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  • 日常

【空蒼】少女たちとハンター

マスター:きりん

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/10/11 07:30
リプレイ完成予定
2018/10/20 07:30

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

●美紅という少女
 イクシード・アプリをインストールした多くの人間は、暴走という結果を迎えた。
 結局イクシード・アプリはハンターになれるという謳い文句通りのものではなく、全く逆の、契約者、つまり強化人間と同じ存在になってしまう最悪の代物だった。
 地球防衛軍の強化人間たちの中にも、暴走者は多く出た。分母に圧倒的な差があるイクシード・アプリの使用者は語るまでもない。
 暴走してハンターたちに取り押さえられた彼らは、強化人間、アプリ使用者に関わらず全員月に送られたという。
 テレビやラジオなどで断片的に伝わってくる情報によると、月の崑崙基地には暴走を防ぐ結界が張られ、絶対に暴走することがないのだとか。
(……でも、私は暴走していない。今まで、その予兆もない。……とはいえ、これからはどうか、分からない。でも、そうなったらそうなったで死ねばいい。自殺が駄目でも、殺されればいい。最後の手段だけど)
 美紅の意識は正常だ。暴走する前に死んでしまえばいいと、本気でそう考えている。
 適応したのは、美紅自身が元より獲得していた性格によるものかもしれない。
 あるがままを受け入れる心。
 こんなはずではなかった、とは思わない。
 力を得るなんて、本来簡単なことではないのだ。
 ハンターになる儀式だって、単純なものではあるまい。
 多くの時間と労力と時間、そして人の手間をかけて行われるもののはずだ。
 それらを省略するのなら、相応の代償を求められるのは当然のこと。
 美紅にとってはそれが「実は自分がなったのがハンターではなく強化人間だった」というだけであり、事実が判明してからも、「ああ、そういうことか」と納得してしまえるものに過ぎなかった。
 早い話が、自業自得なのだ。全て。
「今日は、襲撃が多いわね……。まあ、何度繰り返そうが結果は変わらない。年貢の納め時ね、あなたたちも。……聞く耳は、残ってないでしょうけど」
 だからこそ、美紅は自分たちがいる避難所を守る強化人間兵たちに交じって戦っている。
 当然、彼らも暴走せず現状に適応した、いわゆる適正が高い者たちだ。
 対するは暴走者たち。
「死ねえええええええ!」
「がああああああああ!」
「もう地球は終わりなんだから、全部ぶっ壊しちまえばいいんだよおおおおおおおお!」
 狂乱状態で殺戮に酔い痴れる者。
 理性が吹き飛びまともな会話ができない者。
 あらゆる物事が無価値に堕し、とにかく何かを破壊できればそれでいい者。
 精神が破壊されもはや元に戻れなくなるくらい深刻な暴走状態にまで進んでしまった暴走者たち。
 そして、それ以外にも襲撃してくる存在として、VOIDが混じっている。
 どういうわけか、VOIDは暴走者たちを襲うことはない。
 まとめて、避難所を守る強化人間たちと美紅によって倒されていく。
 強化人間と同じ装備を貸し与えられ、さらに強化人間たちの戦い方を見て、そして実際に戦って学習し、美紅はその適正を開花させていた。
「ここには、家族も、友達も、冴子もいる。……あなたたちの自由にはさせないわ」
 美紅が振るうセラミックソードが暴走者一人を昏倒させ、さらに背中にマウントした銃器からアサルトライフルを選んで抜き放ち、近付かれると危険なVOIDたちを銃撃して牽制する。
 結局は付け焼刃でしかない美紅の腕では銃撃の命中率が落ちるものの、相手の足を止める威嚇手段としては申し分ない。VOIDが怯んでいる隙に、他の強化人間たちがケリをつけてくれた。
 それに、どうせ敵の数は多いのだ。目標から逸れても、また別の目標に当たるだけである。
 強化人間たちと協力して襲撃を凌ぎ切るまで、美紅は戦い続けた。

●冴子という少女
 ──自分は本当に、ずっと守られるままの存在でいいのか?
 それは、学校がVOIDの群れに襲撃された時から、冴子がずっと考えてきたことだった。
 戦う手段はある。アプリをインストールすればいい。
 もちろんそれは愚かな選択だ。後戻りはできないし、暴走してかえって事態を悪化させる可能性の方が高い。
 でも、何もできない己が歯がゆいのだ。
 暴走者たちの襲撃を撃退し、美紅が避難所の中に戻ってきた。
「美紅……。強化人間の人たちは?」
「引き続き警戒中。私は一応民間人だから、また襲撃があるまでは休んでいてくれだって」
「ごめんね……。ずっと、美紅に任せっきりで。美紅だって、自分のことで辛いはずなのに」
「気に病むことないよ。私がアプリをインストールしたのは、私の意志だし。確かに騙されていた部分はあったけどさ。それで誰かを恨んだりはしないよ」
「強いんだね、美紅は……」
 驚いたように冴子を見た美紅は、ふっと表情を穏やかなものに変える。
「別に、強くはないよ。騙された結果、失ってばかりで何も得られなかったら、私も平静じゃいられなかったと思うし。でも、冴子と友達になれたから。うん、これはアプリのおかげって認定してもいい事柄かな。私、ずっと竜造寺さんと友達になりたかったんだ」
 最近の日々が濃厚過ぎて、懐かしさすら感じる苗字呼びに、冴子が目を丸くする。
「そういえば、呼び方……」
「アプリが広まる前は、友達でも何でもない関係だったよね。竜造寺さんは委員長で皆に一目置かれて頼りにされてて、私はクラスで影が薄くて、友達もあまりいなくて。だから、そんなあなたに憧れてた。あなたみたいになりたいってずっと思ってた」
「そっか……。じゃあ、憧れを壊しちゃったね。だって、現実の私は、皆を見捨てて逃げ回るような女だもの……。実際は逆だわ」
「今の私だって、アプリあってのものだよ。それに、ハンターの人だっていってたじゃない。その選択を誇るべきだって。私はぶら下がっていた安易な選択に逃げた。冴子は逃げなかった。それって、凄いことだと思う」
 冴子は頷けなかった。
 美紅の変化は、リスクあってのものだ。つまり、正当な理由がある。
 でも冴子は違う。リスクから逃げて、負債を他人に押し付けた卑怯者。美紅の方が、自分よりもずっと凄い。
 本気で冴子はそう思う。
「そういえば、今度ハンターたちが応援に来てくれるんだってさ。強化人間たちが話してるの、聞いちゃった」
「えっ? どうして? 月でも大きな作戦があって、ハンターたちはそっちに行くって聞いたけど」
 切り出した美紅の話が意外で、冴子は身を乗り出す。
「防衛戦力が私たちだけだと、どうしても暴走する可能性を考えると不安だから、もしもの時のためにハンターをつけるみたい。まあ、当然よね」
「そっか……。ハンターと、また会えるんだ……」
 自然と冴子の表情が綻ぶ。期待で頬を染める様子は、まるで恋する乙女のようだ。
「いっぱい、お話できるといいね」
 気が上向いた様子の親友に、美紅の表情も柔らかくなった。

解説

●概要
 日常シナリオです。
 今もなお各地の避難所では散発的な暴走者とVOIDたちの襲撃が起きていますが、本シナリオでそれが描かれることはありません。戦闘の合間に訪れた空白の時間を利用して、NPCたちと友好を深めてください。
 バリケードの破損など設備関係のトラブルがあったり、待遇の違いから避難民同士で喧嘩が起きているようです。そういう場面に出くわした場合はハンターたちで解決に導くといいでしょう。

●達成条件
・NPCたちと友好を深める

●避難所について
 周りが堅牢なバリケードで覆われた避難所です。
 元々は中学校で、四階建て校舎と体育館、プール、グラウンドなど、一般的な学校としての設備が一通り揃っています。もちろん災害備蓄倉庫などもあります。
 電気は止まっていますが、ガソリンで動く小型の発電機があり、避難民が寝泊まりする体育館の暖房など、最低限の電気をそれで賄っています。
 物資は基本的にカツカツです。
 特に食べ物は節約を余儀なくされ、避難民は配られる食料が少ないことに不満を覚えている者が多く、リアルブルー全体の情勢も相まって悲観的になるあまり自暴自棄になりもめごとを起こす者も出てきているようです。

●NPC
○冴子、美紅……一般人とアプリ使用者のコンビ。冴子は自分にできることを探しています。美紅の戦闘力は強化人間に劣らないくらい、かなり高くなっています。二人とも校舎で寝泊まりしています。
○強化人間……三十名ほど。避難所を守るために戦う強化人間たちです。状態が安定しており暴走する可能性が低い人員で構成されています。全員校舎で寝泊まりしています。
○その他避難民……百名ほど。老若男女。トラブル多し。大部分は体育館に寝泊まりしていますが、入りきれない一部の人間が校舎に寝泊まりしており不満を漏らしています。また、強化人間に対し偏見を抱いている者もいるようです。

マスターより

初めまして、こんにちは。
マスターのきりんです。
今回のシナリオは【空蒼】連動となります。
彼らの日常を眺め、問題があれば解決に導いてください。
美紅に対しては稽古をつけることができます。
冴子に対してはできることを提案できます。
強化人間たちに対しては、避難所のバリケード補修を手伝うことができます。
避難民たちに対しては、彼らの嘆願を聞いて解決を試みることが可能です。
嘆願される可能性があるのは、『校舎で寝泊まりするのは寒い』『配給される食べ物が少ない』『暴走されたら怖いから強化人間を遠ざけてくれ』などです。
全部を行う必要はありませんので、各自好きな行動を選んでください。
それでは楽しんでくださいね。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/10/12 19:22

参加者一覧

  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • エクラの御使い
    アティ(ka2729
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
    人間(蒼)|30才|女性|機導師
  • うら若き総帥の比翼
    ひりょ・ムーンリーフ(ka3744
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • 元凶の白い悪魔
    マーゴット(ka5022
    人間(蒼)|18才|女性|舞刀士
  • 拳で語る男
    輝羽・零次(ka5974
    人間(蒼)|17才|男性|格闘士
  • 怪異の芯を掴みし者
    霧島 百舌鳥(ka6287
    鬼|23才|男性|霊闘士
  • 絆を紡ぐ少女
    蓬(ka7311
    人間(蒼)|13才|女性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
人間(リアルブルー)|30才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2018/10/10 07:51:44
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/10/07 08:29:45