知追う者、未来を願い地清める

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/09/19 09:00
完成日
2017/09/25 17:30

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●工程表
 エトファリカ連邦国天ノ都、陰陽寮において、大江 紅葉は上司の吉備 灯世と話をする。
「あい、分かった……」
 灯世は妹弟子であり、兄として父として面倒を見てきた紅葉の行動に感慨深いものがあった。
(両親の生死が不明、多くの同郷人を失い、宗主と言う名を頂き、妹のためと言いながら出仕を始めた子がなぁ。書物があるところに入ったら出てこなかったりはあったし、代々符術師とかいうが実力ないお偉方にいじめられてもへこたれず……というか、家臣団が怖かったなぁ)
 灯世は思い出して震える。
 紅葉が足を引っかけられて転んだりするのはしょっちゅう、書庫に閉じ込められたとか事件はあった。灯世や当時の師匠も必死に守ろうとしていたが、妖怪との交戦状態でなかなか手が回らない。いじめに走る奴らは実力がない、足手まといだから後方にいたがために、後方にいるひよっこ符術師に当たった状態だった。
 紅葉は「我慢すれば済むことです。本がたくさん読めました」と言っていたが、家臣団は紅葉を育てる役割もあり、ぶちぎれ、打ちこわしに走りかかっていたのだった。
 文官の家だとなめてかかると、一致団結する大江家臣団は普段を考えると想像つかない行動に出る。
 げに恐ろしき大江家の家臣団。
「……どうしたんですか?」
「いや、まあ、お前も大きくなったよなと思ったわけだ」
「あー、師匠のところもお子さんも大きくなりました」
「歪虚支配地域だったもんな……一応、一般人も行けるとしても土地が力強く回復するほうがいいし。儀式できるんだっけ?」
「えー」
 紅葉は冷めた目で灯世を見る。
「行ってこい。そして、人類の土地を取り戻す第二歩にしろ」
「はい。行ってまいります」

●帰り道
 紅葉が城を出たところで松永 光頼に呼び止められた。
「大江殿、少し話があるんですがよろしいでしょうか?」
「え、あ、はい!」
 改まって言われると緊張する。
 城内の一室にて対面する。
「実は……この辺りって大江家が住んでいた里ですよね」
 地図を指さす。
「はい」
「……その近辺に大物の妖怪がいるという話があるんです」
「ええええ? どうしましょう、里人たち結構戻っていますよ、順番に」
「ですよね。話は伺っています。虎猫と柴犬事件の後からあちらへの人の動きが大きいのは把握しています。戻ることはいいんですよ」
 紅葉がどばっと汗をかいているのを見て、光頼は「この人は何をしているんだろう」と不安がる。
「えと……武家は動いたりします?」
「このままでいけば動きます。火災も起こっているという話がありますし」
 情報漏洩。
「ここはうちの土地です」
 キパリという。
「即刻逃げた武家など頼りにしません。あ、松永殿は素敵な方だと知っているので、えと……えっと」
 紅葉は勢いでしゃべり、困惑し、顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。光頼は反応に困り、やはりそっぽを向いた。
「えと、あの」
「あの」
 二人の声は重なる。そして譲り合いをした後、笑った。
「えっと、近々私そっちに行く予定なのです」
「なぜですか」
「結界ではないですね……えと、浄化してきます」
「……そうですか。人手はいりますか?」
「できれば、変に介入されたくありません」
「そうですよね……上には里側が独自に動くとそれとなく……」
 紅葉はほっと光頼を見る。
 光頼は時間の流れを感じる。
(あの時の人が……)
 年相応の女性としてそこにいる。
「時間ができたら、里にお伺いしたいですね」
「ぜひぜひ。まあ、私も出仕ありますから、こちらに住みますよ。あちらはまだまだ先です」
 少しずつ、妖怪の支配からの脱却がなされているのだ。

●依頼
 紅葉はハンターオフィスに依頼を出しに行く。
「何があるのかさっぱりわかりません。多すぎても少なすぎても問題です」
 あの近辺で過去から現在まで見受けられた妖怪を紅葉はリストアップはしていた。
「幅広いですね」
「はい。雑魔の類はなんでもござれかもしれません。基本的に海ということもあり海にゆかりのある妖怪が多い感じはしました。ただ、イツマデは妙に出ています」
「結局あれは何でしょうか?」
「不明です。ただ、戦で足止めされ戻れなかったものとも、死んだあと生まれ変わることができない人とも聞いたことあります」
 イツマデ、イツマデと鳴き、空を飛び生き物を襲う。その声は聞くものを不安にさせる。
 先ほど、光頼が「火災が起きている」と言っていた。つまり、別の妖怪もいる可能性が高い。
「あの近辺は陸上はあまり状況が良くありません。空を飛べるか水の中か……儀式をするのは里の中でも安定していそうな場所です」
「もともとは……里の外に社があったんです?」
「武家屋敷は外ですよ。しかし、大江家だって里を守る権利があり、独自に社となる信仰の場はありました」
 はず、と言ったのを職員は聞き漏らさない。
「正直いって、私頻繁に行っていません。爺たちの言葉を頼りに、実家があったあたりにあるはずです。どこでも浄化は可能ですし、安定させるならば島か手前の部分ですね」
 結局「島」でするのだと紅葉はいう。
「分かりました……護衛とともに妖怪退治ですね」
「はいよろしくお願いします」
 職員は紅葉の依頼を受理した。

リプレイ本文

●潮騒
 ハンターと大江 紅葉(kz0163)は里の手前までやってきた。地域再生の拠点の真新しい小屋や柵がある。作業をしていた人たちは一行に驚きつつも歓迎した。

 カーミン・S・フィールズ(ka1559)は過去で見た風景と現在を比べる。以前は緑があり、終わった今の方が何もない。
「へぇ、ここがあの島? 前回はデータ上だったわね。それに、依頼人がいきなり脱兎のごとく逃げたりしたわね」
 カーミンの話に紅葉が顔を真っ赤にして小さくなる。
 榊 兵庫(ka0010)は苦笑する。
「護衛対象が逃げてしまったら護れるものも護れなくなるな」
 やんわりと釘が刺され、紅葉がいよいよ小さくなる。
 龍宮 アキノ(ka6831)は妖怪と聞いて好奇心が踊っていた。
「妖怪ねぇ。リアルブルーの妖怪伝説もひょっとしてマテリアルが絡んでいるのかねぇ?」
 紅葉が首をかしげる。
「憤怒に属する歪虚を妖怪と呼ぶ名残があるのです」
 フルルカ(ka5839)はポンと手を打つ。
「そういえばそうだった。西につながると忘れるものだ」
 星野 ハナ(ka5852)はそわそわしながら声をかける。
「わーい、やっと紅葉さんの浄化術が見られますぅ。とってもワクワクしますよぅ」
 紅葉は「そこまで期待されるのは不安です」とおろおろする。
 トリエステ・ウェスタ(ka6908)は初めての東方を楽しみにしつつ、仕事だと気合も入れる。
「やっぱりすごく、景色が違う……龍園を出たからにはいろんなところに行ってみないとね」
 今のうちだと景色をじっくり見る。
 佐間・破阿弩(ka7009)はハンターとしての仕事が初めてである。特徴は鬼に慣れている紅葉が、思わずぽかんと見つめるほどの巨漢だ。
「まずは拠点を築かないとなりませんね」
 渡るならば今のうちだ。あと数時間すれば舟がないと行き来が不能になる。
 メイム(ka2290)は里人に問う。
「ねえ、この辺りで火災が起こっているって聞いたけれど?」
 小屋にいた人は「南方が多いね」と返ってきた。この辺りに被害がないため、里人たちはいられるのだ。
 この瞬間、カーミンは「やっぱりそうなのかもね」とつぶやいた。

 ハンターたちはまず里の状況を確認すべく島に渡った。

●探索
 里に上がると動物の気配がする。
「ああ、寅吉」
 紅葉が近寄りしゃがむと「にゃあ」と鳴きながら前に出てきた。
「ああ、寅吉ですねぇ。あれから皆さん、お元気ですぅ?」
 ハナが近寄り、撫で始める。
「痩せていませんか? 栄養は足りていますかぁ」
 触っているが外見上は問題なさそうだ。しかし、何があるかわからないため、犬猫用の食事をふるまうつもりであった。
 ワンワン、と犬が声を立ててやってくると紅葉にじゃれついた。四頭に飛び掛かられ、紅葉が倒れた。
「そなたたちは仕事の間、陸に行ってもらいたいんだが」
 フルルカはしゃがんで犬の頭を撫でる。犬たちは相手をしてくれるフルルカに群がった。
「夜、ブラッシングをして慰めてあげたいのですう」
「でも、明朝考えると危険ではないか?」
「そうですぅ? で……あー」
 ハナはフルルカと話しているとある事件を思い出す。
 ここにいる猫たちの一部は何をしたのか。都から遠出して、カエルの雑魔に立ち向かったではないか、と。
「動物の世話する人がいれば、別にこっちの小屋にいてもらってもいいんじゃない?」
 メイムが提案するが、紅葉が悩ましい顔になる。
「寅吉、と言うわけなのです。ここに草木が生え、虫が寄り付き、ネズミやら小動物も来るようになるのです」
「にゃあ」
「そのため、明日の朝まであっちの小屋にいてください」
「んにゃあ」
 寅吉は立ち去った。
「まさか、会話ができているの?」
 トリエステは目を丸くした。
「たまたまと思うんだが」
 兵庫は呟いた。

 大江家の屋敷があったところにハンターたちの拠点を築く。
「下の小屋も使えますよ?」
「でも、儀式するならこっちなんだよね?」
 メイムの指摘に紅葉はうなずいた。
「移動は少ない方がいいでしょう。早朝に儀式をするとなれば、暗いうちに動かないとなりませんし」
 破阿弩の言葉はもっともだった。
 屋敷の形はあるが、雨風防げるか微妙な物だった。危険を冒すくらいならば、テントを張って使うほうがいいだろう。黙々と組み立て、形は作った。
 紅葉は準備として「周囲を見てきます」と告げる。
「ついて行きますっ。符術師ですしぃ、他人の術には興味があります」
「護衛だしついて行いきます」
「あたしもついてくよ」
 ハナ、トリエステとアキノが挙手する。
「じゃ、私はお散歩ー。誰か来る?」
「見ておきたいし行く」
「占っておこう」
 フルルカとメイムが行く旨を告げる。
「かがり火などもきちんとしておきたいですし、私は残ります」
「なら、俺も残ろう。何があるかわからないし、単独行動は避けた方がいいだろう」
 破阿弩と兵庫が拠点に残ることとなった。

 羅針盤を持って紅葉は歩く。四角い板には円と文字が書かれている物だ。
 ハナが目を輝かせる。
「何か本格的ですぅ!」
「これは情報が確実かの確認です。今回の予定の場所でよいのか……力の流れを」
 紅葉は何か紙に計算を書いている。
「通常の浄化と違うのかい?」
「同じですが……いえ、違うと言えば違いますね。範囲が」
「確かにハンターが使えるのは簡易なものだ」
 アキノの言葉にハナがうなずく。
「儀式自体があちこちで違うと聞くわね。龍園だと青龍様だけど」
「そうですね。龍園って行ってみたいですね」
「冬は寒いですよ、覚悟しないと」
 トリエステは「今こっちはじめじめ暑い」と告げる。
「さて、情報は得られました。戻りましょう」
 儀式は当初のまま行う。

 カーミンたちは島自体は死の土地に見える。しかし、驢馬や犬猫が通っている道だけは生きているようだ。
「お墓って聞いたから、花くらいとも思ったけど、現地調達は無理ね」
 坂を上り切り、広い土地に出る。かつて墓であり、新しいそれもある。景色は良いが、寒々としてる。
「イツマデって前出たって行ったよね? やっぱり、墓に関係しているのかな? ここに入らなければ襲われないとか?」
 メイムはイツマデという妖怪からそう考えていた。特に違和感がなく入ってしまっている。
「……うーん、たぶん、ここじゃないところにいると思うんだよね」
 カーミンは南方から来るのではと告げる。
「南に行けば、元々歪虚たちの拠点があるからな」
 フルルカは少し前の情勢を思い出す。
 周囲を見ても砦の跡などは分からない。
「【ファミリアアイズ】で見てみればいいのか……」
 メイムはモフロウのきらりを飛ばした。
「……なんか、平和なんだけど」
 フルルカが占う体勢に入る。
「ではわたしの出番だな。何が邪悪……邪な物? そなたの性根が邪だ」
「いや、私の性根の話いい」
 じっと見て言われたカーミンは淡々と拒否をした。
「ふむ、小手調べはよしとして……イツマデの原因があれば……」
 占いは「土地」と告げる。
 ここが歪虚の地になっていたことを考えると、原因は広すぎた。

 拠点の準備をしていた破阿弩と兵庫。
「板、腐っているな」
「私の重さは耐えられないですか」
「いや、俺も踏み抜いた」
 二人は用心して作業をしていた。
 そこにそれぞれ出たグループが戻ってきて情報交換をする。
「そうそう、私はあっちに行こうと思うの。何が出るかわからないから気がかりでしょ?」
 カーミンに言われて紅葉は素直にうなずく。これまで問題がなかっただけで、何もないとは言い切れない。
「俺も手伝おう。単独より、何かあったら人ではいるだろう?」
 兵庫がついて行くこととなった。
 そして、早く行動を移す。
 二人が行くと道に猫がいた。陸地の方には犬猫驢馬がいる。
「渡っているみたいね」
「が、取り残されているのか?」
 二人が近寄ると猫たちはおろおろした。
「あちらに渡るなら手を貸すぞ」
 猫達仕方がないとばかりに手を借りて渡った。

●晩
 カーミンは小屋に泊まらせてもらいつつ里人たちに話は聞いたのだが、噂や遠くに炎を見たという程度だという。妖怪についての不安はついて回っているという。
 狭いため、見張りは外。里人たちはもともと夜間も交代で見張りをしていたため、そのままローテーションは組んでいた。
 カーミンと兵庫も念のため交代でつく。
 動物たちは気ままにゴロゴロしていた。
「この子たち……賢いのか馬鹿なのか」
「野性を捨て……ていないな……里の住み方は」
 カーミンと兵庫はすり寄ってきた柴犬を相手しつつ謎を深めた。

 たき火も用意はしてあるが、火を消す水もしっかり用意してある。
「囲炉裏は残っていると言えば残っているね」
 メイムは屋敷のそこを拠点としていた。ただし、天井が不安と腐っている部分のある床は不安だった。
「夜番はくじ引きかじゃんけんで決めませんか?」
 破阿弩が声をかけるとフルルカが「必要だな」と返答する。
 紅葉が「朝作業があるので先に寝たいです」と宣言する。
「それに付き合います」
「同じく」
「あ、出遅れている、私」
 ハナ、アキノ、トリエステが挙手した。
「ふむ……前半は私とメイムと破阿弩だな」
「分かりました」
「うん、そうなるね」
 フルルカの言葉に破阿弩とメイムは了解を示した。

 最初の見張り。
 メイムは明かりを手に、庭を見回る。
「ここに負のマテリアルを増長するものとかあるのかな?」
「たぶん、それほど複雑な話ではないと思う」
 フルルカの見解にメイムが眉間にしわを寄せる。
「なぜそう考えるのですか?」
 破阿弩の質問にフルルカは「何かあれば、ここに妖怪は居座り続けるだろう」と告げた。
「それも一理あるね」
 メイムは星空を見上げた。

 見張り兼ねた準備のハナ、アキノトリエステが動き始める。
 紅葉がてきぱきと台の上にあれこれ載せていく。
「なんか、陰陽師って感じですぅ」
 ハナはわくわく手伝う。
「精霊を祭るということかな」
「勢いです」
 アキノの質問に微妙な返答だった。
「では、時間を切ったのは?」
「雰囲気です」
 トリエステはなんとなくがっくりするが、本当のことを彼女が言っているかわからない。
 しかし、術を使うのに道具が必要だと考えると、紅葉の集中力のための準備と言い換えられるのだった。

 太陽が昇り始めたことを示す影が差した。

●急襲
 無事朝を迎え、カーミンと兵庫はホッとする。
 まだ時間が早いらしく里に渡る道はない。
「うーん、怪しいと思ったんだけ……あれっ!」
 カーミンが指さす方を兵庫が見ると点が見える。それはみるみる近づくが、距離を考えると大きいと分かる。
 カーミンは里の方に連絡を入れる。
「とりあえず隠れていろ。ほら、お前たちも」
 兵庫は人間と動物に声をかける。
「少しここから離れよう」
 カーミンと兵庫は海沿いまで移動した。
「前より大きいわね」
 イツマデを見たカーミンは呟いた。それは一直線に里に向かう。
 一方、ツルのような鳥はカーミンと兵庫に気づいて向きを変えた。カーミンと兵庫は武器を構えタイミングを計るが、敵の方が先に炎を吐き出した。
「ぐっ!」
「大丈夫か」
「このくらい平気。今ね!」
「ああ」
 カーミンは弓を放つと複数の矢がヒッポウに叩き込まれる。続いて兵庫の弓が叩き込まれた。
 ヒッポウは再び動こうとしたが、二人はすぐに矢をつがえると次の攻撃をした。そのため、あっけなく霧散した。
「里の方は……」
「あっちの方が大きいけど、人数いるから」
「急ごう」
 二人は馬に乗ると、まだ水が残る道を進む。

 紅葉は台に向かって集中をする。マテリアルを活性化させ、術を向かわせる方向を探る。
 ハンターは連絡を受けていたこともあり、迎撃する心づもりで体勢を整えていた。
 巨大な影は里の上に刺したと思うと、墜落するのかと言う勢いで降下してきた。その瞬間、羽の風と地響きが起こる。
 それは強烈な衝撃波となっていた。
「きゃあああ」
「ぐっ」
 受け止められたハンターもいたが、アキノと紅葉が食らう。
「様子が気になるですけど、今がチャンスですう【五色光符陣】」
 ハナが告げる通り、巨大なイツマデは地面にいるのだ。
「風よ、雷よ! 【風雷陣】」
「【鉄鎖「ドローミ」】……【ファミリアタック】」
「これは早く倒すがよいと見た【ファイアスローワー】」
「【マジックアロー】」
「そうですね。遠慮なくやらせていただきます」
 フルルカ、メイム、アキノ、トリエステそして破阿弩の攻撃が叩き込まれる。敵は一瞬、行動御不能に陥っているようだったが、鎖を引きちぎるように飛び立つ。
 すぐに攻撃は仕掛けてこない警戒をしているのかわからないが、ハンターは見逃さない。
 再び、魔法が叩き込まれる。
 それはあえなく霧散した。
 二度目の攻撃が来なかったことを幸運と思う状況を見る。祭壇は吹き飛ばされ、紅葉はうつぶせに倒れたままだった。
「紅葉、大丈夫」
 トリエステが突っ伏している紅葉を抱き起す。
「はい……さっさと、やってしまいますね」
 呪の描かれた巻子を取り出すと、紅葉は広げる。
 負傷をものともせぬ凛とした声が響く。呪は歌うように流れるように広がる。
「……払い清めたまえ」
 ハンターたちも感じた、体にかかっていたかすかな重圧が消えていくのを。この地に長時間いると危険であるということが事実だったことを改めて知る。
 一瞬、紅葉を中心に、緑の葉や色とりどりの花が咲き誇り、波紋のように広がったような風景を見たようだった。

 紅葉は緊張の糸が切れたように倒れた。
 近くにいた破阿弩が抱き留めた為、頭を打つことはなかった。
「……確かに、もったいぶったほどのことはなかったのですう?」
「でも、希望が湧いたような気がするのは気のせいか」
 どの程度の範囲が浄化されたのか不明だが、里とすぐそばに関しては浄化されとハナとフルルカは考えた。
「気のせいではないと思うよ」
「草が生えるのが先だろうな」
 トリエステとアキノは周囲を見た。
「無事終わったみたいね」
「ヒッポウは来たから倒した」
 カーミンと兵庫は儀式の途中から見てはいた。
「なんでそっちに?」
 メイムは首をかしげる。小屋が燃やしがいがあると思ったのか、人がいるのが気になったのかだろうかと考えるしかない。

●休息
 破阿弩は紅葉を床に置くと、毛布を掛けた。
「疲労困憊状態ですね」
「帰りは午後か明日だろうな」
 兵庫は縁台に座った。
「なら、動物たちに食事をふるまってきますぅ!」
「それに、こっちに戻ってきてもらわないとな」
 ハナとフルルカが動き始める。
「妖怪が出たところを調査したほうがいいか」
「うーん、浄化範囲外か内か知らないけれど」
 カーミンの助言に、アキノは痕跡あっても消えているのではと気づいた。
「里を見てみようかしら」
「観光でもいいんじゃない?」
 トリエステはメイムの言葉にうなずいた。
 休息をとることとなった。

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MVP一覧

  • 花言葉の使い手
    カーミン・S・フィールズka1559

重体一覧

参加者一覧

  • 亜竜殺し
    榊 兵庫(ka0010
    人間(蒼)|26才|男性|闘狩人
  • 花言葉の使い手
    カーミン・S・フィールズ(ka1559
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • タホ郷に新たな血を
    メイム(ka2290
    エルフ|15才|女性|霊闘士

  • フルルカ(ka5839
    人間(紅)|13才|女性|符術師
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 好奇心の化物
    龍宮 アキノ(ka6831
    人間(蒼)|26才|女性|機導師
  • 龍園降臨★ミニスカサンタ
    トリエステ・ウェスタ(ka6908
    ドラグーン|21才|女性|魔術師

  • 佐間・破阿弩(ka7009
    鬼|29才|男性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
トリエステ・ウェスタ(ka6908
ドラグーン|21才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2017/09/18 23:41:34
アイコン 【質問卓】
メイム(ka2290
エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2017/09/17 12:47:40
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/09/17 10:07:26