
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質問受付 大江 紅葉(kz0163) 人間(クリムゾンウェスト)|22才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2016/07/23 12:01:39 |