• 猫譚

【猫譚】転がる林檎、嘘の結び目

マスター:藤山なないろ

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
  • relation
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2016/12/05 22:00
完成日
2016/12/25 19:10

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●『【猫譚】光の系譜』

 今から1~2カ月程前のこと。
 ガンナ・エントラータ領主邸に、その日領主の姿はなかった。
「どうせこんな事だろうと思っていたが、君たちは甚だ趣味が悪いな。国民全てを騙すに値する“何か”は得られたのかい?」
 領主邸の使用人たちに促されるまま部屋に通された少年は、開口一番そう訊ねた。一見無礼にも思えるが、問われた相手は──少年は“君たち”と言ったが、この部屋には現在少年以外に“一人”しかいない──神妙な面持ちでいる。
「否定も言い訳もしない。叱りの言葉は甘んじて受ける。だが、敢えて答えるなら──“そうすべき必要があり、当時の王国にそれ以外の手段は用意出来なかった”、と」
 相対する男の目には、梃子でも動かぬ強い意志が感じられる。だからという訳ではないが、来客の少年は大人しく室内のソファへゆっくり腰を下ろすと、やがて見透かした口調でこう切り出した。
「ま、そうだろうね。君がその“印”を持っているということは、すなわち“君が今こうしている事は王家公認”と言うことだ。王女の独断か、大司教の入れ知恵か、そんなことは僕の知ったことじゃない。僕が問題視したいのは──」
 男が頑丈な鎖に通して首から下げている“それ”を指し、少年は言う。
「その“印”を持つ君は、確かに僕をここに呼びつける権利があることは認めよう。だが、それとこれとは話が別だ。“この僕を”、“こんな僻地へ”、“呼びつけた理由”を直ちに説明しろ。事と次第によっては、ただじゃ済まない」
 モノクルの奥、いつか見た“エメラルド・タブレット”のように神秘的な瞳が、鋭く男を見据えている。その威圧感は、たかだか10歳前後の少年が放つものとは到底思えない。
 睨みつける少年を前に男はゆっくりと立ちあがり──まるでその精神性を表すような、無駄のない洗練された所作で、少年の前に跪いた。
「パラディ卿。どうか、ご助力を賜りたい」
「またどうせ“この国のため”だとかつまらないこと、言うんだろう?」
「いいえ、厳密には──」

 ──“世界の存続のため”に。

 少年──フリュイ・ド・パラディ(kz0036)は無意識に口を噤んだ。

●そして現在

 ガンナ・エントラータでは、いよいよ音楽祭が開催を迎えた。今日から何日もの間、昼夜問わず歌えや踊れ、呑めや食えやの大祭りが始まる。常日頃以上の活気を見せる王国一番の港町では、みな準備に明け暮れてはいたが、忙しさよりも期待感が勝っているようだ。この街の民のみならず、国中の民がそこかしこで今日の宴を心待ちにしている。
 ──にもかかわらず、この街の雰囲気にそぐわぬ辛気臭い顔をした男が一人。
「……黒大公は去ったが、しかし」
 男は初老と言っても差し支えない年齢だろうが、青銀の鎧を纏い、厳とした風格を漂わせていた。
 手入れの行き届いた清潔感ある髭に触れながら、思案気に西の空を眺めている。何を──とは、誰も問わなかった。その男が、見据えるべきものは明白に“西に在った”からだ。
「だ……団長! ご報告差し上げます」
「手短に済ませろ」
「はっ。予定通り、ベリアル軍追撃作戦において、マーロウ大公率いる貴族軍を中心とした部隊が攻撃を開始したとのことです」
 脈絡なく取りだしたパイプをくわえ、“団長”と呼ばれた男は煙を吐き出した。だが、団長からの具体的な応答はない。居心地の悪さを味わいながら、ややあって厳しい視線で促されると、報告官はその場を辞した。
「抜け目のない男だ」
 確かに、大公はガンナ・エントラータに滞在中だった。だが、それだけで例の黒大公追撃指揮をとるわけではない。
 “大公が依頼で派遣した偵察が敵本隊を発見した”ことから“その流れを受けて主導権を握る”に至ったのだ。
 追撃戦はあくまで追撃戦。ベリアルそのものを討ち果せるものでもなければ、敵数をどれだけ減らせるかが争点であり“こちらが痛手を負ってまですべき事ではない”。
 控えていた騎士を呼びつけ、王国騎士団長は告げる。
「王国騎士団は此度の追撃に加わらない。直ちに国内全域に此度の騒動による戦況精査と結果報告を纏めさせ、体制見直しの為の施策を提案させろ。三日以内に、だ」
「は。ですが、その……相手は黒大公。既に一部の騎士は……」
「馬鹿者共め。……だが、積年の恨み、解らんでもない。“気の収まらん”連中は好きにしろ。だが、被害を出すな。無駄死には認めん」
 飛び出して行った騎士の背を見送ることもなく、初老の騎士は再び煙を燻らせた。
「……ふん。殿下のご命令と言えど、祭りは好かんな」



「ヴラドおじさま、今、なんと……」
「“我々グリム騎士団は、追撃戦に参加しない”。エレミア様からもそのように申しつけられている」
「何を仰るのです! 相手はあの怨敵ベリアル! 彼奴の配下クラベルにお父様の命が奪われたのならば、お父様を殺した“要因”はベリアルにあるも同じ!」
「まさかユエル。君は“その為に戦う”などと言うつもりか? 亡き人のため、今を生きる者に死地へ臨めと? 父を想う娘の願い故に? 聞こえはいいが、それだけだ」
「……っ、当家は武家です。戦で功をたてずして如何様に王家への忠誠を示すのです?」
 ガンナ・エントラータの外に敷設されたテントから、言い争う声が聞こえてくる。
「もとより此度の追撃戦においてベリアルとの戦は望めまい。さらに、現状得るべき首級もなし。追撃戦で上げられる武勲は“どれほど数を減らしたか”に主眼が置かれることになりそうだ。ならば、昨年繰り返された遠征で“数を減らした我々が敵う戦場ではない”。見極めも必要だ。先のベリアルとの戦いで騎士たちも消耗している」
「存じています。ですが継続して戦場に立つ多くの騎士にとって条件は同じ。……おじさまの仰りたい事は、つまり“此度の戦では他の貴族兵団に勝つ目がないから出るべきでない”と」
「……ユエル。此度の指揮は、かの大公マーロウが執る。君は、“あれ”をどう思う?」
「“どう”? 王国騎士団の後ろ盾ともなった方で、今やこの国の推進力にもなりつつある方だと──」
「なるほど、残念だ」
 やがてテントから出てきた身なりの良い男は、去り際にこう言い残していった。
「騎士たちは私が引き上げておくよ。君は、街の様子を視察してから帰ると良い。君の友人肝入りの音楽祭なのだから」

 王国西方に領地を持つ貴族グリムゲーテ家の長子、ユエル・グリムゲーテ(kz0070)はその日ガンナ・エントラータに居た。少女は賑わう街中で、何をするでもなくぼんやりと街の景色を眺めている。
「黒大公を前に、自分でも焦っていた事は解ってる。でも、私……」
 この一年で、彼女を取り巻く状況は大きく変わった。だが少女の心根に変わりはない。
 国の為に大きな戦いが起こっている傍で、祭りを見て回る気持ちになんてなれないのだ。
 少女は噴水に腰をかけ、小さく溜息をついた。

リプレイ本文

 王国最大の港町、ガンナ・エントラータ。
 船乗りたちで溢れる活気ある港には、珍しい交易品を売買する商人や客でごった返しているのだが、この日は少し様相が違った。
 時に陽気に、時に厳かに、様々な音色で奏でられる演奏が町のそこかしこから聞こえてくる。それを目当てに集まる旅人たち(他国からの観光客も含む)が、より一層ガンナ・エントラータを賑わわせていた。

●心の汚泥

 その日、ユエル・グリムゲーテは音楽祭の片隅で、噴水の縁に腰をかけたまま俯いていた。
「自分でも焦っていた事は解ってる。でも、私……」
 だがしかし、その憂いは次の瞬間を以て強制終了させられることになる。少女の細い腕は、突然掴まれ強引に立ち上がらされたのだ。短い悲鳴があがるが、そんなことはお構いなし。そのままぐるりと身を反転させられると、目の前の“それ”はこう言った。
「あのね、ユエル。わたくし、王女様とお友達になってきたわよ?」
 ……これはまた随分なご挨拶である。世の中には手順だとか過程だとかを大事にする文化があるが、彼女の世界においてそう言った類の文化は序列が低いのだろう。
 唐突にユエルの視界いっぱいに広がる桃色。気付けば両腕はがっちり掴まれ、向き合う形になった相手はにこにこと笑っている。
「えっ!? ……あっ、エステル? あの……ご、ごきげんよう」
「ええ、ごきげんよう! ねえユエル、とっても楽しかったからいっそ3人でお友達になってしまってはどうかしら!」
 ユエルの前に突如現れたのは輝くような笑顔のエステル・L・V・W(ka0548)だった。
「3人? お、お友達……? よくわからないけど、システィーナ様に拝謁の機会があったなんて、すごいことね」
 瞬間、エステルが形の良い鼻先をひくりと動かした。
 ユエルの素直な感想の奥底にある何かに気付いたのだろう。
 エステルは、鼻が効く……というか、人を見る目が人一倍シビアのように思われる。恐らくそれは、彼女の生い立ち故の事でもあるのだろうが。
「ユエル、貴女なぜそんな顔をしているの?」
「私?」
 恐らくその“感情の在りか”にエステルは心当たりがあったのだろう。
 少女の腕を掴むと噴水を背に走りだしたのだった。



 ユエルが強制的に連行された場所は、旅行客で賑わう貸衣装店だった。
「おじさま、私とこの子に似合うディアンドルを2着貸してくださらない?」
「えっ!? まさか……」
「きっと似合うわ、愛らしいわ、素敵だわ! 貴女にはその瞳に合う深紅をお願いしましょう!」
 以下、ユエルに拒否権はないのでこのくだりは割愛しよう。
 開放的な街娘の装いに身を包んだ二人は、店を飛び出すと音楽祭の真っただ中に身を躍らせた。語り部からリュートを借りると、軽やかに爪弾いて歌い、満足するとすぐにまた駆け出し手近な心地よい音楽に身を任せてくるくると回る。
 ユエルはただただ彼女の圧倒的な力に振り回されるばかりだが、当然それだけではなくて。エステルが気ままに輝く様は、きらきら瞬く空の星を眺めているような心地だった。
 一頻り踊り明かし、お腹をすかせたのだろう。二人が立ち並ぶ屋台通りの屋外テーブルについたのは、太陽が真上を通り過ぎた頃だった。
 今朝がた抱えていた何らかの感情はおかげですっかり鳴りを潜めていたのだが、しかし、ユエルはたった一言で現実に戻される事になる。
「ねえユエル。貴女、殺したいのでしょう」
 それは今日、彼女が現れた時のように何の前触れもなく唐突だった。
 咄嗟の事に言葉を失い、答えるべき言葉も見当たらず、ユエルは黙ってエステルを見つめ返すばかり。
「仇討ちなんて、綺麗なことを言って。そんなのじゃないでしょ? 貴女は殺したいし、“それで自分が傷つきたい”のだわ」
 厳密に指摘通りではないが、似た何かを抱えている事は否定できない。
 それをユエルは“心の汚泥”だと考えていた。
 燃えるような怒りを心の内から消し去る術を知らず、しかしそれを表に出すことも憚られ、行き場を失った憤怒は今なお少女の内を焼き尽くしている。そうして燃え滓になった心をより集めて不器用にも仮面のようなものを形作り、そうして今、少女は辛うじて自我を保っている。
 それが、エステルには“解ってしまった”。
「ぶつかり合って、心の臓を刺して、蹴倒して、袈裟懸けに斬って、腕も折られて、唐竹割りに叩いて、兜もひしゃげて、肩から体当たりして、鎧も凹んで、引き倒して、喉笛に喰らいついて、ああ、その果てに――死ぬの。うっとりするわね」
「エステルは……そんな在り方を、“肯定”するの?」
 ふふ、とたおやかに笑う少女は。
「ええ、わたくしはとっても楽しい」
 こう応えた。その衝撃たるや。
「一緒に来ると言うのなら、止めはしないけれど。でも、お友達だもの。違うところが少しくらいあっても、楽しいと思うのよ」
「……そんな気持ち、許されるの?」
 想定外の問いに不思議な顔をしてエステルは言う。
「おかしな話ね。貴女の気持ちは貴女だけのものよ。誰かの許しを乞う必要など、この世のどこにもないのだわ。それで貴女の世界が変わるなら好きなだけ乞えばいいけれど。でも、違うでしょう」
 口を噤んだユエルは頑ななのではない。“自信がない”だけだ。一朝一夕は変えられないほどに。
「ねえ、ユエル。いらないなら、その怒りはわたくしに頂戴。代わりにわたくしは、愛をあげるから」
「……私、は……」
 エステルは、考え込む少女の頭を抱きしめる。
 一人の時間を作ってあげるつもりだろう。その後少女は、ユエルの元をそっと離れて行った。

●汝、罪人なりや

「音楽祭……か。賑やかだな」
 感慨深い思いで誠堂 匠(ka2876)が音楽祭を見回っていると、一際賑やかな通りに辿りついた。屋台が立ち並ぶ大通りはオクトーバーフェストそのもの。だが、昼間からエールを煽り、ラムチョップを頬張る人々のなか、一際目を引く少女が居た。
 鮮やかな深紅のディアンドルを纏う少女が一人。装いに反して彼女は力なく俯いている。祭りには余りに不似合いで、匠はどうしても見咎めたのだろう。
「よかったら温かいものでもご馳走するけど、どうかな」
 不意にかけられた声の“その主”に気付き、弾かれたように少女──ユエルが顔をあげた。
「えっ、匠さん……!?」
「うん。一人で、じゃ味気無くてね。助けると思って」
 少女を慮る優しい言葉だった。それが事のほか沁みたのだろう。少女はこみ上げるものを懸命にのみこみ、精一杯微笑んだ。
 屋台を二人で見て回り、「どれもおいしそう」と決めかねるユエルをリードするようにサンドイッチや温かい紅茶を購入。喧騒から少し離れたテーブルに向き合って座ると、漸く落ち着いた様子で少女がここしばらくの出来事を語り始めてくれた。
「そっか、ヴラドさんが協力してくれてるんだ」
「はい。私は“学業専念”を言い渡され……なんてことはない“父が亡くなる前までの生活に戻った”だけですが」
 自分を納得させようとしている口ぶりが気にかかり、匠は言葉を選びながら尋ねる。
「何か、悩んでいるんだね」
 不意に少女の瞳が伏せられる。だが、匠が相手ならばと覚悟したのだろう。ユエルはやがてこう訴えた。
「さっき、友達に言われたんです。私は“殺したいんだろう”って。それで、“殺して自分が傷つきたいんだ”って」
「間違えたらいけないよ。……君が殺したいのは“仇であるベリアル”だ」
「でも、おかしな話です。お父様を殺したのはクラベルであってベリアルじゃない。クラベルへの仇討ちは終わったのに、なぜ未だ怒りが消えないのでしょう」
 それは歪虚への強い悪感情。匠にも“心当たりがないわけではない”。だからこそ、少女の言葉に心の奥底がざわめいた。
「……俺は、ユエルさんの気持ちも分かる気がする」
「はい。解って頂ける気が、少しだけ、してました。だって……」
 言い淀む少女は穏やかに促され、白状するように応えた。
「匠さんはクラベルに言われていましたよね? “貴方は、私達にとても近い”と」
 青年の表情が一瞬強張った。ただ、それは過去に受けた侮辱に対しての苦みかもしれない。
「一つ、聞いていいですか」
「俺に応えられることなら」
「歪虚の七つの原罪の一つに“憤怒”があります。これは人の持つ悪の根源であり、だからこそ旧き人々が“罪”だと断定したものです。なのに……私の怒りは、抱えている罪は、仇討ちを終えてもなお消えることがない。私はさっき友達に“それ”を指摘されてしまった……。クラベルの言葉が頭から離れないんです。人が歪虚に似るということは、私はもしかして、このまま……っ」
 それ以上の言葉を、匠はやんわりと首を横に振ることで制止。そして……
「丁度いい、俺からも一つ話をするよ。実は、事件の前日エリオットさんと話をしたんだ」
「!」
「彼は言っていたんだ。──“機は必ず訪れる”と。彼は嘘を言うような人じゃない」
「……はい」
「だから俺は思うんだ。……彼は、生きている。必ず」
 思いがけない話に、ユエルが珍しく驚いた顔で固まった。多くの大人が、その言葉を口にしてはくれなかった。期待を持たせることは罪であるからだ。でも、彼は違う。
「ユエルさんの周りには温かい人が沢山いる。だから……大丈夫。力を蓄える事もきっと無駄にはならない筈だ。いずれ来る戦いの為に、ね」



 その後、匠はひとりある場所に向かって歩いていた。道すがら、あの日フリュイにかけられた言葉を何度となく思い返しながら。
『そうか、君だな? あの朴念仁が何か託したとかいう人間は』
 “彼”から匠に託された物などないはずだ。しかし、思い起こせば心当たりがないでもない。
 恐らくはこの世界で“彼”が匠にしか伝えていないだろう情報がある。
 “それをフリュイが知ったのは何時か”?
 これこそがユエルに伝えた話の“論拠”だ。“布の意味に気付き、それを共有した”のは間違いなくあの夜であり、彼が俺に何かを託したとするならばその時しかない。しかし、あの夜以後、彼は姿を消している。なのになぜ、フリュイがそれを知っているのか?
 この問いに対する答えは一つ。
 ──おそらく、パラディ卿は会ったんだ。事件の“後”、彼に。
 先の調査で、この街には彼を運び込める“手段”があったと解った。そして、フリュイがこの街で訪れた場所は。
 顔をあげればすぐそこに、館の門があった。あの日、この場所まで来ていながら、触れる事が出来なかった場所。
 匠は、静かに門に手を伸ばした。その向こうに友がいるのではないかという、微かな期待を抱いて。だが──
「そこの方、領主様に御用かな?」
 通りの向こうから声をかけてきたのは、腰を曲げた老人、のようだった。
「ああ、いえ。立派なお屋敷だなと……」
 匠は怪しまれぬようすぐさま手を離し、律義に老人に頭を下げてすれ違おうとするが、しかし。
 刹那、衝撃的な言葉が全身を駆け抜けた。
『残念だが、“交易品は既に出荷された”後だ』
 賑わう雑踏に消えゆく“老人”だった男の影を見送り、匠は拳を握りしめる。

 今はただ、自分の出来る事をしよう。友の為……そして、自分が前に進む為にも。


●漂流教室

「音楽祭、なんだか懐かしい感じがします。……あら。もしかしてあれは?」
 賑やかな町の景色に遠き日の面影を重ねていたシルウィス・フェイカー(ka3492)。
 そんな彼女の目に突如飛び込んできたのは、ひとりの教え子の姿だった。
「ユエルさん、こんにちは。こんなところでお会いするなんて奇遇ですね」
「シルウィス先生? ごきげんよう」
 驚いたのも束の間、ユエルはディアンドルの裾をつまんで挨拶を交わす。
「はい、ごきげんよう。お祭りだから、今日はお洋服が特別なんですね?」
「あの、はい……ちょっと、恥ずかしいですよね。浮かれてるみたいで」
「“恥ずかしい”は違うんじゃないですか? お祭りは浮かれるものです。うきうきして、心を軽くして、そうして明日の活力にするものですから」
 目からうろこのような顔をしているユエルに温かく微笑みかけ、シルウィスは軽い立ち話のつもりで彼女に近況を訊ねたのだが……やがて嘆息する事になる。ユエルの言葉の端々から“自分が今楽しむ事は不適切ではないか”というニュアンスを感じてしまったからだ。
「また、何かを悩んでいらっしゃるんですね」
「……答えは見つかっていないのです。ただ、背を押して頂いた分、少しでも前は向かなければ、と」
「前を向いた結果、どうなりました?」
「このお祭りを、ちゃんと見て回ろうって思って」
「けれど、どうにも貴女は自罰的に過ぎる所がありますね」
 苦笑するシルウィス。見透かされ、ユエルは肩を落とした。

 喧騒から離れ、通り沿いのカフェに入るとシルウィスはコーヒーカップをテーブルに戻して息を吐いた。
「なるほど。たしかに仰る通りです。十年前の私なら、貴女と同じことを言うでしょう」
 王国で繰り広げられている黒大公追撃戦の傍で祭りを楽しむ気持ちになれないという少女の思いは、理解できないものではなかったのだ。
「悲しんでいる誰かがいる。傷ついている誰かがいる。それは、ユエルさんも今まさに感じとっていますよね?」
「はい……」
「覚醒者たる私は、私達は、そんな人たちのために戦える存在だから──かつての私はそう言って、寝ても起きても弓と矢を握り締めていました」
「シルウィス先生が、ですか?」
「想像できない、って顔ですね」
 はっとしたユエルが申し訳なさそうに首肯した。
「はい。どこか生き急いでいるようで、今の先生の姿には重ならなかったもので」
「でしょうね。若い頃そんなだった私は、そうしてお祭りの時まで仏頂面で居たものだから、旅の道連れに本気で怒られてしまったんです」
 くすくすと、思い出しながらシルウィスが笑う。その笑顔が余りに幸福そうに見えて、ユエルまでつられて口角が上がった。
「ですからそれからは……できるだけ笑顔で過ごすように心掛けています。笑って過ごせる時間というものは、本当に、大切ですから」
「……笑って過ごせる時間」
「ええ、それがまさに“今”だと思いますけど、ユエルさんはどう思います?」
 難しい話ではないですよねと諭されているようで、少女は俄かにばつの悪そうな顔をしたが、確かに頷いた。
「戦場に比べれば、そうでない時間は確かに“笑っても許される”ような……気は、します」
「“許される”、ですか」
 気がかりなキーワードだ。耳にしたシルウィスは顎に指を絡める。
「ユエルさん。以前の繰り返しになるけれど、もう一度だけお聞きします。貴女自身は、どうしたいですか?」
「……え?」
「仇討ちのために剣を取るのは悪いことではないでしょう。ただし、戦うのは”貴女一人ではありません”」
 ティーカップに手を添えたままシルウィスを見つめている少女は、きっと懸命に思考しているのだろう。十六そこらの少女が国の為、数多くの大人を率いて戦場に立つのだ。こんなことを後押しする程度は年長者の役目であっていい──そう思いながら、シルウィスは“笑う”。
「共に戦う方々にも、それぞれに大切な人がいらっしゃる。そのことを、どうか忘れないでください」
「私一人では戦えない。それは強く理解しています。そして、共に戦う皆さんに大切な人がいることも。……ならば、どうすればいいんでしょう。一人でいくことも愚かしく、誰かと行くことも叶わない。私は……私の、この……」
 ──“憤怒”は。
 その言葉を胸の奥底にしまい込むように、ぎゅっと胸元のフリルを握りしめる。
「ユエルさん、この音楽祭は、システィーナ様の想いが込められた催しだと聞いています。貴女が王国の騎士を目指しているのならば……」
 そこまで言って、はたと気付いたシルウィスは緩く首を振って言い直す。
「いえ、違いますね。“姫様のご友人”であるならば。このお祭りをめいっぱい楽しみましょう。きっと素敵な思い出になりますよ」


●思索と再会

「気も晴れるかと思い寄ってみましたが……」
 多くの観客に盛り上がる音楽祭のステージを横目に、人の流れと逆行する少女がひとり。
 ──やはり、そう簡単ではありませんね。
 クリスティア・オルトワール(ka0131)は独り言ち、溜息をついた。

 少女の心を曇らせているのは、初夏に勃発した王国騎士団長暗殺事件だった。
 クリスは“あの男”が死んだなどとは小指の先ほども思っていない。それには幾つかの理由があるが、最たるは一つ。今から遡ること2~3カ月ほど前、偶然請け負ったアークエルス領主フリュイ・ド・パラディの警護案件でのことだった。
『騎士団長の暗殺は、“予め仕組まれたいた”し、“王国メディア、ないしは国にまで通じる誰かが関与していた”ってことさ』
 フリュイは、事も無げにこんな推論を唱えたのだ。
 何も知らない民間人をただからかう意図か、あるいは極めて確度の高い推論か。
 少女は自らの考察をもと、この言葉が“後者である”ことを強く信じていた。
 ──彼は死を予期してたかのように引継ぎなど全てを事件前に終えていた。そして、暗殺が予め仕組まれていたものとするパラディ卿の推論と照らし合わせれば……およそ二つの可能性が浮かび上がる。
 “本当に殺された”か。もしくは、“エリオット自身も加担した狂言的失踪か”だ。
「色んな方に心配をかけ、悲しみを与えて、何をしているのですか、貴方は……」
 不意にぶつけたくなった言葉を伝えるべき相手は今ここに居らず、それは初冬の海風にさらわれてゆく。
 腕や足の一本でも見つかれば信憑性も出るのだが、そう言うわけでもない。だからこそ、こうして“生存の望み”を捨てられず、楽しみに溢れる音楽祭で暗い思考に捉われてしまうのだ。恨み事の一つや二つでは到底足りるものではない。
 ──そもそも、あの人が死んだと断定できない根拠は、現状ただ一点しかない。それは“遺体が発見されていない”という事実のみ。
 遺体を運び出すのは犯人の逃亡においてリスクを高める。なのになぜ、置いていかなかったのか?
 さらに、最後の目撃情報があった王城には番兵も多数控えていた。なのになぜ、その後の情報が一切ないのか?
 先の“仕組まれていた”というフリュイの言葉と合わせ、この事件には少なからぬ関係者の存在が考えられる。
「それが有力者……でしょうか」
 賑わう町の温度と少女自身の心の温度が余りに離れていたものだから、これ以上心が結露で曇らぬよう、無意識に少女は人混みを避けて歩く。
 だからというわけでもないが、気づけば見覚えのある場所に出た。それは、“先の依頼の目的地”を臨む閑静な公園。
「……あそこは、音楽祭だと言うのに変わらないですね」
 ここからは、ガンナ・エントラータ領主ヘクス・シャルシェレットの館が見える。
「そういえば、あの人は──事情聴取になんと応えたんでしょう」
 視線の先には、その人物の邸がある。記憶によればヘクスはエリオットの無二の友人であったはず。
 だが、当のヘクス側の動きや証言は特に聞こえてこない。エリオットの報道にもまるで堪えていないように、夏頃は闘祭などを催し興じていた。人間らしい心など、あの男に期待してはならないのかもしれないが。
 不穏な心を和らげるためにも、クリスは先程カフェで購入していた温かなチョコレートモカを両手に、近くのベンチに腰を下ろす。絡まりきった思考の糸をほどくには、静かな環境と落ち着ける椅子、そして多少の糖分が必要だったのだ。
 しかし、不思議な縁はあるもので。
「……もしや、クリスティアさん?」
 頭上から降ってきたのは、聞き覚えのある少女の声。
「ユエル様、ご無沙汰しております。あれから一年……でしょうか」
 黒大公配下クラベルの討伐戦以来──両者の認識に相違はなく、ユエルは少し苦味のある大人びた表情で笑んだ。
 やがて二人の少女はベンチに並んで座り、互いの事情をぽつりぽつりと伝え合う。
「因縁深き敵、死者の為に戦いたい気持ちも理解できます。ただ、自論ですが……今は先を見据え温存して損はないかと」
 冷静で建設的な意見は、感情論を理解しがたいユエルには一番真っ直ぐに響いた。
「べリアルは逃亡した。ならば必ず……討つ機会はあるでしょうから」
「はい……仰る通りです」
 いつか機会がある。その“希望”があれば、今は真っ直ぐ前を向いて立てると──ユエルは、そう答えた。
「ところで今お暇でしょうか?」
「一応、お祭りの視察を……と思っていますが」
「丁度よかった。お祭りを見て回りたいと思っていたのですが、一人は寂しいので見知った方がご一緒だと嬉しいのです」
 生真面目なユエルに、クリスティアはくすりと小さな笑いをこぼす。
「は……はいっ! 是非に!」
 そうして、二人の少女は賑わう音楽祭へと戻って行った。互いに、強い志を持って。

●月明かり、夜の海

「夜になっても、静かにならないわね」
 独り言ちるブラウ(ka4809)の眼前に広がるのは夜の海。そこはただただ暗い闇を映していた。
 空に浮かんだ月の光が海面に映り込むほかは何もない。その単純な暗さが、少女の胸を刺す。
 ──真っ暗で何もない、なんて……まるでわたしみたいね。
 海を相手にしても詮無いことだが、自虐的な思いが少女の胸中を支配していた。
 たった一つの輝きすら、月を反射しているだけの借り物の光。それは真実、自分自身の輝きではないのだけれど──でも、思い返して気がついた。自分自身の心の内には“確かに光がある”ことの証左だと。
「いつのまに、映り込んでいたのかしらね。あの光は」
 思い出したように、少女はバスケットから一つの袋を取り出した。それは昼間子供たちに配っていたクッキーだが、中身が運悪く割れて砕けてしまい、よりわけていたものだった。

 ──初めて“あの男”と出会った時の事。その記憶を掘り起こすたびに、ブラウの胸中には苦みが奔る。
 高度な戦略、戦術など頭になかったブラウは、驚くほど呆気なく敵の牙にかかって倒れることとなったのだ。
 彼の目の前で晒した醜態は、余りに苦い記憶。しかし、同時に旅立ちの日にもなった。あの日から、ブラウの在り方は一変したからだ。
 心技体、その全てが足りないことに気付いた。
 足りない自分を“あの人に見せたくない”と、無自覚にそう願ったのかもしれない。
 いつか必ず見返してやりたい、私はこんなものじゃない──ただただ、そんな悔しさから始まったのかもしれない。
 そうして、とにかく自らを鍛えた。やがて、怨敵をこの手で斬り伏せることができた。
 けれど、それだけじゃ駄目だった。道はまだまだ遠い先へと続いていたのだ。
 自分はちっぽけで、まだまだ弱くて、納得がいくことなんて一つもなくて。
 ずっと先を往く遠い背中が悔しくて切なくて、毎日毎日、小さな体がぼろぼろになっても音をあげることなく走り続けてきた。
 そうして走り続けるうちに、少女は気がついたのだ。
 いつかの日に遠く見上げた月が、自分の心の中にまで燦然と輝く、誰にも穢されることない“道しるべ”となっていたことに。

 ブラウの手には、袋の中で割れてしまったクッキー。
 それを見るとどうしても思い返すことがあった。それは、“光”──エリオット・ヴァレンタインと最後に交わした話だ。
 あの時の彼の顔を、執務室に漂う空気を、匂いを、半年が経過した今でも忘れる事が出来ずにいる。
『もし明日“光”が消えたとして……お前はそれを追い続ける覚悟があるか?』
 問われた覚悟は、今も棘のように心に突き刺さっている。
「……エリオットさん、貴方は自分の身に何が起こるのかわかっていたの?」
 あの日、想いを伝えられたと思ったのに。“光”はすぐ手の届かない場所に消えてしまった。
 水面に映る輝くお月さまを両手で掬い上げたはずなのに、けれど手の中にお月さまの姿は見当たらなくて。
 ──本当は不安が無いわけでもない。けれど、約束を交わした。“追いかける覚悟がある”と。
 いつだって、見えなくたって、貴方の背中を追い続ける、と──。
「絶対に見つけ出してみせるから……」
 こみあげる何かに気付かないふりをして、少女は立ちあがる。
 しかしその時、多少の老いを感じる男声が辺りに響いた。
「おい、娘。こんな時間にひとりで何をしている」
 今日は運よく月が美しい。明るい光が注いでいるからこそ、相手の顔を判別出来たのだが。
「……貴方」
 覚えがあった。恐らく“現”王国騎士団長──ゲオルギウス・グラニフ・グランフェルトだろう。
「親とはぐれたか? 自警団は何をしている、全く……」
「悪いけど、わたしは立派な大人よ」
「子供はみなそう言う。いいから来い。居合わせた縁だ、祭りの本部まで連れて行ってやる」
「な……っ」
 強引に腕をとり、明るい街路へブラウを連行する男の腕は思いのほか強い。
 だが、ブラウはそれに強烈な反発を見せた。
 相手の腕をねじ曲げるように瞬時に身をひねると、状況を理解した男は咄嗟に少女から手を離す。
「……馬鹿力め、貴様ドワーフか」
「種族差別なら叩っ切るわよ」
「酒と暗がりのお陰で見誤った。……耄碌したものだな。許せ」
 意外にもすんなり謝罪し立ち去って行く騎士団長。それには多少拍子抜けしたが、気を取り直してブラウは男の前に進み出る。
「あの……心配してくれただけよね、貴方。わたしも悪かったわ。これお詫びだから」
 面倒くさそうに顎鬚を掻く男に、ブラウはお詫びの印とばかりにまだ無事なクッキーを取り出す。
「ふん、祭りはこれだから面倒だ」
 けれど、男は受け取ることを拒み、最後まで自分の名を告げずにその場を後にしていった。
 初冬の海風に冷える貿易港を背に──。


●手を取り合って、そして……

 音楽祭二日目の朝。
「リラ(ka5679)と言います。よろしくお願いしますね」
 リラが挨拶している相手は、数匹の猫──ではなく、今では王国で馴染みになりつつあるユグディラたちだった。
 リラがなぜ彼らに挨拶したか。それは、音楽祭のステージ裏で彼女が開口一番告げた言葉に端を発した。
「折角ユグディラのみなさんと手を取り合い、黒大公を撃退した“今”ですから、人も、亜人も、ユグディラも、みんなみんな巻き込んで演奏したらいいと思いませんか?」
 確かに、ステージでは無い場所──例えば公園の一角であったり、ただの街角であったり──でも様々な音楽が披露されている。
 それはそれで当然良いものではあるのだが、それら個別の演奏者たちの力を集めればより素敵な事ができるのではないか──という提案だ。
 結果、リラが声をかける事ができた数名の楽師たちと、その辺でちゃかぽこ音をたてていた猫数匹を拾い集めて簡易混成楽団が結成されるに至る。
 猫たちにこの話が伝わっているかは定かではない。だが、応じてくれたのだからきっと気持ちは通じあえていると信じている(と言うより信じたい)。

 リラたち混成楽団がステージの演奏に選んだのは聖歌だった。
 ただ、今日この祭りという場に、あの神々しさは少々厳か過ぎる気もする。そんな理由から、彼らはみんなで楽曲へとアレンジを加えることとしたようだ。
「単純にテンポをあげるだけで印象は結構かわりますけどね」
「ベルが多いと神聖で静粛な印象になりがちですから、リラさん以外のベルパートは全て他の楽器に振り替えましょう」
「所々キメにパーカッションを当てるのもいいですよ」
 結局アレンジとその練習、リハーサルに多く時間をあてることになったが、この工程で得られたものは確かにあったらしい。
「んな~……」
 リラの足元に、白靴下模様の黒猫がやってきた。集めた猫の中で一番のちびだ。
 ちびは時々様子がおかしく、辺りをきょろきょろしては、“何もない”ことを確認するとホッとしてまた木琴のバチを握りしめる。
「どうしたの?」
 よくわからないが、本番前で緊張しているのかもしれない。(彼らにそんな感情があるか定かではないが)
「大丈夫だよ、楽しくやろうね」
 体をゆっくり撫でてやると、ちびは耳をへちょりと下げて気持ちよさそうに目を閉じた。

「みなさん、こんにちは! 今日は精一杯歌わせていただきますね!」
 ステージに躍り出た人とユグディラの混成楽団は、その編成だけで人々を熱狂させた。なにせ先の黒大公襲撃においても、この混成組織の攻勢によって人類が初めて勝利を収めることができたばかりだ。
 盛り上がる観客を前にいよいよ前奏が始まる。人々が流れてくる音楽に耳を傾けると、それは誰もが知っている楽曲で。
 リラは、ベルを鳴らしながらステップを踏み、軽やかに歌い上げていたのだが、何かを思ったのか、突然間奏の合間にステージの真ん中で大きく腕を広げてみせた。
「猫さんも私たちも、そして戦場に立っていない人も。ここにいるみんなが力を合わせて得た勝利です。だから、みんなで楽しみましょう」
 歌い手からのコールが響いた途端、わぁぁぁっと歓声が上がり、やがて無数の声がリラの歌声に重なりあってくる。
 ──やっぱり、みんな大好きです。祈りは届く、歌は響く。“私たち”はそれを今まさに体感している。
 だからこそ、今日と言う日の出来事を忘れないよう心に刻みつけることとした。

 ステージ終了後、リラは共に演奏した楽師たちと別れの挨拶を交わし、最後に足元にくっついていたちび猫を引き剥がそうとした──瞬間の出来事。
 突如、リラの頭の中に“イメージ”が流れ込んできた。
「えっ……羊の、歪虚……でも、これは? 様子が、おかしい……」
 しかし、そのビジョンはすぐにかき消える。
 我に返ったリラの周囲から、既にあの猫たちの姿は消えていたのだった。

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MVP一覧

  • 想いの奏で手
    リラka5679

重体一覧

参加者一覧

  • 古塔の守り手
    クリスティア・オルトワール(ka0131
    人間(紅)|22才|女性|魔術師
  • その名は
    エステル・L・V・W(ka0548
    人間(紅)|15才|女性|霊闘士
  • 黒の懐刀
    誠堂 匠(ka2876
    人間(蒼)|25才|男性|疾影士
  • 平穏を望む白矢
    シルウィス・フェイカー(ka3492
    人間(紅)|28才|女性|猟撃士
  • 背徳の馨香
    ブラウ(ka4809
    ドワーフ|11才|女性|舞刀士
  • 想いの奏で手
    リラ(ka5679
    人間(紅)|16才|女性|格闘士

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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/12/04 18:30:23