奴は必ず帰ってくる

マスター:黒木茨

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/10/18 12:00
完成日
2014/10/26 19:24

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●夜の猫
 これは、どこかの村に密かに流れる噂です。
「日が落ちて空が黒く染まった頃、人を襲う黒猫が現れる。日が昇ると黒猫はどこかに消え、村に平穏が戻る、と」
 この噂を信じるか信じないか、は置いておいて。ともかく村の人は夜の間、出来る限り閉じこもって身を守るようにしている様子。
 そんな中、探検に繰り出した一人と一匹がありました。少年と猫のコンビは黒猫の噂を確かめるべく、忍び足で家を出て行きます。
「黒猫ってどんなのだろう? 気になるね、トム」
 少年は猫に呼びかけて、月明かりが照らす中を歩いていきます。そして月を雲が隠す頃、少年の背後に新たな影が忍び寄りました。
「えっ!? な、何」
 振り向いてみると、そこには黒猫が。にゃあん、にゃあんと鳴き声を響かせて少年の猫……もとい、トムと少年に襲い掛かりました。
 しかし、トムは少年を庇うように爪を立て、襲い掛かる猫を追い払います。そして、じーっと少年を見つめるのでした。まるで、ここは俺に任せろと言うように。
「トムを置いていけないよ! 痛っ」
 少年はトムを抱え上げて逃げようとしましたが、トムに伸ばした手はそのトムに引っかかれてしまいます。
「……ごめん!」
 トムの心を、なんとなくですが読み取った少年は。急いで家に帰ることにしました。

 無事に家にたどり着けた少年。それで、トムも朝になれば戻ってくるかと思いきや……
「戻ってこないなあ……」
 トムが出かけたまましばらく戻ってこないことは、今まで少年が一緒にいる中でたびたびありましたが、今回は離れた状況が状況です。胸騒ぎを覚えた少年は、どうしても困ったら行く場所、と言われているある場所に行くことにしました。

●おねがいします!
「トムを探してほしいんです」
 ある日のハンターズソサエティ支部の中、そこにやってきたのは物憂げな雰囲気を漂わせた少年でした。名前を伺うとヘンリーと言うそうです。
「えーっと……失礼、トムというのは?」
「僕の飼い猫です。昨日の夜、黒猫に襲われた僕を庇ってから戻って来ません」
 受付嬢の質問に即答したヘンリーは、自分で描いたトムの絵を差し出しました。
 絵を見てみると……なかなかよく描けています。これを参考に探すことも出来るでしょう。
「皆はもうダメだって言うけど、やっぱり諦めきれないです。たぶん、村の外には出てないと思います。僕はハンターさんと一緒に捜すつもりです! お礼は、少ないけど……」
 本当に困っている様子の相手に、うーん。受付嬢は悩んでから、ヘンリーに言いました。
「とりあえず募集をかけてみるので、少し待っていてくださいね」

●おねがいします! その2
 突然の幼い依頼人に頭を悩ませてた受付嬢さんですが、お仕事はまだまだ続きます。今度戸を叩いたのは、若い女性でした。
「さっき、ヘンリーと名乗る男の子が来ていませんでしたか」
 女性のお顔には、なにやら焦りや緊張が迸っています。受付嬢が素性を聞いたところ、どうやらヘンリーのお母さんというそうです。
 少し罪悪感もありますが、受付嬢は女性にヘンリーが飼い猫探しの依頼をしたことを話してみました。
「やっぱり! どうしましょう、最近はうちの村にも雑魔が出るって言うじゃないですか。そんなこと……」
 女性の顔には恐怖の色も出てきました。そして、親心から出た女性の一言は受付嬢の仕事をさらに増やすことになります。
「猫探しの募集を請けたハンターの人に、ヘンリーを無事にうちまで届けさせるよう言っておいてくれませんか」
「え? あ、はい。それも依頼ということで?」
 目をぱちぱちさせる受付嬢に、母親は叩き付けるような声で言うのでした。
「もちろんですわ!」

●ということで……。
「お疲れ様です。……依頼です。今回は二つを並行してやっていただくことになりますが……いいですか」
 少し疲れた顔で、受付嬢はハンターを迎えました。
「一つはヘンリーくんの猫探しの手伝い、もう一つは万一の場合に備えたヘンリーくんの護衛です。……ヘンリーくんは、もう一つの、お母さんからの依頼については知らないそうです。この情報をどうするかは任せます」
 そう言った受付嬢は、だいぶ前にヘンリーから受け取った絵を誰かに渡しました。
「請けるのでしたら、この絵をどうぞ。何か参考になるかもしれません」

リプレイ本文

●空に太陽、隠れる猫
「はいはい、おにーさんたち、ヘンリー君をあんまり怖がらせないのー」
 カーミン・S・フィールズ(ka1559)が、お兄さんハンターたちを前にしたヘンリーの隣でこう言った。
「好きで怖がらせているわけじゃないんですけどね……」
 それに異を唱えたのは、Gacrux(ka2726)である。三白眼と、時偶に裏の人間から声がかかるほどの風貌は、時に人を怯えさせることもあるのかもしれない。
「おねーさん、僕、大丈夫です」
 しかし、ヘンリーも自分の飼い猫探しに協力する人の前で、怖がるわけにもいかないのだろう。気丈に振舞っている。それを見たカーミンは、にっこりとヘンリーの頭を撫でる。
「あの、ちょっと恥ずかしいです」
「きみがヘンリー君? いやー早く見つかるといいねぇ、よろしくさん」
 撫でられて恥ずかしがるヘンリーに助け舟? を出したのは、鵤(ka3319)である。
「う、うん。ありがとうおじさん!」
 照れながらも感謝の意を述べたヘンリーに、そろそろ本題をと無愛想にGacruxが、鵤が質問を投げかけた。猫の性別と特徴諸々、黒猫に襲われた場所についてだ。
 二人の質問にヘンリーは失踪前のあの日を思い出しながら、たどたどしくも答えていく。
「トムは雄です、珍しいですよね。特徴は絵でだいたい描いたけど赤い首輪をしています。何でも食べて、餌をあげたらすぐついていくよ。えっと……襲われた場所は……」
 ヘンリーは唸りつつ、思い出そうとしている。そして、考えた末砂に指で簡単な村の地図を書いて、場所を示した。わかりやすく書いたつもりなのだろう。ぼんやりとであるが、直接行って照らし合わせてみれば納得できそうな地図である。
「じゃ、おっさん適当に聞き込みってくるわぁ」
 図を頭に入れた鵤は、早速その現場へ、あるいは聞き込みへと村の中へ繰り出していった。Gacruxもそれに続くように歩き出そうとする、がその前に一度ヘンリーの方へ振り向き、言う。
「夜中、家から抜け出さないように」
「……はい」
 釘を刺されたヘンリーはこくり、と頷いて恐る恐るカーミンの方へ視線を移した。Gacruxは既に調査へ赴くべく歩を進めている。
「私もちゃんと見ておくわ」
 が、カーミンもカーミンでなにか考えがあるらしい。逃げ場のなくなったヘンリーはGacruxの言葉に素直に従おう、と考えていた。

●得られるもの
 現場に行く道中、鵤は村人からの聞き込みをすることにした。
「どうもぉー、良い朝ですねえ」
 と鵤は村人へ声をかける。
「ど、どうも」
「ところでちょいと聞きたいんですがね? ああ、怪しいもんじゃないんで。ヘンリー君に猫探しで雇われたハンターなんで」
 ハンター。その単語と、行動の理由を聞いた村人は、警戒を解いて表情を解す。ある程度の信頼は得たようだ。それを見た鵤は、へらへらしつつも切り込んでいく
「ここらに猫のたまり場とかありますかね?」
「路地裏や、古くて人のいない建物ならだいたい」
「そうですかそうですか、ところで黒猫の噂ってご存知です?」
「この村じゃ誰もが知ってますよ。夜に出るなんて急用の人か外から来た人ぐらいです」
 その返答を聞き、次いで鵤はより詳細を求めてもう一度質問する。
「黒猫の出没する場所はわかりそうです?」
「いや、それはさすがに……ちょっとわからないですね」
 ここ最近は夜間、外出したことがないらしい。噂程度に聞いたことはあるが……と村人は残念そうに答えた。
 そうして調査をしている中、鵤はとうとうヘンリーと黒猫の遭遇場所に辿りつく。鵤はさっそく地面に血痕、痕跡がないか探してみるがどうも見つからないようだった。最後に、鵤は魔導短伝話で仲間に情報を流す。

 短伝話で情報とヘンリーに聞くべきことを受け取ったカーミンは情報を他の仲間に告げ、その後ヘンリーに話した。まずはGacruxの疑問からだ。
「最近、変な人がいるとか聞いたことはある?」
「黒猫の話は聞くけど、変な人は聞いたことないや」
 こちらの方は、とくに情報がないらしい。次に、鵤の情報からの質問を投げかける。
「黒猫がどこに出た、だとかわかるかしら?」
 カーミンが黒猫の場所について聞くが、ヘンリーは首を振るだけだ。
「そういえば、いつもどこに出るのかな。僕が遭遇した場所は、たまたまだったのかもしれないし」
 どうやらここだ、と断言できるわけではないらしい。あの夜が最初で最後の遭遇だから、判断もつかないのだろう。謎に包まれたまま、調査は進む。

 また、鵤とは別の視点で、Gacruxは調査を始めていた。
(三毛猫の雄は珍重種です。人が拐った可能性も否定出来ません)
 こちらの狙いは主に人、誘拐の可能性を考えて聞き込みを開始した。ヘンリーや他に話しかけた村人によれば変質者、不審者の類は見たことがないようだが。ちょうど屋台で飴を売っていた少女に話しかけてみる。
「ハンターの人かしら、聞いたわ。トムくん探しお疲れ様。おひとついかが?」
 勧められた飴を断りつつ、Gacruxは明らかにしておくべきことを質問してみる。
「最近この村で変質者、不審者の類が出たという話は聞いたことありませんか」
「いいえ、とくに。怖いものといえば出るのは黒猫の話ばっかりよ」
 こちらも変質者の話は聞いていないそうだ。返答を聞いたGacruxは次を言う。
「金銭に困っていたり、金が入る見込みがあると言っていた人物は……」
「聞いたことないわ。そういえばトムくん、珍しい種類の猫らしいわね。ヘンリーくんがよく自慢してたわ。私には普通の三毛猫にしか見えなかったけど」
 ここまで答えた飴売りの少女は顎に手を当てて、ちょっと首を傾げながら答えの続きを出した。
「でもきっと、盗んで売ろうとする人はいないんじゃないかしら。狭いからすぐわかっちゃうし、言うほど珍しいなら買えるほど余裕のあるところ、ヘンリーくんのおうちぐらいだし……で、おひとついかが?」
「いりません。トムを見掛けた場合は自警団へ届け出を出してください」
 情報を得たGacruxは、まだ続く押し売りを跳ね返し、ある……お願いをしてみた。

●真上の太陽と交渉と茜の空
 午前中動いたハンター、あるいは午前中を休息の時間としていたハンターたちが、昼食をとりながら情報を交わす。
 それが終わり次第、午前働いたある者は宿で休み、ある者は午後班に同行し、それぞれの意思で動くことになっていた。

 ヘンリーへの接触や猫調査へ赴いたハンターとは別に。
 今回の件、報酬がどう考えても少なさそうだ。個人の、かつ一般人の依頼だから多少は仕方はないとはいえ、せっかく村を苦しめる雑魔を倒すなら……と、交渉に乗り出すハンターもいた。
「一丁、やってやろうじゃねえの」
 J・D(ka3351)は、村長の家の前で呟く。Jのほか、Gacruxと八原 篝(ka3104)もこの交渉に参加している。一度使用人に取り次いでもらってから、彼らは中に入った。
「たしか派遣されたハンターの方でしたか。こんなところに何の用です?」
 通された小さな部屋の、精一杯装飾付けた机。それに対応するようなデザインの椅子に座り、この村の村長はじっと交渉に現れたハンターを見つめていた。
「宿下さいよ、宿。野宿は寒くて嫌ですう」
 まず最初に普段の様子とはまた打って変わって、おねだりするようにGacruxは声を出し、そこにJがまとめて発言する
「雑魔討伐による追加報酬の支払い、作戦期間中の休憩場所および食事の提供、村の地形を把握可能な書簡の貸与、雑魔の出没場所や時間の傾向情報の提供……以上を求めるぜ」
「金と宿、地図と雑魔の情報を出せということでしょうか。だがあなたがたが請けたのは個人の依頼、こちらがそこまでする義理はない」
 渋る村長に、篝が畳み掛ける。
「皆不安そうで活気が無くて辛気臭い。あなたも感じているんでしょう? 3日で解決するわ。賭けてみない?」
 むむ……唸った村長は、渋々ながらもその条件を呑んだ。使用人の手で入用のものが渡されていく。
「さて、行くわよ」
 篝とJは午後の調査へ、Gacruxは手配された宿へ。村長を家を出て、向かった。

「ヘンリーさんの依頼で猫を探しています」
 クオン・サガラ(ka0018)はあいさつ周りと調査へ行っていた。途中午前と続き地形把握に動いていたJと合流し、猫がいそうな場所を重点的に探して歩いていた。
「いませんね、見てもトムの情報と合いませんし」
「そう簡単に見つかっちまったら依頼にならねえぜ」
 見つからない猫を探しながらも、昼に共有した情報をもとにしつつ、お互いでも情報を補い合って捜査している。
「午前に出た課題といえば黒猫のことですよね、何かわかります?」
「一応、村長からもらってきたぜ」
 Jはクオンに村長からもらった情報を話す。そんなところで、篝がやってきた。
「出現場所の特定が出来たわ。あとで伝えないといけないわね」
 篝は役所や自警団で黒猫……こと雑魔の情報を集めていた。ちょうど急用で夜中歩いていたところを襲われた被害者がいたらしい。
 大よその位置やそこにある物、状況、雑魔の姿、数の情報を得た篝は村長から受け取った村の地図を広げてもらい、印をつける。
「なるほど」
 クオンは地図を見、納得してから、時計を見て。
「そろそろ夕方ですね」
 と言った。
「ああ、夜も来る」
 Jもクオンの言葉に便乗して、言った。

「ん、そろそろ家に帰る?」
 カーミンはこう言いながら、しれっとヘンリーと一緒に帰ろうとしていた。しかし、ヘンリーはそれに難色を示す。
「おねーさんが来たら母さんにちょっと、どう説明すればいいかわかんなくて、ごめんなさい!」
 このヘンリーの言葉は、今回の依頼を両親に言っていない、というのを表すようなもので。カーミンはそれに諭すように言い始める。
「猫を探すの、本気じゃなかったの?」
「えっと、その」
 目を泳がせるヘンリーをじっと見つめながら、カーミンは続けた。
「心配かけたくないだの、面倒だの、そういうのから逃げ出して、トムに合わせる顔があるのかしら? トムは逃げずに、戦ったんでしょ?」
「……わかったよ。ちゃんと説明してみる」
 ちょっと言葉に詰まってから、決断したヘンリーを見て、カーミンはぽん、と彼の頭を撫でる。
 そして、母親に今回の依頼を説明したヘンリーは、母親とともにカーミンにお礼を述べて夜のことを任せた。もとより母親が頼んだのは止めることではなく、守ること。心配しながらも、ヘンリーの意を尊重しているんだろうとカーミンは考えていた。
(私にはもうママはいないけど。私に向けられたのも、こういう優しさだったのかも)
 自分の母のことを思いながら、カーミンは柔らかく目を細める。
 地平線に太陽が沈み、空は月と星を煌かせながら黒く染まっていく。

●月光る下、現れる猫
(雑魔と戦うのは初めてね。今更な感じだけど)
 篝はそう思いながら、出現場所へと向かっている。パルムが篝の腰に吊るされたランタンの下でぽんぽんと動いていた。
 午後休息をとっていた者も起きだして、単独、別れての行動になるものはいたが、大よそまとまっての行動になっている。
 カーミンと鵤の持つLEDライト、篝とJのカンテラの光で道が照らされている。ある所で、にゃぁんと二匹分の猫の鳴き声が響いた。その方をいて、ライトを向ければそこに居たのは黒猫だ。
 鵤はまずJに攻性強化をかける。黒猫は即座にハンターに近寄り、その鋭い爪で引っかこうとした。その標的となったカーミンは寸でのところで攻撃を避ける。攻撃が空振り、その勢いのまま地面に着地した黒猫は別の場所から攻撃しようと走る。
 しかし、そこを鵤の機導剣に邪魔された。
「悪いねぇー、通行止めなんだわ」
 邪魔と同時に斬られ、今度は別方向を攻めようと移動する黒猫に、今度はJの持つ毛布が覆いかぶさった。
「逃がしゃしねえよう子猫ちゃん」
 そしてJは出来た隙を逃さないようリボルバーを取り出し、撃つ。その時、黒猫を追うようにして、一匹の三毛猫が走ってくる。
「トム?」
「そうみたいですね」
 三毛猫、もといトムを追ってクオンが駆けつける、と同時に篝の言葉に返す。
「人の手での誘拐はされていなかったようでしたが」
 そして、こう言いながらクオンの後から現れたGacrux。酒場で情報を集めた後、ばったりトムを追いかけるクオンと遭遇して追いかけた次第だという。
「夜になるまで隠れていたとは」
 こう呟いてから、仲間と黒猫の繰り広げる銃撃戦を前にクオンは足を止めた。その足の隙間をトムは走りぬけ、Jの被せた毛布から逃げ出した黒猫を追って飛び掛る。トムの瞳は闘争に熱く燃えていた。
 トムの爪を回避し、そのまま離れようとする黒猫の毛の上で、鵤の攻性強化を貰ったカーミンの水風船が弾けた。ペイントボールというほど効力はないが、色水がかかって不快に思った猫の動きを緩めることは出来る。
「狙って!」
 カーミンの声に、鵤、J、篝の銃撃が一斉に黒猫を襲った。篝の牽制射撃で逃げ場を封じられたのち、Jと鵤の集中射撃を受けた黒猫は一際大きな鳴き声を上げて、消滅した。
 黒猫討伐後、安堵と空腹にふらふらと歩いているトムの前に、鵤が猫用の干魚とマタタビを置いて、それにトムが口をつけたところをJが毛布で捕らえた。
 トムはしばらく驚いて暴れていたものの、何事もないことを理解したのか抵抗をやめる。黒猫との戦闘の疲れかトムは、ハンターたちが宿に戻るまで、否、宿に戻って夜が明けるまでおとなしく、マタタビに酔いながら身を任せていた。

●次の日の朝
「トム!」
 飼い主のもとへ駆け寄る三毛猫の姿に、ヘンリーはどこか安心したような、嬉しそうな笑顔で応えた。
「ありがとうございます、報酬のほうなんですが……」
 感謝の気持ちを込めて頭を下げた母親が、申し訳なさそうに頭を上げたときに。
「あ、費用なら心配しないで、仲間が上手くやってくれたと思うわ」
 さらっと、カーミンが言った。
「ガキから取らなきゃ食えねえほどオバケじゃねえや」
 Jもカーミンに続き嘯いて、
「その金でトムに旨えモンでも食わせてやれ」
 と締めくくった。
 ヘンリー親子は驚き、そしてハンターたちに改めて感謝し、彼らが村を出るまで見送っていた。村は黒猫の雑魔の恐怖から解放され、どこか明るい雰囲気で満ちている。
 交わされる表情は暗いものでなく、ただ和やかな笑顔であった。

依頼結果

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MVP一覧

  • は た ら け
    ka3319
  • 交渉人
    J・Dka3351

重体一覧

参加者一覧

  • 課せられた罰の先に
    クオン・サガラ(ka0018
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • 花言葉の使い手
    カーミン・S・フィールズ(ka1559
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • 見極めし黒曜の瞳
    Gacrux(ka2726
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • 弓師
    八原 篝(ka3104
    人間(蒼)|19才|女性|猟撃士
  • は た ら け
    鵤(ka3319
    人間(蒼)|44才|男性|機導師
  • 交渉人
    J・D(ka3351
    エルフ|26才|男性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 猫捜索相談卓
Gacrux(ka2726
人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2014/10/19 01:28:37
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/10/14 09:02:50