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【郷祭】ジェオルジ村長祭


現在の状況(12月4日)
おにぎり草の名前が「まめし」に決定!
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オープニング
●村長祭、閉幕
農耕推進地域ジェオルジに点在する村の責任者が集まり、統治者・ジェオルジ一族に半年の報告を行うことから始まる村長祭もいよいよ閉幕する。
最終日となる夜祭で挨拶を終えた領主のセスト・ジェオルジ(kz0034)は、肌寒さの残る会場をひとり歩く。ここはまだ賑やかな声に包まれており、まるで終わりを感じさせない雰囲気だ。
父・ルーベンも客と共に酒を煽り、おにぎり草【まめし】の今後の展望を語っている。彼は酒で酔えない体質だが、場の空気に酔うタイプなので、今日はご機嫌で飲んでいるようだ。母・バルバラは帰郷の準備を行う各都市の商人への挨拶回りをし、姉・ルイーザはヴァリオス製の流行の服を露店をひっくり返す勢いでチェックしている。
「これは来年の春も盛り上がりそうですね」
セストがそう呟くと、背後から「そりゃそうじゃろ」と古狐が答えた。
「春は苗の出来を見て、秋の収穫を予測する。ワシにとっては重要な時期じゃからの」
声の主はヴァリオス商工会・長老会のリーダー、ダリオ・ミネッリ。その肩には小猿が行儀よく座り、セストと目が合うと右手を上げた。
「キキッ!」
「こんばんは、マンディくん。ダリオさんもお祭り、お楽しみになられましたか?」
「ああ、おかげさまでな。儲け話があるだけでも嬉しいのに、祭りまで存分に楽しめたとは、実に贅沢な話じゃな」
ペットの小猿・マンディくんも、飼い主の言葉に合わせて「うんうん」と頷く。彼もたらふく果物が食べれてご満悦のようだ。
「来年はどうなりますかね……」
「そっちが断らん限り、ワシらはまた大挙するぞ。それが嫌ならバルバラも断ってそうだが、まぁそれはないじゃろ」
これはダリオの読みが正しい。規模を拡大したジェオルジ村長祭が大成功を収めたのは周知の事実となりつつある。これをすぐに止めるというのはどう考えても愚策だ。一族揃って「次回もこの形式で」という方針は、数日前の家族会議で決まっている。
「ま、来年の春も楽しみにしとるぞ。ああ、そういえば競馬を見に行ったんだがな、ワシの若い頃を思い出したわ」
セストが意外そうな顔を向けると、ダリオがしかめっ面で「馬くらい乗れるわい!」と返す。
「魔術師協会のジルダさんもお越しでしたね」
「ああ、それ本人の前で言うなよ。あれでも変装してるつもりらしいからな……」
ダリオは「もしジルダがご機嫌斜めにでもなったら大変なことになる」と、不意に星空を見上げた。
「リアルブルーは、どの辺にあるのでしょうね」
同じく夜空を見るセストが、不意に呟いた。今回のお祭りは蒼界からの転移者であるハンターも多く参加し、折に触れて故郷の文化を感じようとしたと聞く。
「まさか、今度は……リアルブルーの食卓まで支えようって腹か?」
ダリオは驚いた様子で、セストの顔を覗きこむ。無理とまでは言わないが、さすがに厳しかろう……老人の表情からはそう読み取れた。
「ええ、お察しの通りです。全部は無理なので、できることから少しずつ。転移は仕方のないことですが、故郷への気持ちが自然と遠ざかってしまうのも、なんだか寂しいと思ったので……」
小狐はそう語った後で、最後にひとつ言い添えた。
「それに、そういう商品はよく売れそうだと思われませんか?」
これには思わず古狐も大笑い。マンディも手を叩いて喜んだ。
「くくっ、こりゃ一本取られたわ! ジェオルジの若き領主も侮れんの!」
「誰の影響かはわかりませんけどね」
セストはそう言うと、ダリオは胸を張って「まぁ、ワシのせいじゃな」と満足げに笑ってみせた。
「次も頼んだぞ、ジェオルジの領主様」
「ええ、楽しみにしていてください」
その後、ふたりは祭りが終わるまで、屋台などを練り歩いたという。
(執筆:村井朋靖)
農耕推進地域ジェオルジに点在する村の責任者が集まり、統治者・ジェオルジ一族に半年の報告を行うことから始まる村長祭もいよいよ閉幕する。
最終日となる夜祭で挨拶を終えた領主のセスト・ジェオルジ(kz0034)は、肌寒さの残る会場をひとり歩く。ここはまだ賑やかな声に包まれており、まるで終わりを感じさせない雰囲気だ。
父・ルーベンも客と共に酒を煽り、おにぎり草【まめし】の今後の展望を語っている。彼は酒で酔えない体質だが、場の空気に酔うタイプなので、今日はご機嫌で飲んでいるようだ。母・バルバラは帰郷の準備を行う各都市の商人への挨拶回りをし、姉・ルイーザはヴァリオス製の流行の服を露店をひっくり返す勢いでチェックしている。
「これは来年の春も盛り上がりそうですね」
セストがそう呟くと、背後から「そりゃそうじゃろ」と古狐が答えた。
「春は苗の出来を見て、秋の収穫を予測する。ワシにとっては重要な時期じゃからの」
声の主はヴァリオス商工会・長老会のリーダー、ダリオ・ミネッリ。その肩には小猿が行儀よく座り、セストと目が合うと右手を上げた。
「キキッ!」
「こんばんは、マンディくん。ダリオさんもお祭り、お楽しみになられましたか?」
「ああ、おかげさまでな。儲け話があるだけでも嬉しいのに、祭りまで存分に楽しめたとは、実に贅沢な話じゃな」
ペットの小猿・マンディくんも、飼い主の言葉に合わせて「うんうん」と頷く。彼もたらふく果物が食べれてご満悦のようだ。
「来年はどうなりますかね……」
「そっちが断らん限り、ワシらはまた大挙するぞ。それが嫌ならバルバラも断ってそうだが、まぁそれはないじゃろ」
これはダリオの読みが正しい。規模を拡大したジェオルジ村長祭が大成功を収めたのは周知の事実となりつつある。これをすぐに止めるというのはどう考えても愚策だ。一族揃って「次回もこの形式で」という方針は、数日前の家族会議で決まっている。
「ま、来年の春も楽しみにしとるぞ。ああ、そういえば競馬を見に行ったんだがな、ワシの若い頃を思い出したわ」
セストが意外そうな顔を向けると、ダリオがしかめっ面で「馬くらい乗れるわい!」と返す。
「魔術師協会のジルダさんもお越しでしたね」
「ああ、それ本人の前で言うなよ。あれでも変装してるつもりらしいからな……」
ダリオは「もしジルダがご機嫌斜めにでもなったら大変なことになる」と、不意に星空を見上げた。
「リアルブルーは、どの辺にあるのでしょうね」
同じく夜空を見るセストが、不意に呟いた。今回のお祭りは蒼界からの転移者であるハンターも多く参加し、折に触れて故郷の文化を感じようとしたと聞く。
「まさか、今度は……リアルブルーの食卓まで支えようって腹か?」
ダリオは驚いた様子で、セストの顔を覗きこむ。無理とまでは言わないが、さすがに厳しかろう……老人の表情からはそう読み取れた。
「ええ、お察しの通りです。全部は無理なので、できることから少しずつ。転移は仕方のないことですが、故郷への気持ちが自然と遠ざかってしまうのも、なんだか寂しいと思ったので……」
小狐はそう語った後で、最後にひとつ言い添えた。
「それに、そういう商品はよく売れそうだと思われませんか?」
これには思わず古狐も大笑い。マンディも手を叩いて喜んだ。
「くくっ、こりゃ一本取られたわ! ジェオルジの若き領主も侮れんの!」
「誰の影響かはわかりませんけどね」
セストはそう言うと、ダリオは胸を張って「まぁ、ワシのせいじゃな」と満足げに笑ってみせた。
「次も頼んだぞ、ジェオルジの領主様」
「ええ、楽しみにしていてください」
その後、ふたりは祭りが終わるまで、屋台などを練り歩いたという。
(執筆:村井朋靖)
キャラクター情報
セスト・ジェオルジ(kz0034) | |
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広大な農耕地域・ジェオルジを治める若き領主。 先代の父・ルーベンは健在で、農業研究に専念。領主としての仕事は、母・バルバラや姉・ルイーザが仕切っている。 端正な顔立ちも手伝い、パッと見の雰囲気は「無感情かつ無表情」というイメージを与えてしまいがちな少年。 |
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イラスト:ちろりるら |
ダリオ・ミネッリ | |
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ヴァリオス商工会の内部組織「長老会」のトップであり、評議会員も務める。 評議会では絶大な発言力を持つため、「同盟の旗に描かれる狐の化身」とも揶揄される。 ジェオルジ領主のセストとは、年の離れた友達のような関係。 |
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イラスト:- |