• 調査

【機創】調査は自分の足で!3

マスター:朝臣あむ

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/05/10 12:00
リプレイ完成予定
2016/05/19 12:00

オープニング

●???
 夜の研究室に響くのは本を捲る音だ。
 昼間は研究者同士の話し声や実験の音などで騒がしいこの場所も、夜の帳が下りればこんなにも静かになる。
 リーゼロッテは昼間の喧騒とは違う静けさの中で本を捲ると、ある一節で動きを止めた。
「リーゼ、まだ寝ていなかったの?」
 唐突に聞こえてきた声に振り返る。そこに在ったのはリーゼロッテの義母にして錬金術の師だ。
「……この間、ナサくんが見せてくれた錬金術が気になって……あの子もう1人で魔導機械を作れるんですよ」
 凄いですよね。そう微笑む彼女に僅かなかげりが見える。それに気付いたのだろう。
 義母は老いた体を曲げるようにして彼女の隣に腰を下ろすと、我が子の悩みを消そうとするようにそっと金色の髪を撫でた。
「そうねぇ。でも貴女だって凄いわぁ」
「そう、でしょうか……私はナサくんのように錬金術の才能はありません。あの子は何も見なくても自分の勘だけでいろいろなことが出来てしまうんです。怖いほどに研究熱心で、怖いほどに完璧な子……」
 今から更に数年前。
 ナサニエルより先に錬魔院に引き取られたリーゼロッテは、義母を手伝うために毎日難しい書物を読み漁っていた。
 難しい研究も勿論あったし、意味の分からない言葉なども多かった。それでも生まれ持った『努力』と言う才能で、彼女は義母の手伝いをし続けてきた。
 そんな中、彼女と同じく義母に引き取られてきたのがナサニエルだ。
 彼は錬魔院に来るや否や、すぐにその才能を発揮した。
 初見で成し遂げられる錬金術の数々。楽しそうに研究を重ねる彼を見るのは、義母は勿論リーゼロッテも嬉しかった。
 それでも時折思ってしまう。この子にこれ以上錬金術を教えても良いものか、と。
「ナサくんは大丈夫なんでしょうか……このまま色々なことが出来たらあの子……」
「えぇ、リーゼの疑問はもっともだわぁ。だってねあの子ったらこの前、同い年の子と会ってなんて言ったと思う?」
「え……ナサくん、同い年の子とお話しできるんですか?」
「……貴女のナサニエルへの偏見も大概だけど、あながち間違ってないわねぇ。あの子ったら今やってる研究について切々と語った後で『こんなこともわからないんですかぁ?』とかつまらなそうに言って……人間として何か大事なものが足りてない気は私もしてるのよぉ」
「義母さんがそれを言ったらダメな気がするんですけど……」
 まあ、その時の状況は実際に目にしないでも想像できる。
 きっと彼のことだ。わかってくれない相手を切り捨ててしまう方が楽だと考えたのだろう。
 わかってもらえなくても彼には何の支障もない。切り捨てたところで彼に不利益は何もない。寧ろここで時間を無駄にする方が彼にとっては何倍も枷になる事なのだ。
 でもね。と義母は続ける。
「いつかあの子の錬金術が多くの人に認められて、あの子をわかってくれる人が現れたらあの子は1人じゃなくなる気がするのよぉ。だからリーゼ……あの子が人として幸せになれるように、あの子が間違った道へ行ってしまわないように、お姉さんである貴女があの子のことを見守ってあげてね」
 義母はそう言うと、穏やかに笑ってリーゼロッテの頭を撫でた。

●錬金術師組合・組合長室
 リーゼロッテは微睡みの中から起きるように目を擦ると、すっかり明けてしまった夜に息を吐いた。
「……迂闊でしたね。まさか執務室で朝を迎えるなんて……」
 昨夜は遅くまで書類の整理に追われていた。
 その理由はここ最近起きている歪虚との闘いが大きいのだが、もう1つ1年に1度彼女の元にやってくる仕事が原因でもある。
「懐かしい夢を見たのはこれのせいでしょうか……」
 取り上げたのは錬魔院の刻印が押された封書だ。表にはリーゼロッテの名前が見覚えのある字で書かれている。
 ミミズがのたくったような字はナサニエルの物で、彼は北方の地で活躍している――筈だった。
「なんで戻ってきてるんでしょう……あの子が帝都の地下にそこまで関心があったとは思えないのですけど……」
 ナサニエルが寄越してきた手紙には、1年に1度行っている第一師団による定期的な掃討作戦のことが書かれていた。
 しかもそろそろ前の作戦から1年が経つので、マテリアル装置の定期メンテナンスをしたいと言うのだ。
「……まさかまた実験を?」
 昨年の作戦にも顔を出したが、確かその時には新しい機械の実験を掃討作戦でしないとか言っていたような。
「そんなの私の目が黒いうちは許しませんよ! ペリド! ペリドはいますかっ!!」
 リーゼロッテは助手のペリドを呼び寄せると、まだ眠そうに首を傾げる彼女に急ぎ書き綴った手紙を差し出した。
「地下水道のマテリアル装置の定期メンテナンスは錬金術師組合が行います。と書きました。この手紙を錬魔院のナサニエル院長に届けてください」
「え、今ですか……?」
「今です!! 今じゃないとあの子……いえ、ナサニエル院長は寝てしまいますから」
 え? そう目を瞬くペリドに咳払いをし、リーゼロッテは新たな文章を書き始めた。
 それはタンターに宛てた依頼書で、自分の護衛を頼む物だった。

解説

●目的
リーゼロッテの護衛
・「水の採取」及び「マテリアル観測装置」のメンテナンスはリーゼロッテが行います
・マテリアル観測装置はリーゼロッテでないと操作は出来ません
・全行程終了までが依頼です

●場所
バルトアンデルスの地下を走る全長1000km以上の下水道
・突入場所は錬金術師組合と錬魔院の中間地点で、最終目的地は錬魔院地下に近い。※錬魔院からは入れない
・地下下水道の横幅は人が4人並んで立てる程度。余裕を持って歩くなら3人まで。
・リーゼロッテ所有の地図に目的地と道順が記されている。

●敵
・ちゅーたろう
ねずみが汚染によって雑魔化したもの。
通常のねずみよりも大きく、うさぎほどの大きさで素早く動き回る。
引っ掻きや噛付きを主な攻撃手段としており、集団で動く性質がある。
影になっている場所などに潜んでいる事が多い。

・ぷちヴァッサーフローア
兎ほどの大きさに成長したミジンコ雑魔。
通常のミジンコ同様、頭部の触覚を使って水の中を泳ぎ回るだけで外には出てこない。ただし動きは早い。
触覚で捕食する部分などヴァッサーフローアとほぼ同じだが、集団で動く性質があるため注意が必要。
捕捉:目的地に近付くほど数は増えるが、個体としては何故か弱くなる。

●同行NPC
リーゼロッテ・クリューガー
現錬金術師組合組合長。
一般人な上に、体についている肉の殆どが脂肪のため体力がない。

※ご質問等があればリーゼロッテが答えます。
尚、出発時間24時間前を過ぎるとお答えできない場合があります。

マスターより

こんにちは、朝臣あむです。
今回はBDivこと帝国勢がお送りする【機創】連動の一場面をお届けです。
初めての方でも安心して参加できる内容になっていますので、お気軽にご参加くださいませ。
今までの【AN】シナリオである「【AN】調査は自分の足で!1と2」も参考に出来ます。

またOP内の「●???」はPL情報ですのでお気を付けください。

では、みなさまのご参加とプレイングを心よりお待ちしております!

関連NPC


  • リーゼロッテ・クリューガー(kz0037
    人間(クリムゾンウェスト)|29才|女性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/05/18 06:17

参加者一覧

  • 見極めし黒曜の瞳
    Gacrux(ka2726
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • 三下の闘狩人
    長良 芳人(ka3874
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • エメラルドの祈り
    雨月彩萌(ka3925
    人間(蒼)|20才|女性|機導師
  • 紅蓮の鬼刃
    守原 有希遥(ka4729
    人間(蒼)|19才|男性|舞刀士
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • 細工師
    金目(ka6190
    人間(紅)|26才|男性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/09 10:26:55
アイコン 組合長さんへの質問所
守原 有希遥(ka4729
人間(リアルブルー)|19才|男性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2016/05/08 00:55:53
アイコン 実地調査相談室
守原 有希遥(ka4729
人間(リアルブルー)|19才|男性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2016/05/10 10:06:52