• 調査

黄金の滝

マスター:サトー

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在10人 / 4~10人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
プレイング締切
2015/01/06 19:00
リプレイ完成予定
2015/01/15 19:00

オープニング

 嘘吐きは泥棒の始まり、と言うらしい。
 それが本当なら、私の家族は皆、泥棒ということになる――。


「依頼を受けて下さり、ありがとうございます」
 頭を下げたのは、二十代前半と見られる金髪の女性。
「私はカルパと言います。よろしくお願いします」
 頭を下げた拍子にずれた眼鏡を直し、カルパはハンター達を見つめる。冬場だというのに身動きの取りやすい軽装は、急いで準備をしてきたのか生来の気質なのか、皺くちゃで身だしなみがちょっとだらしなく見える。
「依頼内容は既に伺っているかと思いますが、念のため確認しておきますね」
 言って、カルパは手短に纏めた資料をハンター達に手渡す。
「まずは概要です」
 資料にある簡素な地図を示し、カルパは説明を始めた。
 向かう先は森の中。目的は黄金の滝の発見。そして、その辺りに生息している雑魔達の情報。
 見るからにか弱そうなカルパの護衛。それが、今回ハンター達に求められていることだ。
 黄金の滝とは、と問うハンターに、カルパは悲しそうな、寂しそうな、複雑な表情をした。
「これは、話すと長いのですが――」
 カルパは、自身の平らな胸に手を当てて、長い長い物語を編み始めた。


●独白

「黄金の滝を見つけたんだ!」
 父がそう語ったのは、今から十年ほど前のこと。
 生物学者をしていた父が、寒い冬場の調査から帰って来たときの第一声がそれだった。カルパの髪のように綺麗なんだ、と興奮したように話す父の顔は、今でも鮮明に覚えている。 
 その森自体、多種多様な生物が生息しており、等しく通常よりもサイズが大きい。
 色鮮やかなアゲハ蝶、毒々しい大蛇、銀色の鯉、真っ青なザリガニ、黒々とした鹿、雪よりも白いサギ、嘴の鋭いワシ、真っ赤な蛙などなど、魅力溢れる生物が沢山生息しているそうな。中でも、その滝の輝きは別格だった。
 日も落ちかけ、調査を終了しさあ帰ろうかという頃合い、ふと遠く見上げた視線の先に、それが見えたという。西日が差す滝は黄金色にきらきらと輝き、何かに追い立てられるように飛び立った白鷺たちが滝の向こうへ消えていく。
 身軽さを重視していたのと、単独での調査が仇となった。食料も残り少なく、日暮れも間近だったため、已む無くそのまま帰還した父は、すぐさま再度の大々的な調査を町の顔役に提案した。
 調査隊が編成されたのは半年後のこと。みな、意気揚々と現地へ向かった。そして――、何も発見することなく帰って来た。
 父は糾弾された。名をあげたいが為の虚偽報告を行った、と。
 町中の人間は、父を「嘘吐き」呼ばわりした。目立ちたがりの卑怯者、と。
 私たち一家は肩身の狭い思いをして暮らすことになった。
 それでも、家族の誰も、父のことを疑ってはいなかった。父を庇う私たちも「嘘吐き」と呼ばれようとも。
 半年後、父は家を出た。絶対に黄金の滝はあるのだと言って。
 一ヶ月がたっても、父は帰らなかった。
 更に半年後、十歳上の兄が家を出た。父さんの汚名をすすぐのだと言って。
 二ヶ月がたっても、兄は帰らなかった。
 一年後、母がこの世を去った。
 積もり積もった心労が原因だった。
 残された私と五歳上の兄は、二人で町を移り、細々と新たな生活を始めた。
 それから六年、私が二十歳になったのを機に、兄は家を出て行った。皆の無念を晴らすのだと言って……。
 一人になってから一年がたち、兄の便りを聞くことも無く、私はハンターらに依頼した。あの場所の調査を。 
 ハンターの調査では、最近になって多少雑魔が生息しているようだとのこと。
 遺体らしきものは一切見つからなかった。
 それが一月前のこと――。



「――経緯はそんなところです……」
 カルパは曇った眼鏡を服で拭く。
「さて、現在確認されている雑魔は、白鷺、黄色の蝶、植物型の三種類。
 全て元々生息していたものが、最近になって雑魔化したようです」
 それぞれの特徴を記した報告書を、ハンター達は眺める。
「雑魔はいずれも、こちらから生息する領域に接近するまでは特に襲いかかってくることは無いそうですが、調査である以上、それなりに動き回らねばなりませんし、雑魔もじっとしているわけではないでしょうから」
 遭遇すれば、当然戦闘は避けられないだろう。その為の護衛なのである。
「話が長くなりましたね」
 カルパは、これから探索する森の方の空を眺めやる。
 日が照っているお陰で、思ったほど寒くは無さそうだ。夜間も同様とは言えないかもしれないが。できれば後四日、晴れの日が続いてくれればありがたい。
「雪が降っていないのは幸いです。それでは、行きましょうか」
 そう言って、カルパは森の中へ足を踏み入れた。

解説

目的:
 カルパの護衛。


状況:
 調査は往復3,4日の予定。その間は野宿。
 道らしい道は無い。食料は簡単なものは用意済。
 火や煙、匂いで雑魔が寄ってくるなどの心配は不要。
 カルパ父が語っていた現地へは、2日後の昼に着く予定。

※天候はPL情報
 1日目(晴)2日目(曇、夜から雨)3日目(午後3時頃まで雨のち晴)4日目(曇)。


雑魔:全て弱い。
 白鷺―2匹の番。通常と変わらぬ大きさ。河川付近に生息。突っつき。
 黄蝶―2,3匹で行動。1mほど。鱗粉で幻惑させ、位置感覚を鈍らせ同士討ちを誘う。動きは鈍い。
 植物―単独行動。1~2mほど。通常の植物に擬態している。蔦で獲物を締め上げる。罠を仕掛けているケースもある。


地図

■■■□
■■■□□◎□□□□□□□□□□□□
■■草○○○○○草■■■■■■■■■
■■草草○○○草草■■■■■■■■■
■■■草草○草草■■■■■■■■■■    北
■■■■■川川■■■■■■■■■■■   西 東
■■■■■■川■■■■■■■■■■■    南
■■■■■■川川川川■■■■■■■■
■■■■■■■■■川川川■■■■■■
■■■■■■■■■■■川川川川■■■
■■■■■■■■■■■■■■川川■■
■■■■■■■■■■■■■■☆川■■
■■■■■■■■■■■■■■■川■■
■■■■■■■■■■■■■■■川■■

□:崖(凹凸は沢山。多少時間はかかるが登ることも可能)
■:木(常緑針葉樹林。高さ5,6m)。密度は様々。火を熾せる程度の広さがある場所もある。
◎:滝(高さ10m。三段の階段状で夫々に緩やかな傾斜になっている)
○:湖
川:流れそこそこ。深度、1m~2m。水質は澄んでおり鯉の群れが随所に見える。
☆:カルパ父が黄金の滝を見た地点(☆から◎までの距離は、直線距離で約300m)

※カルパ一行は南から北上していきます。
 覚醒回数は日の変わるタイミングで回復。スキル回数はシナリオ中回復しません。

マスターより

こんばんは、サトーです。
今回の依頼の成否は、調査期間中の護衛の成功で普通。黄金の滝の発見で成功となります。
ある程度条件が揃わないと発見することは叶わないので、発見したい場合はタイミングを見極めましょう。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/01/10 12:11

参加者一覧

  • 大王の鉄槌
    ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271
    人間(紅)|12才|女性|闘狩人
  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 飽くなき探求者
    久延毘 大二郎(ka1771
    人間(蒼)|22才|男性|魔術師
  • 黒の懐刀
    誠堂 匠(ka2876
    人間(蒼)|25才|男性|疾影士
  • 海と風の娘
    ステラ・ブルマーレ(ka3014
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 幻獣王のライバル
    ロジェ・オデュロー(ka3586
    エルフ|14才|男性|魔術師
  • 黒の騎士
    ジーク・ヴュラード(ka3589
    人間(紅)|21才|男性|闘狩人

  • ザザ(ka3765
    人間(紅)|24才|男性|霊闘士
  • 不撓の森人
    リュカ(ka3828
    エルフ|27才|女性|霊闘士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
久延毘 大二郎(ka1771
人間(リアルブルー)|22才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/01/06 13:06:58
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/04 20:21:16