• 春郷祭1017

【春郷祭】集結!悪役レスラー

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/05/29 19:00
完成日
2017/06/14 01:34

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ここは同盟領ヴァリオスの町はずれの広場。
「赤コーナー、『燃える闘神』ヴィクトリー・ムサシ~っ!」
 リング上での選手紹介に、周りを取り囲んだ観客がおおおおお、と大歓声を送る。
 どうやらプロレス団体「ファイティング・プロレス」、略称「Fプロ」の興行の真っ最中のようで。
「ええと……わたし、こんなところにいていいのかしら?」
 そんな中、南那初華(kz0135)が肩を縮めて小さくなってぽつりと漏らした。
「いいんじゃないの? ちゃんとチケット持ってるわけだし」
「いいんだよ。金持ちの付き合い購入チケットの余りが俺らの所に流れて来たんだからよ」
 リングサイド席、初華の隣に座る自称「戦場詩人」のダイン・グラマンと禿頭のチンピラが口をそろえた。どちらも初華の移動屋台「Pクレープ」の関係者。ダインはそれとなく屋台の隣に自転車修理屋台を構えて初華を見守り、禿頭のチンピラはその界隈の小悪党を取り仕切るワルの頭。チンピラの方は周囲の金持ちの「裏の仕事」も引き受けているため、こういうおこぼれに預かったりすることも多く、初華たちを誘ったということらしい。
 試合は正規軍のムサシ、ファイヤー・ヤマト、ホッシーノ・カンクローの三人と、ヒール軍団のティーゲル・シン、アブダラ・ブッチ―、バッドニュース・アーレン組のシックスメンタッグマッチの最中である。カーン、とゴングが鳴り試合開始。観客から期待の歓声がわく。
 で、リングサイド席。
「ファンでもないのにこんな一番いい場所で……」
 とかいいつつ場違い感にさいなまれている初華。
 どうも落ち着かずちらと周りを見る。
「……ファイヤー・ヤマト、頑張れ……」
 近くにはおずおずとひいき選手の名前を呼ぶ男の子がいる。
「あ! あのティーゲル・シンっての、サーベルなんか持って卑怯だわ!」
「ロープを掴めば組み合ってても離れて……あっ! アーレンっての、ロープ持ってる相手に何度も攻撃して。反則じゃないの? え? 反則はレフェリーのフォーカウントまでOK?」
「ちょっとレフェリー、そんなカウントいいからこっちのブッチ―がフォークを取り出してカンクローの額を殴ってるじゃない! 背中向けてないでちゃんと見なさいよ!」
 反則じゃないきーっ、とか許せないわバシバシとか、ハンカチや鉄柵がとばっちりを受けている。おそらくプロレス観戦は初めてっぽいおばちゃん連中だ。
「ま、きょうはタイトルマッチなんかじゃないから初めて来たって人も多いだろうな」
「レフェリーも反則してくれとばかりに背を向けてるしな。……こういうのは楽しんだもん勝ちだ」
 ダインとチンピラ、初華にそう言って聞かせる。
 そのうち試合は場外転落からリング外の攻防に。
 レスラーの迫力を観客の間近で見せた後、両軍リングに戻る。
 おや、シンが残っているぞ?
「ん? 坊主、そいつのファンか?」
 先の男の子が、ひいきの選手名の書かれた紙を持っていたのに気付いた。
 びくっ、と涙目で小さくなる男の子。
「そんなのより俺たちの応援をしろ!」
 シン、紙をひったくってそれごと頭を掴んでわしわしとしてやった。男の子の方はひいいと身を縮め生きた心地がしないが……シンはふんと紙を投げ返してリングに戻って行った。
 あー、これはあの子、泣くかしらね~とか初華が思っていた時だった!
「ファイヤー・ヤマト、負けるな。頑張れーっ!」
 男の子は肝が据わったか、先とは違い大声で応援するようになった。涙が浮いていたがもうお構いなしのなりふり構わない熱狂的な応援だ。
「ほらっ、そこよ! しっかり!」
「反則軍団何かに負けちゃダメよ!」
「私たちがついてるざますよーっ!」
 おばちゃん連中もいつの間にか前のめりになって声援を送っている。
「ほへ~」
 すっかり様変わりした周りの様子にびっくりする初華。
「格闘技に興味のない人も虜にする。さすがプロだな」
「ああ。悪役レスラーがちゃんと分かってる。いい仕事してるから初めての人も応援しやすい」
 にやにやしつつじっくりと試合観戦するダインとチンピラだった。
 この時、初華はまさかあのような展開になろうとは夢にも思わなかった!

 後日、Pクレープに大男たちが壁を作るように立ち並んでいた。
「おお、うまい。気取ってない味がええの!」
「お好み焼きっていうのか? パスタみたいなのが入っててがっつり食えるのがいいな!」
 Fプロのレスラーたちがこぞってやって来て「お好み焼きってのを食わせてくれ」と頼まれたのだ。
 転移前のリアルブルーではお好み焼き店でバイトをしていた初華、広島風お好み焼きを焼いたのだが、これが大当たりで。
「よし。これなら観客にも受けるに違いない。ジェオルジの【春郷祭】興行でぜひ、屋台を出してほしい」
「なぁに、ウチの悪役連中が慰問で孤児院に寄っていくんで、初日だけ悪役レスラーが足りんのよ。ハンターに出演依頼してるからアンタもぜひ、屋台の方で参加してほしい」
 巻き込まれクイーンの初華、これを断ることができず。

 というわけで、ジェオルジでの【春郷祭】興行初日に悪役レスラー、もしくは悪役覆面レスラーとして出場し盛り上げてもらえる力自慢もしくは格闘技自慢の男性ハンター、求ム。

リプレイ本文


 プロレス団体「ファイティング・プロレス」のジェオルジ春郷祭会場は、子連れ親子はもちろんいきがった若者たちやおばちゃん連中など、珍しいもの見たさで多彩な人々が足を運んでいた。
 その中心にある四角いリングにアナウンサーが上がった。
「第一試合、選手入場です!」
 わあっ、と拍手と歓声が上がったが、すぐにどよめきに変わった。
 ――どるん……どっどっどっ……。
 青コーナーの花道に響くエンジン音。
 まさかと観客が振り向くと、何とも不気味な三人組が控えていた。
「ヒャッ、ハー!」
 まずは愛用の魔導バイク「グローサーベーア」にまたがる覆面を被ったモヒカンのマッド・ロウ(ka4589)が奇声を上げた!
「オレの名前を言ってみロォ!」
 もちろん知る観客はいない。
「オレの名前はマッド・マッド・ロウだぁ!」
 毛皮のマントをばさーっと脱ぐ。
 ――どんっ!
 続いて隣にいた黒ずくめの男が力強く足を踏み鳴らし、指をわきわき動かしながら掲げ声を張る。
「ブッハハハ! 俺様の名前はデスドクロ・ザ・ブラックホールだ」
 雰囲気のある声は、本名そのままデスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013)。
 奇怪な黒革のマスクマンは、赤褐色の肌に黒い顎鬚を蓄えている。大口を開けて叫んだ時に見える歯は肌の色とは対照的に真っ白。ぎらりとした瞳と合わせ不気味な雰囲気。
 何というインパクト。
 何とわかりやすい説得力。
 観客は一発で悪役と理解。そして強そうな姿に恐れおののいた。
「おっと、もう一人のてめぇも気合い入れてけよ!」
 マッド、もう一人の熊の覆面を被った数合わせのハンターに手の甲で突っ込んだ。
「ぐ、グリズリー・ベアー!」
 がおー、ともう一人も挨拶。
「ブッハハ、そんじゃ行くとするか!」
 そう言って花道を闊歩するデスドクロ。マッドがバイクにまたがったまま超低速でついてくる。ちびっこの前でわざとばるん、と空ぶかしもする。ビビる子供を見て「ヒャッハー!」。計算通り、親から目の敵にされる。
「……むちゃくちゃ堂に入ってるじゃない」
 この様子を屋台広場から見ていた南那初華(kz0135)、半ば呆れたように感心していたり。何というかまあ、あれで通常運転なのだからさもありなん。観客からは「マッド・ライダーだ」とつぶやかれたり。
 リングに上がると、マッドがグローサーベーアをスタッフに預け、デスドクロが全身鎧を脱いで上半身裸、下は漆黒のタイツ姿に。正規軍のサムライ・シロー、クミチョー・フジアラ、ゲコクジョー・リキマルもリングに上がった。

 ――カァン!
 試合開始のゴングとともに、相手先発のリキマルが突っ込んできた。
「目立ちすぎだ、タココラぁ!」
「お? 正直でいーじゃねぇか」
 こちらの先発、マッドに駆け寄るといきなりエンジン全開で渾身の張り手、張り手!
「……ヒャッハー!」
 マッド、揺らぎながらも受けきり両手で筋肉むきぃ、とさせて無事をアピール。観客がどよめく。
「こいつ!」
 リキマル、今度は足元へストンピング。さらに背後に回ってバックドロップ。
 マッド、いきなりふらふらだ。
「しょうがねぇ、頃合いか?」
 ここでデスドクロともう一人、リングに大根やニンジンなどの野菜を投げてやる。
 マッド、受け取ると大根などを次々と頭で割った!
「野菜、嫌いだろぉ? そのガキも、そこのガキも! ……野菜嫌いのコドモの心が! オレに闇のパワァを与えてくれるのよ!」
 奇怪な行動とともにリングを回りエプロンサイド席のちびっこを指差しながらパフォーマンス。
 その後のマッドの何と強いことか。
 リキマルに野菜割り頭突き!
 変わって入って来たシローに野菜切りチョップ!
 再び向かってくるリキマルの顔つかみ野菜砕きアイアンクローだ!
「野菜なら食ってやるぜ、おらぁ」
 ここで、正規軍のフジアラが大根をかじってから鬼の形相でリングイン。
 ――がしっ!
「おわっ、いてぇよォ……」
 ここはマッド、流れを理解。フジアラの頭突きを食らいよろめき、逆に自軍コーナーに寄りかかった。
「よし!」
 流れを変えようとベアーが出る。
 しかし敵はシローにスイッチしてヒップアタック、続いてフジアラのヘッドバット、最後にリキマルのラリアートと打撃三連発でベアーをふらふらに。正規軍のジェットストリームアタックだ。
「ワン、ツー……」
「ヒャッハー!」
 マッドのカットでフォール阻止。
「ようやく俺様の出番か」
 四つ這いで戻ったベアーのタッチを受け、デスドクロがのっそりとリングに入った。
「おおっしゃあ!」
 ここでシロー、観客にアピール。
 またジェットストリームアタックだ。
 しかし!
「ダークネスヒップアタック!」
「おお!」
 デスドクロ、シローのヒップアタックに対し、同じ技で応じた。
 それでも観客はシローが当たり負けなかったのでほっとしている。
「そうやって勝ち誇ってりゃいいぜ」
 当たり負けとなったデスドクロ、呟いた言葉は負け惜しみではない。
 なぜなら、次にフジアラが来ているからだ。
「おっしゃぁ!」
「デモンズヘッドバットォ!」
 ヘッドバットに対し、デスドクロも負けずに頭突きを繰り出す。
「おおっ! 相打ち!」
 かたずをのむ観客。
 結果、当たり前だが双方痛がる。が、デスドクロがやや打ち負けた。さらに下がる。
 その隙にリキマルがロープで反動をつけて……。
「ラリアットォ!」
「これを待ってたぜ!」
 何とデスドクロ、ヒップアタック相打ちに押し負けて下がり頭突きのダメージを減らし、さらに頭突き勢いで下がったようなふりをして背後のロープへの反動としていたッ!
 リキマルより態勢十分で敢然と突っ込み……。
 ――がしっ!
「見たか、デスラリアット!」
 すべては計算通り。勝ち誇り、再び向かってきたシローらをリング下に落とす。
「技のコピーと言い……」
「流れを読み切った展開と言い……」
 ごくり、と目の肥えた観客がこの様子におののいている。
「間違いない、本物だ!」
「これは正規軍、ヤバいぞ?」
 観客が「いいものを見た」、「ザ・暗黒皇帝だ」と感心しているうちに両陣営全員で場外乱闘に。
「正規軍、頑張れー!」
「ヒャッハー、だったら野菜しっかり食えよ!」
「ちょっと! 場外で暴れるの反則じゃない、きーっ!」
「ブハハ、反則し放題だなぁ!」
 マッドがちびっ子客を、デスドクロがご婦人客を楽しく挑発しつつそれぞれシローとフジアラと戦う。
 その間にリングでは……。
 ――カンカン、カーン!
 ベアーがリキマルのサソリ固めでギブアップ負けをしていた。
「なんだ、オイ!」
「ヒャッハー、てめえら! しっかり野菜食えよ!」
 デスドクロもマッドも暴れ足りない。場外を練り歩きつつ観客をたっぷり怖がらせて引き上げていった。



 時は少し遡り、初華のお好み焼き屋台で。
「初華、ちょっと頼みがあるんだが?」
 キャリコ・ビューイ(ka5044)がやってきた。小脇に獅子の頭を模したレオヘッドを抱えている。
「あ、キャリコさん、何?」
「前、初華が言ってた『伽哩虎(キャリコ)』の名前、使っていいか?」
「……それ、虎じゃなくて獅子じゃない」
「まあそうなんだが」
「……キャリコさんがいいなら、いいよ」
 これしかないから仕方ない、といった感じに覆面を掲げ肩をすくめるキャリコに微笑む初華。
「ありがとう」
 明るく言って背を向けるキャリコ。軍所属時代の出撃時と同じように、歩き去りながらヘルメットをかぶるように覆面を被る。
 入れ替わりに100tハンマーを担いだ男がやってきた。
 アルト・ハーニー(ka0113)である。
「何かよくわからないけど参加することになってしまったねぇ……」
「それ、持ってくの?」
 すかさずハンマーに突っ込む初華。
「あ、ハンマーはダメか。なら素手で頑張るかねぇ」
「それよりリングネームどうするんだろ?」
 花道に向かうアルトを見送りつつ首をひねる初華だったり。
 で、リングイン。
「続いて第ニ試合。青コーナー、這い寄る埴輪伝道師・ハニー!」
「悪役っぽくないじゃない!」
 初華、ががん!
 観客も同様だが、すぐに認識を改める。
「一応、呼び名が呼び名だしわかりやすいように覚醒させてもらうぜ、と」
 ハンマーをセコンドに預けたアルト、突然覚醒して埴輪のオーラが顕現する!
 その埴輪、何やら逆三角の釣り目で右に左に振り向き懐疑の目を向ける観客を威嚇。その何と凶悪なことか!
 続いてコールされた三人目の仲間の一人はパフォーマンスに失敗した。会場のテンションが下がる。
「仕方ない」
 キャリコ、これはまずいと気合を入れた。
「続いて、謎の退役軍人マスクマン、マスク・ザ・伽哩虎ー!」
「サーの敬称を付けろ、クソども。そして訓練歌を俺に続いて歌え。いいか、いくぞ……」
 キャリコ、どこぞの鬼軍曹のように声を張り上げては手拍子とともに「ファナブラウォーズが出ーるぞー♪」などと歌い出した。観客もノリよく付き合った。「こいつはイカしたウェブトーク、面白い、面白い♪」などと斉唱したり。「伽哩虎軍曹」としてなぜか好感度が上がっていたり。
 ともかく、正規軍のイナヅマ・ケンショー、ファイヤー・ヤマト、ヴィクトリー・ムサシも入場。
 ――カァン!
「では行くとするかね」
 先発のアルトが中央に出る。正規軍はヤマト。先手を取ってタックルをかましてくる。
「お? すごい圧力さね!」
 たちまち自軍コーナーに押し付けられる。背後の埴輪オーラがげぷっと息をついている。
 が本体は平気。
「プロレスはハンマーなんちゃらとかいう技だけは見ていたんだぞ、と!」
 両手を組んで振りかぶりスレッジハンマーを背中にたたきつけ脱出。タッチしてキャリコが中に入る。態勢を立て直したヤマトに蹴りを見舞うがキャッチされてそのまま巻き投げ。ファイヤースクリューで返される。
「やるな。これならどうだ?」
 すぐに立ち上がりグラウンドの展開を逃れたキャリコ、再びヤマトに蹴りを見舞い同じようにキャッチされると反対の足で跳躍。掴まれた足を支点に側頭部を蹴った。
 これにたまらず下がりケンショーにタッチするヤマト。
「イナヅマ!」
 ケンショー、キャリコを掴んでロープに振り、跳ね返るキャリコにレッグラリアート。
 ダウンでマウントを取ろうとするケンショーだが、すぐに正対の位置に立ち上がるキャリコ。呼吸も落ち着き自然体だ。
「まさか……」
「聞いたことがある。リアルブルーの軍格闘術、ハンド・トゥ・ハンドじゃねぇか?」
 どよ、と少ない目利きの観客がざわめく。
「ほぅ」
 これを耳にしたキャリコ、勉強熱心だなと感心する。
 それを隙と見て突っ込むケンショーに打撃、投げ、関節技と流れるような反撃。
「ダッシャア!」
 思わずムサシが飛び込んで固め技をカット。しかし、寝たままのケンショーの顔面に勢いをつけてストンピングを見舞う。
「ちょっと! 顔を蹴りつけていいの!?」
 女性客から悲鳴のような抗議の声。実は軽く跳ねているのがミソで、先に着地する軸足でリングを思いっきり踏んで音を出し、蹴り足は勢いがなくなっているのだ。
「よし、交代だ」
 キャリコ、存分に痛めつけて仲間の三人目と交代するが、これが捕まった。
 タッチの隙に逃げたケンショーがムサシに交代。レッグシザースからグラウンドで足を固められて手拍子で観客を沸かせると立ち上がらせて延髄切り。
「やばいさね!」
 フォールに入ったところをアルトがカット。が、反対からケンショーが走り込んでレッグラリアート。
 が、ヤマトも入ろうとトップロープに登っていたが仲間に先を越されて何もせずにリングに飛び降りる。
「軍の常識から言ってそれはないな……」
 ファイヤー・リングインにキャリコも出る。再び蹴りを繰り出すもキャッチされてもみ合いに。
 一方で観客から大きなどよめきが!
 ハンマーマニアのアルトが、ケンショーをいわゆるアルゼンチンバックブリーカーに持ち上げているのだ。が、その様子がおかしい。
「おおっ、あれはまさか……」
「うまく出来るかやってみるさね!」
 観客の恐怖と期待を受け、アルトが担いだ敵の頭部を固定したまま脳天からマットに叩き落とした!
「バーニングハンマー!」
 客からの技名の叫びとともにガツーンと渾身の一撃!
 ハンマーバカ一代、「ハンマークラッシャー」の名をここに刻む!
 そのままハンマーロックでケンショーを封じるアルト。権利がないので封殺するつもりだ。
 そしてキャリコは場外に落とされ、そのままヤマトのファイヤーロケットを受ける。
 が、やや受け流したためヤマトは鉄柵に額をぶつけ流血。
「うわ……」
「ひぃ……」
「いかん」
 キャリコ、出血した目の前にちびっ子がいることを察知すると咄嗟にヤマトをヘッドロックして隠す。観客から手渡されたタオルで拭くのを手伝ったりも。
 が、この二人も試合権はない。
 現在試合の権利を持っているのは、リング上のムサシと悪役三人目のみ。
 で、ムサシはオクトパスホールドを決めているッ!
 ――カンカンカーン!
 ギブアップで正規軍に軍配が上がった。



「うむ、なかなか美味なお好み焼きだな」
 試合後、初華の屋台でアルトが座っていた。
「こっちで見てたら観客、すっごい盛り上がってたよ」
 初華が四人にお好み焼きを焼いているのだ。
「ブハハ、当然だろう」
「ちょ、デスさんソースかけすぎじゃない?」
 デスドクロ、そんなこと構わず黒いお好み焼きをうまそうに頬張る。
「これでこう…よし、埴輪の絵があれば完璧なんだぞ、と」
 横では真っ黒ではないが、アルトがソースでお絵かきしてたり。
「はい、キャリコさんは牛スジとジャガイモのお好み焼き、お待たせ♪」
「ありがとう。こっちも盛況そうで何よりだ」
 キャリコが言う通り、持ち帰りの客が結構待っている。
「おぅ、初華ちゃん。もう一枚焼いといてくれ」
「え? マッドさんまだ食べるの?」
「おら、さっきはビビらしてすまなかったな。野菜たっぷり入ってるがこれはうめぇぜ。しっかり食べなよ?」
 何とマッド、試合中に威嚇したちびっ子にプレゼントしていた。
「お安い御用よ、マッドさん♪」
「あ? サイン? ブッハハハ、分かってるやつがいるじゃねぇか」
「埴輪を書く練習はばっちりだったさね」
 もう一枚焼く初華に、デスドクロは寄って来たちびっ子にサイン。アルトもサインしてやるつもりだ。
「どうやら大成功のようだな」
「うん♪」
 呟くキャリコに頷く初華だった。

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重体一覧

参加者一覧

  • 完璧魔黒暗黒皇帝
    デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013
    人間(蒼)|34才|男性|機導師
  • ヌリエのセンセ―
    アルト・ハーニー(ka0113
    人間(蒼)|25才|男性|闘狩人
  • ソウル・ライダー
    マッド・ロウ(ka4589
    人間(蒼)|25才|男性|霊闘士
  • 自在の弾丸
    キャリコ・ビューイ(ka5044
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013
人間(リアルブルー)|34才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/05/29 17:12:10
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/05/29 17:01:54