• 初心

【初心】イタダキストリート

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
LV1~LV20
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/10/14 07:30
完成日
2017/10/27 01:35

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 同盟領のとある森の中でのお話。
「なあボス、なんか匂うぜ?」
 ごく普通の道を歩いていた小柄で鉤っ鼻の男がくんくんと周りを嗅ぎまわしつつ呟いた。
「自分でこいた屁の匂いか?」
 禿げ頭で大柄な男ががははと大声で笑う。少しわざとらしいくらいに。おもむろに足元の大きな石を拾ったりもする。
「……ここらを縄張りにしてる盗賊は穏健派だったはずだがね」
 その陰で下唇のねじれた男が小さく疑問を呈する。
「つーか、この道であからさまに追いはぎでもすりゃあとあとヤバくなることくらい分かってる奴等だったはずだろーよ」
 今度は色男が視線を抜け目なく周りに巡らせながら言う。その間も前方でざっ、ざっ、と数人が展開するかすかな気配がする。
「ほう。俺ら『宵闇の剣(セラータ・スパーダ)』に襲い掛かるたァ見上げた根性。盗賊間の調整役がいなくなりゃ小さい盗賊団なんかあっさりなかったことになるくらい分からんか?」
「……人の動きじゃ、ない?」
 ひげ面男のボスが好戦的な笑みを浮かべた横で、少年のような眠そうな男がぽそりとつぶやいた。
 刹那!
 ――がさがさっ!
 前方両サイドの森から板が――戸板程度の大きさの、砦の壁のような重量感のある木製の板が飛び跳ねて来たのだ。跳躍は一般人と比べ物にならないくらい高い。その数、六枚。跳躍ルートは道を塞ぐような放物線を描いている。
 が、この六人はならず者集団「セラータ・スパーダ」。
 ただ不審者の不審な行為を待っているわけがない。
 ――しゅっ、すととん……どがっ!
 鉤鼻の小男「ラデオラ」の投げナイフが飛び、禿げ頭の大男「バルデオ」が大きな石を投げる。
「飛び道具はなし、か。ここらの盗賊は弓を得意としていたはずだが」
 下唇の突き出た男「ステイゼ」は大きな盾を構えて下唇を捻じ曲げ不満そうに。
「……なんだぁ? 板の裏にでっかいサソリが張り付いてんじゃねぇか!」
 色男「アルゼア」はナイフをくらい着地に失敗した板のあちら側にいた不気味な生物に声を大きくしていた。
「歪虚か……ばかばかしい。引くぞ!」
「……おー……」
 ひげ面のボス「グランジ」の号令にあくび交じりに応じる「エドアム」。
 とにかく逃げた。
 そりゃもう、敵が完全に虚を突かれて追い掛けることもしないくらいに。
 ご覧の通りセラータ・スパーダ、金になることはしない。
 ただ金になることはするようで、付近の村に早速駆け込み情報提供。ちょいと情報料と、ハンターオフィスへの討伐依頼出願役を請け負って金を稼いだ。

「あまり依頼金もないようですので、新人依頼にすることにしました」
 ところ変わってハンターオフィス。眼鏡の受付嬢が状況を説明する。
 なお、彼女の言っているのは例の「板を抱いてぴょんぴょん跳ねて襲って来る」大サソリ歪虚の討伐依頼だ。
「ほへぇ……でもまあ、田舎の村からの依頼だもんね」
 話を聞いていたのは、本業そっちのけでクレープを焼いている不真面目ハンターの南那初華(kz0135)。
 何も知らない初華はそう考えた。
 もちろん、眼鏡の受付嬢も知らない。
 実は田舎の村からは十分な依頼金が出ていたことを。
 仲介してオフィスに頼んだセラータ・スパーダが差額をピンハネしたのだ。もっとも、村としては相場が分からなかったのでセラータ・スパーダからの「だいたいこのくらいあれば」という情報は助かった。ぼったくられたわけではない。また、オフィスもピンハネ後の金額に「この金額では厳しい」ときっぱり対応した。幸い、新人依頼にすることでこの金額でも依頼可能だったのですべてがうまくいった。
 誰が損をしたというわけでもない結果となったが……。
「というわけで初華さん、新人さんのバックアップ、お街しますね」
「ほへ?!」
 初華が割を食った。
 とはいえ。
「とぼけても無駄です。この話の最初から『多分そうだろうな~』とか思ってたはずです!」
「えへ、まあそうだけどね」
 ある程度織り込み済みだったようなので、まあ誰が損したとかいうのはなさそうで。
「でも、新人さんに任せていいの?」
「大サソリ歪虚程度ですから。板を抱いているのは意味不明ですがまあ、問題ないはずです」
「でも、板抱いてどうやって移動してるのかなぁ?」
「尾で大地を蹴るそうです。毒の針は尾の先ではなく尻尾の先に直角にあったそうですね。……尻尾の力が相当強い種のようです」
「それ、本当にサソリ~?」
「ほかに形容のしようがないので」
 とにかく、板抱きの大サソリ歪虚六体を討伐してもらえる人、求ム。

リプレイ本文


「サソリ、出てこないねー」
 森の中の道を歩きつつ、イリエスカ(ka6885)がぽそっとこぼした。
 両手はわきの下を晒すように上げて頭の後ろで組んでいる。
「やり過ごしてしまった、という可能性はないはずですけどね」
 少し下がり目から全体を気にしていたケイン・ロウェル(ka6708)が言葉を慎重に選んで話題に乗った。隣を歩く空蝉(ka6951)に一応視線を送ってみる。
「そのはずです」
 空蝉、最低限の言葉で応じる。面は伏せたままで目も伏し目がちのままだ。
「すごいれすねー。気配か何かを探ってるんれすかー?」
 これにハーティ(ka6928)が感心した。やや舌足らずなのは顔合わせをした時から。からかっているのではないことはみな分かっている。というか、「よろしくお願いしますれすー!」と最初に丁寧にあいさつして回った様子から誤解されるわけもない。
「前回の遭遇ポイントはまだ先」
 これに、マリナ アルフェウス(ka6934)の声。業務連絡的で一切無駄がない。
「なるほろれすー。それにしても、オフィスにいらしたっていうお兄さん達、歪虚から逃げ切れるなんて何者なんれしょー?」
 マリナの説明に納得したハーティだが、その流れから新たな疑問がわいて口にする。
「曲者」
「……」
 一言で言い切るマリナに頷く空蝉。
 ちなみに空蝉。
(自分で依頼するため公の場に顔を出してないですから)
 という考えが一つの頷きに込められているが、誰もそんなの分かるわけない。
「まあおっきな板が6枚もあったら、目につきそうれすよねー」
「ぴょんぴょん飛んで出てきてくれると分かりやすくていいよねっ!」
 話題を変えたハーティに、うんうんとイリエスカ。
「それにしても変わった歪虚よねー」
 同行する南那初華(kz0135)がそんなことを言った。
「節足動物が、死して歪虚になっただけで道具を使うまでに進化するのですよ。面白いと思いませんか?」
 ケイン、この話題に乗った。
 が、しかし。
「……」
「敵が進化したなら対応するだけ」
 空蝉、無言。
 マリナ、面白がってくれない。
「ええとー」
 初華はどう返答しようかなー、な感じで助けを求め視線を泳がした。
 その先にアイシャ(ka7015)がいた。
(天国のお父さん、お母さん、聞こえますか? 私は今生まれた土地を離れ、森の中にいます)
 そんな思いで空を急ぐ鰯雲を目で追っていた。
 そして見上げた顔を下げて目を伏せ胸の前で両手を組み合わせる。
(こうして森を歩いていると皆でピクニックに行ったのを思い出します。アレは楽しかったなぁ……)
「あの、アイシャさん?」
 初華、トリップしているアイシャの顔を覗く。
「……お母さんのお弁当はとっても美味しかったです」
 で、あまりに自らの思いに没頭しすぎていたため、最後の方は独り言としてはっきりと口に出たり。
「美味しいものはいいねー。さっきの村に名物とかあれば食べたいなー」
 イエリスカ、アイシャの言葉の最後の方に激しく反応した!
「そういえば初華さん、クレープ屋さんっていってましたれすー! くれーぷ、今度食べてみたいれすー」
「それ、いいねー」
 ハーティー、この話題に乗った。イエリスカははい、決まりー、な感じ。
「ほへ? ま、いいけど……」
「あ! 板を抱いて飛び跳ねるサソリ…? 不自然過ぎじゃない…? 分からない…歪虚って全然分からないよ……」
 初華が応じたところで、アイシャが正気に戻った。戻ったがしかし話題に追い付いてない!
「でしょう? 面白いですよね、分からないことだらけで。そう言うときはまず分類から……」
 おっと。
 ケインが戻った話題に乗った!
 ここでマリナの声。
「ターゲット確認。注意されたし」
 はっ、と身構える一同。
 確かに道の前方両側からかさっ、という音などが聞こえていた。
「……板、だね」
 アイシャも直感視を生かす。遠くから接近する物体を確認して呆れた。
「敵情報に相違なし。Type-Aにて出撃。殲滅する」
 近接・中距離戦闘装備を構えるマリナ。背後では空蝉が静かに絡繰刀「三日月」の柄に手を掛け、開眼。覚醒しパーツアクセサリの一部が発効し覚醒した。
「頑張って。後ろからの奇襲は気にしなくていいからね。逃がさないようにだけ気を付けて!」
 初華、そう言って下がる。
 戦闘開始である。



「あ。逃がさない対策、必要だよね?」
 前に出つつイエリスカ。
「通せんぼしたがってますからやらせとけばええんちゃう?」
 逆に位置を下げるケイン。最後が関西弁風なのは焦って地が出たか。
 この時にはすでにぴょんぴょんと森の中を移動する板の存在は一目瞭然に。
 というか、早い。ジャンプ力はなかなかで跳躍でかなりの距離を稼いでいる。
「とにかく前に出るれす!」
 ハーティ、中華風の丸型盾「鬼団牌」を前面に掲げ走る。
「……」
「いよいよ初仕事だね!」
 その脇を無言の空蝉とワクワクのイリエスカが固めた。
「確認作業、実施」
 ぱぁん、と銃声。
 後衛のマリナがアサルトライフル「スターナーAAC」を撃ち込んだ。確認作業とは、わざと中心の軸線を外したことにある。これにより板が着弾方面に回転し、裏側に少し視線が通る。
 結果、間違いなく板の後ろに大きなサソリ的な何かが張り付いていたことが分かった。敵はすぐに位置を整え見えないようにするが。
「本当に面白いですね。何の必然性からこのような習性を身に着けたか……おっと。今はそんな考察をする時ではありませんでしたね」
 考察するケイン、落ち着いた。もう関西弁は出ない。
「やっぱり不自然過ぎ……はっ!」
 アイシャも後方で愕然としていたが。
「いや、うん、がんばれ私! シャキッとしろ!」
 すぐにぱしんと自分の両頬を叩いて気合を入れた。美しい青色のロングボウ「ゲリンゼル」に矢をつがえて撃つ。
 この時、敵は前方の道を三枚の戸板でほぼ完全に塞いでいた。
 マリナとアイシャの射撃は両端の敵に命中していた。これにより真ん中の板だけ少し突出した形になっている。
 そして友軍前衛。
 盾を構えたハーティが少し突出。
「これ以上は来させないれす!」
 止まってがっちり守りを固め、友軍最前線起点となる。
 その横でイリエスカが大きく開いた。手にしたマシンガン「レストレイント」をがっちり構えている!
「今度は近くからだよ!」
 ガガガと弾をばらまく。集弾率が悪いのは計算内。二つの戸板をこれで狙い破壊を試みた。
 同時期、逆サイドでは……。
「……!」
 無言で敵に殺到した空蝉。ついに絡繰刀を抜刀。そのまま踏み込んだ!
 一瞬、月光のように鋭く光り円弧を描く。居合いと電光石火の動きが鋭く敵を襲う。
 イリエスカ、空蝉の両翼が繰り出した攻撃は迫力十分だ。
 この時、後衛。
「Good job そのまま続行されたし」
 イリエスカが開いて場所を開けたので、後ろのマリナの射線が通った。
 すたん、とアサルトで強弾を発射。戸板破壊を狙う。
「私も!」
 アイシャ、胴打ち後に横に逃げる空蝉の動きで射線が開いたところに矢を強弾で放つ。
 びしっ、すとん、とそれぞれ命中。
「マンターゲットの手ごたえ」
「私に狙われてるって警戒してくれるだけでもいいよね」
 戸板には人型の標的のように穴が空いたり、矢が刺さって後ろに倒れそうになったりしたが破壊はされていない。
 ただ、先のマシンガン斉射と刀による横薙ぎでボロボロにはなっている。
 板は意外に硬いがこのまま力押しなら確実に時間の問題。
 誰もがそう感じた時だった!

 ――ぴょーん、ぴょーん!
 何と、ボロボロになった戸板の裏から大サソリ歪虚が上空にジャンプしたのだ。
「来ましたよ!」
 ケインの叫び。
 聖弓「ルドラ」を構え味方にウィンドガストやストーンアーマーを掛けるのに専念しつつ、常に一歩下がった気持ちで全体を見ていた。戦況の変化には敏感だった。回避のウィンドガストをメインにかけていた理由でもある。
 ただ、一気に後衛まで跳躍してくるとは思わなかった。
「……」
 前衛の空蝉、イリエスカと両翼になって開いて鶴翼の形からの包囲を考えていたが当てが外れた。ただ、表情からは何も読み取れない。体を開いて後ろを見る。
 その視線の先にアイシャがいた。
 大跳躍した歪虚に弓を向けるが時すでに遅し。のしかかられる。
 が、風の加護をケインから受けてもいる。敵の抱き着く動きをいち早く見抜き横に流れて回避した。弓は持っていかれたがこれは仕方がない。
 そして空蝉に叫ぶのだ。
「私は大丈夫だよ。それより敵全体数は6体なんだよね?」
 銀の短髪に橙の瞳。声に負けず心情を伝えて来る。
「……」
 視線を受けた空蝉、瞬きもしない銀の瞳を細めた。流す視線は元の進行方向。敵前衛の裏にはさらに三枚の戸板が並んでいた。
 がっ、と地を蹴りそちらへ殺到する。銀の髪に刺した紅椿の簪が揺れる。

 この時、イリエスカ。
「頭上を越えるのは警戒してたよ!」
 がっと振り向き銃口は空へ。
 どががが、とマシンガンぶっ放し。上への射撃なら味方に当たらないとばらまきまくる。
 とはいえ動いた敵の後手を踏んだ動き。追い掛け射撃なので有効打は与えられず。
 一方の敵はマリナに迫っていた。
「作戦行動に支障なし。フェーズ2へ移行」
 敵の抱き着き攻撃が迫っても冷静を保つ。
 そして短筒「雀蜂」をおもむろに抜き……。
 ――スタン!
 抱き着かれる直前にトリガーを引く。後ろに吹っ飛ぶ敵。一発では死なないが。
 同時にマリナはバックステップ。
 なお、この抱き着き攻撃を食らっていたらどうなっていたかと言うと。
「わっ!」
 マリナを気遣い上を抜かれた敵に完全対応する隙に、敵前線背後に残っていた二列目の敵から後背を狙われていた。
 戸板ごと跳躍して押し潰されると、戸板の端から尻尾がプルンと回って来て毒針にやられた。
「このっ!」
 倒されたイリエスカ、戸板を足蹴にすると同時に片膝立ちになり至近距離でマシンガンをぶっ放す。
「らいじょうぶれすか?! ……ッ!」
 盾で戸板を止め押し合いに応じつつ左右からの包囲作戦に従ってじりじり下がっていたハーティがイリエスカを気にした。その隙に戸板の裏から器用に回してきた尻尾の餌食になったが。
「痺れもない。このくらい大丈夫だよ。それより……」
 イリエスカ、一匹を弾数で屠り切り立ち上がる。
 そして走るのだ。
 当初目的の、敵を逃がさない包囲網を完成させるために。
(……あ、軽い)
 動ける。
 敵後方三枚の内一枚が動いて消えたとなれば、さらに裏に回り込むことができる。
 そう思い走った。実際にうまく回り込めた。
 まるでつむじ風のように。
 敵も対応したが半身となり、陣形が完全に崩れた。
 これ以上ないくらい、この位置取りだけで戦いの風が変わった。
(これが、実戦?)
 頬を染める。が、それは毒の影響ではあるが心は弾んでいた。
「根性で耐えるれす!」
 同じく顔を染めているハーティ。
 うろたえない。たじろがない。下がらない。
 前線起点を維持に専念する。
「誰も戦闘で落とさせませんよ」
 ここで後衛真ん中だったケインが攻撃に出た。
 ハーティに毒を食らわせた敵前衛中央が回り込んだイリエスカ側に回ってハーティを取り囲もうとしていたのだ。
 ただ、横を向いたのでサソリ本体はちょいと軸をずらしたケインから丸見え。
「これを逃す手はありませんからね。弓は連射できるので私は使用が楽に感じます」
 ケイン、撃ちまくる。
 たまらず抱いていた戸板を放棄するサソリ。ぴょんとショートジャンプしてカサカサと地面を移動。
 これに激しくハーティが反応した。
「カサカサ…何かイヤれす!!」
 ジャッジメント、どーん。
 敵の動きを止め、これにケインが応じた。

 一方、アイシャからの期待を背負った空蝉。
「……」
 敵後衛の一枚に向かい、最初と同じ動きをする。
 違いがあるとするならすでに抜刀していること、そしてアルカイックな笑みを浮かべた表情ながら注意深い視線。
 ――ばすん!
 スペルブレイドの強烈な一撃。戸板は頑丈で壊れないがかなり揺れた。ここまで同じ。
 違うのはすぐさま裏にも斬り込み敵の足切断を狙ったこと。
 そして敵が戸板をあきらめ尻尾で跳躍した時に――。
「!」
 高々と空に手を伸ばす空蝉。
 そこから放たれた火竜票が青白く燃えて敵を途中で落とした。
 一瞬、森の方に逃げようとしたが……。
 ――どすっ。
 素早く移動した空蝉、片膝を付き逆さにした刀を敵ごと大地に突き刺した。
 そして顔を上げると。
「弓は返してもらうね」
 アイシャが再び飛びかかった敵にパリィグローブ「ディスターブ」を掲げ一瞬発生したマテリアルの障壁で防ぐと地に転がっていた弓を取り、敵を射抜いていた。

「目標の包囲完了。殲滅する」
「もう飛び越えさせないからね」
 隊列の前後ではマリナとイリエスカが落ち着きを取り戻していた。この二人による包囲で敵を牽制。
残敵のスムーズな掃討につながった。



「回復役もいてよかったね」
 戦闘後、初華がやって来て微笑む。
「仲間から重体は出したくないじゃないですか」
 なんだかんだで数人少ないダメージを受けていたが、ケインの手当てでしっかりと完全回復。
「うーんんん、回復まではいいんじゃない?」
「まあ、一応」
 首をひねる初華だが、それはそれとケイン。
「ちょっとまだぽーってしてるれす」
「うーん、気持ちいいんだけどなー」
 その横では、まだ顔の赤いハーティとイリエスカ。
「毒……なのかな?」
「でも気持ちいいって言ってるし……」
 少し心配するアイシャだが、初華の言う通り二人は特に気にしてない様子。イエリスカの方は明らかに戦闘後の高揚感が交じっているし、イエリスカの方は最初からそんな口調だし、とか。

 とにかく、念のために残りの道程も歩いて確認。さらに往復して村に戻った。
「殲滅完了」
「もう襲われることもないでしょう……」
 マリナと空蝉の報告。
「安心してくらさいれす」
 ハーティ、安心させるように優しい言葉を掛ける。
「後はクレープかな♪」
「あ、それより」
 初華、ちょっと待ってと説明。
「おそらくあの戸板、近くにいるっていう盗賊の砦から取ったものじゃないかしら?」
「つまり盗賊はすでに襲われている、か。……いや、面白いですね」
 でないと森の中にあるわけないし、と初華。なるほど、と納得するケインだった。

 もちろん、道中立ち寄っても良かったが依頼解決に絶対必要というわけではないので無理に確認する必要はない。
 なお、あの戸板をがっちりつかんで跳ねているのだ。捕まっていたら結構なダメージがあったはずだ。
 もちろん、捕まらなければ今回のようにどうということはなかったが。

依頼結果

依頼成功度成功
面白かった! 4
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

  • お兄さんは心配性
    ケイン・ロウェルka6708

重体一覧

参加者一覧

  • お兄さんは心配性
    ケイン・ロウェル(ka6708
    人間(紅)|22才|男性|魔術師
  • 食事は別腹
    イリエスカ(ka6885
    オートマトン|16才|女性|猟撃士
  • 根性れす!
    ハーティ(ka6928
    ドラグーン|17才|男性|聖導士
  • 青き翼
    マリナ アルフェウス(ka6934
    オートマトン|17才|女性|猟撃士
  • 潰えぬ微笑
    空蝉(ka6951
    オートマトン|20才|男性|舞刀士
  • 帰郷
    アイシャ(ka7015
    ドラグーン|18才|女性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/10/14 00:19:17
アイコン 板抱きサソリさん討伐れす!
ハーティ(ka6928
ドラグーン|17才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2017/10/14 05:17:18