• 無し

アンナの訓練日誌

マスター:のどか

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/03/13 22:00
リプレイ完成予定
2015/03/22 22:00

オープニング

「アンナ=リーナ・エスト曹長、帰還いたしました」
 極彩色の街・ヴァリオスにある同盟軍本部の執務室で、アンナは眼前のデスクに着いた自らの上司にびしりと敬礼を示していた。
「ああ、ご苦労。なかなか大変だったようだな」
「いえ、大佐が手配して下さったハンター達のお陰で、無事に任務を終える事ができました」
 アンナがそう言うと、大佐は「それは良かった」と頷いて、イスに深く座り直した。
「戻ったところ早速で悪いが、曹長に1つ指令だ」
「はっ」
「おめでとう、キミに部下を付ける事になった」
「部下……ですか?」
 若干戸惑い気味のアンナを前に、大佐は3つの書類をデスクに広げ、彼女へと示してみせる。
「ここ最近、歪虚の動きが活発になっているのは曹長も知る所だろうと思う。災厄の十三魔の話も増えてきた。同盟軍もヤツらに対して傍観という訳にも行かない。少しずつでも、戦力の補強を進めなければならない」
「……訓練上がり、ですか」
 書類にざっと眼を通したアンナは、そう静かに呟いた。
 3つの書類にはそれぞれ別々の兵士のプロフィールや訓練成績が記されて居る。
 どれも、ここ最近に基礎訓練を終えたばかりの『新兵』達であった。
「とても優秀な子達だよ。まだ若いが、訓練記録も目を見張るものでね。上は早いところ、彼らを使い物にしたいようだ」
「なるほど、現場教育を兼ねてという事ですね」
「まぁ……その……そう言うことだ、うん」
 アンナの問いに、大佐はどこか口ごもるように答える。
「……大佐、『今度』は何が?」
「いや、別に何も無いんだ。本当だ」
 詰め寄られ、慌てて取り繕うも、アンナのじっとりとした視線に大佐は思わず目を逸らした。
 それを肯定と捉えたアンナは、もう一度新兵達の資料へと目を落とす。
「――バン・ブラージ、18歳。模擬戦成績1位。負け無しの大物ルーキー」
 そう口にしてから、確認を求めるように大佐の目を見据える。
 暫くの沈黙が流れた後、大佐は観念したように口を開いた。
「腕は確かなんだろうが、大剣を重さに任せて振り回す事しか知らなくてな……その成績も勢いによる所が大きい」
 そう、手を振りながら答える大佐を他所に、アンナは次の資料を読み上げる。
「ピーノ・ガルディーニ、19歳。頭脳明晰で身体能力も申し分ないオールラウンダー」
「だが、どれも突き抜けた能力は持っていない。そのうえ、自分の策や力を過信している所がある」
 アンナはなるほど、と頷くと次の資料を捲る。
「フィオーレ・スコッティ軍曹、18歳。優秀な狙撃手で、唯一階級を受け本隊入り」
「可愛いだろう、ウチの娘だ」
「残念ながら、似顔絵は付いておりません」
「そうか……」
 ひどく残念そうな大佐を一蹴しながら、アンナは言葉を続ける。
「で、この子はどのような問題を?」
「問題と言うな……人望が高く、同期の者達から慕われやすいようでね。模擬戦等の成績も良いんだが、被弾率も低い。おそらく、模擬戦の標的にされて居なかったんじゃないかと思っている。ほら、可愛いから」
 その言葉の何割が親馬鹿で盛ってあるのか分からないが、アンナは一通り話を聞き終えて、資料を閉じてその手に携えた。
「……私でどのくらいお役に立てるか分かりませんが、力は尽くします」
「ああ、頼んだ。方法は曹長に任せる。健闘を祈る」
 そう言って他人事のように敬礼する大佐に、アンナはため息混じりに敬礼で答えていた。
 
 その翌日、初めての訓練の日。
 訓練場にアンナを含む4人が、向かい合うように立ち並んでいた。
「今日からあなた達を預かる事となった、アンナ=リーナ・エスト曹長だ。よろしく頼む」
 そう礼を示すアンナに、3人は訓練校で習ったのだろう、形式ばかりの敬礼を示すとすぐにだらりとその体勢を崩した。
「曹長? そんなんで模擬戦で負け無しのオレの上司が務まるのかねぇ……せめて少佐とか中佐とか、その辺りが妥当じゃねぇの?」
 流石に面と向かってアンナに向けた言葉では無いのだろうが、あからさまに不満を漏らす青髪の少年。
 背負う大剣が特徴的な、バン。
「自分は何時でも戦場に出れますよ。これ以上の訓練など不要です」
 ビシリと、規律正しい姿で立ちながら眼鏡を正す少年。
 その過信に近い自信からそうであろう、ピーノ。
「同じ女の人なら分かってくれると思うけど~、髪が痛んじゃうから海辺の任務にだけは出さないで下さいね~?」
 どこか間延びした口調でウェーブがかったひらひらした髪を指先で弄ぶ少女。
 唯一の階級持ち、フィオーレ軍曹。
「しかし、何故チームなんて組まされて居るんだ。僕は一人の方が動きやすいのに」
「それは俺の台詞だ。お前みたいなモヤシ野郎、前線じゃ邪魔なんだよ」
「それを言うならば、君のそのムダにでかい剣のほうが邪魔だと思わないか?」
 ピーノの一言に食って掛かるように噛み付くバン。
 それにさらにピーノが嫌味交じりに返すものだから、二人の間に火花が散るのにそう時間は必要無い。
「私はただ後ろで撃ってれば当たるから、前は適当にお願いね~」
 そんな2人の喧嘩に全く興味が無い様子で、相変わらず髪の手入れに入念なフィオーレ。
「なるほど……こういう子達か」
 第一印象と資料とを照らし合わせて、アンナは確信めいたように頷いた。
「話を聞け。今日は模擬戦を行ってもらう」
 そう言ったアンナの言葉に、一番に反応したのはバン。
「ははん、俺の独壇場じゃねぇか。相手はどこの隊だ? それともアンタが相手してくれんのか?」
 そのバンの言葉にアンナは静かに首を振ると、彼女の後ろに控える人影を指し示す。
「あなた達の相手は彼ら、ハンターだ」
 アンナが指し示す先には、既に模擬戦装備も済ませた6人のハンター達が佇んでいた。
「ハンター? 半ば一般人なんかが、僕と対等に張り合える訳が……」
 ピーノは、模擬戦の相手を知るや否や、彼らを目の前にしながらもどこか見下した様子でそう答える。
「どうせ狙って撃てば当たるから、相手は誰でもいいかな~」
 一方、どうにも興味なさ気なフィオーレ。
「誰だって良い。なんせ、俺が最強だからな」
 そう早くも大剣を手に掲げるバン。
 三者三様の反応を前にして、アンナは小さくどこか満足げな笑みを浮かべて、彼らを一瞥した。
「想定通りの反応か……良い訓練になりそうだ」

 そうして、彼らの性根を叩き直す模擬戦訓練が始まろうとしていた――

解説

▼目的
 新兵をコテンパンに叩きのめせ

▼概要
 駐在任務から帰ってきたアンナからの依頼です。
 新しく配属された部下があまりに現代っ子なので、模擬戦で根性を叩きなおして欲しいとのこと。

 模擬戦は「3vs3」の形式を「2回」行います。
 ハンターさん達は3人ずつのチームを組んで、前半と後半どちらで戦うかを決めて下さい。
 前半は新兵それぞれが好き勝手に動くので、皆さんならおそらく楽勝でしょう。
 そこでコテンパンにノされた結果を受けて、多少なり個々の改善策を模索しようとするものとアンナは目しております。
 そのため、後半は多少は弱点の改善された3人と戦う事になる――ハズです。
 その上でなおも叩き伏せ、世界の広さを教えてあげてください。
 とは言え、前半で新兵が自分達の短所に気づけなければ、後半戦もただ淡々と戦って終わってしまうかもしれません。
 前半・後半、共に重要な役割りです。

 皆様の武器は全く同じ性能・ギミックを有した殺傷能力の無い模造品と交換して行います。
 魔法も皆様の意思でダメージを負わない程度に抑える事が可能ですので、安心してぶっ放してください。

▼戦場
 1~2m大の岩が点在する砂地。
 広さは50m×100mほど。

▼NPC
 ○バン ♂ 武器:大剣
  模擬戦で負け知らずのスペシャル様。闘狩人。
  突っ込んで馬鹿でかい大剣を振り回せば、同期相手にはとりあえず勝っていた。

 ○ピーノ ♂ 武器:レイピア&拳銃
  同期随一の明晰な頭脳を持つ疾影士。
  自分の完璧な策を自分が完璧にこなしたら、他は何も要らないというのが持論。

 ○フィオーレ軍曹 ♀ 武器:魔導銃
  大佐の娘で、同期の姫的存在。唯一の階級持ちの猟撃士。
  模擬戦でも姫体質からか狙われる事が少なく、片手間の狙撃で点数を稼いでいた。

 ○アンナ=リーナ・エスト曹長 ♀
  引率&審判として出席。
  何かと厄介事を押しつ――任される有能な士官。

マスターより

おはようございます、のどかです。
フマーレより帰ってまいりましたエスト曹長でしたが、帰還早々に更なる受難です。
新しく配属された新兵達があまりにも現代っ子(?)なので頭を抱えております。
腕は確かなので、何とか更生の機会が欲しい。

そこで抜擢されたのがハンターの皆様でございます。
軍属でない人間にコテンパンにされたら、また、自分の弱点に気づかされる事ができれば、一皮剥けるんじゃないだろうか。
アンナはそれを願って皆様を呼び入れました。
是非、彼女の期待に応えてあげてください。

なおOP及び解説の内容含め、模擬戦の趣旨等は既にアンナより説明を受けているものとして扱って構いません。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/03/25 02:25

参加者一覧

  • アックスブレード「ツヴァイシュトースツァーン」マイスター
    ティーア・ズィルバーン(ka0122
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士
  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 《死》の未来を覆す奏者
    白金 綾瀬(ka0774
    人間(蒼)|18才|女性|猟撃士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • Two Hand
    lol U mad ?(ka3514
    人間(蒼)|19才|男性|猟撃士
  • 特務偵察兵
    水城もなか(ka3532
    人間(蒼)|22才|女性|疾影士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
lol U mad ?(ka3514
人間(リアルブルー)|19才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2015/03/13 12:32:01
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/03/08 23:23:18