ゲスト
(ka0000)
森の錬金術師
マスター:神宮寺飛鳥
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/08/19 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/08/28 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
エルフハイムで生産された術具、浄化の楔。
大量のそれらを東方へ輸送する為には帝都の転移門が用いられた。
本来、浄化の楔はエルフハイムの秘伝の一つなのだが、これの使用権と全ての楔を帝国政府が買い上げる形でいつの間にか話がまとまっていた。
ジエルデ・エルフハイムが話を聞いたのは全てが決まった後の事で、反論の暇も与えられはしなかった。
「帝都に来るのは初めて?」
トラックの荷台に腰を下ろした女が問いかける。
ハイデマリー・アルムホルム。恭順派長老ヨハネが見初めたという組合所属の錬金術師だ。
エルフハイムからバルトアンデルスまでの物資輸送には錬金術師組合の力も借りた。その際に帝国との橋渡しになってくれたのも彼女であった。
「……ええ。噂には聞いていましたが、ひどい町ですね」
「でしょうね。ゴミゴミしてるし、汚いしくさいし」
「東方は……エトファリカは、自然が豊かだと聞いています。少しでも過ごしやすいと良いのですが」
「過ごしやすいも何も、あそこは戦場よ。人類種の最前線なんだから、命懸けの戦いになるに決まってるわ」
儚い希望を打ち砕くようなハイデマリーの無遠慮な言葉に肩を落とす。
だがそれが事実だ。送り込まれたエルフハイムの巫子と、人型術具である浄化の器。これらが無事に帰る保証はない。
「いつから決まっていたのでしょう……」
「少なくとも、私がエルフハイムを訪れるより前でしょうね。対応がいくらなんでも早すぎるもの」
エルフハイムは錬金術師組合と協力し、浄化術の発展を目指すと決まったのがつい先日の事。
そこで東方との交流や、エルフハイム外への浄化術の輸出が議論されはしたものの、そこから結論を出し、即輸出。これまでのエルフハイムの腰の重さを考えれば、異常なスピード感だ。
「私の来訪と組合側からの要請を受けて動いたって形になるから、既定路線だったくせにこっちに“応じた”と見せかけてる。あのヨハネって男、相当のやり手ね。それに帝国政府と何らかのパイプも持ってるとしか思えないわ」
それは良い事なのか、悪い事なのか。
どちらかと言えば望むべき変化だろう。しかしヨハネが発言力を高めはじめてから、森の変化はあまりに急激だ。
維新派初の長老、ユレイテルの就任。錬金術師組合との技術提携と、外部の人間であるハイデマリーの移住。
そしてこの浄化術輸出と、事実上の帝国政府との内通……とても一朝一夕の仕込みでできる事ではない。
「浄化の楔は職人が一本一本手作業で作っています。相当前から依頼されなければこんなに沢山は作れません」
「なんだか掌の上で踊らされているようでいい気分じゃないけど、あなた的には器ちゃんの方が気になるのかしら?」
その笑いはどこか呆れるような、嘲るような感情が垣間見えた。
「何かおかしい?」
「別に……ただ、あなたはあの子を自由にしてあげたいってずっと願っていた筈よね。それが実際に叶おうと動き始めたというのに、どうしてか不満そうだから」
思わず視線を逸らす。確かにそうだ。あの子が森の外の世界と触れて歩く事は間違いなく望ましいはず。
だというのに、何故か気持ちが落ち着かない。いや、理由ならばハッキリしている。
「独り占めできなくなるのが嫌なんでしょ」
「あなたには関係のないことです!」
「関係有るわよ。私の研究にはあの子の力も必要だもの」
帝都に流れるイルリ河を見つめながら腕を組んだジエルデは震えていた。
怖いのだ。自分の側に彼女がいたのなら、命に代えたって守るつもりだった。
けれど東方への同行は許可されなかった。東方に術師を送り込んだ分、有事の際に備えて高位の術者を残す必要があったのだ。
「……タングラムに聞いた通り、弱い人ね」
ぽつりと呟いてハイデマリーは荷台から飛び降りる。
「ねえ。少し寄り道して行かない?」
「寄り道……ですか?」
「どうせヒマでしょ? 私は元々この町に住んでいたから、引っ越すのに荷物をまとめようと思うの」
「このまま森に住むつもりですか?」
「許可は貰ってるし、仕事も一段落したしね。せっかく工房を新しくするんだから、色々と入用でしょ? 森には売ってない物も多いだろうし」
そう言いながらハイデマリーは上着の内ポケットから使い込まれた手帳を取り出す。
そこにさらさらとペンを走らせると千切り、ジエルデへと差し出した。
「はいこれ」
「え?」
「お使いに行ってきて。心配要らないわ、素人でもマーケットで買えるものだから。あなた達、何人か彼女の付き添いをお願い。重い物もあるから」
楔の輸送を受け持っていたハンター達に語りかけるハイデマリー。ジエルデは困惑し、メモと周囲を交互に眺め。
「わ、私人間の町で買い物したことなんて……しかもこんなゴチャゴチャした町……!」
「迷子になっちゃう?」
「な……なりま……せん……よ?」
「大丈夫よ。道に迷うこともまた研究。何事も経験と思って行ってきなさいな」
そうしてトラックの荷台に戻ると、運転席に座ったハンターに声をかける。
「私のアパートに向かってくれる? 組合にも顔を出したいけど、時間あるかな……。あ、報酬はちゃんと出すから安心して」
動き出したトラックの荷台に腰を下ろし、遠ざかるジエルデに手を振る。
「はるかに年上の筈なんだけど……カワイイ人ね、あれ」
両手でメモを握り締めあたふたしているジエルデが曲がり角で見えなくなる。
ハンターに笑いかけながら、ハイデマリーはどこか楽しげに呟いた。
エルフハイムで生産された術具、浄化の楔。
大量のそれらを東方へ輸送する為には帝都の転移門が用いられた。
本来、浄化の楔はエルフハイムの秘伝の一つなのだが、これの使用権と全ての楔を帝国政府が買い上げる形でいつの間にか話がまとまっていた。
ジエルデ・エルフハイムが話を聞いたのは全てが決まった後の事で、反論の暇も与えられはしなかった。
「帝都に来るのは初めて?」
トラックの荷台に腰を下ろした女が問いかける。
ハイデマリー・アルムホルム。恭順派長老ヨハネが見初めたという組合所属の錬金術師だ。
エルフハイムからバルトアンデルスまでの物資輸送には錬金術師組合の力も借りた。その際に帝国との橋渡しになってくれたのも彼女であった。
「……ええ。噂には聞いていましたが、ひどい町ですね」
「でしょうね。ゴミゴミしてるし、汚いしくさいし」
「東方は……エトファリカは、自然が豊かだと聞いています。少しでも過ごしやすいと良いのですが」
「過ごしやすいも何も、あそこは戦場よ。人類種の最前線なんだから、命懸けの戦いになるに決まってるわ」
儚い希望を打ち砕くようなハイデマリーの無遠慮な言葉に肩を落とす。
だがそれが事実だ。送り込まれたエルフハイムの巫子と、人型術具である浄化の器。これらが無事に帰る保証はない。
「いつから決まっていたのでしょう……」
「少なくとも、私がエルフハイムを訪れるより前でしょうね。対応がいくらなんでも早すぎるもの」
エルフハイムは錬金術師組合と協力し、浄化術の発展を目指すと決まったのがつい先日の事。
そこで東方との交流や、エルフハイム外への浄化術の輸出が議論されはしたものの、そこから結論を出し、即輸出。これまでのエルフハイムの腰の重さを考えれば、異常なスピード感だ。
「私の来訪と組合側からの要請を受けて動いたって形になるから、既定路線だったくせにこっちに“応じた”と見せかけてる。あのヨハネって男、相当のやり手ね。それに帝国政府と何らかのパイプも持ってるとしか思えないわ」
それは良い事なのか、悪い事なのか。
どちらかと言えば望むべき変化だろう。しかしヨハネが発言力を高めはじめてから、森の変化はあまりに急激だ。
維新派初の長老、ユレイテルの就任。錬金術師組合との技術提携と、外部の人間であるハイデマリーの移住。
そしてこの浄化術輸出と、事実上の帝国政府との内通……とても一朝一夕の仕込みでできる事ではない。
「浄化の楔は職人が一本一本手作業で作っています。相当前から依頼されなければこんなに沢山は作れません」
「なんだか掌の上で踊らされているようでいい気分じゃないけど、あなた的には器ちゃんの方が気になるのかしら?」
その笑いはどこか呆れるような、嘲るような感情が垣間見えた。
「何かおかしい?」
「別に……ただ、あなたはあの子を自由にしてあげたいってずっと願っていた筈よね。それが実際に叶おうと動き始めたというのに、どうしてか不満そうだから」
思わず視線を逸らす。確かにそうだ。あの子が森の外の世界と触れて歩く事は間違いなく望ましいはず。
だというのに、何故か気持ちが落ち着かない。いや、理由ならばハッキリしている。
「独り占めできなくなるのが嫌なんでしょ」
「あなたには関係のないことです!」
「関係有るわよ。私の研究にはあの子の力も必要だもの」
帝都に流れるイルリ河を見つめながら腕を組んだジエルデは震えていた。
怖いのだ。自分の側に彼女がいたのなら、命に代えたって守るつもりだった。
けれど東方への同行は許可されなかった。東方に術師を送り込んだ分、有事の際に備えて高位の術者を残す必要があったのだ。
「……タングラムに聞いた通り、弱い人ね」
ぽつりと呟いてハイデマリーは荷台から飛び降りる。
「ねえ。少し寄り道して行かない?」
「寄り道……ですか?」
「どうせヒマでしょ? 私は元々この町に住んでいたから、引っ越すのに荷物をまとめようと思うの」
「このまま森に住むつもりですか?」
「許可は貰ってるし、仕事も一段落したしね。せっかく工房を新しくするんだから、色々と入用でしょ? 森には売ってない物も多いだろうし」
そう言いながらハイデマリーは上着の内ポケットから使い込まれた手帳を取り出す。
そこにさらさらとペンを走らせると千切り、ジエルデへと差し出した。
「はいこれ」
「え?」
「お使いに行ってきて。心配要らないわ、素人でもマーケットで買えるものだから。あなた達、何人か彼女の付き添いをお願い。重い物もあるから」
楔の輸送を受け持っていたハンター達に語りかけるハイデマリー。ジエルデは困惑し、メモと周囲を交互に眺め。
「わ、私人間の町で買い物したことなんて……しかもこんなゴチャゴチャした町……!」
「迷子になっちゃう?」
「な……なりま……せん……よ?」
「大丈夫よ。道に迷うこともまた研究。何事も経験と思って行ってきなさいな」
そうしてトラックの荷台に戻ると、運転席に座ったハンターに声をかける。
「私のアパートに向かってくれる? 組合にも顔を出したいけど、時間あるかな……。あ、報酬はちゃんと出すから安心して」
動き出したトラックの荷台に腰を下ろし、遠ざかるジエルデに手を振る。
「はるかに年上の筈なんだけど……カワイイ人ね、あれ」
両手でメモを握り締めあたふたしているジエルデが曲がり角で見えなくなる。
ハンターに笑いかけながら、ハイデマリーはどこか楽しげに呟いた。
解説
●目的
私の引っ越しを手伝って。
●概要
まずは浄化の楔の運搬、お疲れ様。
ギリギリになるとは思うけど、多分東方の作戦には間に合うと思うわ。
後は解散なんだけど、もし良かったら手を貸してくれないかしら?
私、ハイデマリー・アルムホルムは色々あってエルフハイムの一角、ナデルハイムに移住することになったの。
引っ越すからには工房を移動しなきゃいけなくて……引越し作業を手伝ってもらえると嬉しいわ。
これも色々あって、実は私片腕がないから。義手はあるんだけど、あれはずっとつけてると死ぬ類のやつだから今はつけてないの。
勿論、報酬は別途支払わせてもらうわ。それと飲食代とか魔導トラックレンタル費とかは私が出すから安心して。
今回の技術提携が高く評価されて、組合からは悪くない補助金が出てるの……ウハウハよ。
これだけお金があればタングラムにたからなくても食べていけるわね。
お願いしたいのは大きく分けて引っ越しと買い出し。
やっぱり工房の道具は使い慣れているものがいいから、アパートから運び出してトラックに積む作業が必要ね。
消耗品は今のうちに大量に買い込んでおきたいから、その買い出し。こっちはジエルデがメモを持ってるから手伝ってあげてね。
それぞれ作業が終わったら集合してエルフハイムに出発って感じで。よろしくね。
●頼りない旅の仲間
『ハイデマリー』
錬金術師組合所属。浄化術の研究者。
クールなメガネ美人だと思われていた時期もあったが、ただのぐうたら。
性格もあまりよくないし、だらしない。部屋には普通に下着とか干してあるぞ。
色々あって片腕が爆発四散した。
『ジエルデ』
エルフハイム長老会の一角。高位の術者。
近寄りがたい厳格な性格だと思われていた時期もあったが、ただのヘタレ。
人間の町を出歩いた経験はピースホライズンのみ。帝都はあまりに難攻不落。
ハンターが一緒にいてくれないと二分強くらいで迷子になる。割とすぐ泣くぞ。
私の引っ越しを手伝って。
●概要
まずは浄化の楔の運搬、お疲れ様。
ギリギリになるとは思うけど、多分東方の作戦には間に合うと思うわ。
後は解散なんだけど、もし良かったら手を貸してくれないかしら?
私、ハイデマリー・アルムホルムは色々あってエルフハイムの一角、ナデルハイムに移住することになったの。
引っ越すからには工房を移動しなきゃいけなくて……引越し作業を手伝ってもらえると嬉しいわ。
これも色々あって、実は私片腕がないから。義手はあるんだけど、あれはずっとつけてると死ぬ類のやつだから今はつけてないの。
勿論、報酬は別途支払わせてもらうわ。それと飲食代とか魔導トラックレンタル費とかは私が出すから安心して。
今回の技術提携が高く評価されて、組合からは悪くない補助金が出てるの……ウハウハよ。
これだけお金があればタングラムにたからなくても食べていけるわね。
お願いしたいのは大きく分けて引っ越しと買い出し。
やっぱり工房の道具は使い慣れているものがいいから、アパートから運び出してトラックに積む作業が必要ね。
消耗品は今のうちに大量に買い込んでおきたいから、その買い出し。こっちはジエルデがメモを持ってるから手伝ってあげてね。
それぞれ作業が終わったら集合してエルフハイムに出発って感じで。よろしくね。
●頼りない旅の仲間
『ハイデマリー』
錬金術師組合所属。浄化術の研究者。
クールなメガネ美人だと思われていた時期もあったが、ただのぐうたら。
性格もあまりよくないし、だらしない。部屋には普通に下着とか干してあるぞ。
色々あって片腕が爆発四散した。
『ジエルデ』
エルフハイム長老会の一角。高位の術者。
近寄りがたい厳格な性格だと思われていた時期もあったが、ただのヘタレ。
人間の町を出歩いた経験はピースホライズンのみ。帝都はあまりに難攻不落。
ハンターが一緒にいてくれないと二分強くらいで迷子になる。割とすぐ泣くぞ。
マスターより
お世話になっております、神宮寺でございます。
日常依頼です。久々にいいかなと思って。
目的は「引っ越し」と「買い物」の二種類で、それぞれがデマリとジエルデに紐付いています。
行動範囲は帝都内と限定しますが、逆に言うと帝都内であればどこにいっても構いません。
引っ越しも買い物も覚醒者が全力を出せば直ぐ終わるので、帝都観光したりしても構いませんよ。
ちなみに描写部分は、エルフハイムに出発するまでです。
それではよろしくお願い致します。
日常依頼です。久々にいいかなと思って。
目的は「引っ越し」と「買い物」の二種類で、それぞれがデマリとジエルデに紐付いています。
行動範囲は帝都内と限定しますが、逆に言うと帝都内であればどこにいっても構いません。
引っ越しも買い物も覚醒者が全力を出せば直ぐ終わるので、帝都観光したりしても構いませんよ。
ちなみに描写部分は、エルフハイムに出発するまでです。
それではよろしくお願い致します。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/08/27 06:05
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/14 16:18:23 |
||
お引越しとおつかいと【相談卓】 エイル・メヌエット(ka2807) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/08/18 21:17:31 |