※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

●氷の中に閉じ込めるのは
　日の出ている時間はゆっくりと、しかし確実に長くなり。季節は日ごと春めいて、極寒の冬が纏わせた氷と雪の衣が花の衣に変わり始めるころ。
　山間のある村で、村おこしの一環として祭りの準備が進められていた。
「氷室の氷は何人来ても大丈夫なくらい余裕はあるのか？」
「大丈夫。花はちゃんと咲いてる？」
「まだつぼみが多いが祭りの当日には花が開くと思う」
　村人たちは最終チェックの真っただ中。
「蝋燭の数は足りてる？」
「色々材料を集めた」
「あとは招待状を送ったハンターの人たちが何人来てくれるか、かなぁ」
「お世話になってるからお礼をしたいんだが……楽しんでもらえるかな」
「そのためにも用意を抜かりなく、だね」

●思い、花弁、そして灯
「以前何度か関わりを持った村……小夜子という覚醒者が関わった一連の事件のあった村、といった方が分かる人は分かるかな。
　あの村がね、村おこしの一環として祭りに招待してくれたんだよ」
　九尾の狐の雑魔退治から結構ごたごたあったし、それを吹っ切っていい流れを作りたい、という思いもあるんだろうね。そう言いながらルカ・シュバルツエンド（kz0073）は招待状を開いて読み上げる。
「氷室に貯蔵されてる氷をくり抜いて、中に花びらやつぼみのついた枝、他にも入れたいものがあったらそれを入れて、もう一度氷室に戻して凍らせて世界にたった一つのキャンドルポッドを作ろうって催しらしいね。
　氷で作ったものだし、中で蝋燭とはいえ火を灯してしまえばすぐ溶けてしまうのだけれど……それを人と人との出会いは一瞬のものになぞらえるみたいだ。
　キャンドルポッド作りは昼間、火を灯すのは夜間になるみたいだね。蝋燭も、色を付けたり香料を混ぜて成型したりといったアレンジをできる用意があると書いてあるよ」
　器も蝋燭も自分なりに託す思いを込めて作り上げる世界でたった一つの、儚いと言えるほど一瞬のアイスキャンドル。
　けれどだからこそ見出せる美しさもあるのだろう。
「運が良ければ山から様子を見に降りてきた小夜子に会ったりもできるかもしれないね。それを抜きにしても冬と春の境目だからこそ楽しめそうな催しだ。折角だし、一緒にどうだい？」
　幽玄の夜に、何を見出すかは貴方次第。何を託すかも、誰に伝えるのかも、思いのままに。

昼は主に蝋燭や器になる氷のキャンドルポッド作り、夜は作ったものに火を灯して眺める描写がメインとなります
両方記載された場合はできるだけ反映させますがどちらか片方に絞って頂いた場合より各々のシーン描写が薄くなる可能性がありますのでご注意ください。
キャンドルポッドには山に咲いている春の花や水に強い小物を閉じ込めることができます。
蝋燭は色を付けたり絵を描いたり香油を混ぜて香りつきの蝋燭にしたりなどのアレンジが可能です。
ルカ・シュバルツエンド（kz0073）が同行します。
声をかけられなければひっそり何か拵えてるんじゃないでしょうか。
小夜子ももしかするといるかもしれません。
双方お声掛けはご自由に、お気軽にどうぞ。
同行者様がいる場合は迷子防止のためフルネームかIDを記載願います。
グループでの参加の場合はグループ名でも大丈夫です。
ご協力をお願い致します。

温泉で花見を、と思ったのですがこちらの方が今の季節はいいかな、と考えてみました。
普段伝えられない思いをひっそりと籠めて相手に贈ったり、自分で作った一つだけの灯りを眺めたり。
皆でわいわい楽しく作り上げたり。
楽しい時間を過ごすお手伝いができれば幸いです。