過ぎる秋に名残を求めて

マスター:秋月雅哉

シナリオ形態
イベント
難易度
やや易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~50人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
6日
締切
2014/11/20 19:00
完成日
2014/11/22 01:41

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●かつて人騒がせな雑魔が沸いた地で
 そろそろ紅葉は風や雨に打たれて木々から離れ、地に落ちていずれ腐葉土と化す状態のものもみられるようになった晩秋。
 少し前に男性らしい相手の衣装を剥ぎ取りふりふりだったりレースたっぷりだったりパステルカラーだったりと、年頃の少女でも場合によっては着るのを躊躇する可愛らしさだけを前面に押し出した服に着替えさせては去っていく、というはた迷惑なものの何がしたいのかは全く分からない雑魔が現れて野太い悲鳴が絶えなかった紅葉の名所も集客のピークは過ぎつつあり終わろうとしている秋を楽しむ風雅な人たちが時折訪れる程度となっていた。
 雑魔の影は当然なく、あるのは食べ物を売る屋台やアクセサリーなどの土産物屋の呼び声、そして家族連れでやってきたのだろう、子供のはしゃぐ声といたってのどかな光景。
「おかーさん、あれ食べたい!」
「お昼が食べられなくなるわよ」
「えー…」
「お父さんお父さん、紅葉拾っていって家に帰ってしおりを作ろうよ!」
「おぉ、そうだな。よし、綺麗な葉っぱを探そうか」
 それから、恋人たちが景色とともに甘い記憶を刻み付けようとする一部の人間にとっては危険な空気もそこかしこに。
「ねぇ、お揃いのミサンガを買っていかない? あそこで発色が綺麗な色の糸で編んである物を見つけたの」
「そうだね。あぁ、でも切れるのが惜しくなってしまうかな」
「ふふ、それじゃあ二人のミサンガが切れた時にプロポーズしてくれる?」
「はは、参ったなぁ、それはすぐ切れてほしくもなってしまうよ」
 風景画をスケッチする人や乞われてその風景の中に依頼人を描く人々もいる。
 本人以外は見様によっては愉快な惨劇が起きた渓谷は、今日も平和だった。

●紅葉を眺めに行きませんか?
「前に奇妙な雑魔の……あぁ、僕が斡旋した雑魔は大概奇妙だったね。申し訳ない。やたらと可愛らしい衣装を物凄いスピードで着せ替えていく変態雑魔だよ。紅葉の名所に出た。覚えてるかな?
 あそこの紅葉のシーズンも今年はそろそろ終わりだからね、折角だから観光でもどうかと思ったんだ。
 渓谷にかかる形で紅葉が育っているから紅葉の下に虹がかかっているのを見られたりするし食べ物や手作りアクセサリーの呼び込みなんかはまだやってるからね、楽しめるんじゃないかな。
 まだ綺麗な葉っぱを持ち帰ってしおりにするのもいいかもしれないね。
 今回は観光だから親しい人や仲良くなりたい人を誘ってみたらどうだい? 僕もご一緒させてもらおうかと思っているよ。変態な雑魔は君たちのおかげでもう出ないしね」
 冬が来る前の最後になるかもしれない紅葉狩り。秋の一ページを貴方だけの思い出で彩りにでかけませんか?

リプレイ本文

●紅葉舞う中で
 秋が深まりきってやがてくる冬へその立ち位置を譲ろうかという頃合い。晩秋と初冬が日によって入れ替わる、そんなある日。
 かつてなにがしたいのかは分からないものの変態であることは確実だったある雑魔が出没した紅葉の名所は、その騒ぎの傷跡もなく時期的に今シーズンは最後に近くなりつつある紅葉を風に散らしていた。
 フワ ハヤテ(ka0004)と桐壱 (ka1503)の二人はそんな紅葉の中でも一際立派な枝ぶりの木の下にシートを広げて酒盛りを楽しんでいた。
 酒は桐壱が、肴はフワが用意する約束を交わしていたのでそれぞれが荷物を広げる。
 一升瓶に入っているのはリアルブルー産の米酒でアルコール度数は高め。肴は米酒に合わせて重箱にリアルブルーの料理を色々と詰めてみたとフワは重箱の蓋を開きながら桐壱に語りかけた。
 冷奴や小魚の佃煮、出汁巻き卵、大根と里芋の煮物に鰻のかば焼き。
 紅葉狩りという趣旨と並べられた酒や料理と相まってリアルブルーにいるかのような錯覚に陥るかもしれない。
 互いのお猪口に酒を注ぎながら暫く談笑を交えつつ酒を酌み交わし程よくアルコールが回ったところで桐壱が篠笛を取り出す。
 響きだした笛の音を堪能するようにフワはゆっくりと目を閉じて聞き入ったのだった。
 演奏が終わった二人は出店を少し見て回ることに。
「み、みさんが? っていうのを買ってみましょうか。あら? ペアで売ってらっしゃるんですねぇ……うーん、まぁいいでしょう。喜んでくれるといいですね♪」
 桐壱はミサンガに馴染みがなかったのか説明を聞いて首を傾げながら友人への土産だとミサンガを購入。
 他にも数軒出店を冷やかした後荷物を広げていた場所へと戻って二度目の演奏は紅葉と酒を楽しみながら。
 朗々と響く笛の音にフワはお猪口を傾けながらゆるりと口角をほんのわずか上げたのだった。

榊 兵庫(ka0010)は保護者の女性を通じて知り合ったファリス(ka2853)を連れて紅葉狩りを楽しんでいた。
「……所変われども、美しいものを愛でる気持ちは変わらないみたいだな。ならば静かにこの風景を楽しむこととしよう」
「木の葉が赤くなっていて、とてもキレイなの。ファリスも楽しむの」
 すこしあどけない口調の連れが楽しめるように歩調や通行人の妨げにならない位置でじっくり鑑賞できるように立ち止まったりと気を配りながら辺りをぐるっと見て回るようにファリスをリードする兵庫。
 一通り歩いてみて回った後は紅葉と滝が眺められる位置にシートを敷いてゆっくりと酔わない程度に酒を楽しむことに。
 ファリスは兵庫が腰を落ち着けたのをみて自分もシートに端坐すると自分で作ってきた弁当を広げ、美しい景色を眺めながら食事の時間に。
 紅葉狩りが初めてだったので記念として汚れていない、木から離れたばかりのような綺麗な紅葉を何枚か拾い集めていた。
 食事を済ませた後曲がらないよう慎重にしまっていたその紅葉を取り出して飽きることなく眺める。
「それ、どうするんだ? 今はよくてもそのままじゃ萎れちまうだろ」
「今日のことを覚えておくために、後でしおりにするの。押し花にすれば綺麗に取っておけるのよ」
「あぁ、押し花か。なるほどな」
 納得したように頷きつまみを食べながら酒を嗜む兵庫。
「……どうも、理由をつけては酒を嗜んでいる気もするが。まぁ、戦いばかりでは気持ちがすり減っていくからな。たまには心穏やかに過ごすのも悪くはないだろう」
 波乱万丈な日々は決して退屈しない日々ともいえるがたまにはこんな風に立ち止まってふっと一息つける日がないと疲れてしまうから自分も今日という日を記憶に刻んでおこう、と兵庫は目を細めて賑やかな景色を眺めるのだった。

 ナハティガル・ハーレイ(ka0023)は一人でぶらぶらと気ままに紅葉がはらはらと舞い散る中を歩いていた。
「俺には紅葉を楽しむ習慣なんぞはなかったが……ハンターになって各地を転々としてると色んなモンを見たり、触れたりする機会にゃ事欠かないぜ」
 葉巻をふかしながら誰に告げるでもなくひっそりと呟く。
 或いはすでに滅んでしまった故郷の辺境の少数部族に属していたころに共に過ごしていた二度とみることは叶わない面影たちに語りかけているのだろうか。
「ふーン。紅くなった広葉樹の葉ってのは綺麗なモンだな……」
 頭上から舞い落ちてきた紅い葉に何気なく手を伸ばせばその手にひらりと葉が落ちて。
 ――部族の皆に見せてやったらさぞ喜んだだろうな。
「――お前らの分まで、俺は世界を見て回るぜ」
 今は亡き同胞に誓うように紅葉と青空を仰ぎ見た後手に落ちてきた一枚の葉をそっと懐にしまったのだった。

『見ることを【狩る】と表現するの、中々凄いわ』
 エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)はスケッチブックにそう書き記して同行していた二人に見せた。
 出店や紅葉を見て回る間にスケッチブックは文字ではなく景色を綴りだす。……のだが。
 前を見ずに歩くせいでよく人にぶつかり、ぶつかった衝撃や小石に躓いて転んで。
 それでも目がキラキラしているのは紅葉の燃えるような色合いに心を奪われているからだろうか。
 琥珀姫(ka0610)はそんなエヴァの様子を心配そうに見守りながらふと視界の片隅にアクセサリーの出店を捉えた。
「あら、綺麗な組み紐ですわ。ほら、見てくださいませ。碧に、赤に、琥珀……わたくしたちのようですわ」
 Kurt 月見里(ka0737)は初めての紅葉狩りを楽しみつつ二人の少女の希望優先で傍をゆっくりと歩いていた。
 楽しそうな顔を見られるだけで嬉しいからね、といった後紅葉の木に寄り添うように咲いている小さな秋の花を見つけると摘み取ってエヴァと琥珀姫の髪に挿して、満足そうにうなずく。
「思った通りだ。可愛いよ。二人とも。……ん? 組み紐? あぁ、ミサンガだね。へぇ、俺たちの瞳と同じ色―! そうだ! せっかくだし、三人で買ってお揃いにしちゃう?
 俺が奢るよ。遠慮なんていらないいらない」
「お揃いですか。素敵ですわね。エヴァもこれでよろしいですか?」
『もちろん。とっても素敵』
 同じ色の組み合わせで三本ミサンガを編んでもらってさっそくそれぞれの腕に結び付ける。
 ユラン・S・ユーレアイト(ka0675)がその横を通りかかって同じ出店を覗いているとゼフィ・ハイド(ka2838)とドミノ・ウィル(ka0208)も友人の姿に気づいて足を止める。
「なぁ、あたしたちもあのみ、み、みさ……なんだっけ?」
「ミサンガ?」
「あぁえっと、それ。それ作らない? 折角ともだちになれたんだしな! そのお祝いだ! えへへっ、あたしこっち出てきたばっかだから嬉しいんだ。ともだちっていいよな!」
 ゼフィがドミノとユランにそう誘いかけるといいデザインのがあるならば、と二人も出店のミサンガをじっくり眺める。
 基本的な編み方を教えるという店主の申し出を受けて編んでみることに。
 ユランはミサンガの他に竜が紅葉を抱え込むようにして微睡んでいる木彫りのブローチを見つけて自分の中での買う条件を含めていたので対になっているものを友人用にと購入。
 ゼフィとドミノに挨拶をした後買い食いをしながら紅葉を見上げて歩く行為に戻っていく。
 エヴァ同様前を見て歩いていないせいでちょっとしたことで転んだり大通りを外れて誰もいないような小道に入り込んで紅葉がないことに気づいて戻ったりと傍から見ると危なっかしいことこの上ないが当人はあまり気にしていないようであちらへふらり、こちらへふらりと秋の一日を楽しんでいるようだ。
 今日の思い出話とお土産を渡すために今度友人のところに遊びに行こう、と心に決めてブローチだけは壊さないようにしっかりと胸に抱いてあとは気ままに歩くだけ。
 ゼフィはそんなユランの後を追いかけながら紅葉狩りを紅葉を鑑賞するという本来の意味ではなく罠を仕掛けるのかと勘違いしていたのを訂正されたり男女で出かけている人たちの多さに不思議がって説明を受けるも、いわゆるデートの意味が良く分からないようで首を傾げたりと天真爛漫な様子を見せている。
 おいしそうな匂いにはもれなく釣られるのは花より団子、なお年頃なのだろうか。
 そんな二人と暫く行動を共にしたあと景色がいい場所を求めてふらりと離脱したドミノは渓谷の近くで一人で酒盛りをすることに。
「ただ紅葉を見るのも美しいが、水面に落ちた葉の間から見る水面に映った紅葉こそ美しい……、それが師匠の教え……というか、感想かな?」
 その感想と同じような景色を見た時自分はどんな感想を抱くだろう、というのが水面を探した理由だった。
 抱いた個人的な感想は唇に乗せないまま酒瓶の蓋を開けて風景とツナ缶をつまみにひっそりと乾杯する。

 キヅカ・リク(ka0038)と結城 藤乃(ka1904)の二人は落ち葉や紅葉が一面にあふれる川沿いの道を二人で歩きながらお互いの近況報告などを交わしていた。
 王国から持ち帰った土産の酒と紅葉のしおりに似たお守りを渡し、キヅカの口を突いて出たのは。
「大丈夫、どんなことがあっても藤乃さんと部隊のみんなは護るから」
 そんな言葉。
 景色を眺めながら談笑を楽しんでいた藤乃だったが護る、という言葉に歪虚大襲来戦の直前に上官が遺した言葉に重なって思わず動きを止める。
 連鎖して思い起こされる記憶は恩人でもあった上官の死に際で――。
「止めなさい……死にたいの?」
 普段の気楽さを装う余裕がなかったことに果たして本人は気づいていただろうか。底冷えする声音でキヅカを諌めた後ハッと我に返る。
「……え?」
「ぁ……と、ほら、そんな気負ってたら早死にしちゃうぞー?」
 呆けたようなキヅカの声と表情に慌てて取り繕い、追及から逃げるように依頼の稼ぎで取り寄せプレゼントするつもりだった品を押し付けるように渡して話題をそらす。
 そんないつもと違う藤乃の様子に何か抱えているものがあるのかな、と思いながらも追及するタイミングを逃したのと聞かれたくなさそうな雰囲気を感じ取って深く踏み込むことも出来ず二人で帰路につくのだった。

「紅葉、真っ赤。兄さんの瞳と一緒ね」
「私の目は、人に感動は与えませんけどね」
 シュネー・シュヴァルツ(ka0352)の感想に淡々と答えながらカグラ・シュヴァルツ(ka0105)はごく自然と人気のない方向へと向かう従妹の様子にため息をついた。
「こういう時は静かに紅葉を楽しむものだもの」
 振り返り無表情ながらため息に対して反論するシュネーに正論ではあるが別の思考が働いているでしょう、と言葉を返しながらそれでも出歩く気になっただけましか、と思いもするカグラだった。
 何気なく落ちてきた紅葉をキャッチしてふとシュネーの方を見れば高い位置にある紅葉に触れてみようと飛び跳ねている姿。
「……強敵だわ」
 真顔で届かないことをそんな風に言い換える従妹にもう一度嘆息しながら提案を一言で。
「……大人しく落ちている紅葉を選定したらどうでしょう」
 手伝いますから、という言葉を付け加えるとシュネーも木から直接紅葉を摘むことを諦めたらしくそこからは二人で舞い散った紅葉の中でしおりにできそうな綺麗な葉を探す時間に自然とシフトする。
 二人で探しながら自分の分も一枚確保したカグラと、自室を埋め尽くす書物全てに紅葉のしおりを挟もうと大量に紅葉を集めるシュネー。
 その光景に今度こぼしたのは嘆息ではなく小さな笑みで。それでもとりあえず一言。
「数個を使いまわしなさい」
「数個じゃ足りなくなるかもしれないもの。持ってる本の数だけ持っていた方が確実だわ。なくすかもしれないし」
「持ち帰っても処理しきれませんよ。大体何冊同時に読む気なんですか」
「……あと、一枚だけ」
 微笑ましさと呆れの混ざった複雑な、けれど無表情に近い表情で肩をすくめるとカグラは最後の一枚を探す手伝いを始めたのだった。

 ティーア・ズィルバーン(ka0122)は食べ物の屋台を品定めしながら歩き回っていた。
「こういうところで出てる露店の食い物ってなぜかものすごくうまそうに見えるんだよな」
 観光に来ていることで自分でも意識していない部分でテンションが上がっているのかなんなのか。
 美味しく感じるからいいのだからダイエット中の場合や倹約中の時に出店の出ている場所に来るのは危険なんだろうな、とぼんやり思うティーアは出店めぐりに満足すると人の邪魔にならない場所に落ち葉を集めてたき火を始めると芋を串に刺して焼き始めた。
「最近寒くなってきたし、この時期つったらやっぱ焼き芋だよな……」

 ヒース・R・ウォーカー(ka0145)は何度か依頼で共に行動した戦友、南條 真水(ka2377)を誘って紅葉狩りにやってきていた。
「おー、名所だけに親子連れとかカップルさんもたく……さん……だ……?」
「こうやって平穏の中を共に歩くのは、戦友じゃなくて友達っていうのかなぁ?」
 のんきに真水に尋ねるヒースと違って真水はどこか挙動不審気味。
 今更ながらに男性と二人きりという事実に気づいたのが原因らしく、その原因を的確に推測したヒースはからかうように言葉を紡ぐ。
「フムン……今のボクらの状況、デートに見えなくもないのかなぁ? で、どうしたの?」
 追い打ちをかけられ何でもないとどもりながら食べ物の屋台で売っているものがおいしそうだから買ってくると逃げ出す真水。
(落ち着けまずは深呼吸、ボクと彼は依頼で一緒したくらい、お誘いに他意はないはず。そもそもボクは誰だ、南條真水だ。南條真水に色恋なんて――うん、ないない)
 落ち着いたところで言い訳に使ったこともあり適当に二人分を見繕って買って帰るとヒースはなんだか自分が焦っているのを楽しんでいるような余裕の表情で。
「今日という日の思い出に、どうだい?」
 舞い散る落ち葉を二枚手に取ると一枚を真水に差し出す。真水は紅葉を貰い、誘ってくれたお礼にと自分も紅葉を贈った。
「今日という日の思い出に。ね?」
「今日はありがとう、南條。また機会があったら誘わせてもらうよ……デートに、ねぇ」
 その言葉に真水はパクパクと口を開閉するだけで何も言えず、ヒースはそんな真水を見て悪戯っぽく微笑むのだった。

(食欲の秋というのが通じることに疑問を持つのは今更でしょうか……違和感のない程度にあちらから文化が流れている気がします)
 そんなことを考えながらセレン・コウヅキ(ka0153)は上泉 澪(ka0518)と共に出店を見て回っていた。
 屋台めぐりをしていると故郷のお祭りを思い出す、と少しだけ感傷に浸りながら。
 お祭りのすべてが珍しくて色々なものに手を出して、一番おいしかったのはフライドポテトだと澪に語ると澪は同意しながら辺境なら猪辺りを狩って鍋にする、という逸話を披露する。
 興味を示したセレンに澪が語るには一人で食べるには流石に量が多すぎるせいで肉が余り、残りは干したりと保存食にするのだと告げれば文化の違いに目を見張るセレン。
「一人では余るような猪肉を好きなだけ食べ放題とは贅沢ですね……」
 また紅葉を見られるのは来年になるだろうし、と落ち着ける場所を探してのんびりすることにした途端お腹が膨れたからだろうか、眠気がやってきて転寝してしまうセレンに気づいて澪はセレンが風邪をひかないようにそっと上着をかけて目覚めを待つのだった。

 弥勒 明影(ka0189)はシェリル・マイヤーズ(ka0509)を連れて紅葉狩りにやってきていた。
 お供は手製の弁当とお酒。シェリルに注いでもらいながら景色と他の人の営みを肴に一杯。
「俺の国でも四季の彩りは壮観であったよ。眺めるだけでも楽しめるものさ」
「こんなに……色づく、ものなんだ……ね……」
 紅葉に見とれながら明影に酌をしていたシェリルは綺麗な紅葉を拾って髪につけてみる。
「……アキ、みて……紅葉の髪飾り……。アキにも……つけてあげる……」
 可愛いと褒めてくれる兄の髪にも紅葉を差して似合うと微笑めば否定はしないが男にそれは如何なものかと若干苦笑気味の明影。
 姉へのお土産はミサンガ。紅葉と一緒に渡す予定だ。明影もお揃いのものを購入する。
「私と……ねーさんと、アキで……お揃い。願いごと、叶うんだよね」
 今が十分幸せだから何も思い浮かばず、何かいいことありますように、でも叶うだろうか、と首を傾げたシェリル。
「願掛けだから『何か』というよりは明確な方が利益もあると思うがね。叶うさ。尤も、行動も伴わねばならんが」
 ――皆、共に在れるように。
「アキは、何を願ったの?」
「願掛けだからな。口にせん方が利益もあろうさ」
 くしゃりと髪を撫でてそうはぐらかす明影にシェリルはもう一度首を傾げたのだった。

 アリス・ナイトレイ(ka0202)は一人ぼんやりと風に散らされる紅葉を眺めていた。
「秋ももう終わりですか。今年はなんだか早かったように感じます」
 密度が濃かったせいだろうか。流れた時間は今までと変わらないはずなのにもうじき新しい年を迎える時期がやってくる。
「散る紅葉というのも、ずっと見ていたくなる魅力がありますね……」
 すこし寂しさに似た気持ちがわいてきますけど、と儚げな微笑を浮かべてそれでもしばらくの間一人無言で風に舞う紅の色を目で追い続けるのだった。

 ライナス・ブラッドリー(ka0360)は携帯用のウィスキーを飲んだり紫煙を燻らせながら過去に思いを馳せていた。
「向こうでは……こんな静かな時間を過ごす日が来るとは思ってもみなかった。紅葉、か。綺麗なモンだ。……見せてやりたかったがな、アイツらや家族にも……」
 回想から意識を引き戻すきっかけになったのはよく知った姿を目がとらえたことだった。
「nil、どうした? ああ、ミサンガか。これはな……こうしてこう結んでいく。できるか?」
 nil(ka2654)は手作りアクセサリーを作れたらと思ったものの作ったことがなく、完成品を眺めているだけか、と諦めかけたのだが編み方を教えてくれたライナスを少し意外そうに眺めた。
「手先……器用なのね。……こう?」
「お、上手いじゃないか」
 青色をベースにしたミサンガをnilが編上げるとライナスは褒めるように頭をわしわしと撫でる。
「ほら……言った通りだ。nilは無だとしても、有を作り出せる。あの紅葉のように……これから色づいていけば、いい」
「ライナスはいつも不思議なことを言うのね……無と有……私は……」
 秋の山、空。秋の海はどんな感じなのだろう。やはりどこまでも青いのだろうか。でも。
「秋の山も綺麗。赤くて、黄色くて……色はすべてを変えるみたい……」
「ライナス殿もきてらっしゃったのですね。こうしてゆっくりと秋を楽しむこと……向こうでは……今まではなかったですね。今も戦時中といっておかしくはないですが、こうしてゆっくり過ごせる時間はやはり心が潤います」
 リチャード・バートン(ka3303)がライナスに気づいて声をかける。
「ライナス殿が戦中の休息以外で、ゆっくりしてらっしゃるのを見るのは、初めてかもしれないです。
 ところで其方のお嬢さんはライナス殿の娘さんでいらっしゃるのですか?
 確かライナス殿は……再婚なされたのですか?」
 リアルブルーで傭兵をしていたころの尊敬し、師と仰いでいたライナスに寄り添うように立っているnilとの関係をリチャードが問うとライナスは微かに苦笑して娘みたいなものだ、と曖昧に答えたのだった。

 ヴァイス(ka0364)は声を掛け合って集まることにしたメンバーがゆっくりできるようにとシートを敷いて飲み食いに興じようと準備を進めていた。
 秋ということで、そしてあわよくば女性陣にモフモフされるために熊の衣装で参加しているが道行く人はそんなヴァイスを不思議そうに眺めている。
「此処に来るのも二度目だな。あの時は後処理だの何だので、ゆっくりできなかったが今日は時間一杯楽しませてもらうかな」
 変態雑魔とのあれこれを思い出しながら思わず遠い目になっている間にメンバーが集まりだした。
「こーゆー平和な時間は、久し振りかも」
 そう言いながらシートに上がり込んだのは十色 エニア(ka0370)だ。
 手作りアクセサリーを何か一つ買いたいと思いつつ財布と周りの人と相談、吟味して橙色の紅葉と黄色い紅葉がサイズ違いで並んだ髪留めを購入して、星輝 Amhran(ka0724)とUisca Amhran(ka0754)のところでおみくじを引いた帰りだった。
 飲酒可能なメンバーにお酌して回りながら会話と景色を楽しむ。
「こーゆーのって何て言うんだろうね? ……紅葉狩り?」
 星輝とUiscaはギルドの出張店舗として茶屋を開いていたが休憩に【紅葉宴】へとやってきた。
 Uiscaの歌に扇を使っての舞を合わせて人々を楽しませる。
 Uiscaも大好きな歌を披露できるのが嬉しいのか朗らかな声が秋の空に吸い込まれていくのを感じながら舞の合間に視線を向けてきた星輝に笑顔で応じるのだった。
「こっちの世界でも紅葉見れるなんて……全然植生が違うと思ってたからメッチャ嬉しいやんなあ」
 歌と舞を楽しみながら紗耶香(ka3356)は紅葉を眺めて日常を満喫していた。
 ビール片手に集まったメンツとの会話ももちろん楽しむ。
 辺りを見回し、形のいい紅葉を見つけたら後でしおりを作ろうと傷がつかないようにそっとしまう。
 何に使うのかと問われれば隠すことでもないので「せっかく来たんやし記念にしおりでも作ろうかと思ってるんよ」と朗らかに答えるのだった。
『わわ、紅葉……綺麗なの、です』
 メイ=ロザリンド(ka3394)はスケッチブックにそんな文字を綴る。
 場所が場所なので節度は守って、けれど楽しい時間が過ぎていく。
 飲み物を配ったりと周りに気を配りながら紗耶香と同様帰ったら記念にしおりにしようと一枚の紅葉を選んでそっとしまい込んだ。
 それからはヴァイスの衣装をもふもふしたり酒を新しく注ぎ交わしたりと和やかな時間を全員で楽しむのだった。

 天竜寺 舞(ka0377)は妹の天竜寺 詩(ka0396)がはしゃぐ姿が今日も可愛らしい、と思いながらご満悦で手を引かれて出店を回っていた。リアルブルーにいたころは家が厳しくてあまり縁日の類には行けなかったし行けても太るからとあまり食べさせてもらえなかったので詩がはしゃぐ理由は解るつもりだ。
 一軒の店の前で立ち止まる詩の様子に思わず似てるな、と呟いたのは学校の友達とこっそり縁日に行った時に見た料理。
 バツが悪そうに告白するとお姉ちゃんだけズルい! と膨れた詩に奢るから許して、と手を合わせて頼む。
「うん、奢ってくれるなら今回だけ許してあげる」
 二人で吊るした肉を削って出すその出店で買い物をして食べながらクリムゾンウェストに来て半年経って、今まで経験したことがない出来事をたくさん経験して、怖いこともあったけれど楽しい気持ちの方が勝るからこれからもまだまだいろんなことをしたいね、と語り合うのだった。
 増えていく異郷での思い出の中に、変わらない姉妹の絆を感じながら。

「おー……葉っぱが全部真っ赤だぞ紅狼! 染めたわけじゃないのに、色が勝手に変わるなんてすげーな!」
 ルシエド(ka1240)が赤く染まった紅葉に感嘆の声をあげれば同行していた天宮 紅狼(ka2785)が葉が赤く染まる理由を解説する。
「ルシ、何で紅葉が赤くなるか知ってるか? これな、樹が冬支度してんだ。葉を落とすために、秋になって気温が下がると葉に栄養を送るのをやめる。その結果赤くなって最終的に落ちるわけだ。自然ってな不思議だわな」
 講釈の内容は半分くらいしか分からなかったもののこくこくと頷きながら聞いて物知りだな、と満面の笑みを見せる。
「難しい話は置いといて、折角だし葉を拾って帰るか? 本に挟んでおくと綺麗なしおりになるぞ。赤が鮮やかなやつを探すといい」
「紅狼の字も、『あか』があるんだろ。綺麗だから俺は好きだぞ。
 あ、これが綺麗だ。この葉っぱ、しおりにする! 紅狼の分も見つけたぞー。俺、字あんま読めねーから、紅狼が本読んで教えてくれよなー」
 はしゃぐルシエドを見てやっぱり子供なんだな、と笑みをこぼす紅狼。紅葉狩りというイベントは一人だったら絶対来なかっただろう、自分には縁遠いものだ。そういう意味では今日はルシエドのお陰で自分も良い思いをさせてもらっているのかもしれない、と紅狼が思っていることに気づいているのかいないのか。
「ルシ、帰りに飯でも食ってくか。たくさん食ってでっかく……って頭に葉っぱついてんぞ。取ってやるから大人しくしてろ」
「そーいえば腹減った! 肉食べたい、にくー」
「はいはい」

 Gon=Bee(ka1587)は一族みんなで紅葉狩りのはずが結局誰も来ず、一人ぼっちだったため引きこもりを発動していた。
 外で発動する引きこもりがどの程度の威力なのかは未知数だったがこの際それは関係ない。
「別にいいじゃん……さ、寂しくなんか、ないじゃん……」
 通りの端で他の人々がワイワイと賑やかに過ごしているのをびくびくしながら見つつ、恨み言を連ねる。
 具合でも悪いのか、と問いかけられれば盛大に飛び上がり謎の捨て台詞を残して思わず逃亡するせいで危うく不審者として通報されそうだったことを本人は知っているのかどうか。
 ハンターデビューはGonにとってはないものだったようだ。

「あ、おじさんその串焼き三本頂戴! あとお勧めのお酒をてきと~に」
 オキクルミ(ka1947)が出店を冷やかし半分に覗きつつ串焼きとアルコールを供する店の店主に声をかける。
 代金と引き換えに渡された串焼きと酒を楽しみながら思い出すのは故郷のこと。
 出口のない円環のように何も変わらない退屈なところだったけれど嫌いだったわけでもない。
 春には揃って桜を囲み、夏には蝉時雨に耳を傾け、秋は紅葉に染まる山を見上げ、冬は寄り添って暖を取った。
 一緒にいた時間が苦痛だったわけでは、決してない。
「……たまにはお土産持って帰るのもありかなぁ」
 呟いた声が思ったよりしんみりしていて思わず首を振る。
「いけないいけない、おセンチになるとかボクらしくないよね! おじさん、お代わり!」

 ヴィス=XV(ka2326)は静刃=II(ka2921)を人にぶつからないようにエスコートしながら寄り添って仲良く買い物を楽しんでいた。
 あの色がいいとかこれなら静刃がいつもつけていられるとか感想を織り交ぜつつ当てて見栄えをチェックして一番似合うと判断したブレスレットをプレゼントする。
「似合ってるよ、静刃♪ お揃いもいいな~。アレだったら石とか選んで作ってもらえっといいねぇ。あたしと静刃、それぞれの色を入れたブレスとか。
 ついでだ、ちょっとしたチャームを仲間用に仕入れよっか」
 楽しげに仲間への土産を物色し始めるヴィスに静刃もお礼に彼女へのプレゼントを検討中だ。
「山が色づいているわね。あっという間に寒くなったから秋は忘れたように感じていたけれど……実際はちゃんと訪れていたのね。
 山も化粧しているのだし、ヴィスも飾りつけないとね」
 これなんかどうかしら、たまには、と静刃が手に取ったのは可愛らしいアクセサリー。
 ヴィスの反応を知っているのは出店の店主と静刃の二人だけ。

 ルーエル・ゼクシディア(ka2473)とレイン・レーネリル(ka2887)の二人は手作りアクセサリーを中心に見て回る約束をしていた。
 レインは職業柄か、こういうのが気になるようだ。
(……お姉さん、すっかり女性らしくなったね。言動は昔のままとはいえ、綺麗な人だとおもう……何考えてるんだろう、僕)
「ルーエル君、どうかした?」
 じっと見られていることに気づいてアクセサリーから視線をルーエルに向けたレインの言葉に彼女を注視していたことに初めて気づいたルーエルは慌てて何でもない、と答える。
「ルーエル君は欲しいアクセサリーとかある? 何ならおねーさんが今度作ってあげるよ? その耳のアクセサリーも大切にしてくれてるから嬉しいんだ、私」
「これはお姉さんからもらった大切なものだもの。欲しいもの? ……そうだね、今度はレインお姉さんとお揃いのものがいいな」
 笑顔で答えたルーエルの言葉にレインも満面の笑顔で応じたのだった。

「あはは……さすがにもうあの変なのは出ないよね。
 出ないよね……出ないはず……出たらどうしよう。今日たくさん男の人見かけたし、その人の連れも合わせると人の数は多いしもしまたあれが出たら被害甚大なんじゃ……。
 うわーん! やっぱり気になる!」
 サトコ・ロロブリジーダ(ka2475)は以前この場所で遭遇した変態雑魔の影を払拭できず自主的に見回りを決行することに。
 ハンターオフィスで見た顔が多いことから雑魔が復活しても瞬殺はできるだろうがあの雑魔は無駄に素早いから捕捉するまでの間にどれだけ被害が出るかが問題である。
 いきなり男性が可愛らしさだけを前面に押し出した衣装に着替えさせられたらデートに来ているカップルにとっては悲劇以外の何物でもないだろう。
(呑気にスケッチしてる連中の前に、アイツが現れたら阿鼻叫喚の地獄絵図だからな。これも乗りかかった船だ。葉っぱの裏とかに隠れてねーかチェックしてやるぜ)
 内心では悪態に近いぼやきをもらしながら一人何もないのが一番だ、と見回りを実行するサトコは本人は自覚していないかもしれないが結構お人好しな一面を持ち合わせているようだった。

 サクラ・エルフリード(ka2598)は一人でまったりと紅葉を楽しんでいた。
 普段の依頼での戦闘を忘れてゆっくりとした時間を満喫する。
 武装はしておらず、比較的ラフな格好と言えるだろう。
 折角だからと紅葉と、紅葉を眺めて楽しむ人を絵に描こうと筆を走らせては見るものの残念なことに絵心があまりなかったためか完成したものは風景画というよりも抽象画に近い出来になってしまった。
「……やっぱり頭の中だけに留めておくのが一番だったかもです……」
 かといって捨ててしまうのはもったいない気がする。帰ったらどうするか考えることにして、今は景色を思う存分楽しもう、とスケッチブックをしまい気持ちを切り替えて歩き出すのだった。

 Gacrux(ka2726)は苦手な人ごみを避けるようにしつつ完全には避けられないまま出店で交流のある仲間たちにお土産を購入していた。
 こういうことには疎く、一般的にどんな土産物が喜ばれるのかがわからないためとりあえず、と選んだのは個性的で置き場所に困りそうな民芸品の置人形。
 嫌がらせやギャグ、というわけではなく贈られたら困るということを本人が自覚していない結果である。
 あとで飲むように、と地酒も別の出店で購入して待ち合わせをしていたJ・D(ka3351)と合流する。
 時期の終わりといいながらも流石観光名所というべきか、まだまだ見事な紅の景色を眺めながら二人でぶらつきながら静かな場所を探す。
 渓谷から川を遡って綺麗なせせらぎにたどり着くと二人は適当な岩場に陣取って乾杯をする。
 観光がどういうものかわからない、というGacruxに肴はこの川の音に舞い散る紅葉だと答えるJ・D。
「これ以上の贅沢といやぁ中々あるもんじゃねぇ。川の水が追い水に飲めるならこれ以上は望めねぇ」
 酔いが回ったのか観光の仕方を教わりながら涙ぐむGacruxが目元をぬぐいながら一言。
「景色が綺麗だとか、誰かと過ごすのが楽しいとか、なんでこんな事ぐらいで泣けてくるんですかね……多分、俺、酔ってるんだと思います……」
 そんなGacruxに黙ってJ・Dは新しく酒を注ぐのだった。

「紅葉かぁ……なんかキレーだけどさぁ……ちょっと寂しい、ってカンジぃ?
 はるな、秋はなんだか苦手かもぉ。わちゃわちゃしてないしぃ、何となくガチしょんぼり沈殿丸みたいな~。
 なんでこんな気分になるんだろー」
 舞い散る紅葉を眺めながら独特の口調ではるな(ka3307)が呟く。そういえば、と頭をよぎったのは紅葉の花言葉の一つ。
「確か『大切な思い出』って言うのもあるんだよね~。葉っぱの癖に花言葉トカ、何かもぉ、滅茶苦茶ってカンジだけどぉ。
『大切な思い出』かぁ……向こうの世界で出会った、憧れのあの人……どうしてるのかな……こっちに来たらしいって噂は聞いてるけどこのまま逢えないのかなぁ……。逢いたいな。
 そんでまたあの人の声とか音楽、聞きたい」
 しんみりした思いから我に返ってやれやれ、と首を振る。
「あーヤメヤメ! これじゃマジでガチしょんぼり沈殿丸じゃん」
 縁がつながってるならそのうち会えるよね、と呟いて観光に戻るのだった。

「おお、おお!! 紅葉じゃ!! 綺麗じゃのう。唯一つ、紅葉に欠点があるとすればじゃがな……綺麗さでは腹は満たせんのじゃ!!!
 残念じゃの」
 誰に言うでもなく笑いながらアルマ(ka3330)が冗談めかして口にするがそのあと掲げた目標は食べ物の出店全制覇だったということはもしかすると本音だったのかもしれない。
「小さき身体とて、胃袋までそれに比例していると思ってもらっては困る。
 アルマは美味しいモノが大好きじゃ! こんな美しい景色の中なら尚更、その美味しさは何倍にも何十倍にもなるじゃろうて」
 片っ端から出店で食べ物を買っては幸せそうに頬張って食べ終えると次の出店へと向かう。
 心持ち的には道場破りならぬ屋台破りといったところか。
「食うからにはごっそり、心行くまで堪能して、次に移る。これ、真理なり。
 ふ~……美味しいものを食べた後の紅葉もまた格別じゃの」
 小柄な外見に反してブラックホールの様な吸引力を食べ物に示すアルマの姿に出店の店主たちは戦々恐々としたのだった。

 ネヴェ・アヴァランシェ(ka3331)は紅葉を眺めて一人小さくうなずいた。
「うむ、紅葉、なかなか、綺麗なモ、ノだ、な。
 ネヴェ、は何を、しようか……。
 うむ。然し、秋、と、言えば、食欲の、秋だ、な」
 それに読書の秋もある、と思考を巡らせる。
 運動の秋というのもあった気がするし夜が長い季節でもある。
「秋、は、様々なモノ、が、ある、な」
 とりあえず今日は山を、紅葉を楽しみながらしおりの元になる葉っぱを探すことにする。
 椛もいいが銀杏も捨てがたいな、と考え込んで、数に制限があるわけでもないし二つ入れるか、と綺麗な葉を選ぶ。
「配置が、ミソ、だな。後で、本、を、開くとき、に、此処へ、来た、事を、思い、出せ、る、ような、仕上がり、に、なると、ベスト、だな」
 さて、どんな配置にしようか。そんな風に悩む時間も楽しい。
 それぞれが思い思いに時間を過ごし、平和が戻った紅葉の観光名所での一日が終ろうとしていた。

依頼結果

依頼成功度成功
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参加者一覧

  • THE "MAGE"
    フワ ハヤテ(ka0004
    エルフ|26才|男性|魔術師
  • 亜竜殺し
    榊 兵庫(ka0010
    人間(蒼)|26才|男性|闘狩人
  • 一刀必滅
    ナハティガル・ハーレイ(ka0023
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • 雄弁なる真紅の瞳
    エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029
    人間(紅)|18才|女性|魔術師
  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師

  • カグラ・シュヴァルツ(ka0105
    人間(蒼)|23才|男性|猟撃士
  • アックスブレード「ツヴァイシュトースツァーン」マイスター
    ティーア・ズィルバーン(ka0122
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士
  • 真水の蝙蝠
    ヒース・R・ウォーカー(ka0145
    人間(蒼)|23才|男性|疾影士
  • 蒼の意志
    セレン・コウヅキ(ka0153
    人間(蒼)|20才|女性|猟撃士
  • 輝きを求める者
    弥勒 明影(ka0189
    人間(蒼)|17才|男性|霊闘士

  • アリス・ナイトレイ(ka0202
    人間(蒼)|12才|女性|魔術師
  • 希望の火を灯す者
    ドミノ・ウィル(ka0208
    ドワーフ|20才|女性|闘狩人
  • 癒しへの導き手
    シュネー・シュヴァルツ(ka0352
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • いつか、本当の親子に。
    ライナス・ブラッドリー(ka0360
    人間(蒼)|37才|男性|猟撃士

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 【ⅩⅧ】また"あした"へ
    十色・T・ エニア(ka0370
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • 約束を重ねて
    シェリル・マイヤーズ(ka0509
    人間(蒼)|14才|女性|疾影士

  • 上泉 澪(ka0518
    人間(紅)|19才|女性|霊闘士

  • 琥珀姫(ka0610
    人間(紅)|17才|女性|霊闘士
  • Emeral-D
    ユラン・S・ユーレアイト(ka0675
    エルフ|14才|女性|霊闘士
  • 【魔装】の監視者
    星輝 Amhran(ka0724
    エルフ|10才|女性|疾影士

  • Kurt 月見里(ka0737
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 緑龍の巫女
    Uisca=S=Amhran(ka0754
    エルフ|17才|女性|聖導士
  • 孤狼の養い子
    ルシエド(ka1240
    エルフ|10才|男性|疾影士
  • 酒は命の水
    桐壱(ka1503
    エルフ|13才|男性|魔術師
  • Beeの一族
    Gon=Bee(ka1587
    人間(紅)|35才|男性|疾影士
  • 生者の務め
    結城 藤乃(ka1904
    人間(蒼)|23才|女性|猟撃士
  • 答の継承者
    オキクルミ(ka1947
    エルフ|16才|女性|霊闘士
  • 二つの顔を持つ女エルフ
    ヴィス=XV(ka2326
    エルフ|18才|女性|疾影士
  • ヒースの黒猫
    南條 真水(ka2377
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディア(ka2473
    人間(紅)|17才|男性|聖導士
  • ライブラリアン
    サトコ・ロロブリジーダ(ka2475
    人間(紅)|11才|女性|魔術師
  • 戦うメイドさん
    プルミエ・サージ(ka2596
    人間(紅)|15才|女性|猟撃士
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士

  • nil(ka2654
    エルフ|16才|女性|猟撃士
  • 見極めし黒曜の瞳
    Gacrux(ka2726
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • 漂泊の狼
    天宮 紅狼(ka2785
    人間(蒼)|27才|男性|闘狩人

  • ゼフィ・ハイド(ka2838
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • 新航路開発寄与者
    ファリス(ka2853
    人間(紅)|13才|女性|魔術師
  • それでも私はマイペース
    レイン・ゼクシディア(ka2887
    エルフ|16才|女性|機導師
  • 運命に抗う女教皇
    静刃=II(ka2921
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • 人々の支えに
    リチャード・バートン(ka3303
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士
  • 恋愛導師
    はるな(ka3307
    人間(蒼)|18才|女性|魔術師
  • 祭りの小さな大食い王
    アルマ(ka3330
    ドワーフ|10才|女性|闘狩人

  • ネヴェ・アヴァランシェ(ka3331
    ドワーフ|10才|女性|霊闘士
  • 交渉人
    J・D(ka3351
    エルフ|26才|男性|猟撃士
  • 弔いの鐘を鳴らした者
    紗耶香(ka3356
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • いつか、その隣へと
    ティアンシェ=ロゼアマネル(ka3394
    人間(紅)|22才|女性|聖導士

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アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/11/20 16:11:58
アイコン 相談所
ヒース・R・ウォーカー(ka0145
人間(リアルブルー)|23才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2014/11/19 21:04:47