A氏の道程「飛べ! ヨリシロサッカー!」

マスター:ムジカ・トラス

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/12/16 22:00
完成日
2017/12/31 18:53

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 奇妙な体験だった。
 視界が、常より高い。何より、"私が見える"。椅子に身体を預け、目を瞑っているその姿は眠っているようにも見えた。ああ。それはその通りなのだろう。これは、そのような術であるのだから。
 不思議なものだ。このヨリシロには感覚器は無いのに、世界が見える。
 霊呪の中に動物に視点を預ける術があると聞いてはいたが、体験としては知らなかったものの新鮮さには、胸を衝かれる。ましてやこれが、成功の証であるならば。
 ――む。
 喋れない。それもそうか。意思疎通が取れないのはネックだな。これは追々、対策を考えねばならない。ふむ。"ヨリシロ"に発音のための呼吸経路と口腔を用意すればある程度は可能だろうか。構造として複雑ではあるが、マテリアルの貯蔵が十分であるならば、多少そちらに回した所で不便はなかろう。
 続いて私は、己の手脚を見た。関節の可動は十分。我ながら、よい出来だ。用いた核に比して、"出力"も十分に感じられた。我が身が人形とは思えないほどの万能感を感じるほどだ。これも、精霊の助力の影響なのだろうか。
「ぬはは、新しい身体の具合はどうだね、アダム・マンスフィールド」
 ――悪くない。技術としては十二分の成果だ。
「それは、いい。自我無き小精霊たちではあるが、世界の利に適うのならば良しとするであろうさ」
 どうやら、【節制】の精霊、プラトニスの眼鏡にも適ったらしい。
 得た知見は、3つ。
 感覚を有すること。身を預けた結果、無明に囚われることも想定していたから、行程を減らす意味でも、彼方此方を駆け回らずに済んだという意味でも、これは助かった。
 動力として、マテリアル源となる【核】と―――の組み合わせは有用であること。このヨリシロに同化している精霊の補助もあるであろうが、不足は感じない。
 そして、もう一つ。

 それは――。



「よく来てくれた」
 浅黒い肌に剛健極まる身体。低く深い声色には、不動の精神が宿っているようにも思える。そんな風体でも、彼は魔術師であった。その傍らには彼よりもなお巨大かつ筋肉の塊、プラトニスが腕を組んで大胸筋を隆起させて白い歯を輝かせた。
 アダム・マンスフィールドは、居並ぶハンターたちに向かって、告げる。
「先般、こちらのプラトニス殿を通じて小精霊の助力を得ることが適った。4ヶ月の研究を経て、一つの成果が得られた。君たちに来てもらったのは、より踏み込んだ製作に臨む前に、一度実験を執り行いたいからだ」
 どうやら資料は無いらしい。集まる視線に答えるように、アダムはローブの裾から一つの人形を出した。飾り気のない、デッサン人形。
「術式については省き、結果から告げるとしよう。『実験の間、君たちは人形にその精神を宿すことになる』。もちろん、術式は任意で解除できるし、身体に危険が及ぶことはないと確約しよう。私自身で実験済みだし、実験自体は密室で行う――こういうと、いささか危険な匂いがしないでもないが、重ねて言おう。危険はない」
「いざとなれば、我輩がそなたらの身を護ろうさ」
「……と、いうことだ」
 無茶苦茶な依頼だった。なるほど、実験といえばそうだろうが、一例限りしかない検証例を元にしただけの、人体実験には相違ない。
 さて、と。アダムは息を吐く。無理筋は承知だが、そのためのプラトニスでもあるのは事実だった。それ以上の備えは用意できないのも現実だった。何故、この巨人が自身に協力するかは解らないが、ありがたく受け入れる。実験参加者に対するリスクを抑えられるなら、それに越したことはない。

「さて、人形は持参して者はいるかね? ああ、関節はあった方がいいよ。なにせ、君たちにはフットボールをしてもらうのだから」
 フットボール。サッカー。蹴球。言いながらアダムは、人形用に小さく作られたボールを取り出すと、にやりと笑った。
 そうして、【本題】――つまり、実験を要するとした理由を、告げたのだ。

「君たちが宿った人形は"飛行可能"だが、安心してほしい。ボールは飛ばないからね。ルールは遵守しよう」
 スポーツマンシップに則りたまえ、と。そう結んだ。

リプレイ本文


 サッカー。それは紳士の球技――だと深守・H・大樹(ka7084)は記憶している。特にボールにサンダービーストをエンチャントしたのは胸が熱くなる超展開だった。
 呼吸器などない人形の身体だが、確かに溜め息の音が聞こえた。鵤(ka3319)のものである。
「はぁ、なんでこんなの受けちまったかねえ……おーい。そろそろ準備できたぁ〜?」
「俺はいつでも!」「ああ、私もいつでもかまわない」
 準備運動に余念のない鳴沢 礼(ka4771)人形が拳を掲げつつ応じると、幾つかプラトニスへと向けて魔術を試打ちしていたアダムが頷いた。
「アダム殿、あれからもう実験できるまでに至ったのか。凄いな!」
「これについては私自身の働きというよりも、プラトニスの協力があってこそだからな」
 筋骨隆々な人体模型に宿ったセルゲン(ka6612)の喝采に、どうにも素直に応じることができないアダム。発語機構のないこの人形で『会話』をするにしたってプラトニスのお膳立てが必要なのであった。
「あー、でも、こっちでサッカーできるなんてなあ……! そいや、大丈夫? ルールわかりにくくない?」
 ちらり、と礼が見た先には、こちらも筋肉質な人体模型の役犬原 昶(ka0268)。
「手は使っちゃダメ。直接攻撃もダメ。ラインから出たら相手ボールになる。オフサイドは無し――だろ! まかせとけ!」
「おお! すげえ!」
 あまりに――そう、あまりにサッカーに疎いハンターたちだったし、スキルも使えるため最低限として定めたルールである。しかし、杞憂だったようだ。
「キーパーは手を使って良いんですよね!」
「ああ……うん……?」
 シュッシュッと拳を突き出すクレール・ディンセルフ(ka0586)の構えは、なかなか堂に入っている。どうみてもKARATE、礼は嫌な予感をぐっとこらえた。いや、それよりも、だ。

「…………」
「…………」
 後方で、地面に置かれた手鏡を姿見にして覗き込む、二つの影。かたや褐色肌の美少女。かたや、黒髪ロングのお嬢様風の美少女。
 ゴーレム少女ノームちゃんと、サオリたんである。
「いぇい★」
「おぉぉ……サオリたんンンンン……!」
 元気そうにポーズを取るノームと、スカートのままガッツポーズをとるサオリたん。それぞれ中の人は岩井崎 旭(ka0234)と、ジャック・J・グリーヴ(ka1305)。
 ふたりとも、自分のセカイに篭っているようだった。

●キックオフ
 チームKIN-NIK。FWが旭、ジャック。遊撃(?)昶、プラトニス(?)。GKはセルゲン。
 フィールドの中央に、美少女人形が二つ。旭とジャックだ。
 対するチームアダムは、FWに礼と鵤、MFにアダム、DFに大樹。GKはクレール。円陣を組んで、地面を蹴り上げる。気合充分だ。
「それでは征くぞ!」
 審判を受けおったプラトニスは、生身のままでフィールドに立っている。人形とのサイズ差もあり、どこか現実離れした光景だが、参加している面々は――鵤を除いて――大真面目である。

 さて。
 高く、ホイッスルの音が響いた。

「行くよ! サオリちゃん!」
「あ? 俺……あ、今は俺様がサオリたん……!? え、ええ、よろしくてよ!?」
 ノリきれてないジャックをよそに、旭はボールを蹴り出した。慌てて追走するジャックの気配を、超聴覚による"耳で"感じながら、旭は疾走。眼前には礼。やや後方に鵤が構える。
「美少女パワーの……突撃力ぅ!」
「それって美少女=突撃ってことじゃ……って!」
 サッカー経験者らしく、やや腰を落として左右どちらの動きにも対応できるようにしていた礼。
 しかし、旭の美少女力は礼の経験と予測を遥かに超えていた。
「はっや……!」
「ふふっ、捕まえてごらん!」
 この"人形"特有の飛行加速を地上に限局して使ったのだ。強く蹴り出された球を目掛けてマテリアルによる推力を得て、加速。強引に蹴り足で制動を掛けながら、球を追う。
「張り切るねえ……」
 礼の後ろにいた鵤はスルー。だって、遠いんだもの。年を取ると一歩が遠くなってしまうものなのだ。横目に美少女と化した旭を見送っていた――が。
「お?」
 なんと、ボールがこちらへと向かってきている。その向こうには片手を翳したアダム。旭が蹴り出した球を加減したマジックアローで打ち返したらしい。
「あ、ずーるーいー!」
「……君はそういうタイプなのか」
 彼自身も開発に関わった人形が女子力全開で動く様と旭の現状に、アダムはただただ物悲しげであった。
「ほーい」
 そのまま流れるようにパスボールを蹴り出す鵤。存外熟れた様子なのは、礼の提案で基礎練習を一通りやった甲斐があったと見るべきか――案外、心得があるのかもしれない。
「っし、行くぜ……!」
 兎角、旭とジャックを後方へと置き去る形。形成有利を活かすべく、礼はボールを蹴り出した。前方には三人。筋肉。筋肉。筋肉だ。旭とジャックが追走してくる気配を感じるが、礼も旭に倣い、低空飛行気味に、やや強引に加速を得る。
 ぐん、と引っ張り出される身体の感覚が心地良い。まっすぐ往くには有用だ。
 小回りは効きにくいがキックアンドラッシュに良さそうだ。
 途中で飛行を解除して、速度を殺す。代わりに制動性を確保して相対するは――昶、が宿ったムキムキの人体模型。
 ……その、腰を深く落として両手を前方へ突き出したレスリングスタイルは何故なのか。
 嫌な予感がした。や、でも、ルール確認してたし。あれが得意ってだけなのかも。
 心情とは裏腹に、身体は動く。染み付いた動きで、インへと切り込むように見せかけたところで、アウトサイドに切り返す。
 ――絶好調!
「くっ……!」
 ボールはそのまま、礼のつま先で滑るように前へ。そのまま、片側へと重心の寄った昶を、一息に抜き去った。
 その先の、残る二人を見据えた、その時のことだった。
「殺ったァァァァアアアアアッ!!!」
「ぶっ……!」
 気迫、殺意、そして、衝撃。礼はたちまち吹き飛ばされ――組み敷かれた。
「は!?」
 もちろん、下手人は昶である。凄まじい衝撃は、飛空スキルの加速によるものだったか。
 と、いうか。
「うおお、ナイスタックル!!」
「な、何してんの!?」
「え? やだな……スクラムは大事だろ! オールフォーオール、ホールインワンってやつだぜ!」
「ええ……っ?」
 ――それラグビーだし、っていうかラグビーですらないし、なんならルール確認もしたじゃん……?
 言っても徒労に終わる気配しかなかったため心の中でツッコんだが、もちろん、拾う者は居なかった。
 突き抜けすぎだろ、昶……。

 そんな想いを代弁するように、笛が鳴った。



「ピンチ! 踏ん張りどころだぜ皆ァー!!」
『私はルール違反者です』という札を掲げた昶が、ピッチの外で両手をブンブンと振り回して声援を飛ばす。実験という性質上退場にはならなかったが、まず言葉では通じ無さそうだったので、お預けをすることで躾としよう、というプラトニスの采配である。

「フリーキック……友人の仇を討つチャンスだね」
「はい! じゃあ! 私も行きます! 総攻撃!」
「なんかキマってんねえ……」
 書物の影響で不穏な事を呟く大樹とクレールを鵤は胡乱げにみつめながら、キッカーの礼にこっそりと”術"を施す鵤。
「しっかし……」
 それらの背を"見送った"鵤は吹き出した。
「やー、シュールすぎるわぁ……」
 キッカーとゴールの間に、人体模型と美少女人形2体が横並びになってわたわた動く様に加えて、そこに”中の人"が透けて面白い。直立不動の人体模型に、”なりきり”の旭は「がんばるぞぉー★」とノリノリ。一方、ジャックはサオリたんの股間を押さえて防御姿勢だった。なりきり度が、足りない。



「どんまいー、昶ー。後はまかせとけー!」
 そう言うセルゲンには、秘策があった。
 キッカーの礼が、今まさに蹴らんとする、その"球"を敵と定める。そうしてスキルで対応しようという腹積もりである。熟練の霊闘士であるセルゲンにはおあつらえ向きの霊呪があるのだ。

 眼前で、キッカーの礼が動く。

 スローモーションの視界の中で、蹴る動きに比して礼の放ったボールは爆発的な加速を見せた。それが機導術の効果であることはセルゲンには解らないが、ただ、止める――!
 幻影の手をイメージする。刹那の内に生じたマテリアルの腕がボールを捕らえる……筈だった。
「なにィ!!!?」
 故に、驚愕した。出ない。手が。
「くっ……!?」
 それでも立ち直ったのは流石、歴戦のハンターといえよう。瞬後には作戦を切り替える。
「現界――ッ!」
 マテリアルの身体を構成することで、ゴールそのものを占拠するという、サッカーのルールの裏を掻いた、今度こそ、秘奥の中の秘奥であった。
 ――間に合え……ッ!
 と念じながら、発動しようとした術は。

 成らなかった。
「あ、れ……?」
 残ったのは、セルゲンの呆けた声のみ。その後ろで、ボールがしゃらりとネットを揺らした。
 大人げないが、サッカー部経験者兼ハンターのインフロントキック。凄まじいカーブで、ボールは壁に立った人形を迂回する形で右方のネットを揺らした。

 高い笛の音と、「よっしゃ!」「やったー!」という、礼の気勢に、クレールの喝采。大樹はぼんやりとそれらを眺めていると、
「大樹!」
「うん?」
 大樹に駆け寄った礼は両手を掲げる。一方、大樹は礼の行動が飲み込めずにいたが、同じように両手を掲げると、再び、硬い快音が響いた。 


「……っ」
「心苦しいが……」
 悔しげにフィールドを殴るセルゲンの元に、アダム人形が静かにやってきた。
「この身体でできるスキルトレースは、"取得"できる実力に応じたスキルしか使えない」
「……おぉ」
 つまり、取得レベル10を越えていたから使えなかった。
 鮮やかなミスに気づいたセルゲンは、頭を抱えて項垂れるほか、無かった。



 ボールは再び、KIN-NIKチームに。
 札を外した昶も合流した完全な布陣。
「いいぜ……響かせてやろうじゃねえか、俺たちの魂の叫びをよ……!」
 ――大丈夫かなぁ……。
 と、ガッスガスと拳を打ち鳴らす昶に、先程被害を受けたばかりの礼としては懸念を抱かずにはいられなかったが、兎も角。

 ジャックが小さくボールを蹴り出すと、旭はそのまま速攻を仕掛ける。先程と同様に、グラウンドでの速攻。
「うおおおお!」
 その後ろから、旭を追いかけるように昶が爆走してきている。雄々しい人体模型の声が怖い。
 一方で、ジャックもまた、前線へと向かって疾走している。意図が読めた旭は、すかさずボールをプラトニス(?)にパス。ボールを受けた人形はしばし周囲を見渡していたが、
「うおおおお!」
 突撃してくる昶に何を思ったか、やれやれというように彼の元にパス。
「よぉし!」
「……なに、あれ」
「さあ……」
 気合充分な昶は、敵陣の困惑は気にもとめず、ゴールをまっすぐに見据えた。
「男なら直線狙い! まっすぐに曲げねぇ……それが俺の建築道! いっけェ!!!」
 全くブレない昶の、ロングキック……否、シュートが走った。
「うっそぉ!」
 遥か頭上を越えていったボールを見送るしかない礼。先ほど思考を過ぎった、まさにキックアンドラッシュ。
「くっ……!」
 慌てて追走する礼は、瞬く間に早々と諦めた鵤を追い越していく。アダムも追走するが、その彼をもたやすく追い抜いていくボール。鵤の「がんばってぇー」という声にも軽く絶望するが、それよりも、眼前には二人、旭とジャックがすでに走り込んでいることが問題だった。
「いくよ、サオリたん!」
「おう!」
 もはやRPをかなぐり捨てたジャックが応じた直後、ゴール前10m付近で旭とジャックが飛翔。彼らの空中戦術を迎え撃つは、クレールと大樹。
「あれは……ッ!」
 二人の姿に、大樹の声が弾んだ。
「ツインキック!」
 二人同時、それぞれ左右の脚でシュートを打たんとする神々しい姿。漫画でみたヤツだ!
「応! こうすることでボールの戦闘力は2倍にも――100倍にもなれるんだ、」
 ジャックは言いつつ、意気揚々とボールを蹴り上げようとしたところで、
「ぜ……?」
 気づいてしまった。

 飛翔しているさおりたん。勿論神々しいことこの上ない。
 だが。

 ぱんつ 見え ちゃう。

「ぬぉおおおおおお……っ!」
「さおりちゃん!? ……くっ!」
 そのままスカートを抑えてキックを辞めたジャックはコントロールを失い墜落。
「それでも……ッ!」
 切り替えて旭が狙うは、霊呪を宿した必殺シュート。
「いっっけええええええええ!」
 豪風に包まれたサッカーボール。見るからに凄まじい威力を含んだそれは、きっちりとゴールポストへ。
 しかし、クレールは既にそちらに飛び込んでいる。このゴールポストは、人形の身には小さすぎるのだ。全力で飛ばねば間に合わない。そこに。
「とぅ」
 声と共に、割って入る影があった。大樹である。どうせ痛みもそんなにないのだからと恐れることもなく剛球に身を晒した大樹であったが。

 快音と共に、視界が途絶えた。
 ――!?
 ボールへ向かって飛翔し、異世界伝統の顔面ブロックで対抗した。その結果が現状だとすれば、大樹自身の身に起こっていることは明らかだった。
 ――頭、壊れちゃった……?
 無理もない。ハンターの攻撃力で蹴り込んでいるのだから。
 暗転に身を委ねたまま、大樹はグラウンドに寝そべった。

 ―・―

「なにィ!? ……大樹さんが死んじゃった!」
 殺人形ボールを睨んだクレールは、しかし、窮地に立たされていた。大樹を屠った人形は、その衝撃で軌跡に変化が生じた。すでに飛び込んでいたクレールには、対応できようもない。
 ――はずだった。
「鉄脚ゥ……!」
 入魂と共に、ポストへ蹴り込むクレール。
「キエエエェェーーーッ!」

 でた! クレールくんの!
 ひぎ! さんかくとび!

 衝撃を推力に変えてクレールはボールへと向かって飛翔。
 そして――その手にきっちりと、ボールを掴み取る。
「やった……! って、あれ!?」
 次いで、振動と轟音。後背では、ハンターの力で蹴られたポストが大きく転倒していた。

 そこで、高く笛が鳴った。
 ――試合終了、である。



 頭部が破壊された大樹が視界を失った事が原因での中止だった。予想以上にはっちゃけ過ぎたらしい。
 アダムは人形の強度が足りなかったか、と悔しそうだった。
 色々あったが、大樹はそれなりにサッカーを楽しんだと思う。旭は死ぬんじゃないかってくらい落ち込んでいたけれど。
 それよりも、気になったのは。
「この実験、役に立ったんですか」
「ああ」
 本当かなあ、と思わなくもなかった。まあ、役になったのなら、続報もでるのだろう。
 その時に活きる何かが残ったのであれば、それでいいか、と。そんなことを思ったのだった。

依頼結果

依頼成功度大成功
面白かった! 9
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭(ka0234
    人間(蒼)|20才|男性|霊闘士
  • 師を思う、故に我あり
    役犬原 昶(ka0268
    人間(蒼)|27才|男性|霊闘士
  • 明日も元気に!
    クレール・ディンセルフ(ka0586
    人間(紅)|23才|女性|機導師
  • ノブレス・オブリージュ
    ジャック・J・グリーヴ(ka1305
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • は た ら け
    鵤(ka3319
    人間(蒼)|44才|男性|機導師
  • 蒼き星雲に祈りを込めて
    鳴沢 礼(ka4771
    人間(蒼)|15才|男性|舞刀士
  • 半折れ角
    セルゲン(ka6612
    鬼|24才|男性|霊闘士
  • 輝く星の記憶
    深守・H・大樹(ka7084
    オートマトン|30才|男性|疾影士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン ブリーフィング!
クレール・ディンセルフ(ka0586
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/12/16 18:07:17
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/12/13 20:57:18