• 剣機

【剣機】美しき学びの園を守るため

マスター:旅硝子

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
4日
締切
2014/09/28 22:00
完成日
2014/10/06 22:26

みんなの思い出

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オープニング

 その学園の少女達は、『ごきげんよう』と挨拶する。
 スカートを軽く持ち上げ、嬉しげな笑みを浮かべ、ごきげんようと友に礼をする。

 ――帝国内ではやや珍しい、エクラ教の教会。小高い丘の上に建つ大き目の教会は、全寮制の女子学園を備えていた。
 富裕な商人や旧貴族が行儀見習いを兼ねて娘を通わせることもあれば、近くの孤児院から入学した少女達もいる。王国回帰派の思惑を抱えた親も中にはいただろうが、少女達はそんな思惑にはあまり頓着せず、他愛ないお喋りに、話の上手な神官が教えてくれる授業、交代で行う炊事や洗濯に掃除、近隣の町や村での慈善事業――そしてちょっとした人間関係の波乱、けれどお茶とお菓子で仲直り、みんなで真夜中のパーティ、それが見つかってみんなで反省文。そんな穏やかな日常を過ごしていたのだ。
 ラーエルは、近くの町の普通の商家から、この学園に入学した少女であった。少し内気で誰とでも仲良くなれるとは言い難いけれど、誰にでも礼儀正しくでき、読書と執筆を好み、真夜中のパーティでははにかみながらちょっとしたお話を聞かせて皆を沸かせることもある。そして、この学園で唯一の覚醒者であった。
 いつかはハンターか帝国兵か、それともエクラ教の神官となるか――けれど、それはまだ。
 戦いに赴くのは、まだ。
 この学園を卒業してから……ここにいる間は、平和な少女時代を楽しみたい、楽しませたい――それが、彼女の、親の、教師を務める神官達の想いであった。
 はずだった。

 深夜の教会。今日は真夜中のパーティもなく、いつも通り就寝した静かな寮を、揺るがしたのは轟音だった。
 雷のような音、何か大きなものが丘を転がる音。ばたん、ばたんと何かが開くような音。様子を見に行った神官は、蒼い顔で飛ぶように戻ってきた。
「わ、わ、わ、歪虚ですっ……! 大きな、大きな歪虚が……暴食の眷属が!」
 突然の事件に慌てて飛び起き、顔を青ざめさせる少女達。動揺が混乱に、そして恐慌に陥りかけた時、一つの声がそれを遮った。
 大きくはない声だった。少し震えてもいた。けれど、努めて冷静であろうとしていた。
「数は、1体でしたか?」
「え、ええ……1体、でした……」
 僅かに震える唇を引き締め、こくん、と声の主――ラーエルは、頷いた。
「誰か、足の速い方……町のハンターズソサエティ支部に、お知らせしてきてください。私が」
 息を吐く。
 吸う。
 もう一度ぎゅっと唇を引き締めて、ラーエルは拳を握りしめて口を開く。
「私が、足止めします」
「ラーエル!?」
 悲鳴のような声が、あちこちから上がる。死んじゃう、だめ、と袖に縋り付く少女達に、ラーエルは青ざめた頬で笑ってみせた。
「もちろん、私に倒せやしないけど……何とか、何とかハンターの方が助けに来て下さるまで……守って、みせます」
 少女達にも、神官達にも、ラーエルを止めることはできない。――止める力は、ない。
 ラーエル以外に、歪虚に対する力を少しでも持つ者はいないのだから。
「……わたくしが行きますわ」
 1人の少女がさっと手を挙げる。旧貴族の家に生まれた、乗馬を得意とする活発な少女だ。ラーエルは彼女の強い視線を苦手に思い、彼女はラーエルを大人しすぎるように思って、あまり話すこともなかったけれど。
「わたくしが馬に乗れば、すぐに町まで飛んで行けますもの」
「お願いします!」
「……お願いするのは私の方ですわ。……ご無事で」
 少女達の視線が、絡み合い、頷き合う。
「では、私達はハンターの皆様がお怪我をされた時のために、お湯を沸かし包帯を用意いたしましょう。ああ、薬草の準備も」
 年かさの神官のかけた声によって、幾分落ち着いた様子で他の少女達も動き出す。作業に入る前に、ラーエルと助けを呼びに行く少女に声を掛けて。
「どうか、気を付けてね」
「夜道は暗いから、お気をつけて」
「ラーエルさん、待っておりますからね」
「お二方とも、どうか……ご無事で……!」
 数分の後、革鎧に身を包み弓を掴んだ少女と、黒い衣服で黒馬に跨った少女が、反対方向へと駆け出す。
 蹄の音が遠ざかる中、弓が引き絞られ、矢が向かう先には――2m半を超そうという巨体を鋼板に覆い、両腕を鎖付き鉄球へと改造されたゾンビの姿が迫る――!

リプレイ本文

 ハンターズソサエティの扉が勢いよく叩かれ――ほんのわずかな時間で、起きていたハンター達が集まり、駆け付けた少女から話を聞いていた。
「お願いしますわ! ラーエルさんが、戦っておりますの。今も……!」
 必死の少女の言葉に、天竜寺 舞(ka0377)は頷いてハンディライトを腰にくくり付け、外へと飛び出していく。絶対に助けるよ、と言い残して。
 その言葉に軽く頷き、ロイド・ブラック(ka0408)もすぐに厩へと向かった。舞とロイドは、己の馬を持ちハンターズソサエティの厩に預けていたのだ。
 さらにクラーク・バレンスタイン(ka0111)が、少女から手綱を受け取った。全力疾走ゆえにやや汗ばんではいるが、馬にしてみれば僅かな距離。まだまだ走れそうであった。
「急がないといけないとはいえ……夜間行軍とは、ね」
 元来軍人であるがゆえに、行動の難しい夜間という条件に僅かにクラークは眉を寄せる。臆したからではなく、気を引き締めるための呟きだ。
「お一人で慣れない戦いを……急ぎませんとね」
 コルネ(ka0207)がくいと眼鏡を上げて頷き、クラークが跨った馬の後ろへと飛び乗る。少女の孤独な戦いに、出来るだけ速く参戦できるようにと。
「ええ、一人で頑張っているその子の為にも」
 そう言ってクラークは馬の首筋を撫で、お借りしますよ、と少女に声を掛けて馬腹を蹴った。
 既にロイドが先んじて馬を駆っている。さらに舞の馬の後ろに、ミィコ=クレアスター(ka3103)が登ってぎゅっと舞に捕まる。
「急いで行って、ラーエルってお嬢ちゃんを助けてあげようじゃないの」
「うん! あたしの妹も聖導士だからなんだか他人とは思えないし……あたし達が行くまで持ちこたえててよ!」
 にかっと笑ったミィコに、舞が頷く。お願いします、と再び頭を下げる少女に微笑む2人を乗せた馬は、矢のように駆けだした。

「……知能の衰えた屍など、木偶の坊でしかない。……恐るるに足らず」
 呟いたロイドの瞳に、小さな灯りとそれに照らされた巨大な影が映る。一気に距離を詰め振り下ろされた鉄球を、ギリギリで小さな灯りが――灯りを持つ少女が避け、全速力で巨大な影から離れていく。
 やや離れた場所で、ロイドは馬を降り灯りを消した。大き目に回り込みながら、素早くアルケミストデバイスを操作しマテリアルによって運動能力を高める。草を踏む音が僅かに聞こえるが、互いに戦いに夢中である少女とゾンビは気付いていない。
「見えた!」
 さらにクラークの声と共に、少女の後方から馬の足音が響き、そちらへと向いたゾンビの注意はさらに逸れる。ただ、戦い慣れしておらぬ少女も、思わず足を止めて振り向いてしまったのだが――。
 舞とミィコが乗った馬が、やや速度を緩めながらラーエルとゾンビの間を突き抜ける。そしてその二者の間に、舞とミィコは飛び降りた。
「騎兵隊の到着よ~♪」
「隊……かな……?」
「……あれ? リアルブルーではそういう風に言うんじゃないの?」
 きょとんとしたミィコに、舞はしばらく考えて、一般的ではないかもしれないなぁ、と首を傾げた。
 その間にクラークの弾丸がゾンビの足元に叩きこまれ、距離を詰めようとしたゾンビにたたらを踏ませる。
「どなた……!? あ、もしかして……」
「ええ、ハンターズソサエティから来た、増援のハンターです」
 クラークが馬から降りて頷く。同じく地面に立ったコルネが、デリンジャーを撃ちながらじりじりと距離を詰めていく。
「戦闘はこちらが引き継ぎます。ラーエルさんは一旦、敵から距離を離してください」
「は、はいっ!」
 クラークの言葉に素直に頷き、ラーエルが視線をゾンビに向けたまま急いで後ろへと下がっていく。その間にクラークが射線を隠すように入り込み、舞とミィコにコルネが追いついて前線を固める。
「こんな学校のお嬢様にしては、頑張ったねぇ。……って、もしかしてあたいより年上なんだ?」
「た、たぶん?」
 振り向いてにやりと笑ったミィコに、ラーエルがぱちぱちと瞬きしてからこくりと頷く。11歳という年齢通りに見た目もまだ幼いミィコよりは、明らかにラーエルの方が年上だ。
「ま、後はあたいに任せておきな、お嬢ちゃん!」
 年上であると同時に覚醒者としては格下、そして良家の娘ということで、ミィコの口調はなんだか嫌みにも聞こえる。
 けれど――認めていないわけではない。むしろ勇気を出して1人でゾンビに立ち向かったラーエルのことを、結構評価しているのだ。
 地を駆ける動物霊の力、そして高い視力を持つ動物霊の力を次々に宿し、ミィコはすらりとダガーを抜く。
「ほら、木偶の棒さん、あたしが相手だよ!」
 さらにグラディウスを手に、舞が大きな動作でフェイントをかけ、すぐさま刃を翻して一撃を加え注意を引く。ぶぅんと振り回された鉄球は、マルチステップで素早く避ける。
 ちらと闇の中にたたずむ校舎に目を向けた舞は、それとは反対側に半歩入り込んだ。ゾンビの注意をこちらに向け、それでいて突如学園の方に走り出しても、阻止できる距離。
 ――その瞬間であった。
 影のように迫ったロイドが、助走から一気に跳躍する。
 途中で肩に足を引っ掛け、さらに跳ぶ。巨大な頭部を――引っ掴む!
「暫く視界を妨害させてもらうとしよう」
 にやりと笑って、ロイドは全力の電流を解き放つ。声にならぬ悲鳴を上げ、ゾンビががくがくと身を震わせるが――ロイドは、しかとゾンビの髪の毛を掴み頭部にしがみつき続ける。
「ラーエル様は、できそうでしたら強化か回復をお願いしますわね?」
「はっ……はい!」
 背後で聞こえたラーエルの声に小さく微笑んで、コルネがフィストガードに覆われた手に祖霊の力を籠め、全力で叩き付けた。鉄球が無造作に振り下ろされるが、マヒした体では掠めもしない。さらにそのまま、コルネはがしりと鉄板を掴み、引き剥がさんと力を込める。ほぼ一体化するまでに改造されたゆえ、それは容易な話ではないが――、
『ぐぎゅいぃぃぃぃぃ!!』
 だからこそ、本体に攻撃を与える手段としては有効でもあった。そこに舞がひらりと飛び込み、的確に大腿の付け根を狙う。
「足止めさせてもらう」
 避けようとする脚にクラークの弾丸が食い込み、深手を与えるほどではないがその動きを止めてみせる。、
 深く、深く突き刺さった剣に、吠えるような悲鳴が響き渡る。
 ミィコが祖霊の力をダガーへと宿し、全力で叩き付ける――硬い手ごたえが、それを跳ねかえした。
 効いていないわけではない。が、あまり深い傷を与えられているわけではない。反対に振り回された鉄球が、ダガーに受け止められながらも避けきれなかった手に打撲と擦り傷を刻んでいく。
「あたいでも手こずりそうだから、ラーエルちゃんには10年早い相手かな?」
 にかっと笑いながら、ちらりとミィコが振り返る。ぎゅっと握りしめたラーエルの手に、きらりと輝くのは聖印。
「私じゃ、絶対無理だから……お願いします!」
 そう言うと同時に、ラーエルの聖印が輝く。同時にミィコの身体を包み込んだ光が、傷を癒していく。
「ありがと。お嬢ちゃんの代わりにあたいが頑張ってあげるからね」
 ぱちりとウィンクして、ミィコは引き抜いたデリンジャーの弾丸を、ごく至近距離から叩き付ける。
 ゾンビが回避しよう、回避しようと思った場所に、クラークの弾丸が飛ぶ。動きを完全に把握しているかのように、その行く先を塞がれて、刃や弾丸にその身を晒すしかないゾンビ。
 しかも頭には、ロイドが取り付いているのだ。
 ざくざくと機導剣で斬りつけられ、業を煮やしたのかゾンビがぶん、と鉄球を振り回す。咄嗟にロイドが――ゾンビの耳を掴み背中側にぶら下がる!
「その鉄球……頭に当たれば眩暈がしそうだ。自分で喰らっては如何かね」
 起動を変え損ねた鉄球が、がん、とゾンビの頭に当たる。防御力を強化されていない頭が真っ向から鉄球を喰らい、ふらりと体勢を崩す。
 そしてすぐに耳を引っ張り、頭の上へと戻るロイド。さらにその間にコルネが後ろに回り、膝の裏にクラッシュブロウを叩き込む。身長が高いだけあって、膝の裏は格好の弱点だ。
 鉄球が当たった効果もあって、ゾンビの身体がバランスを崩して膝をつく。ミィコが鉄球の攻撃をかわす間に、舞が反対側から後ろに回り込み、剣を思いきり突き立て足の腱を断つ。
 呻き声を上げたゾンビに、再び光の剣が頭上から突き刺さる。彼が一番の強敵だと悟ったのか、鉄球とは逆の手でぐいとロイドを掴み、引きはがそうとする――ところで。
「この距離ならば、逆にこちらも外しはせんよ……!」
 魔力を込めた電流に貫かれ、悲鳴を上げてロイドを取り落とすゾンビ。頭から放り出されたロイドは、慌てず杖を地面に突き、それを支点に器用に身体を半回転させて地面に降り立つ。
「ゾンビ野郎が……死者は大人しく土に戻れ!」
 視線と指先に力を籠め、クラークがアサルトライフルの引き金を引く。マテリアルを込めた弾丸は、限界を超えた射程と威力を生み出し、巨大な頭に風穴を穿つ。
 振り回す鉄球は、舞が僅かに後ろに下がって紙一重で避けた。その反動で懐に入り、鉄球を操る側の肩に切っ先を食い込ませ――断つ!
 もはや悲鳴なのか、咆哮なのか。滅茶苦茶に残った腕を振り回す間をすり抜け、ミィコが腹に、コルネがこじ開けた鉄板の隙間に差し込んだデリンジャーの引き金を勢いよく引く。ごっ、と喉の奥から呻きを絞り出し、くの字に曲がる体。
 さらに追撃とばかりに、コルネが拳を叩き込む。さらに曲がる体、落ちる頭を、ロイドががしりと掴んだ。
「これが……知能というものがもたらすアドバンテージだ!」
 電流が一挙に流れ、巨体を端から端まで駆け抜ける。
 全身の痙攣がぴたりと止まった時――腐敗した身体は、ゆっくりと消滅していった。

「大丈夫?」
 ゾンビが消えていくのを確かめてすぐ、身を翻して駆け寄ったのは舞だった。必死に聖印を握り締めていたラーエルが、はっと目を見開いて。
「た……倒した、んです、よね?」
 切れ切れに呟き、ふらふらとその場に座り込む。慌てて再び大丈夫と尋ねた舞に、慌ててこくこくと頷いて。
「おっつかーれさん! お嬢ちゃんにしては、随分頑張ったんじゃないの?」
 後ろに回り込み、ぐりぐりとミィコはラーエルの頭を撫でる。ひゃぁ、と声を上げた彼女は、けれど緊張がほぐれたようで仄かに笑顔を見せた。
「怪我の具合は、どうですか?」
 クラークが優しく尋ねれば、大丈夫です、とラーエルは頷く。
「このくらいならば、自分で治せます。……皆様が、とても速く来て下さいましたから」
 ありがとうございます、と深く頭を下げる少女に、コルネが微笑んで。
「勇気を出し、学園の皆様を守ったのは紛れもなくあなたの功績ですわ?」
「そう言ってもらえると嬉しいです!」
 ぱっと顔を輝かせたのは、きっと目の前で華麗に戦いを繰り広げ、己を、学校を守ってくれたハンター達に、褒めてもらえたから。
「一人でよく、耐えましたね……怖かったでしょ?」
 クラークの問いに、少女は素直に頷く。それに微笑んで、クラークは本当にお疲れ様でした、と少女をいたわる。
「けれど……あまり、無茶はしないようにしてくださいね。あなたにもしものことがあったら、悲しむのは……」
 クラークが言うと同時に、教会の扉が開いた。そっと様子を伺う女性に軽く頷いて見せれば、一度引っ込んだ女性はすぐさま何人もの少女達と共に扉を勢いよく開けて駆けてくる。さらに、街の方からは、ハンターズソサエティに急を伝えに来た少女が。
 わぁっと歓声、その中には泣き笑いを浮かべる子までいる。ぽかんとしている間にラーエルはすぐさま取り囲まれ、少女達に押しつぶされそうになって目を白黒させる。
「……こんなにも、想ってくれている仲間の皆さん、家族の方々なのですから」
「は、はい!」
 クラークの言葉に、ラーエルは必死にこくんと頷いて。
「でも……無茶しないで、守れるようになりたいから。卒業するまでとは言わないで、戦い方、勉強してみようと思います」
 真摯な瞳に、ハンター達は大きく頷いた。まだどのような道を選ぶのかはわからないけれど――どのような道に進むにしても、覚醒者として歪虚と戦う心強い仲間になってくれるだろうと、思えたから。
 ふっと笑って、ロイドが身を翻す。大人しく待っていた己の馬をいたわるように、首筋を軽く叩いてやる。その横で待っていた黒馬のたてがみを撫でてから、コルネが少女達の元へと手綱を引いていく。やはり仲間達に囲まれてもみくちゃになっていた黒服の少女が、誇らしげにその手綱を受け取り、ぎゅっと首を抱き締めた。
 ――東の空が、少しずつ明るくなっていく。
 舞が学園を見上げた。エクラ教の聖印が飾られた屋根の横に、風見鶏がくるくる回る学園の屋根がそびえている。
 この間まで、リアルブルーにいた時までは、彼女は学生だったから。
 学校を守れたことも、嬉しいと思う。――その心の端で。
(向こうの友達は元気かな。あたしや妹の事心配してるのかな)
 そう思えば、切なさがそっとこみあげて来る。
 少女達の姿にそっと旧友を重ねて、舞は夜が明けていく中、静かにその光景を見つめていた。

 ――学園の建つ丘の下に、歪んだコンテナが転がっていたことで、ハンター達はその正体が予測通りだったことを確認する。
 剣機の、はた迷惑な置き土産。
 けれど、ハンター達はこの学び舎を、日常を守り切ったのだ。誰一人欠けることなく助かった少女達は、変わらぬ日々の大切さを噛み締めながら、穏やかな学園生活を再開する。
 そして――1人の少女が、覚醒者としての過酷な第一歩を生き延び、二歩目、三歩目を踏み出し始める。自分と大切なものを守ってくれたハンター達のように、今度は自分が何かを守れるように――。

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MVP一覧

  • キャラバンの美人秘書
    コルネka0207
  • フェイスアウト・ブラック
    ロイド・ブラックka0408

重体一覧

参加者一覧

  • Adviser
    クラーク・バレンスタイン(ka0111
    人間(蒼)|26才|男性|猟撃士
  • キャラバンの美人秘書
    コルネ(ka0207
    エルフ|23才|女性|霊闘士
  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • フェイスアウト・ブラック
    ロイド・ブラック(ka0408
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • シークレット・サービス
    燈京 紫月(ka0658
    人間(蒼)|15才|男性|猟撃士

  • ミィコ=クレアスター(ka3103
    人間(紅)|11才|女性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
コルネ(ka0207
エルフ|23才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2014/09/28 20:54:30
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/25 17:37:24