• 郷祭1016

【郷祭】秋のモーターショー

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
4日
締切
2016/11/16 22:00
完成日
2016/12/02 01:11

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ここは同盟領の農耕推進地域、ジェオルジ。
「あ゛ー、ひどい目に遭ったわ……」
 にぎわう【郷祭】の一角で、テーブルに突っ伏す女性一人。
「あ、お酒飲んでたお姉ちゃんだー」
「すぐ負けてたエプロンの人だよね?」
 周りの子どもたちがそう言って指差す。
「ううう……、しかも変に有名になってるし……」
 突っ伏していた女性は、南那初華(kz0135)。子供たちの言うように、先日「【郷祭】ワイン最強酔剣士決定戦」に出場し、例によって強い酒にノックダウンしてたりする。ご愁傷さまである。
 それにしても覚えられているものだ。
「お、ワインの飲み比べ武闘会に出てたネーちゃんじゃねぇか? お疲れ様だな。これでも飲んで元気出しな」
「ううう……ありがと……」
 通りがかったおっさんにジュースまでもらう始末。さすがに上体を起こすだけの元気は出た。口に含んだ甘味に、人の心の優しさをしみじみと感じたり。
「よぉ、初華」
 ここで誰かがやって来た。
「あ、ダインさん。来てたの?」
 戦場詩人のダイン・グラマンである。普段は初華のクレープ屋台「Pクレープ」の横で自転車修理屋台を構えそれとなく護衛しつつ便乗商売をしてたりする。
「ああ。知人が郷祭会場で二輪と魔導トラックのモーターショー出展を頼まれて、ついでに巻き込まれたのさ」
 ダイン、初華のテーブルに座って説明する。
「ポルカ商会に話したら、『ぜひPクレープの販売トラックでも』なんていうから持ってきたが……」
「ホント? じゃ、そっちに行く!」
 がば、と完全に元気を取り戻した初華。早速移動すると。

「な、なにこれ?!」
「いや、モーターショーに参加する仲間とトラックやバイクだ」
 目をひん剥く初華に、ダインが説明してやる。
 無理もない。
 そこには、でっかいタイヤを付けてぐぐんと最低地上高を上げているアンバランスな魔導トラックに、ドアを横ではなく上に上げて開くように改造した魔導トラック、さらにはピンクの車体に猫耳メイド娘キャラをきゃるん♪と大きく描いてちびキャラがぴょんぴょん駆け回る様子を描いた所謂痛車ならぬ痛魔導トラックなどが並んでいたのだから。
 そして赤いバイクに「兵飛神速」の文字。
「いよぅ、ダイン。久々にバイク乗り仲間でツーリング、楽しかったな」
 マッハ・リーがいい顔で親指立てている。
「な、なんなの、これ……」
「いよぅ、座ってみるかい?」
「あ、気を付けろ。初華」
 上に開閉するドア、つまりシザーズドアのトラックに興味を示した初華に試乗の手を差し伸べる持ち主。そこでダインが口を挟んだ。
「ほへ?」
「スカートの女性が乗るときには注意が必要なんだ」
「あ……」
 さっ、とスカートの裾を押さえる初華。
 通常のドアと違い、乗降する姿が横から見えるので短いスカート姿だと中が見えそうになるのだ。車高の低いスポーティーな車だとそれが顕著になるが、これは余談。
「ま、これでレースクイーンも確保できたし、モーターショーは安泰だな」
「スタント走行なんかも加えりゃ注目浴びるだろ」
「クレープ移動販売車が来てくれたのもデカい。やっぱイベントには飲食はつきものだしな」
 そんな会話で盛り上がる一団。
 ハンターオフィスを通じて依頼も出ていたようで、ハンターのバイク乗りや魔導トラック乗りの姿もある。
「え? あの……私、なにすればいいの?」
「レースクイーンの衣装で手を振るか、Pクレープでクレープを売るか……だな」
 愕然とする初華に、更衣室にした馬車を指差すダインだった。

 というわけで、自前のバイクか魔導トラックとともにモーターショーに参加し、展示したりアトラクションをしたりデモ走行をしたりクレープ販売手伝ったりレースクイーン姿で手を振ったりして、農耕推進地で注目されている魔導トラックなどの普及推進に協力してくれる人、求ム。

リプレイ本文


 郷祭会場の一角に、とりわけ男たちの多い一角があった。
「ええと……ここだよね?」
 狐中・小鳥(ka5484)がおっさん客をすり抜け前に出る。
 そこに大きなタイヤを装着した車高の高い魔導トラックが置かれていた。その隣には、形は普通ながら猫耳メイド娘キャラを恥ずかしげもなく可愛らしくペイントした魔導トラックも。シザーズドアのトラックまである。
 モーターショーの会場である。
「何というか皆凄く自由な発想で改造してるね、うん」
 小鳥、汗たら~しつつ苦笑するしかない。
 その時。
「クリムゾンウェストにも痛車があったんですぅ!? ぷ、ぷくくく……」
 星野 ハナ(ka5852)が笑いを押し殺していた。
「あ、ハナさんも郷祭に来てたんだ? 楽しそうだね」
「笑ってません、笑ってませんからぁ」
 小鳥の言葉にハナ、涙目。痛魔導トラックに受けまくりである。
「自分のトラックを改造するのに参考になるかと思ったけど……想像以上に凄くてココまでは出来なさそうな気がするんだよ」
「私も魔導トラック持ちなんですけどぉ、まーだ全然ノーマルでド新品のままなんですよねぇ。……でも、参考にならないというかしちゃいけないのもありますよねぇ」
 うーん、と二人。といっても、ハナはもう元は取った、みたいな喜びようだが。
 ここで突如、クラクションが鳴り響いた。
 どうやら新たな展示車両が到着したようだ。
「ええと……軍事関係車両?」
「森林迷彩ですねぇ」
 小鳥とハナの言う通り、リアルブルーのどこぞの国の陸軍を参考にしたような塗装の魔導トラックである。周りも見慣れない塗装に「おぉ」と目を奪われている。
「こっちの世界じゃあまり見ない塗装だよね? ということは……」
「っていうかぁ、魔導トラックはここ最近ハンターにも貸し出しが多くなってますからぁ」
 こんな祭り会場で軍事用が回されるはずがない。
 つまり、二人の見立て通りハンターの誰かである可能性が高い。
 思わず駆け出す二人。周りの観客たちも迷彩魔導トラックの行く先を追う。
 ――キキッ、パタン……。
 やがてトラックは止まり、運転席の扉が開いた。
「おお」
「白い天使だ……」
 見守っていた男たちの言う通り、白い衣装を身にまとった女性が一段高いステップに立っていた。
 そして良家のお嬢様のように礼儀正しい挨拶をする。
「魔導トラックとキャンペンガールが必要と聞きました」
 高くなった運転席から下りたのは、エルバッハ・リオン(ka2434)。
 すでに白いハイレグレオタードにひざ下まである白いブーツ、両腰骨からヒップにさらりと流れる白い前開きスカートというレースクイーン衣装である。実は戦闘用ドレスなのだが、ここではもちろん戦闘する気はない。
 そのエルバッハ、下りたところ瞳がはっと大きくなった。
「ち、ちょっと通してください……」
 誰か人波をかき分け近寄ってきているのに気付いたのだ。
 思わず優雅に手を振るエルバッハ。
「お久しぶりです、初華さん。今日はよろしくお願いします」
「来てくれてありがとー――! 私、待ってたの!」
 駆け寄った南那初華(kz0135)が涙目でエルバッハの手を取った。
「どうしました?」
「早速屋台を手伝ってほしいの!」
「あの……初華さん、Pクレープのことかな?」
 小鳥も寄って来た。
「わあっ、小鳥さんも。ありがとーーーっ! とにかく今だけはお願いーーーっ!」
 初華、エルバッハと小鳥の腕をつかんで有無を言わさず連行する。
「私はお客様ですしぃ~」
 ハナはうまく逃げたようで。



「ええと……クレープはいかがでしょう?」
「ど、どのくらい焼けばいいのかな?」
「とにかく材料がなくなったら売り切れにするから、それまではっ」
 早速、エルバッハが白い衣装のまま屋台の前で呼び込みしつつ、小鳥と初華がエプロンを着けてとにかく焼く。
 ――どるん……、ききっ。
 ここで、店頭に一台の魔導バイクが到着。
「初華さん、お待たせ~。ラムレーズンクリームチーズ、仕込んできたわよ」
 メルクーア(ka4005)が魔導バイクに跨が……いや、ゆったりと座ってただいま到着!
「メルクーアさん、待ってたのよーーーーーっ! ここって男性客が多いからそういうの助かるわっ」
 初華にクリームチーズ入り容器を手渡し、早速接客。
 というか……。
「ほう、変わったバイクじゃの」
「これはどうしたらこうなるんじゃ?」
 来場者はもともと農作業などに活用できる乗用魔導機械を見に来ている人たちだ。メルクーアの魔導バイクの改造が気になる様子で。
「あたしのアップルジャック?」
 メルクーア、うんしょとかがんだお尻越しに振り返る。ハンドル周りにクレープのメニューを固定していたのだ。もっとも、今は作業用ツナギ姿で色気はないが。
「アップルジャックか。なかなか響きがいい」
 おおー、とそれだけでどよめきが。
 気を良くするメルクーア。丁寧に説明する。
「これって、腰掛けるために重心が下がり安定するのよね」
 乗り降りの多い農作業時に便利じゃとか、前掛けをしたままでも乗りやすいなど、聴衆は前のめりでふむふむ。
「しかし、相当な改造が必要じゃろ?」
「エンジンを後部に移動させる必要があるからフレームからいじったかしら? 作り直しに近いわねー」
「おおー」
 相当、評判が良い。
「いらっしゃい、美味しいクレープはいかがかな?」
 小鳥は呼び込み。意識して小麦粉の焼ける甘いにおいをさせている。
「お父さん、あれ」
「このお嬢ちゃんの説明聞くので忙しいんじゃ……ほれ、行ってこい」
 連れた子どもにねだられる農家のお父さん。普段なら我慢させるかもしれないがメルクーアの話に食いついているのでいまは子どもが邪魔。お小遣いを渡して好きにさせておくなど、クレープの売り上げが加速する。
「ええと、クレープはいかが……」
「ちょっとあんた、今度は展示に人が少なくなった。こっちで人寄せしてくれ!」
 エルバッハは展示の方に引っ張られた。
「なあ、あれは実包が撃てるのか?」
「はい。装備中のマシンガン「デルガード」ですね。撃てますが、いまは安全面から実弾は全て抜いて、安全装置をかけております」
 優雅に手をひらりと返して自身の迷彩魔導トラックの銃を示し、説明。
「装甲は増しているのか?」
「走破性と攻撃力を重視したタイプですので、耐久力はそこまでではありません」
「なんでこんな塗装なんだ? 一色の緑じゃダメなのか?」
「一面が平坦で同色は人工物の証ともいえます。とはいえ車体に無駄な凹凸は付けられませんから、色合いで自然界の風景に近付けています」
 よどみなく観衆の質問に答えるエルバッハ。その優雅な装いに相応しい、完璧な振る舞いに拍手がわく。

 一方、Pクレープ。
「ふぅ、最初の材料分は完売だね」
「えー、クリームチーズはまだあるのにー」
 一息つく小鳥にまだまだ元気なメルクーア。
「次の材料を頼んでるけどまだまだ後なのよね」
 初華がそう言った時。
「お、それなら展示の方頼む。カースタントまで客をつなぎ止めててくれよ!」
「ほ、ほへ?」
 強引に係員に連れさられる3人。そろって更衣テントにぶち込まれた。
 これにぴぴんと反応したのがもう1人。
「え? 痛車見学のつもりできたのにカースタントもやらせてもらえるですぅ!? 超やりたいですぅ!」
 ハナが瞳を輝かせ、3人を追って自ら更衣テントにわが身をぶち込んだ。

 中の様子は……。
「えっと、大胆なデザインの水着を着るんだっけ。楽しそうね」
「ちょ、なにこの衣装」
「こ、これは予想以上に大胆だったかな? でもこれしかないし頑張るんだよっ」
「何でもやりますよぅ」
 屈んで脱ぐメルクーア、衣装を掲げてガガンな初華、腰骨あたりの切れ込みに指を通しお尻を確認する小鳥、ぷはーと何かを脱いで次の衣装を手にするハナのきゃいきゃする声とシルエットだけでご勘弁を。

 で、出てきた姿は水色のハイレグワンピース水着にブーツ姿。襟が付いているあたりが水着と違うというところか。
「……正月明けの食っちゃ寝したあとだったらぜったいお腹ぽっこりだったわ」
「初華さん、似合ってるんだよー。むぅ、それくらい大きい方がこういう格好は似合うのかな」
「ちょ……小鳥さんそんなに見ちゃダメ~」
「隠しちゃダメですよぅ、初華さん。そういうのがもてるんですからぁ」
 ハナ、胸のふくらみに回した初華の腕をがしり。
「それじゃ、モテに行ってきましょ~。お供するわよ~」
「なんでそんなに楽しそうなの、メルクーアさん~」
 元気に健全に足を上げて歩き出す笑顔のメルクーアの様子に、後続も従うしか無く。初華の悲鳴だけが響く。
「私はちょっと手を加えましょうかぁ」
 おっと。ハナは出掛けにぷくくと闇笑みして更衣室に。
 次に出てきた時は超ミニでぎゅうぎゅうピチピチのスカートをはいていた。



「え、ええと、こちらの魔導トラックは車軸の両側に垂直に並べたギアを内蔵したボックスを設置することで腰が高くなっているんだよ」
 小鳥、後付けのハブリダクションで最低地上高の高くなっている魔導トラックの前に立ち説明する。
「ふぅむ。これだけ高いと浅瀬も余裕だな」
 中には真面目な客もいる。
「タイヤ径を大きくすればさらに股下が高くなります~」
 初華も隣にある、さらに大きな魔導トラックを説明していた。
 が、しかし。
「こうしてみると、おねぃちゃんたち二人の腰も高く見えるねぇ」
 じとー、とした視線の男性の一言をきっかけに二人の腰に注目が集まった。
 瞬間、もじっと腰をひねって引く二人。
 腰骨の上まで切れ込んだハイレグカットは足が高く見え腰も高く見えるのだ。
「ふぇ!」
「んあっ! え、ええと説明これまでです~っ」
 慌てて小鳥を連れて逃げる初華。
 隠れたトラックの裏では。
「あはは、何かこれで注目されるのが仕事とはいえ恥ずかしいね、これ」
「うー……小鳥さんの方がカッコいい……」
 胸が大きく全体的に重たげな初華、くびれてすらっとした小鳥の姿に羨望の眼差し。
「裏にもなんぞあるのか?」
「ひぃ!」
 追ってきた客にひそひそ話を聞かれたと知り、飛び上がる二人だったり。
 そんな中にメルクーアがいた。
「初華さ~ん、Pクレープも説明してほしいって~」
「……メルクーアさん、さっきまで客と一緒に聞いてたよね?」
「だってじっくり観察したいじゃない。ほら、いきましょ~♪」
 というわけで、今度はPクレープの前。
「こっちはあまり腰が高いとお客さんが困るから、ギアボックスを逆に取り付けてやや低床にしてるみたいなのよね」
 メルクーア、小鳥と初華にPクレープ号の図面を持ってもらいポイントを棒で差しながら説明する。
「あまり高くしすぎると木陰も利用しようとすると危なくなっちゃうんだよ~」
 小鳥も、すっかり恥ずかしさで参ってしまった初華の代わりに解説。
「なるほど。各種作業には内部空間が広い方がええしの」
 ご覧のようにもちろんちゃんと聞いている人もいる。

 そのころ、ハナ。
「シザーズドアの利点ですかぁ?」
 横ではなく上前方に開くドアを装備した魔導トラックの説明をしていた。
「横の空間が狭いところでも乗り降りできることですぅ。やってみましょうかぁ?」
 うふふ、と可愛らしく微笑。
 そして反対から乗って、観客側のドアから出ようとする。
 まずは上にドアが開く。
 で、座っていたハナが降車しようと横を向く。
 すると!
「うっひょう!」
 顔は隠れたまま、ドアの下からまずは白い太腿が出てきた。
 やがて完全に上に開き、すっと下りるハナ。
 ぴっちぴちなミニスカートの中はチラ見えで、屈んだ時にはざっくりと開いた胸元から谷間が見える。
「横に誰かがいても当たることはありませぇん」
 降車したハナ、すらっとモデル立ちして両手を組み胸を持ちあげるようにして二つのふくらみを強調。脚線美から腰のラインも注目を浴びていることが分かっているのでわざと組み替える。おおお、下から上の視線をする観客。あざとい演出だ。
「ハナさ~ん」
 そこへメルクーアの声。
「あらら、どうしましたぁ?」
「初華さんがハナさんの近くがいいって……」
「視線にぐったりみたいなんだよ」
「仕方ないですねぇ」
 小鳥に言われ素直に四人固まっておく。ようやくホッとする初華。
 そこに、ひらっと翻る薄絹が。
「初華さん、皆さん、準備ができたそうです」
 エルバッハだ。
「じゃ、カースタント頼むぜ?」
 係員の声にわく観客。エルバッハ、優雅に手を振ってこれにこたえ身を翻した。



「では、行きます」
 エルバッハ、華麗に自らの魔導トラックに乗り込んだ。
 がるん……とエンジンが掛かり震える迷彩塗装の車体。ぱ、ぱんとクラクションを鳴らし合図すると係員が「はい、下がって」と観客を安全地帯へ誘導する。
 運転席のエルバッハ、これを見て親指を立てる。係員からゴーの合図。
 スタートした!
「やや難易度の低い障害を用意していただいたようですね」
 左足でクラッチを踏み込み左手をこねるようにしてギアチェンジ。戦闘用ドレスのままやや開いた右足で踏み込むアクセル。腰はくねるが視線はまっすぐ。
 行く手の障害は、等間隔にがっしりと立てられ一直線に並んだ丸太。
「やることの難易度を上げましょう」
 見据えた瞳に決心の色。ギアを上げてアクセルを踏み込む。
「速すぎないか?」
「スラロームか? 膨らむぞ」
 固唾をのむ観客。明らかにオーバースピードだ。
 その瞬間!
「ひとつ」
 ずきゃきゃきゃきゃ、とリアを滑らし突っ込んだまま一つをクリア。
「二つめ」
 ばたばたばたっ、とハンドルを返して次は逆にドリフト。
「いい感じです」
 またも反対にドリフトし、三つめ、四つめもクリアした。
「最後も決めます」
 ふわっ、と戦闘ドレスから覗く白い胸元に薔薇のような赤い紋章が浮いた。得意の騎乗技術は覚醒するまでもないが、気持ちが高ぶっている。
 目の前にはコブがいくつかと最後にジャンプ台が待っている。
「当然、片輪で全部踏みます!」
 がこん、がこんとわざわざ蛇行して右左と車体を傾けさせる。スピードは落としてないのでかなりの衝撃と反動、そして迫力がある。心配そうな観客もいるが、最後に期待が高まっていく。
 ――ぶおんっ!
「おおっ!」
 迷彩トラック、思いっきり跳躍!
 ――がしゃん、きゅきゅきゅ……。
 派手なジャンプと引き換えに、着地は物凄い衝撃だ。
「だ、大丈夫か、あのお姉ぇちゃん……」
 真面目な客も、レースクイーン目当ての客も止まったトラックを心配そうに見た。
 注目を集める中、がちゃりとドアが開き、ふわっと長い銀髪を手の甲で払いつつ白い姿が現れた。
「スタント、完了です」
 エルバッハ、登場時と同じく大きな胸を張って優雅に言ってのけた。
 おおおっ、と大歓声がわく。

「刺激を受けましたよ~っ!」
 次はハナがやるつもりだ。
「こっちはぶつけていいよ。頑丈なのをアピールして!」
「初華さん、いきますよぅ」
「ほ、ほへ?」
 係員に誘導されたハナ、「一緒がいいんですよねぇ?」と闇笑みして初華を助手席に押し込み乗り込んだ。
 ――ぶきゅる、ぎゃぎゃぎゃぎゃ……。
 リアを滑らせ急発進。
 そして……。
 ――どかっ、どかっ。
 何と、エルバッハはクリアしたスラロームの丸太にすべてぶつかりなぎ倒し走行をしているッ!
「クラッシュ走行で気分は世紀末ですぅ、あはは、あはははは~」
「ひぃぃぃ。せ、世紀末ぅ……」
 病的な笑みのハナに涙目の初華。ずきゃきゃ、と横滑りしつつどこへ行く。
「……初華さん、大丈夫かなぁ?」
「クレープならスタントを見ながらでも食べられるんだよ♪」
 メルクーアと小鳥は材料の追加が来たPクレープを切り盛りしていたり。エルバッハもこちらで手を振っていたがサインをねだられている。
 そんな平和な姿をよそに、ハナの乗るトラックは格闘運転と見まがうくらいガンガン他にぶつけるわジャックナイフターン決めるわで、危険走行オンパレード。
「うふふふ……」
「ひぃぃぃ~」
 観客はドキドキハラハラで盛り上がり。

 この後、どうなったかは不明である。

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MVP一覧

  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオンka2434
  • Pクレープ店員
    メルクーアka4005

重体一覧

参加者一覧

  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • ユニットアイコン
    スチールブル
    スチールブル(ka2434unit002
    ユニット|車両
  • Pクレープ店員
    メルクーア(ka4005
    ドワーフ|10才|女性|機導師
  • 笑顔で元気に前向きに
    狐中・小鳥(ka5484
    人間(紅)|12才|女性|舞刀士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/11/15 15:08:43
アイコン 相談だよー
狐中・小鳥(ka5484
人間(クリムゾンウェスト)|12才|女性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2016/11/15 18:41:58