コボルトの反乱

マスター:秋月雅哉

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~10人
サポート
0~5人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/11/10 12:00
完成日
2014/11/10 23:02

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●反乱は革命となり得るか
「ゴブリンに調教されて、うーん……奴隷、でいいのかな。使役されていたコボルトたちが反乱を起こしてゴブリン側がそれを鎮圧しようとしてるせいで近所の村に被害が出てるって報告が来たんだ」
 ルカ・シュバルツエンド(kz0073)はやれやれ、といわんばかりに額を抑えてため息を一つ。
「コボルトとゴブリンだとゴブリンの方が知性が高いらしくてね。人と交渉できるくらい知性が高い個体もいるらしいけれどずる賢いからあんまり交渉を取り持とうっていう人はいないらしい。
 あぁ、話がそれたね。ゴブリンは三十体位で生活してて同じくらいの数の数のコボルトを従えてたんだ。でもコボルトが反乱を起こした。
 今のところゴブリン側もコボルト側も致命的な傷は負ってないみたいだけど何人か人間が巻き込まれてるみたいだね。
 仲裁に入ろうとしたのか八つ当たりで投げた石とかがぶつかったのかは定かじゃない。
 場所は帝国領の北側にある渓谷。あんまり広くないからもし力ずくで双方を黙らせるなら注意してほしい。
東側に大き目の川、西側はゆっくり隆起して山に変化していく地形で足場が悪い。水はけも悪いから足を滑らせないようにね。
 で、今回の依頼だけどとりあえず事態の鎮圧。コボルトとゴブリンの間を取り持ってもいいしどっちかに味方してもう片方を攻めてもいい。その辺は話し合って決めてくれるかな」
 コボルト側は労働がきつすぎるって短絡的に考えて反乱を起こしたみたいだけど纏まった組織形態もゴブリンの代わりになるリーダー格もいないからゴブリンを滅ぼした場合反乱は成功してもそのあとの集団生活がうまくいくって可能性は低い。
 対してゴブリン側はゴブリンなりに相応の報酬を取らせてるって思い込んでるけど細かいことはコボルト任せで自分たちはゴブリン同士の商談で稼いでる連中だからコボルト側を滅ぼしちゃうと衣食住全部商談で手に入れなきゃいけなくなる。
 この集落は諍い起すまでは取り立てて人間側と問題起していないから無理に滅ぼす必要はないけどどっちももう片方の種族を必要としてる部分が頭からすぽっと抜けてるから結果的に生活が成り立たなくなるかもしれないね。
 ゴブリンもコボルトも両方成敗、っていう力技の極みの手段も反対はしないけどその場合結託する可能性もあるし数がとにかく多くなるから覚悟した方がいいかも。
 つらつらと双方の事情を説明した後どちらの味方に付くか、どんな風に幕を引くかは君たちに任せるよ。
 そういっていつも通り得体のしれないダークマターもどきをずずっとすするのだった。

リプレイ本文

●コンタクト開始
 ゴブリンに使役されていたコボルドによるゴブリンへの反乱を、物理的あるいは説得により鎮めてほしい、という今回の依頼に覚醒者たちが第一目標として掲げたのは和睦だった。
 調停役の青年を含め十一人は二つの種族の亜人が暮らすあたりへと向かう。
 ロクス・カーディナー(ka0162)は狩場に適した場所を探りながら、ランチェスタ・クロイツ(ka2953)は実演調理と野宿に備えて近くの村で塩や味噌といった調味料としめたイノシシを用意して運ぶのを手伝ってもらいながらの見方によっては何をしに行くか分からないという点である意味珍道中となった。
「平和主義を気取る気はないわ。亜人相手に説得だなんて、穏便に済ませてほしいって気持ちを感じたからよ」
 ネリー・ベル(ka2910)はそう小さく呟いて遠目に見え始めた集落を眺める。
「さて、どちらに転ぶことになるんでしょうか……」
 聖盾(ka2154)はどちらに転ぶかまるで予測のつかない今後に備えるように表情を引き締めた。
「余計な血が流れないで済むのなら、それが一番良いわ」
 セリス・アルマーズ(ka1079)の言葉に全員が頷きを返す。
「殲滅かぁ……できりゃぁそんな血生臭ぇことはしたくねぇんだけどな」
 それでも最悪の事態を想定しなければいけない覚醒者の性かボルディア・コンフラムス(ka0796)が顔をしかめた。
「おまえタチ、なんノようダ?」
 片言の言葉をさらにつたなくしたような、おそらく巡回役のコボルドの問いかけに一同は怪しまれないよう緊張しつつも敵ではないことをアピールするためにそれぞれが軽く礼をして笑顔を作る。
「理由はいくつかあるのですが……ゴブリンの皆さんと揉め事が起きていると聞いて仲介できないものかと思いまして。他の皆さんは食文化をはじめとする文化の交流などだそうです」
 米本 剛(ka0320)が嘘を吐かないことで信用を得たいと考えズバリと切り出す。
 食文化をはじめとする文化の交流、は他のメンバーが各々考えた接触の足掛かりのための嘘でもあり、この集落で暮らすものの生活水準を向上させるために真になればいい、と準備をしてきたものだった。
「もめごと……ちゅうかい……ぶんかノ、こうりゅう……?」
 疑問符を頭の周辺に回せているコボルドにどこまで噛み砕いた時点で通じるか、と剛が首をひねったところで集落からコボルドが二体とゴブリンが一体やってきた。
「何事ダ」
 若干言葉を平坦なものに変えて同じような説明を繰り返す。
 コボルドたちにはピンと来なかったようだがゴブリンは事情は理解したが物好きな、という表情をわかり難いが浮かべたようだった。
「理解しているようダガこの村は今揉め事を抱えてイル。文化の交流とやらも、揉め事の調停の申し出も、中立派の元ガ最モいいだろう」
「中立派がいるのか?」
 ロクスが初耳だと問いかけるとゴブリンはコボルドよりは大分流暢な口調で最近力尽くの支配に疑問を持ったゴブリンと反乱に力を貸せない子供や老体のコボルド、反乱という行為に疑問を持ち始めた個体が少しずつではあるが中立派として纏まりつつあるという。
「ただし、今のところ相手にはあまりされてイナイ」
 だからお前たちが助力してやれば喜ぶと思う、とゴブリンは結んだ。コボルドたちはそんな情報を軽々と渡していいのかと戸惑っているようだ。
「俺ハ戦士として育てられたから上手く立ち回れんガ、縁のアル者が中立派に身を寄せてイル。間接的にデモ助力してやりたいと思ッタ。生活を共にしている者同士で血を流さずに解決するなら、その方がずっといい」
「私たちが準備してる間に動きがあったってことかしらね。歓迎すべき状況じゃない」
 満月美華(ka0515)がふっと口元を緩める。
 確かについてみたらもうどうしようもないほどこじれて後はぶつかるだけ、という事態まで逼迫していました、という報告よりはずっと覚醒者たちにとっての第一目標を達成しやすい状況になっているようだった。
「ゴブリンの長老が中立派のリーダーダ。老いてはいるが皆の尊敬を集めている方ダ。失礼のないよう気をつけロ。もし和睦の仲介や文化の交流とやらが嘘で我々に害をなしに来たのならゴブリンもコボルドも一時休戦してお前たちを討たねばならない。特に長老に害をなすなら、容赦はしない」
「それでも中立派の存在を教えてくれたのはどうしてじゃろうか?」
 カナタ・ハテナ(ka2130)が首を傾げて問いかけるとゴブリンは少し考えたあとで口を開く。
「意地の張り合いも、それから発展した殺し合いも、何も生まナイ。お前たちが調停を成功させるならそれもよし、嘘八百を並べて入り込んで虐殺するなら一致団結して排除することで内部での諍いをしている暇はなくナル。長老がいっていた。停滞はもっとも周りに負担をかける避けるべき事態だ、ト」
 コボルドたちに覚醒者たちを中立派の元へ案内するよう命じるとゴブリンは右こぶしを胸と肩の間あたりに添えて礼をして去っていった。
 敬意を表しての礼だったのだと気づいたことにはその姿は視界から消えてはいたのだが。
「ちょうろうノもと二あんないスル」
 コボルドたちもゴブリンの一礼には驚いたようでわずかに声が上ずっている。
「貴方たちはどちらの側についてらっしゃるのですか? 差支えなければ教えてください」
「ちゅうりつ、よりの、コボルドがわ、ダ。だからゴブリントモひつようがアレバ行動ヲとも二スル」
「おまえタチトはなしていたゴブリンはちゅうりつよりノゴブリンノなかでもコボルドたちからのしんようも、アツイ。てきにまわさないほうガ、イイ」
「俺たちが目指すのは平和的な解決だ。こちらとしても敵には回したくないな」
 ランチェスタが穏やかに笑って応じるがしめたイノシシを仲間と一緒に担いでいるせいで若干奇妙な沈黙が場を満たした。
「……何か変なことを言っただろうか」
 不思議そうに首をかしげるランチェスタに女性陣が「イノシシ、イノシシ担いだままだと不審者だから」と小声で忠告する。
「降ろして土がついたら衛生上よくないだろう?」
「…………ソレハ、おまえタチの、しょくりょう、カ?」
 なんで加工してこなかったと言いたげな口調だと何となく感じられるような気がする片言の問いかけにランチェスタはそろそろ疲れてきたな、と思いつつ好印象を与えるべく笑顔を作る。
「食文化の交流として人間の食事をご馳走しようと思って。簡単な料理なら覚えれば作れるだろう。まぁ、気に入ったら覚えてくれれば、程度の認識だったんだが」
「……」
「……」
「……」
 コボルド三体が顔を合わせた。人間とは顔のつくりがだいぶ違うため表情を読み取ったり声から判断するのは難しいところだが『物好きな奴らだ』と彼らの周りの空気が語る。
「……コッチダ。ついてコイ」
 もしかすると状況を好転させてくれるかもしれない、かつゴブリンの中では信頼のおける者がお辞儀をするほどの相手、かつそのゴブリンから接待を任されたコボルドたちは色々言いたいこともありそうだが空気を読んで覚醒者たちがイノシシの重みに耐えきれなくなる前に長老の場所へ案内することに決めたらしい。
 もしかすると人間の言葉では言いたいことが出てこなかったのもあるかもしれない。
 ぞろぞろとコボルドに引き連れられて長老の元へ向かう十一人をコボルド・ゴブリン両陣営が奇妙なものを見る目つきで眺めていた。

●交渉の準備と交渉開始
「これがないと入れないかもっす! 俺の報酬から天引きしてもいいから買わせろっす!」
 事前にそう調停役、ルカ・シュバルツエンド(kz0073)に交渉して「天引きするのは別にいいけど多分その結果持ちきれないから所持金内でおさめなよ」と突っ込まれたが神楽(ka2032)が用意した酒や食料はそれでもかなりの量になった。
 当初の予定ではゴブリン側とコボルド側にそれぞれ分かれて事情を聴きつつ交渉にもっていく予定だったが中立派がいるということと中立派のリーダーがゴブリンの長老だったということでひとまず其方へ挨拶へ向かうことになった。
「よぅきなすったのぅ。話は聞いておるよ」
 生きてきた年数を示すように体毛はタンポポの綿毛のように白く、声は掠れたものだったが目にはいまだ力強い生気が宿っていた。そして人間と差異なく話せるその語調は覚醒者が今まであったどのゴブリンより滑らかかもしれない。
「あ、これ手土産っす。お納めくださいっす」
 神楽が酒や食料を渡そうとすればゴブリンの長老は身振りで制した。
「それはよければ四等分にしてゴブリン側とコボルド側、中立側にそれぞれ差し入れてやってくれんかのぅ。今は食料がどこも足りぬから喜ぶじゃろうて」
「……食糧が足りない?」
 聖盾の疑問に左様、と長はうなずく。
「一つ大きな商談が潰れてしまっての。経済状況が圧迫されてこの辺りで取れない食料を買う手段がのうなってしまった。コボルドたちにはゴブリンのメンツとやらで話していなかったせいで急に食料を減らされた、と鬱憤をためられてしまってのう」
「そりゃばらしていいことなのか?」
 ロクスが問えば長は好々爺のようにほっほっほと笑い声をあげる。
「調停の条件で食生活を元に戻せと言われればばらすしかないじゃろう。ゴブリンたちも引っ込みがつかなくなって力ずくで事態を収拾させようとしておるがこれ以上商談を減らしてはゴブリンだけでは立いかんからの。この辺で食料を調達するのはコボルドたちの役割じゃが冬になればとれる獲物もすくのぅなるしの」
 腹が満たされんと視野が狭くなるのは生き物に共通よなぁ、と締めた長に今度は剛が問う。
「四等分、とのことでしたが残りの一つは一体……?」
「そりゃあ勿論おまえさん方の分じゃ。借りだけ増えていっても困るのでな」
「ふむ、なるほど」
 今までゴブリンもコボルドもただの敵として排除してきた剛だったが今回は話し合える余地があるということで非常に興味深いと接触前から持っていた考えがより興味深いという方向に傾く。
「コボルドはゴブリンに比べればずる賢さがない分素直ともいえるがよく知らん人間から差し出されたものをほいほい受け取るほどお気楽でもないからの。同じ食料を食べて毒を仕込んでいないと見せるのも信を築くにはいいのではないかの」
「もっともな話ね。中立派ではないゴブリンたちから話を聞いていいかしら?」
「向こうがそれを是とするならば。歩み寄りはどこかで必要じゃろう」
 その言葉にゴブリン側との交渉を受け持つメンバーはゴブリンたちに、コボルド側との交渉を受け持つメンバーはコボルドに話を聞くために立ち上がる。
「人間の言葉が達者じゃのう。少し驚いたのじゃ」
 カナタが素直に感想を述べれば昔人間と少しばかり縁があってのう、と穏やかな声が返ってきたのだった。

 美香がゴブリンに事情を説明した後思い切ってコボルドたちの話を聞いてほしい、と頼むとゴブリンは突っぱねるかと思いきや困ったような仕草で頭をかく。
「状況ノ改善ハ、我々モしたい。しかし取引に使う物を用意するのにコボルドにはもう少し働いて貰ウ必要がアリそれがコボルドたちの士気ヲ高めてしまっている」
「積極的に争う意思はねぇってことか?」
 ボルディアが問いかければ少し迷った後おそらくは、と曖昧な肯定。
「争っても労働力が減ルだけだと口ニハ出さないが皆理解し始めた。商談にも集中できなくてこのままでは共倒れにナル」
「これは提案なんだけど……交渉の場でその意見を率直に出して、取引がうまくいくように協力を要請。
 そのあとはわかりやすいご褒美を目の前に用意してあげればいいんじゃないかな。
 労働者っていうのはご褒美があると普段以上に頑張れるものだよ。
 仕事の出来がいいコボルド上位何人かにいい食事……は今はちょっと無理なら特別休暇として自由に過ごせる時間をあげるとか。あんまり出来がよくないコボルドにもローテーションで確実に褒美が行きわたる枠を用意しておけば更に全体の意欲は上がるし不満も出なくなると思うな」
 結果として全体の環境を底上げするよりはるかに安いコストでより質のいい労働力を得られるのだとセリスが説くとゴブリン同士で話し合ってみる、と返答があった。
 ファーストコンタクトはなかなかの手ごたえと考えていいだろう。
(この調子なら戦闘はせずにすみそうっすねー。けど念のため村の地形を把握しとくっすか)
 その考えに基づきゴブリンの子供と一緒に遊んで親交を深めた後村の案内を頼む神楽。
 今のところ覚醒者たちは客分といった扱いらしくゴブリンの親から案内してあげなさい、という援護射撃もあって好き勝手に村の中を見て回ることを許可された。
「随分好意的なのね?」
 ネリーがその様子をみて手近なゴブリンに訳を聞くと人間相手の取引をする場合どんなやり取りが必要なのか知るためには人間を少しでも理解する必要がある、と返事が返ってきた。
「取引をするために人間を知る……たしかにこの村にいる限りは人間を知る機会は少なそうだけれど……」
「ゴブリンはずる賢いから商談の相手には向かない、という人間ハ大勢イル。我々モそれヲ覆すダケノ話術ヲ持たなかったカラ破談にナッタ取引モ多イ。ダガ本質ハ、知ってモラオウとしなければズット伝わらない」
 だから学べる機会を逃してはならないと長老に教わった。その答えにネリーはわずかに目元を和らげる。
「忙しい中時間を割いてくれてありがとう」
「我々二とっても利はある。我々ヲ怖がらない人間は珍しい」
「商人の知り合いが出来てゴブリン相手の取引を考えているようならここを紹介するわ。構わない?」
「ソノ物好きと一日も早くお前ガ出会う事ヲ願おう」
 表情の読み取り難いゴブリンがその時浮かべたのは彼なりに最大限の好意と敬意を表した笑みだった。
 敵対意識に目がいっているゴブリンに対しては殺すのは簡単だが任せていた仕事を今後は自分でやらなければいけないということ、汚れ仕事や面倒なことも多いのではないか。
 そもそも下の者がやるのが当然だと思っていたことを自らの手でやるのは嫌じゃないかと理路整然と並べるネリー。
「巧く働いてくれるように誘導してしまうのが楽で賢いやり方だと思うのよ」
 その言葉がもたらした効果はずいぶん大きかったようで本来なら商談の準備でせわしなく動かなければならないゴブリンたちも動きを止めて考え込んだのだった。

 イノシシを担いでやってきた人間がコボルドに料理を教えたいらしい。
 そんな話題が中立派の屋敷を中心に風に乗ってコボルドたちの間を駆け抜けるのにそう時間はかからなかった。
 ランチェスタは興味本位で集まったコボルドたちに食文化の交流がしたい、と持ち掛け、食料が切りつめられていたコボルドたちは「毒が入っていた場合は道連れにする」と物騒な前置きをしつつ案を受け入れた。
 イノシシを狩ったときの解体方法を丁寧に説明し、塩漬けや味噌漬け、ソーセージの調理法などを理解しやすいように実演調理で教えていく。
 思ったより短期で片付きそうだがとりあえず今夜の食事を、と現地で断りを入れたうえで釣った魚と狩った獲物の下処理をコボルドと一緒に行い魚と肉の塩焼きを作り上げた後山菜とナッツと味噌でサラダを作り上げるとコボルドたちから驚嘆の声が上がった。
「そんなに難しい料理じゃない。一緒に作ってみるか?」
 おずおずとランチェスタの周りにコボルドたちが集まって即席の料理講座が始まった。
 聖盾はコボルドたちに余興として手品を披露した後同行していたルカにハンターオフィスが両陣営の間に正式に割って入れないか、と提案。
 同行を求められていた時点で下準備は済ませてあるからあとは和睦を成功させることだけ考えて、という返事に手品を通じて多少親しくなったコボルドたちから不満要素を聞き出す準備に取り掛かった。
 カナタはそことは別の集団に布教をかねて愛を説く。
「汝、隣人をあいせよ。といっての。互いを思う心は尊い宝なのじゃ」
 そう言いながらノートに描いた漫画を見せてみるが漫画の内容はどうやらコボルドたちには伝わらなかったようだ。
「興味があるなら人間の言葉をもう少し詳しく教えるがどうじゃ?」
 漫画や布教よりこちらのセリフの方がコボルドたちをひきつけたのはカナタとしては少し残念な結果だったかもしれないが収穫の一つではあるだろう。
 剛は少しでもコボルドが話についていけない素振りを見せると躓いている場所まで降りてきて今後どうしたいかを聞き出しつつ共存の道を一緒に探る。
 短い時間ではあったが自分たちの目線まで降りてきて解説してくれる人間というのはコボルドにとっては珍しかったらしく最終的にはかなり打ち解けられたという手ごたえが残る。
 食料が不足しているということを聞いていたロクスは長期的に村が機能するようにと狩りの初歩を改めてコボルドたちに教えていく。
 例えば一か所で狩り続けると枯渇するということや罠は頭が回るやつには通じないということなど。

 会談ではゴブリン側が素直に非を認めたこともあり和睦は思った以上にあっさりと実を結んだのだった。
 コボルド側にもリーダー格の人材が現れ、村には商談が成立すれば再び穏やかな時間が戻るだろう。

依頼結果

依頼成功度普通
面白かった! 7
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 人の上下に人を造らず
    ロクス・カーディナー(ka0162
    人間(紅)|28才|男性|闘狩人
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    米本 剛(ka0320
    人間(蒼)|30才|男性|聖導士
  • 《潜在》する紅蓮の炎
    半月藍花(ka0515
    人間(蒼)|17才|女性|魔術師
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 歪虚滅ぶべし
    セリス・アルマーズ(ka1079
    人間(紅)|20才|女性|聖導士
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 猫の守り神
    カナタ・ハテナ(ka2130
    人間(蒼)|12才|女性|聖導士
  • うすいほんがよみたくて
    聖盾(ka2154
    エルフ|24才|女性|聖導士
  • 咎の翻刃
    ネリー・ベル(ka2910
    人間(紅)|19才|女性|疾影士
  • 山岳猟団即応員
    ランチェスタ・クロイツ(ka2953
    人間(紅)|25才|男性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 質問スレッド
ロクス・カーディナー(ka0162
人間(クリムゾンウェスト)|28才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2014/11/07 14:18:08
アイコン 作戦相談所2
神楽(ka2032
人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2014/11/10 08:22:02
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/11/06 00:43:37
アイコン 作戦相談所
カナタ・ハテナ(ka2130
人間(リアルブルー)|12才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2014/11/09 21:38:06