• 調査

【空の研究】北風か太陽か

マスター:紺堂 カヤ

このシナリオは3日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在3人 / 3~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/08/02 15:00
リプレイ完成予定
2018/08/14 15:00

オープニング

 じりじりと、日差しが地面を焼いていた。旅人のコートを乱暴に脱がそうとした北風、温和に脱ぐことを促した太陽、という物語があるらしいが、この強烈な暑さを思うと、むしろ乱暴に脱がせにかかっているのは太陽の方であるような気がする。
 そんな暑さの中であっても顔色を少しも変えない女が、ふたり。
 いや、ふたりのうちひとりは、黒いローブのフードをすっぽりとかぶっているため、顔色が変わっているのかどうかすらわからない。
「貴女も、強情な方ですねーえ」
 その、フードをかぶった女──アメリア・マティーナ(kz0179)がため息まじりに呟いた。もうひとりの女は、シェーラ・チェーロ。幾度となくアメリアと「空の研究所」の邪魔をし、ときには危機にも直面させた一連の事件の犯人である。
 アメリアは、彼女を捕らえて以来、小さな家に軟禁状態にて事情聴取のようなことをしているのだが、何一つとして語ろうとはしないのだった。
「なぜ、私の空の研究を邪魔してきたのか……、単独で動いていることなのか組織的なものなのか……、そして、これからどうしたいのか……。どれかひとつにでも答えてくれると、対処がしやすいのですがねーえ」
 苦笑めいたアメリアの口調にも、シェーラは穏やかに微笑むのみ。その微笑みは、何かを悟っているように、いや、諦めているように見えた。
「一連の行為に関する物的証拠がない以上、警邏に引き渡してもあまり意味はありませんし、権限の問題上、私が自分で貴女を罰することも出来はしません。そもそも、そんなことは望みませんしねーえ。私としては、今すぐにでも貴女を解放したいと思っているのですよーお。しかし、解放したはいいがまた研究の邪魔をされるようでは困りますからねーえ。もう二度と、私と研究所には関わらない、という約束が、欲しいのですよーお」
 そう、アメリアにとってシェーラが「邪魔をした理由」「邪魔をした結果得たかったもの」な何であるかということは、特に重要ではないし、特別知りたいとも思っていない。ただ、自分がこの先進めていく研究、この先王国のために役に立とうとする活動の邪魔をする行為がなくなればそれでいいのだ。
「……困りましたねーえ。このままここに留め置くわけにもいきませんしねーえ」
 シェーラをここに置く限り、研究員のキランや職員のスバルは彼女の監視をし続けねばならないことになり、本来の研究や業務が滞る。それはいうまでもなく「空の研究所」全体のマイナスに繋がるのだ。
「困りましたねーえ」
 アメリアはもう一度呟いて、大きなため息をついたのだった。



「で、どうするんだ?」
 キランがアメリアを半眼で見据えた。スバルと交代でシェーラの監視に当たっている彼は、予想以上に長引くこの状態に疲れ切っていた。監視、という決して気持ちよくできるわけではないことをさせられているのに加え、自分の研究が進まないことが大きくストレスになっているのである。
「仕方がありませんから、シェーラのことを徹底的に調べようと思います」
 アメリアは乗り気がしない心情を隠そうともしない声で言った。何を考えているかよくわからないと言われる彼女にとって、これはとても珍しいことではある。
「ほう?」
「別に知りたくはありませんが、私と会わなくなってからのシェーラがどのように生きてきて、どんな考えでこの一連の行動を起こしたのか、それを私が自分で調べ、知らなければこの件は解決しないと思うのですよーお」
「シェーラは話してくれそうにないからなあ」
「話したくない、というのは知ってほしくなはい、とイコールではないということですねーえ。……面倒な人です」
「は?」
「まあ、キランにはわからないでしょうねーえ。私も理解はできません」
 アメリアは肩をすくめた。キランは釈然としない様子で顔をしかめていたが、ふと思いついたように目を見開いた。
「なあ、シェーラのことを調べるってことはお前……」
「ええ。母の故郷に行かねばならないでしょうねーえ。……チェーロ家に」



 アメリアは、「空の研究所」の地下にある書庫「紙の階」にひとりたたずんでいた。手には、端々が擦り切れている古いノート。
「……どうか、許してくださいねーえ、お母さま」
 小さな小さなその呟きは、誰にも拾われることなく書物の間をすり抜けていった。

解説

■成功条件
シェーラ・チェーロが「空の研究所」を付け狙い、邪魔をしてきた理由を探り出す。
(理由以外の情報をプラスで得られた場合は大成功となります)


■調査範囲
シェーラの生家「チェーロ家」、およびチェーロ家がある村全体。
村は民家四十軒、商店(飲食店を含む)十五軒、病院、学校、村役場、噴水広場、農地で構成されている。
このうち、チェーロ家に特にかかわりが深いのは隣近所の数軒と、学校。
穏やかな村だが、変化を嫌う風潮が強く、旅人や転入者には敏感に反応する。


■チェーロ家
シェーラの生家。および、アメリアの母の生家。
アメリアの母と、シェーラの父が兄妹であり、アメリアとシェーラは従妹同士。
(アメリアは、シェーラと自分が従妹であることは理解しているが、母の兄弟関係についてあまり把握しておらず、シェーラの両親についての知識はないに乏しい)
学者や教師、研究者などを多く輩出するインテリ一族で、村では村長よりも発言力を持つ。
多くの使用人がおり、使用人の中には堅苦しいチェーロ家の人々に嫌気がさしている者もいる。
アメリアの母は、結婚を機にこの家を出たが、アメリアが幼いころにはまだ交流があった。あるとき何らかの理由で交流を断つことになったらしいが……。


■今回の調査でのアメリアの立ち位置
村までは同行するが、チェーロ家周辺には近づかない。
聞き込みなどの調査は基本的にはハンターたちに任せるつもりでいる。
ハンターたちが集めてきた情報をもとに、結論を導き出すつもりでいるようだが……。

~アメリアより~
「チェーロ家から情報を引き出せなかった場合、奥の手を持っていますので私のところへ来てください。……できれば使いたくはない手なので、皆様には頑張っていただきたいですがねーえ」

※質問には回答可能な範囲でアメリアが対応いたします。質問内容によってははぐらかされるかもしれません。

マスターより

「空の研究」が長らく悩まされてきた問題が、いよいよ解決の方向へ……?……解決の方向へ……、向かうかどうかは皆さま次第というところになっております、よろしくお願いいたします!
「誰から」「どんな情報を」聞き出すのか、がポイントになってくるかと思いますので、対策を練ってみてください!
自分の過去に関わる可能性もあるため、今回アメリアはかなり口が重くなっているようですので、彼女にどう絡んでいくかも重要になるかもしれません。

関連NPC

  • 空の研究者
    アメリア・マティーナ(kz0179
    人間(クリムゾンウェスト)|25才|女性|魔術師(マギステル)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/08/08 08:14

参加者一覧

  • 黎明の星明かり
    マチルダ・スカルラッティ(ka4172
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
レイア・アローネ(ka4082
人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/08/01 19:51:23
アイコン 質問卓
ボルディア・コンフラムス(ka0796
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2018/08/01 18:19:25
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/08/01 08:29:28