ミステリ・クラブの夏夜会

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/08/09 07:30
完成日
2016/08/23 02:13

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ここは、極彩色の街「ヴァリオス」のとある大通り。
「すまねえが、頼まれてくんねぇか?」
 街角屋台「Pクレープ」の店頭で、禿頭のチンピラが両手を合わせて謝っていた。
「ほへ? なんかあったの?」
 謝られているのは、Pクレープ店員の南那初華(kz0135)。今は客はおらず、クレーブを焼いたりはしていない。
「何も言わずにまた、ミステリ・クラブの仮面夜会に参加してもらいてぇんだ」
「えええ?」
 初華、少しイヤな顔をした。
 実は数か月前、恋愛とかに疎い初華が屋台の中年男性客からしきりに酒を飲みに行こうと誘われていたところ、「ウブっぽいから逆に誘っているように見える。何とかしろ!」とこのチンピラに怒られ、まずは大人への一歩として酒を飲むことになったのだ。
 ちなみにそのミステリ・クラブ。
 前回の彼の説明では、「紳士淑女の好事家の集う夜会だ。不思議な話や冒険譚、奇譚にゴシップ、エログロな話なんかを持ち寄ってそれぞれ交流している。……集まる奴らは全員目元だけを覆う仮面を着けて正体を隠しているが、ヴァリオス商工会の会員がほとんどで一流どころも多い。ここなら一流の酒を飲めるし、一流の雰囲気に触れることもできるだろう。楽しんで来るといい」ということらしい。実際にそうだった。
 で、初華。
 参加して、酔いつぶれて一緒に行ったハンター仲間におんぶされて帰るという始末。
 そればかりではない。
 その後、なぜか「倒せばワインまみれになること必至の歪虚退治」と、「世界中から集めた強い酒を飲んで酔っ払った状態で戦って誰が一番強いか決める大会」に参加する羽目に。片や予想通りワインまみれになり、片や一杯酒を飲んだだけで酔いつぶれるという悲惨な目に遭うことになる。
 とにかく、ここのところの不遇の元凶ともいえる依頼が、このミステリ・クラブの夜会での情報収集だったのだ。
「ダメか?」
「そ、そりゃダメとは言わないけど……だって、前にそれに参加した時も情報が欲しい人からの紹介状をもらって参加したはずよ? わたし、会員じゃないから……」
 キッパリ断らないあたり、初華らしい。
「実は俺な……ミステリ・クラブのある日は会場の建物周辺をそれとなく警備してんだ」
 彼は街のチンピラである。
 しかも、若い部下を多く抱えている。
 裏の社会から裏の荒事を請け負うこともあるし、身分を隠した密かな愉しみを誰にも邪魔されないよう、それとなく人払いをするなどといった仕事を請け負うこともある。血気盛んな若者を束ねるということは、そいつらを食わせてやらねばならないという面もある。いろいろ苦労しているのだ。
「で? たまには若い娘を参加させてほしいって頼まれたの?」
 あーあ、またこのパターンね~、とか諦観ぎみの初華。
「いや、そうじゃねぇ」
 おっと、ここ最近依頼に連れ出されるケースとは少し違うようだ。
「いつか来たウブっぽい娘の反応が面白かったからまた連れて来いって頼まれてな……」
「ぶっ!」
 ウブっぽいのを直し世慣れするために参加した仮面夜会で、そのウブっぽい点を評価されて招かれているのだ。何という本末転倒か。
「その……ダメか? ダメならちゃんと断って来るが……」
 いつも態度の悪い彼が複雑な表情をしている。
 初華は、彼がここに足しげく通っているのは前の店から、ここで荒事が起こらないよう気に掛けているということを知っている。若い、血気盛んな若者を束ねていることも。断れないのだろう。
「分かった……今回は情報収集、必要ないの?」
「すまん。恩に着る」
 禿頭のチンピラ、あらためて感謝した。
「あ、そうだ。結構バケモノとかの話もでるところだから、ハンターを雇うよう誘導してお前たちが退治しちまうってこともできるはずだ」
 チンピラ、とりなすように初華の本業にもタメになることを強調しておいた。
「うん、分かった」
 ……初華、素直である。

 というわけで、実はヴァリオス商工会の一流未満どころが匿名で集まりおおっぴらに話せない話や噂なんかを披露して楽しむ仮面夜会「ミステリ・クラブ」に初華と一緒に参加して楽しんでくれる人、求ム。
 ドレスコードは、「目元だけ隠す仮面(貸出可)と涼やかな衣装」。

 なお、特定グループに話し掛けうまく話を引き出すことができれば、次回の依頼内容が確定します。
 引き出せる話と特定グループは、次の通り。

☆話題
『スプリングホッパー』
『モグドリラー』
『辻斬りゲーム』
『ブラブロとパルサラス』

☆情報を持つグループ
【日焼けした男たち】
【オシャレな女性たち】
【隅でひっそり話す人たち】
【各地の祭について話す人たち】

リプレイ本文


 突然だが、狐中・小鳥(ka5484)は窮地に陥っていた。
「これは、なかなか魅力的なお嬢さんで」
「東洋風衣装も涼しそうですなぁ。そういえば東の方で変わったことがありますかな?」
 蝙蝠や鷲などをかたどった仮面で目元を隠した男どもに囲まれている。
「ええと……東の方に詳しいわけじゃないんだよ。ただ、涼しそうな衣装だったから……」
 蝶の仮面で目元を隠す小鳥、腰を引いてごにょごにょ。
 どうやら涼しげな衣装、ということで袖無しで丈の短いチャイナドレスを着てきたところ、男性たちに珍しがられたようで。
 というか、引いた腰から伸びる太腿の素肌。やや前傾姿勢になったことで通気性確保のため開いている胸元。これらがさらに魅力的に強調された。
「ふむ、確かに納涼の会に相応しい衣装。感服しますな。……こちらのお酒をぜひ、どうぞ」
「美味しそうな料理も来ましたよ。ぜひどうぞ」
 小鳥、絡まれまくり。
「お、お酒は飲めないからこっちだけ……あ、ちょっと失礼するんだよ」
 料理だけ受け取って、逃げた。
 逃げたコースはテクニカルで、わざと南那初華(kz0135)の傍をかすめるようにした。
「おお、いつかの。私の酒もどうぞ」
「ほへ?!」
 酒を勧めたい人は、周りからウィットに富んだ微エロトークでたじたじにされている初華に食い付いた。
(初華さん、ごめんネ)
 小鳥、脱出成功である。
 すると、「枕投げ祭りというのも聞いたことがある」などという会話が耳に入る。小鳥、目を輝かせて会話に加わった。
「ん、何かお祭りのこと話してるのかな? 私もお祭りは色々と踊りに行くしちょっと興味あるんだよ」
「ほう、お嬢さんはどんな祭りに行かれましたかな?」
 まずは情報を、ということらしい。
「ええと……」
 記憶を手繰る小鳥。
 辺境でとある部族で野球拳。
 春郷祭で変態多数。
 春郷祭でリア充だらけ。
 リゼリオでバイクレース。
 祭りじゃないのもあるけどまあいわゆる「祭り」状態だったよね、と面白おかしく話す。
「ほう、負け脱衣勝負祭りに変態祭りにいちゃらぶ祭り、そしてバイク祭りも」
 激しく受けている。
「そういえば……ブラブロって雑魔のことが気になってるんだけど?」
「うーん、聞かないなぁ。音に反応するモグラ雑魔のおかげで祭りが中止になったとか聞くけど、ブラブロって名前じゃなかったかな。それよりさっきの負け脱衣勝負祭りについて詳しく……」
 どうやら知らないらしいが、小鳥の話が魅力的過ぎてしばらく捕まることになる。

(……ブラブロ?)
 ちょうどこの時、鞍馬 真(ka5819)が小鳥の話す一団の傍を通りかかっていた。
(確か、初華達が戦った大型キノコの形をした歪虚ではなかっただろうか……)
 真、直接戦ってはいないが依頼は広くチェックしている。Pクレープを手伝った時に初華や小鳥たちから聞いたような気もする。
 逃がしたらしいから追い掛けているのかも、と思う。
 ちら、と初華を見る。
「どれ……うん、これなら大きなイヤリングをしても安心だね」
「んん、ありがとうございます」
 今度は耳を触られ息を吹き掛けられびくっと身を縮めていた。ややわざとらしくはある。
(あれじゃ情報収集は無理だな。代わりにやっておこう)
 そう思って周りを見る。
 すると日焼けした男たちの集団に目が留まった。
(海か……外での仕事か)
 港であれば広く情報も集まるだろうし、屋外での仕事ならそういった話も知っているかもしれない。
「リゼリオに向いた風を何とかこっちに戻したいようだな」
「その風を何にするか。ファッションが有力らしいが……」
 仮面を着けた体つきのいい男たちがこそこそ話している。
「風?」
 真、そんな会話に加わってみた。
 男たち、ぎょっとした。
「すまない。リゼリオの騒ぎも見てきたんで気になってな」
 軽やかに話を継いだ。
 前開きのジャケットが舞い、白いシャツと折り目正しいスラックス姿が強調された。細めの仮面は軽やかで、口元に軽やかな笑み。
「これは、洒落た出で立ちで。……リゼリオではどうでした?」
「世界中の強い酒を飲む催しが盛り上がっていた」
「酒か……」
 黙り込む男達。有益な情報だったらしい。
「それより、ブラブロって知らないか?」
 ギブアンドテイクに期待し、直接聞いてみた。
「ああ、聞いたことがある。大型のキノコ雑魔だろう? 最近じゃあもっとデカいのが目撃された噂がある」
 うまくいった。



「楽しんでいらっしゃる?」
 Gacrux(ka2726)は突然、大きな蝶の仮面の太ったマダムに声を掛けられた。
「ええ、それなりに」
「盗み聞きがお好きそうねぇ」
 そう絡まれたのは、ガクルックスが隅に一人でたたずんでいたから。まずはどんな人たちが固まりどんな様子でいるかを広く観察していたのだ。例えば、隅でひっそり話す人たちなど。
「そんなつもりはないですけどね。そちらも楽しんでいますかねぇ?」
「そうねぇ?」
 にま、と返された。明らかにガクルックスをしゃぶりつくそうとしている。深海魚が暗がりに潜むような雰囲気を醸していたガクルックスはそれまで話し掛けられることはなかった。が、そういう所にうまみがあることを知っている連中の集まりだ。密かに狙われていたのだ。
「最近、街の子供が妙な遊びをしているようで」
 そう言って移動する。
「あらまあ」
 ついてくるマダム。逃がさないつもりだ。
 仕方なく初華の所に移動する。
「そう……軸足に対してやや直角気味に構えて立つ……おお、なかなか細い足ですな」
「んん……。こ、こう?」
 初華、今度はモデル立ちを教えられていた。足首もちょっと触られたり。
「女性が教えた方が良くないですかね?」
「おもちゃを取り上げると逆恨みされますからねぇ」
 ガクルックスが暗に「あっちにいけ」と言うと、暗に「そうはさせませんわよ」と返された。
「フフ……」
 代わりに、暗く微笑しておく。金の縁取りのマスクが妖しく伏せられる。
「此処は人の欲の坩堝に御座います」
「何かおっしゃいました?」
「別に」
 顔を伏せたのは一瞬で、呟きは誰にも聞かれていない。
 また歩き出したが、ふと立ち止まり着ていたベストのボタンを外し前を開ける。サスペンダーのシャツ姿が細い。
「それより先日、夜道を歩いていると悪ガキに襲われましてね。返り打ちにひっ捕まえたところ、『辻斬りゲーム』をしていたと……」
 暗く、話し出した。雰囲気の変化にマダムがたじろぐ。
「不審に思い問い正したのですが、それ以上に何かを聞き出す事は……」
「失礼、このあたりで。ごきげんよう」
 マダムはおほほほと愛想笑いを残し外した。
「失礼」
 追い払ったか、と安堵したところ、背後から声が。
「今の話、思い当たる節がある。場所と時間は?」
 振り返ると、主に隅で話していた人物がいた。気にしていたところ、向こうから接触してきた。
「場所はですね……」
 ガクルックス、一つの賭けをした。
「たまにクレープ屋台の立つあたりです」
 慎重に嘘を吐いた。
「あの辺りには若いチンピラがいるはずだが……」
「チンピラの遊びではないでしょう。何かを真似しているんですかね?」
「ターゲットチップは持っていたか?」
「いや?」
「そこまでの真似じゃないか……」
 どうやら何者かがターゲットチップなるものを保持して夜討合戦をしているらしい。

「まあ、素敵な衣装ですわね」
 オシャレな女性たちの集まる集団からひときわ大きな声が湧き上がっている。
「涼やかな衣装と言う事だったのですが……」
 真田 天斗(ka0014)がそこにいた。
 裾に向けて黒から朱色へのグラデーションがかかった軽やかな着物を着用し、うやうやしく礼。
「どうでしょう」
 上げた顔に、蝶の仮面。会場に着く前にエスコートした初華に向けて言った言葉と同じだ。
「そ、そりゃ涼やかだけど……目立ちすぎない?」
 その時の初華の言葉だが、もちろんある程度目立った方がいい。
「素敵ですわ」
「どちらで入手されたので?」
「着用にコツが必要なのでしょうねぇ」
 天斗、質問攻めに遭う。
「どなたが着たとしても素敵に……もちろん、魅力的な方だとその分映えるでしょう。最近はかなり出回っているはずです。……ガウンに近いですが、ノリでパリッとさせ肌に密着させないことで隙間を作ることで涼しく着こなすことができます。帯の結びが多彩です」
 それらに丁寧にそつなく答える。
「まあ、折り目正しく話される方ですわ」
「多彩っていうのもいいですわね」
 女性たち、うっとり。
「皆さんもとてもお洒落でいらっしゃいますね」
 執事然として話を切り替える天斗。
「ええ。見てくださいまし、このネックレス」
「あら、素敵ですこと」
「それより、生地を少し触らせていただいていいかしら?」
 途端に自分たちの話になるので再度コントロールしようとしたところ、浴衣に興味を引かれた女性の対応も必要になった。
 天斗、女性たちの好き放題なおしゃべりに飲み込まれた。
 その時だった。

(情報もあんなもんでいいだろう。……ん?)
 付近にいた真が、天斗の様子に気付いた。
 普段通りの天斗と見たが、やや話題の中心すぎるのが彼の普段のやり方ではないと判断した。
 助けに行くことにする。
「華やかですね」
 そっと近付き、適当に話し掛けた。
「あら、これはお洒落なこと」
「ふんわりジャケットを羽織ってらっしゃいますが……」
「そのへんの中年オヤジとは違いますわね。ちょっと失礼」
 真、いきなり構いまくられる。
「……あー、前もこんな感じ、あったな」
「何か言われました?」
 なすがままの真が懐かしさを感じつつ呟くが事態は進行。ジャケットをはぎ取られた。
「まー、細身ですこと」
「まあ、痩せてるだけかと思いましたら鍛えていらっしゃるわ、ほら?」
「本当!」
「突いてビックリ。筋肉ですわ、素敵ですわっ」
 真、ウエストを指先でつんつんされまくっている。
「いや、それより会話を……」
 突かれるたびにびくっとしつつも、なるほど、ほかの男性が近付かないわけだと納得していた。

「やれやれ……ところでお嬢さん、素敵な髪型ですね」
 天斗の方は真の尊い犠牲により余裕ができた。金髪縦ロールの女性に話し掛ける。
「ええ、ありがとう」
「あら。その髪型、田舎に出る歪虚みたいに落ち着かないですわよ、おほほ」
「な、なんですってぇ~」
 どうやら褒め合いばかりではないようで、女性同士でドロドロした応酬もあるようだ。
「……田舎に出る歪虚ですか?」
 もっとも、天斗の方は歪虚の情報に色めき立った。いがみ合う女性二人にアップで迫る。
「え? ええ、『スプリングホッパー』というバネの形をしたバケモノらしいですわ。こんなふうにぴょんぴょんしながら襲ってくるそうです」
「ちょっと、私の髪型で遊ぶのはよしてくださいます?」
 天斗、噂話を心に留めておく。



 そんなこんなで、宴はお終い。
 初華たちは場所を変えて飲み直しながら情報を共有することにした。
「こちらにどうぞ」
 天斗のエスコートで窓際の席に座る初華。
「構いまくられていましたね?」
 ガクルックスがバーテンに四人分の酒と一人分の茶を頼んでから向き直り微笑。
「うん、たくさんお酒飲まされるかと思ったけどそうじゃなかった」
「それは良かったんだよ。……でも初華さん、顔赤いよね?」
 小鳥が椅子に座って足を組みつつ聞いてきた。酒を飲まされているところに、自分に絡んできた人を押し付けたので心配だったがそうでもないのでホッとしているのだ。
「う……触られたりいろいろあったから」
 恥じ入り答える初華。
 とはいえ、胸とかお尻とかではなく、真っ当なことを手とり足とり――必要最低限よりもスキンシップ多めだったが――教えられたので無下にもできなかったらしい。いわゆるアメリカン・ジョーク攻めにもあったし。
「初華さん、ある意味ここのマスコットとかそういう感じになってるよね……」
 苦笑する小鳥。そういえば自分も野球拳とか変態とかそういう話題を激しくねだられたなぁとか。
「気持ちは分かる」
 真はうんうんと同情的。ややシャツが着崩れているのは……いろいろあったのだろう。どうやって難を逃れたのか知りたいくらいだが、もし聞いても「そっとしておいてくれ」とか言いそうである。
「それはそうと、何か面白いお話、聞けた?」
「街での事件など聞きたかったのですが、田舎での歪虚被害の噂を聞いただけですね」
 シティアドベンチャ―などにつながる情報があれば、と思っていた天斗は残念そうに初華に返す。
「ああ、それなら」
 バーテンからドリンクを受け取り皆に配るガクルックスが話を継いだ。
「ターゲットチップを奪い合うゲームが夜にひっそり行われているそうですね」
「あ、それならわたしも聞いたんだよ」
 小鳥もその後、隅でひっそり話す人物たちから話を聞き出していたようだ。
「賭けがひと段落したから増員してエリアも変えようとかいうのをこっそり聞いたんだよ」
「なるほど。ここに来ているような上流階級の遊びですか……しかし、場所について詳しく聞かれた場合の事を考えPクレープの近くと答えたのはまずかったですかね」
 ガクルックス、納得がいった。彼が話した後、関係者で協議したのだろう。嘘の情報も交り焦っていたのか、ガードが甘くなったところを小鳥が拾ったようだ。
「潮時かもしれない、とも話してたんだよ」
 もしかしたら、この話が一番身近になるかもしれない。
「こちらはブラブロの話を聞いた。新たにブラブロより大きな歪虚もいるという噂を聞いたな」
 一呼吸開いたところで真が切り出した。
「ホント? ブラブロと戦った場所近くの村にも確認してみるね」
 初華、身を乗り出してうんうん。
 こちらも因縁があるだけに情報収集も早くなりそうだ。
 それはともかく。
「初華さんはどんな話をしてましたか?」
 気にはしていたが寄って来る人たちの対応に忙殺されていた天斗が聞いてみた。
「えっとねー」
 初華、おもむろに立ち上がるとモデル立ちをしてドレープのあるサマードレスをなびかせる。
 そして肘を上げて両手を頭の後ろに回す。逸らした胸に括れる腰。突き出すヒップ。でもって、袖の緩やかなドレスから脇の下や胸元までが白く覗く。
「お酒を飲みすぎたらこうやって体を伸ばせばいいんだって」
「それは違うんじゃないかな……」
「嘘を教えられてますね……」
 汗たら~の小鳥と額を指でささえるガクルックス。
「……」
 天斗は無言でセクシーポーズをする初華に近寄ると……。
「何、天斗さん……きゃん!」
「背筋はまっすぐ。指を伸ばし片手を反対の手の甲に添えて、へその下に」
 ウエストを指先でつんと突いて崩した後、正しいモデル立ちを教える。
「……私だけじゃなかったんだな」
 その様子を見て、ぼそりと真。
 真がどんなセクシーポーズを強要されたかは、秘密である。

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MVP一覧

  • Pクレープ店員
    真田 天斗ka0014

重体一覧

参加者一覧

  • Pクレープ店員
    真田 天斗(ka0014
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 漆黒深紅の刃
    瀬崎 琴音(ka2560
    人間(蒼)|13才|女性|機導師
  • 見極めし黒曜の瞳
    Gacrux(ka2726
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • 笑顔で元気に前向きに
    狐中・小鳥(ka5484
    人間(紅)|12才|女性|舞刀士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人

  • グルナ・グレーリス(ka5914
    人間(紅)|17才|女性|魔術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/08/08 20:00:42
アイコン 仕事の時間です
真田 天斗(ka0014
人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/08/09 05:29:55