• 初心

【初心】妖精たちの円舞

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
LV1~LV20
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/09/08 07:30
完成日
2016/09/22 01:45

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「なあ、まだ来んのかい?」
「遅いよのぅ」
 ここは同盟領の山奥、どこかの田舎村。
「夏の終わりには梨を楽しみにしてるって言っていたのに」
「春先に来てくれたから塩のたくわえはあるが……」
「お薬とか心許ないわぁ」
 どうやら行商人の来訪を待ちわびている様子。村人たちはみな不安そうにしている。
「あの人のことだから近道してないか不安だわ」
「蝶地獄の丘か?」
「出るかどうかもわからんだろ。出たとしてもヘマはせんはずだ。なにせ応戦してまんまと逃げたこともあるとか言ってたし」
「いやいや、覚醒者のハンターでもあるまいに。その油断が危ない」

 説明すると、この村の付近に「蝶地獄の丘」という丘陵地帯がある。
 蝶々が死んでしまう地獄ではない。逆だ。人が殺される。
 遊牧に向く土地ではあるが、歪虚「ビッグアゲハ」が流れ着き居座ることがあり、ときに群れを成してやってくるときもあった。もちろん、そういったことがあるたびにハンターオフィスに依頼して討伐してもらっている。
 とはいえ、近くの小さな町から山中の抜け道を使えば一日の行程になる近道。件の商人だけはその道を使っていた。
「誰かが使わんと、それこそ人が寄り付けんなる」
 もちろん商魂もあるのだが、道も財産だと口癖のように説いていたという。
「なに、出る化物も分かるこっちゃ。それなりに注意して、化物に応じた逃げ方をすれがいい」
 とも。
 実際に、畳程度の羽二対を持つ蝶々型の歪虚一体に同所で遭遇したとき、銃で牽制しつつ丘陵の凹凸を利用し隠れたり逃げたりしたことがあるという。
 閑話休題。

 翌日、別の商人が到着した。
「その商人ならここを目指して俺達と同じ日に町を出たぜ。まだついてなのか?」
 馬車である。道は広く比較的安全である半面、結構な遠回りとなるようで。
「こりゃ蝶の化物やられたか?」
「ちょっと見てこよう」
 村の若者数人が決心して蝶地獄の丘に走る。
 時は夕刻前。
「よし、蝶の化物は見当たらん。探せ」
「でも、歪虚がいないならやられてないのかも……」
 しばらく起伏の激しい丘陵地帯を探す。
 そして……。
「いた! カラカラに干からびて……」
「死んでいるな。鋭い爪みたいなので下から掻き上げられてる。倒れた後に生気でも吸われたか」
「え? 蝶の化物に爪なんかあったか?」
 しかも飛んでるのに下からかよ、と一人が疑問を呈した時だった!
「いたッ! ……何だ、あれは!」
 一人が気付いて別方向を指差し叫ぶ。
 そこには……。

 そして後日、ハンターオフィス。
「時は夕暮れ。暮れなずむ夕日を背景に彼らが見たものはッ!」
「み、見たものは?」
 熱弁する眼鏡の女性係員に、話に引き込まれ思わずぐぐっと前のめりになるハンター、南那初華(kz0135)。
「大きな蝶の羽を広げて浮かび、向き合ってふわふわ浮かぶ妖精のシルエットでした」
「ほへぇ、すっごい幻想的……きゃん!」
 お目々キラキラさせた初華、ぺしりと書類で叩かれた。
「目撃した村人たちは一目散に逃げました。死体がそこにあるんだから当然ですね。初華さんは相変わらずお気楽でダメダメですねぇ」
「ううう、ごめんなさぁい」
「罰として新人さん向けにしたこの依頼にバックアップとして参加してもらいますよ。いいですね?」
 もちろん罰の必然性はまるでない。それだけ仲がいい、ということだろう。
「はぁい。……でも、何すればいいの?」
 しゅんとなって上目遣いする初華。
「敵をビッグアゲハの亜種と断定しました。新人ハンターさんの討伐訓練にしますので……初華さん、魔導トラック使うでしょう? 運搬と、新人が危ないときに手助けをお願いします。亜種なので気を付けてください」

 そんなこんなで、人の大きさの妖精型ビッグアゲハ2体を討伐してくれる人、求ム。

リプレイ本文


「初依頼が蝶のような妖精たちとのダンスだなんて……」
 ごとごとと揺れる魔導トラック「オート三輪」の荷台でアリア・セリウス(ka6424)が呟いた。風に青い髪を遊ばせるように首を振った。
「幻想的で素敵ね?」
 夢見るように瞳を閉じる。その胸に何を思うか。
「おかしな蝶々もいたものだね」
 隣の雹(ka5978)も風に流れる青髪に手をやり、くすり。
「巨大な人のついたアゲハチョウでしたか……気を引き締めてかからないと、ですね!」
 観那(ka4583)がうん、と力強く頷く。着物「黒霧」の帯に手を掛けきゅっと締まっていることも確認して気持ちを落ち着ける。
「それにしても蝶地獄だなんて、物騒な名前ね……」
 今度は足元。荷台に腰掛けるイリアス(ka0789)が遠い瞳で周囲を眺めてぽそり。
 そんなイリアスの言葉に気付いたのは、雹の隣にいる澪(ka6002)。
「こんなにきれいなのに」
 思わず出た、純粋なひと言。
 そしてイリアスが自分を見詰めていることに気付く澪。ぴくりと雹の方に身を寄せた。
「そう。……こんなに素敵な草原なのに。村の人たちも安心できないわ」
 私だって何だかわからない森で狩りはできないもの、とイリアスが微笑している。まるで安心させるような優しい口調で。
 澪、少し雹の服を掴む手の力を緩め警戒を解いたようにした。
「でも、高低差があるから見通しは悪いね」
 雹が代わりに口を開いた。
 澪の様子にくすりと笑みをこぼしつつ周りを見ている。周囲は草の原っぱではあるが平原ではない。
 そこで、トラックが大きくカーブ。荷台の五人はそろって一瞬外側に振られた。
「トラックもダンス、かしら?」
 アリア、運転席の方を気にする。
 そちらでは。
「南那様、まっすぐ走らないんです?」
 助手席に座るカリメラ・オ・ルヴォワール(ka2493)が遠心力で傾けた首を戻しながら聞いてみた。
「初華でいいよっ。……一応、丘の下を選んで通らないと敵に先に気付かれちゃうかもだし」
 南那初華(kz0135)がぱたぱたハンドルを回しつつ返す。
「それに、道としては平らなところを走った方がスムーズだから」
「そうですか……あれ?」
 カリメラ、不意に止まったのでびっくりした。
「到着。ここならトラックも見つかりにくいかな。……早速、歪虚を探してね」
 快適なドライブもここまで。
 カリメラが外に出ると、荷台組も次々下りていた。
「確かに道らしきものがあるね」
 雹、わずかに草の少なくなっている筋を発見した。
「倒すのもそうだけど、正体を突き止めるため頑張りましょう」
 イリアス、道を踏みしめる。村では道に沿って商人を探したと事前に聞き込んでいるのできっと遭遇できると信じる。



 しばらく行くと犠牲になった商人の遺体を発見した。偵察に来た村人たちは一目散に逃げたので回収できてなかったのだ。
「……冥福を祈ります」
 黙祷する雹。
「確かに下からの爪痕がある……地面から来た可能性もあるのかしら」
 魂の安らぎを祈った後、イリアスが片肘をついて確認する。横ではアリアが青い瞳でじっと見詰めている。まるで何かを決心するかのように。
「とにかく、遺体は私がトラックまで運んでおくね」
 初華の言葉に、改めて六人は探索に集中する。

「ふふふ、どこにいるのかなぁ?」
 草原の起伏をカリメラが行く。髪と瞳がわずかに彩りを帯び、ささやかに光っている。
 覚醒である。髪を揺らし、きょろ。
 皆より一人先行して索敵をしている。
「カリメラさん、まるで宝探しするみたいにわくわくしてるけど、大丈夫ですかね?」
 後方には、小柄な体に巨斧を背負った観那が続く。
「うーん……歪虚も探さないといけないのだけれど、商人さんがどうして逃げられなかったのか地形もちょっと気になるの」
 隣のイリアスは地形を気にしていた。変わった場所がないかきょろきょろ。
「傾斜で見えなくなっているところも警戒、です」
 観那、イリアスの言葉にカリメラの背中だけではなく改めて広く気にするのだった。

 一方、ほかの三人。
「兄様?」
 澪が風下の方へと移動しようと雹を振り返った。ペットの犬、ミョンを連れているので風上の匂いも確認できる位置が有利と見たようだ。
「わかってるよ、澪」
 頷く雹。
 この回り込みが、ちょうど先行するカリメラとフォローの観那、イリアスの死角となる方向を確認できる位置になることに気が付いている。
 ただ、風下は空を飛ぶ敵や鱗粉を撒く相手に対して非常に不利な位置取りであることにも気付いている。
「僕らはまだ未熟だ。それでも……やれるよね?」
 気負わないよう、澪の頭に手を置いて尋ねる。
 二人一緒なら、と。
「うん…一緒ならなんだってできる」
 気丈に答える澪。
 この様子に、一歩引いて続いていたアリアが微笑する。
「……素敵ね」
 が、それは一瞬。
 すぐに面が引き締まった。
 敵に気付いたのだ。
 澪も雹も、観那もイリアスもカリメラも。



 それは、まるでおとぎ話の一場面のようだった。
「妖精さん?」
 イリアスの呟き。
 遠い丘の稜線から姿を現した、蝶の羽を持った存在に目を見開く。
「妖精が向き合って……」
 息を飲む雹。
 それは二体いた。
「踊っているよう」
 アリアが強く興味を抱いた。
 互いの存在を愛するかのように向き合って、まるで愛を語り合うようにふわふわ浮いている姿があまりに幻想的だったから。

 ただし、見とれていたのは一瞬!

「射撃、お願いね」
 カリメラが色っぽくお願いするとリヤンワイヤーを手に一気に詰めた!
 淡い光がまるで鱗粉のよう。その様、戦場の蝶である。
「みんな、気をつけて戦いましょう」
 後衛のイリアスが辺境の遊牧部族に伝わる短弓を構えた。
 この時、もう一方の班で澪が動こうとしていた。
「兄様、やろう」
「ああ。行こう、澪」
 カリメラに続けとばかり走り出す二人。
「伝説では蝶も妖精も、人の心と魂を導くもの……」
 アリアも動き出す。
 何せ敵はこちらにまだ気付いていないのだ。
「けれど、相手は歪虚」
 きっ、と前を向くアリア。敵に向かう。
 ――ひゅん、ひゅん。
 イリアス、弓を射た。立て続けに二本。
 すでに俊敏な四人が敵二体に向かって動いている。
 命中と同時に包囲が完了。一気に畳み掛ける見込みだ。
 完璧な、奇襲。
 しかし、ここでとんでもないものを目の当たりにするッ!



「え?」
 重い武器を背負い一瞬突撃の遅れた観那が、我が目を疑った。
 イリアスの射た弓がとす、とすと二体の妖精型歪虚の羽に命中したところまでは、いい。
 問題は次の瞬間。
 ――どさ、どさっ……。
 命中したと同時に、妖精の人型部分――つまり胴体丸々が、ぶらんと力なく首と手足を垂れて……。
「一体、何?」
 イリアスも思わず弓を構える手を止めた。
 敵は……敵の人型部分は、斬り落とされた肉塊のようにどさりと草原に落ちたのだ。
「アゲハが人を放り出したみたいですっ!」
 いち早く観那が声を上げた!
「動きが早くなった!」
 この時、敵に最接近していたカリメラが叫んで注意喚起する。
 宙に残っていた羽と首の部分は攻撃してきたこちらに向くと、それまでふわふわと全く俊敏性がなかったはずなのに一気に目の前までぐうんと迫って来ていたのだ。途端に鱗粉にまみれ超音波を食らい尻餅を付く。
 が、カリメラの瞳は輝きを失っていない。纏った光はむしろ輝いている。
「傷が付いたら……標本にはなれないね」
 不敵な視線と同時に、ひゅんと風が鳴る。
 空に浮くアゲハに、下からワイヤーウイップが襲う。
 攻撃を食らっても負けてはいない。
「一体しかこちらに来なかったことを後悔してね」
 このまま決着をつける勢いのカリメラだったが、再びとんでもない事態に動きが止まる。
 ――ざざざざ……。
「カリメラさん、地面から来てる!」
 後方からのイリアスの叫びと援護射撃。
 はっ、とカリメラがそちら見ると、四つ這いのまま地面を高速移動するゾンビ型歪虚が迫っていた。射撃を受けても臆することなく下から鋭い爪でまくって来る。
「ローゼンメッサー」
 カリメラ、短剣を抜きつつドッジダッシュ。敵は連撃。一発は浅く食らった。さらにラッシュが来るとヤバい。
 刹那!
「スカートめくりは許しません!」
 どしっ、と重い一撃が敵の肩に入った。
「遅くなったけどその分しっかり見させてもらいましたね。もう下からの攻撃は許しません」
 ギガースアックスを担いだ観那だ。
「観那さん、上!」
「上? わっ!」
 後方からのイリアスの叫びと射撃。観那、今度はアゲハから鱗粉と超音波を食らった。
 ざざざざっ。
 そして今度はゾンビが高速移動。あっという間にイリアスに至近距離まで詰めて腕を振りかざすッ。
「……商人さんに、感謝です」
 イリアス、取り回しの大きくなる弓からリボルバーに持ち替えていた!
 たぁん、と敵を撃つ。
 しかし敵はひるまない。攻撃を受けても攻撃の手を休めない。
「きゃ!」
 一撃食らう。
 さらに連撃がくるぞっ!
「鈍足でも、重い分下りなら間に合うんです」
 おっと。背後から観那が追い付いて来ている。
 完全に敵の背後を取っているので大胆に踏み込みジャンプ。
 身体を一回転させて……。
「ギガースアックスですっ!」
 どすっ、と渾身の一撃が敵の背中に入る。
 地に伏すゾンビ。しつこく手を伸ばすが、さすがにそれ以上は動かず力尽きた。
 そしてカリメラ。
「短剣に気を取られるとそうなる……よね?」
 アゲハとの一対一に集中。剣で攻撃すると見せて死角から鞭攻撃。羽をバサバサにしてやり、どさり。飛べないようにして地に落とし、止めを刺した。



 こちら、別班。
「え?」
 やる気を見せ先行していた澪、目の前の想定外の事態に目を大きく見開いた。
 イリアスの射撃であっさりと勝負がついたようにも見えたのだ。
 どさっと落ちる妖精の本体。羽はふわふわ浮いているが。
 ただ、こちらは稜線に視線を阻まれることなくすべてを見ることができる。
「アゲハがゾンビを抱えていただけみたいだね」
 ざざざ、と落ちた人型部分が動き出したのを見て雹が事態に気付く。
 そして思い知る。
 余計な荷物を持っていたアゲハが、それを落としたことで各段に動きが良くなったことを。
 しかも、落とした人型部分――ゾンビ歪虚も大地を四つ這いで高速移動してくるッ。
 狙いはもちろん、突出している澪。
 空から一気に距離を詰めたアゲハが超音波を放ち鱗粉を展開する。
 下から詰めたゾンビが鋭い爪を下から上に振り上げて来る。
「信じてる、から」
 澪、下を捨て見上げる。抜刀した鬼斬丸の刀身がきらめく。
「信じる!」
 雹、前傾姿勢で衝撃拳「発勁掌波」で固めた拳もろとも突っ込む。背中はがら空きで上は見えない。下段攻撃に集中。
「素敵ね……」
 二人の背後から前線に上がるアリア。アゲハを斬り上げる姿とゾンビを叩きつぶす姿を見て心を弾ませた。敵は二体とも距離を取る。
「歪虚……その性質も歪んでいるのかしら」
 ぱぁん、と小筒「鳴鵺」を放つ。アゲハ、やや上空に逃げる。
「よし」
「こっち……」
 ざざざ、と純陸戦装備の雹と澪がゾンビを包囲。
「まるで太陽と月ね」
 息の合った包囲を横目に感心するアリア。自身はアゲハと対峙する。
 そこで超音波を食らう。
「命を奪い、心の臓より熱と魂を吸い上げ、攫う歪んだ影……」
 アリアは髪を振り手で肩の後ろにはねて整え改めてアゲハを見る。
「だからこそ踊りましょう。斬風が奏でる円舞の中で」
 言うと同時に右移動。もう超音波は食わない。
 回り込む動きに敵も応じる。
「斬翅葬舞――妖蝶を滅す、迅く、鋭き剣舞を」
 円の動きから、大太刀「破幻」を抜刀し「天蓋花・残照」の一撃。
 羽の一部を散らすアゲハ。距離を取り超音波だが、またも円の動きに巻き込まれる。
「詠い、紡いで、鳴鵺。旋風の舞踏の始まりを」
 アリアはまるで踊っているよう。アゲハは回り込みつつ距離を取っているようで、一瞬の隙に踏み込まれている。空に距離を取れば銃撃がくる。
 分が悪いとは感じているようだった。

 こちら、雹と澪。
 ――ひゅん、がきっ。
「くっ……」
「はいっ!」
 ゾンビの爪を防ぐ雹。動きの止まった瞬間に澪が疾風剣で斬る。
 今度は澪が襲われるが先手必勝とばかりに踏み込み相打ちにすると、今度は横から雹が螺旋突。
「止め!」
「待て」
 優勢だったのが一転したのは、アゲハがこっちにきたから。雹が気付き身を挺し、澪を超音波から守る。
 その隙にゾンビは逃げた。
 いや、対アリアに向かったのだ。ポジションチェンジだ。
 遠距離がないと見て上空から下りずに超音波を放ってきている。
「兄様!」
「よし」
 見上げていた澪が納刀しつつ呼ぶと、雹は頷き前に出た。ちょうど澪が狙われていたが、雹の動きと同時に前に出てすでにそこにはいない。
 それだけではない!
「いけ!」
「うんっ!」
 澪、中腰になった雹の背に乗ると、雹が飛翔撃の力を足に溜めて跳躍。それを足場に澪が大跳躍を見せる。
「兄様の分も!」
 抜刀。ひらめく刀身。
 もちろん、アゲハは安全地帯にいると思っていた。
 その油断で、地に落ちることとなる。

 そして、アリア。
 ――どしっ。
 敵の突進を太刀で受けたが、ゾンビもそれまでの戦いで止まると攻撃を受けると学習していた。
「え?」
 何と、攻撃を止められたまま、それでも突進を止めずにそのまま潰そうと押してきたのだ。
 これに力負けするアリア。後ずさったのちに潰される。
 しかし。
 ――たぁん!
 銃声が響き、のしかかったゾンビが痙攣する。
「……倒れない。この世界の風の中で、貴方達より美しく、踊り続ける」
 下から這い出るアリアの瞳は、自分の新しい生き方に輝いていた。



「どうだった?」
 トラックに戻ると初華が出迎えた。
「…訓練、にしては厳しい戦いでした…」
「でも後ろから見ている限り、皆さん動きがよかっです」
 メモに熱心なカリメラに、斧を肩に担いでにっこりの観那。
「ふぅん。それにしても、私も妖精さん、見たかったなぁ」
「ええと、初華さん……まさに巨大な人のついたアゲハチョウでしたから……」
 観那、汗たら~しつつ困った表情。トラウマになるかも、とか思ったがそれは黙っておいた。
「討ち漏らしはなかったし、ほかにもいなかったから」
「無事に完了だね」
 澪と雹が戦闘後の様子も話す。
「アリアさんやイリアスさんはどうだった?」
「いい一歩を踏み出せました」
 初華に問われ答えるアリア。心に秘めた思いは伏せたが、初華はそのたたずまいににっこり。
「私は……この子と一緒に頑張ろうって気になったかな」
 イリアスは最後に身を守ってくれたリボルバー「ピースメイカー」を取り出し優しい視線を向けるのだった。

 村人もこれで一安心だ。

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MVP一覧

  • 金糸篇読了
    イリアスka0789

重体一覧

参加者一覧

  • 金糸篇読了
    イリアス(ka0789
    エルフ|19才|女性|猟撃士
  • 戦場の蝶
    カリメラ・オ・ルヴォワール(ka2493
    エルフ|14才|女性|疾影士
  • 清淑にして豪胆
    観那(ka4583
    ドワーフ|15才|女性|闘狩人
  • 陽と月の舞
    雹(ka5978
    鬼|16才|男性|格闘士
  • 比翼連理―瞳―
    澪(ka6002
    鬼|12才|女性|舞刀士
  • 紅の月を慈しむ乙女
    アリア・セリウス(ka6424
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人

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依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
アリア・セリウス(ka6424
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2016/09/07 22:24:30
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/09/06 22:36:34