• 戦闘

古城奪還作戦!

マスター:芹沢かずい

このシナリオは2日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/03/23 15:00
リプレイ完成予定
2016/04/03 15:00

オープニング


 夜。ここは月灯りに浮かび上がる古城を臨む位置にある、とある家。
 長らくリゼリオで商売をしていた老夫婦が、老後を過ごす為に戻ってきた故郷だ。その引っ越しの手伝いを半ば強引に引き受けたのが、リタとエマの姉妹。
 彼女たちはハンターとして書類登録を済ませた後、ろくに経験を積む事無くここまで来てしまったのだが、何とか覚醒することには成功している。……未だその力をコントロールできていないのが難点だが。
「あの古城、完全にゴブリンどもが自分たちの住処にしちゃってるわ! あいつらを追い出さないと、本当に村が無くなっちゃうわよ」
 先ほど他の優秀なハンターたちと共に、城内の調査を済ませてきたリタが、鼻息荒く言う。
 現在この村は、遠い昔この地を治めていた領主の居城のもと、肥沃な大地を耕しては多くの農作物を育て、近くを流れる川や森から、自然の豊かな恵みを分けてもらうことで、贅沢とは言えないが、それなりに豊かな暮らしをしていたのだという。
 今は城に住み着いたゴブリンのお陰で、その姿は見る影も無い。
 ゴブリンを恐れて村を離れた家族も多く、空き家となった家々は荒れ放題。……残っていた僅かな食料を求めて、ゴブリンやコボルドが物色した結果だ。畑に残された僅かな作物は根こそぎ奪われ、広大な農地が荒れ地と化している。
 現在村に残っているのは、村への愛着を捨てきれない高齢者が多く、数人の若者は半ば意地のようなものだ。
「……城の構造は良く分かったようじゃな」
 声に疲れを忍ばせ言うのは、この家の主、ガーゴだった。妻であるイルと共に故郷に戻ってみればこの有様。リタ、エマの姉妹が手伝うと言ってくれているのは嬉しいが、ここまで寂れてしまった村の現状は、やはり心が痛い。
「お爺さんに貰った見取り図に、分かった事を書き込んでおきますね」
 言いながらペンとメモ帳を手にしたのはエマ。先ほどの収穫を次々に書き込んでいく。
「ハンターズソサエティに依頼を出すなら、詳しく文章で示した方がいいのかな?」
「そうさな、分かりやすければ作戦も立てやすいじゃろうし」
「城の中では戦わんように。これは第一条件じゃぞ?」
 ガーゴの言葉を補足したのは、彼の幼馴染みのリブだった。
「……ここは抜け道あったね。それから武器庫には細工してくれたみたいだから……」
 ぶつぶつとメモを見ながら丁寧に書き込むエマ。彼女の横から見取り図を覗き込み、リタもあれこれと喋っている。
「城にはもう食料が殆どなかったわ! きっと空腹で力も出ないはずよ。楽勝ね!」


 翌朝、これまでに得た情報をまとめ終えた姉妹は、村の探索に出ていた。……一応、それぞれに武器を携え、何が起こってもすぐに逃げ出す準備をした上で。
 ガーゴの家は村の端で、城に一番近い場所にある。今は空き家が目立つ家々の間を歩き回りながら、リタとエマは食料になりそうなものを物色していた。空き家からは、不在の家主に心の中で謝って保存食などを失敬する。
 家々が立ち並ぶ区域を過ぎると、広大な畑が広がっていた。掘り起こされて土肌が剥き出しの地面。引き千切られた作物の蔓や雑草。そこらじゅうに、人間ではない足跡が無数。
 そのまた向こうには、森が広がっている。森は城の裏手にある湖を迂回し、城を大きく取り巻いている。森の中には比較的大きな川があるのだというが、ここからでは見えない。また、その川の一部が分かれ、城の地下を通って裏の湖に注いでいるのは、先日の調査で確認済みだ。
「畑はもう見る影もないって感じだね」
「ここなら派手に戦っても大丈夫そうじゃない? あとから人手を集めて耕せば」
 リタの発案に、微妙な表情を浮かべるエマ。
「……できるかもしれないけど……大変そうだね」

 どこをどう見ても、食料らしい食料は見当たらない。このままではゴブリンはおろか、住人たちでさえ飢えてしまう。
「お姉ちゃん、食料確保できそう?」
「ううーん、難しいわね。ゴブリンの所為で野生動物もいなくなっちゃってるしね。しばらくは隣村に買い出しにいかなきゃならないわ。だけど、それを狙われたらアウトよね……」
「私達の生活もギリギリなんだね……早くなんとかしなきゃ」
「作戦を立てたら即実行よ! ガーゴ爺ちゃんの『アレ』も無傷で取り戻さなきゃならないしね!」


「こんな感じかな?」
「どれどれ?」
 エマが書き終えた見取り図と、説明の為の文書を交互に読み返すリタ、ガーゴ、イル、そしてリブ。
「城壁は部分的に破壊されていて、正面と右手奥の厨房、裏口から侵入可能。正面にある城門も壊されてて、城の正面広場は荒れてるけど結構な広さがあり、ここでは戦闘も可能……かな」
「正面から入ると、右側にテラスと食堂、厨房があったわ。左側は多分兵舎になってて、正面に螺旋階段」
「お姉ちゃん……そんなに覚えてられるのにどうして方向音痴治らないのかしら」
「もうこれは個性よね! で、螺旋階段には隠し通路よ!」
 裏口の鍵は調査の時に上手く壊してあり、そこを抜けると城内の螺旋階段の陰に出られるのだ。そして城壁が壊れている右奥の厨房には、外からも侵入が可能。
「二階は使ってない部屋がいくつかあって、一番豪華な部屋でボスが寝てたのよ! そいつの頭の傍に例の『アレ』があったわ!」
「ガーゴよぉ、まだ拘ってたのか?」
 呆れ顔でリブが問う。ガーゴは少々バツの悪い顔をしたが、『生涯において最も大切』と言い切ったので、リブも何も言えなくなった。
「おびき出し作戦をするとしても、別の作戦にするとしても、ボスがそれを持って来ちゃったら面倒な事になりそうですね」
 ペン先で顎をつつきながら、エマがもっともな事を言う。
「そう言えば忘れてたわ! 二階の西にある衣装部屋! あそこから繋がる塔は地下に入れるのよ。地下にはコボルドみたいなのが七匹いたわね。檻に閉じ込められてたけど」
「ほほう、そんなものがまだ健在じゃったとはのぅ」
 どこか嬉しそうに、ガーゴ。
「その抜け道、出口は城門の外というのも、変わっておらんかの?」
「はい。縄梯子を上ったら城壁の外に出られました」
「兵舎の方は?」
 リタが問う。
「調査に行ったのが夜だったから、ざっと数えて二十四匹、寝てたみたい。兵舎には城の外側のドアからしか入れないようになってて、奥には武器庫。調査の時に武器庫に仕掛け、というか悪戯してきたみたいだから、すぐには武器を持ち出せないだろうって言ってたよ」
 見張りのゴブリンと別室で眠っていたボスゴブリン、合わせて三十体近くは居るだろう。そして地下に閉じ込められている奴隷のようなコボルドが七匹。
「これで大体のことは把握できたと思うんだけど……」
「十分じゃないかしら? これで、他にハンターさんの知恵が加われば、確実に城を取り戻せるわっ!」
 ぐっと握った拳を勢い良く突き出すのと、リタの腹の虫が騒ぎだすのが同時だった。 

解説

・敵の勢力はゴブリンが30匹、コボルド7匹。大半はある程度のレベルのハンターならば、一撃で倒せる程度。

●古城外部●
・古城を取り巻くのは、所々破壊された城壁。裏手には大きな湖。城門は破壊され、そこから正面の扉までのアプローチは、荒れてはいますがかなり広いようです。
・古城は小高い丘の上にあり、細い道を少しばかり下った所に、村人たちの家々が立ち並ぶエリアがあり、その向こうに、荒れ果てた畑が広がります。
・畑の向こう側には森が広がり、湖と城を緩く囲むように茂っています。 
・森から続くように見える川は、一部が城の地下を流れ、湖に注いでいます。

●古城内部●
・城への潜入経路は三つ。正面、裏口、壊れている北側の城壁。
・正面左側に兵舎。その奥には武器庫。
・正面玄関を入ると、右手に食堂。その奥、北側に当たる部分は厨房。
・一階に、緩く螺旋を描く階段。その途中に隠し扉。扉は裏口に繋がっています。
・二階に上がると中央に謁見の間。二階は回廊で行き来でき、北側に領主の寝室。隣の衣装部屋には隠し扉があり、地下へと通じる塔に入ることが可能。
・地下はかなり広く、天井も高いですが、足元には川が流れ、古城の裏手の湖に注いでいます。
・地下を歩き続けると、城門の外にある林の中に出られます。

ボスはちょっと強いかも(?)しれませんが、油断しなければ大丈夫。多分。
その他、姉妹の会話に耳を傾けて頂くと、ちょっとしたヒントがあるやもしれません(?)。

●エマから一言
「お城は今後の村おこしに使うつもりなんです。なので、出来るだけ現状のままで奪還したいと思っています。それから、ガーゴお爺さんの『アレ』。それも出来れば無傷で取り戻してあげたいです。よろしくお願いします!」

素敵な作戦、愉快な作戦、お待ちしております! 村の為に、健闘を祈ります!

マスターより

お久しぶりです、芹沢かずいです。

ようやく古城からゴブリンどもを追い払う作戦が始まります。
今回は、作戦を練る段階と実行に移す段階に分かれるのでしょうか(?)。

作戦とか計画って、それを練ってる最中が一番楽しいと思うのは、芹沢だけではないはず(きっと)。
ガーゴ爺さんの『アレ』の中身、何なんでしょうね。他人から見ればどうでもいいようなモノでも、その人にとってはとても大事な宝物ってこともありますよね。

大切なもののために頑張る。とても素敵なことだと思います。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/03/31 18:43

参加者一覧

  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭(ka0234
    人間(蒼)|20才|男性|霊闘士
  • 挺身者
    日高・明(ka0476
    人間(蒼)|17才|男性|闘狩人
  • 黒猫とパイルバンカー
    葛音 水月(ka1895
    人間(蒼)|19才|男性|疾影士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士
  • たたかうはむすたー
    エリス・フォンメール(ka6101
    人間(蒼)|18才|女性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/03/21 12:08:32
アイコン 相談場所
葛音 水月(ka1895
人間(リアルブルー)|19才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/03/23 08:50:29