• 界冥

【界冥】『紅の刑事──捜査0課』

マスター:韮瀬隈則

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/02/28 15:00
完成日
2017/03/11 23:03

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 警視庁地下。小さな一室に空白プレートの課が設けられている。
 暇そうに鼻毛を抜く壮年の男の平穏を、書類とタブレットを抱え飛び込んできた美少女がブチ壊した。
「課長、やはりこの事件……」
 立ち上がる壮年の男にはもう昼行灯の面影はない。カツリ……と一室につながる特殊扉を開ければそこには転移ゲート。
 ハンターオフィスに踊る緊急の文字! そこは異世界、リアルブルーではない。異世界の青年が、少女が、老人が集結する。次の瞬間、今度は秋葉原の街へ足早に彼らが散ってゆく。
「科捜研はなんと?」
「Nシステムで確認した。該当車両は無人。VOIDだ」
 惨殺の現場、固く握りしめられた刑事の拳。
「発見! 港湾部へ向かっています」
 都内での激しいカーチェイス。身を乗り出し銃撃するハンターは、ついに暴走車に跳び移る。直後、異形に変形するVOID。ハンター達の鞘走りの音が響く。

 警視庁捜査0課。
 未知の敵や怪奇現象を扱う、特殊警察部隊である。
 非公式に設立された0課の主な所属刑事たちは、『覚醒者』!
 特命を受けクリムゾンウェストより転移した彼らは、120分という限られた時間のなか、数々の難事件を解決してゆくのだ。

 【この番組はフィクションです】


 新番組『紅の刑事──捜査0課』企画書
 深夜30分枠、現在放映中の『アキバ☆デカ』後継番組として企画立案中



 某日某時、東京某所。受けた電話をおいて振り返った男の顔は、吉報に反して困りきった微妙な笑いを浮かべていた。
「どうしよう、シンちゃーん。あの企画、通っちゃったみたい」
 向けられた男も「えー」という表情を浮かべる。
「メールも届いたよ。パイロットフィルムまで進めろって、どうすんだよバンちゃん」
 二人揃って天を仰いで溜息ついて、顔を見合わせる。そんな一室、ここはとあるTV番組製作会社企画部だ。

 数週間前のこと。
 次に手がけるドラマのネタに困っていた企画屋2人が、当時さかんに報道されていたロッソの転移とハンター達の活躍をみて、苦し紛れの企画書を提出した。
 ──『覚醒者刑事モノ』。
 どうせボツになるだろうと、提出ノルマ消化のためだけに雑にでっちあげた頭の悪い企画。それが……通ってしまったのだ。どうやら上層部の思惑に合致する要素でもあったのだと思われる。
 パイロット版でポシャる可能性もあるとはいえ、撮影の必要があることには変わりはない。なら撮ればいいじゃないか。とは単純にいかない。
 なにせ──
『演じるのは本物の転移者! 異世界人! 監修まで手がける彼らならではの多彩なアクションが、リアルな対VOIDの現場を描き出す』
 こんな惹句を企画書表紙に踊らせてしまっていたのだから。
 さらに呆れた話だが、この企画。実は、タイトルと大雑把なプロット以外なーんも考えられていなかった。救いはこの会社、直近制作番組に同じく、刑事モノと特撮モノがあり、セットや機材類が流用可能なあたりだろうか。

「そうだよ、シンちゃん。ほら今、対VOIDって激戦じゃない。彼らだって忙しいんだし、きっと断ってくれるよ」
「うん。万一受けてくれたら、それはそれで結果オーライだしね、バンちゃん」
「「ってことで、クミちゃーん。ハンターオフィスに依頼出してきてー」」


 かくして。
 演技どころか、脚本演出までハンターに丸投げの依頼がハンターオフィスに並ぶこととなる。どうやらソサエティ側にも、覚醒者を危険な存在ではないとプロパガンダする手段として、この企画はなんだか良さげに見えてしまったらしい。
 台本作成まではクリムゾンウェストのオフィスの一室で。リアルブルーでは持参の脚本を数時間(なんと! 半日未満だ!)で撮るハードスケジュール。
 それでも構わない演者求む!!

リプレイ本文


 夜の東京、その路地裏。はぁはぁという息遣いと乱れがちな足音が響く。小さな悲鳴。涙声で請うのは赦しか命か。
「知らない。貴女がなんなのか私は……」
 よろけて転んで駆けて、また知らない道にでる。途中まで手を引いてくれた案内人の少年はいつのまにか居なくなってしまった。先ほどまで声がしていたのに、つきまとう暴走車から逃げて路地に押し込まれて、それからは声だけ。笑い声だけ。
「私はだぁれ? 貴女の汚い部分、人間の悪徳」
 ひっ。振り返って転ぶ。折角の純白のドレスだったのに。対峙するのは漆黒のドレス。人形のように美しい少女。もう何回行く手を立ちふさぐように現れただろう。5回? 6回?
「最後の質問です。7つのひとつ、私はだぁれ?」
「知らない……知らないっ!」
 駆け込んだ路地の裏。そこに入れる筈のない大型車両。衝撃音。
「答えられなかった。悔しいこと。その罰に狂気のうちにお逝きなさい」
 黒いドレスの少女と赤く染まったドレスの少女。けらけら笑う少年の声。


 暗闇から『紅の刑事』のロゴが浮かぶ。歌のないテーマ曲が流れるなか、少女が、刑事が、謎の少年と人形が、字幕とともに映される。カーチェイスの果て、震える拳が重なった。
 捜査0課、所属刑事の多くが覚醒者。不可思議な事件解決のため彼らに託された時間は120分のみである。


「本気ですかヤマさん!?」
 非難の声は現場検証にあたる刑事達だろう。彼らと立入禁止テープをかき分け、ファイルを抱えた新米だろう女性巡査が警察車両に乗り込んだ。
 彼女が向かう先は警視庁地下一室。彼女の上司、昼行灯が一変する様は何度みても驚く。

 ばたばた騒々しい身支度を終え、元気な敬礼を交わした新米刑事ガンジ(道元 ガンジ(ka6005))を女性巡査は驚き顔のまま見送った。急かす声は警察車両のキーを握った刑事アクラシス(マッシュ・アクラシス(ka0771))だろう。最初、現場まで走っていくつもりだったのだ、ガンジは。
 開き放たれたロッカーには新卒用スーツ数着。ネクタイは諦めたらしい。履歴書をみれば野生児がいた。写真は狼の耳みたいな癖毛。ウルフ刑事、と、あだ名の自己申告まで書いてある。隣のよく整理されたアクラシスのロッカーとは正反対だ。
「伯父さん、苦労しそう……」

「っっぷ」
 車酔いか。目を白黒するガンジを余所に、アクラシスはヤマさん──先ほどの老刑事だ──との敬礼もそこそこ、路地裏の現場へ立ち入ってゆく。
「警察車両ナビ助かりました。しかしなるほど、ここは小型車両でも立ち入りは困難です。なのに大型車両特有の轢死体、ですか」
 見上げる壁。飛び散った血痕。その中心に綺麗な顔はそのままに、赤いドレスの少女が座っていた。
「ガイシャはアリス(ファリス(ka2853))。13歳の中学生で、春休み中の観光を兼ねて上京していたようだ」
 ふむ……。しかめっ面で老刑事が言う。想像より若造だが大丈夫なのか? と、訝しげな態度だが、周囲の捜査一課所属刑事達はもっと辛辣だ。不安なのか自負なのか。それでも捜査にかける想いは同じだ。アクラシスは改めて深く一礼すると、車内に送らてきた情報と現状を素早く検証し頷いた。
「狂気──こちらではVOIDですか。あれらは集合体で動く。無機物の乗っ取りと擬態も得意です。現場がここだというのなら、人為的なトリックを疑うよりVOIDを追うべきです」
 件の大型車両は跡形もない。事件当時、周辺での目撃情報と監視カメラの録画はあるが、消息となると五里霧中。Nシステムと足で探す両面捜査しかないだろう。間に合うか? アクラシスは本部に聞き込みにと散ってゆくリアルブルーの刑事達に一礼し、ガンジはどうしたと振り向いた。
 拳を震わせて、ガンジはアリス──被害者の少女を見つめている。眠るような顔と凄惨な体の傷。幼馴染を同じように亡くしていたのだったか? ガンジの来歴を知るアクラシスが小さく「行こう」とかける声に被せてガンジが叫ぶ。
「車がVOIDなんだな!? この子の血を浴びたVOIDが潜んでいるんだな!?」
 くんっ! 鼻を鳴らす。癖毛が逆立つ。
 途端に駆け出すガンジを追おうとするアクラシスを、苦笑する老刑事が引き留める。
「単独行動は厳禁だぞ!」
「なに、通信機は持ってるんだろう。あっちにも跳ねっ返りは居るんだな。苦労してそうだ、アンタも」
 くくく。しかめっ面がようやく弛んだ。老刑事も跳ねっ返りの当人だったか上司だったか、初めて得られたリアルブルー刑事からの共感。


「ちょっ……なに買い込んで来たんです。そのプラモ!」
 今日は驚いてばかりだ。女性巡査の前をCAMの玩具が大量に横切った。
「遊びじゃないよ。聞き込みさ。アリスちゃん、当日夕方にドール専門店をハシゴしてるんだ」
 ──しかも同行者、身元不明の少年と一緒にね。そう監視カメラのプリントを投げてよこしたのは、刑事ヴィリー(ヴィリー・シュトラウス(ka6706))。
「同行者って、すぐ身元確に……」
 慌てる女性巡査を余所に「エクスシアか、出るの早いな」と箱絵に没頭する。やっぱり遊びじゃないですか! と抗議の目を向ければ、いきなり地下最奥のこの部屋にどやどや科捜研所員達が入り込んでくる。彼女の口は開きっぱなし、昼行灯の課長は構わず鼻毛を抜いている。
「ヴィリー! 久しぶり!」
「旧交温める間もないが、これ。謎の少年が案内するように付き纏っているんだが、方々のカメラに共通してこの車両。そして等身大の人形が写っているんだ」
 次々矢継ぎ早にヴィリーへ資料が渡される。転移前に同僚でね、と、一人の捜査員が説明した。人気アニメのタンブラー(これも聞き込みの戦利品だ)に注がれたコーヒーを啜って、一転真面目な顔のヴィリーが眼鏡の縁をくぃと上げる。
「彼の表情。一見活発なのに作ったような違和感は既知のものだ。歪虚……こちらでいうVOID。店員の心当たりが無い人形と、Nシステムで特定不能の大型車両がいま何処に居るのか……」
 モニタ上のマップをなぞる。廃車置き場にスクラップ工場、産廃処理場。放り出していたジャケットを羽織り、ヴィリーは駆けだしてゆく。
「うん、廃車あるトコね。手配してあげて」
 昼行灯がしゃべった!


 不意に声をかけられた驚きは人懐っこい笑顔に霧散した。
「人形好きなんだぁ~? その服ゴスロリだよねぇ~、そんな服着た人形がたぁくさん居るとこ知ってるンだけどぉ~、案内するよぉ~?」
 十数時間前──
 アリスが人形のショールームで出会った少年はディーボ(グラディート(ka6433))と名乗ると、くるくる変わる表情とオーバーアクションでおどけてみせた。
「遊び相手をぉ探してたンだよねぇ~。趣味の合う子じゃないとぉ、話あわないだろぉ~?」
 ね? ふわふわ髪に紅金の煙ぶる瞳。
(発表会の新作ドールに似た男の子なの!)
「そう。そうなの! お人形好きな子となら何時間でもおしゃべりできるの」
 うんうん。何度も頷く。彼女の周囲に同好の士は少ない。首都近郊とはいえマイナーな嗜好なのだ。だから、マニアックな人形巡りと聞いてアリスは飛びついた。
「ゴス好きならさぁ~本物のアンティークとかぁ~興味ないぃ?」
 中古ショップの激レアドールで感動して、倉庫に厳重管理の品と聞いても不自然に思わなかった。いつも展示に等身大ドールが居て、更に精巧だと聞けば心が躍った。
「ゴスロリって一言に片づけられるけど、本当は複雑なの。人間の悲しさと美しさが現れてるの」
 ディーボとの楽しい会話。彼は人形にも語りかけていて、本当に同好者だとアリスは彼を尊敬した。
「おなか空いたねぇ~」
 誰宛ともわからぬディーボの呼びかけに、アリスはうん、と答える。目の前を大型車両が横切って、危ないなぁ~と手を引かれ路地に入った。その車両助手席に等身大のお人形が居て、運転手の姿はよく見えなかった。


 くんっ。ガンジはまた鼻を鳴らす。
「ここだ。廃車のスクラップ置き場……」
 隠密捜査を気取りマナーモードのスマホにまた添付画像着信と留守録が入る。当然無視だ。
「ん? 誰か乗っているのか? おい、キミ……大丈夫か!?」
 みな廃車なのだ。誰も乗るわけもない大型車両の荷台から、黒いドレスの裾が垂れ下がっていた。近寄れば透き通る青白い頬の美少女が、力無く荷室壁にもたれ掛かっている。とっさにガンジがアリスを連想し、新たな被害者を想定するのも無理はない。
「私はイリス(エルバッハ・リオン(ka2434))……貴方はなぁに?」
 ゆっくりと目を開き問う黒衣の美少女に、ガンジは慌てて身分証を探し……昏倒した。
「こいつも答えられなかったねぇ~。でもぉ答えを知ってそうな遊び相手をぉ~、鬼ごっこに誘ってくれるかもねぇ~」
 けらけらけら。少年の声に被って異形が放つ唸り声にも似るエンジン音。
「こちらウルフッ。VOIDがイリスちゃん……女の子を乗せて……暴走ッ始めたッ」
 衝撃に痛む頭を振りスマホにがなってガンジは走る。


「拾ってもらって悪いけれどね?」
 僕はいいけどヤマさん一般人だろう? 手荒な運転に警察車両助手席のヴィリーは迷惑顔を隠さない。
「野生児も追加しますから我慢してください」
 微塵も悪いと思っていないアクラシスの声に増すスピード。当のヤマさんがけしかけるのだ。俺は機械音痴だと、ナビと無線を預けられた。ひっきりなしに入る道路封鎖と避難退去情報。こういうとき、地の利のある警察は強い。アクラシスは常に思う。市井の平和を護る者こそが歪虚から人を救うのだと。
『逐次マークできてます。本当に廃車が暴走しているとはっ』
 追跡を白バイに引き継いだガンジを拾う。
「封鎖を駆使して湾岸倉庫に誘導してある。そこで仕掛る」
 ガンジの青い顔は殴られたせいだろう。ならツバつければ直る。雑に決めつけるアクラシスが細事に頓着しなくなったのは老刑事に影響されたか。
「無免許だし拳銃も本職じゃないのだけれどさ……」
 構わないよね? ヴィリーが白兵戦になったら僕が援護役だねと、ガンジとアクラシスの肩に手をおいてプロテクションをかける。
 ──目の前にはもう、大型車両。いやVOID!


「荷台は撃つな! 要救対応に向かう!」
「まて、そいつは……」
 アクラシスが止める間もなく。ガンジは暴走するVOIDに跳び移る。仕方ない。ヴィリーはアクラシスが頷き警察車両フロントへよじ登るのを機に運転を代わる。しかも片手運転、右手には拳銃。後部座席の老刑事はわざとそっぽを向いている。ここは湾岸倉庫街。
 ヴィリーの射撃で4つ目のタイヤが弾ける。走り続けた大型車両が火花を吹いて、大仰に車体を揺らす。──停止? いやガンジを振り落とそうとし、出来ずに車体を軋ませている。予兆──アクラシスは知っている。
「寄せてくれ。奴の偽装解除だ、そういう武器じゃないんだが……近接で落とす」
 彼の機械脚甲が唸る。対するは大型車両、いや3対の触手を阿修羅像のように蠢かせるいびつな人型狂気。その一つに黒いドレスの少女。もう1つに哄笑する少年。
「ゴメンねぇ~。案内した相手が退ぁい屈だったよぉ~。遊べないからぁエサにするしかないかなぁ~?」
 集合体だったスクラップを乗っ取った小型狂気が、ヴィリーのジャッジメントで動きを止め、アクラシスのソウルエッジを載せた近接射撃が接合部を切断する。
「単体ではやはり弱いね。だから指示役、案内役が居たんだ」
 メガネのズレを直す間もないな。ヴィリーが射撃に加わる。老刑事の銃が警察車両防衛に徹しているのはアクラシスと事前調整済み故だろう。あの短時間でお膳立てしたのだ。
「テメェが何者だって、人を弄ぶ資格なンてないぞ!」
 ガンジが崩れるVOIDの腕を疾り、ディーボへ掴みかかる。けらけら笑いながら殴られて、ディーボはしかし傷ついた様子もなく緑の風に包まれる。
「……だってさ~ッ! 退場モンだね~」
 風が今度はガンジのスーツを斬り裂いた。露わになった戦闘着に構わず、攻撃手へガンジは悲痛な叫びをあげる。
「そんな……イリスちゃん! キミがVOIDなのかッ!?」
 触手の一つに抱かれて人形の微笑み。
「悲劇ではなく喜劇になりましたね。誰も私が誰か答えられない。この世界にも色濃い7つの大罪に抗いきれず無惨に滅ぶ。貴方達にはそんな役がお似合いです」
 イリス、嫉妬の女神。わかりやすい名だと思うのですが?

「じゃぁねぇ~。ボクらはもう帰るから、キミ達もさっさと還りなよぉ~」
 ボクは案内人だからねぇ~。
 つまらなそうなイリスの手を取り大仰な挨拶をするディーボに、アクラシスとヴィリーによる銃弾が浴びせられる。緑色の風がひときわ強く吹き荒れて、ガンジの火竜票が届かず落ちる。VOIDは塵すら残さず、あとにはケラケラ笑いだけが遺った。


「報告書は後ほど」
 深々と頭を下げるアクラシスに老刑事がご苦労さんと、車載カメラを指さす。最近は良いものが出来たという意味か、その逆か。
「今からだとプラモ持ち帰る時間ないじゃないか……」
 心底残念そうなヴィリーが、キミのロッカーも開きっぱなしだな、とガンジにおどけて言う。
 制限時間120分。
「覚えたぞ。次こそ逃がすものか」
 ガンジの握りしめる拳は、次の瞬間世界を超える。



 ──幕間──

「スゴいの! 資料見せてもらったら本当に名優さん!」
 老刑事さん役も昼行灯さん役も! ファリスは送られてきた資料に大興奮だ。
 ──CWでの収録前ミーティング。事前に提出した脚本案で、人間味溢れるレギュラー陣を指定したヴィリーが、横からのぞき込む。
「なるほど。人間関係はこう来たのか」
 彼女の成長も後半の見所なんだな。ヴィリーは女性巡査の写真を指す。ファリスが敢えて新人アイドルを推挙した理由だ。

 衝立の奥でロッソから派遣された衣装さんとメイクさんが、「動かないで」とてんやわんやだ。
「ちょっ。新一年生風じゃなく新社会人風でお願いしますよ!」
「無理です」
「球体関節タイツ……素敵なので余分があるなら戴けませんか?」
「差し上げますからカラコン、入れさせてくださいよぉ」
 ガンジとエルバッハの拘りは撮影のための転移直前まで続いたらしい。

「なぁ~ん。ぅにょ~ん。……何か違うなぁ」
「グラディエートさん。十分可愛い少年風と思いますが?」
「うーん。もっとウザくないとね」
 僕もマッシュさんみたいに地でいく役にすべきだったかなぁ?
 グラディエートとアクラシスの最終演技チェック。百面相に落ち着き顔。対照的な二人だ。


 オフィス職員の呼び声。そしてゲートが開く!

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参加者一覧

  • 無明に咲きし熾火
    マッシュ・アクラシス(ka0771
    人間(紅)|26才|男性|闘狩人
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 新航路開発寄与者
    ファリス(ka2853
    人間(紅)|13才|女性|魔術師
  • 今日を笑顔で全力!
    道元 ガンジ(ka6005
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 思わせぶりな小悪魔
    グラディート(ka6433
    人間(紅)|15才|男性|格闘士
  • BravePaladin
    ヴィリー・シュトラウス(ka6706
    人間(紅)|17才|男性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 捜査0課・相談卓
道元 ガンジ(ka6005
人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2017/02/28 05:35:03
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/02/23 22:44:09