ゲスト
(ka0000)
【界冥】美○○フィギュア捕獲作戦inEG
マスター:馬車猪
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/04/04 07:30
- 完成日
- 2017/04/12 18:41
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
美女/美青年/美少女/美少年/美幼児/美中年。
人の美しい瞬間を形を止めた品が、完璧に近い保存状態で大量に保管されている。
そこはエデン。
かつてエバーグリーンに存在した、オートマン(フィギュア)ショップである。
●求めるのは金か栄誉か
「高値で売れそうなのはこの子とこの子とこの子ですね」
キンキンに冷やした炭酸飲料を上品にストローですすり、自称美少女の職員が分厚いカタログをめくる。
「んー、この子達は売り物になりませんね。そういう趣味の人ならいくらでも出すでしょうけど、そういう趣味に使われたらオートマンさんもいい気はしないでしょうから」
あどけない幼児がカタログに並んでいる。
事情を知らない者からは人身売買用商品見本にしか見えない。
「こっちはルビーさんに近い型かー。発見次第確保推奨、非売品、と」
キーボードを引っ張り出し、ディスプレイを見もせず依頼票を修正する。
性格と言動はともかく能力はあるのだ。能力があるから辛うじて免職されずに済んでいるともいえる。
「私は渋格好いいのが好きですけどねー。美形はハンターの皆さんで見慣れてますし」
クッキーを取り出そうとしてパルムの視線に気づく。半分をばらまいて買収。見なかったことにさせた。
「んぐっ。え、結局何の話だって? 決まっているじゃないですか」
胸を張る。
平均的なお胸から、食べかすがぽろぽろこぼれてエバーグリーンからの回収品(カタログ)を汚す。
「お金儲けですよお金儲け。ほら、エバーグリーンでの調査依頼が出るでしょ? そこに回収依頼をねじ込んでお宝をゲットって話ですよ」
本当にぎりぎりだが職権乱用ではない。
調査のために回収された後、安全性が確認された調査済み物品が売りに出されることは普通にあることなのだから。
「売却益の全額をもらえるって訳じゃないですが、基本報酬と同額くらいのボーナスは出るはずです。成功すればですけどね」
クッキーを食べ終えたパルムが感謝の舞いを
3Dディスプレイが新たに現れ、ハンターから見やすい位置まで浮き上がる。
「目的地はエバーグリーンの地方都市商業区画。重要施設がなかったようでして、歪虚の数と質はあまり高くありません」
地球の百貨店に似た店舗が映し出されている。
展示されていた品の多くは朽ち果て、ガラス等の設備が往時のまま。
まるで呪いにより滅ぼされた遺跡のようだ。
「地下2階、地上1階、4階、5階が売り場になります。店頭に並んでいる子は壊れている可能性がありますが」
店の奥には長期保存された未起動オートマンが多数眠っている。
以前のエバーグリーン探索行で得られた資料から、職員はそう断言した。
「地下ほど低年齢、最上階の5階に近いほど高年齢か高戦闘力みたいです。いきなり起動したりはしない……しないといいな。しても皆さんなら大丈夫ですよね!」
とても、胡散臭かった。
●ショッピングモール攻防戦予定地。ゾンビ× 触手人間歪虚○
生きとし生けるものが死に絶えた地で、触手を人の形に押し込めた歪虚も滅ぼうとしていた。
既に役目は終わった。
文明の抜け殻ごと風化し消え去るまで、ただじっとしているだけのはずだった。
世界と世界を隔てる壁が急に薄まり。
太陽のように眩しいマテリアルを伴った人間が複数、妙に立派で妙に目立たない場所にある建物内に現れた。
眼球に擬態した触手に力籠もる。
体が揺れ、薄ら降り積もった埃が体から落ちる。
そんな光景が商業施設だけで無く都市全体で繰り返され、オートマン(フィギュア)ショップに歪虚の津波が押し寄せようとしていた。
・オートマンショップ(縦横それぞれ50メートル)
1階 窓無し。外部への出入り口(幅6メートル)1つ有り。オートマン(外見13~23歳。観賞用が中心)
2階 窓有り。オートマン用衣装(一般)
3階 窓有り。オートマン簡易メンテ器具
4階 窓有り。オートマン(外見24~49歳と、ルビー型(仮称)亜種。労働用が中心)
5階 窓無し。オートマン(外見49歳~。執事型と乳母型が売れ筋でした)
6階 最上階。窓無し。防御壁を下ろすと防戦が容易に。館内全てのオートマンを収容可
地下1階 オートマン用衣装(子供用)
地下2階 逃げ場が無く防御に不向き。オートマン(外見は12歳以下。観賞用)
共通施設 大規模階段(幅6メートル)1つ。非常用階段(幅2メートル)1つ。
人の美しい瞬間を形を止めた品が、完璧に近い保存状態で大量に保管されている。
そこはエデン。
かつてエバーグリーンに存在した、オートマン(フィギュア)ショップである。
●求めるのは金か栄誉か
「高値で売れそうなのはこの子とこの子とこの子ですね」
キンキンに冷やした炭酸飲料を上品にストローですすり、自称美少女の職員が分厚いカタログをめくる。
「んー、この子達は売り物になりませんね。そういう趣味の人ならいくらでも出すでしょうけど、そういう趣味に使われたらオートマンさんもいい気はしないでしょうから」
あどけない幼児がカタログに並んでいる。
事情を知らない者からは人身売買用商品見本にしか見えない。
「こっちはルビーさんに近い型かー。発見次第確保推奨、非売品、と」
キーボードを引っ張り出し、ディスプレイを見もせず依頼票を修正する。
性格と言動はともかく能力はあるのだ。能力があるから辛うじて免職されずに済んでいるともいえる。
「私は渋格好いいのが好きですけどねー。美形はハンターの皆さんで見慣れてますし」
クッキーを取り出そうとしてパルムの視線に気づく。半分をばらまいて買収。見なかったことにさせた。
「んぐっ。え、結局何の話だって? 決まっているじゃないですか」
胸を張る。
平均的なお胸から、食べかすがぽろぽろこぼれてエバーグリーンからの回収品(カタログ)を汚す。
「お金儲けですよお金儲け。ほら、エバーグリーンでの調査依頼が出るでしょ? そこに回収依頼をねじ込んでお宝をゲットって話ですよ」
本当にぎりぎりだが職権乱用ではない。
調査のために回収された後、安全性が確認された調査済み物品が売りに出されることは普通にあることなのだから。
「売却益の全額をもらえるって訳じゃないですが、基本報酬と同額くらいのボーナスは出るはずです。成功すればですけどね」
クッキーを食べ終えたパルムが感謝の舞いを
3Dディスプレイが新たに現れ、ハンターから見やすい位置まで浮き上がる。
「目的地はエバーグリーンの地方都市商業区画。重要施設がなかったようでして、歪虚の数と質はあまり高くありません」
地球の百貨店に似た店舗が映し出されている。
展示されていた品の多くは朽ち果て、ガラス等の設備が往時のまま。
まるで呪いにより滅ぼされた遺跡のようだ。
「地下2階、地上1階、4階、5階が売り場になります。店頭に並んでいる子は壊れている可能性がありますが」
店の奥には長期保存された未起動オートマンが多数眠っている。
以前のエバーグリーン探索行で得られた資料から、職員はそう断言した。
「地下ほど低年齢、最上階の5階に近いほど高年齢か高戦闘力みたいです。いきなり起動したりはしない……しないといいな。しても皆さんなら大丈夫ですよね!」
とても、胡散臭かった。
●ショッピングモール攻防戦予定地。ゾンビ× 触手人間歪虚○
生きとし生けるものが死に絶えた地で、触手を人の形に押し込めた歪虚も滅ぼうとしていた。
既に役目は終わった。
文明の抜け殻ごと風化し消え去るまで、ただじっとしているだけのはずだった。
世界と世界を隔てる壁が急に薄まり。
太陽のように眩しいマテリアルを伴った人間が複数、妙に立派で妙に目立たない場所にある建物内に現れた。
眼球に擬態した触手に力籠もる。
体が揺れ、薄ら降り積もった埃が体から落ちる。
そんな光景が商業施設だけで無く都市全体で繰り返され、オートマン(フィギュア)ショップに歪虚の津波が押し寄せようとしていた。
・オートマンショップ(縦横それぞれ50メートル)
1階 窓無し。外部への出入り口(幅6メートル)1つ有り。オートマン(外見13~23歳。観賞用が中心)
2階 窓有り。オートマン用衣装(一般)
3階 窓有り。オートマン簡易メンテ器具
4階 窓有り。オートマン(外見24~49歳と、ルビー型(仮称)亜種。労働用が中心)
5階 窓無し。オートマン(外見49歳~。執事型と乳母型が売れ筋でした)
6階 最上階。窓無し。防御壁を下ろすと防戦が容易に。館内全てのオートマンを収容可
地下1階 オートマン用衣装(子供用)
地下2階 逃げ場が無く防御に不向き。オートマン(外見は12歳以下。観賞用)
共通施設 大規模階段(幅6メートル)1つ。非常用階段(幅2メートル)1つ。
リプレイ本文
●もえる浪漫と欲望
売り場は柔らかな薄明かりに満たされていた。
永い時を経ていはずなのに、どのオートマンの肌も髪も清潔なままだ。
「行くぜジャアアーーーーーーックゥ! 地下から総浚いして全員救出だ!」
「俺様はここにいる子達は一人だって見捨てねぇ。彼女達は待ってんだよ、王子様が来んのをな! 今から助けに行くぜ! マイプリンセス!」
ダンディな冒険男と俺様男風の貴公子が、足取りも軽く地下階に突撃した。
「待ってろよ。全員連れて行ってやっからよ」
紫月・海斗(ka0788)が倉庫区画へ突入。
縦横1メートル奥行き2メートルの保存容器というかほとんど金庫を3つ重ねてワイヤーで固定。
一歩一歩確実に、危なげ無く上階に向け運んでいく。
「エバーグリーンにも「ふぃぎゅあ」があったのかよ」
ジャック・J・グリーヴ(ka1305)が緑の瞳を少年のように輝かせている。
「2.5次元、それは漢の夢……。次元を隔てた先にある楽園、2次元を俺様達のいる3次元へと近付けた幻の一品……」
透明部分から見える目を閉じた少女に優しく笑いかけ、保存容器を4つ重ねて軽々持ち上げ運び出した。
●迷い
「6階クリア」
フォークス(ka0570)が銃口を下ろ一言ささやくと、階下から一定のリズムで音が近づいて来た。
階段から、幅1メートル奥行き2メートル、高さ最低でも4メートルの直方体が次々現れる。
「このサイズの物を地下から6階まで人力で運ぶなんて……軍の訓練みたいだわね」
マリィア・バルデス(ka5848)を先頭に、第一弾15体のオートマンが容器ごと運び込まれてくる。
「コの字に積み上げようぜ。中にいれば100パーセント帰還時に回収されるはずだ」
柊 恭也(ka0711)の提案は至極真っ当なものだ。
だがマリィアは恭也案の受け入れに躊躇してしまった。
回収起動までは分かる。
が、安全を確認したうえで売買と言われると少しだけ違う気がする。
「金儲けに思う所がないわけじゃないが……まだ生きてるんだろう、この子達。それなら連れて帰ってやりたいと思うよ」
グリムバルド・グリーンウッド(ka4409)が容器を下ろしてコの字をつくる。
眠ったままの少年を見下ろし、しんみりとした雰囲気で言葉を続ける。
「勝手な話だが、せっかく生まれたんだから眠ったままよりはちゃんと生きていてほしい。良い事ばかりじゃないかもしれないけど此処よりはきっとマシだろ」
建物の外では歪虚が活動中だ。
オートマン達をここに放置すれば、いずれ破壊されるか破壊されなくても何も残せず空間ごと消え去ることになる。
「責任取れっていうなら出来る限りの事はするつもりだし、何とかなるさ」
「そう……ね。ありがとう。気をつかってくれて」
マリィアが淡く微笑み、オートマンが眠る容器をコの字に置いた。
グリムバルドは気にするなというように軽く手を振り階段を使って下の階へ向かった。
「エレベーターが使えればね」
半開きになったままの扉を見つけて閉じてロック。
歪虚に道として使われるのを事前に防ぎ、マリィアもグリムバルドの後を追って1階を目指した。
●真実の影
「アレだろ? ルビーちゃんとかと同じなんだろ? なら寝てるだけの奴らじゃねぇか。一人残さず助けんのが道理だろうよ」
ふひぃ、ふへぇ、とすっかり乱れてしまった呼吸を整えながら、海斗は立ち尽くす人型オートマン3体を毛布で包んで背負った。
容器に振動を与えぬよう細心の注意を払い、滴る汗を拭って一定速度で階段へ向かう。
「まぁー? 美女美少女とか最優先ですけどぉー?」
階段まで数メートルのところで見慣れた顔に気づく。
「ジャック?」
売り場中央、特に目立つ展示スペースで、ジャックとオートマンが向かい合いっている。
「せっかくの美人がよ、よれた服着てちゃ台無しだぜ」
気取った仕草で、ただし目と手つきは優しく、ジャックが薄手のコートをオートマンの肩にかけた。
端が風化し膝まで見えてしまっていたスカートが隠れる。
艶のある黒髪は腰まで伸び、完全なシンメトリーであると同時に今にも動き出しそうなほど生気に満ちている。
「美人さんじゃねーか」
海斗が気合で歩み寄る。
足の筋がぷるぷるしていても余裕の表情は崩さない。
利き手の革手袋を外し、絶対に傷付けない強さでオートマンの頬を突いて見た。
「うわすげぇ本物の人と大差ねぇ質感じゃね?」
ここでジャックの突っ込みが来るはずなのに、何故か全く反応が無い。
ちらりと見る。
年下の悪友が、女に免疫がない子供のように顔を赤くし固まっていた。
「おーい、ジャック? ぶちゅーっとキスでもしないのか?」
「きききキスなんてそんな」
ジャックが再起動する。
顔が赤い。頭から湯気が……湯気に見えるマテリアルが上がっている。
「その、手を、手を繋ぎtだあああ! 考えるだけでも恥ずいわ! なし! やっぱ今のなし!」
ぱん、自分の顔を叩いて精神を立て直す。
一時的に腑抜けていた顔がきりりと引き締まり、たくましい腕を伸ばして黒髪オートマンを運びだそうとした。
海斗がそっと腕を押す。
ガントレットに包まれた指がオートマンの人差し指と重なる。
白い指が、ジャックから逃げるように後ろへ下がった。
けれど2人の指は離れない。
ジャックが追いかけたのではなく、指の主が離れたくなかったのだ。
「え」
ジャックの目が見開かれる。
壊れた人形のように視線を動かすと、彼女がうつむき体を縮こまらせていた。
「えっ?」
長いまつげが羞恥で揺れている。
かつての美しさを失った……これでも建造時と比べれば風化している……自分をジャックの目に晒すのが、心底恥ずかしいようにしか見えない。
「ジャック!」
入り口に歪虚の影。
迎撃に向かおうにも背中が重すぎ海斗は普段の10分の1すら動けない。
銃声が1つ。
頭部を失った歪虚が倒れてようやく、ジャックは自分が射殺したことに気づいた。
恐る恐る振り返ると、オートマンは再び動きを止めていた。
●スカベンジャー
フォークスが、無意識に引き抜いていた拳銃をホルスターに戻す。
「今のは精霊かイ?」
非常に薄い気配が一瞬だけ、確かに感じられた。
それに釣られて歪虚が動いたようだが所詮は1匹。今回の面子なら傷も負わずに蹴散らせるだろう。
「nerd相手のボロイ商売だと思ってたけド、きな臭いネ」
ここは3階。
めぼしい器具は全て運び出され、残っているのは陳列台やバックヤードにある事務机くらいだ。
「歴史的価値も研究的価値も即ち飯のタネってネ。レジカウンターはどれかナ?」
売り場の火器は、フォークス視点で豆鉄砲未満のものしかない。
その中でも貴金属や宝石で飾られている物や、配置からして仕様書や業務日誌と思われる書類や書き散らしたメモをポーチに詰め、入りきらなかったものは途中で回収した袋に入れる。
回収作業が進む。
容器内、容器外を問わず全てのオートマンが6階に運び込まれ、ハンター達は歪虚の襲来を待ちつつ細々としたもの移動にとりかかる。
マリィアが衣装の入った容器を運び終えて2階に戻ると、数十分前までは華やかだった場所が空虚ながらんどうとなっていた。
「クリムゾンウェストにもリアルブルーにもない技術や資材が使用されている可能性はあるわけでしょう? そういうものこそ確保したいわ」
マリィアが次は何を運ぼうかと考え込む。
椅子1つ、金属片1つからでも新たな知見が大量に得られる可能性はある。
もちろん、オートマン、特にルビーに近い機種に比べると0に近い可能性な訳だが。
「字が読めればいいんだが」
半ば風化した張り紙を一瞥し、グリムバルドは放置された椅子を集め始めた。
マリィアに着いて来たパルム2柱が、まだ情報が集まりきっていない言語を興味深げに眺めている。
パルム達を促しマリィアも運搬に参加した。
頑丈そうな椅子、重量感のある机を3階に運び込んで各種階段とエレベーターの前へバリケードを設置。
それから数分で、1階正門に歪虚が現れた。
「歪虚30、種類は狂気、外見は……ゾンビ風触手人間?」
椅子と机が織りなす障壁の上で、グリムバルドはトランシーバーを片手に敵来襲の情報を伝達している。
敵は案外速い。
ハンターと比べると鈍足もよいところだが、何も考えず正の気配を目指しているため、体をあちこちにぶつけながら駆け足程度の速度でこちらに向かって来る、
「ファイアースローワーでこんがり焼くだけのお仕事です」
冗談を飛ばす余裕すらあった。
眼球まで触手で構成された歪虚は、外見だけはかなりの攻撃力だ。
もちろんその程度でグリムバルドが怯むわけがなく、炎の形をした破壊の力を淡々と歪虚へ吹き付けた。
焼けすらしない。
グリムバルドの力に一瞬も耐えきれず、元から存在しなかったかのようにゾンビもどきが十数体同時に消える。
「弱い」
雑魚雑魔ですら2割は躱してくるのに全て命中だ。
単に運が良かった訳ではない。ゾンビもどきの動きが悪すぎた。
「これで終わりかこれしか来ないなら良いのだけど」
魔導銃で1発ずつ丁寧に撃つ。
マリィアが最近い2体に止めを刺し、次の集団7体ががグリムバルドに迫る。
ファイアースローワーによる焼却。
近づきすぎあるいは余所の階段を目指すゾンビをマリィアが確実に倒すと、残る歪虚はったた1体になった。
グリムバルドにゾンビが近づく。
雑に振り回される手や、無様な動作での噛みつき当たるはずがなく、魔導符剣によりあっさり切り倒された。
●人形と歪虚のショータイム
全裸でもビキニ鎧でもエロスーツでもなく、魔導アーマー「ヘイムダル」風の甲冑である。
重いはずの鎧を軽々身につけているのは、さらさらとした金髪をポニーテールにした少女。
クリムゾンウェストで最もよく知られたオートマンを数歳幼くした顔立ちだ。
「うん」
恭也は至極真面目な顔でうなずいて、魔導カメラを構え何度も何度もシャッターを切る。
手足の一部は露出させているのは可憐さ、元気さを表現するため。
追求するのは浪漫。
薄らエロスがあっても偶然なのだ。
レイヤーに頼めるぎりぎりの角度から激写するのもあくまで浪漫のため。
直接的な欲望を満たすためでは絶対にないのだ。
丁度その頃、3階のバリケードが突破されていた。
第1波に比べて倍以上速く、進入路が複数だったため数体が乗り越えて4階への階段を駆け上る。
「出番がないかと思いました」
なかった方がよかったですがと、エルバッハ・リオン(ka2434)が待ち構えている。
ゾンビもどきの口が大きく開く。
無数の小さな歯が擬態を止めて触手としてうごめく。
エルバッハは口を閉じて正しくマテリアルを運用した。
軽くワンドを振るうと薄い紫の光が広がり、ゾンビに近づくにつれ色が濃くなり床がきしみ始める。
ゾンビ複数が引き抜かれるように宙に舞い、宙に浮かんだ最も濃い紫に引き込まれ、圧縮され、全身砕けて消滅した。
無言でワンドを後ろへ。
風の刃が無音で飛んで、非常階段から飛び出した細身・高速ゾンビを切断しこの階の安全を確保した。
「観賞用や着せ替え用に1人連れて帰りたいのですが」
小さく息を吐いて、鑑賞中だった容器の元へ戻る。
人間換算で10を超えたばかりに見える少女が、無垢な顔で眠りについていた。
そして5階の撮影会場である。
黒髪ショートの凜々しい甲冑娘が、カタナとCAM用ライフルをを構えてヘイムダル娘の背中を守っている。
汗と硝煙が香り、体の熱さと体温を近くに感じる、まさに戦場の一瞬を切り取ったジオラマだ。
「まぁ武装紳士としてはこの程度当然よな」
恭也が爽やかに笑う。
優れた造形技術と加工技術、豊富な実戦経験の豪華すぎる無駄遣いを指摘できるハンターは、残念ながらこの場にはいなかった。
『いつまで遊んでる! 飛行歪』
通信が乱れていきなり消えた。
同時に2人分の鎧が床に落ちて大きな音を立てる。
「潮時か」
通信切断時には、オートマン2人を厚手の毛布で包み終えていた。
おそらく運び出せないメンテ器具の余りで作ったパーツをその辺にばらまき、2人を抱えて6階にある再転移予定地に向け走る。
強靱なガラス状素材が割れる。
マテリアルに飢えた歪虚が恭也の背を狙い、死角から飛来した銃弾に頭部を射貫かれ床に体を打ち付ける。
「ゾンビタイプばかりかと思ったのに、空からくるとはね……」
マリィア再は装填を行いつつ5階を見渡す。
残る敵は9。
「積み残しは?」
無し! とトランシーバーから返事。
「6階は封鎖。戦い足り無い人は4階に集まりなさい」
5階に向け階段を降りながら適宜応戦。
残る9体が集まって来たところで一気にバイクで駆け下る。
歪虚が狭い非常階段にもみ合いになり、ようやく4階入り口へ到着。
「遅かったナ」
赤く燃える右目が歪虚を捉え、11発の弾丸が飛行歪虚を満遍なく打ち据える。
「ゴミはまとめてぽいダ」
高重力が非常階段を覆う。
歪虚は逃げることも反撃することも出来ず、無意味に潰され消えるのだった。
●閉じるオークション
フォークスはにやにや笑って席についた。
オートマンでも武器でもない、ただの紙の山が高額で売れた。
「このままだと可愛い子が売れちゃいますよー。倍額で入札していいんですよー」
真っ当な会議室が今だけは奴隷市場風オークション会場になっている。
司会者はゼニゲバの職員。
席について最高額入札中のエルバッハが、真剣な顔で壇上のオートマンを見つめていた。
フォークスは、欲に濁った男性客の目を見てつい本音を口にしてしまう。
「理解に苦しむヨ。金貨の山でダッチワイフを買うのかネ」
会場の空気が凍った。
エルバッハが念のため1割増しにしようと手を伸ばすよりも速く、大勢の野郎共が倍額倍額を繰り返して値段の桁が上がる。
なお、今壇上にいる12歳児版オートマンにそういう機能はついていない。
「あー、ゴメン」
肩を落とすエルバッハに、フォークスが珍しく真顔で謝った。
エルバッハの歳で着せ替え人形を欲しがるのなら理解できるし。
「ほら、高く売れると購入資金も増えるしネ」
売れ残りの商品カタログをそっと渡す。
貯金を全額崩したのとあわせればなんとか……と思いつつ目をエルバッハが目を通していくと、現在進行形で翻訳されていく文字に気づいた。
『精霊』
『組み込み』
『人格を実装』
パルム達が頑張った結果の翻訳がエルバッハに顔色を変えさせる。
魔導短伝話を取り出しハンターズソサエティへ連絡を入れる。数分もたたずに武装した職員が押し寄せ、抵抗する全てを黙らせオートマンを押収した。
最悪会場に殴り込むつもりだったジャックが銃を下ろし、特に厳重に守られ運び出されるオートマンを見送っていた。
売り場は柔らかな薄明かりに満たされていた。
永い時を経ていはずなのに、どのオートマンの肌も髪も清潔なままだ。
「行くぜジャアアーーーーーーックゥ! 地下から総浚いして全員救出だ!」
「俺様はここにいる子達は一人だって見捨てねぇ。彼女達は待ってんだよ、王子様が来んのをな! 今から助けに行くぜ! マイプリンセス!」
ダンディな冒険男と俺様男風の貴公子が、足取りも軽く地下階に突撃した。
「待ってろよ。全員連れて行ってやっからよ」
紫月・海斗(ka0788)が倉庫区画へ突入。
縦横1メートル奥行き2メートルの保存容器というかほとんど金庫を3つ重ねてワイヤーで固定。
一歩一歩確実に、危なげ無く上階に向け運んでいく。
「エバーグリーンにも「ふぃぎゅあ」があったのかよ」
ジャック・J・グリーヴ(ka1305)が緑の瞳を少年のように輝かせている。
「2.5次元、それは漢の夢……。次元を隔てた先にある楽園、2次元を俺様達のいる3次元へと近付けた幻の一品……」
透明部分から見える目を閉じた少女に優しく笑いかけ、保存容器を4つ重ねて軽々持ち上げ運び出した。
●迷い
「6階クリア」
フォークス(ka0570)が銃口を下ろ一言ささやくと、階下から一定のリズムで音が近づいて来た。
階段から、幅1メートル奥行き2メートル、高さ最低でも4メートルの直方体が次々現れる。
「このサイズの物を地下から6階まで人力で運ぶなんて……軍の訓練みたいだわね」
マリィア・バルデス(ka5848)を先頭に、第一弾15体のオートマンが容器ごと運び込まれてくる。
「コの字に積み上げようぜ。中にいれば100パーセント帰還時に回収されるはずだ」
柊 恭也(ka0711)の提案は至極真っ当なものだ。
だがマリィアは恭也案の受け入れに躊躇してしまった。
回収起動までは分かる。
が、安全を確認したうえで売買と言われると少しだけ違う気がする。
「金儲けに思う所がないわけじゃないが……まだ生きてるんだろう、この子達。それなら連れて帰ってやりたいと思うよ」
グリムバルド・グリーンウッド(ka4409)が容器を下ろしてコの字をつくる。
眠ったままの少年を見下ろし、しんみりとした雰囲気で言葉を続ける。
「勝手な話だが、せっかく生まれたんだから眠ったままよりはちゃんと生きていてほしい。良い事ばかりじゃないかもしれないけど此処よりはきっとマシだろ」
建物の外では歪虚が活動中だ。
オートマン達をここに放置すれば、いずれ破壊されるか破壊されなくても何も残せず空間ごと消え去ることになる。
「責任取れっていうなら出来る限りの事はするつもりだし、何とかなるさ」
「そう……ね。ありがとう。気をつかってくれて」
マリィアが淡く微笑み、オートマンが眠る容器をコの字に置いた。
グリムバルドは気にするなというように軽く手を振り階段を使って下の階へ向かった。
「エレベーターが使えればね」
半開きになったままの扉を見つけて閉じてロック。
歪虚に道として使われるのを事前に防ぎ、マリィアもグリムバルドの後を追って1階を目指した。
●真実の影
「アレだろ? ルビーちゃんとかと同じなんだろ? なら寝てるだけの奴らじゃねぇか。一人残さず助けんのが道理だろうよ」
ふひぃ、ふへぇ、とすっかり乱れてしまった呼吸を整えながら、海斗は立ち尽くす人型オートマン3体を毛布で包んで背負った。
容器に振動を与えぬよう細心の注意を払い、滴る汗を拭って一定速度で階段へ向かう。
「まぁー? 美女美少女とか最優先ですけどぉー?」
階段まで数メートルのところで見慣れた顔に気づく。
「ジャック?」
売り場中央、特に目立つ展示スペースで、ジャックとオートマンが向かい合いっている。
「せっかくの美人がよ、よれた服着てちゃ台無しだぜ」
気取った仕草で、ただし目と手つきは優しく、ジャックが薄手のコートをオートマンの肩にかけた。
端が風化し膝まで見えてしまっていたスカートが隠れる。
艶のある黒髪は腰まで伸び、完全なシンメトリーであると同時に今にも動き出しそうなほど生気に満ちている。
「美人さんじゃねーか」
海斗が気合で歩み寄る。
足の筋がぷるぷるしていても余裕の表情は崩さない。
利き手の革手袋を外し、絶対に傷付けない強さでオートマンの頬を突いて見た。
「うわすげぇ本物の人と大差ねぇ質感じゃね?」
ここでジャックの突っ込みが来るはずなのに、何故か全く反応が無い。
ちらりと見る。
年下の悪友が、女に免疫がない子供のように顔を赤くし固まっていた。
「おーい、ジャック? ぶちゅーっとキスでもしないのか?」
「きききキスなんてそんな」
ジャックが再起動する。
顔が赤い。頭から湯気が……湯気に見えるマテリアルが上がっている。
「その、手を、手を繋ぎtだあああ! 考えるだけでも恥ずいわ! なし! やっぱ今のなし!」
ぱん、自分の顔を叩いて精神を立て直す。
一時的に腑抜けていた顔がきりりと引き締まり、たくましい腕を伸ばして黒髪オートマンを運びだそうとした。
海斗がそっと腕を押す。
ガントレットに包まれた指がオートマンの人差し指と重なる。
白い指が、ジャックから逃げるように後ろへ下がった。
けれど2人の指は離れない。
ジャックが追いかけたのではなく、指の主が離れたくなかったのだ。
「え」
ジャックの目が見開かれる。
壊れた人形のように視線を動かすと、彼女がうつむき体を縮こまらせていた。
「えっ?」
長いまつげが羞恥で揺れている。
かつての美しさを失った……これでも建造時と比べれば風化している……自分をジャックの目に晒すのが、心底恥ずかしいようにしか見えない。
「ジャック!」
入り口に歪虚の影。
迎撃に向かおうにも背中が重すぎ海斗は普段の10分の1すら動けない。
銃声が1つ。
頭部を失った歪虚が倒れてようやく、ジャックは自分が射殺したことに気づいた。
恐る恐る振り返ると、オートマンは再び動きを止めていた。
●スカベンジャー
フォークスが、無意識に引き抜いていた拳銃をホルスターに戻す。
「今のは精霊かイ?」
非常に薄い気配が一瞬だけ、確かに感じられた。
それに釣られて歪虚が動いたようだが所詮は1匹。今回の面子なら傷も負わずに蹴散らせるだろう。
「nerd相手のボロイ商売だと思ってたけド、きな臭いネ」
ここは3階。
めぼしい器具は全て運び出され、残っているのは陳列台やバックヤードにある事務机くらいだ。
「歴史的価値も研究的価値も即ち飯のタネってネ。レジカウンターはどれかナ?」
売り場の火器は、フォークス視点で豆鉄砲未満のものしかない。
その中でも貴金属や宝石で飾られている物や、配置からして仕様書や業務日誌と思われる書類や書き散らしたメモをポーチに詰め、入りきらなかったものは途中で回収した袋に入れる。
回収作業が進む。
容器内、容器外を問わず全てのオートマンが6階に運び込まれ、ハンター達は歪虚の襲来を待ちつつ細々としたもの移動にとりかかる。
マリィアが衣装の入った容器を運び終えて2階に戻ると、数十分前までは華やかだった場所が空虚ながらんどうとなっていた。
「クリムゾンウェストにもリアルブルーにもない技術や資材が使用されている可能性はあるわけでしょう? そういうものこそ確保したいわ」
マリィアが次は何を運ぼうかと考え込む。
椅子1つ、金属片1つからでも新たな知見が大量に得られる可能性はある。
もちろん、オートマン、特にルビーに近い機種に比べると0に近い可能性な訳だが。
「字が読めればいいんだが」
半ば風化した張り紙を一瞥し、グリムバルドは放置された椅子を集め始めた。
マリィアに着いて来たパルム2柱が、まだ情報が集まりきっていない言語を興味深げに眺めている。
パルム達を促しマリィアも運搬に参加した。
頑丈そうな椅子、重量感のある机を3階に運び込んで各種階段とエレベーターの前へバリケードを設置。
それから数分で、1階正門に歪虚が現れた。
「歪虚30、種類は狂気、外見は……ゾンビ風触手人間?」
椅子と机が織りなす障壁の上で、グリムバルドはトランシーバーを片手に敵来襲の情報を伝達している。
敵は案外速い。
ハンターと比べると鈍足もよいところだが、何も考えず正の気配を目指しているため、体をあちこちにぶつけながら駆け足程度の速度でこちらに向かって来る、
「ファイアースローワーでこんがり焼くだけのお仕事です」
冗談を飛ばす余裕すらあった。
眼球まで触手で構成された歪虚は、外見だけはかなりの攻撃力だ。
もちろんその程度でグリムバルドが怯むわけがなく、炎の形をした破壊の力を淡々と歪虚へ吹き付けた。
焼けすらしない。
グリムバルドの力に一瞬も耐えきれず、元から存在しなかったかのようにゾンビもどきが十数体同時に消える。
「弱い」
雑魚雑魔ですら2割は躱してくるのに全て命中だ。
単に運が良かった訳ではない。ゾンビもどきの動きが悪すぎた。
「これで終わりかこれしか来ないなら良いのだけど」
魔導銃で1発ずつ丁寧に撃つ。
マリィアが最近い2体に止めを刺し、次の集団7体ががグリムバルドに迫る。
ファイアースローワーによる焼却。
近づきすぎあるいは余所の階段を目指すゾンビをマリィアが確実に倒すと、残る歪虚はったた1体になった。
グリムバルドにゾンビが近づく。
雑に振り回される手や、無様な動作での噛みつき当たるはずがなく、魔導符剣によりあっさり切り倒された。
●人形と歪虚のショータイム
全裸でもビキニ鎧でもエロスーツでもなく、魔導アーマー「ヘイムダル」風の甲冑である。
重いはずの鎧を軽々身につけているのは、さらさらとした金髪をポニーテールにした少女。
クリムゾンウェストで最もよく知られたオートマンを数歳幼くした顔立ちだ。
「うん」
恭也は至極真面目な顔でうなずいて、魔導カメラを構え何度も何度もシャッターを切る。
手足の一部は露出させているのは可憐さ、元気さを表現するため。
追求するのは浪漫。
薄らエロスがあっても偶然なのだ。
レイヤーに頼めるぎりぎりの角度から激写するのもあくまで浪漫のため。
直接的な欲望を満たすためでは絶対にないのだ。
丁度その頃、3階のバリケードが突破されていた。
第1波に比べて倍以上速く、進入路が複数だったため数体が乗り越えて4階への階段を駆け上る。
「出番がないかと思いました」
なかった方がよかったですがと、エルバッハ・リオン(ka2434)が待ち構えている。
ゾンビもどきの口が大きく開く。
無数の小さな歯が擬態を止めて触手としてうごめく。
エルバッハは口を閉じて正しくマテリアルを運用した。
軽くワンドを振るうと薄い紫の光が広がり、ゾンビに近づくにつれ色が濃くなり床がきしみ始める。
ゾンビ複数が引き抜かれるように宙に舞い、宙に浮かんだ最も濃い紫に引き込まれ、圧縮され、全身砕けて消滅した。
無言でワンドを後ろへ。
風の刃が無音で飛んで、非常階段から飛び出した細身・高速ゾンビを切断しこの階の安全を確保した。
「観賞用や着せ替え用に1人連れて帰りたいのですが」
小さく息を吐いて、鑑賞中だった容器の元へ戻る。
人間換算で10を超えたばかりに見える少女が、無垢な顔で眠りについていた。
そして5階の撮影会場である。
黒髪ショートの凜々しい甲冑娘が、カタナとCAM用ライフルをを構えてヘイムダル娘の背中を守っている。
汗と硝煙が香り、体の熱さと体温を近くに感じる、まさに戦場の一瞬を切り取ったジオラマだ。
「まぁ武装紳士としてはこの程度当然よな」
恭也が爽やかに笑う。
優れた造形技術と加工技術、豊富な実戦経験の豪華すぎる無駄遣いを指摘できるハンターは、残念ながらこの場にはいなかった。
『いつまで遊んでる! 飛行歪』
通信が乱れていきなり消えた。
同時に2人分の鎧が床に落ちて大きな音を立てる。
「潮時か」
通信切断時には、オートマン2人を厚手の毛布で包み終えていた。
おそらく運び出せないメンテ器具の余りで作ったパーツをその辺にばらまき、2人を抱えて6階にある再転移予定地に向け走る。
強靱なガラス状素材が割れる。
マテリアルに飢えた歪虚が恭也の背を狙い、死角から飛来した銃弾に頭部を射貫かれ床に体を打ち付ける。
「ゾンビタイプばかりかと思ったのに、空からくるとはね……」
マリィア再は装填を行いつつ5階を見渡す。
残る敵は9。
「積み残しは?」
無し! とトランシーバーから返事。
「6階は封鎖。戦い足り無い人は4階に集まりなさい」
5階に向け階段を降りながら適宜応戦。
残る9体が集まって来たところで一気にバイクで駆け下る。
歪虚が狭い非常階段にもみ合いになり、ようやく4階入り口へ到着。
「遅かったナ」
赤く燃える右目が歪虚を捉え、11発の弾丸が飛行歪虚を満遍なく打ち据える。
「ゴミはまとめてぽいダ」
高重力が非常階段を覆う。
歪虚は逃げることも反撃することも出来ず、無意味に潰され消えるのだった。
●閉じるオークション
フォークスはにやにや笑って席についた。
オートマンでも武器でもない、ただの紙の山が高額で売れた。
「このままだと可愛い子が売れちゃいますよー。倍額で入札していいんですよー」
真っ当な会議室が今だけは奴隷市場風オークション会場になっている。
司会者はゼニゲバの職員。
席について最高額入札中のエルバッハが、真剣な顔で壇上のオートマンを見つめていた。
フォークスは、欲に濁った男性客の目を見てつい本音を口にしてしまう。
「理解に苦しむヨ。金貨の山でダッチワイフを買うのかネ」
会場の空気が凍った。
エルバッハが念のため1割増しにしようと手を伸ばすよりも速く、大勢の野郎共が倍額倍額を繰り返して値段の桁が上がる。
なお、今壇上にいる12歳児版オートマンにそういう機能はついていない。
「あー、ゴメン」
肩を落とすエルバッハに、フォークスが珍しく真顔で謝った。
エルバッハの歳で着せ替え人形を欲しがるのなら理解できるし。
「ほら、高く売れると購入資金も増えるしネ」
売れ残りの商品カタログをそっと渡す。
貯金を全額崩したのとあわせればなんとか……と思いつつ目をエルバッハが目を通していくと、現在進行形で翻訳されていく文字に気づいた。
『精霊』
『組み込み』
『人格を実装』
パルム達が頑張った結果の翻訳がエルバッハに顔色を変えさせる。
魔導短伝話を取り出しハンターズソサエティへ連絡を入れる。数分もたたずに武装した職員が押し寄せ、抵抗する全てを黙らせオートマンを押収した。
最悪会場に殴り込むつもりだったジャックが銃を下ろし、特に厳重に守られ運び出されるオートマンを見送っていた。
依頼結果
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MVP一覧
- SUPERBIA
フォークス(ka0570)
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 柊 恭也(ka0711) 人間(リアルブルー)|18才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/04/04 03:35:44 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/04/04 03:25:25 |