• 深棲

【深棲】「それは海を守った戦士達の物語」

マスター:えーてる

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
寸志
相談期間
5日
締切
2014/09/16 09:00
完成日
2014/09/25 12:51

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


「以上が調査結果の報告となります」
 受付嬢の彼女は、とんとんと資料を纏めて脇に置いた。
「本当にありがとうございました。助かりましたわ」
「お気になさらず。今後とも、ハンターズソサエティをご贔屓ください」
 自由都市同盟に属する地域、とある孤児院に、彼女は仕事でやってきていた。シスターの個人的な調査の依頼である。
 さほど長い話ではなかった。シスターの懸念は外れ、結果は彼女の予想以上に良いものだったということもあり、そのまま少し話をしようという流れになった。
 受付嬢の彼女も、予定より早く事が済んで手持ち無沙汰であったから、ありがたく受けることにした。
「ハンターの皆さんは、最近も海でご活躍だったのでしょう?」
「皆様のご助力あっての勝利ですので」
「ご謙遜なさらず。皆さんがいなければ、どうなっていたか……」
「ですが、漁場も荒れた所があります。この夏は海に行けなかったという方も多いです。……孤児院の皆様も、そうでしょう?」
 窓の外では、子供たちがわいわいと走り回って遊んでいる。時折、海に行きたかったという声が聞こえた。
 絵を描く少女たちの間では、海の絵が流行っているらしい。
 シスターは困った顔で受付嬢を見て、彼女は小さく首を振った。
「申し訳ありません、嫌味のつもりはありませんでした。子供たちが不平を言っておりましたのを小耳に挟んだもので」
「あぁ、そうお気になさらないでください。すみません、失礼をしまして。ですが子供たちが退屈しているのですよね……。皆、まだ我慢の出来ない年頃ですから」
「あまりお叱りにならないであげてはくれませんか。子供の言ったことです」
「お優しいのですね」
「職務外では、人並みに優しくあろうとは考えています。表情が固いのは自覚していますから……」
 彼女は暫く眉根を寄せ、それから顔を上げた。
「ですからこれは、職務外からの親切心だとお受け止め頂きたいのですが」
「はい?」
 受付嬢はほんの少しだけ口元を緩め、小首を傾げた。
 プラチナブロンドの髪がさらりと頬を撫でる。碧眼には、どこかからかうような色が乗っていた。
「報酬は私が受け持ちましょう。子供たちの退屈を解消するため、依頼を出してはみませんか?」


「――というのがことのあらましです」
 所変わってハンターオフィス。受付嬢は眼鏡を押し上げた。
 海に出れずに退屈している孤児院の子供たちを楽しませてあげよう、というのが今回の趣旨だ。
「子供たちに尋ねてみましたが、殆ど満場一致で『ハンターの海での戦いが知りたい』ということでした」
 他には、男児からは『かっこいいの』『戦いが見たい』『武器』など、女児からは『綺麗な海について』『恋の話』などの声が上がった。
「孤児院のシスター様方と相談した結果、まだ言葉も怪しい年頃の子も多いですから、語り聞かせても理解できない子が出ると思われます。そのため、視覚や聴覚に訴えかける形がよいとの結論になり」
 それで劇を? というハンターの問いかけを彼女は首肯した。
「覚醒者の皆様なら多少派手な演出も可能ですので、それが良いと子供たちからの強い要請を頂きました」
 劇のストーリーは非常に単純、狂気の歪虚がいて、ヒロインがピンチになって、ハンターたちが助けるだけだ。その他の脚色は一任されるが、複雑なものでは理解され難く、残酷なものや不道徳なものは歓迎されない。
 勿論、劇とは別に紙芝居や弾き語りを行ってもいいだろう。当事者であるハンターたちにやってもらうことに意味があるのだ。自分の体験談を語るのでもよし、脚色するもよし、関係ない話だって、彼らが好むような内容なら歓迎されるだろう。
「資材の準備や裏方の機材などは、僭越ながら私イルムトラウトが担当させて頂きます。ハンターオフィスからの正式な依頼ですので、やろうと思えば高額な機材の貸出も可能です」
 受付嬢――イルムトラウト女史は機導師であり、魔導機械の知識があるらしい。
 なんで受付嬢をやってるんだ、という質問に、彼女はいつもの冷たい顔のまま、小首を傾げた。
「ハンター業務は本業との兼任が奨励されております。オフィスでの業務と兼任しても問題はございません。なんでしたら紹介しましょうか? 事務作業など、中々ハードな職場ですが」
 彼女が後ろを指し示すと、そこには報告書と思われるものが山になって積まれていた。
 引きつった顔で拒否するハンターに彼女は「冗談です」と無表情に返した。
「それはそれとして……はっきり申し上げますが。今回はチャリティーやボランティアに近い依頼ですので、報酬はかなり少額となります。皆様の善意を頼る形となるのは心苦しいのですが、お受けいただければ幸いです」
 受付嬢、イルムトラウト女史は深く一礼した。
「私個人と、孤児院の皆様からの依頼となります。私からもどうぞよろしくお願い致します」

リプレイ本文


 準備期間は慌ただしく過ぎていった。
 アルバート・P・グリーヴ(ka1310)とセレス・カルム・プルウィア(ka3145)は、台本の打ち合わせをしている。発案者の一人であるイルムトラウトもだ。
 舞台道具の作成を主導するのは、リック=ヴァレリー(ka0614)。そんな彼にロイ・I・グリーヴ(ka1819)も付き合う。静架(ka0387)、虎牙 こうき(ka2980)もまた、力仕事に駆り出されている。イルムが用意した人員は小物を運んだり、ワァーシンっぽいきぐるみを縫っていた。
 劇自体は民間のホールで行うが、準備の場所がないので孤児院の庭を借りている。皆が駆けまわる横では、静架が布や資材を黙々と運搬している。
 孤児院の子供たちが興味津々でこちらを見ていることに気が付き、静架は微笑んだ。
「下の子は一つからですか……全ての方に楽しい時間を過ごして欲しいです」
「そうだな」
 彼の言葉にリックが頷く。
「辛い戦いの後だからこそ、笑顔って大事だと俺も思うぜ」
 リックは、子供たちに声をかけた。
「一緒に作りたいのか?」
「やってみたい!」
「やりたーい!」
 はしゃぐ子供たちに微笑んで、リックは手招きした。
(俺もまだ戦士としては経験も浅い素人だが、子供達の笑顔を見てると頑張ろうって気持ちになってくるな)
「よし、じゃあ教えてやるぜ! 皆来い!」
 子供たちの目がぱぁっと輝いた。


 そして当日。小さなホールの舞台裏に、一同は集まった。
「くっそう、なんでよりによって俺がヒロインの役なんだ」
「もうぞろ諦めたほうがいいんじゃないか?」
 ジオラ・L・スパーダ(ka2635)は言い聞かせた。全ては決まったことである。今回の劇のヒロインは、ボルディア・コンフラムス(ka0796)が担当。ジオラはボルディアを可愛らしく着付けた。
 照明はすでに落ち、後は役者の登板を待つのみである。
「さて、舞台は完璧ですが……皆さん、準備はよろしいですか?」
 イルムの言葉に、皆大きく頷いた。
「絶対成功させましょう!」
 こうきが力む。
「俺は裏方だけど、頑張ってくれよ」
「子供たちの面倒は自分が見ます。頑張ってきてください」
 リックはハンターたちを連れて演奏役。静架は子守だ。
「子供は鏡のような存在だわ。なるべく多くの良い物が、その澄んだ瞳に映りますように」
 アルバートはパンと両手を打ち合わせてそう口にした。
「それからロイ? ロイはいつもの生真面目は少しお預けね。期待しているわよ」
 ロイは暫く逡巡して、視線を逸らした。
「……子供達に伝えるだけでなく俺も柔軟さを学ばねばと思ってます」
 ナレーションを担当するセレスもにこやかだ。
「子供達を楽しませる物語に携わる事、書狂としても楽しみです」
 昔の境遇からか、子供たちの喜ぶ姿が純粋に楽しみであった。
「子供たちのためだ。やるぞ、あたしたちで」
 ジオラも衣装を翻して気合を入れた。
「……こ、こうなりゃ自棄だ。俺にここまでさせて失敗なんて許せねぇぞ! ぜってー成功させっからな!」
 叫ぶボルディアに、全員が応と声を返した。


 薄暗いホールに、パッと明かりが灯った。スポットライトの下では、セレスが微笑んでいる。
「皆さん、お待たせ致しました。これより上演を開始させていただきます」
 わいわいと歓声が起こる。収まるのを少しだけ待って、セレスは口を開いた。
「私たちハンターから孤児院の皆様への贈り物でございます。どうかご清聴いただけますよう、よろしくお願い致します」
「ごせいちょう?」
 首を傾げる女の子に、静架が微笑みかける。
「静かに、いい子にして聞いてね、ということですよ」
 ちょっと難しかったですね、とセレスは内心で呟き、言葉を選び直した。
「皆さん、静かに、けれどいっぱい、楽しんでいってくださいね」
 はーい! と沸き起こる元気一杯の挨拶にセレスは一つ頷き、瞳を閉じて語りだした。
「それは、海を守った戦士たちの物語。海の向こうに、大きなヴォイドが現れました……」
 ――ワァーシン。左右非対称の異形の魚類を象る、狂気のヴォイド。
 この夏、ハンターたちが戦った、あの強大な敵。
「ワァーシンという、怖い怖いヴォイドです」
 ただ、そんな小難しいことまで子供たちに伝えるつもりはなかった。
 幕がするすると持ち上がると、そこには砂浜の背景が描かれていた。
「海岸に現れたワァーシンを倒すために、三人のハンターがやってきたのです」
 セレスが言い終わってからワンテンポ置いて、右袖から三人が現れた。ボルディア、ロイ、こうきの三人だ。
「だからぁ、オメェはいっつもトロいんだよ! 俺らが早く解決すりゃそれだけ皆も喜ぶだろうが!」
 肩を怒らせて真ん中まで歩み出ながらボルディアが言い、ロイが回りこむようにしてその前に立つ。
「良く調査してからでも遅くはないと言っているんだ!」
 その間に、こうきが割って入った。
「ま、まぁまぁ二人とも、落ち着いて」
「あらあら、どうやら喧嘩になってしまっているみたいですね」
 セレスのナレーションに、子供たちが不安げにざわつく。リックたち音楽班は曲調を低めに落とした。
「もういい! 俺は俺でやる!」
 喧々諤々のやりとりの後、ボルディアはぷいっとそっぽを向いた。ロイも勝手にしろ言わんばかりに顔を背ける。
 子供たちの「あー!」「喧嘩はダメだよ」「フラグってやつだ!」という声を浴びながら、彼女は左袖へと歩き出した。
「あっ、待った、ボルディアさん!」
 こうきの制止も虚しく、彼女は去って行ってしまった。
 伸ばした手を下ろし、こうきはロイへと向き直る。
「ロイさん、どうして引き止めないんすか!」
「……俺に愛想を尽かしてこの仕事から手を引けばいい」
 振り返らずに言うロイ。
「ロイも本当は彼女のことが心配なのです。ですがこうきの説得を受けても、彼は中々素直になれません……」
 セレスのナレーションと共に、一度幕が下りる。

 静架は子供たちをあやしながら、再び幕が上がるのを待っていた。
「すみません、お守りまで任せてしまって」
「いえ、自分は演技もしませんし」
 静架は微笑んで、抱きついてくる子供の頭を撫でた。
「それに舞台ですと、自分の得物だと少し狭いので……」
 遠距離からの狙撃が彼の平常であるから、舞台ではどうしても映えない。
 中々上がらない(といっても数分も待たせていないのだが、子供たちにとっては長い時間だ)幕に焦れたらしく、子供たちがやって来た。
「ねぇねぇ、お兄さんも戦ったの?」
「ききたーい!」
 静架は苦笑して語りだした。
「大型は直接相対しませんでしたが、小型と中型までなら相手にする機会がありました」
 食欲のそそられる形ではなかった、と彼は残念そうに呟いた。
「へぇー! 怖かった?」
「えぇ……腹立たしいくらいに。おかしくも、恐ろしい存在でしたね……」
 と、上がり始めた幕に彼は気付いた。
「詳しくは後で教えてあげます。続きが始まりますよ」
 というと、子供たちは舞台のほうへと顔を向け直した。


「さて、一人になってしまったボルディア。何やら落ち込んでいるようです」
 セレスの声に合わせて、とぼとぼと左袖から現れるボルディア。大げさに溜息をついた。
「はぁ……やっちまったなぁ」
「喧嘩してしまったことで悩んでいるボルディア。ですが、その先に……」
 セレスが言葉を濁すと同時に、舞台の左袖から煙が吹き出た。合わせて、リックたちが曲調を禍々しく切り替える。
「おわっ!? なんだ!?」
 煙が晴れると、そこには黒ずくめのジオラが立っていた。マントを翻し、黒塗りの笠を被る。すだれ状の腰飾りなど、原型に少しでも近づけた衣装である。脇には黒ずんだ禍々しいクラゲのようなきぐるみをきた非覚醒者のハンターたちも二人控えている。
「我は狂気のヴォイド、ワァーシン!」
 被り笠に顔を隠し、いかにも悪役といった声を出すジオラ。ボルディアは武器の模造剣を構える。
「ワァーシン……こんな所にいやがったか!」
 ボルディアはそう言いつつも、逡巡する。セレスがナレーションを入れた。
「一人で戦うには無謀な相手。ですが、先程喧嘩した手前、そう簡単には戻れません」
 やがて指を突きつけて、ボルディアは剣を担いだ。
「テメェなんざ、俺一人で倒してやるよ!」
 そう口にして突進する彼女に、ジオラは低く笑った。
「ふん、たった一人で挑みかかってくるとは、愚かな」
 そこでジオラは覚醒した。翼の幻影、瞳や鱗を身にまとう姿は黒衣も合わせてまさに悪役と言った様子だった。観客席の子供たちからも悲鳴が上がる。
 模造のジャマハダルを手に、ジオラはボルディアを指し示した。
「消し飛ばしてくれよう! 行け、我が配下よ!」
 そして殺陣が始まる。ボルディアとジオラが武器を打ち合わせ、ボルディアが弾かれてたたらを踏む。そこへクラゲもどきが腕を叩きつけた。上手いこと後ろへ飛んで吹き飛ばされた風を装うボルディア。
「うわぁーっ!?」
「ハハハッ! 口ほどにもない!」
「あぁ、ボルディア、絶体絶命です。彼女はこのまま負けてしまうのでしょうか?」
 子供たちの悲鳴に合わせて、セレスも不利を煽っていく。
「ロイー! 助けてー!」
 と、子供たちが叫びだしたのを見て、セレスはちらりと後ろを向いた。アルバートがゴーサインを出し、ロイとこうきが頷く。
「皆さん、遠くにいる二人に聞こえるように、皆さんで名前を呼びましょう! 皆さんの声が届けば、きっと助けに来てくれます!」
 静架が周りの子供達に、せーの、と合図をした。
『ロイー! こうきー! 助けてー!』
 歓声を受けて、舞台袖で役者の二人は二人は顔を見合わせて、叫んだ。
「聞こえるっすよ! みんなの声!」
「あぁ、こっちだ!」
 とうっ! と掛け声を上げて、勢い良く飛び出した。
「皆さんの声が届きました! ロイ、こうきが、ヒロインのピンチに間に合ったのです!」
 ごろんと二人は受け身を取り、立ち上がりざまに武器を抜く。リックが曲調を切り替えた。
「ボルディア! 大丈夫か!」
「ロイ、お前……どうして!」
 彼女をかばうように立ったロイに、ボルディアが声をかけた。
「……ヴォイドの気配がしたんだ。それだけだ」
 こうきがにやりと笑った。
「まったく素直じゃないッスねぇ……仲間を放っておける訳ないじゃないッスか。ましてや……」
「おしゃべりは後だ! 行くぞ!」
 剣を構えたロイたちの前で、ジオラは高らかに笑った。
「いいだろう! 天に仇成すが我が望み! お前ら全て消し去ってくれる!」
 アルバートが舞台裏からリトルファイアを連発し、ジオラの周囲に火の玉をいくつも浮かべる。
 そして戦闘再開だ。ロイとボルディアが巧みなコンビネーションと宙返りやバク転を交えた激しいアクションでクラゲもどきを鎧袖一触なぎ倒す。ゴロゴロと転がって袖へと消える彼らを他所に、ジオラは仁王立ちしたまま動かない。
 決戦に合わせて、こうきが魔術を唱える。
「天駆ける風の精霊、彼の者包みて護りたまえ……俺の力を二人に! ウィンドガスト!」
 風の鎧が二人を包み、観客席がわっと湧く。二人の剣が火の玉を切り裂いて消し飛ばしていく。激しい殺陣が続く。
 突然のジオラの一撃で、二人は後ろに吹き飛ばされた。ああっ、と子供たちが声を上げる中で、ボルディアが声を上げた。
「くっそう……みんな! 俺たちに力を貸してくれ!」
 ロイも剣を構えて叫ぶ。
「どうか祈りを捧げてくれ。俺達が敵に打ち勝てるように、大切な仲間を守れるように!」
 セレスがここぞとばかりに声をかけた。
「皆さんで勝利を祈りましょう。声援を送ってあげてください!」
 子供たちが今までで一番の声で二人の名前を叫ぶ。
『頑張って、ロイ! ボルディア!』
「いくぞ!」
「あぁ!」
 皆の声援を受けた二人の剣が、ついにジオラに命中した。
「ば、馬鹿な!」
「滅びろ、ヴォイド!」
 ジオラが崩れ落ち、袖の向こうへ消えていく。
「へっ、俺たちの勝利だ!」
 ボルディアが武器を突き上げると、大歓声がホールを包んだ。

 暫くの歓声の後、ボルディアはロイに向き直った。
「あの、さっきの事はゴメン……。早く海、綺麗にしたかったからよ」
「いや、こちらも悪かった。すまない」
 ロイは小さく頭を下げた後、じっと彼女を見て口にした。
「普段からきちんと伝えなくてはいけなかった。……俺はお前を大切に想っている」
「ばっ、馬鹿野郎!」
 きゃーっ、と黄色い声が上がる。ボルディアは顔を赤くして、ぼそりと呟いた。
「……助けに来てくれたときのお前、すごく、カッコよかったよ」
 女の子が更に歓声を上げる中、ゆっくりと幕が降りてきた。
「こうして、元気なヒロインと勇敢なヒーローによって、怖いワァーシンは倒され、海の平和は守られたのです」
 セレスのナレーションとともに、静架とシスターたちの拍手に釣られて、孤児院の子供たちが歓声と拍手を送る。
「どんなヴォイドがやって来ても、皆さんが襲われたとしても、今日のようにハンターがきっと駆けつけて、皆さんを助けてくれるでしょう」
 幕が降りきるまで待ってから、セレスは最後に、と口を開いた。
「最後に、そんなハンターの皆様を紹介したいと思います」
 袖からきぐるみをのハンターや被り物を取ったジオラ、ボルディアやこうき、呼ばれた静架が続々と出て行く。
 セレスが一人ひとりの名前を読み上げ、子供たちが思い思いに反応を返す。それを見ていたイルムに、ロイが手を差し伸べた。
「さぁ、行きましょう。表情が硬いのは私もです」
「いえ、私は……」
「イルムも頑張った一員だろ? 行こうぜ」
「ごちゃごちゃ言わずに、ほら行くわよ!」
 リックとグリーヴ兄弟に肩を叩かれ、イルムもそろそろと舞台に上がった。
 ロイやこうきに「カッコ良かった」、ボルディアに「可愛い」などと(本人は猛烈に恥ずかしがっていた)声が上がり、静架に「お兄ちゃん!」と親しげな声が飛ぶ。アルバートは「オカマ!」と言われて憤慨していた。ジオラは「綺麗」と「怖い」で二分されていた。
「ずっと楽器を担当してくださった、リック・ヴァレリー」
 と、子供たちが顔を見合わせて、せーのと合図して叫んだ。
「パパー!」
「ぱ、パパ?」
 大工の時に面倒見が良かったおかげらしい。リックは満更でもない風に苦笑した。
「そしてナレーターの私、セレス・カルム・プルウィア……」
 きれーい! と、少女たちから声が上がる。
「最後に、今回の劇の発案者であり、準備を担当してくださった、イルムトラウト・イトゥリツァガ。以上で、キャストの紹介を終わります。皆様、拍手してあげてください!」
 「万雷の拍手とともに響くありがとう!」という声に、ハンターたちは手を振り、笑いかける。イルムも硬い表情を少しだけ緩めた。

依頼結果

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MVP一覧

  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムスka0796
  • 全てを見渡す翠眼
    アルバート・P・グリーヴka1310
  • 麗しきストーリーテラー
    セレス・カルム・プルウィアka3145

重体一覧

参加者一覧

  • アークシューター
    静架(ka0387
    人間(蒼)|19才|男性|猟撃士
  • 一日パパ
    リック=ヴァレリー(ka0614
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 全てを見渡す翠眼
    アルバート・P・グリーヴ(ka1310
    人間(紅)|25才|男性|魔術師
  • 名誉騎士
    ロイ・I・グリーヴ(ka1819
    人間(紅)|18才|男性|疾影士
  • ビューティー・ヴィラン
    ジオラ・L・スパーダ(ka2635
    エルフ|24才|女性|霊闘士
  • ガッツなサイドキック
    虎牙 こうき(ka2980
    人間(蒼)|19才|男性|魔術師
  • 麗しきストーリーテラー
    セレス・カルム・プルウィア(ka3145
    エルフ|26才|女性|魔術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談場
虎牙 こうき(ka2980
人間(リアルブルー)|19才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2014/09/16 00:45:38
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/14 03:21:22