●前口上
　レチタティーヴォ、って知ってるかい？
　災厄の十三魔で筋書き無き朗唱者と呼ばれた嫉妬の歪虚さぁ。
　そんなアイツもついに北の大地で逝っちまったのさ。
　ずいぶん派手な戦闘だったらしいねぇ。
　そんで、今や北の大地も荒れ放題。
　暴食王ハヴァマールとの戦いで破壊されたユニットの残骸とかも散らばってるってよ。
　どっちもこっちも、どっちもこっちも。
　……え？
　彼が討伐された時、オペラカーテンは下りたのかい、だって？
　無茶言うなよ。ここは劇場じゃないんだぜ。
　ただ、カーテンコールに粋な計らいをしてるかもな。
　何せ、彼は魅せてくれるからねぇ。


●本編
　ここは帝国領北部、サルヴァトーレ・ロッソ墜落地点付近。
　荒野の大地に固形燃料の炎が揺れる。
　やがて火に掛けていた小型のポットからこぽこぽと音がする。
　魔導バイクを背に小さな木箱に座る男から手が伸びる。ポットを火から下ろすとペーパーフィルターをセットしていたマグカップに湯を注ぐ。白い湯気が立つ。
　傍に立っていた男がそれを見て肩をすくめる。
「珈琲を飲みたいなら中で飲めばいいのに」
「外で飲むのがうまいんだ。バイク乗りってなぁ、そういうもんだ」
　木箱に座っていた男はフィルターを外してカップを顔に近付ける。渋い顔がじんわり緩む。
「風と大地の気配に、珈琲の香りが混ざるのがいいのさ」
　傍でバイクに座ったままハンドルにもたれる男、肩をすくめるのみ。
「俺、本当はロードスポーツ派だからなぁ。喫茶店でゆっくりってのがいいねぇ」
「ま、バイク乗り仲間にゃ違いねぇ。そういうのもいいな」
　座る男はバイクはアウトドアでオフロードでなければどうとかいう頭の固い男ではないようだ。
「そうそう。先の戦闘で打ち捨てられた大型ユニットの回収するそうだぜ？」
　バイクに乗った男はここに来た目的を思い出したようで口調を改めた。
「回収？　えらくのんびりした話だな」
「ロッソの修理が最優先。ようやく余裕ができたってとこじゃねぇか。……というか、動けるハンターをかき集めてるってところを見りゃ余裕はまだないのかな」
「ま、いい。指示が出たんならすぐ動く」
　男、珈琲を味わいながら言う。
「アンタらしい。……バイク仲間に声掛けてやるが何台くらいで行く？」
「戦闘前提じゃねぇが、先に行って場所確保すんだ。荒野の七人ってことで、６台編成でいいだろ」
　男、カップを傾けて言う。
「現状、特に敵の気配はないようだが激戦区だったとこだ。大型の敵との戦闘も想定した武装をしとけよ」
「あいよ。……そんじゃ、いつものようにこのように頼むぜ」
　ぐっと珈琲を飲みほした男は自分のバイクの燃料タンクにカラーリングされた４文字に手を添えいい顔をする。
「『兵飛神速』かい？　相変わらずだな」
「おおよ、『兵は神速でかっ飛ぶ！』。何かありゃすっ飛んでいく。赤いバイクはマッハの印。急ぎの用があんならこのマッハ・リーに任せとけ！」

　そんなこんなで、マッハ・リーとともに残骸となったユニットの残る平原に急行し現場確保してもらえるバイク仲間、求ム。

※この依頼は出撃演出の前提上、バイク乗り限定（仮にバイクがない場合、もしくはセットし忘れた場合は標準的で最低限のバイクを借りて出撃したとみなされます）です。馬に乗りたい人はすいません。魔導トラックやその他ユニットの持ち込みもごめんなさい。

　フレーベルニンゲン平原で放置されている破壊されたユニットの残骸回収のため、回収部隊に先着して場所を確保してください。

　出撃時点では、敵の脅威などが全く確認されていません。
　ただし、到着後はどうなるか分からないので各自今後発展しうる事態を想定した武装で参加してください。
　実際、敵は出現しますが最大参加者数で惨敗するような敵は出て来ません。
　仮に出現する敵が最大参加者数の戦力に余る場合であっても、戦闘のファーストアタッカーとして十分な行動をとれば、討伐しなくても討伐した場合と同等の戦果としてみなされます（これは出撃時の前提によりますし、実際に後続部隊がより被害無く効果的に討伐することが可能になるため）。

　彼らの向かった現場では、少なくとも四体の魔導型デュミナスや魔導アーマーが放置されていそうです。過去の事例を顧みると、これらが動き出して敵対するかもしれないですね。

　また、連動シナリオであるため、参加ＰＬはこのシナリオから得られる前提条件以上の情報があらゆる手段で入手可能な状況ですが、それは問題ありません。
　ただ、参加するＰＣはこの後どういったことが発生するか知りません。
　突発事態への対応。
　これを楽しんでください。
　ＰＬ情報に関しては、ＰＣがしっかり想定している、もしくは何となくそうなんじゃないかな～、などロールプレイで落とし込む楽しさもあります。

「兵は神速を貴ぶ」もしくは「兵は神速でかっ飛ぶ！」
「バイク乗りはみな仲間である」

　この姿勢に共感を持った参加キャラの自己実現を楽しみつつ、連動依頼への貢献を楽しみましょう。

　まだ寝ないならこんばんは、深夜真世です。

　【闇光】の連動依頼、深夜分です。
　敵がはっきりしていませんが、敵の分かってない時に出撃する場合はそういうものです。
　類推戦闘を楽しみましょう。
　ついでに、バイク好きが集うだけに自分のこだわりのバイク披露などもしやすいかと思います。

　では、よろしくお願いします。