• 初心

【初心】追うも残るも大事な役目

マスター:真太郎

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
LV1~LV20
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2017/04/27 19:00
完成日
2017/05/02 17:20

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 クリムゾンウェストの辺境部は歪虚の活動が活発な地域であるため、農耕などが行われている場所がとても少ない。
 そのため辺境に住む者達は食料の大部分は輸入に頼っている。
 隣国であるゾンネンシュトラール帝国や、海を挟んだ対岸の自由都市同盟から多く食料が輸入され、運搬業者が辺境各地へ運んでいる。
 辺境は運搬業が最も盛んな地域でもあった。
 そのためハンターの護衛依頼も多い。
 今日もハンターソサイエティには幾つもの護衛依頼が舞い込んでいる。
 その依頼の一つをハンターオフィス選出のベテランハンターと、個人希望のハンターとで請け負う事となった。

「私は更紗、闘狩人よ。よろしくね」
 ベテランハンターの1人が個人参加ハンターに挨拶してくる。
「この隊商からの護衛任務はよく受けていて、もう顔なじみなんだけど、今日は荷馬車の数が多いから他の人にも手伝って貰う事にしたのよ。
 護衛対象は2頭立ての荷馬車。普段は1台なんだけど今回は3台。随分と欲張ったわよね。
 積荷は食料8割、衣服1割、医薬品1割よ。
 馬車の護衛だから当然わたし達も馬に乗っていたほうがいいわ。持っていない人はオフィスに言えば貸してくれるから心配しないで」
 そして馬車とハンターの準備ができたところで出発となった。

 天気は快晴。
 しかも気候の良い時期のためポカポカ陽気だ。
 優しいお日様の光が馬車の護衛をしているハンター達の体を程よく温めてくれる。
 そんな容器の中を隊商の馬車は進み、護衛のハンター達も隊商に並んで周囲を警戒しながら進む。
 しかし何も起こらない。
 旅路は物凄く順調だ。 
 あまりにも何も起こらないので、手綱は馬に任せ、鞍の上でうたた寝したくなりそうな程だ。
「まぁ、荷馬車の護衛任務なんて大抵何も起こらないものよ。輸送の度に何かに襲われていたら商売にならないもの」
 更紗が退屈していたのかハンター達に話しかけてきた。
「でも見張りはちゃんとしてね。絶対安全って訳じゃないから業者も私達を雇ってるんだし。ちゃんと仕事してるってところは見せておかないと」
 更紗がハンターの耳に口を寄せてくる。
「だから寝るならバレないようにね」
 小声で言って指差した先には、ベテランハンターでドワーフのガッハソンがいる。
 そしてよーく見ると、ガッハソンは馬上でありながらも器用に眠っているのが分かった。
「それに有事の際にはすぐに起きて動けるようにしておいてね」
 更紗はそう言い残すと周囲の警戒に戻った。

 隊商は何度か休憩を挟みつつ辺境の奥へと進んでいった。
 行程の8割程が過ぎ、旅の終わりが見え始めた、その時。
 不意に飛来した矢が先頭の荷馬車の馬の尻に突き刺さった。
 馬が嘶きを上げる。
「敵っ!」
「どこじゃ?」
 更紗が弓を構え、起きたガッハソンも銃を構えて周囲を索敵する。
 すると岩の影に潜んでいたらしいオーガがこちらに押し寄せてくるのが見えた。
「オーガか」
「結構数が多いわね」
 ベテランハンター達が戦闘態勢を取る。
「ひいぃー! 止まれ! 止まるんじゃ!!」
 悲鳴が聞こえてきた方を見ると、尻に矢の刺さった馬が暴走し、馬車が勢いよく駆けていた。
 御者台の老商人が必死に馬をなだめようとしているが上手くいかないらしく、馬車はどんどん離れていってしまう。
 このままではあの馬車だけが孤立してしまうだろう。
「ここはわたし達に任せてあなた達は馬車を追って」
 更紗がハンター達に頼む。
 頼まれたハンター達は……。

リプレイ本文

 ハンター達は暴走した荷馬車を追うようにベテランハンターに頼まれていた。
「いいや。目の前の大物をこそ譲っていただこう、その方が皆のやる気も増すようだ」
 しかしルベーノ・バルバライン(ka6752)は馬から降り、残った荷馬車の前に立ちはだかる。
「うっし、相手にとって不足無し。あたしの拳があいつらにどこまで届くか、確かめてやろうじゃないのさ!」
 久延毘 羽々姫(ka6474)も既に馬を降りていてやる気満々だ。
「……わかったわ。ここはお願い」
「はい! 荷馬車には手出しさせません! 私達だってハンターなのですから!」
 ベテランハンターの1人である更紗に任され、鳳凰院 流宇(ka1922)は前衛の格闘士3人に『プロテクション』を施していった。
「あぁ~あ、後少しで区切りがいいのに敵襲かい? お帰り願っても無理そうだねぇ……。仕方ない」
 時雨 凪枯(ka3786)は面倒くさそうな口調で読んでいた本を仕方なく閉じる。
「商人さんはそこの岩陰に隠れていてくれるかい。ついでに別方向から敵が来ないか見張っといておくれな。きたらすぐ呼ぶんだよ」
 商人達は時雨の指示通り荷馬車を岩陰に走らせる。
 その間もオーガは弓持ちだけを後方に残して隊商に接近して来ていた。
「遠距離の攻撃があるだけで相当厄介ですからね。確実に処分しないといけないです」
 ミリア=シャートラウム(ka5766)は岩の上に登るとギアモノクル「イーヴルアイズ」を軽く調整して視野を確保。
「邪魔をするなら射抜くだけです」
 蒼弓「ヴォジャノーイ」の弦を『引き絞り』で引き、弓持ちのオーガに狙いを定め『強弾』で矢を放つ。
 風を切って飛来した矢がオーガの胴体に突き刺さる。
 自分が狙われていると悟ったオーガは近くの岩の影に隠れた。
「狙いにくくなりましたね。知能が高いんだかそれとも普通なんだか……」
 ミリアがモノクルを微調整して索敵しながら矢をつがえ直す。
 不意にオーガが岩を遮蔽にしながら矢を放ってきた。
 ミリアも反射的に矢を放ち返す。
 互いの矢が空中で交錯し、ミリアの矢はオーガの肩に刺さり、オーガの矢はミリアの体を貫いた。
 オーガがよろける。
 だがミリアも矢を受けた衝撃と痛みで片膝をつく。
 それでも次の矢をつがえようしたが、刺さった矢が邪魔で構えられない。
 矢を抜くと灼熱のような激痛が走った。
 しかも動脈を損傷したのか矢傷からドクドクと血が流れ出してくる。
(いけない。思ったより傷が深い……)
「ミリア様!! 傷の手当てを致します。しばらくご辛抱を」
 流宇がミリアに駆け寄ってきて『ヒーリングスフィア』を施してくれる。
 全快とはいかないが、血は止まってくれた 
 その時、ミリアは流宇の肩越しにオーガが次の矢をつがえたのが見えた。
「お嬢様後ろ!」
 ミリアは咄嗟に警告しながら弓を引き絞る。
 流宇も振り返って『ジャッジメント』を放とうとしたが射程外だ。
 再び空中を矢が交錯する。
 ミリアの矢はオーガの額に命中し、息の根を止めた。
 オーガの矢は、ミリアの身を庇った流宇に刺さった。
「ぅ……」
 流宇の顔に苦痛が浮かぶ。
「お嬢様!」
 ミリアが慌てて流宇の傷を診る。
 幸い傷は深くない。
「私など庇わず自分の身をお守り下さい!」
 ミリアは鳳凰院の家の召使で、召使が主人に庇われていては立場がない。
「いいえ。わたくしは聖導士で、しかもミリア様はわたくしと家を共にする者。庇うのは当然です」
「お嬢様……」
 流宇の言葉と思いやりがミリアの胸を打つ。
 そして心にある思いが去来する。
 今目の前にいる人は主人であると同時に、同じハンターの仲間なのだと。
「ありがとうございます、お嬢様。それでは私と共に戦って下さい」
「はい」
 流宇は嬉しそうに首肯すると『ヒーリングスフィア』で2人の傷を癒やした。

 その頃、ソティス=アストライア(ka6538)は接近してくるオーガ群に『スリープクラウド』を発動させていた。
「狩りの時間だ、せいぜい足掻いて見せるがいい!」
 左手に携えた聖書「クルディウス」のページがパラパラと捲れ、書面上に魔法陣が浮かび上がる。
 そして右掌を向けた先で発生した青白い雲が6体のオーガを包み込み、大剣持ち、槍持ち、二刀持ちが眠りに落ちた。
「……どこまで力になれるか分かりませんけれど、全力で当たらせて頂きますね」
 楊 玲花(ka5716)は3枚の符を抜くと『風雷陣』を発動。眠った3体のオーガの上に稲妻が降り注ぐ。
 オーガは感電したように身を震わせながら皮膚を焼け焦げせたが、その衝撃で目を覚ます。
 だが、久延毘 羽々姫(ka6474)が更に追い撃ちをかける。
「悪いね、どうやらあんた達の目覚めは最悪なモンになりそうだ!」
 大地を踏みしめてやや腰を落とした構えとり、全身からマテリアル抽出して練り上げた『青龍翔咬波』を発動。
「破っ!」
 気合と共に掌から放出したマテリアルが大剣持ちと二刀持ちを呑み込み、その身に更に深い傷を負わせる。
 しかし当たらない位置にいた槍持ちオーガが羽々姫を突いてきた。
 身を反らしたが避けきれず、戦着流の袖ごと腕が斬り裂かれて鮮血が散る。
「やるじゃない」
 だが羽々姫は楽しそうに笑った。
 オーガが更に槍で突いてくる。
 試作型パリィグローブで受けた。
 衝撃で腕が痺れたが、構わず手首を回すように腕を捻って槍先を反らしていなす。
 オーガの体がやや前に流れたのに合わせて羽々姫も半歩前に出て槍の間合いの内側に入り込んだ。
「さあ、どうする?」
 焦りを浮かべるオーガに羽々姫が不敵に笑いかける。
 オーガは槍の柄で殴打しようとした。
「遅い」
 それより先に『柔能制剛』を発動させつつオーガの足の横に自分の足を置き、腕を掴んで引く。
 するとオーガは羽々姫の足に躓き、あっけないほど簡単に地面に転がった。
「いまのは柔能剛制って技。あんたは文字通り、力の使い方を誤ったようだね?」
 オーガはすぐに起き上がろうとするが、槍ごと掌を踏みつけて阻止すると『鎧徹し』を顔面に叩き込む。
 戦籠手「炎獄」に込められたマテリアルが頭蓋骨を透して直接を脳を殴打する。
 オーガの耳と鼻から血が吹き出し、白目をむいて絶命した。

 一方、目を覚ました大剣持ちと二刀持ちにはソティスが再び『スリープクラウド』を放っていた。
「起きたなら再度眠りに落とす。そこから動けると思うな」
 しかし眠ったのは大剣持ちだけで、二刀持ちはソティスに接近し、刀を振り上げた。
「やらせません!」
 楊が咄嗟に放った符が『桜幕符』で桜吹雪に変化し、オーガの眼前で舞い散って視界を奪う。
 そのお陰でオーガの刀は空を斬った。
「この隙に攻撃を!」
 ソティスは『[BFc]BW―フレアカノン』を発動。右掌の前に青白い炎を纏った狼が現れる。
「狩られるのはどっちか、その身をもって思い知れ……!!」
 炎の狼は口腔を大きく開くと、間近にまで迫っていたオーガに灼熱の火球を放つ。
 火球はオーガの胸を直撃。衝撃でオーガが仰向けに倒れた。
「やったか?」
 ソティスが何時でも魔法を放てるように掌をオーガに向けながら様子をうかがう。
「そのセリフ言う時って、たいていやってないですわよね……」
 楊は倒れたオーガに火竜票を投げてみた。
 顔面に刺さっても反応がない。
「本当に死んでますわ」
 安堵した2人は、まだ眠っている大剣持ちのオーガに『風雷陣』と『フレアカノン』を叩き込んでトドメを刺したのだった。

 御法 莉乃(ka6796)は剣と盾を持つオーガと相対していた。
「オーガとはいかなるものなのか存じませんでしたが、鬼のようなものだったのですね」
 初めて見るオーガを注意深く観察しながら、蛇節槍「ネレイデス」を1本繋ぎにした槍の状態で構えた。
 オーガが盾を体の前に構えながら前進してくる。
 盾に覆われていない目を狙って突く。
 オーガは盾を眼前に上げて防ぐと一気に間合いを詰め、剣で斬りかかってくる。
 事前に発動させていた『金剛』と蛇節槍で受けると、すかさず盾でカバーできていない足元を薙ぐ。
 確かな手応えを感じた。
 だがオーガは構わず剣を振り下ろしてくる。
 蛇節槍を頭上に掲げて柄で受ける。
 だが重い。
 全重量を乗せてきた一撃は止めきれず、剣の刃が肩まで届いて斬り裂かれた。
 傷から吹き出た血が着物「黒昇龍」を赤く汚す。
 傷に構わず蛇節槍を斜めにして刃を柄の上で滑らせて剣を受け流す。
 するとオーガの体勢がやや前のめりになる。
 莉乃は『震撃』で身を引きつつ蛇節槍で頭を狙って薙ぎ払った。
 オーガは辛くも盾を掲げて受ける。
(かかりましたわ)
 しかし莉乃は受けられる事を読んでおり、蛇節槍の七節ある先端部の接続を断った。
 すると遠心力で先端部は盾を迂回するように折れ曲がり、刃がオーガの後頭部を斬り裂いた。
 オーガが予期せぬ死角からの攻撃に動揺を見せる。
 その隙を逃さず、蛇節槍の全接続を開放して逆側の先端部を掴むと、オーガの懐に飛び込んで鳩尾に刃を突き入れた。
 オーガは激しく吐血したが、最後の力を振り絞って剣を振り上げる。
 しかし莉乃が先に蛇節槍の七節を剣ごと腕に絡ませて防ぐ。
「無駄に足掻かず潔く散りなさいませ」
 そしてオーガの喉を掻き切ったのだった。

 ルベーノは手甲を嵌めたオーガと真正面から殴り合っていた。
「オラアァァー!!」
 雄叫びと共に試作鉄甲「エチイベ」を嵌めた拳でオーガに殴り掛かる。
 オーガが手甲が受け、ガンッと金属同士がぶつかる音が鳴り響く。
 一見、完全に防がれたように見える。
 だがルベーノの攻撃は『鎧徹し』だ。
 その拳は防御を透して直接体に衝撃を与える。
 その証拠に防御したはずのオーガの顔は苦痛に歪んでいる。
「どうだ俺の拳は? 効くだろう」
 今度はオーガの拳がルベーノに迫る。
 ルベーノも『金剛』で硬化した身と鉄甲で受ける。
 再びガンッと金属音が鳴り、重い衝撃が鉄甲を通じて腕の芯に響く。
(痛ってぇ……金剛使っててもコレかよ)
 だが構わず再び殴る。
 今度も手甲で受け止められた。
 しかし受けたオーガの腕がだらりと下る。
 骨が折れたか、筋繊維が断たれたか。
 ともかく片腕が使えなくなる程のダメージを負ったらしい。
 オーガはまだ動く逆の手で殴ってくる。
 ルベーノもまた鉄甲で受ける。
 腕の芯で鈍痛が走った。
(やべっ、骨にひびでもいったか……)
 しかし構わず拳を振るう。
 今度は腹に喰い込んだ。
 オーガが血反吐を吐く。
 しかし怒りの眼差しで拳を叩き返してきた。
 腕を眼前で交差させて受ける。
 鈍い音と共に腕に激痛が走った。
 そして片腕が歪に曲がる。
(くっ! こりゃあ折れちまったな……)
 すぐに『マテリアルヒーリング』を発動させた。
 だがオーガはルベーノが攻撃してこなかった隙に猛然と殴りかかってきた。
 辛くも防御したが、傷んだ腕では受け止めきれず、ガードの上から頭に衝撃を受ける。
 しかも腕は更に歪に曲がった。
 『マテリアルヒーリング』で回復させていると、その隙に攻撃されて回復する以上のダメージを負う。
(一気に決めるしかねー!)
 打撃の衝撃で頭は眩んでいたが気合で意識をハッキリさせ、一気にオーガに迫った。
 リーチはオーガの方が長い。
 だが拳はルベーノの方が速かった。
 オーガの拳が届く前にルベーノの拳が腹に叩き込まれる。
 『鎧徹し』の衝撃で内臓を破壊されたオーガはうつ伏せに倒れ、そのまま二度と起き上がらなかった。

 少し時間は遡り。
 『スリープクラウド』で眠らなかった大斧持ちのオーガは真っ直ぐ荷馬車に向かっていた。
「うわぁー! こっちに来たぁー!」
「ハンターさん助けてくれぇー!」
 商人達が恐慌状態になる。
 その様子を見たオーガが喜色の笑みを浮かべて足を早めた直後、何かにぶつかった。
 オーガが不思議そうな顔をする。
 目の前には何もない。
 だが不可視の壁が自分を遮っていた。
 それは、商人の悲鳴を聞きつけて馬で駆けつけた時雨が発動させた『ディヴァインウィル』の障壁だ。
「確かにきたら呼べとは言ったわよ。でもこんなに早く呼ばれるとはねー」
 時雨は『ディヴァインウィル』を展開させながら仲間達の様子を見た。
 皆戦っていて余力はなさそうだ。
 自分が『ディヴァインウィル』を維持して防ぐしかない。
 オーガは大斧を障壁に叩きつけてくる。
(何時まで持つかしらね……)
 そう思った直後、大斧が空を斬る。
 オーガがレジストに成功して障壁の効果がなくなった証だ。
 自由になったオーガが商人を嫌らしく睥睨する。
「あんたの相手はそっちじゃないよ!」
 時雨は『ディヴァインウィル』を解除すると『ジャッジメント』を発動し、光の杭を飛ばす。
 オーガは大斧の広い刃で杭を受け止めた。
 そしてジロリと時雨を眺め、向きを変えようとする。
 しかし足が動かない。『ジャッジメント』の移動阻害が効いているのだ。
「そうそう。そうやってそこで立ち止まっててちょうだい」
 時雨が再び『ジャッジメント』を放つ。
 今度も受け止められた。
 しかもレジストしたのか足が動いている。
「ちょっと! 動いたらダメでしょうが」
 もちろん言って聞くオーガではない。猛然と駆けてきて大斧を振りかぶる。
 陽光を反射して煌めく巨大な凶刃はまるでギロチンのようだ。
 それが首に振り下ろされれば命はない。
 だが不意に飛来した矢がオーガの目に突き刺さった。
 オーガが目を押さえて苦鳴を上げる。
 更に光の杭も飛来してきて体に突き刺さった。
 それは商人達の危機に駆けつけてきたミリアと流宇の攻撃だ。
「商隊も仲間も傷つけさせません!」
「時雨様。遅くなって申し訳ありません」
「いいや。絶妙なタイミングだったよ。さ、一気にやってしまおうじゃないか」
 3人は流宇の『ジャッジメント』で再び動けなくなったオーガから距離を取ると、一斉に攻撃。
 オーガは自分が何故動けないのかも分からず、反撃する事すら叶わず、怨嗟の声を上げながら命を散らした。


「傷を負っている方は手当てを致しますから、わたくしの周りに集まって下さい」
 オーガを退治し終えて安全が確保されると、流宇は怪我人を集めて『ヒーリングスフィア』を施した。
「一仕事終えたのだからのんびりしたい……が、荷馬車の方は大丈夫かね」
 ソティスが暴走した馬車が向かった先に目を凝らす。
「あっちが気になるのも分かるけど、あたしらより強いんだ。何とかしてくれるから心配しなさんな」
 時雨が傷を負った仲間に『ヒール』を施しながら応える。
 面倒くさがり屋の時雨としては、これ以上の面倒事は御免こうむるといった心情なのだろう。
 その暴走馬車も程なくベテランハンターと共に無事に戻ってきた。

 こうした紆余曲折はあったものの、荷馬車の護衛を無事に終える事ができたのだった。

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重体一覧

参加者一覧

  • 綺麗好き
    鳳凰院 流宇(ka1922
    人間(蒼)|17才|女性|聖導士
  • 白狐の癒し手
    時雨 凪枯(ka3786
    人間(蒼)|24才|女性|聖導士
  • 風雷の淑女
    楊 玲花(ka5716
    人間(紅)|20才|女性|符術師
  • 天然戦闘系娘
    ミリア=シャートラウム(ka5766
    人間(紅)|16才|女性|猟撃士
  • 雨垂れ石の理
    久延毘 羽々姫(ka6474
    人間(蒼)|19才|女性|格闘士
  • 白狼は焔と戯る
    ソティス=アストライア(ka6538
    人間(蒼)|17才|女性|魔術師
  • 我が辞書に躊躇の文字なし
    ルベーノ・バルバライン(ka6752
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
  • セーラー服と蛇節槍
    御法 莉乃(ka6796
    人間(蒼)|16才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/04/25 00:14:43
アイコン まずは戦闘選択から
ルベーノ・バルバライン(ka6752
人間(クリムゾンウェスト)|26才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2017/04/26 23:02:25