• 神森

【神森】「I」にすべてを3

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
イベント
難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/12/04 22:00
完成日
2016/12/10 20:04

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「随分と待たされますな」
 お付きのエルフ兵のぼやきに巫女は不安を押し殺すように胸に手を当てた。
 帝都バルトアンデルスは厳戒態勢に入り、エルフの立ち入りには検問がかかる。
 帝都外周に広がる防壁を前にもう何時間も足止めを食っているが、巫女には急ぎ伝えねばならぬ案件があった。
「なんとしても皇帝陛下にお目通りし、この親書を渡さねばなりません」
 大長老ヨハネに託された書簡には、帝国へ和平を申し込む文面が記されていると言う。
 巫女はハンターに、そして帝国に恩があった。彼らとの戦いを止めたいとヨハネに直訴した結果任された大役であった。
「ここで何時間でも待ちましょう。きっと、応じてくださいます」

 森都――エルフハイムの最奥、オプストハイムの聖域。
 巨大な神霊樹の前に敷かれた陣は、明らかに外界を由来とする技術、即ち機動術が用いられていた。
「アンカーシステム正常……“発動体”安定。素晴らしいな、この力は」
 大規模浄化法も器も、そのままでは決して運用に耐える事はなかっただろう。
 浄化法を扱えるのは、ユレイテルやハイデマリーが持ち込んでくれた機導浄化術のおかげ。
 そして器の精神が安定しているのは、多くのハンターとの関わりが人間性を育て上げた結果だ。
「ヨハネ様、これは一体……?」
「こんなに沢山の巫女を集めて、何をなされるのですか?」
「知れた事。さっき始めた戦争を今終わらせるのだよ」
 兵が不安げに顔を見合わせる。この浄化法のシステムを制御出来るのは、結局はヨハネだけ。
(兵にも手伝わせたかったが、こいつらに機導術は理解できない……クズめ)
 陣の中心、機械じかけの十字架に貼り付けにされた器は閉じていた瞼をゆっくりと開く。
 意識は微睡みの中にあり、既に現状を正確に把握する事は困難だ。
 この森に眠る犠牲者たちの記憶と意識によって器の自我は消失寸前にあった。が、それも本人の望み通り。
 花畑から立ち上る亡霊の腕が器に絡みつく様に、兵らは怯えるように声をあげる。
 だが器を中心に立ち並んだ巫女らは微動だにしない。彼女らも既に意識はなく、ただ命令に従ってそこに立っていた。
「さあ……我らが神よ。今こそ代弁者の呼びかけに応え給え。数多の命を貪り、その御力を示さん!」
 不自然に膨張した巫女らの生体マテリアルは陣の中心にいる器へと収束する。
 その瞬間巫女らが白目をむき、ばたばたと倒れ込む。そして器もまた強すぎるマテリアルの影響で身体に青白い亀裂が走った。
「ひいいい!?」
「ヨハネ様、巫女が……し、死んでる!?」
「代弁者よ、目標は定まっているな? 案ずる事はない。君のよく知る目印を置いてある」
 “大規模浄化法”は、浄化術だ。だが、術は当然ながら目標がなければ放てない。
 あてずっぽうに放てばよいというわけではないこの秘術には、放つ際に目標を定めるマーカーを設置する必要があった。

「……頭が……急に」
「カリン殿、いかがなされた?」
 帝都の前で待ちぼうけていた巫女が頭を抱えて苦しみだす。そこへやっとバルトアンデルス城からの使いが走ってくる。
「俺は帝国軍第一師団、師団長のオズワルドだ。和平交渉に来た一団ってのは……」
「――だめです!! 帝国の方……来てはなりません!」
 巫女は青ざめた表情で顔を上げた巫女は周囲を眺め、足を震わせる。
 帝都の周囲にはこの街での暮らしを夢見て集まってきた移民や難民がちょっとしたキャンプ地を作っていた。
 それは闇光作戦から未だこの国が立ち直りきっていない証だ。
「馬を……馬を貸してください!」
「ん? お嬢さん、大丈夫か? 具合が悪いんなら城で休……」
「来ちゃだめ! 私に近づかないで! 逃げて……みんな逃げてえええええええええええ!!」
 大声でわめきながら馬に跨がり走り出す。そんな巫女をオズワルドは怪訝な表情で見送った。
 慌てて立ち去った巫女が落とした書簡を拾い上げ、そっと開く。
 そこには和平を求める一切の文字はなく。ただ白紙の紙きれが収められていた。
 巫女が立ち去って僅か数分後の事だ。
 帝都のそばの平原に、突然巨大な光の柱が立ち昇ったのは――。

「外した?」
「命が消えた気配がない。恐らく、帝都に辿り着いていなかったのね」
「そうか。まあ、試射としては十分だろう。お前たち、さっさと死体を片付けろ。次の巫女を連れてくるんだ」
 ヨハネの指示を受け、がたがたと身体を震わせながら夥しい数の死体を引きずる兵たち。
 状況に理解が追いつかず、恐怖に身は竦み、誰も異を唱えられない。
(誰かが消えた……一人だけ……知っている命が……)
 器はうとうとと瞼を閉じながら、その瞳から涙を流す。
(誰が…………いなくなったんだろう? もう……思い……出せない……)

「野郎……使いやがったのか、浄化法を!」
 森都に向かう道中、遠くの空に轟いた光を見つめハジャが舌打ちする。
「くそ、帝都に命中したのか!? ここからじゃわからねぇ!」
「この力、本当に精霊のものなの? 余りにも禍々しすぎる……」
 苦しげに頭を振り、ジエルデは息を呑む。胸が締め付けられるようなこの感覚は、森の支配が強まっている証。
 ジエルデも森の神と契約した巫女。このまま森都に行ったところで操られるだけだろう。
「オルクス……」
『そんな懇願するみたいに言われてもね……私にはどうしようもないわよぉ?』
 聖地に潜んでいれば不意打ちもできたかもしれない。だが今やオルクスは聖地からも追い出された身……。
「全部あなたに頼るつもりはないわ。オルクス……私と契約して」
「はあ!? 正気か!?」
「森の神の支配から逃れるにはそれしかないの。ハジャ、あなたもわかるでしょう?」
 ハジャもジエルデも、森都の精霊と契約している者はヨハネには絶対に勝てない。そういう風に出来ているのだ。
『あなた結構高齢でしょ? それに長く巫女をやって負の力を溜め込んでる。契約したらあなたの命は……』
「あと少し……ほんの少しだけ動けばいいの。この戦いを終わらせるまで……」
 ジエルデはふっと微笑み、オルクスの前に跪く。
「――偉大なる最後の代弁者よ。神の摂理を打ち破る力を、どうか私にお授け下さい」
『……それがあなたの答えってわけね』
 暫し逡巡し、そしてオルクスは眉を潜め、女の手を取る。
 そしてそっと身を寄せ、女の手の甲に口づけした――。



「“約束”――覚えてる?」

「もうこれ以上、誰も泣かないように……」

「もうこれ以上、ひどいことが繰り返されないように……」

「待ってるよ。ここでずっと、待ってるから」

「だから、会いに来て」

「あの子にきれいな世界を――見せてあげて」

「私の、たいせつな友達」

「たいせつな仲間」

「愛したひと――」

リプレイ本文

「よし、装弾は完了したな。座標は……もう少し北西か? 浄化法発射の準備を――」
 器の周囲に新たな巫女を配置し、マテリアルを収束させていた時だ。
 森都の中を強行突破したハンターの部隊が聖域に現れたのは。
「これは……機導浄化術? スペルアンカー……それにあれは、ハイデマリーさんのナイチンゲールに似てる」
 設置された設備とヨハネの装備を目にし、イェルバート(ka1772)は珍しく怒りを露わにする。
「なんて術だ……。こんなことの為に、僕は機動浄化術の実験を手伝ったわけじゃない!」
「ヨハネ……今度こそあなたを止めに来たわ!」
 ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)の声にヨハネは舌打ちし、配下のエルフ兵に指示する。
「君達はもう用済みなんだよ。これ以上の変革は不要だ。……おい、侵入者を排除しろ」
 しかしエルフ兵らはガタガタと震え、ヨハネから顔を逸らす。
「お、俺達はもう嫌だ……こんな事、こんな、命を命とも思わないような……」
「そ、そうです。お考え直しください、大長老……ひい!?」
 次の瞬間、ヨハネが操るスペルアンカーが次々とエルフ兵の胸を貫き、鮮血が飛び散った。
「ぎゃああ!?」
「お、お許しを……ひぎぃっ!!」
「元より貴様らゴミに期待などしていない。お前達はただの生体マテリアル燃料なんだよ」
 エルフから吸収されたマテリアルがヨハネへと集い、肌で感じられる程の高濃度のマテリアルを帯びていく。
「浄化法は止めさせない。これが僕の夢、僕の理想……。用済みの玩具は片付けなくちゃなあ……ハンター!」

 器を取り巻く巫女らが起動し、意識もなく幽鬼のように動き出す。
「ここはいつか夢に見た場所……エルフハイムの聖地」
 あの日、この場所でエイル・メヌエット(ka2807)に呼びかけていた者の正体はわからない。
 だが、今ならわかる。“彼女”は、ハンターらがいずれここに来ることを予期していたのだ。
「逢いに来たよ……ホリィ」
 巫女らはそれぞれが手にした浄化の楔を構え、マテリアルを操作する。
 次々に放たれるのは攻撃魔法だ。その一撃一撃が、生半可な威力ではない。
「うおっ、この容赦のない歓迎! 慣れ親しんだエルフハイム女子の反応だぜ!」
「余裕かましてる場合っすか~!?」
 魔法の一斉砲火に笑みを浮かべる紫月・海斗(ka0788)。神楽(ka2032)は慌てて避けながら戦況を見据える。
「巫女は操られてるっす! カリンちゃん達の友達は傷つけたくないっすからね。殺さずに済ませるっすよ!」
「んじゃそっちは任せらぁ! 安心しろよ、俺も女を殴る趣味はねーからよ!」
「ミ~ンナここに来るマデにボロボロだモンネ。まずは景気づけと行こっカ!」
 アルヴィン = オールドリッチ(ka2378)と共にジェールトヴァ(ka3098)が杖を掲げると魔法の光がハンターらの傷を癒やしていく。
 各々回復スキルや道具を使い傷を癒やし、ハンターらはそれぞれの目標に向かって動き出す。
「まずは器にたどり着かないとねぇ。モタモタしている時間はなさそうだ」
 既に第二の浄化法発動は秒読みに入っている。ヒース・R・ウォーカー(ka0145)は足にマテリアルを込め、一気に加速する。
 次々と繰り出される魔法を回避しながら進むヒース、しかしその前方に突然無数の亡霊の腕が出現する。
 腕は複雑に伸び絡み、ヒースの回避能力を持ってしても振り切れない。
(こいつは……魔法的な追跡能力か)
 そこへ同じく飛び込んできたフローラ・ソーウェル(ka3590)がセイクリッドフラッシュを放ち、ヒースに取り付いた亡霊を薙ぎ払う。
「これが器の亡霊……。これまで名を与えられず、燃え尽きてしまった命の残骸……」
 どこからか響く子供たちの笑い声は無邪気な亡霊の腕となってハンターへ迫る。
 その様をどこかフローラは寂しげな眼差しで見つめていた。
「私は覚えています。今日という日を紡ぐ為に、その生命を終えた者が居た事……」
 そもそも、生きるということはそういうことなのかもしれない。
 誰かを犠牲にしなければヒトは生きていけない。そして時にソレが唯一の答えであることすらある。だが――。
 手にした聖機剣と斧を見つめ、それを正面に重ねるように構えた。
「憶えている。”私”に至るまで、数え切れないほど多くの命が燃え尽きたこと。誰もが忘れ去ろうとも。世界が黙殺しようとも。私は、貴方達の事を忘れない……だから」
「そうさ。ボクたちは忘れたわけじゃない。例えそれが記憶の奥底に消えてしまっても、想いは共にある」
 ヒースもまた、彼女の剣を手に笑う。
「行こうかぁ、ベルフラウ。お前が繋いだ輝きを、最期まで見届ける為に」
「今この時だけは、貴方達に刃を向けましょう。もう一度、ただの“フランシスカ”として……貴方達が生きたいと願った――明日の為に!」
「亡霊はこっちで吹き飛ばすから、みんなは先へ進んでよね!」
 ユノ(ka0806)は明るく声を上げながらライトニングボルトを詠唱する。
「雷纏いし双角虎よ。今白き雷鳴となりて、彼らの道を切り拓け……」
 メトロノーム・ソングライト(ka1267)とユノが放った雷撃が進路上の亡霊を一瞬で薙ぎ払う。
 ライトニングボルトには敵味方の識別能力がある。よって、前衛に誤射する心配はない。
「今の内ですね。さあ、突っ込みますよキヅカさん!」
「わかってるよ、ソフィアさん! 行こう、姉さん!」
 ソフィア =リリィホルム(ka2383)が駆け出すと続いてキヅカ・リク(ka0038)も地を蹴る。
 魔法攻撃をキヅカが盾で受け、その間に近づいたソフィアがエレクトリックショックで巫女の動きを封じる。
「あんま手加減してる余裕ねーんだ、邪魔すんじゃねぇ!」
 エイルはスタッフを振るい、綏魂奏で亡霊の動きを妨害。
 操られた巫女らも亡霊の影響を受けているのか、レクイエムの効果は適用されるようだった。
「ジエルデ、遅れるな!」
 ヴァイス(ka0364)はやや後方からついてくるジエルデに声をかけつつ魔法を盾で防ぐ。
 しかしジエルデは走っている途中で躓き、倒れ込んでしまう。
「ぐっ……身体が上手く動かないなんて……。契約者の能力がまだ馴染んでいないの……?」
 そんなジエルデに放たれる魔法、それをアウレール・V・ブラオラント(ka2531)が槍で薙ぎ払う。
「フラウ・ジエルデ! 立てるか!?」
「こっちだ!」
 倒れているジエルデを助け起こすと、ヴァイスは手を取り走り出す。
「ごめんなさい、二人共……」
「婦人を守るのは当然の事。それに、共にここに来ると約束したのでな」
 ふっと笑うアウレール。ヴァイスは握り締める手に少し力を込める。
「ジエルデの想いは、必ず俺達がホリィへとつなげてやるからな」
 ジエルデは命を投げ打ってでも器を救うと覚悟を決めた。ならば彼女を助ける事こそ、その覚悟への報いとなろう。
「ありがとう……。あと少しだけ……力を貸してください」
 そう言ってジエルデは二人の傷口の血を固め、ダメージを和らげる。
「そう……あと少しだけ……これで、最後だから……!」


「ヨハネ! こんな事はもうやめろ! お前自身、そんな分不相応な力を使ったら壊れちまうぞ!」
「壊れる……? いいや、僕はとっくに壊れているさ。生まれた時から出来損ないだった王の器、それが僕だ!」
 ハジャの言葉に応じず、ヨハネは更に力を高めていく。
 そこには既に負のマテリアルも混じり、今のヨハネは覚醒者と契約者の中間のようにも思えた。
「この地に眠る憎悪の全てが僕の力と知れ!」
 ヨハネが放つ黒い炎がハジャを襲う。だがその魔法はハジャに至る前に停止した。
「こいつはきついな……」
「お前……!」
 ヨハネの魔法を打ち消そうと力を込めるエアルドフリス(ka1856)。二人の魔力は衝突し、火花を散らす。
「なんだか久しぶりじゃあないか。そしてまたこんな状況とは、なんとも因果なものだな」
 対消滅した魔法にエアルドフリスは肩で息をしながらヨハネを見つめる。
「ヨハネ・エルフハイム。あの時俺が意図を暴いていれば……なんて事は、考えるだけ野暮かね」
 森都が開かれる事になったのも、機導術の発展に協力したのも、浄化術と巫女を輸出したのも全て計算の内――。
 あの時の自分に何が変えられたわけもないだろう。それほどまでにヨハネは周到だった。
「まるで餓鬼の我儘だな。怨嗟に身を任せた先にあるのは際限無い殺し合いだ」
「ではどうすれば良かったんだい? 我慢すればいいのか? 弱い者はどうなる? 虐げられる者はどうなる?」
「それは……」
「いいか、この世界は数多の犠牲で成り立っている。誰一人例外などいない! 皆、誰かの苦しみや嘆きを見て見ぬふりしている……見殺しにしている!!」
 一瞬、脳裏に過去の経験が過ぎった。
 誰もが救われるのならそれが一番いいに決まっている。だが、世界はそこまで優しくはない。
 けれどもエアルドフリスは生き延びた。それは誰かを見殺しにして繋いだ命ではないのか……?
「だからって誰かを犠牲にしたり、何もかも壊しても構わないってわけじゃないでしょ?」
 エアルドフリスの背中を叩き、ジュード・エアハート(ka0410)はヨハネを指差す。
「そうだよ、この世界はきれいなんかじゃない。誰かを犠牲にすることも、憎むことだってある。でもそれがなんだっていうのさ?」
「何……?」
「世界がきれいじゃなくたって、自分を好きになれなくなって、誰かを愛することは自由だ。それはヨハネだって同じでしょ!」
 そう言いながらジュードはさり気なくハジャとエアルドフリスの間に入り。
「この弱虫め! 誰も“愛せなかった”のを、みんなみんな周りや世界のせいにして! 誰の事も愛せないやつが、自分を愛せるわけないじゃないか!」
 そんなジュードの言葉を聞きながら、ジェールトヴァは思う。
 ヨハネに足りなかったのは、きっと“出会い”なのだ。
 誰もが心に闇を抱えている。例外などない。しかしハンター達はその闇を自分の力に変える強さを持っている。
 それは、どんな過去も受け入れ、共に未来を目指す仲間がいるから。多くの出会いが、苦しみばかりの戦いの中で心を支えてくれる。
「ヒトとエルフ、両方を憎む……同じ“半分”とシテは、ヨハネの言い分も解るケドネ。心中シテあげるには、僕も友人が増えてしまってネ」
 背後からエアルドフリスとジュード、双方の肩を抱えるようにして叩き、アルヴィンは笑う。
「人生色々あるケレド、友人と笑い合えるのもソウ悪くない生き方ダヨ。一人ボッチは、つまらないモンネ?」
 アルヴィンのウィンクに小さく微笑むエアルドフリス。ジュードはハジャの眼前に指を突き出し。
「ハジャさんも諦めるな! 逃げるな! あいつの一番近くに居たアンタにしか出来ないこと、言えないことがあるはずだ!」
「俺の言いたいこと……そうか。そうだよな……」
 寂しげに笑い、頭を振ってハジャは拳を握り締める。
「止めに来たんだ。お前にこれ以上、誰かの命を奪って欲しくないから。だってよ……お前だって本当はそんな事、望んじゃいねぇんだ!」
 腕を振るい、ハジャは叫ぶ。
「皆幸せで、ハッピーエンドじゃダメなのかよ!? わかってるさ、難しいって事は! でも、やってみなきゃわかんねぇだろ!? どうせならお前の名前を世紀の殺戮者としてじゃなくて、ヒトとエルフを繋いだ偉人として残したかった! その為に俺は……!」
 そこへ突然、短剣が飛来する。かわしたハジャの視線の先、ナイフを手元で遊ばせながら笑うテオドールの姿があった。
「さっきから綺麗事ばっかり言いやがってさぁ。ムカツクんだよお前ら。オレの家族を殺しておいて……のうのうとさあ!」
 青いオーラを纏い、一気に距離を詰めるテオドール。その眼前に巨大な斧が振り下ろされた。
「よっこいしょお! えっへへー、邪魔はさせないよー?」
「こいつは私達が責任を持って片付けてやる。生憎、そいつに言ってやりたい事もないからな」
 地面に食い込んだギガースアックスを引き抜きながら笑うリューリ・ハルマ(ka0502)。アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は刀を鞘から抜き放ちテオドールへ突きつける。
「まーた邪魔が入るのかよ。オレって毎回こんなんだよなあ……殺すぞニンゲン!」
「私はエルフだから……うーん? それってアルトちゃんを殺すってこと!? アルトちゃんは死なないよ! だって君より強いもん!」
「……そうだな。それに、こっちは二人だからな」
 苦笑を浮かべ、アルトはテオドールへと刃を放った。


 シュネー・シュヴァルツ(ka0352)はあえて巫女らの最中に飛び込み、その身を晒していた。
 巫女は大した戦術的な思考を持たない。故に近づくものを機械的に攻撃してくる。
 あえて距離を詰め走り回るのは敵の攻撃を自分に集める為だ。
(私はそこに“いる”だけだった……)
 魔法を掻い潜り、巫女をすれ違いざまに斬りつける。
(でも、そんな中で自分に似ていると感じた彼女が変わっていくのを見るのがきっと嬉しかった……)
 次々に降り注ぐ魔法をかわすシュネー。だが、その足に亡霊の腕が絡みつく。
 シュネーの回避能力であればどんな攻撃もかわせただろうが、その状態では流石に魔法を受けてしまう。
 光弾が腹に命中し、大きくよろける。そこへフローラが駆け寄り、セイクリッドフラッシュで亡霊を吹き飛ばした。
「大丈夫ですか?」
「はい……まだ、走れます」
 シュネーに攻撃が集中している間にメトロノームとユノが雷撃を放ち、亡霊ごと巫女を攻撃。
 仙堂 紫苑(ka5953)は巫女に駆け寄ると太刀で手にしている浄化の楔を打ち払う。
「発動体がなければ、魔法は使えないだろ!」
「なるほど、その手があったっすね!」
 神楽も同じように槍で巫女の武器を攻撃し、魔法を発動できない状態へと追い込んでいく。
「巫女らは器の支配下にあるっす! 殺しちゃダメっすよ!」
「わかってる! どんな技術も使い方次第だが……こいつは悪趣味すぎる。子供を犠牲にしたりしないさ!」
 紫苑は雷で杭の形を成し、それを巫女へと打ち付ける。
 感電し動きが止まった巫女は抱きかかえ、ジェットブーツで跳躍し、器から大きく距離を離した。
 すると巫女が纏っていた光が弱まり、遂には意識を失ったように身体から力が抜けた。
「よし、これなら巫女を殺さずにすむな」
 しかし巫女は一人一人の戦闘力がかなり高い。動きこそ鈍いが、攻撃魔法の精度と威力はかなりのものだ。
「これは骨が折れますね……いえ、一度やると決めた事。誰も犠牲にはしません」
 ダメージを受けるとフローラはフルリカバリーで自身の傷を一気に回復。
 また、傷ついたシュネーも回復し、直ぐに動けるようになった。
「ありがとうございます……行きます」
 走り、ワイヤーを巫女へ放ちながら考える。
 結局のところ、自分はなんのために走っているのだろう、と。
 痛みを堪え、辛くて苦しいのに、また戦場に来てしまった。
(でも……それだけじゃなかった……ですよね?)
 もう一度見たいと言った景色があった。それをもう、彼女が諦めていたとしても。
「もう一度……今度は“今”の彼女も共に……あの桜を」
「やばいっすね……巫女を減らすよりこっちの消耗のほうが早いっす」
 特にシュネーの負担が大きすぎる。援護に加わりたいが、神楽も巫女を器から引き離すので手一杯だ。
 結局彼女に走り続けてもらうしかない。敵の攻撃が一方向に集中したら、あっという間に全滅しかねないのだから。
「亡霊に邪魔はさせないよ! がんばって、おねーさん!」
「シュネー、一度私の後ろに下がって!」
 雷撃を放つユノ。フローラはシュネーを呼び、彼女を襲う魔法攻撃を聖機剣で薙ぎ払う。
「皆さん、下がって下さい……一度仕切り直します」
 メトロノームは杖を掲げ、マテリアルを昂ぶらせる。
「覇王龍よ……今月光となりて、その威を示さん……」
 白い光が降り注ぎ、巫女らの動きを封じ、大地を軋ませる。同時に亡霊も姿を保てず、次々に霧散していった。
「派手だなあ……くそ、あと何人いるんだ?」
「まだあと11人っす!」
 神楽の返事に辟易した様子の紫苑。メトロノームの放つ魔法が効果を終えると、怯んだ巫女へと素早く飛びかかっていく。

 仲間が作った道を駆け抜け、ハンターらは器へと近づいていた。
「ジエルデさん、あれが浄化法の中心ですねっ?」
「ええ……理屈はこれまでの浄化結界と同じ。器を固定しているあの十字架が術の中心です!」
「ということは、あの楔さえどうにかすれば……っとぉ!?」
 器を取り巻くマテリアルは膨れ上がり、無数の頭を持つ蛇のように変化する。
 襲いかかる光の攻撃。それを防いだのはいつか見た血の障壁だった。
「ジエルデ……!?」
「私は……大丈夫です。この血の力、使いこなして見せます」
「……ったく、バカ娘共。ワガママもいい加減にしやがれ!」
 ソフィアの声に何の反応も見せず、ただ幻影の蛇だけが襲いかかる。
 その攻撃は強力で、薙ぎ払うような一撃でソフィアは背後へ吹き飛ばされた。
「あーくそっ、近づけねぇー」
 そこへ背後から気配を消して近づこうとする花厳 刹那(ka3984)だが、何か通常とは異なる感覚で探知されているのか、直ぐに発見されてしまう。
「気配を消して行けるのはここまでね……でも、背後からなら!」
 アクセルオーバーを発動し、オーラと残像を纏った刹那が地を蹴る。
 絡みつくオーラを次々に躱し、同時に降り注ぐ一撃すら残像を残して掻い潜っていく。
「やるねぇ。キヅカ、ボクらも続くぞ」
「ソフィアさん、避けるの苦手なんだから無理しないで!」
「うっし、んじゃちょっくら避けゲーといきますかねぇ!」
 触れれば吹き飛ばされる高火力攻撃の乱舞へヒースとキヅカも飛び込んでいく。
 二人が蛇の攻撃をかいくぐる様にアウレールは眉を潜める。
「むう……リクめ、器用なやつだ。私ではああはいかぬが、別方向から接近し手数を減らす事はできよう」
「ああ。アウレール、俺達はこっちだ」
 ヴァイスと共に別方向から近づき、蛇を牽制する。
 そうしている間に刹那が十字架に到達。これを駆け上がり、落下しながら振るった刀で手枷を破壊する。
「ナイス、刹那さん!」
「後は任せとけえええ!!」
 ジェットブーツを使ったキヅカと海斗が器の左右につき、高速でその身体をさらっていく。
 十字架から離れたところで器を降ろすが、相変わらず意識がない。
「やりますよ、エイルさん!」
「ええ……浄化術を!」
 エイルが杖を、ソフィアがガントレッドを翳す。
 リクもそこに加わり、三人同時に発動した浄化術がまばゆい光を放った。

 森都の聖域にある神霊樹は、太く大きく聳え、その麓に立つ紅薔薇(ka4766)を見下ろしていた。
「何故じゃ……何故何も応えぬ?」
 神霊樹に近づいたパルムのモリゾーも困ったように首をかしげている。
 この樹は確かに神霊樹だし、そこから巨大な精霊の力も感じることができる。
 たしかにそれは負の力に汚染され始めてはいるが、まだ“精霊”としての存在は残っているはずだ。
「だというのに何故……応えぬ! 森の神だというのなら……ヒトを救ってみせよ!」
 刀を抜き神霊樹を斬りつけても手応えはない。物体ですらないこの樹相手ではすり抜けてしまうのだ。
 この神霊樹を正さねばならないという紅薔薇の考えは正しい。
 だが、今の彼女に出来る事は何もない。膨大な力を持ち、しかしなんの心も持たぬ神に言葉は通じないのだ。
 だからこそ、これまで数多の祈りを受けながら、森の神は無慈悲にただ力だけを翳してきた。
 東方に生まれた紅薔薇も知らぬわけではなかっただろう。
 神とは――ただ力だけを持つ存在。善悪の解釈など、ヒトの後付に過ぎない。
「精霊よ……ただ一度で良い。お主に祈り捧げた者を幸せにしてくれ……っ」
 土に刀を突き刺し、その場に膝を着いて祈る。
 もう誰も泣かないように。これ以上、命が失われないように――。

 器の身体から爆ぜたマテリアルの衝撃が取り付いていたハンターらを吹き飛ばす。
 まるで糸でつながれた操り人形のように不自然な動作で起き上がった器の手に、地面に突き刺さっていた二種の機剣が飛来する。
「っつう……!? 浄化術じゃダメ……なのか?」
 飛び跳ねるように身体を起こしたキヅカが呟くが、その背中をソフィアが強く叩く。
「諦めるのはまだ早いぜ。要するにまだ術や精霊の制御下にあるってことだろ?」
「そうか……なら、器を制御しているものを破壊すれば!」
 マテリアルを帯びた器の身体には光る亀裂が入っていく。
 その体は砂のように崩れ、いつか見た量産型のように消えてしまうのだろうか?
「……させない。きっとあなたを救ってみせる」
 倒れた際に濡れた前髪から雫が滴る。エイルは飛沫を払い、杖を構え直す。
『「ぐう……おおお……ォォォォアアアアアアアッ!!」』
 まるでその呼びかけを遮るように、ヒトならぬ怪物のような咆哮と共に器は左右の機械剣に刃を纏わせた。


「ヨハネ!」
 ユーリは勢い良く距離を詰め振動刀を振り下ろす。しかしそれは5つのスペルアンカーによって阻止されていた。
 浮遊し、自在に飛び回る5つのスペルアンカーに弾かれ後ずさるユーリ、その肩をフィルメリア・クリスティア(ka3380)が支える。
「あなたの攻撃をこうもあっさり弾くなんて……やっぱり生半可ではないわね、ヨハネ・エルフハイム」
「今この瞬間、僕はこの森全ての力を得ている。君達のような純度の低い覚醒者に敗れる道理はないよ」
 青い炎にも似たマテリアルのオーラに覆われたヨハネは確かに超常の力を得ている。だが――。
「……代償にあなた自身の肉体すら崩れてしまう……未来を捨てて、過去の復讐に全てを賭けて、それで満足なんですか?」
「満足さ。僕は最初からこの生命を燃やし尽くす為に生きていた」
「……情けない。なら、貴方の全てを見せてください。貴方の想いを、此処で全部吐き出しなさい」
 魔導符剣を振るい機動砲を放つフィルメリア。ユーリも攻撃を加えるが、スペルアンカーを突破出来ない。
 ヨハネは機械の杖を振るい、無数の魔法の矢を放つ。降り注ぐ矢を拳で打ち払い、春日 啓一(ka1621)はちらりと視線を横にずらした。
 こうしている間にも器を救おうと仲間達が奮闘している。だが、その為には目の前の男が邪魔だ。
「お前がいるとリクやねーさんたちの想いがあいつに届かないんだろ? だったら俺のやることはいつだって同じだ」
 ぐっと拳を握りしめ、身構える。
「お前に仲間の邪魔はさせねぇ。ユーリ、フィルメリア……こいつをぶっ飛ばすぞ」
「わかってるわ、啓一!」
「あまり時間はないわね……一気に決めましょう」
 三人それぞれが動き出す。そこへ機導剣を纏ったスペルアンカーが飛来するが、イェルバートがデルタレイで迎撃する。
「まずはあのスペルアンカーを壊さなきゃ……。みんなで同じスペルアンカーを狙って、一つずつ破壊するんです!」
「オッケー! 俺も手伝うよ……っと!」
 ジュードは二丁の拳銃を連射するように制圧射撃でスペルアンカーの動きを封じる。
 そこをイェルバートがデルタレイを打ち込みスペルアンカーを損傷させると、飛来する攻撃に合わせ、カウンターで啓一が拳を打ち込んだ。
 ひび割れ、パーツをばらまきながらスペルアンカーは吹き飛んでいった。
「とはいえ攻撃すっごい!」
 スペルアンカーはそれぞれがデルタレイに似た光線を降り注がせてくる。
 避けきれず被弾したジュードとイェルバートだが、そのダメージをアルヴィンとジェールトヴァが回復する。
「背中は任せてネ! デモ、回数が厳しいからお早メニ……!」
「ありがとう、リッチー!」
 ウィンクでジュードに応えるアルヴィン。ヨハネは舌打ちし、杖を高々と掲げる。
「鬱陶しい連中め……まとめて消え去れ!」
「やらせん……!」
 ヨハネの魔法とエアルドフリスのカウンターマジックが拮抗し、雷にも似たマテリアルの衝撃波が迸る。
「ニンゲンごときが……舐めるな!」
 その時、エアルドフリスの足元から生えた無数の亡霊の腕が身体に絡みつく。
「何……!?」
 魔法の相殺に失敗したエアルドフリスがたたらを踏む。そして次の瞬間、ヨハネの放った火炎弾が大爆発を起こした。

 巨大な火柱を背景にアルトとテオドールは刃を交える。
 二人は共に身体にオーラを纏い、高速の連撃で互いの影を刻んでいた。
「あんた疾いね! 普通の場所だったらオレじゃ追いつけない……でも、ここなら話は別だよ!」
 背後へ跳ぶテオドールの代わりに足元から無数の腕がアルトを拘束にかかってくる。
「この程度で私を捕らえられると思うな!」
 身体に絡みつく腕を強引に振り払うアルト。その動きは亡霊の呪いを受けても完全に止まることはない。
 だが、地の利という意味ではテオドールに劣っている。問題なく拮抗しつつも、決め手には欠けていた。
 テオドールが投擲する無数のナイフ、しかしこれをリューリが斧で盛大に打ち払う。
「二人共早すぎてついてくの大変だけど、元気さなら負けてないもんね!」
 にっこりと笑うリューリ。なにげに足に刺さっていたナイフを引っこ抜き、しかしその傷は直ぐに癒えていく。
「毒とかも問題なーし! 回復の方が早いもんねっ!」
 巨大な斧を、しかし素早くダイナミックに連続で繰り出すリューリ。
 水飛沫をぶち撒けながら踊る大質量の刃、しかしテオドールは残像を残しながらたやすく躱していく。
「むむっ!? さっきからなんで当たんないかなー?」
「そういう技なんだよ。私と同じ能力だ」
「あー、そりゃ当たんないねー」
 肩をぐるりと回し、リューリは再び大斧を構え直し、強く地を蹴った。
 二人は左右から回り込むようにしてテオドールへ襲いかかる。先に仕掛けるのはアルトだ。
 超重刀を重さを感じさせぬ軽やかさで繰り出し、テオドールを襲う。
 そこで亡霊による反撃を受けたところで、反対側からリューリが斧を繰り出す。
 体ごと横に回転し薙ぎ払う連続攻撃を回避しようとするテオドールだが、その動きをアルトのワイヤーが許さない。
 一発目をかわし、しかし続く二発目を避け残ったテオドールの胴体にギガースアックスがめり込む。
「がっ……!?」
「行ったよ、アルトちゃん!」
 地面を派手に転がりながら立て直すテオドール。その進行先には刃を構えたアルトが待ち構えていた。
 すれ違い様に放たれる二人の刃。アルトの超重刀は今度こそテオドールを捉えていた。
 刃についた血を振り払うと同時にアルトの身体を覆っていた光が花弁にように消え去り、テオドールの身体は水面に倒れ込んだ。

「お前ら無事か!?」
 ハジャの声に頭を振るエアルドフリス。足元に薄く水が張っているというのに、炎の魔力の残滓はまだあちこちを燃やしていた。
 ジェールトヴァは直前でホーリーヴェールを発動し、エアルドフリスのダメージを低減したのだ。
 更に回復魔法を施し、倒れている仲間達を起こしていく。
「何とか命を拾ったか……」
「大丈夫ダヨ、ルールー。戦いはまだ続いテル。サア、立って!」
 大ダメージもアルヴィンのフルリカバリーが一瞬で完治させていく。問題なくまだ戦えそうだ。
「それだけの力がありながら、どうして子供たちに犠牲を強いるの!」
 フィルメリアはデルタレイでヨハネを狙うが、やはりスペルアンカーの妨害が入る。
「世界を巻き込む無理心中……そんな復讐に子供たちを巻き込むなんて!」
「違うな。子供たちの命も、僕がこのために生かしてきたものだ」
 エルフハイムで軽視されていた子供の人権を守る改革を起こしてきたのも、またヨハネである。
 だからこそ彼は多くの人々の慕われていたし、巫女らは疑うことなく彼に従った。
「今代の器はそのために僕が作り上げた……最高傑作だ。貴様らとて家畜を育て、食うだろう? 一体何が違う! 綺麗事を言うな!」
「あいつは家畜と同じってか……言ってくれるじゃねぇか」
 啓一は眉を潜め、飛来するスペルアンカーを打ち払う。
「人は家畜を育て、殺す……確かに都合の良い話だ。だがそんな事は関係ねぇんだよ。あいつは俺のダチだ。お前の話なんざどうでもいい」
「やっぱりスペルアンカーが邪魔! 立て直さないと……!」
 ダメージを受けたユーリが苦々しく叫ぶ。するとアルヴィンが大きく手を振り。
「回復するヨー! ミンナ、一回下がっテ!」
「ジュード!」
「わかってるよ、エアさん!」
「……僕も手を貸します!」
 下がる前衛を追って飛んでくるスペルアンカーへ、エアルドフリスは魔法を詠唱する。
「大地の呼び声に従い……力の奔流よ、黒き楔と成せ!」
「銀雨(アルジェント・ロヴェーショ)!」
 エアルドフリスのグラビティフォールがスペルアンカーの動きを鈍らせ、更にジュードが無数の銀色の矢を降り注がせる。
 それにイェルバートとフィルメリアがデルタレイを重ね、破損したスペルアンカーを一気に撃ち抜いていく。
「回復オッケー!」
「走りなさい、ユーリ!」
 アルヴィンがぐっと親指を立て啓一の背を押す。フィルメリアは魔法をチャージしつつ、ユーリに叫んだ。
「往くぞヨハネ……この一撃でお前の憎悪も、ホリィ達の悲しみも終わらせるっ」
 二人のハンターはヨハネの放つ魔法を受けながら、しかし仲間の援護を受けて突き進む。
「俺が先に行く……ユーリ!」
 正面から拳を振りかぶり、啓一が拳の形をした衝撃波を繰り出す。
 それを防いだヨハネの背後へ回り込み、ユーリは雷を纏った振動刀でヨハネの背を斬りつけた。
「が……はっ」
 そして次の瞬間、フィルメリアが放った青い機導砲の光がヨハネの手にした機械楔ごとその胸を貫くのだった。


 器は光とも闇とも取れぬマテリアルで身体を覆い、機剣の一撃を繰り出す。
 一振りで水飛沫と共に地が切り裂かれる一撃を前に、ヒースは同じく聖機剣の名を持つ刃を構えた。
「ローエングリンと同じ、アイツの生きた証。お前と戦うのに相応しい刃だ。……踊ろうか、名も無きお姫様。お互いの願いと存在を賭けて」
「私はもう何事にも何者にも怯まない。だって私は……器ちゃんを救うって決めたんだから!」
 叫ぶと同時に振動刀を構える刹那。器の攻撃は非常に強力だか大ぶりで、回避力の高い二人なら耐えきれる。
「あの黒い聖機剣を壊すんだ! 器に干渉する発動体を全部取り除けば、声が届くかもしれない!」
 キヅカの言うとおり、今の器を殺さずに止める方法があるとすれば、それしかない。
「怒り悲しみ、全てを言葉にして吐き出せ! 自分の目で耳で周りを見渡し声を聞け! 今のお前にはそれができるだろ!」
 ヴァイスは刃にマテリアルを纏わせながら器に呼びかける。
 返事の代わりにと襲いかかった器の攻撃を受け止め、反撃で黒い聖機剣を打ちつける。
 次々に地面から浮かび上がってくる亡霊はエイルが抑え、一方ソフィアは器が磔にされていた機械の十字架に触れていた。
「こいつが浄化法……結界術の中心だよな?」
「ええ、それで間違いない筈です」
 ジエルデの返答を受け、マテリアルを帯びた手で十字架に触れるソフィア。しかし介入は拒まれてしまう。
「……って、おい! なんだこりゃ……殆ど負のマテリアルの支配下じゃねぇか!」
「ソフィア殿! 恐らくそれがこの森の精霊に干渉しておる“呪い”の中心じゃ!」
 駆けつけた紅薔薇の言葉にソフィアは納得する。
 この術は聖域――精霊に打ち込まれた楔だ。呪いの力を溜め込んだ、この術の中心。
 本来負のマテリアルを操作出来ないはずのヨハネが何故こんなものを制御できているのか――。
「この一件には剣機も関与していたのだったな。とにかく、これを壊せばよいのだろう?」
 アウレールはランスにマテリアルを纏わせていく。
「ああ……これがあっては森の神が動けぬ」
「わーったよ。ジエルデ、下がってろ!」
 三人はそれぞれ渾身の力を振り絞り、十字架を攻撃する。
 同時攻撃に耐えきれず、十字架は次の瞬間部品をばらまきながら砕け散った。
『「グ……アアアアアアアアアッ!!」』
 その瞬間、器の叫び声が響き渡った。そして薄っすらと光を浮かべていた浄化法の陣が熱を失っていく。
 残されていた巫女らも動きを止め、意識を失ったように倒れていった。
 ほぼ同時期、ヨハネのデバイスも破壊されており、既に浄化法を操れる者はいない。作戦は成功したのだ。
「ホリィ……」
 だが、器は相変わらずだった。
 それどころか、行き場を失った亡霊たちが纏わりつき、器の身体を覆っていく。
「巫女を助けたと思ったら、こいつは……!」
「これまずいっす! ゾエル・マハの時と同じっす!!」
 巫女の対応を終えたハンターらが駆けつける。紫苑にはわからなかったが、神楽は直感的に事態を把握した。
 今、正しい意味でこの森の呪いはすべて器に集まっている。
 そんなものにヒトが耐えられるはずもなく、そしてそれは強大な歪虚の誕生を意味していた。
「あのおっきい十字架の楔があの子たちの寄る辺だったんだ……」
「……させません! ユノ、亡霊を祓いましょう!」
 フローラはセイクリッドフラッシュで集まる亡霊を吹き飛ばす。
 ユノも続いてライトニングボルトを放つが、亡霊が集まる勢いの方が強すぎる。
「ホリィ!!」
「ホリィさん……」
 叫ぶフローラに続き、シュネーは唇を噛みしめる。
「迎えに来たんです……約束しましたよね? 来年もまた、桜を見に行くって……ホリィさん! あれは……あれは嘘だったんですか!」
「ダメだ、これ以上ここにいるとこっちまで飲み込まれる!」
 渦巻く亡霊の壁をファイアスローワーで薙ぎ払う紫苑。神楽は首を横に振り。
「道具として使い捨てられた上、忘れられたら俺達を恨むのは当然っすね」
「かもしれません……でも、だとしても……」
 メトロノームは杖を降ろし、代わりに胸に手を当てる。
「呼びかけましょう。最後まで諦めることなく……」
「手伝うっすよ。これ、使うっすか?」
 神楽が渡したのは魔導機械楽器「オーケストラ」。声を人の心に響かせやすくするという道具だ。
 メトロノームはそのマイクスタンドを前に歌うようにマテリアルを織りなしていく。
(この歌声がどうか……あなたに届きますように……)
 それは、エレメンタルコールと呼ばれる魔法。絆を結んだ相手に言葉を届ける力……。
(あなたのために皆が力を尽くしています。ですからどうか……目を覚まして……)
「森の精霊よ……神よ! その軛は解き放たれた! どうか彼女を……妾の友を救ってくれ!」
 神霊樹に叫ぶ紅薔薇。だが応じる言葉はない。
 これで森の神は確かに自由になったはずだが……。
「思い出して……ホリィ、アイ。その身に宿る精霊よ。私達が過ごした時間、交わした心……約束を!」
 前に進みながら声を上げるエイル。そこへ迫る亡霊の腕を、魔法の刃を纏ったアウレールが薙ぎ払う。
「呼びかけ続けろ! 貴女たちは私が必ず守り通す!」
 目の前の少女は既に怪物に等しい。怪物はきっと倒されねばならないだろう。
「そうだ。世界はいつも優しいわけじゃない……けど、生きて求める者には絶望と同じだけの光があっても良かろう?」
「浄化術だ! もう一度やるぞ!」
「道は俺達が作る! 行け!」
 盾となるヴァイスに続き、ソフィアが走り出す。
 集まってくる亡霊は周囲のハンターが抑えている。近づけるのは今しかないだろう。
 浄化術を使えるキヅカ、ソフィア、エイルの三人が器を目指す。
「なあ、アイ……お前は汚い化物なんかじゃない。俺の声が聞こえるか?」
「これまで寂しかったよな。気づいてやれなくて……悪かった。今更かもしれないけど……でも、助けに来たんだ」
 キヅカとソフィアはそれぞれ機導浄化術を放つ。その光の中で、亡霊の反撃が二人を傷つけていく。
 そんな二人の間に立ち、手を繋いでエイルも浄化術を発動する。
「あなたたちの事を忘れない為に……お願い、力を貸して! ホリィ……私の大切な――!」
「最後まで必ず俺が傍にいる! 死ぬまで離したりしない! だから手を伸ばせ……アイ!」
「娘達を助けるのに理由なんかあるか! お前たちの想い、一緒に背負うさ……だからさっさと起きろ!」
 浄化の光がまばゆく輝き、器を覆っていた亡霊の闇が晴れていく。
 二つの聖機剣が吹き飛び、大地に突き刺さる。器は光を帯びてふわりと地に落ち、それを三人が慌てて抱きとめた。

「……馬鹿な。何百年にも及ぶ森の呪いが……この程度で消えるはずが……」
「もういいだろ、ヨハネ。“俺達”は負けたんだ」
 血に染まったヨハネの身体を抱き起こし、ハジャは静かに囁く。
「まだだ。このために僕はすべてを進めてきた……強い力を……誰もが認めざるを得ない、強い力を……」
「……可哀想な人。誰かを見下すことでしか、自分を証明できなかったのね」
 複雑な表情でフィルメリアは呟く。イェルバートはフードを脱ぎ、器の方に目を向け。
「その力は正しく使えば誰かを救うことも出来たはずなんだ。機導師は、誰かを救うために力を求めてきた」
 自らの掌を見つめ、イェルバートは真っ直ぐにヨハネに視線を移す。
「浄化法も機導浄化術も、別の使い方があったはずだよ。そしてそうすれば、あなたには違う未来もあったんじゃないかな……」
「ダネ。これだけのコト、フツーは成し遂げられナイヨ」
「まったく大した才覚だ。そればかりは認めざるを得ないだろうね」
「でも、それだって自分ひとりの力じゃないでしょ?」
 アルヴィンとエアルドフリスに続き、ジュードが目配せしたのはハジャだ。
「約束しただろ? 二人で森を変えようって。クソッタレなジジイ共を超えて……誰もが生きやすい世界を作ろうってよ」
「ハジャ……」
「お前が俺に居場所をくれた。名前のない俺に生きる意味を……夢をくれた。俺はただ、お前に笑っていてほしかったんだ」
 ジェールトヴァはそんな二人の様子に答えを見た気がした。
「ヨハネさん。あなたもハジャさんを信じて受け入れていれば、きっとこうはならなかった。それでも信じられなかったのは、自分に自信がなかったんだね」
 その言葉にヨハネは驚き目を丸くする。
「力を求めたのもそうだ。あなたは自分を愛せなかった。だから、誰もが認める証が欲しかったんだね」
「僕は……」
「ハジャさんも器と似た境遇だった。でも、人を思いやる優しい心を持っている。そしてそれはきっと、あなたにもあったはずだ」
 本当に何もかもの破滅を願うのなら、もっとうまいやり方だって合っただろう。
「あなたにも……そんな未来はあったんだよ」
 いつもいつも、偽りの笑顔で巫女たちと接していたわけではない。
「お前は森を変えたんだ。やり方は褒められたものじゃねえが……お前はやり遂げたんだよ」
 これでもう、森都は絶対なる変革に呑まれるだろう。
 もうその勢いを止める者はいない。ハンターズソサエティの介入と帝国の保護で、この森は変わる。
「誰かが犠牲になったり虐げられる世界は終わったんだ……」
 その言葉にヨハネは顔をくしゃくしゃにし、両目から大粒の涙を流した。
「助けに来るのが遅くなって……ごめんな……!」
 同じく涙を流しながら何度も謝るハジャの腕の中で、ヨハネは静かに息を引き取った。
 その最期は呆気なく、しかしどこか安らぎを湛えていた。

「……ホリィ!」
「エイル……?」
 瞼を開いた器は弱々しく微笑んだ。
 そしてゆっくりと身体を起こすと、自分を囲むハンターたちへ目を向ける。
「助けにきて……くれたんだね」
「ええ……。でも……その、“ホリィ”なの?」
「うん。あの子は寝てる。今は、ホリィだよ」
 そう言って立ち上がり、器が見つめたのは虚空に生まれた闇の塊だ。
 まるで空間そのものを捻じ曲げるように、ぽっかりと空いた黒い穴。それは器から離れた亡霊が集まったものだ。
「まだやるつもりっすか? もうやめるっす! このままじゃお前たちの居場所まで滅んじまうんすよ!」
「もう止められないんだ。あの力は、浄化法のために集めた光と、呪いの闇……森の神そのもの。このままにしておけば、森の呪いは解けない。誰かが封じなきゃ」
「待つのじゃ、ホリィ」
 その腕を掴み、紅薔薇は制止する。
「それでは同じ事の繰り返しではないか。根本的にあれを消し去らねば、いずれは更に呪いを増して顕現しよう」
「……そうだね。だから、ちゃんと形にしてあげなきゃいけないんだ」
 定まらない光と闇の力の集合体。それを完全にこの世から消し去るには、“形”を与えるしかない。
「ホリィが器として人柱になるということか? 何故そうまでして……!」
「私は……多分、アレの一部だから」
 この少女に元々宿っていた人格は“ホリィ”ではない。
 ホリィは神を降ろし覚醒者として契約した際に生まれた第二の人格。
「さっきから紅薔薇が話しかけてたのは……私だったんだよ。神様は……ヒトを救わなきゃ。そうでしょ?」
 その時だ。器の尻を海斗がしたたかに叩いたのは。
「いたい」
「馬鹿なこと言うんじゃねえ! いつもの方の器ちゃんに戻ったみてぇだが、それじゃもう一人の器ちゃんも犠牲になるだろうが!」
「それは痛いところを突きますなあ」
「ていうかもう何言ってるのかサッパリ俺にはわからねぇんですけど!? 器ちゃんズは今まで十分頑張ったんだ。後は俺達に任せろ!」
「でも、私以外に何とかできる人は……」
「――ここにいるわ」
 振り返ったハンターたちの視線の先にいたのはジエルデだ。
 血は渦巻き、オルクスの形を成す。そのオルクスの手を取り、ジエルデは微笑む。
「神から闇の力だけを奪い、呪いをカタチにすることができるのは、あなたではなく……私達よ」
「何言ってんだ、義姉様?」
「神の加護を失えば、この森は終わってしまう。だから神の汚れだけを祓う、そういう力が必要だったのです」
 ジエルデは血の翼を広げ、神に杖を翳す。
「オルクスの眷属となった今の私なら、それが出来ます」
「器の身代わりになるって事かぁ。でもそれはお前が歪虚化する事を意味している。それも、恐らくはオルクス以上に強力な」
 聖機剣を突きつけるヒースにジエルデは優しく微笑みかける。
「――はい。でも、それで最後です。呪いも闇も剣では倒せないけれど、“歪虚”なら倒せます。滅びた歪虚は跡形も残さず消滅する。どんなに強力な歪虚でも、汚染を残すことはない。それできれいさっぱり、おしまいです」
 逆に言えば、ソレ以外に方法がないのだ。
 ここまで高まった呪いが方向性もなく拡散すれば、この神の森は闇に沈む。
 精霊そのものが歪虚化すれば、それもまた破壊衝動に囚われた歩く呪いとして、森都以外にも呪いを振りまくだろう。
 誰かが器になって封じる以外に、元々この呪いをどうにかする方法はなかったのだ。
「ジエルデ……最初からそのつもりで……」
 ヴァイスはゆっくりと剣を降ろし、目を逸らす。
 エイルにはわかっていた。善悪でも理屈でもないのだ。これはつまり、ただの愛情。
「ハンターの皆さんは、器を救い出してくれました。私はそれだけで十分。それに、闇の力は私のほうが上手く扱えて当然でしょう?」
「ホリィを救うために……」
「……エイルさん。私、あなたともっと親しくなりたかった。別れは残念ですが、あなた達なら……器を任せられます」
「そんな……」
 ヒースは聖機剣を収め、道を譲る。
「抱きしめてやりな。最後くらいは、ねぇ」
 その先にはジエルデを見つめる器の姿がある。女は少し戸惑い、しかし寂しげに笑って器の前に腰を落とした。
「ずっとずっと……長い間、あなたを苦しめてしまった。救いたいと願いながら……何もせず、目を反らしていた」
 少女の頬に触れ、その白い髪に指を通す。
「あなたは私の罪の証。あなたを見ていると、いつも胸が苦しくて……切なくて……辛かった」
「……ジエルデ」
「この感情を表す言葉をずっと探してた。でも、私は最初から知っていたのね」
 少女の身体を抱きしめたのは、これが初めてだ。
 触れることすら禁忌とされた華奢な身体。思い切り抱きしめてあげたかった。
 ずっとずっと我慢していた沢山の想い。言葉にできず、ただ側に身を置いて過ごした長い時間……。
 後悔は止まない。けれど、これでよかったのだと思える。
 何もできなかった自分が、最後にできるたったひとつの贈り物。
「あなたに……あなた達に、未来をあげる。愛しているわ……“ホリィ”。そして――“アイリス”」
 その言葉を聞いた瞬間、無表情の器の瞳から涙が溢れた。
 自分でも理解できぬ感情の機微に戸惑う器から腕を放し、ジエルデは背を向ける。
「アイリス……それが……あの子の名前?」
 ――ずっと昔に、自分が犠牲にしてしまった妹の名前。
 まだ赤ん坊だった少女に、名前も人生も何もかもを奪われた彼女に、たったひとつ、ジエルデが与えたもの。
「幸せにね。ホリィ……“アイ”」
 女は杖を逆手に構え、高々と掲げたその先端で自らの胸を貫いた。
 死による命の終わり、それは契約者が歪虚に変わる瞬間でもあった。
「代弁者……オルクスの名において……命じる。神よ……その力を我に授け、あるべき場所に還り給え……」
 空間に浮かんだ黒い穴から闇がジエルデへと移っていく。
 そして残された白い光は、霧散するように森へ広がっていった。
「――ハンターさん。後は……お願いしても……いい、ですか?」
 負の波動が迸り、ハンターらが同時に吹き飛ばされる。
 そしてジエルデの足元から見る見るうちに大地が凍りつき、氷の結界が聖地を覆っていく。
「私を……」
『我ヲ……』
「この森が積み重ねてきた、歴史を……」
『呪イヲ……怒リヲ……』
 とてもこの場に立っていられず、ハンターらは器を連れて聖域を後にする。
「『我ヲ……滅セヨォオオオオオオオオオ――――ッ!!!!』」
「……ジエルデーーーーーーーーーー!!」
 抱えられながら腕を伸ばす器の叫び声が響き渡った。
 聖域の上空に白い光が立ち昇る。それはまるで浄化法の発動のようでもあった。
 神は自らを封じるように森の時を止めていく。木々は結晶に覆われ、あらゆる命の鼓動が停止する。
 今や神の森は、神自らを封じる為の、巨大な檻に変わろうとしていた――。

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参加者一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • 真水の蝙蝠
    ヒース・R・ウォーカー(ka0145
    人間(蒼)|23才|男性|疾影士
  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 癒しへの導き手
    シュネー・シュヴァルツ(ka0352
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 空を引き裂く射手
    ジュード・エアハート(ka0410
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士
  • 元気な墓守猫
    リューリ・ハルマ(ka0502
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • 自爆王
    紫月・海斗(ka0788
    人間(蒼)|30才|男性|機導師
  • 無邪気にして聡明?
    ユノ(ka0806
    エルフ|10才|男性|魔術師
  • アルテミスの調べ
    メトロノーム・ソングライト(ka1267
    エルフ|14才|女性|魔術師
  • 破れず破り
    春日 啓一(ka1621
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • →Alchemist
    イェルバート(ka1772
    人間(紅)|15才|男性|機導師
  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリス(ka1856
    人間(紅)|30才|男性|魔術師
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 嗤ウ観察者
    アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
    エルフ|26才|男性|聖導士
  • 大工房
    ソフィア =リリィホルム(ka2383
    ドワーフ|14才|女性|機導師
  • ツィスカの星
    アウレール・V・ブラオラント(ka2531
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 愛にすべてを
    エイル・メヌエット(ka2807
    人間(紅)|23才|女性|聖導士
  • 大いなる導き
    ジェールトヴァ(ka3098
    エルフ|70才|男性|聖導士
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 世界より大事なモノ
    フィルメリア・クリスティア(ka3380
    人間(蒼)|25才|女性|機導師
  • 幸福な日々を願う
    フローラ・ソーウェル(ka3590
    人間(紅)|20才|女性|聖導士
  • 紅花瞬刃
    花厳 刹那(ka3984
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • 不破の剣聖
    紅薔薇(ka4766
    人間(紅)|14才|女性|舞刀士
  • 大局を見据える者
    仙堂 紫苑(ka5953
    人間(紅)|23才|男性|機導師

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アイコン 巫女対応相談卓
仙堂 紫苑(ka5953
人間(クリムゾンウェスト)|23才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/12/04 01:58:06
アイコン 作戦相談卓
鬼塚 陸(ka0038
人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/12/04 01:28:46
アイコン オルクス・エルフハイムへの質問
フィルメリア・クリスティア(ka3380
人間(リアルブルー)|25才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/12/04 02:43:09
アイコン ヨハネ・テオドール対応相談卓
ジュード・エアハート(ka0410
人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/12/04 21:23:37
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/12/02 18:14:15
アイコン 各種まとめ卓
ヒース・R・ウォーカー(ka0145
人間(リアルブルー)|23才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/12/04 00:31:23