少年、寄り道で猫を追いかける

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~7人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/08/02 19:00
完成日
2016/08/07 19:32

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●まずい
 ハンターから負った傷を治しながらプエル(kz0127)は考え込んだ。
「あーあ、レチタティーヴォ様くらいいてほしかったなぁ」
 レチタティーヴォがハンターに倒された後、プエルの友人とも部下ともいえたエクエスが無に還る。レチタティーヴォに会う前の記憶がさっぱりなかったのが不安だったが、あちこちうろうろしている間に思い出した。先日、生前「家族に嫌われていたと思うし殺しに行こう」とした。その際、ペットたちも雑魔化したけどハンターに倒された。ハンターに迫られ自分自身も危険だったが、父と妹のためにも生き延びる選択をした――というようなことを考える。
「ざっとこんな感じ……うーん、父上とイノアを優しく殺してあげたい。うーん、演出! うーん。たぶん父上たちあのヒトたちは嫌いだろうなぁ。でもなぁ……今の僕が一人でやれることって! もっとマテリアルがあれば僕、もっといろいろやれるのに!」
 プエルはゴロゴロしていたところから起き上がる。荷物の中からレチタティーヴォを模したような人形を取り出すと抱きしめる。先日の戦いで消えた同型の人形はマテリアルをため込んでいようだが、この人形は何もない。何体か同じのあったが、どれもこれもプエルが遊ぶとすぐに壊れてしまった。持ち歩いていた人形は特別だったとはっきりと理解した。
「やっぱりこっちのほうがいいかな」
 羊のぬいぐるみをカバンから引っ張り出し、それを抱きしめた。新しい服に着かえて出かけることにした。

●邂逅
 森の中を歩いていたネル・ベル(kz0082)が、不意に視線を感じ顔を上げる。
 見慣れぬ歪虚が木の陰にいた。一見すると人の子供の様にも見えるその歪虚は、木から顔を少しだして、何か言いたげにネル・ベルを見つめている。
「……歪虚か。この私のマテリアルを奪いに来たか?」
「なんで?」
「……」
 沈黙が漂う。
 子供の様な姿の歪虚は木の陰から姿を現す。気を取り直したらしく、片手に羊のぬいぐるみを抱きしめ、仰々しく一礼すると、艶かしい上目使いでネル・ベルに言った。
「初めまして、ネル・ベルさん。僕は憂悦孤唱プエル。レチタティーヴォ様の下でさえずる者」
 その言葉にネル・ベルが眉をひそめた。
「ハンター共に倒された十三魔の配下か……」
 レチタティーヴォが倒れた後の帝国領であった混乱にはネル・ベルも出向いている。
「むう……僕ね、一人だと困ってしまったの。グラズヘイム王国には偉大なべリアル様がおられる。なら、そこに行けば何かできるかなって」
「つまり、この私に、『紹介』されたいという事か」
「そうそう。僕なんかより王国の事を知っていて、ベリアル様もご存じなネル・ベルさんに、先に挨拶しておこうと思って」
 ネル・ベルはプエルの頭にポンと手を乗せた。
「良い心掛けだ……王国の西、海を渡ったイスルダ島にベリアル様は滞在しておられる。私の名を出せば……同族に喰われる事はないだろう」
「わーい、ありがとう!」
 プエルは彼の周りを、無邪気に羊を振り回し踊った。ポケットから取り出したプレゼント――2本のフリルリボン――をネル・ベルに手渡す。
「それ、きっと、似合うと思うよ」
 手を振りながらプエルは立ち去った。

●羊と猫と
 ネル・ベルと会ったあと、プエルはイスルダ島へ向かうために海岸線を歩いていた。
「……うーん、あれ?」
 ハンターがうろつくのを見かけて隠れる。様子をうかがって、回避するか倒すか考えることにした。
 ハンターが走る。
 その先に羊歪虚が走る。
 その先に猫が走る。
「……猫が二足歩行しているよ! え? あれ? 僕、初めて見た! ユグディラだ!」
 プエルはこの追いかけっこに加わることにした。

●ハンターのお仕事
 ハンターたちはリベルタース地方に羊歪虚を見たという話の調査に来ていた。
 調査中に猫対羊のバトルではないが威嚇しあいを発見した。
 猫も羊も二足歩行するんだな……一瞬、とぼけたことを考えたかもしれない。しかし、羊に関しては和やかな存在ではなく、話に上がっている羊歪虚だ。猫は猫でもユグディラである。ハンターは色めき立つ。
 羊歪虚を追い払うもしくは倒そうとハンターは動いた。
 ユグディラが逃げはじめ、羊歪虚が追いかける。それをハンターが追うと慌てた羊がより一層逃げる。
 埒が明かない。どうにかしないといけない。
 ふと、気づいた、自分たちの後ろにも追いかけてくる者がいることに。余裕があったものが振り返る。少年の人形が、羊のぬいぐるみを持ってついてくるのだ。
 十中八九危険だ。人形が歪虚であり、すごくいい笑顔で走ってくる。ハンターを気にしているのかいないのか。
 突然追いかけっこが止まった。ユグディラたちが通りすがりのゴブリンに遭遇したのだった。
 ハンターを追うように来ていたプエルは木の陰に隠れた。プエルの思惑がわからぬまま、ハンターたちはユグディラを守るべく戦わないとならない。

リプレイ本文

●振り返れば
 何か後ろにもいると感じたハンターは用心のためにちらりと見た。
 レイオス・アクアウォーカー(ka1990)はプエルと切り結んだ記憶が新しい。距離があるとはいえ、プエルが見知ったハンターに気づいていない様子なのが不思議であった。
「アイツのあの笑顔は前に見たことがあるぞ。……モフリとかいう毛玉歪虚を手に入れた時と似ているな」
 レイオスのつぶやきに、バイクに飛び乗りユグディラ救出を前にしようとしていたザレム・アズール(ka0878)は思い出す。
「エトファリカでの……あれか。推測は推測として、プエルの何が目的かわからないが、すぐにハンターと敵対することはないか?」
 話せばわかる、そんな期待も一つある。現在の状況から、プエルが加わり乱戦に拍車をかけるのも避けたい。
「人間だけが二足歩行しない不思議な戦い……。プエルに関してはそうですね、ひとまず無視。羊歪虚を倒すこと、そしてユグディラを守ることを優先しましょう」
 クオン・サガラ(ka0018)はバイクに乗り、マテリアルを活性化させる。
「やれやれ……まさかこんなところでも遭遇するとはな」
 ちらりと後方を見て、戦馬の手綱を握りロニ・カルディス(ka0551)はユグディラと羊歪虚の間に割るべく周囲を探る。話し合いで解決することもあるが、プエルが何を考えているかわからない今は不安と困惑が強い。
「いろいろ見事な状況ですねぇ。ゴブリンさんはただの通りすがりのようですが、この際は仕方がありませんよねー」
 小宮・千秋(ka6272)はスカートが似合う男の子で、フットワーク軽く走り出そうとしている。ペットのマルチーズと黒猫もやる気満々で待っている。
「仕方がなくはない……偶然でもこの仕事を受けて、そこにゴブリンが現れた。是非はなく、ゴブリンは倒す」
 カイン・マッコール(ka5336)は途中にいる羊歪虚は障害物としてしか映らない。背後にいるプエルは視界の外であり、彼の中では存在していないに等しかった。

●乱戦という
 魔導バイクにまたがりクオンとザレムは機導を用いてマテリアルを使う。魔導バイクの性能をアップさせ、ユグディラを救出すべき先行する。
 この間にも困惑気味のゴブリンがユグディラを狙い、羊歪虚は問答無用でユグディラを狙い、ユグディラは散り散りに逃げる。
 クオンとザレムはゴブリンを左右から挟むように近寄り、デルタレイで3匹で攻撃する。悪運強いそれらは回避をした。それでも新たな敵をそれらは否応なく知り、ユグディラどころではなくなった。
「羊型の奴らが邪魔だ! 回り込んでいって、まずはゴブリンを倒す」
 ゴースロンで駆け抜けるカイン。
「羊のぬいぐるみを持っているということは……羊歪虚が狙いか!?」
 レイオスはプエルが何をほしがっているのか推測した。以前ペットとしてフカフカした妖怪を入手しようとしていた。今、目の前にいるのは決して可愛い様子のない歪虚たちだが、モコモコはしている部分がある。レイオスは背後を注意しつつ、目の前の羊歪虚を倒すべく行動した。
「ほいほーい! まずは羊さんから倒しちゃいますねー。行きますよぉ、マルチーズさん、黒猫さん!」
 千秋は全力で駆け抜けレイオスに続く。
「俺はユグディラと羊歪虚の間に入れれば」
 ロニは馬を走らせる。戦場として長く散る傾向があるが、守るべきユグディラの近くかつ仲間にも対応しやすい位置を考える。
 ハンターが敵に近づく間、再び相手は動き出す。それらにとって先ほどと違うのは「ハンター」という別の敵が増えたということだろう。だからこそ、毛色が異なる羊歪虚は号令を出し、ハンターたちに向かって魔法を放ったのだ。幸いというのか、威力が大したことはなく、よけきれずともダメージは通らなかった。
「かといって数もある油断はできません」
 クオンはゴブリンに接敵した直後【ファイアスローワー】を放った。
「ユグディラたち、俺たちは君たちを守りに来た。怖ければ俺たちのそばにいてくれ」
 ザレムはユグディラに声をかけつつ【デルタレイ】を放つ。ユグディラたちが人間に怯えて混乱して、無用の反撃に出られたら大変だ。
「ゴブリンは滅べ!」
 カインはゴブリンを馬でひいたうえで、とどめを刺した。
「あっけない」
 思わずつぶやきたくなるほど、ゴブリンは手ごたえがなかった。カインにとっては次いでとなる戦闘に切り替わる。
「歪虚にとって妨害となる旋律……【レクイエム】」
 ロニはユグディラとの間に割り込みつつ、法術をつむぐ。それによって動きが鈍くなる羊歪虚たち。
「羊らしく群れてきやがれ! まとめて相手になってやる」
 レイオスは武器で敵を薙ぎ払う。
「モコモコして防御力高そうです。行きますよー【鎧徹し】」
 千秋が声をかける。ペットたちは狙う相手のそばにまとわりつき調子を崩させる。手ごたえはしっかりあった。

 様子を見ているプエルはようやく気づいた、知っているハンターがいることに。
 ユグディラをもっと近くで見たいという思いに揺れる。近づくには見つかりたくはなかった、ぎりぎりでユグディラのそばに行きたい。
 程よいところにある灌木を見つけ、移動をしたのだった。

 ユグディラたちはハンターが助けてくれたということを理解した。必要ではない逃亡は選ばないでとどまる。戦いから少し距離を置いたそれらは気づいた、近寄ってきた歪虚に。毛を逆立て怒りと怯えを示した。

 ハンターたちは羊歪虚を時間はかかったが余力を残して倒していく。
「……ゴブリンより数が厄介なだけで問題はないな」
 カインが思わずつぶやいた通りだった。
 ここに来た羊歪虚がもともと強くなかったところに、聖導士の法術により行動が妨げられれば、鍛えられたハンターの敵ではない。ただし、作戦を誤ればユグディラに被害が出ていただろうから、油断せず慎重に行動して正しい。
 魔法や武器で一気に片付いていく。回避できたとしても、別の攻撃に当たり消えていく。
「これで終わりですねぇ」
「ワン」
「にゃー」
 ほっとした千秋が何かを思い出した。
「羊肉はラムやマトンというんですよねっ! 歪虚は食べられると聞きましたが」
 周囲を見渡すが何も残っていない。
「いや、なに……食べてみるつもりだったのか」
 ロニはあきれているが、幼い子にとって好奇心は重要であるためにきちんと説明する。
「雑魔が食べられるか否かは……何か残るか否かは、新鮮かということも重要らしいぞ」
「新鮮ではないんですねぇ、これは」
 千秋はもう一度と周りを見る中、マルチーズは何もないよと首を傾げた。
「こっちがまだいるんだ」
 レイオスは武器をマシンガンに切り替え、プエルが隠れているあたりに向けて弾丸を放った。

●おしゃべりはそこまで
 見ていたプエルは羊歪虚たちが倒された上、ハンターが余裕なので考える。
「不利っ! 撤退決定! ユグディラはまた今度、きっと落ちてるに違いない! 拾ってくださいという木箱とともに!」
 銃弾がかすめたのはこのときだった。
 プエルは慌てて木の陰に戻る。
「羊のぬいぐるみにしたのは、羊歪虚の元締めべリアルの部下になったのか?」
「違うよー」
 プエルは恐る恐る顔を出して答える。羊の前足は上にあげられ「降参」をあらわしているようだ。
 羊歪虚が倒されるのをじっと見ていたのだから、それをほしがっていたという推測は外れる。
「ではなぜこのようなところにいるんだ? 家族にユグディラでも見せる為か?」
 ロニは直接ではなく、あえて逆の事実と思われることを絡めて問いかける。
「……家族、ね。通りすがりだよ、僕は。ただ、そこにユグディラがいたから来ただけ」
 プエルは口元をゆがめた。
「なら、こっちにおいで、ユグディラと一緒に遊ぼう?」
 ザレムはユグディラの怪我がないか見ていたところで声をかけた。現在は、マシンガンの音に驚いて彼に張り付いているユグディラによって全身で至福を味わいつつ、窒息の恐怖も漂う。
 なお、ユグディラは「プエルは断固拒否」と訴える。
「う、うわぁ……でもすごく拒否された気がする」
 プエルは喜びかかったが頬を膨らませた。
 千秋が黒猫とマルチーズとともにユグディラの世話というか戯れを始めたのをうらやましそうに見ている。
「マルチーズさんとけんかはしないんですねぇ」
 威嚇でもされるかと思っていた千秋は安堵して、ユグディラを見る。ユグディラは何か言ったが、伝わらなかった。
「君はどうしたいんですか?」
 クオンの言葉にプエルは再び「通りすがりだから」と答えたあと、思い出したかのような顔をした。
「なあ、べリアルで思い出したけど、ネル・ベルって強いよな」
「……知らないよ! あのヒトには角があるし……前思ったんだ、鬼の角にリボン結んであげたいなって! だから、リボンプレゼントしたんだ」
 ザレムは思わず、リボンを角につけたネル・ベルを想像した。似合うのか可愛いのかわからない。
「お前はまたイノアや領主を殺すんだろう。なぜそうするんだ」
 レイオスは魔導バイクに乗り、武器を握りしめる。できるならプエルを仕留めたいという思いと、ここで戦うとユグディラが危ないと考える間で揺れる。イノア・クリシスはプエルが人間だったころの妹である少女だ。
「イノアと領主は同義語のはずだよ。父上は十中八九隠居。僕の死体がなかったことを隠して死亡として葬儀したんだもの。歪虚になるかもっていうなら言わなきゃだめだよ、領民を守るなら、ね」
 プエルは苦笑する。
「ね、君も命を奪うことをやめて、旅するっていうのはどうだろう? 俺は本当なら襲ってこない歪虚を倒したくないんだ。それにここを偶然通り過ぎたというけどどこに行くつもりなのかな?」
 ザレムが諭すように告げる。
「俺はゴブリンは襲ってこようがいまいが倒すつもりだ……が、それ以外は別に……」
 カインは興味はないようだが、少しだけ主張をした。
 それらを聞いたプエルが目を見開く。
「……君たち、正気なの? 歪虚がなんで人類の敵かってわかってないわけないよね? ハンターだもの。あー、でも、ニコラス・クリシスは似たり寄ったりだったかな。歪虚だとしても形ある物に手をかけることはできない」
 プエルは羊のぬいぐるみをくるくるとまわした。生前の自分は他人だと言わんばかりの口調。
「僕が騎士団長みたいになりたいと言ったら、歪虚は倒せないといけない……イノアにはそう言われたっけなぁ」
 くすくすとプエルは笑う、「今じゃ、人間殺しちゃうけどね」と。
「君たちの気が変わらないうちに僕は行くね。次はちゃんと遊ぶ準備してくるから!」
「おい、待て、質問に答えろよ!」
「レイオス、君が考えているような感じだよ」
「どれが正解だ」
「心読めないから、僕」
 プエルは人を食ったように言う。
「ヒント、僕はイスルダ島に渡るよ。ニコラス・クリシスが怯えていた戦いの場。家族を守るためには倒さないといけないヒトたちがいる場所」
「今のお前はどう思っているんだ?」
 ロニは問いかける、ヒントから回答を得ようと。
「僕? そうだね、父上とイノアが怖がっていることを取り除いてあげて……あれ? 僕がしようとしていることって、結局王国のためになるんじゃないの? 僕は結局ニコラス・クリシスのまんまなんだ! 仕方がないなぁ。僕は父上もイノアも……王女様も大好きだからね!」
 プエルは笑う。愛情ともとれる言葉を吐き、死を贈ろうとしている。
「やはり……ここで」
「だめだ、ユグディラがいるんだ」
 レイオスがバイクを動かしたとき、ザレムは止める。
 プエルは木の陰に隠れてレイオスをやり過ごす。他のハンターが動くか否かを見極める。
 レイオスは2撃目を加えなかった。勝てる可能性は高いが、下手をすればプエルは全力で逃げつつ、ユグディラを確保するかもしれない。
「行けよ! もう、イノアたちを悲しませるな」
「悲しませないよ? ふふっ、君は優しいねぇ」
 プエルは暗く笑い、用心深く立ち去った。

●猫たちは語ったが
 ユグディラたちはハンターにお辞儀をした。これで「にゃ」としか聞こえずとも、お礼を言っているのだろうということはわかる。
「それにしてもどうして狙われたんだい?」
 ザレムの問いに答えるユグディラたち。
 沈黙が下りるハンターたち。相手は人間の言葉を理解していても、ハンターがユグディラの言葉を理解していない。
「……でもまあ、無事で何よりでした」
 クオンはユグディラにしゃがんで声をかける。
「プエルがあっさり退いたのは何故だ」
「残念なことに愚かではないということだ。それはこちらに勝機もあると言える」
「そう考えられるなら、うれしい」
 レイオスにロニは答える。守るべきものがない状況であれば、全力で向かってもよかったかもしれない。
「……王国の情勢をどこまで理解しているんだ?」
 疑問を口にしつつもカインは通りすがりにゴブリンがいるならまだいるかもしれないと視線を走らせる。ゴブリンは世の中から消し去りたい。
「確かに詳しそうですね」
 クオンはレイオスとロニを見るが、2人は首を横に振る。
 プエルがニコラス・クリシスという貴族の少年であったとはいえ、どこまで知識があるかは不明だ。それを生かすとしてもプエルなら行動は限られそうだ。
「ほほーい! 黒猫さんとマルチーズさんがユグディラに対抗して後ろ足で」
 千秋は目を丸くした。後ろ足で立てるにしても、基本は四足で立つ生き物、ペタンと戻る。
 和やかな様子に、張り詰めた緊張の糸は緩んだ。
「さて、羊歪虚がこれ以上いないか確認して戻って、報告かな?」
 ザレムはおやつをユグディラにやりつつ立ち上がる。
「ところで、君たちはどうする?」
 歪虚やゴブリンなどに狙われる可能性はあるため、ユグディラにザレムは問う。
 ユグディラたちは何か話し合いをした。
「どこに……ですかね?」
 クオンは戻る町の名前を告げる。
 ユグディラたちは首を横に振った。
「おわかれですかぁ? では、みなさんお気をつけて!」
 千秋はユグディラとハグをした。
 ハンターたちはユグディラたちが立ち去るのを見送り、変な物音もないのを確認し、自分たちが戻るところに向かったのだった。

●独り言
 ハンターと別れたプエルは、島に渡るべく道を探す。
「危ない危ない、ユグディラにかまけて、目的を忘れるところだったよ」
 羊のぬいぐるみは語らないため、ハンターに出会えてよかったのだ。交戦すると準備不足なため困るのはプエル自身であるが。
「ユグディラ、やっぱり触りたいなぁ、ペットにほしいなぁ」
 溜息を洩らした。

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 課せられた罰の先に
    クオン・サガラ(ka0018
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • 歪虚滅ぶべし
    セリス・アルマーズ(ka1079
    人間(紅)|20才|女性|聖導士
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • イコニアの夫
    カイン・A・A・カーナボン(ka5336
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 一肌脱ぐわんこ
    小宮・千秋(ka6272
    ドワーフ|6才|男性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/07/31 02:04:56
アイコン そうだん
セリス・アルマーズ(ka1079
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/08/02 18:59:53