• 戦闘

夢の守る者、力を確かめる者

マスター:DoLLer

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/11/24 15:00
リプレイ完成予定
2015/12/03 15:00

オープニング

 地下の研究室を照らすランプの明かりに、機械の身体が浮かび上がった。
 鋼鉄の兜の陰にレンズの瞳。配管を束ねた首、歯車と機導による駆動装置が剥き出しになった肩。そして青い水晶が輝く幾何学模様が刻まれるマテリアルエンジン。それに伸びる無数のパイプはだらしなく下へ落ち、そこから先はなかった。
 そんな機械の巨人、作りかけの魔導アーマーの虚ろな瞳の見下ろす先で、薄汚れた白衣を着たドワーフの男が3人。またこちらを見上げていた。
「フラズルさん、本当に機能拡張型魔導アーマーなんて実現可能なんですか? CAMだって操縦型なんですよ」
「できる。万物の中を流れるマテリアルを扱うクリムゾンウェストの錬金術、機導術の方が向いているんだ。指を動かしてリボンを結ぶ。これは人間の意志、記憶の再生、神経の伝達、そして指の筋肉の動作。ここには全部マテリアルが微量ながら関与している。それを拡張して機械に伝えてやることができれば、大した出力も必要なく機械を動作させられるんだ」
 フラズルは全く今までの形とは違う魔導アーマーから視線を外すと、問いかけたオットーにそう答えた。
「簡単に言うがな。フラズル。今ある資材でそれをやるのは至難の業だぜ」
 二人の会話を黙って聞いていたもう一人の男、レギンはため息一つついて、工房内を見渡した。
 魔導アーマーの研究といえば帝国の摩天楼錬魔院ではあるが、ここはそこから随分と離れた錬金術研究所。設備も道具も国家機関のそれと比べれば拙いものばかりだった。
 それでもここまでこぎ着けたのも、この3人、そして協力者達が元錬魔院のメンバーであるが故と言えた。
 今彼らが挑んでいるのは『着込む』魔導アーマー。錬魔院でずっと研究を続けもう少しで実用化するはずであった。だが、フラズルチームの魔導アーマーは結局日の目を見ることはなかった。完成の目途がつく前に怠惰の軍勢の南下、そしてCAMの歪虚乗っ取り事件、そしてナナミ川決戦と続き。
 フラズルの研究成果はそれに間に合わなかった。
 いや、正確に言うと一つだけ。
 エンジンの元となる基礎設計だけは世に出た。それも錬魔院の長ナサニエルの改良によって。それも魔導アーマーではなくCAMに転用するという形で。
 何度抗議したことか。しかし、それは届くことはなかった。届いたのは、叩きつけた辞表だけ。
「いや、可能性は、ある」
 フラズルは白衣の内ポケットから焼け焦げたノートの切れ端を取り出した。
「賢者の石に限りなく近いものを生成できたという記録がつい最近発見されたんだ。膨大なマテリアルを内包し、物と生命の橋渡しをするという役目をもちうる。しかもサイズは拳大。こいつ1つあるだけで、ナサニエルさえできなかったモノが作り上げられるんだ!」
 その言葉にオットーの目は輝き、レギンの顔色は驚きに満ちた。
 賢者の石、とは錬金術を学ぶ者ならば究極の目標として誰もが知るものであった。石なのに水のように柔らかく、石を黄金に変える力を持ち、不老不死の薬の材料となると云われる。
「本当か!? 眉唾でなく?」
「ハンターから聞いた依頼記録にも人間と融合した魔導アーマーの記述があった。実験は成功しているんだ」
 それなら。疑り深かったレギンも懐疑的な顔を落とし、興奮に満ちていた。
「障害もあるんだろう?」
「ああ、この技術の核心は……今は歪虚の手にあるってことだ」


 泉のほとり。白い砂に囲まれて。
 月明かりの下で薬草を摘んでいた女がいた。月光に映える銀の髪、抜けるような白い肌。草木も眠るような深い闇の中で浮かび上がる彼女の姿はエクラが教える天使とかいう存在の様だった。
 錬金術師が賢者の石を生成する際に、そっと陰から応援をしていたという逸話。
 そしてつい先日、近くにある施療院の為に姿を見せない人物が薬草を届けいるという噂話は、彼女の存在がそこにあるとフラズルに教えてくれた。
「ブリュンヒルデ!」
 フラズルの呼びかけに彼女は顔を上げて小さく微笑んだ。待っていましたと言わんばかりだ。
 だが、あれは歪虚。フラズルの中に燃える覚醒者の血がそうだと告げていた。生ある者とは相容れぬ存在だと。
「お前が持っている錬成の知識を……話してもらうぞ」
 アルケミストデバイスを起動し、エネルギーの光をその腹に焦点を定める。
 殺してはならない。秘術を聞き出すまでは。
「「「ま モ レ」」」
 突然武器を構えられたことに後ずさるブリュンヒルデから、濁った、空気を振るわせる低い声が幾重にも重なるようにしてフラズルの耳を揺らした。
「!?」
 泉の地面に広がっていた白い砂、いや、砕けた骨がブリュンヒルデを竜巻のようにして包み込み、フラズルを吹き飛ばした。
 白い竜巻は波打ち、徐々にいくつもの人の形を作り出す。群像のような影はやがて巨人の様な白骨の姿に。それは何度も骨片をボロボロと破片を零れ落としながらも、霊光の渦の中でまた巻き上がり崩壊と再構成を続けながら、徐々に確固とした形を作り上げていく。
 5m以上あるその白骨はブリュンヒルデを抱え上げると、立ち上がってそのままフラズルを見下ろした。
「「「スクイ ノ 女神 ヲ 傷つけ サセ ヌ」」」
「なんだ、こいつ……!?」
 驚愕するフラズルの腹に槍より巨大な分厚い指先が突き刺さった。
 激痛で意識が遠のく中で、ブリュンヒルデの必死な声が聞こえた。
「待って、その人は悪い人ではありません!」
 安易に夢は果たしてくれないのか。
 フラズルは歩み去る巨大な白骨に連れ去られるブリュンヒルデを見つめた。
 いや、絶対にあきらめて、なるものか。
 骨片の混じった白い砂をフラズルはガリリと爪を立てて握り締めた。

解説

元錬魔院の研究者フラズルからの依頼です。
ブリュンヒルデが持つ知識と加護を得るために、彼女を守る巨大なスケルトンを排除し、ブリュンヒルデを確保してください。

●敵情報
ガシャドクロ
雑魔・デュラハン型。
体長5mほどの霊光を纏った巨大スケルトンです。反応が早く複数回攻撃を仕掛けてきます。
知能はありますが、ブリュンヒルデを守ることだけに執着しており会話は成立しません。

●NPC
ブリュンヒルデ
歪虚。吸血鬼型。
銀髪蒼眼の可憐な女性です。覚醒者は近づけば歪虚とすぐ気付きます。
強い夢や希望に反応し、その人達の手助けをして、悲願を達成させるとされてます。
ガシャドクロには戦闘停止を言いますが聞き入れてもらえない状態です。
戦闘能力は一般人と同程度です。ただし彼女は今回故意に傷つけることは避けてください。

フラズル
ドワーフ。機導士。
元錬魔院の魔導アーマー製作に関わる研究員です。錬魔院を退職してからも魔導アーマーの製作に拘り続けています。
フラズルと共に錬魔院を去って共同研究を続けるメンバーはOPに記載したオットー、レギンなど複数名いますが、今回同行するのはフラズルのみです。
戦闘力はレベル5程度とします。基本指示は受け付けるので、共に戦ったり、待機することも可能です。

●状況
場所は薬草がよく採れるという森の泉のほとりにブリュンヒルデがいます。(再びOPの場所に現れたという状態です)
ただし、ハンターが特定距離に踏み込んだ時点でガシャドクロが姿を現します。ブリュンヒルデはガシャドクロの肩に乗せられています。
ブリュンヒルデは戦闘は好みませんが、ガシャドクロはブリュンヒルデに近づくものは容赦なく攻撃します。

マスターより

背景設定を省くとですね。
お姫様がキングコングの手の中に。勇者(PC)の取る方法は如何に!?
というオードソックスなシナリオです。
森や泉といったギミックも利用できますので、PCのクラスに応じた戦い方を編みだしてみてくださいね。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/11/29 06:22

参加者一覧

  • 堕落者の暗躍を阻止した者
    バレル・ブラウリィ(ka1228
    人間(蒼)|21才|男性|闘狩人
  • ヒースの黒猫
    南條 真水(ka2377
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • 淡光の戦乙女
    セレスティア(ka2691
    人間(紅)|19才|女性|聖導士
  • 不空の彩り手
    アシェ・ブルゲス(ka3144
    エルフ|19才|男性|魔術師
  • 瑞鬼「白澤」
    鬼百合(ka3667
    エルフ|12才|男性|魔術師
  • ゴージャス・ゴスペル
    久我・御言(ka4137
    人間(蒼)|21才|男性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 作戦相談宅
バレル・ブラウリィ(ka1228
人間(リアルブルー)|21才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/11/24 00:34:42
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/11/23 02:59:13