地下で視る幻 ~ミヤサ~

マスター:天田洋介

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/12/19 12:00
完成日
2016/12/28 04:27

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 十七歳のミヤサ・カミーはリアルブルー出身者。登山家を目指していた彼女だがクリムゾンウェストで選んだ職業は探検家である。
 数年前に転移で飛ばされた場所はグラズヘイム王国南部の沖だった。
 山登りしていたはずなのに突然海中へと叩き落とされたミヤサはパニックを起こす。彼女の命が助かったのは一緒に転移した五歳違いの兄サマトのおかげだ。
 波間を漂っていたところ近くを航行していた帆船に拾われて、伯爵地【ニュー・ウォルター】の城塞都市マールへと辿り着く。
 ミヤサとは違い、サマトはマール郊外の村にある鍛冶屋に弟子入りしていた。
 月日が流れてミヤサは久しぶりに兄が住む村を訪ねる。ところが兄の姿はなかった。数日前、村から程近い場所に大穴が空く。その調査をしたところ雑魔の騒ぎが起きて失踪してしまったのである。
 急いでハンターズソサエティー支部に連絡。ハンターの力を借りて無事に兄を救いだす。そして神事としての崖上りにも挑戦。ハンターと一緒に前人未踏の記録を打ち立てる。
 そしてマールに住む商家の夫人からの依頼を受けた。ハンターの協力を得て廃墟と化した別荘から祖母の形見を見つけだす。その実力は噂となり、ついにマール城まで届くこととなる。

 ミヤサは伯爵地領主の妹、ミリアにマール城へと招かれた。盗まれた黄金鎧の部位を探して欲しいとミリアに願われて承諾に至る。ハンター達と共に黄金の冑、胴の上半身を探しだす。
 しばらくして予期せぬ事態となった。白髭の紳士『ボリウ・ウスタ』が最後の部位である黄金の左足を持参して城へと現れたからである。
 ミリアは協力を受け入れながらも、嫌疑の目を向けていた。紆余曲折の末、やはりボリウは裏切った。彼にとって鉱物マテリアルの鉱床発見が目的だった。
 鉱床探しに向かったミヤサとハンター達は、鍾乳洞のような石筍だらけの坑道を発見する。
 探検によって鉱物マテリアルと思しき青い鉄鉱石擬を発見。普通の赤茶けた鉄鉱石に混じってごく少数だけが見つかった。


 ミヤサとハンター一行によってマール城へ届けられた青い鉄鉱石擬の解析は進んだ。それは間違いなく鉱物マテリアルであり、かなりの純度との結果がでる。
 埋蔵量の点で鉱床としての存在意義が疑われていたものの、それは杞憂に終わった。炉で純度を高めていく方法よりも一塊で手に入れられるほうが余程効率がよい。少ないと思われた個数も純度からいって採算にたり得る。とはいえ大きな問題が残った。
 ここはマール城。ミヤサとミリアが応接間で差し向かいに相談していた。
「それはどういうことでしょうか?」
 ミヤサは香りよい淹れたての紅茶を前にしてミリアに訊ねる。
「テュリア鍾乳洞、もといテュリア鉱床で発見された青い鉄鉱石擬ですが、魔法生物の発生が危惧されますの。おそらく報告にあったスライムのような軟体もその一種だと思いますの」
 ミリアは詳しく説明した。青い鉄鉱石擬は非常に中途半端な状態にあるという。そのせいでマテリアル残滓と似た性質を持っているとのことだ。小石一つだけでは問題はなく、また製錬を経れば利用価値は大となる。しかしそれなりの数の小石が一所に集まると魔法生物発生の危険性が高まるとのことだ。
「大昔に廃坑にしたのもきっとそれが理由ですの。ただ当時よりも技術は発展していますし、注意深く採掘すれば問題ありません。ただその前に魔法生物は一掃しなければなりませんの」
 ミリアが坑道内の地図を指し示す。
 地下空間にあった六本の坑道にはAからFまでの記号が割り振られていた。ミヤサとハンター達が埋められていなかったAを探検済みだ。残る五本のうち、BとCをミリアの指示で坑夫達が掘り返し中である。
「まずは坑道BとCを探検し、巣くう魔法生物を退治してもらいたい。ということでしょうか?」
「その通りですの。魔法生物が例え一匹もいなくても、規定の報酬は払わせてもらいますの」
 取引は成立する。ミヤサは城を立ち去った足でハンターズソサエティー支部へ。ハンターに協力を求めるのだった。

リプレイ本文


 テュリア鉱床へ辿り着いたハンター一行は早々に地下を目指す。六本の坑道が交差する地下空間では掘削工事が行われていた。
「どっちの坑道工事も大詰めみたいですぅ」
「これ、ミリアさんから預かってきたよ。まぁ、できるだけ早くやるから数日待ってよ。スライム見逃しちゃうかもしれないから」
 星野 ハナ(ka5852)と玉兎 小夜(ka6009)が現場責任者に委任状を手渡した。
 現場責任者はB坑道が貫通したところで坑夫達に退去命令をだしてくれる。その場には一行だけとなった。
「なにがあるんだろーねっ! ふっふっふ、レムさんのお楽しみといったところですな…! さー! ごーごー!!」
「滑りやすいから足元に注意したほうがいいな」
 レム・フィバート(ka6552)とアーク・フォーサイス(ka6568)が砕かれた岩の山を駆けあがる。ランタンで隙間を照らしたときに流れる風が感じられた。
「さぁ、行こうよ! 中に何があるのかワクワクするよね!」
 時音 ざくろ(ka1250)も張り切ってB坑道へ。頭をぶつけないよう中腰で潜り抜ける。
(久しぶりの冒険で張り切っているみたいですね、ざくろ。今日は大人しくいうことを聞いてましょう、ええ)
 続いて舞桜守 巴(ka0036)も向こう側へ。想像していたよりもB坑道は広い。地面から天井まで自身の身長の三倍はあって横幅も同程度だ。
「これならワイヤーや鞭を使っても差し障りはなさそうですね」
 隙間から顔を覗かせたアデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)はほっと胸をなで下ろす。所有する武器が役立ちそうだと。
「――がー、どうくつにはーいーるーっと。たまには童心に帰って探検ごっこってのもいいかね」
 リズミカルな調子で唄いながら隙間を潜り抜けたのは銀(ka6662)である。
 最後はミヤサが潜り抜けた。
 魔法生物が発生していた場合に備えて、簡易ながら隙間を埋めてから出発。隊列を組んで冒険に挑む。
 カンテラ片手に時音が先頭を歩く。舞桜守巴、玉兎小夜、銀、アデリシア、星野ハナ、レム、アークと続き、殿はミヤサが担った。
「石筍の数が他のところよりも少ないような」
 ミヤサが坑道の様子を眺めて呟いた。
「石灰質の地層から外れているってことなのかな? アーくんはどう思う?」
「その可能性は高いと……あ、そこ、足元危ないよ」
 レムとアークも不思議がる。レムは時折立ち止まり、魔導カメラで坑道内を写す。
「斬魔刀を余裕で振り回せるぐらい広いところも、あるね」
 玉兎小夜が土壁をぺたぺたと触りながら、外で拾い集めた小石を落としていった。周囲の石と色が違うのでよい目印となり得る。
「なんか土産になりそうな物はないかね。珍しいなら何でもいいんだが」
 銀は見逃しがないよう暗がりに灯りを近づけて眼をこらした。
「魔法生物がいないなら、それが一番ですけど」
「気配はないよね」
 突然に坑道の行き先が広がって、舞桜守巴と時音が立ち止まる。敵の巣がありそうな場所だったが、時音がアナライズデバイスを使ったところ危険な兆候は見当たらない。
「パルちゃんとスッチー、あそこだけ視てきて欲しいのですぅ」
 星野ハナは視界が届かない立ち並ぶ石筍の奥が気になる。ロープのポケットから子猫が飛びおりて、精霊と一緒に調べてくれた。安全だとわかったので食事休憩をとることにする。
「そういえば魔法生物ってどういう形をしているんでしょうね」
「以前はスライムでした」
 アデリシアの疑問にミヤサが答えた。軟体タイプだと地割れ等に潜むことが可能だ。警戒は常に必要だと全員で気を引き締める。
 B坑道は隈無く調べられ、深い縦穴がいくつも見つかった。縄にカンテラを結んで下ろし引き上げても炎は灯ったまま。ガスは溜まっていない。クライミングが得意な時音とミヤサがすべての穴底を確かめる。鉱石の類いは発見できず。魔法生物もいなかった。
「鉱脈から外れていたせいで、放棄されたとみていいんじゃないかなぁ」
「そんなところだろうぜ。ここじゃ商売あがったり……いや、こっちの話だ。気にすんな」
 玉兎小夜と銀の意見は全員の考えでもある。魔法生物がいない時点でB坑道に青い鉄鉱石擬は存在しないともいえた。もう一日かけて調べ尽くしたところで撤退。一旦地上へと引き返したのだった。


 地上で一夜を過ごす。
 玉兎小夜はミリア宛の手紙にB坑道の調査結果を認める。翌朝、手紙を預けてから仲間や坑夫達と共に坑道が交差する地下空間へ潜った。
 C坑道の掘削が再開。貫通まで大して時間はかからず、B坑道のときと同じように坑夫達には退避してもらう。一行はC坑道を探検し始めた。
「B坑道とは違いますね」
「確かそうですね。石筍がたくさんあります。ほら、あそこなんて石のカーテンみたいですよね」
 舞桜守巴とアデリシアの話しを時音は聴いていた。「なら魔法生物もいるよね」と会話に加わって、腰にぶら下げていたホーリーメイスに触れる。
「戦うんならこういうとこがいいじゃん」
 徐々に坑道が広がっていく。玉兎小夜が仰いだ天井は足元からゆうに十mはあった。その間を繋ぐ太い石柱が何本も見かけられた。
「わざわざ掘ったんでしょうかねぇ」
「採掘ならこうする必要はないよな」
 星野ハナと銀がスコップで近場の石筍を壊す。露わになった土壁を見る限り、人の手で掘られたとは考えにくかった。掘り進めていくうちに自然鍾乳洞に繋がってしまったと考えた方が自然である。
「すごいねー。どうやったらこんなのができるだろー! これで色んな物をおさめてくれよう……また来るかわかんないしね!」
 写しているレムを見守っていたアークに嫌な予感が走った。彼女の肩を掴んで自らに引き寄せる。
「何だ? この感じは」
 銀も勘づいて眉をひそめたものの、その原因特定までには至らない。
 注意深く先へと進んでいく。ミヤサの足元がふらついたとき、仲間達の体調にも異変が生じた。ある者は眠気に目を擦り、ある者は体中の力が抜け落ちて、その場へ座り込んでしまう。
 目眩に耐えながらも、星野ハナだけは意識を保っていた。
「みなさんどうしたんですかぁ~。しっかりしてくださいよぉ~」
 耳に届いていた星野ハナの声が遠ざかっていく。八人のハンターはそれぞれ幻へと誘われていった。


 舞桜守巴の視界を覆っていた霧が薄らいでいく。何処なのかわからずに彷徨っていると人影が浮かんでくる。
「…あ、れ。お父、様……?」
 正体がわかった瞬間に足が止まった。
「あれ、これは、前に……っ!? そうだ、なんであの時みたいな……」
 まるで昔の出来事をなぞるが如く、父親の背後からもう一人が現れる。
「ぃ、いや、です、私はそんな人と結婚なんてしたくない……!」
 いつの間にか父親に腕を掴まれて引っ張られた。抵抗するものの力が入らず、ずるずると引きずられてしまう。
「助けて、助けて……ざくろ、ざくろぉ……!」

 湯煙にまかれた時音の目前に突如として岩風呂が現れる。
「あれ? どうしたのか、わぁ、こんなとこに温泉があるよ……って、わわわわ!」
 時音が慌てたのは、服を脱ごうとする舞桜守巴とアデリシアが見えたからだ。急いで後ろを向いたものの、二人のほうから腕を絡ませてきた。
「駄目だよ……えっ、一緒に入るの」
 心臓の高鳴りでどうにかなりそうな時音である。

 アデリシアが視たのは時音のと対になる幻覚だった。
 寒さに震えていたところで温泉と遭遇。一緒だった玉兎小夜と入ろうとしていたところへ時音がやって来る。
「ざくろ……」
 恥ずかしいのはほんの一瞬。一緒に温まろうと時音に腕を絡ませて温泉へと誘う。三人で白濁の湯に浸かると、寒さはどこかへと吹き飛んでしまった。

 玉兎小夜はいつの間にか柔らかいベッドの上に寝転がっていた。真っ白なシーツの触り心地がとてもよい。
 ふと顔をあげるとベッドは一つだけではなかった。
 視界のすべて。草原の地平線まで何百、何千、何万のベッドで埋め尽くされている。景色が歪むとベッドは一つに繋がり、広大で柔らかな世界と化した。
「ちょっとだけ……。少しだけ……」
 そう呟いて丸まりながら「すやぁ」と夢の中へと誘われてしまう。

 銀の幻は平素と変わらぬものであったらしい。
 彼女らしき名前と一緒に「うへへ、もっとしば●てー」と叫んでいた。現実の彼は地面に転がってクネクネと身体をうねらせる。そうかと思えば突然仁王立ちとなり、にへらと笑った。
 奇行の最中、銀はとても幸せそう。恍惚の表情を浮かべていたとは、見かけてしまった者の弁である。

 レムが森の中を彷徨っていると遠くの切り株に誰かが腰かけていた。最初はアークだと思って駆け寄ったものの、どうやら違う。
「ししょー? ししょーがいるの?」
 振り返った顔を眺めて、レムがわずかに後ずさる。
「あ……え、えっと、ごめん。合わせる顔、ないから……」
 そういった矢先、師匠は跡形もなく消える。「って……いないじゃんっ!?」と叫んだ彼女の声が森に木霊し続けた。

 アークは突如として現れた人物へと足早に近づく。刀を構えていたのは憧れの姿。戦い方を教えてくれた師匠であった。
「師匠はとても強くて……憧れてハンターになったんだ」
 懐かしい師匠の構えを眺めて脳裏に思い出が蘇る。この人に追いつこうと、『超えたい目標』だと強く願ったことを。

 ミヤサが視た幻は子供の頃の出来事。クライミング練習の途中で、疲れて諦めかけてしまう。そのとき、すでに登りきった兄が励ましてくれる。
 もう一踏ん張りと体中の力を奮い起こして頂へ。兄が「がんばったな」と誉めてくれたことが何より嬉しかった。

「さあ、みなさん幻から覚めてくださいねぇー」
 星野ハナの声でミヤサが目を覚ます。彼女が一人ずつ、全員を原因と思しき一帯から移動させてくれている。
 座って抱き合う時音、アデリシア、舞桜守巴もやがて正気を取り戻した。
「あー……嫌なこと思いだしました」
 舞桜守巴は落ち込んだ様子。
「原因は胞子だよ……。かなり離れているけど、口元を布とかで覆ったほうがいいよ」
 時音はすかさずアナライズを使って幻覚の原因を突き止める。
「まだ残っている人もいますね。順にかけていきますから」
 アデリシアは幻と現実の狭間で揺らいでいる仲間にサルヴェイションを施していく。
 玉兎小夜はよく寝たといった感じで、すっきりとした表情を浮かべていた。
「逆ハーうはうは女王様の夢が見たくないわけじゃないんですよぅ? でも魔術系後衛の私が落ちるような事態だと大抵の人は助からないと思うんですよねぇ……」
 星野ハナが指さした一帯に茸が生えている。時音が調べた結果と同じく、茸の胞子が幻覚の原因であった。
「ここでコレ燃やしちゃったら酸欠ですよねぇ……式ちゃん、代わりに毟って全部袋に詰めちゃって下さいぃ」
 星野ハナが打った式が幻覚の茸を集めてくれる。C坑道の出入り口にあった土嚢用の麻袋に詰めておくことで事態は収拾するのだった。


 突然のハプニングで中断されたものの、C坑道の探検は続いた。魔法生物が一番奥まった空間にわらわらと出現。殲滅すべく一行は迎え撃つ。
「おりゃ!」
 銀が振るった鉄パイプが茸型魔法生物の頭部を叩き飛ばす。笠の部分が円盤投げのように回転しながら遠くまで飛んでいく。
「とーりーあーえーず! レムさんは突撃っ!」
 瞬時に間合いを詰めたレムの鉄拳が炸裂。震撃を食らった切り株型魔法生物が散り散りになって四散した。
 軟体の魔法生物ばかりではなかった。身体に岩を貼り付けた個体には効果が薄い。そこで別の技を試す。
「よ、よろいとーし? 鎧徹しだ! それで殴ってみよーっ」
 振りかぶった姿勢から拳が呻る。レムにぶん殴られた硬い魔法生物が天井へと激突。やったとふんぞり返った彼女に小規模な落盤が降り注いだ。
 アークはレムとそれほど離れていない位置で戦っていた。
「お前、邪魔だね」
 剣心一如の構えから呼吸を整える。襲いかかってきた土竜型魔法生物に紅蓮斬の一閃を叩き込む。五mはあろうかという巨体が真っ二つに。それでもまだ動いていたが、八つに切り刻んだところでただの土塊となる。
 魔法生物に追いかけられていた玉兎小夜は振り向きざまに拳を強く握った。
「刀で殴れないなら、魔腕で殴ればいいじゃない!」
 殴り飛ばして岩型魔法生物との間合いを調整。礫飛ばしの攻撃を躱しつつ、広い空間で巨大な斬魔刀を構える。突進してきた敵に対して、左下から右上への軌道で切っ先を走らせた。頭部の一部をそぎ落とし、眉間と思しき位置に突き刺して屠った。
「青い石が転がっていますねぇ。薬にするために茸も持って帰りたいのですがどうし……あ、敵がやってきましたぁ」
 星野ハナは魔法生物を逃がさないために後方で待機していた。迫る敵には五色光符陣の輝きで焼き尽くす。
「アデリシア、巴、行くよ!」
 時音のデルタレイが宙に光の三角形を描く。放たれた三条の輝きが大型鼠型魔法生物を貫いた。呼応したアデリシアも武器をワンドに持ち替える。
「いきますね」
 セイクリッドフラッシュで輝き満ちるアデリシア。光の波動が衝撃を与え、敵をまとめて弱らせた。
「何もない方が色々と良かったんですけど」
 止めは舞桜守巴の役目だ。とにかく殴る、殴る&殴り続ける。
 アデリシアもウィップを撓らせて止めを刺す。
 ミヤサも剣を振るい、五十体以上いたはずの魔法生物は一掃された。
 その後、念入りに調べて調査は終わる。魔法生物が屯っていた周辺で青い鉄鉱石擬が多く見つかった。
 幻覚の茸については一部のみを持ち帰ることにする。残りは時音の拡散ヒートレイでまとめて処分。余談として小さな青い鉄鉱石擬や土中に埋まっていた骨、変わった形の石等は持ち帰っても問題はなかった。
 地下での日々は終わりを告げる。
「ぁー………っ。洞窟とかにずっといたから体が凝っちゃったよ」
 玉兎小夜は斬魔刀を地面に突き刺して背筋を伸ばす。久しぶりに浴びた陽光は誰にとっても眩しいものであった。


 一行はマール城に立ち寄ってミリアと面会。追加の報告書に青い鉄鉱石擬、幻覚の茸、そして坑道内を写した写真を提出した。
「オークションの時も思いましたけどぉ、ミリアさんって時間と安全の配分が剛腕戦国武将みたいですぅ」
 星野ハナは幻覚の茸に興味があった。よい薬ができたのであれば結果を教えて欲しいとミリアにお願いする。
「マテリアル鉱石用の炉を急いで準備中ですの。坑道二個所の鉱石でも稼働できそうですが、残る三つからも採掘できたのなら――」
 ミリアは一人一人の手を握って感謝の意を表したのだった。

依頼結果

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重体一覧

参加者一覧

  • 母親の懐
    時音 巴(ka0036
    人間(蒼)|19才|女性|疾影士
  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士
  • キャスケット姐さん
    レム・フィバート(ka6552
    人間(紅)|17才|女性|格闘士
  • 決意は刃と共に
    アーク・フォーサイス(ka6568
    人間(紅)|17才|男性|舞刀士
  • 苛虐の銀鬼
    銀(ka6662
    鬼|30才|男性|符術師

サポート一覧

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/12/15 20:49:06
アイコン 探検計画相談場
銀(ka6662
鬼|30才|男性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/12/19 07:05:32
アイコン 質問卓
銀(ka6662
鬼|30才|男性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/12/15 23:39:48