ゲスト
(ka0000)
【闇光】望郷の虎
マスター:韮瀬隈則
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/02/16 15:00
- リプレイ完成予定
- 2016/02/25 15:00
オープニング
●
「拾って還してやらねばなるまいよ」
辺境の老ハンター。佐々木寅次は集落の留守を預ける孫にそう言って、ここ──1ヶ月前にサルヴァトーレ・ロッソ防衛作戦が行われた帝国北方フレーベルニンゲン平原──に来ている。
昨年、になるか。冬の初めの撤退戦で、リアルブルーの船に乗れずに力尽きた者たち。彼らを護って逝った者たち。辺境の地に横たわる、人と機械の亡骸。
彼らへの供養と慰霊。叶わぬならせめてもの遺品の帰郷。
かの大規模作戦終了後、辺境の民とハンター有志により、細々と行われてきた遺体と遺品の回収作業。いつ終わるとも知れない作業に、ここにきて増員募集がかかった。
辺境のそこへ、ではない。
帝国北方。
フレーベルニンゲン決戦と俗に呼ばれる作戦の地、である。
「最大限数のユニットと兵器回収に努めよ。不可能あるいは困難である場合、歪虚ならびに敵対亜人による鹵獲阻止を理由に破壊せよ」
増員依頼の詳細に、それまでの回収作業要綱と違って大書きされた文字。つまりはそういうことである。
●
佐々木寅次は70年前、大戦末期に転移した大日本帝国陸軍の少年兵だった過去を持つ。
暑い夏の終わり、大陸からの撤退戦の最中。生きて還ることはあるまいとは覚悟の上。持てない砲と弾薬を処分し、チャチな歩兵銃と軍刀だけで何ができたろう? それでも愛しい者へ届くならばと懐に入れた遺書は、引揚げ船に託す機会もなく、未だ異郷の寅次の手にある。
「迎えの船を目の前にして、連れ帰る者達を目の前にして、斃れて逝ったのだ。還してやらねばなるまいよ。その武器に味方を撃たせてはなるまいよ」
寅次は戦場で遺品泥棒を働く歪虚と亜人を、嫌というほど見てきている。案の定、戦場の外れでの事前調査書にはゴブリンらしき遺体荒らしの跡があった。
70年前、ゲリラに奪われた銃弾に家族の写真ごと貫かれた戦友の顔が忘れられない。
ガタゴトと揺れる魔導トラックの荷台で、寅次は再度小さくごちた。
と、その時──
ひゅうっ! と鋭い音と共に、行く手斜め前方の空に信号弾が上がった。
サルヴァトーレ・ロッソから派遣された調査車両が、あの場所に向かっていたはずだ。
●
「信号弾! 遅かれ早かれ位置がバレる、構うもんですか!」
元ロッソの乗組員だろうか。くたびれた作業着に防寒着を重ね、トラック荷台から銃を構えた女性ハンターが、運転手に応援要請を指示する。確か、この近くに1班、回収作業にあたるハンターが来ているはずだ。
──少し前。
不適切にも個人的感傷をあらわにして、かの女性ハンターは地図とファイルを片手に、破壊された防衛陣地末端で回収前調査へ向かっていた。
「あの子は絶対ここに居る。出動直後までモニタしていたもの。必ず見つけて連れ帰る」
知り合いらしい魔導トラックの運転手が、仕方ないなという顔で示された位置へとハンドルを切る。転移後の今も嘱託で整備に従事するほど、彼女はCAMに思い入れがあるのだから、と。
あの子というのは、白地の肩に虎縞文様のトライバルが描かれたデュミナスで、特に彼女が可愛がっていた機体だ。機械相手に可愛がるとは妙な表現だが──専属パイロットを機体と表裏一体に支えてきた、彼女の自負の表れである。
絶対に連れ帰る。とは、CAMだけの事ではないのだろう。
祖父が大戦で、父が大事故で、恋人が宇宙開発で還らなかった。だから私は整備士になった。必ず帰ってこれる機体のために。──いつか酔った彼女がこぼした言葉を、運転手は覚えている。
「見つけた!」
彼女の歓喜。しかしそれが怒気に変わる。
「あいつら……汚らわしい手で触らないでよ!」
元の地形に資材と瓦礫が積み重なった陰に、擱座した白い曲線。その周囲と表面にへばりつく、小さな幾つもの影。人間では、ない。ゴブリンの遺体荒らしと……更に小さい人影は……なんだろう?
コボルドでも連れてきたか、と舌打ちして、運転手は双眼鏡を構え驚愕の声をあげた。
「……嘘!? なんで動くの!」
更に彼女の悲鳴。
曲線が揺らぎ、半身をおこす。ぎこちなく兵装を握る腕が揺れる。
不器用に振り上げた刀身が、運の悪いゴブリンを叩き潰した。
ゴブリンの操縦ではない。あれは歪虚だ。
小さな人影を幾つもへばりつかせたまま、ガクガクと揺らぎ片足を突っ支い棒に立ち上がったがCAMが、瓦礫の合間に逃げるゴブリンを追う。そして──
慌てて瓦礫の死角にトラックを寄せた運転手に、増援を呼べと指示が飛んだ。
「今を逃したらあの子はやがてロッソを撃つ。連れ戻すには今しかないの」
──彼女の名は、佐々木満桜。
70年の時と世界の壁を越えて戦場に会す、祖父と娘は互いの存在を未だ知らない。
「拾って還してやらねばなるまいよ」
辺境の老ハンター。佐々木寅次は集落の留守を預ける孫にそう言って、ここ──1ヶ月前にサルヴァトーレ・ロッソ防衛作戦が行われた帝国北方フレーベルニンゲン平原──に来ている。
昨年、になるか。冬の初めの撤退戦で、リアルブルーの船に乗れずに力尽きた者たち。彼らを護って逝った者たち。辺境の地に横たわる、人と機械の亡骸。
彼らへの供養と慰霊。叶わぬならせめてもの遺品の帰郷。
かの大規模作戦終了後、辺境の民とハンター有志により、細々と行われてきた遺体と遺品の回収作業。いつ終わるとも知れない作業に、ここにきて増員募集がかかった。
辺境のそこへ、ではない。
帝国北方。
フレーベルニンゲン決戦と俗に呼ばれる作戦の地、である。
「最大限数のユニットと兵器回収に努めよ。不可能あるいは困難である場合、歪虚ならびに敵対亜人による鹵獲阻止を理由に破壊せよ」
増員依頼の詳細に、それまでの回収作業要綱と違って大書きされた文字。つまりはそういうことである。
●
佐々木寅次は70年前、大戦末期に転移した大日本帝国陸軍の少年兵だった過去を持つ。
暑い夏の終わり、大陸からの撤退戦の最中。生きて還ることはあるまいとは覚悟の上。持てない砲と弾薬を処分し、チャチな歩兵銃と軍刀だけで何ができたろう? それでも愛しい者へ届くならばと懐に入れた遺書は、引揚げ船に託す機会もなく、未だ異郷の寅次の手にある。
「迎えの船を目の前にして、連れ帰る者達を目の前にして、斃れて逝ったのだ。還してやらねばなるまいよ。その武器に味方を撃たせてはなるまいよ」
寅次は戦場で遺品泥棒を働く歪虚と亜人を、嫌というほど見てきている。案の定、戦場の外れでの事前調査書にはゴブリンらしき遺体荒らしの跡があった。
70年前、ゲリラに奪われた銃弾に家族の写真ごと貫かれた戦友の顔が忘れられない。
ガタゴトと揺れる魔導トラックの荷台で、寅次は再度小さくごちた。
と、その時──
ひゅうっ! と鋭い音と共に、行く手斜め前方の空に信号弾が上がった。
サルヴァトーレ・ロッソから派遣された調査車両が、あの場所に向かっていたはずだ。
●
「信号弾! 遅かれ早かれ位置がバレる、構うもんですか!」
元ロッソの乗組員だろうか。くたびれた作業着に防寒着を重ね、トラック荷台から銃を構えた女性ハンターが、運転手に応援要請を指示する。確か、この近くに1班、回収作業にあたるハンターが来ているはずだ。
──少し前。
不適切にも個人的感傷をあらわにして、かの女性ハンターは地図とファイルを片手に、破壊された防衛陣地末端で回収前調査へ向かっていた。
「あの子は絶対ここに居る。出動直後までモニタしていたもの。必ず見つけて連れ帰る」
知り合いらしい魔導トラックの運転手が、仕方ないなという顔で示された位置へとハンドルを切る。転移後の今も嘱託で整備に従事するほど、彼女はCAMに思い入れがあるのだから、と。
あの子というのは、白地の肩に虎縞文様のトライバルが描かれたデュミナスで、特に彼女が可愛がっていた機体だ。機械相手に可愛がるとは妙な表現だが──専属パイロットを機体と表裏一体に支えてきた、彼女の自負の表れである。
絶対に連れ帰る。とは、CAMだけの事ではないのだろう。
祖父が大戦で、父が大事故で、恋人が宇宙開発で還らなかった。だから私は整備士になった。必ず帰ってこれる機体のために。──いつか酔った彼女がこぼした言葉を、運転手は覚えている。
「見つけた!」
彼女の歓喜。しかしそれが怒気に変わる。
「あいつら……汚らわしい手で触らないでよ!」
元の地形に資材と瓦礫が積み重なった陰に、擱座した白い曲線。その周囲と表面にへばりつく、小さな幾つもの影。人間では、ない。ゴブリンの遺体荒らしと……更に小さい人影は……なんだろう?
コボルドでも連れてきたか、と舌打ちして、運転手は双眼鏡を構え驚愕の声をあげた。
「……嘘!? なんで動くの!」
更に彼女の悲鳴。
曲線が揺らぎ、半身をおこす。ぎこちなく兵装を握る腕が揺れる。
不器用に振り上げた刀身が、運の悪いゴブリンを叩き潰した。
ゴブリンの操縦ではない。あれは歪虚だ。
小さな人影を幾つもへばりつかせたまま、ガクガクと揺らぎ片足を突っ支い棒に立ち上がったがCAMが、瓦礫の合間に逃げるゴブリンを追う。そして──
慌てて瓦礫の死角にトラックを寄せた運転手に、増援を呼べと指示が飛んだ。
「今を逃したらあの子はやがてロッソを撃つ。連れ戻すには今しかないの」
──彼女の名は、佐々木満桜。
70年の時と世界の壁を越えて戦場に会す、祖父と娘は互いの存在を未だ知らない。
解説
●依頼内容
・最大数のユニット・兵器の回収、または鹵獲阻止のための破壊
・遺品回収、敵性亜人の討伐は、上記項目最優先を妨げてはならない
●敵情報
・暴走デュミナス 1機
(30mmアサルトライフル、5000mmCAMカタナ、CAMシールド)
片足が不動、もう片足のスムーズな稼動により、移動と方向転換にむらがある
腕は肩関節が自在に、肘の動きはぎこちなく、指は銃器トリガー操作のみが支障なく行える(銃器リロードは行われない)
一定距離に近づく動体を無差別に攻撃する
・歪虚化ゴブリン盗賊団 10体
(弓職5体、近接職5体)
周辺地域を根城にしていた盗賊団を、ユニット狙いの怠惰歪虚が配下と変えたもの
盗みの執着が強化され、瓦礫への一時退避と無差別な武装強盗を繰り返す
●現地情報
大規模第三フェイズ(1-2)外れ
陣地構築の瓦礫とユニット残骸が散らばる
魔導トラックが身を隠せるが、体高差による可視優劣は覆せない
バリケード寸断と散乱により、CAMの移動阻害には工夫が必要
●友軍情報
・回収班:トラック1台+バイク数台
運転手は戦闘不可、荷台に同乗する佐々木寅次は戦闘可
・調査班:トラック1台+バイク数台
運転手は戦闘不可、荷台に同乗する佐々木満桜は戦闘可
●NPC
・佐々木寅次
70年前に転移した日本人。覚醒者で霊闘士(ベルセルク)
地球に残した妻が子孫を残したことを未だ知らない
・佐々木満桜
元ロッソ所属のCAM整備員。覚醒者で機導師(アルケミスト)
不帰の身内に影響をうけ、生還率や機体回収に強くこだわる
祖父が転移していることを知らない
●その他
PCの方々は、回収班(上限なし)・調査班(上限2名)で、どちらの班で作戦参加されても構いません
このシナリオでユニットは持ち込みできません
必ず騎乗アイテム装備のうえご参加ください(貸与可能)
・最大数のユニット・兵器の回収、または鹵獲阻止のための破壊
・遺品回収、敵性亜人の討伐は、上記項目最優先を妨げてはならない
●敵情報
・暴走デュミナス 1機
(30mmアサルトライフル、5000mmCAMカタナ、CAMシールド)
片足が不動、もう片足のスムーズな稼動により、移動と方向転換にむらがある
腕は肩関節が自在に、肘の動きはぎこちなく、指は銃器トリガー操作のみが支障なく行える(銃器リロードは行われない)
一定距離に近づく動体を無差別に攻撃する
・歪虚化ゴブリン盗賊団 10体
(弓職5体、近接職5体)
周辺地域を根城にしていた盗賊団を、ユニット狙いの怠惰歪虚が配下と変えたもの
盗みの執着が強化され、瓦礫への一時退避と無差別な武装強盗を繰り返す
●現地情報
大規模第三フェイズ(1-2)外れ
陣地構築の瓦礫とユニット残骸が散らばる
魔導トラックが身を隠せるが、体高差による可視優劣は覆せない
バリケード寸断と散乱により、CAMの移動阻害には工夫が必要
●友軍情報
・回収班:トラック1台+バイク数台
運転手は戦闘不可、荷台に同乗する佐々木寅次は戦闘可
・調査班:トラック1台+バイク数台
運転手は戦闘不可、荷台に同乗する佐々木満桜は戦闘可
●NPC
・佐々木寅次
70年前に転移した日本人。覚醒者で霊闘士(ベルセルク)
地球に残した妻が子孫を残したことを未だ知らない
・佐々木満桜
元ロッソ所属のCAM整備員。覚醒者で機導師(アルケミスト)
不帰の身内に影響をうけ、生還率や機体回収に強くこだわる
祖父が転移していることを知らない
●その他
PCの方々は、回収班(上限なし)・調査班(上限2名)で、どちらの班で作戦参加されても構いません
このシナリオでユニットは持ち込みできません
必ず騎乗アイテム装備のうえご参加ください(貸与可能)
マスターより
無駄に長ェ!
解説全部入らねェ!
お久しぶりです、韮瀬です。
暴走CAMについては、特設ページ「ユニット残骸争奪戦」をご参照ください。
「人形」については、残念ながらPL情報扱いです。
連動に便乗する形での、遺品回収と老転移者のシナリオになっています。
難易度は作戦次第で低めになります。各々の、遺品回収またはユニット残骸争奪スタンスをぶつけてください。
解説全部入らねェ!
お久しぶりです、韮瀬です。
暴走CAMについては、特設ページ「ユニット残骸争奪戦」をご参照ください。
「人形」については、残念ながらPL情報扱いです。
連動に便乗する形での、遺品回収と老転移者のシナリオになっています。
難易度は作戦次第で低めになります。各々の、遺品回収またはユニット残骸争奪スタンスをぶつけてください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/02/24 06:32
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
相談卓 久延毘 大二郎(ka1771) 人間(リアルブルー)|22才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/02/16 03:01:04 |
||
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/02/14 20:30:07 |