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  • 戦闘

【東征】土蜘蛛

マスター:のどか

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/06/22 12:00
リプレイ完成予定
2015/07/01 12:00

オープニング

 ――東方の国、エトファリカ。
 西方とは地続きになる大陸といくつかの島で形成されたその国は、長年の孤立状態から解き放たれ、西方からの新たな風を迎え入れる事となっていた。
 西方からやって来たハンターと呼ばれるモノノフの集団は、転移先に布かれていた憤怒の歪虚の陣を撃退。
 西と東の交流を確立し、共にこの地に住まう妖怪(歪虚)を討ち果たすべくその手を交えようとしていた。
 東方に巣食った歪虚達への反撃の第一手として、支配地域に落とされた龍脈の奪還による結界の磐石化を計る帝・スメラギ。
 その命は、龍脈を操作できる力を持った陰陽寮の巫子――符術師達に、一斉に下されていたのであった。
 
「――明壬殿! どちらにおられるか、明壬殿!」
 その名を呼びながら、陰陽寮の舎屋をどたどたと駆け回る朝廷の使者が1名。
 彼は手当たり次第の部屋の襖をがらりと開け、誰も居ないことを確認すると、小さくため息を吐いてまたどたどたと縁側を駆け回ってゆく。
「全く……このような時に、今度はどちらに行かれたのだ。明壬殿~!」
 そう、ぶつくさと悪態を口にて、使者としての自らの役目を呪いながらも、三度その名を口にする。
 一向に見当たらないその姿を前に、よもやこの屋敷におらぬ事はあるまいと、僅かに嫌な予感も脳裏を駆け巡る。
 しかし、ふと立ち止まったその時に、屋敷の塀ごしに外から聞こえた子供の笑い声を耳にして、使者はより大きなため息を吐いて、声のした方向へと駆けて行くのであった。
 塀の外では、地面に胡坐をかいた一人の男が、数人の子供らに囲まれてやいやいと騒いでいる姿が目に入った。
「ほ~れほれほれ、ほ~れほれ。面白いじゃろう」
 男は、そう赤子をあやすかのような口調とおどけた表情で空中に指先を滑らせると、それに合わせて人型の紙がふわふわと宙を舞う。
 踊るようにゆらゆら、時に宙返りをし、時に子供の頭に乗ってみせ……その度に、子供達はきゃっきゃと嬉しそうな声を上げて、男もまた顔を綻ばせる。
「明壬殿……探しましたぞ!」
 男――汀田明壬のもとに辿り着いた使者の男は、奇異な目で見上げる子供達の視線を他所に、深呼吸をして上がった息を整えながら、その肩に手を置く。
「どうした、今日は随分と精が出るではないか」
 その様子を前に、視線も触れず、肩越しにそう答える明壬。
「誰のおかげだと思っているのです。明壬殿、帝の命でございます」
 言いながら、彼の前に突き出す書状。
「ワシは今、子供らの相手で忙しい。見て分からぬか」
 明壬は書状にすら見向きもせず、ダダを捏ねるようにそう口にすると、相変わらず「ほ~れほれ」と子供相手に符術遊びに没頭する。
「どうせワシの所に来る命じゃ。面倒なことこの上ない」
「帝の結界の力を強めるため、土蜘蛛巣食う城を奪い返し、眠る龍脈を再起動する命でございます」
「聞きとう無い。帰れ」
「明壬殿~」
 この男、明壬。
 こうして使者の知らせを無下にする事の多い男として知られ、いつもこうして何事か別の用事があるように語り、のらりくらりと仕事を断る。
 もちろん、その全てを断る訳ではないのだが……なんというか、気まぐれが過ぎる男であった。
 そんあ相変わらずの様子に、使者も泣きつく様子で彼の名前を呼んだが、それ以上明壬が彼に言葉を返す事は無かった。
 そんな状態に使者は頭をわしゃわしゃと掻き毟ると、困り果てたように口を開く。
「既に、護衛に西方のモノノフ方の約も取り付けているというのに……なんと申し開きをすれば」
 使者がそう口にした時……明壬の耳が、ピクリと小さく揺れ動いた。
「そなた、今なんと申した?」
 子供をあやす指を止め、しかし振り返りはせずに肩越しに問いかける明壬。
「はぁ……『なんと申し開きをすればよいのか』と申しました」
「違う、その前だ」
 諌めるかのように強い口調で語る彼を前に、使者はなんともめんどくさそうにぶつくさと口を開く。
「既に、護衛に西方のモノノフ方の約も取り付けております。だから、たまには私の顔も立ててくだされ」
「――よかろう、参ろうか」
 その言葉を聞いて、明壬はくるりとターンをかましながら使者の方へ向かって立ち上がる。
「それは、まことですか!?」
「ワシに二言は無い。すまぬな、わらし達よ。この続きはまた今度じゃ」
 目を見開いて驚く使者を他所に、彼はそう言って身近な子供の頭をわしわしと撫でてやると、子供達は名残惜しそうな表情を浮かべながらも「ばいばい、みょーじん」と手を振って家路に付いてゆく。
「ほれ、参るぞ。時間が惜しい。早く護衛の者達に引き合わせろ」
 そう、急くように歩き出す明壬に、慌ててその後を追う使者。
 彼の死角となって見えぬ眼前の符術師の表情は、それはもう好奇心に満ちた瞳で、鼻の穴も大きく広げていたと言う。
「西のモノノフ達か……面白いものが、見れそうじゃ」
 言いながら明壬は、にんまりとした子供っぽい笑みを浮かべていたのだった。

解説

▼目的
 汀田明壬を護衛し、古城の龍脈を取り戻せ
 
▼概要
 あなた方は龍脈再起動のために朝廷より雇われたハンターです。
 歪虚に支配された城を攻略し、同行者の符術師・汀田明壬の手によって龍脈を再起動させてください。
 戦場は地上4階の日本式の木造古城で、龍脈を操作できる祭壇は天守閣に設置されております。
 長年歪虚の手に渡り続け手入れも行き届かず放置されてるため、とてもおんぼろ。内部も荒れ放題です。
 皆さんには城内に巣食う歪虚を退治し、安全に龍脈を再起動できる環境を作って頂くと共に、その間符術師を護衛する事が目的となります。
 同行者や朝廷の偵察により分かっている敵の情報などは以下に記しますので、参考にして頂ければと思います。

▼同行者
 ・汀田 明壬(みぎわだのみょうじん)
  陰陽寮に籍を置く、汀田一派の符術師。36歳。
  長い白髪を髷で結い、狩衣・烏帽子といった「いかにも」な風貌。
  腕は確かだが、いい年をしていながら子供心が強く、傍若無人。
  皆様のと顔合わせの際に、彼は「龍脈の再起動に力を使う必要があるので、道中に口は出しても手は出さん」と言っている。
  なお、真偽の程は定かでは無い。
 
▼エネミー
 ・土蜘蛛×1
  虎の頭に胴、蜘蛛の脚と腹を持つ巨大な化け蜘蛛。
  実質的にこの城を支配している歪虚で、城のどこかに潜んでいると思われます。
  蜘蛛の糸による行動阻害と、刃のように鋭い前足での連続攻撃が強力です。
 
 ・餓鬼×??
  耳元まで口が裂け、細身に腹だけでっぷり出た人型の雑魔。
  知恵は無く、引っかいたり噛み付いたりで攻撃します。
  城中どこにでも居ます。

マスターより

おはようございます、のどかです。
おかげ様で15日付けでシナリオリリース1周年を向かえます今日この頃。
記念すべきその節目に、歴史の節目となります【東征】拠点奪還シナリオをお送りさせて頂きます。
地方の小さな拠点ではありますが、この龍脈を手に入れればスメラギの結界が多少力を増す事となるでしょう。
巣食う土蜘蛛に負ける事は勿論、龍脈の再起動に必要な符術師の死亡も失敗判定の要因となりますのでお気をつけください。

質問がございましたら、西方側での依頼の窓口となりましたルミちゃんがお答えいたしますので、別途卓を立ててご用命下さい。
皆様のご参加をお待ちしております。

関連NPC

  • HEAVENS DOOR
    朱鷺戸るみ(kz0060
    人間(リアルブルー)|17才|女性|魔術師(マギステル)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/07/03 13:07

参加者一覧

  • 影の戦士
    神薙 綾女(ka0944
    人間(蒼)|22才|女性|疾影士
  • 嵐影海光
    レベッカ・アマデーオ(ka1963
    人間(紅)|20才|女性|機導師
  • 強者
    メリエ・フリョーシカ(ka1991
    人間(紅)|17才|女性|闘狩人
  • その力は未来ある誰かの為
    神代 誠一(ka2086
    人間(蒼)|32才|男性|疾影士
  • スパイス・ボンバー
    オイゲーニエ・N・マラボワ(ka2304
    ドワーフ|10才|女性|闘狩人
  • 愛おしき『母』
    アリア(ka2394
    人間(紅)|14才|女性|疾影士
  • 黒の騎士
    ジーク・ヴュラード(ka3589
    人間(紅)|21才|男性|闘狩人
  • 自在の弾丸
    キャリコ・ビューイ(ka5044
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 龍脈奪還作戦
メリエ・フリョーシカ(ka1991
人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/06/22 01:06:06
アイコン 質問(NPCとの質問相談用)
キャリコ・ビューイ(ka5044
人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2015/06/19 22:19:21
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/06/19 16:01:05