つながる思いと、ソース作り

マスター:DoLLer

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/10/19 07:30
完成日
2016/10/24 00:18

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「お帰りなさいっ」
 馬車の町の入り口を通り抜ける馬車に乗るミネアに両手を振って迎えてくれたのはクリームヒルトだった。
 ミネアも彼女の姿に気が付くと、馬車を止めてすぐさま彼女の元に走り寄り、しばしの再会を喜んだ。
「東方の詩天でね、いっぱいジャガイモ売れましたよ!」
 二人の縁はジャガイモ。もう2年前のことだ。帝国と言えばジャガイモと羊。メシマズと呼ばれていることに何かできないかと考えていたクリームヒルトと、料理人としての仕事をなくして旅をしていたミネアが出会ったことから始まった。
「ジャガイモが喜んでもらえたんです、向こうは戦争が長続きしているから田畑が荒れちゃってるから、大量のジャガイモは本当にありがたいって!」
「本当!? 自給自足する為に作っていたジャガイモが他の国に貢献できるとわかったら地方の人達もきっと元気が出るわ。お金が入れば、戦いだけに目を向けなくてすむかもしれない。外貨を得る直接の機会が得られれば、ジャガイモに価値が生まれる。外貨は地方の人に様々なものを知るきっかけにもなる。新しい物、新しい文化、そんな中で自分たちにどんな役割ができるのか。そうした事を見直す結果にもなるわ」
 クリームヒルトはぎゅっと手を握って、キラキラと輝く瞳でミネアを見つめた。
 旧帝国の姫という彼女の出自は遠目から見るといつも厳しそうで、物憂げだったけれども。そんな顔がこうして輝いてくれるとミネアも胸が詰まるようにして嬉しくなった。
「で、詩天からは果物を持ってきたんですよ。他にもお酒とか有名らしいんですけど……果物は栄養豊富ですから、これをみんなに売りたいなって思うんです。ジャガイモと肉だけに果物があるだけで帝国の人達の食事情もきっと変わりますよ!」
 ミネアの言葉にクリームヒルトもしっかりと頷いた。

 が。
「あんまり売れないんですけど……とほほ」
「食文化とはげに難しきものでございますね……」
 ミネアのしょんぼりした顔の横で、同じくがっくり肩を落としているのは詩天の役人兼商人な五条君香だ。この大量の果物を売りさばくために詩天から手伝いに来てくれたのだが。
「そうなのよね。帝国で果物っていえばエルフハイムのリンゴとかだから贈答用とか高級品、嗜好品のイメージが強いのよね。あったら嬉しいけれど、なくても困らない的な」
 さらに同じく悩んだ顔をするのはクリームヒルト。
「美味しいけどね。余所の物好きなピースホライズンに持っていけば?」
「美味しいよね。余所物嫌いなエルフハイムでは食べたがらないかな?」
 果物を分け合って口に入れるのはミュゲの日に出会ったエルフの姉妹だ。同じように果物を広めてくれるお手伝いをしてくれるとは言ってもこちらも芳しい様子でもない。
「ええー、帝国のみんなに食べてもらいたいのにぃ」
 姉妹の正しい意見にミネアはますますショックな顔をした。
 沈痛な空気の中、クリームヒルトのところで働いている、そしてミネアと何度となく助けてくれた辺境から移民してきた男はただ一人、そうした空気を全く読まずに羊肉を焼いていた。
「イグさん! 今、作戦会議中!」
「昼飯も一緒だろう。腹が減っては生きられんぞ」
 イグはそんな注意もあっさり笑い飛ばすと、肉の焼け具合を確認すると、おもむろに詩天の梨を手に取った。
 ぐしゃ。
 何の前触れもなく、さも当然のように握りつぶしたその様子に他の面々は唖然とした。
「ちょ!?」
「ん? これも一つの食べ方だぞ」
「ええー、お肉にかけるのが?」
 男は梨汁のかかったジンギスカンを掴んで千切るとそのまま一切れ口の中に放り込んだ。
 皆が呆れるやら口がふさがらないやらと言った感じで見つめていると、イグはもう一切れの肉を差し出した。
「美味いぞ? こちらに来て塩しか味付けしないものばかりだった、故にこの甘味は新鮮だ」
「うーん……」
 促されるがままに口を寄せて肉を頬張ったものの、やっぱり梨と肉と塩の味であって、予想はしていたもののミネアにとっては残念な味である。
「うーん、これならもっと葡萄とか……」
 ミネアはワインを取り出し振った後に、ニンニクをさっと皮をむいて鉄板に並べた。続いて蜂蜜とリンゴを混ぜて醤油に合わせて羊の肉にさっと流した。
「わっわっ、すごい。手品みたい」
「ねっねっ、すごい。魔法みたい」
 途端に羊肉独特の癖のある匂いから芳醇な香りが漂い始めて、肉などあまり食べないために興味すら示さなかったエルフ姉妹は声を揃えて驚いた。
「元料理人だもん。これはフルーツソースっていうんだよ」
 今度はミネアが肉を切り分けて、皿に盛りつけると皆に渡した。
 それを不器用ながらフォークで突き刺し、下からかぶりついたイグは一口目ですぐに感嘆の声を上げた。
「これはすごい。不思議な甘みだ!」
 男は嬉々として、仲間達に振り返ると大きな身振りと意気揚々とした言葉でその絶品具合を示した。すると他の皆も恐る恐る口にしてみると、みんな一口食べて、顔色を至福に満たした。
「おお、これは東西の文化の融合にございます……!」
「美味しいっ。羊の肉がこんなに美味しくなるなんて!」
 エルフ姉妹もそんな様子に、肉料理に興味津々といった形で口にすると、椅子を跳ねさせるほどであった。
「ミネア。これはいいぞ。もっとみなに知ってもらうべき味だ!」
「え、でも食品商だし……」
 ソースを作ることくらいミネアにとってはどうってことない話だ。
 しかし、その素材の良さを知ってもらう、土地の人間を感じてもらい、それがつないでいくことがミネアの仕事、商人としての役目である以上、原型をとどめないような加工をすることについては強い遠慮が働いてしまう。
「加工というのは知恵だ。辺境においても、熊を狩り、そのままを持って行くのは様々な困難がある。だが、皮をはぐ、肉にする、骨を取り釣り針にする、矢じりにする、骨組みにする、装飾品にする。こうして役立つ。次に必要とされる者に適切な形を作ることは、禁忌を冒すことと違う。それは『思いやり』だ」
 男の優しい眼差しに、ミネアはしばらく身動きできなかった。
 目から鱗というべきか。
「そっか、ソースならいくらでも作れるし、確かにお肉料理にこれをつけるだけでバリエーションを加えられるなら、帝国の人も使ってくれるかもしれない……」
 保存ならリアルブルーから缶詰の作り方は聞いたこともある。
 できるかもしれない。

 元料理人の自分が、商人として帝国を巡る意味。
 そんなの偶然の連続だって思っていた。でも今は違う。それが自分に与えられた役目なんだとミネアは思えた。
「軍用食に最近採用された缶詰があるわ。それなら腐らせずに運べるかも。もらってくるわ」
「研究に必要な果物はお任せくださいませ」
「じゃあ、この味みんなに知らせよっか」
「そうね、この味みんなに知らせたいもの」
 ならば実行あるのみだ。
 ハンターと共に。

リプレイ本文

「こんにちはっ。ミネアさん、お手伝いに来ましたよ」
 厨房の扉から顔を出したリラ(ka5679)の姿を見て、ミネアは喜色満面になって飛びついた。
「リラさん! 手伝いに来てくれたんですね。ありがとうございます」
「ミネアさんの為ですもの」
 リラは笑ってミネアを抱き留める横で、今度は愛梨(ka5827)が顔を出した。
「わたしも来てるんだけど」
「あ、愛梨さん。詩天ではお世話になりました」
「依頼聞いたわよ。あの時はジャガイモで、今度はソース。色んなところでこうしたことしてるのね。商魂たくましいんだから」
 ちょっといじわるっぽい愛梨の笑顔にミネアは苦笑いしていたので、愛梨は思い切ってその首根に腕を回して、彼女のほっぺたをつついた。
「悪く言ってるんじゃないの。笑顔を売る商人って感じで素敵。協力するわ」
 そんな一言にミネアは赤くなって照れる目の前で、鎧の代わりにタレタヌキ柄のエプロンを身に着けたティア・ユスティース(ka5635)が姿を現した。
「その通りです。皆を幸せにしたいというミネアさんのお気持ちは本当に尊いものがあります。ピースホライズンでのお芋もそうでしたね」
「ティアさん……、うん。みんなが幸せになってほしいと思って。ありがとうございます」
「ほんっとうに真面目ね。はぁ、あたしの孫も可愛いけど、ミネアも孫だったら良かったのに」
 胸を張るミネアの姿に、くすくすと笑うのはユリア・クレプト(ka6255)。
「ユリアさん!」
「ハァイ♪ 詩天の果物は今が旬だものね。是非売り込まないとね。温泉のお礼よ」
 ね? とユリアが問いかけたのはミネアではなく高瀬 未悠(ka3199)だ。彼女もまたしっかりと頷き返した。
「今度は桜の季節にまた行きたいしね。売り込みに協力するわ」
「おお、高瀬様! ありがとうございますぅ」
 そんな言葉にじわりと涙を浮かべるのは五条だ。
「皆さん、知りあいばかりですか。これは驚き……いえ、不思議な魅力というもの、なんでしょうね……人の交流、文化の交流……それが新たな文化となって彩りを作るんでしょうね」
 生まれも違う、来歴もみな違う人々がこれだけ集まり、新たなものが生み出される。天央 観智(ka0896)はそんな光景から生み出される潮流に深く関心を示していた。
「私は初めてだけど、人がつながり、それぞれの責任の中で止揚するってのは悪くないかもね」
「軍とは違う人間関係だからな」
 マリィア・バルデス(ka5848)とシャーリーン・クリオール(ka0184)は顔を見合わせて、軽く軍式の礼をした。軍という特異な組織で育ってきた二人には、ミネアたちが作る関係がことさら不思議なものを感じてしまうのは、地獄を見てきたからだろうか。
「よろしく、『ハミングバード』」
「シャーリーンでいいよ。今生きるのに必要なのは階級と責任ではなく、一人ひとりの想い、なんだからね。よろしくマリィア」
「そうね。よろしくシャーリーン」
 二人は笑顔で握手をした。もうずいぶんと昔、軍装の篭手をつけた時の握手は冷たかったけれど、今はなんとも言えない温かみが伝わってくる。


「帝国の人間って本当に栄養状態大丈夫なわけ?」
 厨房に入ったマリィアが『基本的な帝国の食材』を見て、ずばりと言った。
 あるのは羊肉、そしてジャガイモ。調味料は塩。他にも細々とはあるが、ほとんどがそれで埋まっている。
「なので、東方の果物ってわけさね。近代ドイツでも似たような状況だったって聞くよ」
「大航海時代を終えて近代に向かう頃ですね……幸いにして胡椒はまだあるようですが……」
 シャーリーンの言葉になるほど、と頷きつつ観智は食材を一つ一つリストアップして確認していく。
「トマトはある? 薬としての効能が大きいのよ。こんな偏った生活ならトマトは人気出ると思うわ。ジャガイモとジンギスカン相手ならバッチリだし」
「……とまと?」
 マリィアはさっさとエプロンを身に着けながら観智に尋ねたが、まるで惚けたような声が返ってきたのは五条の方からだった。
「詩天では見たことなかったわよねぇ」
「ジャガイモも存在しなかったようですしね……」
 一緒に果物狩りへと赴いたユリアと観智は顔を見合わせる様子に、マリィアは顔をひきつらせた。夏野菜たっぷりの家庭料理各種を予定していたマリィアの計画にヒビが入る。
「トマトないの!? 他に夏野菜、ズッキーニとかルバーブとか……」
 詩天や帝国の事情を知る人間達はそれぞれに首を振る。
「王国か同盟ならありますけれど……帝国も詩天もないですね。あ、夏野菜なら新ジャがなら」
 マリィアは深いため息をついた。気分的にはがっくりと膝をつきたいくらいの気分だ。
「ああもう、仕方ない。じゃあハム。ハムならあるでしょ」
「ああ、いいわね。鴨の塩焼きなんかベーシックで」
 鴨という言葉にユリアも目を輝かせるが、ミネアとクリームヒルトは顔を見合わせた。
「まさか……ないの?」
「鴨とか野生のグリフォンが食べちゃうから。羊の燻製とか腸詰めならあります」
 なんて幻想世界だ。本当にメジャーな肉と言えば羊しかないらしい。マリィアも転移して長らく経つが改めて異世界であることを思い知った。食物連鎖がリアルブルーとは一味違ってる。
「とにかく全部、羊とジャガイモでやれってことね。OK」
 そりゃあメシマズだと言われるはずだ。マリィアはすっかり心を折られた気分だが、ここで全部諦めるほど潔いつもりはない。
 エプロンを直すと、同時に詩天のコケモモを小鍋にいれて煮詰め始める。
 そして燻製を取り出すと、包丁を滑らせていくではないか。その流れるスピードはまるで水の動きのようだ。
「ふわぁぁ、お料理得意なんですね」
「まあね、どうせ食べるなら美味しく食べたいじゃない」
 リラが目を輝かせるのに対し、マリィアは苦笑いにもにた笑顔を浮かべた。
「うちのレーションはひどかったからね。……あたしとマリィアでベースになる料理を作っていくから、ソースは任せたよ」
 シャーリーンはしみじみと述べつつ、同じように果物を手に取ると同時に、皮がまるで魔法のように剥けていく。二人とも軍人よりはるかに料理人としての適性が高そうだった。というのも軍人をしていたからこれだけ料理がうまくなったというべきだろうが。
「よし、それじゃソース作りやるとしますか。肉と言えばヴィンコットよね」
「び、びんこっと?」
「葡萄のソースよ。臭み消しにもなるし香りも豊潤で、そのまま飲みたいくらいの一品なんだから」
 ユリアも鍋を準備すると、葡萄を房から外して入れていくが、その顔はまだ少女然としながらどこかのん兵衛を漂わせる。
「お子様にも喜んでもらえる一品ですよね?」
 ティアが確認すると、もっちろんよーと笑っていたが、白ワインが入ったりしている辺り、大人な味になりそうだ。
「普通に料理の味つけとして使うソースをもう一品考えた方がいいかもしれません。定番のデミグラスなどのような……」
「あ、じゃあ、やってみます。ミネアさん。デミグラスのレシピってどんなでしょうか。そこに詩天の果実、蜜柑とか甘夏みたいなものを混ぜるだけでも香りがよくなりそうって思うんですよ」
 ティアの提案に、はいっと元気よく手を上げたのはリラだ。
「デミグラスはバター、薄力粉、ブイヨン、玉ねぎ、トマト、ピューレ、ワイン、塩、胡椒、ローリエ、タイムなんですけど。トマトの部分を酸味のある果実に変えればできるかな」
「ひぇぇ。そんなに入っているんですか。でも面白い……ソースだけで一つの料理って聞きましたけど本当なんですね」
 リラは目を輝かせて、メモを取り始める。
 早速、ボウルに色々な材料を教えられた通りに入れていくと最初は全然違うものの塊で不安だったものが混ぜていくと、どんどんソースというものになっていく。
 隠し味の香辛料も帝国にあるものと、詩天のものを様々な混ぜ合わせて特別な香りを作り上げる。
「リラさん、上手! 料理の才能あるかも」
 手際の良さをミネアに褒められて、リラはその桃色の髪のように頬を染めて笑った。
「やだ。そんなことないですよ。でも面白いですね。全然違うものが一つになって素晴らしいものができるって。人とのつながりとなんか似ている気がします」
「そうですね。一人ひとりの力はありますが、より合わさることで集まった以上の力が発揮できる。私達と同じように」
 ティアは一匙すくうと味を確認して、にっこりと笑うと、リラも嬉しくなって微笑み返した。
「私の母親もその辺を自覚して、もっと頼ればよかったのに……」
「厳格な人だったんですか?」
「むしろ、意地っ張りという方が正しいですね。おかげで料理も毎回……お茶に至ってはとにかく調和がなくて……。ん、渋みがもう少しあってもいいですね」
「そんな時こそヴィンコット。隠し味としては最適よ」
 ティアが首を傾げるとすぐにユリアが調理した濃い紫の液汁をデミグラスに加えた。そして出来上がったのは色も綺麗な濃い飴色のソース。香りも爽やかだ。そんなソースの出来栄えに互いに顔を見合わせ、にんまりと笑った。
「フルーツソースといえばデザート用だとばかり思い込んでいましたが、こういうのもあるのですね」
 観智はデミグラスを眺めて感心したように言った。フルーツという言葉に自分自身が随分と引っ張られていたような気がするが、さすがに料理に慣れた人間は果物といえちゃんと料理にどう活かせばいいのか知り尽くしているようだった。
 が。観智の一言にピタリと手を止めたのはシャーリーンだった。
「そういえばミネアはフルーツそのままで食べて欲しいって言ってたね。観智の言う通り、デザート用のもあっても良かったのだね」
「そうねぇ。帝国ってそんなにソースの使い分けするかしら……?」
 だいたいの料理自体をジャガイモで済ます帝国人がソースをふんだんに使い分けるなんて王国人のような発想は多分しない。旅芸人として全国を行脚していたユリアはだいたいのお国柄というものを理解していた。
「料理用、デザート用でそれぞれ1品がいいかしらね。今デミグラスとヴィンコットが出来上がったから、あと1品」
「それなら任せてください。おばあちゃんから教えられてオレンジソースを作っていたんですよ」
「お、いいね。わたしは花梨のソースなんてどうかなと思ったんだけど。煮詰めると色も鮮やかな赤になるのよ」
「料理とデザートをまとめて使うならビガラードだけど、デザートオンリーなら梨と蜂蜜なんていいかも」
「ええー、オレンジ!」
「花梨っ」
「梨!!」
 やおら始まる大論争。
「おや……それじゃあ試食大会してみましょうか」
 観智はにっこりと笑って、試食を心待ちにしてキラキラ顔を輝かせる未悠とボラ族を指し示した。


「まずはオードブルね」
 マリィアが燻製にコケモモジャムをのせた一品をさらっと出して、その間にジャガイモのソテーに、羊肉のステーキを準備する。
「いっただっきまーす!!」
 ボラ族が唱和して、さっそくぱくり。
 と思ったら若干一名シャーリーンに首根っこを掴まれていた。
「最近全然みないと思ったら、なにしてんのさ」
「勇敢なるボラの民として試食係を……」
 首根っこを掴まれた女はそのまま問答無用でシャーリーンに引きずられ、何故か配膳を手伝わされていた。
 それはともかく。
「うまいぞーっ」
 試食係の一人見た目も胃袋も大きいボラ族のゾールが叫んだ。
「ジャムは保存も効くし、子供にも大喜びよ。ソースとは違うけれど、ちょっと置いとけばいいんじゃない?」
「そうですね。これは使えるかも!」
 マリィアのウィンクにミネアもうんうんと頷いて、コケモモジャムを見入っていた。
「さて、メインディッシュね。ジャガイモのソテーにステーキ。ソースは適当にかけて」
 言われるがままにソースをかけて食すると、すぐさまゾールが立ち上がって叫んだ。
「うまいぞーっ!!!」
「語彙力少ないわね!」
 そもそも石を食わせても同じように叫ぶんじゃないかと思われるゾールをはたき倒したのは同じ試食係の未悠だ。
 未悠は改めて椅子に座り直すと、外側のフォークとナイフを取って、静かに肉を切り分ける。その流麗な仕草から、相当に訓練された動きであることがうかがえる。
「……うん、美味しい。羊はどうしても臭みがあるけれど、そのソースなら臭みだけを消して肉の味を引き立たせているわ。それにとってもまろやか……ふふ、温泉で食べたフルーツパフェを想像するわ」
 ほっぺも落ちる。そんなように幸せそうに頬を当てて堪能する未悠の姿に、ソース開発の面々は軽くハイタッチした。
 それに続いてジャガイモのソテーにもソースをつけて未悠は口に入れる。
「こっちにも相性バッチリね。薄くつけると果物の甘味が強く感じるわ。こうやって自分達で食べながら味を調節できるっていうのもいいわ。これは絶対売れるわよ。リアルブルーで食べたソースより断然いいわ」
「うむ、どれも美味いからな。お代わり!」
「そういう食事じゃないの! ソースの味をちゃんと評価してあげなさいってば」
「うまいぞっ。だからお代わり!!」
 未悠の嗜めにも拘わらず、きれいさっぱりツルッツルになったお皿を差し出すゾールの頭に、未悠はフォークの柄を叩き込んだ。
「まあまあ、率直な意見も重要です。お代わりは……そこの配膳係さんにお願いするとして、次はデザートソースです。これがなかなか……決めきれませんで」
 さらっとまとめた観智にみんな大人しくなるが、プライドをかけた各種ソースに、開発陣から緊張の空気が流れてくる。
「オレンジソースと、花梨ソースと、梨と蜂蜜のソースです。多分帝国でもベーシックであろう羊乳ヨーグルトと、クリームチーズ、それから果物各種のプレートを用意しましたので……それぞれソースを試してください」
 観智の言葉と同時に、マリィアがそれぞれを準備する。
「香りはオレンジがいいな」
「味は梨の方がいいかしら」
「見た目は花梨だな。これは芸術的な色だ」
 みんなそれぞれ意見が飛び交う。
 そんな中、未悠は花梨の鮮やかな赤を見ると、目を細めてそのまま席を立った。
「どうしたの?」
「あ、いえ、ちょっと気分が悪くて……ごめんね」
「未悠がデザートを残すなんて……!」
 そのまま部屋を出た未悠にユリアは不安を浮かべたが……
「おかわりー」
「だから、ソースかけずに食べたら意味ないでしょ!!?」
 マナー知らずというか目的を見失っているボラ族を鎮圧するのに時間をとられてしまっていた。


「どうしたんですか?」
 夜風に当たる未悠に問いかけたのはクリームヒルトだった。
「まさか、この町だとは思わなかったから……苦しくて……」
 振り返った未悠は今にも泣きそうだった。手が震えて止まらない。抑えようと反対の手で握っても収まらないのだ。
 ここは人の命を自ら奪った場所。命を守ると決めた彼女が、命の為に他の命を奪った場所だ。
「押さえてもダメなの……震えてしまうの。怖い……結局守るってなに。強いって何。何のために傷つけあうの……私は、私は……誰も傷ついてほしくないのに」
 全身の震えが止まらない。まるで吹雪の中にいるように未悠は自らの身を抱いてしゃがみこんだ。
 口に出せば、一緒に涙までにじんでくる。変なところは見せたくない。だけど、止まらない。どうしていいかわからない。
「未悠さん。貴女も死んでも守って見せるって言っていましたね。みんなそうです。みんな誰かを、何かを守りたいんです。だから衝突する」
 娘を守りたかった父のように。
 出会った縁に全てをかける娘のように。
 想いは強ければ強いほど人を震わせ、時には自他を傷つける。
「私にはたくさんの人が支えてくれています。私が折れたらその人達を悲しませます。そうしたら私はもう二度と立ち上がれなくなる」
 そうしてクリームヒルトはそっと膝をついて未悠に手を差し伸べた。
「誰かがいるから人は強くなる。もし心細いのなら私と共に来てください。私の為に命を賭けてください。私も未悠さんの為に命を賭けます。そしてみんなが幸せになる道を作って見せます」
 小さい、150にも満たないクリームヒルトがこんなに大きく感じるのは初めてだった。
 呆然とする未悠にクリームヒルトはにこりと笑って見せた。
「ソースと同じですよ。色んな食材が集まって特別な味ができます。お肉もジャガイモも全部ひっくるめて美味しくできるソースになりましょう」
 くすりと笑って、二人が手を取った。そしてもう一人。
「クリームヒルトさんはすごいですね。だかたくさん人が集まるんですね」
 そんな風景にちょっと遠慮した距離をおいていたのはリラだ。未悠が飛び出てすぐに追いかけて来たのだ。
「あの、テミスさんのこと、受け入れてくれてありがとうございます。彼女は元気していますか?」
「テミスの案内をしてくれたハンターってリラさんだったんですね。テミス、お客様よ」
 クリームヒルトが立ち上がって呼びかけると、建物の陰からそっと少女が顔を出した。
「テミスさん!」
「リラさん、お久しぶりです。先日は……ありがとうございました」
 前に見た時はひどい暴力で、見る影もなくなっていたが、そんな傷跡もわずかに残るだけとなり、最初に見た少し頑なな、それでいて柔らかい表情が見て取れる。リラは嬉しくなって、まだ近づいていいものやらと戸惑い気味の彼女に駆け寄り、ぎゅっと抱きしめた。
「良かった……!!」
 テミスもまたリラをしっかりと抱きしめ返してくれる。その力強さが何よりも温かくて。何かがにじんでくるようだった。
「音楽もお料理もなさるんですね。そしてハンターとしても。あの、今度……私にも」
 テミスは抱き合ったまま、小さく話しかけたのをリラはこくこくと頷すと小指同士を結んだ。
「今日はお料理ですよ。みんなで素敵なソースを作ろうって言ってますから、テミスさんも行きましょう。未悠さんも、もう大丈夫ですか?」
「ええ、ありがとう。少しスッキリしたわ」
 リラに引かれるようにして、皆が食堂に戻って来た時、わぁぁと大きな歓声が上がった。
「デザートソースも完成だ!」
 イグはそう言っていたが、提案者の愛梨とユリアは仏頂面だ。
「あの、どうしたんですか?」
 リラが、そっとティアに問いかけるとティアも頭を痛そうにして、彼らの皿に載せられたトリコカラーのソースを指さした。
「全部美味しいから混ぜたのにしようって決まりました」
「……味付けがぁ」
 何でも混ぜればいいってもんじゃない気もするが……。
 試食係がOK出してしまったんだからしょうがない。
「見た目は愛梨の、香りはリラの、そして味はあたしの。それぞれが引き立つようにもう少し後で研究しましょうか」
「だね……誰だよ、あんなのに試食頼んだのは」
 混ざってしまったらしょうがない。でもそこから新たな止揚の兆しが見えるのなら。
 愛梨とユリアは苦笑しあった。


 次の日、大きな街にはティアのメガホンから凛々しい声が響き渡った。
「皆さんっ。毎度お騒がせしております。こちらミネアさんのフルーツソース試食会を大開催中です!」
 花柄のレジャーシートが秋風にはためき『新作フルーツソース他試食開催中』の文字が躍る。そんな幕を支える竹竿を動かすのがティアのママチャリであった。
「あの……これはだいぶん恥ずかしいような」
「うん……これってかなり恥ずかしいですね」
「何を言います。ママチャリはその名の通りママ、奥様の強い味方です。同じ立場に立ってこそ宣伝効果もあがろうというものです」
 他の地区を同じようにして回る予定のサイアとミーファはちょっと顔が赤い。
「伝える事、これが一番です。恥ずかしさもありましょうが、心を通じ合わせる機会となれば」
 その言葉にサイアとミーファは顔を見合わせた。確かにうまく心を伝えられないから二人は大喧嘩をした。ティアに宥められたりしたのだが。
 それを乗り越えたのもやっぱり他の人の協力を得ながらも、気持ちを伝え合ったからからこそだ。
「やる?」
「やろう」
「ええー、皆さんっ。毎度お騒がせしております。こちらミネアさんのフルーツソース試食会を大開催中です!」
 こうなりゃヤケだ。
 ティアとサイアとミーファの三人はうるさいと怒鳴られようとも、胸を張ってママチャリをこぎ続けた。

 その結果。
「こんなに来るとは思わなかった……シャーリーン、料理足りる?」
 あまりの主婦の方々の数に愛梨は若干圧倒されながら、料理担当のシャーリーンとマリィアに問いかけたが、二人ともむしろかかって来いと言った風合いだった。
「よし、それならいっちょやりますか」
 愛梨はにんまりと笑うと、ステップを踏み、くるりと桜吹雪の着物を大きく振った。
「今日のご飯は何にしましょか、どれにしましょか。今日も迷うあなたに ほい」
 テミスがリズムをとりながら、合わせてリラが軽妙な調子で歌い始めると、視線はもう皆愛梨に釘付けだ。
「ここに見えます赤い衣。熱意と愛情、燃やしまして♪」
 愛梨がまるで手品のようにして出来上がったはばかりの缶詰を懐から取り出し、チューダのキーホルダーを使って、こんこんぱかっと蓋をこじ開けると、人壁の前を滑らせた。香りを味わってもらう為だ。
「あら、いいにおい」
「おいしそうだわ」
 奥様方がそうして意見を交わしている間に、マリィアから料理のプレートが飛んできたのを、華麗にキャッチした愛梨はするるる、とソースをかけて見せた。
「バターにブイヨン、玉ねぎ、酢橘、葡萄、塩、胡椒。果ては東方からの果物たくさん!」
 リラがとんとん拍子で歌い上げ、材料を説明していくと、ティアが人垣の向こうから問いかける。
「あらあら、じゃあとってもお高いかも? それにソースなんて日持ちしなさそう」
「それがどっこい一缶300G。これ一つで30食分♪ 新製法の缶詰はそのままでなになんと1年持ちますよ?」
 リラの言葉と同時に愛梨が缶詰をどんどん積み上げ、その上にひょいと逆立ち。
 みんながわっと拍手が上がる。
「それじゃ後はお味だけね。さあ、食べてごらんなさい。お夕食にいかがですかー?」

「おいしいね」
「缶を開けてかけるだけなんて便利じゃん」
「安いのがいいわぁ」
「保存も1年とか、なんか魔導機械でも入っているのかしら」
 デミグラスソースは大人気だ。なによりもその価格と利便性の高さは奥様方の目を輝かせた。
「さすがでございますね。あうとれっと品を材料にすることで値段を手の届きやすいものにするとは……」
「崩れてもいいなら流通も楽ですしね……」
 未悠が籠をもって詩天からの果物を運んでくるが、力任せにたくさん詰めた分だけ下の方はもう押しつぶされたりしている。しかし、ソースにするなら潰れているくらいの方がむしろありがたいときた。
「さすが天央さんだね! 天才!!」
 ミネアが目を輝かせてそう言ったが、観智は微笑み返すだけだった。
「天才の後ろには、その才能を引き出す別な天才もいるものです……」
「さあ、ドライフルーツ入りのパンなんてどうだね。ジャガイモよりも保存もいいし、どこでも手軽に食べられる。フルーツいっぱいで味もいいよ」
 シャーリーンが焼き上がったパンを掲げると、みんなが手を伸ばす。
「どうですか?」
「甘くていいねぇ。農作業とかお弁当にいいわね」
「でも高いんじゃないのかい?」
 パンはメジャーな食品なだけに味の良しあしや一般的な相場は奥様方の方が断然詳しい。値踏みするような視線が集まるもシャーリーンはにっこり笑うばかりだ。
「んん? あたしの腕を買えば、そりゃあ高いよ。なんといってもリアルブルー・シェフだからね。でも、それに負けない腕の持ち主がいるんじゃあないか?」
 シャーリーンが覗き込むように奥様方の顔を見回す。
「そうですね。レシピとちょっとした材料があれば、一家を支える皆様と、お家のオーブンでできるかもしれません」
 ティアの言葉におおっと顔を見回して互いに笑いあったところで、愛梨が大きく舞って、袖の下から大振りの紙吹雪を舞い散らせる。
「さあ、今日は特別。レシピも大公開! おっとただしソースだけは企業秘密よ?」
 降り注ぐ紙吹雪には、シャーリーンの、そしてマリィアのレシピが事細かに掲載されているではないか。
「さぁ、今日は特別。レシピの舞を披露しますー♪」
「お料理もまだまだあるよ。ソースもデザート用もあるからねー!」
 人が人を呼び、料理と踊りとが混ざり合った舞台で、愛梨は高く舞い跳ねた。


 ガルカヌンクの厨房は空き箱で埋まっていた。
 詩天から持ってきた果物も、帝国のジャガイモも、羊の肉も。全部すっからかん。
 そんな空箱の山の中で、皆はぐったりと埋もれていた。
「疲れた……」
 とりあえず奥様方には大成功だった。シャーリーンのパンも、マリィアの新作家庭料理も飛ぶように売れて、それに伴ってソースもバンバンと売れた。未悠と五条など途中で詩天まで転移して果物を取りに行ったくらいだ。
 リラは唄いすぎて声が出ないし、愛梨も腕が上がらない。
 ティアもママチャリのこぎすぎて太ももがパンパンだし、エルフ姉妹もまるで生まれたばかりの小鹿のようにプルプル震えていた。
 ボラ族がちまちまと片付けをしているが、空き箱も倒れ込んだ人間もさっぱり動かない。
「あとは……商人に対してどれだけ売れるかね」
 そんな中、ユリアは夕闇が近づく空をぼんやりと眺めていた。
 詩天の果物の良さを知ってもらうには、ソースは作ってもミネアだけが売っていては始まらない。最高のソースは作り上げたつもりではあるが、それをこれからも継続的に続けるには他の商人達の協力もいる。
 観智が商人相手の交渉も請け負ってはいたが、さて、ぼんやりとした時間だけが過ぎる。
「みんなーっ」
 馬車の轍を滑る音が聞こえたと思うと同時に、ミネアの声が響いた。
「帰ってきた!」
 ユリアは空き箱を捨てて、すぐさま入り口に走った。同じようにミネアが向こうから走ってくる。
 ユリアはぎゅっとミネアを抱きしめると、彼女が息を整えるまでずっと抱きしめたままでいた。これからのこととか心配は色々あったが、それよりなにより最後まで走り回っていたミネアを労ってやりたかった。
 齢や背丈は同じくらいのユリアの腕の中で息を整える間に皆も集まってくる。そんなみんなに向かってミネアは大きく息を吸い込んで。
「いっぱい契約取れました! バルトアンデルス他6つの街で売ってくれるって! 地方も巡業する行商の人にも持って行ってくれるって!!!」
「やった!!!」
「おめでとうっ」
「やるじゃん!!」
「ま、こんなけ手伝ったんだから当然の結果だけどね!」
 みんながぎゅうと何重の輪になってミネアを抱きしめた。外はもう寒かったけれども、人の輪は熱いくらいだった。
「みんなのおかげですよ。ソースを作ってくれて、お料理もしてくれて、材料を運んでくれて、何回も推敲してくれて、宣伝もしてくれて。利益の話までみんな考えてくれて……」
 ミネアは喜びの熱から幸せそうな声がどんどん上ずり涙声になっていった。
「帝国の地方の人にも、詩天の人にも、みんなに喜んでもらえそう……皆さんのおかげです……ありがとう、ありがとうございます」
「なにを言うかと思えば、馬鹿ね」
 ユリアはにっこり笑ってみんなを見渡した。
「すべての思いと力をつないだのは、他でもない貴女ですよ。ミネアさん。優しい心が、たくさんの人を寄せたのですから」
 ティアの言葉に、みんな揃ってにっこりとほほ笑むとミネアも、笑顔を返し……きれなくてそのまま泣き崩れた。
「それもやっぱり、みんなのおかげだよ……」

 これだけたくさんの人に包まれて本当に嬉しい。
 涙をポロポロ零しながらミネアは腕をいっぱいに伸ばして、みんなを抱きしめた。

依頼結果

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参加者一覧

  • 幸せの青き羽音
    シャーリーン・クリオール(ka0184
    人間(蒼)|22才|女性|猟撃士
  • 止まらぬ探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|25才|男性|魔術師
  • シグルドと共に
    未悠(ka3199
    人間(蒼)|21才|女性|霊闘士
  • 過去の教訓
    ティア・ユスティース(ka5635
    人間(紅)|30才|女性|聖導士
  • 想いの奏で手
    リラ(ka5679
    人間(紅)|16才|女性|格闘士
  • アヴィドの友達
    愛梨(ka5827
    人間(紅)|18才|女性|符術師
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 美魔女にもほどがある
    ユリア・クレプト(ka6255
    人間(紅)|14才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン (質問・雑談卓)地方の食生活等
シャーリーン・クリオール(ka0184
人間(リアルブルー)|22才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/10/18 09:01:07
アイコン 試作と製品化(相談)
シャーリーン・クリオール(ka0184
人間(リアルブルー)|22才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/10/19 00:23:26
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/10/17 23:41:20