• 血盟

【血盟】四者四様の思い

マスター:真太郎

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2017/07/03 15:00
完成日
2017/07/08 22:09

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 辺境には農耕ができる場所が少ない。
 それは辺境が歪虚の支配地域と近いため歪虚汚染された土地も多く、雑魔の出現頻度や歪虚の襲撃が他の地域に比べて多いためである。
 そのため辺境に住む者の多くは食料を輸入に頼っている。
 だからといって農耕に適した土地がない訳ではない。
 アルナス湖から南に流れるアルナス川の下流域の一角に、珍しく肥沃な土地があった。
 しかしその土地には昔からリザードマンの集落があった。
 何度か人がその土地を手に入れようとリザードマンと争った事があったが、成し遂げた者はいない。
 だが最近になって情勢が少し変化した。
 リザードマンの集落の近くの森にコボルドが住み着いたのだ。

 とある商人がその噂を聞きつけ、ハンターを護衛にして調査を行った。
 コボルドは少し小柄で背中に傷跡のあるオスをリーダーとした群れらしく、数は30体程。
 リザードマンには決して近づかず、森や草原でエサを取って暮らしているようであった。
 一方、リザードマンはコボルドを一応警戒はしているようだが、余り気にしてはいないようだ。
「あまり大きくはない群れだがリザードマンと戦わせれば少しは痛手を与えられるだろう。そうして疲弊した所を叩けば今度こそこの土地を手に入れられるかもしれん」
 商人が草葉の陰からほくそ笑みながらそんな事を呟いた、その時。横手の川の水が鎌首を持ち上げるように盛り上がった。
 徐々に形を成してゆくそれは、あたかも水でできた大蛇であった。
「ひぃぃ~!!」
 驚き、腰を抜かした商人の前に護衛にハンターが立ち塞がる。
『人の子よ。この地を無益な争いの血で汚すような事は止めて欲しい』
 不意にハンターの脳に意味だけが直接流れ込んでくるような【声】が響いた。
 悪意は全く感じない。
 だから分かった。
 目の前の水でできた大蛇は精霊なのだと。
「わ、わ、私だって別に争いを起こしたい訳ではない」
 商人も相手が精霊と分かって少し落ち着いたのか、言い訳を始める。
「しかしこの土地は辺境の民にとっては宝なのだ。ここに畑を作れれば多くの者が新鮮な野菜を食べる事ができるようになる。人類のためなのだ」
『人の子よ。ならばなぜ水の民を害するか? 水の民は川に住み、獣の子は森に住み、人の子は草原に住む。害する必要はないはず』
「リザードマンが何時襲ってくるかとビクビク怯えながら畑を耕し、野菜を育ててくれる者などいない。リザードマンがいては人は住めないです」
『水の民は人の子など食わぬ』
「近くに自分達を殺せる力を持つ者が住んでいれば人は恐れるものなのです」
『人の子とは随分と臆病なのだな。どうすれば水の民を信じられる』
「……とりあえず話ができない事にはどうしようもありません。ですが我々はリザードマンの言葉が分からない」
『ならば力を貸そう』
 精霊の体から長細い物が飛び出し、商人の腕に巻き付く。
 それは50cm程の長さにまで縮んだ精霊の分身体だった。
『我が言葉を伝え合おう。さすれば水の民とも獣の子とも話ができよう。誰も血を流すことなく事が収まれば礼もしよう。頼んだぞ人の子よ』
 精霊はそう言い残して川の中に没していった。
「……はぁ、こうなったらやるしかありませんな。とはいえ、非力な一商人でしかない私がリザードマンとの交渉など恐ろしくてできません。そこでお願いです。交渉はハンターの皆さんにお願いできないでしょうか? もちろんこの土地に関して知っている事は全てお話します」
 商人はハンター達に頭を下げるとリザードマンの事を話し始めた。
 リザードマンの数は30体程。
 川から出る事はあまりなく、川魚等を食べて暮らしている。
 30年ほど昔に、自分とは別の商人がこの土地を手に入れようとハンターを雇ってリザードマンと争った事があるが失敗している。
 その際、多くのリザードマンが死傷している。
「ですからここのリザードマンは人を恨んでいる可能性があるんです。交渉は難しいものになるでしょう……」
 話し終えた商人が難しい顔になる。
「ですが、もし交渉が成功してリザードマンと和睦できれば、この地での農耕の成功は約束されたようなものです。これだけの肥沃な土地が辺境に残っている理由はリザードマン達が雑魔や歪虚を倒していたからです。ここは雑魔や歪虚の脅威が他の土地より少ないのですよ」
 一転して商人が瞳を輝かす。
「なのでお願いです。この交渉ぜひとも成功させて下さい。もちろん成功した暁には謝礼もお支払いたします!」
 ハンター達は再び商人に深々と頭を下げられた。

 こうして、精霊、人、リザードマン、コボルド。
 四者四様の思いがハンターに託されたのであった。

リプレイ本文

 リザードマンやコボルドとの交渉を引き受けたハンス・ラインフェルト(ka6750)だが、依頼人の商人に対して言いたい事もあった。
「リザードマンとコボルドは生活圏が違って元々争わない。土地を狙い、血を流そうとし、それゆえに1番最初に精霊が諌められたのは我々人間です。1番疑り深いのは、実は我々人間なのです。そのことを、まず最初に話し合いましょうか、商人さん」
 ハンスが商人の後ろから強めに肩を組む。
「最近、ソサエティや各国は敵対してない亜人には人権を認める方向っす。つまり精霊が止めなきゃ下手すりゃアンタは亜人に対する殺人罪で逮捕っす。今回は見逃すっすけどこれからは仲良くするっす」
 神楽(ka2032)も商人に釘を刺す。
「ハンターさん、情報通の商人に嘘での脅しは通じませんよ。ソサイエティがそういう方向で動いてるって話は私も知ってます。ですがね、この辺境で敵対的な亜人かどうか判断してから行動してたらこっちが先に殺されますよ。なのに亜人を殺せば殺人罪とか、勘弁してくれって話です」
「辺境では亜人との融和は進んでいないのですか?」
 保・はじめ(ka5800)が残念そうな表情で尋ねる。
「土地柄難しいでしょうね。統一政府のない辺境じゃ亜人の扱いは各土地の部族毎で違うって話ですし。今回だって精霊様が仲介してくださったから交渉できるんです。でなければここのリーザドマンが危険な亜人かどうかすら分かりませんでしたからね」
「そうですか……」
「だからこそ今回の会合には意義がある。これを異種族間交流の第一歩としましょう!」
 ハンスはやる気をみなぎらせてリザードマンの元に向かった。

 4人がリザードマンの集落のある川に近づくと、川面から10人のリザードマンが顔を覗かせ、弓を構えて狙ってきた。
『止まれ!』
 腕に巻き付いた精霊の分裂体を介して頭に直接リザードマンの言葉の意味が流れ込んでくる。
『それ以上近づけば射つ。早々に立ち去れ』
 ハンスはババッと服を脱いで褌一丁になると胡坐をかいて刀を右に置き、両拳を地面につけ前傾をとった。
「腹を割って話に参りました……雑魔を平らげた貴方がたと融和したい。我々は貴方がたと争わずあそこに畑を作りたいのです」
『融和? 畑?』
「力に訴えるつもりはありません。あくまで話し合いがしたいんです。精霊からも流血を避けるよう求められています」
 保も、服を脱ぐまではしなかったが、武器を手放す。
 南條 真水(ka2377)は元々武器を持ってきていないので両手を上げた。
「ほら、神楽さんも武器を捨てて」
「俺もっすか……」
 フル装備で来た神楽も渋々武器を放す。
「身体検査もして下さい」
『不要だ。少し待て』
 保の申し出た身体検査はされず、リザードマンの1人が川底に潜っていった。
 少し、ではなくそれなりの時間待たされた後、1人のリザードマンを連れて戻って来た。
 外見上の違いを判断しづらいが、やや衰えて見える。
 おそらく長老クラスのリザードマンなのだろう。
『お前達、ハンターじゃな?』
「はい、そうです」
 長老の問いにハンスが応じる。
『面妖な、言葉が通じおる。ハンターはそんな力まで身につけたのか』
「いいえ、これは精霊の力です」
『ほぉ、それが精霊か……長く生きておるが見るのは初めてじゃ』
 保が腕の精霊の分裂体を指し示すと、長老が珍しそうに見る。
『さて、ワシらと融和し畑を作りたいという話じゃが、それは30年前に人間がワシらにやった事を知った上で言っておるのだろうな?』
「もちろん知ってるっす。かつて俺たち人間が一方的な侵略をして申し訳なかったっす。深くお詫びするっす」
 神楽が頭を下げて謝罪し、他の者も倣う。
「でも人は今、亜人との共生を目指してるんっす。もう決して侵略なんてしないっす」
『共生か……。ふん、詳しく聞こう』
 長老は懐疑的な眼差しで先を促し、保が説明を始める。
「ここ数年、人間は様々な亜人と出会い、時には力を合わせて歪虚と戦ってきました。そして亜人の中にも人間に敵対せず共生できる者がいる事を知りました。そこでハンターズ・ソサイエティは人間に敵対しない亜人に対しては融和の姿勢を示す事を決め、各国も同じ方針で動き始めています」
『だからワシらとも融和したい。そういう事か。では畑というのは何だ?』
「辺境の人間達は食べる物に困っているから近くの草原を畑にさせてもらいたいんだ。もちろんそちらの生活圏は侵さないし、こっちも専守防衛を厳守するよ」
 南條が事情を説明する。
『その事でワシらに何のメリットがある?』
「人間の交易品を融通できるよ。欲しい物があれば何かと物々交換するとかして」
『ワシの生活はここで全て賄えておる。人間から欲しい物などない』
「でも、脅しっぽく聞こえるかもだけれど、いずれ必ず人は来るよ。その前にある程度話をつけておいた方がいいと思うんだ」
『それは、今手を結ばねばまた侵略するぞ、という意味か?』
 長老が怒気を滲ませた眼でギロリと睨んできた。
『来るのならば来ればよい! 地面の上ならいざ知らず、水場でのワシらは決して負けぬ。手足がもがれようとも牙で腸を喰いちぎる。尾の一本になろうとも首に巻きつきへし折る。例え一族郎党死に絶えようとも敵も血祭りにあげてみせるわ!』
「すまない。言葉選びを間違えてしまった。決してそういうつもりじゃなかったんだ、謝るよ」
 南條は怒気を漲らせている長老に謝罪した。
「ふん……そこの貴様、人間は敵対しない亜人とは融和すると言っておったな。ではもし今ワシが怒りに任せて矢の1本でも射れば、ワシらは人間の敵対者扱いされ殲滅されるのか?』
 まだ鼻息のやや荒い長老が、今度は保に尋ねた。
「いえ、そんな事はありません。今のは僕達に非がありましたから」
『では、殺す者と殺さない者の線引はどこでする?』
「それは……」
 保はその問に対する明確な答えを持っていなかった。
 他の者達も同様だった。
『人間の主観で決めておるのか? そもそも何故人間が他種族の生き死にの基準を決める? そんな権利を有せるほど人間は優秀な生き物なのか? 全生物の頂点に立っているとでもいうのか?』
「……」
 今度も誰も答える事ができなかった。
『人間とは斯くも傲慢な生き物よな……』
 長老が深く嘆息する。
『……すまぬ。今度はこちらの口が過ぎたな。勇敢に戦い散っていった仲間の事を想うと抑えられなんだ』
 しかしすぐに語気を弱めて謝罪してきた。
「いえ、腹を割って話したいと言ったのはこちらです。確かに今の話だけでは人間が傲慢に思えたかもしれません。ですが根底にあるのは他種族と争わずに済む世界を作りたいという想いです。それは分かっていただきたい」
 ハンスが長老の眼を真正面から見て告げる。
 長老の眼にはもう怒気は宿っていなかった。
「そうっす! 俺達はただ他種族とも仲良くしたい。ただそれだけなんっすよ!」
 神楽も自分の素直な気持ちを訴えた。
「人間と、仲良くはしてもらえませんか?」
「さっきあんなこと言った南條さんが言うのも何だけど、人間と仲良くして損はないと思うよ」
 保と南條もそれぞれ訴える。
『ワシは30年前に人間から受けた仕打ちを忘れられん。じゃがワシらの恨みを若者にまで引き継がせるのは間違っているのは分かっておる。30年前の事に対する謝罪は受けた。その事でワシの恨みはワシだけのものとしよう。じゃから未来の話は若者としろ。畑も好きにするがいい。元々あそこはワシらのものではない』
「ありがとうございます!」
 ハンスが平伏するように頭を下げ、他の者も礼を言う。
「話がまとまった所でリザードマンさんには人とコボルトの生活圏を犯さないって制約を精霊の前で結んで欲しいんっすけど……」
 神楽がそう言った途端ギロリと睨まれた。
『それは、今まで自由に行き来できていた森にも野原にも入れなくなるという事だな。人間は制約という名で領土侵略を行おうとしておるのか?』
「そんな事は考えてないっす。ただ、農家さんが安心して農作業ができるようにと……」
『つまり人間はワシらを信用していない、と?』
「信用してるっすけど、農家さんはリザードマンの事をまだ良く知らないっすから……」
 神楽は必死に言い繕ったが旗色は悪い。
「まぁ、すぐに全て丸く収めるのは無理だよ。今回は、その土台部分はできた。それでよしとしよう」
 南條が神楽の肩をポンと叩く。
「そうっすね……」
 こうしてハンター達はリザードマンから畑を作る了承は得たのだった。

 次に向かったのはコボルドの森。
 コボルド達はハンター達の姿を見ると、逃げたり、隠れたり、木に登って矢を番えたりして警戒態勢を取った。
「怯えなくてもいい。俺達は見ての通りただ話をしに来ただけです」
 ハンスが褌一丁な姿を見せつけて安全をアピールしつつ声を掛けると、コボルト達は戸惑いを見せた。
「褌一丁姿を見て、話に来ただけとは普通思わないよね……」
「戸惑うのも無理ないっす」
「いえ、たぶん言葉が通じたから困惑したんだと思います」
 呆れる2人に保が一応補足する。
『お前達は……一体何だ?』
 やがて群れのリーダと思しきコボルドが前に出てきた。
(やっぱりロブでしたか)
 保はそのコボルドと2回面識があり、彼と仲良くしていた人間の子供が名付けた名前も知っている。
(また再会する事になるとは、妙に縁があるものです)
 森の方に目を向けると、大人と子供の中間ぐらいの大きさのコボルドもいた。
(あの時産まれた子でしょうね。大きくなったものです)
 子コボルドが産まれた瞬間も保は見ており、その時は四つん這いのよちよち歩きで子犬のようだったが、今は立派に二足歩行している。
(さて、顔を見知っているだけの関係でも、多少は役に立つと良いんですが……)
 感慨を覚えつつロブを見る。
『ボク達、悪い事しない。見逃して欲しい』
 ロブは警戒しており、残念ながら保を覚えていないようだ。
「大丈夫、襲ったりしません。人間は海の向こうのコボルドと仲良くなったんです。だからコボルドの方から人間を襲わない限り、もう襲われる事はありません」
『……本当?』
 保の言葉を信じていないのか、ロブは懐疑的だ。
「これが証拠っす。俺はコボルトの友達が一杯いるんすよ!」
 神楽は意気揚々と『ワイルドファング』を見せた。
 それは、帝国領内のコボルド保護区で仲良くなったコボルト達から貰ったネックレスだ。
 ロブはワイルドファングに鼻を近づけ、くんくんと嗅いだ。
「うひゃ、鼻息くすぐったいっす」
『うん、本物。死臭の嫌な匂いも、しない』
 どうやらコボルドを殺して作った物ではないかと疑われたらしい。
「当たり前っす。これは友情の証っすから!」
 神楽は得意満面で親指を立てた。
『うん、信じる。それで、話って何?』
 少し警戒を解いたロブが尋ねてくる。
「近々人間がこの草原に畑を作ります。なので畑を荒らしたり人間を襲ったりしないようにして欲しいんです」
「森には手を付けないから住み続けて構わないよ。人間にも立ち入らせないし」
 南條が保の説明に補足を入れる。
『それは……困る。この森小さい。エサ少ない。草原ないと、飢えてしまう。僕達あっちこっち歩いた。でも何処に行っても人間も、ゴブリンも、歪虚もいた。その度に仲間が死んだ。でもようやくいないここに辿り着いた。ここが好き。ここにいたい。でもまた人間に奪われる……』
「大丈夫です。人間とコボルドが共に生きて行ける道を俺たちが見つけます」
 ハンスがロブを慰める
「ねぇ、草原の開拓でエサが減る分は、開拓してとれた野菜や交易で入ってくる食べ物で代替できないかな?」
『開拓? 交易?』
 南條が尋ねたが、コボルドには開梱や農耕、交易といった知識はないらしい。
 保はそれらを子供でも分かるくらい噛み砕いて説明した。
「つまり、草原の餌が無くなっても俺達の仕事を手伝ってくれたら代わりの食料を提供するって事っす」
 最後に神楽が要約した説明でロブは納得してくれた。
『分かった。食べ物くれるなら働く』
 こうして、コボルトとは労働力を対価に食料を渡す事で畑を作る了承を得た。

 そしてそれらの結果を商人に報告する。
「コボルドを労働力に使うんですか? ちゃんと働けるなら費用対効果は良さそうですけど……」
「コボルトは意外と器用だから大丈夫っすよ。俺が保証するっす」
 神楽が太鼓判を押す。
「ですがリザードマンから取れた下知は畑の許可だけで自由に闊歩はするんですよね。本当にやっていけるでしょうか……」
 難色を示す商人にハンスが顔を寄せる。 
「三方よしは売り手よし・買い手よし・世間よし、という東方の商人心得です。売り手と買い手が共に満足し社会貢献もできるのが良い商売だ、という意味です。報徳思想は経済と道徳の融和を図る思想ですね。私利私欲に走らず社会に貢献すれば、必ず利益が還ってくるという意味です」
「は……はい。私も耳にした事はあります」
「ならば分かるはずです。リザードマンと融和を結び、コボルドに耕作の依頼と褒賞を渡して畑を整えさせ、祠を作って水の精霊を祭れば、三種族の言葉が通じ、あの地で精霊の加護が得られます。異種族を恐れず、共に手を取り発展する未来を創る……今、貴方にしかできないことなのですよ」
「そこまで言われてはやらない訳にはいきませんね。分かりました。人間の農地はできるだけリザードマンの住処から離し、コボルドの農地は森の近くに作り、最初は3者を離して様子を見ます。それで安全と分かって慣れてくれば頃合いを見て徐々に農地を広げて3者で接近していきましょう」
「うん。今はそのあたりが落としどころだろうね」
 商人の提案に南條が頷き、ハンター達は報酬の10万ゴールドを受け取った。

 最後に精霊へ報告するため川まで来ると、川面が盛り上がって大蛇の姿を取り、腕に巻き付いていた分裂体が本体に戻っていった。
『人の子よ。誰も血を流すことなく事を収めてくれて感謝する』
 大蛇の体から何かが飛び出し、ハンター達の手元に落ちてきた。
 受け取ると、それは『イクシード・プライム』だった。
「精霊さん、できれば今後も通訳をお願いできないかな? というのも、言葉が通じない相手は信用もなにも無いからさ」
 南條が精霊に願い出る。
『無益な争いが起こる時には手を貸そう。他は我が介さぬ方が良い』
「どうして? 確かに常にとは言わないけど、中立の調停者として力を貸してくれると嬉しいんだけど」
『人の子は、あらゆる種と融和を持ちたいのであろう。我らを介して言葉を紡いだ融和は我らを失った途端に言葉に壁により容易く崩壊する弱き融和。言葉を壁を乗り越えて結んだ融和こそが真の融和であろう。人の子にはその道を行く事を望む』
 精霊はそう言い残し、大蛇の姿を崩して水へと返っていった。

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参加者一覧

  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • ヒースの黒猫
    南條 真水(ka2377
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • ユグディラの準王者の従者
    保・はじめ(ka5800
    鬼|23才|男性|符術師
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/06/29 12:17:56
アイコン 質問卓
保・はじめ(ka5800
鬼|23才|男性|符術師(カードマスター)
最終発言
2017/07/02 01:34:44
アイコン 相談卓
保・はじめ(ka5800
鬼|23才|男性|符術師(カードマスター)
最終発言
2017/07/03 02:44:24