• 調査

家族の仇を討つために

マスター:秋月雅哉

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
サポート
現在0人 / 0~10人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/01/12 19:00
リプレイ完成予定
2015/01/21 19:00

オープニング

「お兄ちゃん、本当に怖くないの?」
「嘘なんかつかないよ! 俺、前から知ってたんだ!」
 山の奥深く、村の大人達も近づかない不思議な場所があった。
 そこはまるでリアルブルーの景色を丸ごと切り取って貼り付けたような、古ぼけた鳥居の並ぶ小さな神社。
 村人達は以前からその場所を気味悪がり近づこうとしなかったし、子供達にもそれを徹底していた。
 実際そこは狐が変貌した雑魔の根城であり、それをハンター達が討伐したのが少し前の事。そしてその狐が元は精霊であり、精霊と共に神社で暮らしていた覚醒者、小夜子の存在が明らかになったのはごく最近の事だ。
「動物を撫でる手つきがとっても優しそうだったし、お化けじゃないよ、あの人」
「なんで神社に一人でいるの?」
「そりゃ、わかんないけどさ……」
 狐面で顔を覆った異世界の風貌に村の大人達はやはり不気味さを感じているようだった。しかし子供達にとっては別。
「動物も自分から近づいて行ってたし。あの人は悪い人じゃないよ」
 鳥居の影から見た女は、精霊と寄り添いただ静かに時を過ごしていた。その姿を美しく感じる事はあっても、大人達が遠ざけたがる理由は理解できなかった。
「お父さん達も説明すればわかってくれる。だから村に連れて行くんだ」
 その時、幼い兄妹の足が止まった。二人の目の前に大きな鹿が立ち塞がったのだ。
 その目は正気を失い、威嚇するように前足を振り上げている。震える妹を庇う少年へ鹿が突進しようとしたその時、氷を研ぐような鋭い音が響いた。
 抜刀と同時に鹿を切り裂いたのは大人達が気味悪がっていた女であった。鹿が倒れるのを確認し、女は切っ先の血を振り払う。
「こんな所にまで……。村に降りるのは時間の問題か」
「あ、あの……」
「去れ。そしてこの山には近づくな。心配せずとも事は私一人で片付けよう。春の息吹を感じる頃には、森も元に戻っている筈だ」
 刃を鞘に納め、女は振り返らずに立ち去っていく。兄妹は礼も言い出せぬまま、その背中をじっと見つめていた。

 ――この山に一人転移してからどれ程の月日が流れただろう。
 この地の事ならばなんでも知っている。春も夏も秋も冬も。それらの時のめぐりを眺める他に、時を紛らす方法もなかった。
 そう、だから知っている。この山には既に放棄された、何時の時代の物かもわからぬ廃墟があり、“敵”が根城にするとしたらそこしかないという事も。
 冬の山には雪が降り始めていた。面から漏れ出す息は白く空に昇り、帰らぬ日々を過ぎらせる。
 右も左もわからぬ異世界で、ただ“力”だけを求める人々の目の中を逃げるように駆け込んだ山の中で、小夜子は一人その身の不幸を呪い続けた。
 故郷に帰れる目処はなく。異界の人間と共存する方法もわからない。山の中を彷徨い、ただ生を繋ぐ為だけの日々。
 そんな時だ。ちょうどこんな雪の降る寒い日の事だった。狐の精霊が姿を見せ、二人が共存するようになったのは。
 言葉は交わせなかったが、逆にそれが心地よかった。小夜子は口数の多い人間ではなかったから。
 精霊だろうがなんだろうが、一人ではないというだけで救われた。山はただ糧を得るためだけの土塊ではなく、色鮮やかな庭に変わった。
 あんな日々がずっと続けばいいと思っていた。しかしささやかな願いは、あっさりと打ち砕かれてしまった……。

「貴方が人を憎み、殺してくれれば手間が省けたのですがね。まさかなれ合いに走るとは……」
 半分崩れかけた廃墟には空から雪が入り込む。その奥にある暗がりに小夜子は目を凝らす。
「折角貴方の家族を私の力で雑魔に変えて憎しみを煽ったというのに殺し合いが起きないとは、ね。
 まぁ、それはいいでしょう。神霊樹の分樹……若木が貴方のよくいる、祠の奥にあるそうですね。この地は動物をすべて雑魔化して剣妃オルクス様に捧げさせて頂きます。
 若木とはいえ神霊樹があるなら色々と使いどころがありそうですからね」
「その案をはいそうですかと聞かなければいけない理由はないな。……貴様を倒す理由が腐るほどあるのは理解したが」
 大切な者を失ったこの山にもう未練はない。だがけじめはきちんとつけなければならない。
 雑魔と化した家族を討つことを恐れてこの地から離れた。だがきっと家族だった狐は自分の手でその苦しみを終わらせてほしいと願っていたに違いない。
 そんな弱さもここで終わりにしよう。誰かの助けを待つのでも、不幸を呪うのでもなく、今度こそ自分の手で。
「つれないお方だ……交渉決裂、ですね。自分を殺す相手の名前くらいは知っておきたいでしょう。私の名はラキエル。では死になさい」
 ラキエルが西洋剣を、小夜子が日本刀を構える。敵意を面で隠し、小夜子は友の為に戦いへ挑む。

「どうもね、結構ややこしいことになってるみたいでね。剣妃オルクスの手先がこの間和解した……小夜子、だっけ。あの人の住んでる山の動物にちょっかい出してるみたいで。
 そこかしこで動物が雑魔化してるんだよね。そのうち一体は彼女が討伐して村人を救ってくれたんだけど、自分が何とかするから、の一点張りらしくて。
 命の恩人でもあるし、でもまだ本当に味方かはわからないし、何より数が多いし。
 そんなわけで雑魔討伐と小夜子の救出をお願いしたいんだ。
 雑魔は山に住んでる鹿とか狼とか熊とか。大型だったり攻撃力に秀でるものだったりするのが十体前後。もしかするともっと増えてるかもしれない。
 小夜子の方はねぇ……居場所がはっきり掴めてないから討伐しながら、討ち漏らしがないか確認。その合間に探してもらうってことになるのかな。
 ちょっとやることが多くて大変なんだけどこれだけ雑魔が同時に大量発生してるとなると原因の歪虚と接触するチャンスになるかもしれない。
 山の中をあっちこっち移動するのは骨だろうけどさ、歪虚の足取りを掴むためにもぜひお願いするよ」

解説

山に住まう動物で雑魔化してしまった存在十数体の討伐と小夜子の救出が成功条件になります。
小夜子は山のどこかにある半分崩れた廃墟で剣妃オルクスの手先の歪虚、ラキエルと戦っています。
今回ラキエルとの戦闘は発生しませんので雑魔の討伐、小夜子の探索を主行動として行ってください。

マスターより

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
小夜子がなんだか特攻をしているようなのでクールダウンさせてあげてください。

関連NPC

  • ダークマターの生成者
    ルカ・シュバルツエンド(kz0073
    人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|機導師(アルケミスト)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/01/13 02:23

参加者一覧

  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 大王の鉄槌
    ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271
    人間(紅)|12才|女性|闘狩人
  • 凶獣の狙撃手
    シルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338
    人間(蒼)|14才|女性|猟撃士

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 守る物・失う物
    武神 守悟(ka3517
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士

  • 月護 紫苑(ka3827
    人間(蒼)|15才|女性|聖導士
  • 雪を護る者
    スノウ・ウァレンティヌス(ka3852
    人間(紅)|12才|女性|霊闘士
依頼相談掲示板
アイコン 作戦相談卓
夢路 まよい(ka1328
人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/01/12 09:40:12
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/09 17:52:27