※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

●迷子がハンターオフィスにやってきた
　その女の子は初めてみる帝国の景色に目を輝かせていた。
　視線はあちらへふらり、こちらへふらりと一定の場所に留まらない。
　何に対しても興味を持つ年頃なのも今回は悪かった。
「お母さん、みてみて、あれ凄い！　……お母さん？」
　返事が返ってこなかったことを訝しんでつないでいたはずの手の先を辿る。
　先を辿るまでもなかった、つないでいたはずの手はいつの間にか外れてしまっていた。
　人並みの中、少女はたった一人になってしまった。

「で、この子がその迷子なんだけど」
　砂糖をまぶしたような淡い金髪に蒼い瞳。尖った耳はエルフの地を引いていると何より雄弁に語る。
　ルカ・シュバルツエンド（kz0073）は泣きそうな顔で母親を呼んでいたからとりあえず保護したんだ、と若干疲れた調子で言葉をつづけた。
「自警団に任せようかと思ったんだけどね、なんか向こうの方でも取り込み中らしくてオフィスが取り持ってくれると助かる、と言われてしまってね。
　一人じゃ手が足りないし、帝国へは一週間の滞在の予定らしいから早く探し出さないといけないと思って君たちに声をかけたわけ。
　迷子だって事は自覚してるんだけど……どうも珍しいものを見ると突っ走っちゃう性格みたいだから、この子のお守り役が何人かいた方がいいんじゃないかな。
　あとは母親を探すメンバーね。どっちがいいかは集まった人たちに任せるよ。
　僕も要請があれば手伝うけど、要請がない場合はこっちで情報収集に回ろうかな」
　母親の特徴は月の光のような淡い金色の髪に夜色の瞳、服装はごく一般的なドレス。
　はぐれて数日が経っているため着替えている可能性の方が高いので服装はあまりあてにしない方がいいだろう。
「お母さんの性格ってどんな感じ？」
　内面は顔に出るからか、ルカがエルフの少女に尋ねると「ふわふわした感じ！」と何ともイメージしにくい答えが返ってきた。
「……まぁ、これも人助けだと思って力を貸してよ。懐かれちゃってね、他の仕事がたまり始めてるんだ。……痛い痛い！　髪の毛引っ張らないでくれないかな……っ」
　子供をあやすために人力の馬の真似をしながらルカはため息をついて協力を要請したのだった。

エルフの少女：おしゃまで元気で好奇心いっぱいの五歳位の女の子。見た目は可愛らしい令嬢ですが中身は跳ねっ返り。
目を離すとすぐどこかへ行ってしまう為しっかり見張っていないと迷子の二重奏が始まります。
少女の母親：おっとりした女性のエルフ。
娘にせがまれて帝国の広場などを見学していましたが娘の勢いに負けてはぐれてしまったようです。
美人なので男性に絡まれている可能性は割と高いです。
この二人を引き合わせることが成功条件となります。
ルカ・シュバルツエンド（kz0073）が同行します。
人手が足りない場合こき使ってください。

可愛らしくはありませんでしたがよく迷子になる子供として一部で有名でした。
今も一人で出かけると大体迷って勘と本能で帰る羽目になることがよくあります。
道を聞いたらまるっきり違う方向で、配達の経路だから乗せてってやる、と自転車ごと目的地まで運んでもらったのが最近の一番凄い経験でしょうか…。