ブリとボインと渡り鳥の騎士とハンターと

マスター:朝臣あむ

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/02/14 07:30
完成日
2017/02/25 13:26

このシナリオは2日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 エルフハイムから帰還したリーゼロッテ・クリューガー(kz0037)は昼夜問わず錬金術師組合の研究室に篭って作業を続けていた。その手元にあるのはパワーアシスト装備の設計図だ。
「やはり覚醒者以外が使用できるようにするにはエンジンから発想を変える必要がありますね。もっと小柄でエネルギーを必要としない精密な物……」
 呟いて眼鏡を机の上に置くと、彼女の口から長い溜息が漏れた。
「……何度書き直しても、何度考えても同じ場所に戻ってきてしまう……やはり、錬金術が人の役に立つためにはマテリアルの運用方法を根底から変えなければいけない。けれどそれは……」
 額を抑えるようにして俯いた瞬間、盛大な音が響いた。
「ボイン! ボインはいるのよさ!!」
 扉を大きく開け放って現れたのはブリジッタ・ビットマン(kz0119)だ。
 彼女は外の風を纏ってリーゼロッテの前に立つと、僅かに苛立った様子で見下ろしてきた。
「ブリちゃん、何でここに……?」
「ほあ……ワカメから話は聞いてたけど、そーぞー以上に酷いありさまなのよさ。このままだとボインがしぼんじゃうのよさ」
「は? ボインが、しぼむ?」
 思わず胸に手を添えたリーゼロッテに「違うわい!」と叫んでブリジッタは咳払いを零す。そうして溜息を吐くと、机の上に広げられた設計図に目を向けた。
「パワーアシスト装備の設計図……これって……」
「色々と思う所がありまして、私なりに錬金術を見直してみようかと」
 でもダメですね。と零して引き出しから取り出した缶に入る角砂糖を口に運ぶと、もう1つを摘まんでブリジッタに差し出した。
「錬金術は無から有を作り出す術です。ただ本当に何もないところからは作り出せませんので、私たちはマテリアルに頼ってそれを為しています。ですがマテリアルは限りある資源です。覚醒者が放つマテリアルもまた同じ……ではもし本当に無から有を作り出すことが出来たら……いえ、完全に無でなくてもそれに近い何かが出来たら。そう思って頭を動かすのですが動かせば動かすほどに上手くいかなくて……」
 ブリジッタが角砂糖を受け取るのを見て少し微笑むと、机の上の眼鏡を取って掛けた。その仕草にブリジッタがストップをかける。
「とーっても効率が悪い方法なのよ!」
「え、ちょっと!?」
 ブリジッタはリーゼロッテの腕を掴むとツカツカと外に向かって歩き出した。これに驚いたのはリーゼロッテだ。
「ブリちゃん! 私はまだやることが――」
「いくら考えてもあんなんじゃいい案はでないのよさ! ボインは少し頭を冷やすのよさ!!」
 何を怒っているのだろう。そう目を瞬くリーゼロッテを他所に、ブリジッタは錬金術師組合を出て帝都の中を歩き進めてゆく。そうして郊外に辿り着くと、彼女は驚いたように目を見開いて足を止めた。
「プラヴァーが正式稼働することに決まったのよさ!」
 ピクニックのように広げられたシートとお弁当。それを囲むハンターの向こうには正式稼働が決まったというプラヴァーが置かれている。
 ブリジッタは誇らしげに笑んでリーゼロッテを振り返った。
「プラヴァーの完成にボインのパワーアシスト装備は必須だったのよ。だからボインにプラヴァーのスキルを考えて欲しいのよ。ここにいるみんなと一緒に!」
 聞けば、研究室に篭りっきりなリーゼロッテを心配してブリジッタが考案したピクニック兼スキル開発会と言うではないか。
「ブリちゃん、ありがと――」
「あたしは戦闘用スキルを搭載させて、ずばーんっと前戦に出れる機体が良いと思うのよ。やっぱり魔導アーマーの神髄は戦闘なのよさ!」
 目をキラキラさせて語り出したブリジッタにリーゼロッテの眉間に皺が寄る。それでも彼女の話は続く。
「アームへのマテリアル伝達率をもう少し上げて、武器の性能をアップさせて攻撃力や命中率を上げるっていう手もあるのよ。あとプラヴァーは魔法の伝達力がピカイチなのよ! そこを生かした魔法を装備させるって言うてもあるのよさ!」
「コホン。この子はパワーアシスト装備が元になっていますし、人の役に立つ機能を強化させた方が良いと思いますよ。例えば災害救助に強くするため、周囲の生命反応を感知する能力をつけたり、実機だけでなく他機の防御性能を上げたり……きっと素晴らしい機体になると思いますよ」
「むむ。生命反応を感知する能力なんてどうやってつけるのよさ。それにプラヴァーは小回りが利く上に器用なのよさ。そこを生かしてもっと戦場で優位に立てるように戦える機体の方が良いのよ!」
「マテリアル観測装置を応用させて出来ないでしょうか? それに小回りが利くのであればそれこそ災害救助に有利です。あ、脚のローラーを無駄にしない為にも加速ブースターを搭載させて――」
「加速ブースターを搭載するなら戦闘に使うべきなのよ!!」
 唐突に始まったスキル談議に集まったハンター達が笑みを滲ませる。
 そうして聞こえて来た「座ってお茶でも」の声にリーゼロッテとブリジッタは顔を見合わせると、頬を少しだけ染めてシートの上に腰を下ろした。
 こうして青空の下で、プラヴァー最後の仕上げが始まる。
 開発当初から関わっていた2人の錬金術師と、それを見守るハンター達の手によって――。

リプレイ本文

 部分甲冑方式魔導アーマー『プラヴァー』のスキル開発に呼ばれたハンター達は、リーゼロッテとブリジッタのやり取りに苦笑してお菓子類を広げ始めた。
 テンシ・アガート(ka0589)は持ち込んだマシュマロとポテトチップスを広げると、何処かぎこちなさ気に腰を下ろした2人を見た。
「まぁ、お茶とお菓子でも食べようよ。色々持ってきたからさ!」
「お菓子……ほぬ? これは何なのよ?」
「マシュマロだよ。ふわふわで甘くて美味しいよ! それにしても新しいタイプの魔導アーマーかぁ……皆で悩んで最高の機体にしないとだな。あ、書記は俺がするよ!」
 にっこり笑って紙とペンを取り出すテンシはやる気満々だ。そんな彼に続いて、オウカ・レンヴォルト(ka0301)はハーブティーを皆に配りながら「ほう」っと息を吐いた。
「スキル構想……実にロマンだ、な」
 内に溢れる構想を公に出来るまたとない機会だ。思わず漏れた溜息はロマンの欠片、と言ったところか。
「ああ。こうした場に来れた事はとても有意義な機会だと思う」
 とはジーナ(ka1643)談だ。
 彼女がプラヴァーを初めて目にしたのはエルフハイムの一件でだ。その時に感じた可能性は正解だった、と彼女は目を細める。
 そんな彼女の耳に、レオーネ・インヴェトーレ(ka1441)の嬉しいやら戸惑いやらの声が届いた。
「正式採用決まったって、やったじゃねーか! てか、マジで採用名『プラヴァー』で、いいの……?」
 徐々に小さくなる語尾に、お菓子で頬を膨らませていたブリジッタが瞬く。
「わはめはひったほほ! ちゃんほひはははへふへほっへ。ははられほーへの――」
 聞くに堪えない。そうお茶を差し出した雨月彩萌(ka3925)が息を吐く。
「代弁すると――ワカメがちゃんとした名前を付けろと言ったので、あなたの意見を採用した。と言っているみたいですね」
「良く今のが聞き取れたな……」
 思わず苦笑する瀬崎・統夜(ka5046)に彩萌は「いえ」と前置きする。
「声の抑揚と口の動きでそれなりにですから、あっているかは定かではありません」
「いや、たぶん大丈夫だ」
 満足そうにお茶を飲み干すブリジッタを見るに彩萌の言葉は間違いない。
 それにしても先程の議論と言い、ブリジッタはかなりの猪突猛進型と見える。
「意見をぶつけるのはそんだけ思い入れが深いってコトだろうからな。実際俺も、渡り鳥の騎士が正式稼働と聞いて感慨深い思いがしている」
 目を細めてプラヴァーを見る眼差しは優しい。そんな彼にメイム(ka2290)が首を傾げた。
「瀬崎さんはプラヴァーのことを良く知ってるのかな?」
「ああ。だが俺だけじゃない」
 彼はそう言うとレオーネや有希遥に目を向けた。彼らは統夜同様にプラヴァーを初期の実験段階から知っている。
 それこそブリジッタがプラヴァーでどれだけの失態をしてきたかも、だ。
「あたしはナサニエルさんの数少ない評価点は、技術躍進を目指して魔導アーマーの基本を各国に供与した事だと思うのよね。その結果あたしはGnomeを使える様になったよ。だから今回は少しだけフィードバックしようと思って来たんだよ」
 統夜達、初期メンバーとは違う想いを持ってこの場にいると語る彼女にリーゼロッテが頷く。
 確かにナサニエルは各国に魔導アーマーの情報を提供した。その真意は分からないが、彼が自身の研究に役立つと判断してそうした行動に出たことは間違いない。
 はあ。と重い溜息を吐いたリーゼロッテの傍らで、守原 有希遥(ka4729)の眉が少しだけ動く。
 開発者2人の感情はようやく落ち着いたといったところか。そもそもあんなに激しくぶつかるとは、戦場で何を見て来たのかと問いただしたくなる。それでも堪えたのはこの場がそうした場ではないからだ。
「……まあ、機体の性能は見事だからな。流石はブリか」
 これでその辺りも駄目だったら目も当てられない。そう零して林檎と胡桃のフロニャルドをリーゼロッテの前に置いた。
「うーし、小腹が満たされたのよ! んではそろそろ皆の意見を聞くのよさ。さあ、意見を述べよーっ!」
 かなりの量のお菓子を食べてから開幕を宣言したブリジッタは新たなマシュマロを手にすると、聞く気満々で口に放り込んだ。


 プラヴァーの利点は装着者の耐久力と生存性の向上。そして小型ゆえの活動能力と機動力だ。と語るのは彩萌だ。
「逆に言えばこの3つを活かせなければプラヴァーはただの平凡なユニットになってしまいます。そもそも私たち使用者がプラヴァーに何を期待するのか。それはこの機体にしかない利点を生かした運用方法です」
 何かを作る際に考えるべきは使用者の意見だ。それを根本から語る彼女に開発者2人も頷く。
「最前線での戦闘も重要ですが、それと同等かそれ以上に重要なのが情報です。敵の位置や数、戦力の情報があるかないかで勝敗が分かれます。機動性が高く小回りが利くプラヴァーはそれらの情報を収集する偵察・探索と言った用途に使う事で他のユニット以上の活躍ができると考えます」
「確かに偵察や通信強化は戦場では必要不可欠だな。となるとそれらを行える案があるのか?」
「ええ、勿論あります」
 有希遥の問いに頷き、彩萌はプラヴァーの腕に触れながらこう発する。
「私は敵や歪虚、要救助者探索用のレーダー。緊急離脱などに活用できるブースター。そして悪路走破を可能とする足運びなどが偵察・探索に必要となるのでこれらを提案します。スキル名はズバリ『マテリアルレーダー』、『マテリアルブースター』、『地形判定プログラム』です!」
 簡単に説明するとレーダーが生命や歪虚の反応探知。ブースターが移動力強化。地形判定プログラムが地形を自動認識し移動ペナルティを軽減するものだ。
 ちなみに地形判定プログラムはオマケとのこと。
「地形判定プログラムは、関節部強化をしないでも悪路が行けるようになるかもしれないな」
 そう零す有希遥はこんな案を提示だ。
「うちは『スペルラム』と『アクセルフィールド』と言うスキルを提案する」
 スペルラムは加速をつけて敵や障害物を砕く円錐形魔力衝角。アクセルフィールドは攻撃に加え高速走行の敵、空気を必要なもの以外遮って加速強化する防御兼加速補助障壁だ。
「この防御兼加速補助障壁を使えるようになることで、攻撃だけでなく速さが武器になるプラヴァーの守りに繋がると思う。本当なら車輪の回収や収納先も考えたいが今回は保留だな」
「今のところ自分で回収しに行かないといけないのはネックなのよ。まあ、要開発ってところなのよさ」
 ブリジッタの言葉に頷く有希遥を見、ハーブティーで喉を潤していたメイムが手を上げた。
「次はあたしが行くよ」
 そう切り出した彼女は、他のメンバーよりも多くのスキル提案をしてくれた。
 中には未来を見据えたものもあるがまずは初期に実装できそうなスキルの提案だ。
「あたしが考えたのはマスターアームズの『怪力無双』相当のスキルで、タイプはメインとファーストとリアクションの3種類だよ」
 ファーストタイプは使用回数が最大8として、対象と術者に移動力を付与すると言うものだ。これはアームで抱えた対象と一緒に高速移動が出来る利点がある。
 次に挙げられたリアクションタイプは使用回数が2回とし、射程を大きくとって対象に瞬間的な防御力を付与すると言うものだ。
「腕部装甲だけ何だか厚いので、籠手か盾が付いているのかな? だとすれば、これを対象の前に飛ばせてシールドとして展開、攻撃を割り込みで防御する感じ。ブリさん、遠隔防御だけど見た目がカッコイイよ♪」
 確かに盾を飛ばしてシールドにするとか胸熱ではある。だが今のプラヴァーにそうした技術は組み込まれていない。
 これも追々何かしらの技術で転用出来たら、と言ったところか。
「あ、はいはい! 俺はさっきリーゼロッテさんが言った生命探知は良いと思うな」
 と、ペンを掲げて主張したのはテンシだ。
「生命探知を応用して、雨月さんが言ってたような歪虚探知とか作れたら面白いと思うよ! あとはCAMとは違う感じで通信の補助が出来たらいいなって思う。甲冑のフレームを変えて、超トランシーバーみたいな感じのつけれないかな?」
「んー……流石に今から甲冑フレームを変えるのは無理なのよさ」
 ごめんなのよ。と返すブリジッタに「いやいや」と手を振ってテンシは思案する。
「プラヴァーがマテリアルのアンテナって感じのイメージで、常に周囲の送受信の手助けと距離を伸ばすのは? 災害にしろ戦闘にしろ連携通信が必要な事には変わり無いからね。あとは戦闘では機動力を活かして、敵の妨害に特化した形はどう?」
 ワイヤーアンカー等を搭載してマテリアル伝達によって機導師のエレクトリックショックの様なものを放ったり、移動を妨害したり行動阻止したり出来るようになれば特徴付けが出来るかも。と語る言葉に「ふむふむ」と頷くブリジッタ。
 そんな彼女をチラリと見やって、レオーネが咳払いを零す。
「俺はちょっと違う意見だな。という訳で一応前置き。たぶんオレの意見はブリ寄りになるから、何割か差っ引いていいぜ。そのうえでだけど……方向性はブリの戦闘重視でいいと思う。ボイ……いや、リーゼロッテさんも口にした加速ブースターとかがいい例だけど、戦場で役に立つものは大抵、人命救助にも使えるって理屈。初期仕様なら、用途はこれ! って決めたものより、汎用的に長所を拡張するスキルの方が使い勝手はいいと思うんだ」
 生命探知系ならレーダーのように見えるものだったり、マテリアル通信機だったり。
 ブースターだと一時的な性能強化スキルと言う方法もある。
「今だと戦闘は重装改もあるし、少数で敵地侵入して特殊任務みたいのがいいかな?」
「特殊任務なのよ?」
「んん……お、おう。あとほら……リーゼさんには悪いけど、防御系は捨てた方が良いと思う。そっちに行こうとするとプラヴァーの小ささが足を引っ張るぜ。優先は機動力、次いで火力だな」
 特殊任務と言う秘密結社めいた単語に身を乗り出したブリジッタに狼狽しつつ、レオーネは何とか自分の意見を言い切った。
 確かに彼の意見はブリジッタ寄りだ。それでもリーゼロッテや他の皆の意見を混ぜる辺り、プラヴァー自身をきちんと見ているといった印象を受ける。
 そしてこれを聞いていたオウカは「ふむ」と唸るとやっと言える、と言った様子で話し始めた。
「自機ないし指定した箇所を中心とした範囲を覆うようにしたものなら、覚醒のできない要救助者にも有用だろう。先程メイムが似たような案を言っていたな」
「シールドを飛ばす、というものですね?」
 そうだ。と頷き、オウカは思案する。
「勿論あくまで理想論だが、最悪個人を守る防護壁、結界でも有り、だ。スキル名は結界なら『バリアフィールド』、障壁なら『マテリアルシールド』辺りが妥当、か」
「それだと完全に防御系になるのよ」
 いや、機動力がその前にあるんだが。とは密かに響いてきたツッコミだ。
 それを耳にしながらオウカは言う。
「勿論続きがある。ブリジッタ……本来防御に使われる技術を攻撃の手段に転じて使う……そんな展開、実に燃えると思わん、か?」
 構想プランは2つ。
 1つは防御壁で、結界を自身前面に集中させ、円錐状に形成し突撃する機動力を活かした突進型の『ブーステッドチャージ』。
 もう1つは拳正面に凝縮したマテリアルの障壁を展開して標的に殴る様にぶつけることで攻撃性を持った魔法性の衝撃波ないしマテリアルの杭を打ち込む『マテリアルステーク』だ。
「む~? なんだか防御障壁と機導剣に似てるのよ」
「ああ。その2つの攻性防御の技術を応用すれば不可能ではない、だろう」
 どうやらオウカは実際に運用するときの事も考えて提案してくれたらしい。
「俺としてはCAMにも付いているプラズマカッター。あれをブラヴァーのマテリアル伝達率で再現できないかと思うんだが?」
「ほ?」
「言うなればレーザーメスだな」
 運用方法としては建物に穴をあけたり、戦闘にも使えたり。と語るのは統夜だ。
「渡り鳥の騎士は質量に差がある以上、ただ戦ってもCAMには見劣りするだろう。だが、小回りと速度を生かして機転を働かせれば、強固な相手を退けるような自由な機体にならないか? 勿論、そういう幅広い運用ができるならば人を助けるコトもできる筈だ」
 中途半端と言う意見もあるかもしれないが、使用者次第で幅広い活躍が出来る機体にする方法もある。
 そう締め括った彼に、ジーナから感嘆の息が漏れた。
「実に有意義な時間だ。そう、戦場で誰か救う機会もあれば、自衛や救助者の護衛が出来る力も必要だ。あって困ることはない」
 今のところ、なんだかんだ言って戦闘特化の意見が出ていないのがその証拠だ。
「私は戦闘、救助の両面で活用できそうなスキルを提示したい所だ。2人の意見からは『加速ブースターとローラー』はどちらでも活かしやすいし、構造にも問題なさそうだから推したい。『生命反応の感知』も是非とも推したい。負のマテリアルも感知できれば偵察や索敵もやりやすくなる」
 その上でジーナが提案したいのは、CAMや他の魔導アーマーのように将来的なカスタムプランで先鋭化させる方向のものだ。
「各部の小型魔導エンジンを活かして、軽武装の補填、瓦礫破砕、自衛などをこなすために腕部にマテリアルを集めて繰り出す『マテリアルアーム』。同じく各部エンジンをフル稼働させて全身にマテリアルを纏った突撃『マテリアルブレイカー』だ」
 マテリアルブレイカーは戦闘、救助における突破口を開く為に運用できるものとなるだろう。
 あくまで戦場を駆け抜けて来たハンターだから言える意見にリーゼロッテとブリジッタが目を合わせる。
「ここまで聞いて判断できることは、皆さんが戦闘だけでなく救助や戦闘補助にプラヴァーを使いたいと言うことですね」
「あたしとしては火力アップを望みたいところだけど……まあ、あんたたちの意見を参考にするのよさ」
 提案の最中にも見え隠れした使用者としての現実的な意見。それらを総合してみて先程のやり取りがどれだけ恥ずかしいものだったのか思い知ったのだろう。
 2人はハンター達に感謝の言葉を述べると、残りのお菓子をつまみながら日が暮れるまでプラヴァーについて話し合った。

――数日後、ブリジッタとリーゼロッテよりスキル談議に参加したハンター宛に書面が届く。
 そこにはこう記されていた。
「あんたたちの意見を参考にスキルの最終調整を行ってるのよさ。
 初期スキルは意見の多かった攻撃や瓦礫の粉砕が出来るスキルと、索敵スキルを考えているのよ。
 どんなスキルが出来上がるかは実物を見てからのお楽しみなのよ♪ 今回はありがとうなのよさ♪」

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重体一覧

参加者一覧

  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • 遥かなる未来
    テンシ・アガート(ka0589
    人間(蒼)|18才|男性|霊闘士
  • 魔導アーマー共同開発者
    レオーネ・インヴェトーレ(ka1441
    人間(紅)|15才|男性|機導師
  • 勝利への開拓
    ジーナ(ka1643
    ドワーフ|21才|女性|霊闘士
  • タホ郷に新たな血を
    メイム(ka2290
    エルフ|15才|女性|霊闘士
  • エメラルドの祈り
    雨月彩萌(ka3925
    人間(蒼)|20才|女性|機導師
  • 紅蓮の鬼刃
    守原 有希遥(ka4729
    人間(蒼)|19才|男性|舞刀士
  • 【魔装】希望への手紙
    瀬崎・統夜(ka5046
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/02/09 23:29:16
アイコン リーゼさんとブリへの質問所
守原 有希遥(ka4729
人間(リアルブルー)|19才|男性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2017/02/13 15:52:42
アイコン ブラヴァー調整相談室
守原 有希遥(ka4729
人間(リアルブルー)|19才|男性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2017/02/14 03:47:34