• 郷祭1016

【郷祭】の蚤の市(仮)準備です!

マスター:龍河流

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
4日
締切
2016/10/26 19:00
完成日
2016/11/10 05:03

このシナリオは3日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 今年も農業推進地区のジェオルジでは、秋の村長会議が始まった。
 これは春と秋に行われる、ジェオルジ領主への現状報告や各種調整を行うための村長達の集まりだ。けれども一般の庶民にとっては、その後に続くお祭りこそが本番。
 ここ数年で規模を大きく拡大した祭りでは、これまでにない催しや出店が現われて、地域住民の他に観光客も楽しませ、ジェオルジ全体の経済にも影響がある。
 そんな中、春の郷祭(さとまつり)ではリアルブルーからの移住民発案で、蚤の市なるものが開かれた。
 彼らが言うには、大規模フリーマーケット。
 クリムゾンウェストの住人には商人ギルドを介さずに大々的に商売をしても良い、これまた祭りである。
 結構な遠方からも人出のあったこの催しは、この秋の郷祭でも行われることになったが、問題が一つ。

「申し込みの第一段階が終了しましたー」
「はい、区画割り振って、地図を作ってくださーい」
「んな暇がどこにあるのか、五文字で述べろ!」
「黙れやれ」
「……準備の人手が足りない」

 そう。
 参加希望者の受付をして、彼らを出店内容毎に集めた区画のいずこかに割振り、その大型地図を作って現地に掲示すると同時に、持ち運び用の地図を描いて輪転機に掛け、当日に地図売り子をしてくれる人も募集を掛けねばならない。
 他にも色々仕事があるが、ともかくも人手が足りなかった。何故なら、前回の主催した人々の大半が、今回は売り手としての準備にも時間を割かれているからだ。
 半年の間にそれなりに商品を開発し、売り込まねばならない主催者達の睡眠時間は日々削られていく一方である。
 そんなときには、どうするか。

「手伝いの人を呼ぼう」

 ジェオルジの住民から人出を募っても集まるのか怪しいと、蚤の市実行委員会(仮称)はハンターオフィスに依頼を出したのだった。

リプレイ本文

●鬼指揮官あらわる
 蚤の市(仮)の準備手伝いをハンターオフィスに依頼して数日。
「寝るべき時に寝ないでどうする! とっとと寝床に戻れっ!」
 実行委員は、マリィア・バルデス(ka5848)の大声に、ぼんやりした血の気のない顔に、しばし表情を取り戻した。
「でも」
「でももしかしも、現在のお前には必要ない」
 ハンター四人が実行委員会を訪れた時、委員達の疲労は極致に達していた。やるべきことは分かっているが、身体と思考が動かない。そういう状態だ。
 それでリアルブルーの軍隊経験があるマリィアが即休息指示を出したが、これは彼女ほど強い態度でなくても、他の三人だって勧めたに違いない。
 現に、横になって一時間もしないうちに起き出してきた者の後ろでは、まだ子供子供した美風(ka6309)が、腕をぐるぐる回してほぐし、準備に取り掛かっている。
 何の、と言えば。
「美風さん、降ろす時はそうっとお願いしますね」
「分かってまーす」
 よいしょと、器用に委員を俵担ぎした美風が臨時の休憩所に向かうのに、十野間 忍(ka6018)が念のためと声を掛けている。良い返事に紛れて、力のない妙な声が漏れてきたのは、この際無視。
 実行委員会の仕事は、区画割りの仕方で停滞していた。申込書を取扱商品別に仕分けしたところで、彼らの集中力が切れたものらしい。
 卓上に残っているのは、大雑把に区画を分けた白地図と、商品分類別の店舗数、それと貸し出し物品の希望一覧だ。
「申込書と店舗数は合っていました。このまま区分けと店舗配置に入って大丈夫そうですね」
 ほぼゾンビだった委員には目もくれず、せっせと申込書の枚数を数えていたミノル・ユスティース(ka5633)が、晴れ晴れとした顔で他の面々を振り返った。なにしろここに到着した際の委員達の様子が様子で、仕事の仕上がりにもいささか不安があった。しかし、それは杞憂で済んだらしい。
 となれば、後は四人でも出来るところはガンガン進めていくだけだ。
「じゃ、手筈通りに行きましょうか」
 軍人口調から素に戻ったマリィアが、とっとこ戻って来た美風と一緒に備品数と置き場所の確認に向かった。
 残されたミノルと十野間は、まず区画割の図面作成に取り掛かっている。

●鍛えます!
 美風がこの依頼に応じたのは、まずはなにより面白そうだったから。
 こんな大掛かりな市場が立つところを最初から見られるなんて、色々勉強になるに違いない。それになにより、
「いっぱいお仕事があって、体も鍛えられそうです」
 歯切れの良く、楽し気に口にしたまだまだ子供と言っていい年齢の美風の台詞に、こちらはとうに成人済みのマリィアが好ましいものを見る微笑みを向けた。
 しかし、次の浮かんだのが苦笑で、美風が首を傾げている。
「作業と時間の配分が出来ないようでは、主催者の管理能力を疑われるのよ。依頼を出したからって、十全に働ける人材が来るとは限らないのだし」
 準備が終わったら、そこを委員達に叩き込まねばとにっこりしたマリィアに、言われた当人達は逃げ腰になったろう。しかし、美風は期待に満ちた視線を向けている。元軍人のマリィアからは、吸収できるものがたくさんありそうと考えているところだ。
 それはそれとして。
 彼女達が最初に取り掛かったのは、貸し出し用の物品の点検と、必要な物資の選り分けだった。何を求めているかと言えば、テント設営用のペグと細いロープである。
 ペグとはテントを立てる際に必要な、固定用の金具だと聞かされた美風が大きさが数種類あるそれの入った箱を探し当てた。
「これだけで、どうするんです?」
「区画を示すロープを地面に固定するのに使うのよ。ロープで線を引くような感じね」
 実際に区画を割るには、配置図の完成と測量が必要になる。その前に、ロープやペグが必要なだけあるのか、なければどこで手に入れるかを確かめておくのがマリィアの仕事だ。
「じゃ、長さを確認するから、メモしてくれる?」
「計る方をやりたいです」
 山積みされたロープから、使い勝手が良い細さの束を抜き出して、更に長さが書かれたタグを見付ける力仕事の方がいいと手を上げた美風に、マリィアは委員達とは違う待遇を思い描いていた。
 それを実行するには、まず目の前の作業を終えねばならないのだが。

●ゾンビが蘇生する前に
 蚤の市(仮)の区画割りと地図作りをするにあたり、ミノルが提示した案は大きく二つ。
 まず、出店面積の大が小のちょうど四倍であることに目を付け、区画は小区画を基礎に大区画分の面積も計算に入れて検討する。
 その上で、出店者、来訪者双方に分かりやすいように、市場の街区、街路ごとに名前を付ける。看板や地図にもその名前を明記すれば、宣伝もしやすいし、店も探しやすいはずだ。各店舗には住所のように番号を振っておく。
「その上で、飲食物と各産地品などで色を決めて、地図にも活用したいところですね」
「色分けは私も考えていたんです。でも、色を決めるのは、ミノルさんにお願いしたいですね」
 大体同じ事を考えていた十野間が、不意にそう言うのでミノルも何事かと思ったが、説明されて得心した。
 色にはイメージが付きまとう。色で温かみを感じるとか、そういう話だ。当然、クリムゾンウェストにもそれはある訳だが、
「リアルブルーとは幾らか異なる部分もあるでしょうから、私よりは適任のはず」
 委員の大半はリアルブルー人だが、何人か同盟出身もいるので、そちらと調整してもらうとありがたい。十野間がそう考え付いたのは、大看板を作るに必要なものを確かめている時に、説明文を書くのは自分では駄目だと思い至ったからだ。
 その大看板を、どこに立てるのかも重要だろう。立てる場所により、図面を多少変えるかは時間との兼ね合いだ。
 二人の間にある卓に広げられた紙に、地区割と地図図面の草案が次々と書きこまれていく。他に誰かがいれば、話し合っている内容と違うことも書き綴る二人の様子に驚いたかもしれないが、委員達は現在全滅中だ。
 二人だけであれもこれもとはいかず、街区の名前などは後回し。とにかく人手が増えた際に、すぐさま測量と区画を示す作業に入れるようにと二人は区画割を済ませて、店の仮配置に入った。
 地図の第一稿にも着手したが、
「これは……印刷工房に余裕があれば、種別の詳細地図も作ってみるのはいかがでしょう。かえって混乱するでしょうか」
「向こうには、目的別のマップというのが当たり前にありましたから、需要はきっとありますよ。そういう地図に宣伝を出したい店が、広告料を払って特に大きく紹介を付けてもらったりしていましたっけ」
 ミノルの思い付きに、十野間がリアルブルーで見たものをざっくりと説明した。簡単なメモ書きだったが、そう示されれば似たような物はミノルも見たことがある。
 広告付きはともかく、種別地図は悪くないと二人の間では話がまとまって、後で委員達と検討する課題に追加された。
 なにより。
「露店での食べ歩きは、やはり祭りや市場の基本ですから」
「リアルブルーでも、そこは変わりませんか」
 飲食店と食品商いの店の地図はきっと売れると、これは後に話を聞かされた委員達も大きく頷いたものである。

●物品整理は頭を使う
 無事にペグやそれに類する金具とロープを準備し終えた美風とマリィアは、今度は貸し出し物品の確認作業に入っていた。最初は椅子と机から、使用が出来ない物を弾き出し、使える物も傷の有無などで仕分けする。
 しかし現在、美風は書類を持って立っているだけ。
「はい、折り畳みの椅子、美品が五十六脚、並が二百八十二脚」
「あの~」
 正確には、マリィアが机と椅子を数えてくれるので、それを書き留める係になっていた。どうせなら、引き続いて力仕事に邁進したい彼女には、少しばかり不本意な仕事内容である。
 だが、人生経験が倍ほどある先達に、口で勝てるわけがない。
「文書を作るなら、そういう仕事を疎かにしない。言いだしっぺが書かなきゃ駄目よ」
「……どういう風に書けばいいのか、分からないのです」
 出店者も美品ばかり求める必要はないだろうから、よほどの必要性がある以外の者には良いのも並のも平等に行くようにしたらいい。加えて、予定外の持ち出しを防ぎ、申請した分がきちんと貸し出されることも大事。
 そう考え、事前に貸し出し品の整理もしておこうと提案したのは確かに美風だが、彼女の歳で書類作りに精通しているものは稀だ。それは大人には分かることでも、自分で白状するのに躊躇っていた美風に、マリィアは十野間やミノル、何人かの委員の名前を挙げた。
「お願いしたら、教えてくれるでしょうか」
「嫌だなんて抜かしたら、お仕置きしてあげるわ」
 書類仕事は大変だから、少し体を休めつつ、頭の方を使っておけと言われては、美風もせっせと記録に勤しむしかない。
 ついでに、たまたま思い付いた蚤の市の正式名称候補を書き留めておいた。

●楽市準備、佳境
 ハンター達がやって来たおかげで、きちんと休息をとれた委員達は、それなりにまともな人類に復活した。寝癖がひどいとか、無精ひげなんとかしろなどは、まあもう少し落ち着いてから。
 まずは、綺麗に色分けが決まって、街路や街区の名前と店舗の数字の記入も済み、完成した地図の原本を抱えた委員が印刷工房に魔導バイクを走らせる。
「バイク便が出たところで、次は食べ歩きマップです。表に店名記載、裏に店舗紹介文なので校正作業を念入りに」
 十野間の注意に、懐かしい言い回しがいっぱいだと移住者の委員達が笑っていた。
 地図の余白に食べ物の絵を入れようと言い出したり、実際にさらさらと描き出す者がいたり、最初の全体地図でコツは掴んでいるから、作業は手早く進んでいく。

 その特製地図を参考に、ミノル達が大看板に取り組んでいた。看板そのものの作成はほぼリアルブルー人担当だが、書き入れる文字はクリムゾンウェスト人担当になったので、こちらも責任重大である。
「塗料は足りていますか? 筆はこちらに用意したので、使いやすいのを選んでください」
 数人で、大看板の大きさと書き込む情報量とで、どのくらいの文字の大きさが適しているか、色をどうするかなどを相談する。まとまって、ある程度書き込んだら、乾くまでの間は他の応援仕事が待っている。
 そうしないと、色々間に合わない気がひしひしとするのだ。

 測量の仕方は、一度説明されたくらいではさっぱり分からない。ついでに、ロープを張ったりは人手がいるのに、美風は免除されてしまった。
 別に仕事がないのではなく、鍛錬というならこちらをどうぞと回されたのだ。
「当日の貸し出し予定数の書類は、ここに張っておきます。じゃっ、運んでくるので!」
 備品倉庫は一か所だったが、準備期間に人が殺到すると混乱の元だと、備品の保管場所を他にも作ることになった。成程そういう配慮も大事だと学びつつ、美風は備品の移動と同時に、そこから貸し出す相手の数と備品の種別、必要数を計算した書類をこしらえて、倉庫と保管場所の両方におく仕事もしていた。
 蚤の市の正式名称の名付け親になった彼女は、たいそうご機嫌に走り回っている。

 さくっと参加費用を支払って、倉庫から必要備品を担ぎ出し、マリィアは自分に割り当てられた区画で作業に勤しんでいた。本当なら、その区画割か看板製作の作業に加わるべきだろうが、ここは譲れない仕事があるのだ。
「郷祭って、随分手広くあれこれやってるのね。それじゃあ、名前が必要だわ」
 フリマの名前なら郷祭か、蚤の市でもいいだろうにと思っていた彼女だが、郷祭は催しの多い村長祭の別名である。それなら、このフリマだけの名前が必要だと納得していたら、美風が『気軽に参加出来るので、楽市』と言い出し、あっさり決定した。
 よって、実行委員会と彼女を含むハンター達は、楽市準備に多忙を極めているのだが、
「ほらほら、お昼になったわよ。休憩しなさい!」
 だからといって寝食を忘れては困ると、マリィアは本番前の試作を兼ねて芋煮を作っていた。飲み物も仕入れて、ちらほらと集まって来た準備中の参加者相手に商売する気満々でもある。本番に向けた仕込みも、会場設営の合間に少しずつ進めておきたい。
 なにしろ、ごった煮とも言える芋煮は下準備が大変だ。そう思い巡らせていたところで、
「あ……移住者も、フリマも取り込んでいくジェオルジらしく、ごった煮祭りでもよかっったかも」
 それで毎年新しいことに挑戦して、また取り入れていけば……とまで案を練ったが、実行委員がまたゾンビになるだけかと、諦めることにした。
「芋煮ですか、これは懐かしい味付けです」
「俺は初めて見る料理ですよ。後で調味料を教えてくれませんか」
 大鍋になみなみとこしらえられた煮込み料理に十野間が懐かしそうに表情を緩ませ、ミノルは使われている調味料や材料の切り方に興味を惹かれている。
 その二人の後ろから覗いていた美風は、味見係に任命すると示された他の料理に、目を輝かせた。
「午後からも、頑張れます!」
 ゆっくり食事をしても、準備は夕方にはなんとか終われそうだ。

依頼結果

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MVP一覧

  • 空手道場小町
    美風ka6309

重体一覧

参加者一覧

  • ゲルタの彼氏?
    ミノル・ユスティース(ka5633
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 気配り仕丁
    十野間 忍(ka6018
    人間(蒼)|21才|男性|魔術師
  • 空手道場小町
    美風(ka6309
    鬼|11才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 蚤の市相談卓
マリィア・バルデス(ka5848
人間(リアルブルー)|24才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/10/25 20:02:53
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/10/25 20:02:28